JP2016168209A - 関節音測定システム - Google Patents

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Abstract

【課題】非侵襲的に変形性膝関節症の診断を行うことができ、かつ、高精度に患部の位置を特定可能な関節音測定システムを提供する。【解決手段】検査対象物の屈伸運動に伴う振動を検出し、振動信号を出力する1以上の振動センサ12a〜12dと、検査対象物の屈伸角度を検出し、角度情報を出力する角度センサ14と、角度情報に基づいて、振動信号を2以上の分割信号に分割する信号分割部16と、2以上の分割信号それぞれに対して、周波数解析を行い、2以上の解析信号を出力する周波数解析部18とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、関節音測定システムに関する。
従来、変形性膝関節症(以下、OAともいう)の診断は、主にX線画像を用いた診断が行われている。OAとは、関節軟骨が、磨耗により磨り減ったり変形することによって炎症を起こすものである。
しかしながら、X線画像には軟骨が写らないため、骨間距離から軟骨の状態を推測して診断する必要があり診断精度に問題があった。
さらに、高精度に診断する方法として、MRI(核磁気共鳴画像法)診断や関節鏡を用いた診断があるが、大型の装置が必要であったり、患者への負担が大きいため、早期診断や生着診断等に利用するのは難しいという問題があった。
これに対して、OAの診断技術として関節音による測定(VAG(Vibroarthrography))が提案されている。
VAGとは、屈伸運動などを行うことで、自分の体重を負荷として軟骨細胞に付加し、膝器官中の大腿骨と脛骨および膝蓋骨との端部に存在する軟骨細胞同士が擦れることで発生する関節音を、体外に設置した加速度センサやマイクロフォンを用いて振動信号や音信号として検出し、OA疾患の有無によりある特定の周波数成分の信号強度が増減する点から関節軟骨の状態を評価する非侵襲的な診断方法である。
例えば、特許文献1には、被検査者の関節近傍の皮膚上に取り付けられる生体用音響センサと、関節近傍の屈伸角度を検出する角度センサと、被検査者の関節の屈伸に伴う運動加速度を検出する加重計と、生体用音響センサと、角度センサと、加重計の検出結果に基づいて関節症の診断を行う診断装置と、を備える診断システムが記載されている。
この特許文献1には、生体音響センサの検出信号に、高速フーリエ変換(FFT)等の周波数解析等の信号処理を行って、周波数スペクトル特性の特徴に基づいて診断を行うことが記載されている。尚、本発明における振動センサは、加速度センサやマイクロフォンおよび音響センサの総称である。
また、非特許文献1では、ノイズを抑制するために、音響センサからのデータの25°〜75°の範囲に該当するデータについてFFTを行うことが記載されている。
しかしながら、単純に1つの加速度センサと傾斜計で屈伸運動による軟骨細胞の擦れ音を検出しようとした場合、音源の位置、すなわち、患部の位置を特定することができなかった。
そこで、非特許文献2では、4つの加速度計を用いて、それぞれの位置からの信号の相関係数を計算して、信号間の遅延時間により、音源(患部)の位置を推定することが記載されている。
WO2011/096419公報
6th Int'l Conf. Generic Evolutionary Computing, 2012(T.F.Lee et al.) Med.Eng.Phys.(1995)vol.17.583-594;Localization of knee joint cartilage pathologh by multichannel vibroarthrography
しかしながら、非特許文献2に記載されるように、複数の加速度計を用いて、それぞれの位置からの信号の相関係数を計算して、遅延時間により、音源の位置を特定する場合であっても、相関係数自体非常に小さく、精度が十分でないことがわかった。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、非侵襲的に変形性膝関節症の診断を行うことができ、かつ、高精度に患部の位置を特定可能な関節音測定システムを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、検査対象物の屈伸運動に伴う振動を検出し、振動信号を出力する1以上の振動センサと、検査対象物の屈伸角度を検出し、角度情報を出力する角度センサと、角度情報に基づいて、1回の屈伸運動で得られた振動信号を、屈伸角度に応じて2以上の分割信号に分割する信号分割部と、2以上の分割信号それぞれに対して、周波数解析を行い、2以上の解析信号を出力する周波数解析部とを有することで上記課題が解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(12)を提供する。
(1) 検査対象物の屈伸運動に伴う振動を検出し、振動信号を出力する1以上の振動センサと、
検査対象物の屈伸角度を検出し、角度情報を出力する角度センサと、
角度情報に基づいて、振動信号を2以上の分割信号に分割する信号分割部と、
2以上の分割信号それぞれに対して、周波数解析を行い、2以上の解析信号を出力する周波数解析部とを有する関節音測定システム。
