図1は、本発明の好適な一実施の形態を示している。目標物検出装置10は、車両の現在位置情報や、外部から飛来する電波情報を取得し、取得した情報が設定した条件に合致した場合に警報・報知をする装置である。この目標物検出装置10は、マイクロ波受信部11と、GPS受信部12と、無線送受信部13と、入力部14と、表示部15と、スピーカ16と、内部不揮発性メモリ17と、制御部18と、SDスロット19と、を備えている。これら各機器・部材は、1つのケース内に或いは複数のケースに適宜分けて実装される。
マイクロ波受信部11は、所定周波数帯のマイクロ波を受信し、その受信信号を制御部18に送る。所定周波数帯は、たとえば車両速度測定装置から出射されるマイクロ波の周波数が含まれる周波数帯としている。GPS受信部12は、GPS信号を受信し、その受信したGPS信号から現在位置を求め、その求めた現在位置の位置情報(経度,緯度)を制御部18に送る。無線送受信部13は、本実施形態では、近隣の他の目標物検出装置10とデータの送受信を行う。
入力部14は、ユーザが制御部18に対して各種の設定・指示を与えるためにインタフェースであり、操作スイッチや、タッチパネル等の直接ユーザが触れる操作部や、リモコン受信機のように図示省略する外部のリモコン(携帯機:子機)とデータ通信をすることで指示等を受け付けるものなどがある。これらの1つまたは複数を備える。
表示部15は、たとえば、有機ELディスプレイや液晶ディスプレイを用いて実現される。内部不揮発性メモリ17は、EEPROM等で構成される。この内部不揮発性メモリ17には、出荷時に一定の目標物に関する情報(経度・緯度を含む位置情報,種別情報等)が登録されている。また、使用に応じて各種の位置情報を内部不揮発性メモリ17に登録・更新することができる。
SDスロット19は、その投入口がケースの表面に露出され、外部不揮発性メモリであるSDメモリカード20が着脱自在に装着可能としている。このSDメモリカード20には、新規な目標物に関する情報(経度・緯度を含む位置情報,種別情報等)等の更新情報が格納されている。このSDメモリカード20に格納された更新情報は、制御部18を経由して内部不揮発性メモリ17に格納(ダウンロード)され、データ更新がされる。
なお、この例ではSDスロット19をケース内に実装するようにしたが、SDスロット19等の外部不揮発性メモリを装着する機器を内蔵せずに、たとえば、ケースにはメモリカードリーダを接続する端子(アダプタージャック)を設け、アダプタージャックにメモリカードリーダを接続することで、そのメモリカードリーダに装着されたメモリカードに格納されたデータを内部に取り込むようにしてもよい。
制御部18は、CPU・メモリ・I/O等含むマイコンから構成され、SDスロット19に装着された外部記録媒体であるSDメモリカード20に対してアクセスし、データの読み書きが行える。たとえば、SDメモリカード20に、更新すべき目標物の位置情報などが格納されている場合、制御部18はその更新すべきデータを読み出すと共に、内部不揮発性メモリ17に格納することで更新処理が行える。
制御部18は、上記の各種の入力機器(受信部等)から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器(表示部15,スピーカ16等)を利用して所定の警報・メッセージを出力する。この入力機器から入力される情報に基づく警報内容を決定する所定の処理は、基本的に従来と同様のものを利用することができる。つまり、GPS受信部12から取得した現在位置情報と、内部不揮発性メモリ17に格納された検出対象の目標物の位置情報とが所定の位置関係(設定された距離以内等)にある場合や、マイクロ波受信部11にて所定のマイクロ波を受信した場合などの一定の条件を具備する信号を受信・取得した場合には、対応する警報を出力する。なお、スピーカ16を用いた警報は、ブザーや音声等がある。また、図示省略しているが、出力機器としてLED等の警報ランプを設けても良い。
