JP2016170113A - 三次元形状測定装置 - Google Patents
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Abstract
Description
まず、ラインLEDを用いた形状計測の方法を説明する。
<ラインLEDによる形状計測>
図1は光源切替位相シフト法を説明する図である。まず、光源切替位相シフト法により撮影画像の位相を求める。この方法はまず光源から対象物に格子を投影し撮影を行う。次に、点灯させるラインを切り替えることで投影格子の位相をシフトさせる。光源を切り替えるごとに撮影を行い、得られた画像から位相シフト法を用いて各画素における位相値を求める。
通常、格子投影法によって計測できるz方向の範囲は、投影格子のピッチ幅とカメラの角度によって決定される。一方、計測の精度は解析位相の分解能に依存するため、計測範囲を拡大すると精度が低下するといった問題が発生する。そのため、格子投影法の計測精度と範囲を両立させることは困難であった。
<計測装置>
図5は形状計測装置のレイアウト図である。この装置は、LEDデバイスと格子ガラスを組み合わせたプロジェクタとCMOSカメラによって構成されている。LEDの点灯位置切り替えといった装置の制御には、外部の制御回路を用いる。
計測範囲の拡大を行うためピッチの異なる2種類の格子を投影する必要がある。そこで、格子投影装置は、LEDデバイスを縦方向に2種類配置し、それぞれの光源―格子間の距離を調節することで、2種類の格子を投影する構造を備えている。図6は段差付きLEDプロジェクタの配置を示す図である。
ここで、上述したラインLEDの輝度分布の変化による計測結果への影響を低減する手法について述べる。まず、輝度の減少の原因としては、口径食やコサイン4乗則があげられる。広角レンズを用いることによる影響は、コサイン4乗則によるものが大きいと考えられる。
片面凹凸シリンドリカルレンズとは、全体の形状はシリンドリカルレンズであるが、片面に凹と凸部の面を持つレンズのことである。レンズの中央部は凹の形状で、徐々に凸レンズの曲面へと変化し最後は平面となる。この片面凹凸シリンドリカルレンズを用いた時に平行光を通した時の光路のイメージを図7に示す。
<3.1 シミュレーション導出式>
レンズによる光線の変化を、マイクロソフトのソフトウェアでエクセルを用いてシミュレーションを行った。このシミュレーションは点光源から進む光線がレンズによって屈折し、スクリーンに到達するまでを幾何学的な計算によって求めた。
<3.2 シミュレーションツールの開発>
3.1で述べた導出式からエクセルを用いてシミュレーションツールを開発した。図9にシミューションツールの画面例を示す。このツールは、レンズの形状を余弦波の三角関数として入力する。点光源の位置,レンズの厚み,レンズの位置,レンズの屈折率,スクリーンの位置を変数として入力することで、光線の軌跡を描くことができる。それぞれの光線のスクリーン上における結像位置から輝度分布を求めることができる。
表1に示す条件にて、3.2で求めたシミュレーションによる結果を示す。表1に示す条件は、実験装置の構成を考慮して決めた。レンズに用いる材質はアクリルを使用することを想定しているので、屈折率は1.49とある。レンズの形状として、くぼみの最大が3.0mm,幅が60mmとなるように設定した。シミュレーションによって得られたグラフを図10に示す。また、この結果から、光線の密度を求め、光は距離の逆二乗で減衰するので、光の密度に減衰率を掛け合わせることで、光の強度を算出した。
3.で行ったシミュレーションで行った片面凹凸シリンドリカルレンズでの効果を確認するために、アクリルを用いてレンズを製作した。NCフライスを用いて、形状を削り出した(図15(a))後に、400番から1000番の紙やすりを200番ずつ大きくしながら研磨した。最後に、研磨剤(アクリサンデー)を用いて十分に磨くことで、図15(b)のレンズができる。レンズの形状を図16に示す。
レンズを用いない場合と同様に、キャリブレーションに使用する基準面を対象とした精度確認実験を実施した。実験は図19に示すように基準面に対してカメラとプロジェクタを4mmずつ移動させて計測した。表2に示す計測条件は露光時間を除いてレンズの無いと場合と同じになるように設定した。図20(a),(b),(c)は、それぞれ4mmの位置での格子投影画像,位相分布画像,z座標分布画像である。このとき、z座標分布画像の中央に引いたライン上でのA、B,C3ケ所の100画素ずつの領域における高さ分布の平均と標準編差を求めた(図21参照)。同様に計測したすべての位置における計測の結果を表3に示す。
台形試料をカメラの視野内で移動させて、3箇所で計測する実験を、レンズを付けて行った。図22−1,図22−2,図22−3に計測で得られた画像を示す。表4には台形試料の○1〜○3の領域での高さの平均と標準偏差についてまとめたものを示す。○1〜○3の領域は、計測位置a,b,cでそれぞれ異なる。aの○1はi=144−173,j=213−270,○2はi=111−123,j=197−292,○3はi=219−242,j=180−291画素の領域である。bの○1はi=326−366,j=216−268,○2はi=253−279,j=188−291,○3はi=402−428,j=188−291画素の領域である.cの○1はi=499−534,j=216−269,○2はi=428−458,j=188−300,○3はi=548−560,j=198−287画素の領域である。
異なる角度からの計測画像による画像合成を、片面凹凸シリンドリカルレンズを用いた場合でも試みた。図24に合成によって得られた高さ分布の画像を示す。また、図3−12(b)の1〜3の領域における高さ分布と標準編差を表5に示す。
本発明は、広角撮影によるライン状LEDの輝度むらを、片面凹凸シリンドリカルレンズを、格子を投影する光路中に挿入することで低減する方法に係る。本発明により、レンズを用いないときに比べ、カメラからみたときの光量を一定にすることができた。片面凹凸シリンドリカルレンズを用いて形状計測を行った場合、光量を一定にすることができているので、レンズを挿入することで全体としての光量は下がるが、カメラの感度を高くすることができる。本発明は、レンズを用いない場合に格子投影による光源切替位相シフト法を用いた三次元計測において、輝度むらを補正する手法である。光源切替位相シフト法においては、レンズの結像を使わず格子パターンを投影するために、光路中にシリンドリカルレンズを挿入しても格子パターンを投影することができる。
2 格子
3 レンズ
4 基準板
Claims (1)
- 凹凸状の表面の形状を備えたシリンドリカルレンズを、格子投影光学系の光路中に挿入し、投影される格子パターンの輝度むらを補正する光学系を備えた光源切替位相シフト法による三次元形状測定装置。
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