(2) 2以上の解析信号同士の比較、および、2以上の解析信号と基準信号との比較の少なくとも一方を行って、音源位置を判定する判定部を有する(1)に記載の関節音測定システム。
(3) 振動センサを2以上有する(1)または(2)に記載の関節音測定システム。
(4) 振動センサを4つ有する(3)に記載の関節音測定システム。
(5) 2以上の振動センサそれぞれから出力される2以上の振動信号の相互相関関数から遅延時間を算出する遅延時間算出部を有する(3)または(4)に記載の関節音測定システム。
(6) 判定部は、2以上の解析信号同士の比較結果、および、2以上の解析信号と基準信号との比較結果の少なくとも一方と、遅延時間とに基づいて、音源位置を判定する(5)に記載の関節音測定システム。
(7) 信号分割部における、振動信号の分割数が、2以上10以下である(1)〜(6)のいずれかに記載の関節音測定システム。
(8) 信号分割部における分割数が3であり、振動信号の分割位置が、屈伸角度が30°±5°の位置、および、60°±5°の位置である(1)〜(7)のいずれかに記載の関節音測定システム。
(9) 角度センサが、傾斜計である(1)〜(8)のいずれかに記載の関節音測定システム。
(10) 振動センサが、加速度センサである(1)〜(9)のいずれかに記載の関節音測定システム。
(11) 加速度センサが、圧電型加速度センサである(10)に記載の関節音測定システム。
(12) 周波数解析部が、高速フーリエ変換を行う(1)〜(11)のいずれかに記載の関節音測定システム。
本発明によれば、非侵襲的に変形性膝関節症の診断を行うことができ、かつ、高精度に患部の位置を特定可能な関節音測定システムを提供することができる。
本発明の関節音測定システムの構成の一例を概念的に示すブロック図である。 図2(A)は、角度センサにより検出された角度と時間との関係を概念的に表すグラフであり、図2(B)は、加速度センサにより検出された振動と時間との関係を概念的に表すグラフである。 図3(A)は、本発明の関節音測定システムで関節音を測定する膝の骨組みを概念的に示す正面図であり、図3(B)は、図3(A)の側面図であり、図3(C)および図3(D)は、膝を曲げた状態の骨組みを概念的に示す側面図である。 本発明の関節音測定システムの構成の他の一例を概念的に示すブロック図である。 図5(A)〜図5(E)はそれぞれ、周波数解析を行った解析信号を表すグラフである。 周波数解析を行った解析信号を表すグラフである。
以下、本発明の関節音測定システムについて、添付の図面に示される好適な第1実施形態を基に、詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
図1に、本発明の関節音測定システムの一例を、ブロック図によって概念的に示す。
図1に示す関節音測定システム10は、4つの加速度センサ12a〜12dと、角度センサ13と、加速度センサ12a〜12dおよび角度センサ13に接続される信号分割部16と、周波数解析部18と、判定部20と、表示部22と、制御部24と、操作部26とを有する。
図示例においては、信号分割部16、周波数解析部18、判定部20、表示部22、制御部24、および、操作部26が、測定装置本体14を構成する。
また、加速度センサ12a〜12dは、本発明における振動センサの一種である。
図示例の関節音測定システム10において、4つの加速度センサ12a〜12dおよび角度センサ13は、検査対象物(被検体)の膝関節近傍の皮膚に取り付けられるものであり、ケーブルあるいは無線によって測定装置本体14と接続される。
なお、4つの加速度センサ12a〜12dは、被検体の膝関節近傍の異なる位置に取り付けられる以外は、基本的に同じ構成を有するので、以下の説明において、4つの加速度センサ12a〜12dを区別する必要がない場合には、加速度センサ12として説明を行う。
加速度センサ12は、被検体の屈伸運動に伴う関節音を振動として検出し、振動信号を出力するセンサである。
加速度センサ12としては、圧電式、静電容量式、サーボ式、気泡式、熱検知方式、機械的変位測定方式等の種々の公知の加速度センサが利用可能である。なかでも、圧電型加速度センサは、検出できる加速度成分の範囲と検出できる周波数範囲の点で好適である。
加速度センサ12の取り付け位置には特に限定はなく、加速度センサの数、被検体の屈伸運動の方法等に応じて適宜決定すればよい。
一例として、4つの加速度センサ12a〜12dを有する場合には、加速度センサ12aは脛骨の外側顆の位置、加速度センサ12bは脛骨の内側顆の位置、加速度センサ12cは膝蓋骨の位置、加速度センサ12dは脛骨の位置に取り付けるのが好ましい。
なお、図示例においては、加速度センサを4つ有する構成としたが、これに限定はされず、1つであっても良いし、2つまたは3つであっても良いし、あるいは、5つ以上であっても良い。
加速度センサを2つ以上有する構成は、後述する遅延時間算出部における遅延時間の算出を行うことができるので、より高精度に音源位置を特定できる点で好ましい。特に、加速度センサを4つ有する構成は、遅延時間算出部における遅延時間の算出において、3次元空間上でより高精度に音源位置を特定できる点、コストの点等で好ましい。
また、加速度センサ12を被検体に取り付ける際には、加速度センサ12と被検体との間に、音響インピーダンスの値が生体に近い物質からなる層を設けることがより好ましい。