本実施形態では、制御部18は、GPS受信部12からの現在車両の位置情報を定期的(たとえば5秒間隔)に取得し、制御部18内のメモリ或いは内部不揮発性メモリ17に記憶・保持する自車位置情報を定期的に更新する。制御部18は、設定されたイベントが発生した場合に、そのときの自車位置情報からポイントデータ(目標物の位置情報等)を作成し、内部不揮発性メモリ17に格納する。設定されたイベントは、たとえば、特定のスイッチ操作等の入力部14を介して設定された入力がなされた場合や、マイクロ波受信部11にて特定のマイクロ波を受信した場合などがある。特定のマイクロ波は、車両速度測定装置から出射されたと推定されるマイクロ波である。なお、車両速度測定装置からのマイクロ波か否かの判定は、単純に受信したマイクロ波の周波数に基づいて判断すると、自動ドア等の誤動作源からの電波も登録することになるので、たとえば受信したマイクロ波の受信レベル等に基づいて判断することができる。係る受信したマイクロ波に基づいて、誤動作源からの電波か検出対象の車両速度測定装置からの電波かを弁別する技術は従来公知のものを用いることができるので、その詳細な説明を省略する。また、スイッチ操作により人手によりポイントデータの登録指示を受けるケースは、たとえば、車両に乗車している人が、速度測定をしていること或いはその準備をしていることを認識した場合に、当該特定のスイッチ操作を行うことがある。これにより、マイクロ波の受信の有無にかかわらず、人手による速度測定装置の設置位置の認識に基づき、ポイントデータの登録(手動登録)ができる。
制御部18は、定期的(たとえば5秒ごと)に自車位置情報を、無線送受信部13を使用して外部(周囲)に向けて無線送信する。本実施形態では、定期的に行われる自車位置情報の送信処理と、自車位置情報のメモリへの登録処理を、共に5秒間隔としたが、両者の処理間隔は同じでも良いし異なっていても良い。また、本実施形態のように同じにした場合、それぞれの処理タイミングを同じ、つまり、自車位置情報を取得してメモリに格納すると共に送信するようにしてもよいし、互いに無関係にそれぞれの処理(格納,送信)を実行するようにしても良い。上記のように送信された自車位置情報は、周囲に他の目標物検出装置10′が存在していると、その目標物検出装置10′に受信される。
さらに、制御部18は、周囲に他の目標物検出装置10′の存在を確認すると、自己が保有しているポイントデータを送信する。この他の目標物検出装置10′の存在の確認は、たとえば、他の目標物検出装置10′から送信された当該他の目標物検出装置10′の自車位置情報を受信することで、行うことができる。この送信したポイントデータは、周囲に存在する他の目標物検出装置10′に受信される。このようにして受信されたポイントデータは、他の目標物検出装置10′の内部不揮発性メモリ17に格納される。換言すると、他の目標物検出装置10′が保有するポイントデータは、上記と同様にして送信されてくるので、目標物検出装置10は、係るポイントデータを受信したならば、内部不揮発性メモリ17に格納する。
このようにして、内部不揮発性メモリ17には、イベント発生に伴い自ら登録したポイントデータと、無線送受信部13を介して受信した他の目標物検出装置10′から取得したポイントデータが登録される。
そして、制御部18は、このポイントデータに基づいても警報制御を行う。つまり、制御部18は、GPS受信部12から得られた現在の自車位置と、ポイントデータで特定される位置情報が所定の関係(一定の距離以内)になった場合に、警報を発する。よって、自己が収集されたポイントデータのみならず、他の目標物検出装置10′が収集したポイントデータも使用して警報を行うため、初めて行った地域でも、その地域に存在していた他の目標物検出装置10′からポイントデータを事前に取得することで、位置情報に基づく警報を行うことができる。つまり、他の目標物検出装置10′からポイントデータを受信していなかった場合、目標物検出装置10はそのポイントデータに対応する目標物(マイクロ波発信源)から発せられたマイクロ波を受信するまでその存在を知ることができないが、本ケースでは、位置情報に基づいて事前に検出対象物の存在を認識することができる。
さらに、ポイントデータを送信する場合に、他の目標物検出装置10′から取得したポイントデータも含めてその送信する際に内部不揮発性メモリ17に格納していた全てのポイントデータを送信するようにすることで、複数の目標物検出装置間でポイントデータが共有され、効率よく様々な地域でのポイントデータを収集することができ、適切なポイントデータと自車位置情報に基づく警報をすることができる。