具体的には、音響インピーダンスが、1.35×106〜47×106kg/(m2・sec)の範囲の物質が好ましく、ソナゲル(タキロン社製)、ジェルファイン(オオサキメディカル株式会社)、キャビジェル(株式会社メイク)などの超音波検査で用いられる超音波ジェルを用いることができる。
加速度センサ12を被検体の皮膚に直接接触させて固定した場合には、加速度センサ12と皮膚との間に空気の層ができてしまい、この空気との界面で振動が反射して体内に戻ってしまうため、振動が加速度センサ12に十分に伝わらないおそれがある。これに対して、加速度センサ12と被検体との間に、音響インピーダンスの値が生体に近い物質からなる層を設けることで、センサと皮膚との間に空気の層ができることを抑制でき、これにより、振動を加速度センサ12に十分に伝えることができる。
加速度センサ12a〜12dそれぞれから出力された振動信号は、測定装置本体14の信号受信部(図示せず)を介して、測定装置本体14に供給され、信号分割部16に供給される。なお、信号受信部は、加速度センサ12から出力された振動信号を、AD変換するAD変換部や、信号を増幅する増幅部を有していてもよい。また、信号受信部と信号分割部16との間には、ノイズの除去等を行う信号処理部を有していてもよい。
角度センサ13は、被検体の屈伸運動に伴う膝の曲げ伸ばしの角度(屈伸角度)を検出し、時間と角度との関係を角度情報として出力するセンサである。
角度センサ13としては、特に限定はなく、水平方向に対する傾斜角度を検出する傾斜計、ロータリーエンコーダ等の回転角センサ、ポテンショメータ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)静電容量方式角度センサ等の種々の公知の角度センサが利用可能である。なかでも、MEMS静電容量方式角度センサは、角度分解能と応答速度の点で好適である。
なお、角度センサ13による屈伸角度の検出は、膝を伸ばした状態を0°とし、膝を90°曲げた状態を90°として検出してもよく、あるいは、膝を伸ばした状態を90°とし、膝を90°曲げた状態を0°として検出してもよい。なお、以下の説明においては、膝を90°曲げた状態を0°として、膝を伸ばした状態を90°として検出したものとして説明を行う。
角度センサ13は、検出した角度情報を測定装置本体14の信号分割部16に供給する。
測定装置本体14の信号分割部16は、角度センサ13から供給される角度情報に基づいて、角度情報のグラフから、予め設定された角度となる時間を検出し、この時間の位置で、加速度センサ12から供給される振動信号を2以上の分割信号に分割する部位である。
この点について、図2(A)および図2(B)を用いて説明する。
図2(A)は、角度センサ13から供給される角度情報の一例を概念的に表すグラフであり、図2(B)は、1つの加速度センサ12から供給される振動信号の一例を概念的に表すグラフである。
図2(A)に示す角度情報のグラフは、被検体の屈伸運動により、膝を90°曲げた状態から、膝を伸ばした状態まで変化する屈伸角度と時間との関係を測定したものである。この際、前述のとおり膝を90°曲げた状態を角度0°、膝を伸ばした状態を角度90°と定義する。
一方、図2(B)に示す振動信号のグラフは、図2(A)に示す膝の角度変化に伴って発生する膝の軟骨細胞の擦れ音(関節音)を加速度として測定した、加速度と時間との関係を表すものである。すなわち、この加速度の時間変化が振動信号である。
図2(A)および図2(B)に示す例では、信号分割部16は、図2(A)の角度情報のグラフから、30°および60°となる時間をそれぞれ検出し、図2(B)の振動信号Vを、これらの時間の位置で、3つの分割信号に分割し、0°から30°に対応する信号である第1分割信号V1と、30°から60°に対応する信号である第2分割信号V2と、60°から90°に対応する信号である第3分割信号V3を生成する。
すなわち、図2(A)および図2(B)に示すグラフは、1回の屈伸運動に対応する信号であり、信号分割部16は、1回の屈伸運動で得られた振動信号を、屈伸角度に応じて3つの分割信号に分割している。
なお、図示例においては、信号分割部16による振動信号の分割数は3つとしたが、これに限定はされず、2つであってもよく、あるいは、4つ以上であってもよい。なお、振動信号の分割数が多いと、各分割信号の情報量が少なくなるため、後述する周波数解析部18における周波数解析の分解能が低下するので、分割数は、2つ以上10個以下であるのが好ましい。
さらに、信号分割部16による分割数は3つであるのが特に好ましい。この点については後に詳述する。
また、図示例においては、信号分割部16による振動信号の分割の位置は、30°間隔とした、すなわち、角度が均等になる位置で分割したが、これに限定はされず、均等でない角度位置で分割してもよい。
なお、信号分割部16による振動信号の分割位置は、角度が均等になる位置で分割するのが好ましく、信号分割部16による分割数が3つの場合には、角度が30°±5°の位置、および、60°±5°の位置で分割するのが好ましい。
また、信号分割部16が、振動信号を分割する角度や、分割数は、予め設定されていてもよく、あるいは、操作者が操作部26から入力して設定してもよい。
信号分割部16は、1以上の加速度センサ12a〜12dから供給される振動信号それぞれについて、2以上の分割信号に分割し、得られた複数の分割信号を周波数解析部18に供給する。
周波数解析部18は、信号分割部16から供給される複数の分割信号それぞれに対して、周波数解析を行って、複数の解析信号を出力する部位である。
図示例においては、4つの加速度センサ12を有し、信号分割部16において、各加速度センサ12から出力される振動信号をそれぞれ3つに分割するので、周波数解析部18は、12個の分割信号それぞれについて、周波数解析を行う。
周波数解析部18が行う周波数解析としては、分割信号の周波数特性を求める数学処理であれば特に限定はない。具体的には、高速フーリエ変換(FFT)、ウェーブレット変換、time-frequency法、統計的解析手法等が利用可能である。
なかでも、処理負荷が低い、計算コストが安価等の観点からFFTによる周波数解析が好ましい。
なお、後述の実施例における解析信号を示す図5(A)〜図5(E)は、分割信号に対してFFTによる周波数解析を行った解析信号の例である。
変形性膝関節症(OA)の診断では、OA患者の関節音は、健常者の関節音に比べて、所定の周波数帯(例えば、50Hz〜100Hzの周波数帯)で高いパワーを示すことを利用して診断を行う。
すなわち、膝の関節音の振動信号に対して、FFT等の周波数解析を行い、パワー値と周波数との関係を表す解析信号を求め、50Hz〜100Hzの周波数帯でのパワー値を健常者のものと比較することで、診断を行う。
ここで、本発明においては、振動信号を2以上に分割して、各分割信号に対して周波数解析を行う。そのため、膝の屈伸の状態(角度)ごとに、OAの診断を行うことができる。したがって、どの角度域で所定の周波数帯のパワー値が高いか、すなわち、どの角度域でOAの症状が現れているかを判断することで、音源の位置、すなわち、患部の位置を特定することができる。
この点について、図3(A)〜図3(D)を用いて詳細に説明する。
図3(A)は、関節音を測定する膝の骨組みを概念的に示す正面図であり、図3(B)は、膝を伸ばした状態(90°)の骨組みを概念的に示す側面図であり、図3(C)は、膝を曲げる途中の状態の骨組みを概念的に示す側面図であり、図3(D)は、膝を完全に曲げた状態(0°)の骨組みを概念的に示す側面図である。
なお、図3(A)〜図3(D)においては、大腿骨F、脛骨Tおよび膝蓋骨Pのみを示す他の骨や靭帯、骨膜、腱等の図示は省略している。
図3(B)に示すように、膝を伸ばした状態では、膝蓋骨Pの軟骨Pcは、大腿骨Fの軟骨Fcの正面側の側面と接しており、脛骨Tの軟骨Tcは、大腿骨Fの軟骨Fcの先端側の面と接している。
一方、図3(D)に示すように、膝を完全に曲げた状態では、膝蓋骨Pの軟骨Pcは、大腿骨Fの軟骨Fcの先端側の面と接しており、脛骨Tの軟骨Tcは、大腿骨Fの軟骨Fcの後ろ側の側面と接している。
また、図3(C)に示すように、膝を伸ばした状態から曲げると、膝蓋骨Pの軟骨Pcは、大腿骨Fの軟骨Fc上を滑り移動し、脛骨Tの軟骨Tcは、大腿骨Fの軟骨Fc上を滑り移動する。
すなわち、膝蓋骨Pの軟骨Pcおよび脛骨Tの軟骨Tcは常に、大腿骨Fの軟骨Fcに接しており、大腿骨Fの軟骨Fcは、膝の屈伸の状態により軟骨との接触位置が変わる。
したがって、膝を曲げた状態から伸ばし始めの屈伸角度0°〜30°に対応する第1分割信号V1、曲げ途中の屈伸角度30°〜60°に対応する分割信号V2、曲げ途中から完全に伸ばすまでの屈伸角度60°〜90°に対応する分割信号V3それぞれに対して、周波数解析を行った解析信号A1、A2、A3において、全ての解析信号A1、A2、A3で、所定の周波数帯のパワー値が健常者に比較して高い場合には、常に他の軟骨と接している部位、すなわち、脛骨Tの軟骨Tcおよび膝蓋骨Pの軟骨Pcの少なくとも一方が悪くなっているということがわかる。
解析信号A1、A2のみ、あるいは、解析信号A2、A3のみが、所定の周波数帯のパワー値が健常者に比較して高い場合、ならびに、解析信号A1、A2、A3のいずれか1つで、所定の周波数帯のパワー値が健常者に比較して高い場合には、他の軟骨と接したり離れたりする部位、すなわち、大腿骨Fの軟骨Fcのある箇所が悪くなっていることがわかる。
前述のとおり、従来、OA診断において、1つの加速度計を用いて測定を行った場合には、患部の位置を特定することが難しかった。
そこで、患部の位置を更に特定するために、4つの加速度計を患部近傍の異なる位置に取り付け、それぞれの位置からの信号の相関係数を計算して、遅延時間により、音源(患部)の位置を推定することが提案されている。
しかしながら、4つの加速度計を用いて、各加速度計からの信号の遅延時間により、音源の位置を特定する場合であっても、相関係数自体非常に小さく、精度が十分でないという問題があった。
これに対して、本発明では、加速度センサで検出した振動信号を、屈伸角度の角度情報に基づいて、2以上の分割信号に分割し、2以上の分割信号それぞれに対して、周波数解析を行って解析信号を出力する。これにより、上述のとおり、どの角度域の解析信号で所定の周波数帯のパワー値が高いかによって、膝の軟骨のどの部位が悪いのかを判断することができ、高精度に患部の位置を特定することができる。
また、本発明においては、1つの加速度センサを用いた場合であっても、患部の位置をある程度特定することができる。
周波数解析部18は、得られた解析信号を判定部20に供給する。
判定部20は、周波数解析部18から供給される複数の解析信号から音源位置を判定する部位である。