さらにまた、人手によるスイッチ操作によりポイントデータの登録を行ったものの場合、たとえば、当該操作が、反対車線で速度測定を行っていることを見たことに基づいて行われた場合、当該反対車線を走行する車両に搭載された目標物検出装置は、当該スイッチ操作に基づいて登録されたポイントデータを取得することで、事前に自車が走行している道路の先で速度測定が行われていることを知ることができる。
次に、上記のポイントデータの登録並びに送受信処理を行うための具体的な処理機能を説明する。まず、内部不揮発性メモリ17に記憶・保持する自車位置情報は、目標物検出装置を特定(識別)するためのユニットIDと、目標物検出装置の現在位置を特定する緯度・経度情報と、を含む。さらに、自車位置情報には、他の目標物検出装置との間でポイントデータの送受信を行った回数である経験値を含めると良い。
この経験値は、例えば、送信を行うかどうかのユーザ設定に基づき送信を行うようにし、送信の回数に基づく経験値(単純には、送信回数)を記憶しておく。制御部18が警報を行うに際し、経験値に基づいて警報態様を異なるようにするとよい。警報態様を異なるとは、例えば、経験値が高いものほど、装飾されていたり、表示部に表示するデザインを替えたり、より有益な情報を通知したりするなど、ユーザが興味を持つようにするとよい。送信するかどうかはユーザの意思により任意に設定できるのが望ましいので、上記のようにユーザ設定により送信を行わないようにすることもできる。この場合に、経験値に基づいて警報態様を異ならせるようにすることで、ユーザは積極的に送信することを選択し、ユーザ間で共有するポイントデータが増え、システムとしての有効性・有益性が高まる。
一方、ポイントデータは、ユニットIDと、緯度・経度情報と、登録日と、登録属性と、信頼度と、を関連づけた情報からなる。ユニットIDは、そのポイントデータを登録した目標物検出装置10を識別するためのコードであり、手動・自動を問わず自己が登録したポイントデータについては、自己のユニットIDが登録される。緯度・経度情報は、ポイントデータの存在位置を示す(特定する)位置情報である。登録日は、ポイントデータを登録した日付を特定するデータであり、時刻情報を併せて持たせても良い。これらの登録日の情報は、内部時計を持たせ、その時計情報を利用したり、GPS受信部12で受信したGPS信号を利用したりすることができる。
登録属性は、登録要因を識別するためのパラメータであり、所望のマイクロ波の受信に基づき自動的に登録したポイントを示す“自動登録”と、ユーザ操作に基づき手動で登録したポイントを示す“手動登録”がある。この手動登録は、たとえば、SDメモリカード等の外部不揮発性メモリを利用して登録したようなポイントデータの場合の登録属性も、この“手動登録”となる。
また、誤動作源と判断して自動的な登録を禁止したポイントを登録するようにした場合、登録属性は“自動登録禁止”となる。この自動的な登録を禁止したポイントは、たとえば、その後の同一または付近のエリアでマイクロ波を受信した場合、その情報に基づき誤動作源からの電波と判断し、所定の処理(警報を発しない,受信感度を低くする,ポイントデータの自動登録をしない)をすることができる。
信頼度は、ポイントデータの信頼度(検出対象の目標物らしさ)情報である。本実施形態では、信頼度は数値で規定し、値が大きいほど信頼度(信頼性)が高くなる。登録時は、基準値として“1”を設定し、異なる目標物検出装置でも同じ地点でポイントデータが登録されている場合には、信頼度を高くなるように更新する。この信頼度の値により、表示や警報の仕方を変更することができる。上記の前提の構成の元で、制御部18に、以下に示す各機能を実装した。
*ポイントデータの自動登録機能
制御部18は、所定の条件に合致するマイクロ波を受信した場合、その受信をトリガとしてポイントデータを登録する。ポイントデータの登録先は、内部不揮発性メモリ17とする。所定の条件は、受信したマイクロ波の周波数が、予め設定された範囲内であり、突発的で短時間(たとえば、連続受信時間3秒以下)で、かつ、受信レベルが大きい場合とする。受信レベルが大きいとは、道路脇に固定設置された自動車両速度測定装置のように常時マイクロ波が出力される測定装置から出射されるマイクロ波の受信レベルに比べて大きいことを言う。受信レベルは、受信可能なレンジを複数段階(たとえば、6段階)に分け、常時出力される自動車両測定装置からのマイクロ波の受信レベルよりも1または複数段階上のレベルに設定する。