具体的には、例えば、判定部20は、各解析信号での所定の周波数帯のパワー値を基準となるパワー値と比較して、全ての解析信号が、基準のパワー値を上回った場合には、膝蓋骨Pの軟骨Pcおよび脛骨Tの軟骨Tcの少なくとも一方が悪いと判定し、解析信号の少なくとも1つが、基準のパワー値を上回った場合には、大腿骨Fの軟骨Fcが悪いと判定し、全ての解析信号が基準のパワー値以下であった場合には、正常であると判定する。
なお、判定部20は、複数の解析信号を互いに比較して、パワー値の差が所定の値よりも小さい場合には、膝蓋骨Pの軟骨Pcおよび脛骨Tの軟骨Tcの少なくとも一方が悪いと判定し、パワー値の差が所定の値よりも大きい場合には、大腿骨Fの軟骨Fcが悪いと判定してもよい。例えば、パワー値が最も小さい解析信号のパワー値とパワー値が最も大きい解析信号のパワー値との差が2割未満の場合には、膝蓋骨Pの軟骨Pcおよび脛骨Tの軟骨Tcの少なくとも一方が悪いと判定し、パワー値が最も小さい解析信号のパワー値とパワー値が最も大きい解析信号のパワー値との差が2割以上の場合には、大腿骨Fの軟骨Fcが悪いと判定するようにしてもよい。
また、判定部20は、解析信号が基準のパワー値と比較した結果と、解析信号同士を比較した結果とに基づいて判定を行ってもよい。
なお、関節音計測システム10が1つの加速度センサ12を有し、1つの加速度センサから出力される振動信号を分割して複数の分割信号を生成し、各分割信号に対して周波数解析を行って複数の解析信号を求める場合には、1つの振動信号から得られる複数の解析信号を用いて上記の判定を行えばよい。
また、複数の加速度センサ12を有し、各加速度センサ12から出力される振動信号をそれぞれ分割して分割信号を生成し、各分割信号に対して周波数解析を行って複数の解析信号を求める場合には、判定部20は、同じ角度域ごとに解析信号の平均値を求めて、この解析信号の平均値について、基準のパワー値を上回るか否かの比較を行い、上述の判定をすればよい。あるいは、加速度センサごとに上述の判定を行い、最も判定結果が多い判定結果を採用してもよい。
なお、複数の加速度センサ12を用いた場合には、理想的には全ての加速度センサ12の振動信号から同じ判定結果が得られるが、加速度センサ12の取り付け位置や、ノイズ等の影響で判定結果にばらつきが生じることがある。これに対して、複数の加速度センサ12を用いることで、加速度センサ12の取り付け位置や、ノイズ等の影響を低減でき、より正確に判定することができる。
また、1つの加速度センサ12を有する構成の場合には、全ての解析信号が大きくなった場合には、膝蓋骨起因か脛骨起因かが不明であるが、加速度センサを2以上有する場合には、膝蓋骨付近に取り付けた加速度センサからの信号の解析結果と、脛骨付近に取り付けた加速度センサからの解析結果から音源位置をより正確に判定できる。また、大腿骨起因の場合も、1つの加速度センサでは、大腿骨起因としか推定できないが、2以上の加速度センサを有する場合には、外側顆近傍の加速度センサからの解析結果と内側顆近傍の加速度センサからの解析結果を合わせることで、大腿骨の内側か、外側かが判定できる。
判定部20は、判定結果を表示部22に供給する。
表示部22は、例えば、LCD等のディスプレイ装置を含んでおり、判定部20から供給された判定結果を制御部24の制御の下で表示する。
制御部24は、操作者により操作部26から入力された指令に基づいて関節音測定システム10の各部の制御を行う部位である。
また、制御部24は、操作部26を用いて操作者によって入力された各種の情報を、必要な部位に供給する。例えば、操作部26に、測定の開始および終了の情報、信号分割部16で用いられる信号の分割数、分割する角度等の情報、判定部20で用いられる基準のパワー値の情報等の入力が行われた場合には、これらの情報を、必要に応じて、関節音測定システムの各部に供給する。
操作部26は、操作者が入力操作を行うためのものであり、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパネル等から形成することができる。
また、操作部26は、操作者が、必要に応じて各種の情報を入力するための、入力機能を備えている。例えば、操作部26は、測定の開始および終了の情報、信号分割部16で用いられる信号の分割数、分割する角度等の情報、判定部20で用いられる基準のパワー値の情報等を入力するための、入力機能を備えている。
なお、関節音測定システムにおいて、信号分割部16、周波数解析部18、判定部20および制御部24等は、CPU(Central Processing Unit)と、CPUに各種の処理を行わせるための動作プログラムから構成され、例えば、PC(personal computer)を用いてもよい。しかしながら、本発明においては、これらの部位をデジタル回路で構成してもよい。
ここで、図1に示す関節音測定システム10においては、4つの加速度センサ12を有し、4つの加速度センサ12から出力される振動信号すべてに対して、信号分割および周波数解析を行う構成としたが、これに限定はされず、複数の加速度センサを有する場合であっても、少なくとも1つの加速度センサから出力される振動信号に対して信号分割および周波数解析を行う構成であればよい。
また、図1に示す例では、判定部20の判定結果を表示部22に表示する構成としたが、これに限定はされず、判定部20の判定結果を音声等により通知するものであってもよい。
また、図1に示す例では、周波数解析部18による解析信号に基づいて、判定部20が患部の位置を判定して、判定結果を表示部22に表示する構成としたが、これに限定はされず、周波数解析部18による解析信号のグラフを表示部22に表示する構成としてもよい。すなわち、解析信号のグラフを表示部22に表示するのみで、医師等が、解析信号のグラフを見て患部位置の特定を行うようにしてもよい。
また、図1に示す例では、振動センサとして、加速度センサを用いたがこれに限定はされず、電子聴診器や、マイクロフォン等の音を検出するデバイスを用いてもよい。
また、本発明の関節音測定システムは、加速度センサから振動信号を取得した後、連続的に、信号分割部による信号の分割や、周波数解析部による周波数解析を行う構成に限定はされず、取得した振動信号を一旦、データ記憶部に記憶しておき、操作者からの指示に応じて、信号分割部による信号の分割や、周波数解析部による周波数解析を行う構成としてもよい。また、取得した振動信号のデータを一旦、取り出し可能な記録媒体に記録して、他のPC等に振動信号のデータを移動して、信号の分割や、周波数解析を行う構成としてもよい。
次に、本発明の関節音測定システムの好適な第2実施形態について、図4を用いて説明する。
なお、図4に示す関節音測定システム30は、さらに遅延時間算出部32を有する以外は、図1に示す関節音測定システム10と同じ構成を有するので、同じ部位には同じ符号を付し、以下の説明では異なる部位を主に行う。
図4に示す関節音測定システム30は、4つの加速度センサ12a〜12dと、角度センサ13と、加速度センサ12a〜12dに接続される遅延時間算出部32と、加速度センサ12a〜12dおよび角度センサ13に接続される信号分割部16と、周波数解析部18と、判定部20と、表示部22と、制御部24と、操作部26とを有する。
図示例においては、遅延時間算出部32、信号分割部16、周波数解析部18、判定部20、表示部22、制御部24、および、操作部26が、測定装置本体34を構成する。
遅延時間算出部32は、2以上の加速度センサ12が接続されており、これら加速度センサ12から供給される2以上の振動信号について、相互相関関数から遅延時間を算出する部位である。
2以上の加速度センサ12を有する場合、ある音源から発せられた振動が、各加速度センサに届くまでの時間は、加速度センサ12の取り付け位置に応じて異なる。すなわち、音源の近くに取り付けられた加速度センサに振動が届くまでの時間と、音源の遠くに取り付けられた加速度センサに同じ振動が届くまでの時間との間には時間差がある。
遅延時間算出部32は、この時間差を遅延時間として算出するものである。
ここで、同じ音源から同じタイミングで発せられた振動であっても、異なる経路を通って各加速度センサに到達するため、各加速度センサで検出される振動信号の波形は完全には一致しない。
そこで、遅延時間算出部32は、各加速度センサが検出した振動信号同士の波形の相互相関関数を求めることで、遅延時間Δtを求める。
具体的には、例えば、2つの振動信号間の相互相関関数を求める場合には、相互相関関数Rn (fg)は、下記式で表される。
上記式において、fiは、一方の振動信号を表し、gi+nは、他方の振動信号を表す。
振動信号fiの時間軸はそのままに、振動信号gi+nを時間軸上でΔtずらして、上記相互相関関数Rn (fg)を計算し、相互相関関数Rn (fg)が最大となる、すなわち、振動信号fiと振動信号gi+nとの相関が強くなる場合の時間Δtが遅延時間となる。
加速度センサを3つ以上有する場合には、各加速度センサから出力される振動信号間での遅延時間を全て求めればよい。
なお、加速度センサが2つの場合には、得られた遅延時間から、音源がどちらの位置に近いかがわかる。また、加速度センサが3つの場合には、得られた遅延時間から、2次元平面上での音源の位置が推定できる。また、加速度センサが4つの場合には、得られた遅延時間から3次元空間上での音源の位置が推定できる。
具体的には、例えば、2つの加速度センサを用いる場合には、2つの加速度センサをそれぞれ、脛骨外側顆の近傍と脛骨内側顆の近傍、脛骨外側顆の近傍と脛骨の近傍、脛骨外側顆の近傍と膝蓋骨の近傍、脛骨内側顆の近傍と脛骨の近傍、脛骨内側顆の近傍と膝蓋骨の近傍、および、脛骨の近傍と膝蓋骨の近傍のいずれかに付けて、相互相関関数を求める事で、音源の位置が取り付け位置の間のどの位置にあるかを推定でき、1つの場合よりも正確に音源を特定することが出来る。
遅延時間算出部32は、算出した遅延時間Δtの情報を判定部20bに供給する。
判定部20bは、周波数解析部18から供給される複数の解析信号、および、遅延時間算出部32から供給される遅延時間Δtから音源位置を判定する部位である。
すなわち、判定部20bは、各解析信号での所定の周波数帯のパワー値を基準のパワー値と比較して、基準のパワー値を上回るか否かに応じて、膝蓋骨Pの軟骨Pcおよび脛骨Tの軟骨Tcの少なくとも一方が悪いのか、大腿骨Fの軟骨Fcが悪いのか、正常であるのかを判定し、さらに、遅延時間Δtの情報から、膝蓋骨Pの軟骨Pcおよび脛骨Tの軟骨Tcのどちらが悪いのか、大腿骨Fの軟骨Fcのどの位置が悪いのかを判定する。
例えば、各解析信号での所定の周波数帯のパワー値が基準のパワー値を上回り、かつ、遅延時間Δtの情報から、膝蓋骨Pに近い加速度センサに到達するのが最速である場合には、判定部20bは、膝蓋骨Pの軟骨Pcが悪いと判定する。