上記の条件に合致するマイクロ波を受信したことを認識した制御部18は、その受信したときの月日(登録日)と、自己のユニットIDと、受信したときのGPS受信部12から得られた緯度・経度と、登録属性=“自動登録”と、信頼度=“基準値:1”と、 を関連づけてポイントデータとして登録する。
なお、通常、固定式の速度測定装置のように常時マイクロ波が出力されるような検出対象物の場合、その位置情報が事前に内部不揮発性メモリ17に登録されており、その位置情報に基づく警報がなされる。そこで、係る速度測定装置からのマイクロ波を受信しても、それに基づいてポイントデータを登録する必要性はない。よって、係る固定の速度測定装置のように、予め登録された目標物を中心とした所定エリア(たとえば半径1km以内の圏内・領域)は、自動登録禁止エリアとし、その自動登録禁止エリア内において、自動登録の条件に合致するマイクロ波を受信しても、その受信に基づいてポイントデータの登録はしないようにする。
(GPS非測位の対応)
さらに、所定のマイクロ波を受信した際に、GPS信号が測位できないことがある。GPS非測位の時は、現在の位置情報が認識できないので、ポイントデータの登録は行えない。但し、高架下などのように、断続的にGPS信号を受信できる箇所を走行しているような場合には、所定のマイクロ波を受信した後で、GPS測位に基づく現在の自車位置を求めることができることがある。そこで、所定のマイクロ波を受信した際に非測位であっても、比較的短時間(例えば5秒以内)で測位できた場合には、その測位した地点を緯度・経度情報としてポイントデータの登録を行う。仮に時速100km/hで走行した場合でも、5秒間では、138.9m程度しか移動しないので、上記の位置をポイントの位置として登録してもさほど問題はなく、それよりも、ポイントデータを登録することによる効果の方が高くなる。なお、5秒以内で測位できた地点がない場合には、位置情報の正確性が低くなるので、自動登録は行わないようにする。このGPS非測位の対応は、手動による登録の際にも行うようにしても良い。
*ポイントの自動登録禁止機能
自動ドア等の誤動作源からのマイクロ波を受信した場合に、たまたま上記の所定の条件に合致し、検出対象の目標物からのマイクロ波と判断してポイントデータとして登録してしまうおそれがある。所定の条件を合致するマイクロ波の場合、その1回の受信でそれが速度測定装置等の検出対象の目標物からのものか、誤動作源からのものかを区別することは困難である。そこで、本実施形態では、制御部18は、所定の条件を合致する場合には、一旦検出対象の目標物からのものと判断してポイントデータ(自動登録)として登録し、その後の受信状況から誤動作源からのマイクロ波であったと判断した場合に、登録属性を“自動登録禁止”に変更するように制御する。
このように“自動登録禁止”に変更する条件は、同じ地点についてそれぞれ異なる日でN回(たとえば3回)受信した場合とする。すなわち、自動ドア等の誤動作源の場合、少なくとも店舗が開店(営業中)のときはマイクロ波が出射されているので、その付近を異なる日に走行してもそのマイクロ波を受信することができる。一方、移動式の速度測定装置の場合、同じ日に複数回受信することはあっても、固定されていないので、一定の期間内で複数の異なる日に同じ地点で当該速度測定装置から出射されたマイクロ波を受信する可能性は少ない。そこで、同一地点で異なる日、具体的には異なる3日において、所定の条件を合致するマイクロ波を受信した場合、誤動作源からのマイクロ波と判断し、制御部18は、対応するポイントデータの登録属性を“自動登録禁止”に変更するようにした。なお、同じ誤動作源からのマイクロ波であっても、それを受信する位置は、完全に同一の地点になる可能性は少ない。そこで、本実施形態では、すでにポイントデータが登録された登録属性が自動登録であるポイントの位置を中心とし、半径200mの圏内において、上述した自動登録をする条件に合致するマイクロ波を受信した場合、当該ポイントデータと同じ発信源から出射されたマイクロ波とする。