このように、振動信号を分割して周波数解析を行う構成に加えて、遅延時間算出部32を有し、2以上の加速度センサ12それぞれから出力される2以上の振動信号の相互相関関数から遅延時間を算出する構成として、周波数解析の結果と算出した遅延時間から音源の位置を判定することで、より高精度に音源位置を特定できる。
判定部20bは、判定結果を表示部22に供給し、表示部22は判定結果を表示する。
なお、関節音測定システム30において、判定部20bを有さずに、周波数解析部18により得られた解析信号、および、遅延時間算出部32が算出した遅延時間Δtの情報を表示部22に表示する構成としてもよい。
以上、本発明の関節音測定システムに関して詳細に説明したが、本発明は、上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
5人の被検体に対して、以下の測定を行った。
なお、5人の被検体は、健常者である被験者A、膝蓋骨軟骨に損傷を有する被験者B、脛骨軟骨に損傷を有する被験者C、大腿骨軟骨の外側顆に損傷を有する被験者D、大腿骨軟骨の内側顆に損傷を有する被験者Eとした。
図4に示すような関節音測定システム30を用いて、測定を行った。
まず、被検体の膝に、加速度センサ(ワコーテック社製 MA3-04AD)、4つを外側顆(a)、内側顆(b)、膝蓋骨(c)、脛骨(d)に固定した。固定する際は、バンドを利用して固定した。この際、固定力(バンドの巻き張力)が一定になるように調整した。また角度センサ(ワッティー社製 HA−205)を大腿四頭筋に固定して、膝の傾斜角度を測定できるようにした。なお、実施例においては、座位状態で屈曲した状態を0°、立位状態で膝が伸張した状態を90°とした。
−屈伸運動−
加速度センサおよび角度センサを取り付けた状態で、20秒間で2回、屈伸運動を行った。その際、立上り運動(0°→90°)、立下り運動(90°→0°)を1秒間で行えるように運動スピードが一定になるように訓練して実験を行った。また、立上り運動、立ち下がり運動の間は立った状態で3秒間開けて余計なノイズ成分が測定されないように注意した。
−データ取得−
各加速度センサからの出力信号は、A/Dボードを通してPCに入力した。周波数解析部による周波数解析は、(a)位置の加速度センサからの振動信号に対して行った。その際、(a)位置以外の加速度センサからの信号は入ってこないように他の加速度センサの電源を切った状態で実験を行った。
また、遅延時間算出部による遅延時間を求める実験では、(a)位置、(b)位置、(c)位置、(d)位置の4つの加速度センサからの信号を検出した。
−データ処理及び実験−
〔周波数解析〕
(a)位置から加速度センサを通して得られた時間領域の加速度データのRMS(root mean square)平均値(X方向、Y方向、Z方向)、すなわち、振動信号を算出した。
次に、信号分割部において、角度センサを通して得られた角度情報から、0°〜30°、30°〜60°、60°〜90°の3つ領域に対応する分割信号V1、V2、V3に分割して、時間領域の振動信号を3つに分けた。
次に、周波数解析部において、各分割信号V1、V2、V3のデータに対してFFT処理を行い、周波数領域のデータである3つの解析信号A1、A2、A3に変換した。
各被験者A〜Eについて、得られた解析信号をそれぞれ図5(A)〜図5(E)に示す。
図5(A)〜図5(E)にそれぞれ示す角度ごとの3つの解析信号A1〜A3の低周波数領域(50Hz〜100Hz)でデータ比較を行い、音源位置の判定、すなわち、軟骨状態を評価すると、
被験者Aのデータは、A1〜A3の3領域で低い強度となった。すなわち、正常であると判定される。
被験者Bのデータは、A1〜A3の3領域で強い強度となった。すなわち、膝蓋骨軟骨および脛骨軟骨の少なくとも一方が悪いと判定される。
被験者Cのデータは、A1〜A3の3領域で強い強度となった。すなわち、膝蓋骨軟骨および脛骨軟骨の少なくとも一方が悪いと判定される。
被験者Dのデータは、A1とA2の2領域で低く、A3の領域で強い強度となった。すなわち、大腿骨軟骨が悪いと判定される。
被験者Eのデータは、A1の領域で低く、A2とA3の領域で強い強度となった。すなわち、大腿骨軟骨が悪いと判定される。
これらの判定結果は、実際の被験者の状態と一致しており、正しいことがわかる。
〔遅延時間の算出〕
(a)位置、(b)位置、(c)位置、(d)位置の各加速度センサから得られた時間領域の加速度データのRMS平均値、すなわち、振動信号を算出した。
遅延時間算出部において、各加速度センサから得られた振動信号の相互相関関数を計算して、遅延時間を計算した。その際、(a)位置−(b)位置、(a)位置−(c)位置、(a)位置−(d)位置、(b)位置−(c)位置、(b)位置−(d)位置、(c)位置−(d)位置のそれぞれの振動信号間での遅延時間を計算した。遅延時間計算により、(a)位置〜(d)位置のどの位置の信号が最速かを判断することで、音源位置が(a)位置起因か、(b)位置起因か、(c)位置起因か、(d)位置起因かを推定した。
なお、相関関数実験には関しては、被験者B、被験者C、被験者D、被験者Eに関して行った。
遅延時間の算出結果から、音源位置の判定を行うと、
被験者Bの場合は、(c)位置の加速度センサの振動信号が最速であった。したがって、膝蓋骨近傍の大腿骨軟骨または膝蓋骨軟骨が悪いと推定される。
被験者Cの場合は、(d)位置の加速度センサの振動信号が最速であった。したがって、脛骨近傍の大腿骨軟骨または脛骨軟骨が悪いと推定される。
被験者Dの場合は、(a)位置の加速度センサの振動信号が最速であった。したがって、大腿骨外側顆の軟骨または脛骨外側の軟骨が悪いと推定される。
被験者Eの場合は、(b)位置の加速度センサの振動信号が最速であった。したがって、大腿骨内側顆の軟骨または脛骨内側の軟骨が悪いと推定される。
次に、周波数解析の結果と、遅延時間算出の結果から、
被験者Bの場合は、周波数解析の結果から、膝蓋骨軟骨および脛骨軟骨の少なくとも一方が悪いと判定され、遅延時間からは、膝蓋骨近傍の大腿骨軟骨または膝蓋骨軟骨が悪いと推定された。したがって、膝蓋骨軟骨が悪いと判定される。
被験者Cの場合は、周波数解析の結果から、膝蓋骨軟骨および脛骨軟骨の少なくとも一方が悪いと判定され、遅延時間からは、脛骨近傍の大腿骨軟骨または脛骨軟骨が悪いと推定された。したがって、脛骨軟骨が悪いと判定される。
被験者Dの場合は、周波数解析の結果から、大腿骨軟骨が悪いと判定され、遅延時間からは、大腿骨外側顆の軟骨または脛骨外側の軟骨が悪いと推定された。したがって、大腿骨外側顆の軟骨が悪いと判定される。
被験者Eの場合は、周波数解析の結果から、大腿骨軟骨が悪いと判定され、遅延時間からは、大腿骨内側顆の軟骨または脛骨内側の軟骨が悪いと推定された。したがって、大腿骨内側顆の軟骨が悪いと判定される。
これらの判定結果は、実際の被験者の状態と一致しており、正しいことがわかる。
以上の判定結果を表1に示す。

表1に示すように、被験者の屈伸運動に伴う振動を検出して、この振動信号を角度情報に基づいて、2以上の分割信号に分割し、2以上の分割信号それぞれに対して、周波数解析を行うことで、加速度センサを1つ有する構成でも、損傷位置をある程度特定できることがわかる。
また、複数の加速度センサからの振動信号の相互相関関数から遅延時間を求めるのみでは、2箇所以上の位置特定まではできるが、損傷位置を1箇所に特定することはできない。これに対して、周波数解析から得られる判定結果と、複数の加速度センサからの振動信号の相互相関関数から得られる判定結果とを組み合わせることで、損傷位置を1箇所に特定することができることがわかる。
[参考例]
参考例として被験者Aに関して、1つの加速度センサで振動信号を検出し、0°〜90°の全領域でFFTを行い、データの精度に関して調べた。図6に参考例のFFTの結果を示す。
図5(A)〜図5(E)と図6との比較から明らかなように、本手法を用いると、若干データにノイズが見られるようになったが、損傷を持った患者に対するデータと健常者のデータの信号差が不明確になるほどのノイズではなく、本手法が非常に優れたものである事を示す結果となった。
以上から本発明の効果は明らかである。
10、30 関節音測定システム
12 加速度センサ
13 角度センサ
14、34 測定装置本体
16 信号分割部
18 周波数解析部
20、20b 判定部
22 表示部
24 制御部
26 操作部
32 遅延時間算出部

Claims (12)

  1. 検査対象物の屈伸運動に伴う振動を検出し、振動信号を出力する1以上の振動センサと、
    前記検査対象物の屈伸角度を検出し、角度情報を出力する角度センサと、
    前記角度情報に基づいて、前記振動信号を2以上の分割信号に分割する信号分割部と、
    2以上の前記分割信号それぞれに対して、周波数解析を行い、2以上の解析信号を出力する周波数解析部とを有することを特徴とする関節音測定システム。
  2. 2以上の前記解析信号同士の比較、および、2以上の前記解析信号と基準信号との比較の少なくとも一方を行って、音源位置を判定する判定部を有する請求項1に記載の関節音測定システム。
  3. 前記振動センサを2以上有する請求項1または2に記載の関節音測定システム。
  4. 前記振動センサを4つ有する請求項3に記載の関節音測定システム。
  5. 2以上の前記振動センサそれぞれから出力される2以上の前記振動信号の相互相関関数から遅延時間を算出する遅延時間算出部を有する請求項3または4に記載の関節音測定システム。
  6. 前記判定部は、2以上の前記解析信号同士の比較結果、および、2以上の前記解析信号と基準信号との比較結果の少なくとも一方と、前記遅延時間とに基づいて、音源位置を判定する請求項5に記載の関節音測定システム。
  7. 前記信号分割部における、前記振動信号の分割数が、2以上10以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の関節音測定システム。
  8. 前記信号分割部における分割数が3であり、前記振動信号の分割位置が、前記屈伸角度が30°±5°の位置、および、60°±5°の位置である請求項1〜7のいずれか1項に記載の関節音測定システム。
  9. 前記角度センサが、傾斜計である請求項1〜8のいずれか1項に記載の関節音測定システム。
  10. 前記振動センサが、加速度センサである請求項1〜9のいずれか1項に記載の関節音測定システム。
  11. 前記加速度センサが、圧電型加速度センサである請求項10に記載の関節音測定システム。
  12. 前記周波数解析部が、高速フーリエ変換を行う請求項1〜11のいずれか1項に記載の関節音測定システム。
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