そして、係る管理は、ポイントデータに関連づけて同じテーブルに受信した日を格納してもよいし、別途検出した日を登録する記憶エリアを設けても良い。異なる日で3回受信したことを認識する必要があるので、たとえば、ポイントデータに、登録日とともに、登録日以降に検出した検出日を格納するエリアを設ける。そして、制御部18は、上記の所定の条件に合致するマイクロ波を受信した場合、その検出した位置をキーにして内部不揮発性メモリ17内のポイントデータの登録領域をサーチし、各ポイントデータ中の緯度・経度情報と、現在の位置との離反距離を算出し、その算出結果が200m以下か否かを判断する。そして、200m以下の場合、そのポイントデータに格納されている登録日と検出した現在の日を比較し、両者が異なる場合には、現在の日を検出日として登録する。そして、すでに検出日が登録されている場合には、現在の日が、登録日並びに当該検出日のいずれとも異なる場合に、3つの異なる日に同一の発信源から出射されたたマイクロ波を受信したことになるので、そのポイントデータの登録属性を“自動登録禁止”に書き換えする。
ポイントデータの登録属性が“自動登録禁止”の場合、そのポイントの位置(緯度・経度)を中心に200m以内は自動登録禁止エリアとし、その自動登録禁止エリア内において、自動登録の条件に合致するマイクロ波を受信しても、その受信に基づいてポイントデータの登録はしないようにするとともに、当該ポイントデータに基づいて警報もしないようにする。
なお、上述した登録属性が“自動登録禁止”或いは正規の目標物として登録された位置に基づいて設定された自動登録禁止エリア内であっても、手動に基づく登録指示や、外部不揮発性メモリ(SDメモリカード20)を利用した登録指示があった場合、制御部18は、その指示に基づくポイントデータの登録(登録属性は“手動”)は行うようにした。
*手動登録の制限
マイクロ波を用いない速度測定や、マイクロ波の出力時間が極端に短い場合には、上述した自動登録が行えない。しかし、速度測定を行っている現場を通過した運転者は、目視等でこの現場を確認することができる。そこで、所定のスイッチの押下等の簡単な操作で手動登録が行えるようにすると良い。この点は、上述したとおりである。
一方、むやみやたらに(いたずらも含めて)登録する人が現れる可能性もあり、そうすると、他の目標物検出装置に多数のポイントが追加されてしまい、警報が多発し煩雑となるので好ましくない。そこで、制御部18は、一日等の設定した期間内で、設定した回数以上の手動登録操作が行われた場合、送信規制を行い、送信できなくするようにしたり、その間に手動登録されたポイントデータを削除したりする処理を行う。これにより、上記の迷惑行為を防止でき、適切な手動登録に基づくポイントデータの登録並びに他の目標物検出装置への通知を行うことができる。
*ポイントデータの送信機能
上述したように、各目標物検出装置は、定期的(5秒間隔)に自車位置情報を送信している。そこで、制御部18は、無線送受信部13を介して、他の目標物検出装置の自車位置情報を受信している場合、周囲に他の目標物検出装置が存在していることを意味するので、自己が保有するポイントデータを送信する。このとき送信するポイントデータは、自己が作成・登録したポイントデータはもちろんのこと、他の目標物検出装置から受信したポイントデータも対象とする。
そして、ポイントデータの項目としては、少なくとも、ポイントデータであることの区別と、位置情報と、ユニットIDである。本実施形態のように、ポイントデータの項目として信頼度がある場合、その信頼度も合わせて送信するようにしても良いし、通信時間の削減を図るために送信しないようにしても良い。また、送信する場合でも、基準値=1のものについては送信せず、信頼度が更新されている場合にのみ送信するようにしても良い。また、ユニットIDは、ポイントデータとして登録されているユニットID、つまり、ポイントデータを初期登録した目標物検出装置のIDである。一例を挙げると、自己が自動登録・手動登録したポイントデータの場合、自己のユニットIDとなるが、他の目標物検出装置から受信し登録したポイントデータの場合、別の目標物検出装置のユニットIDとなる。
また、この送信するポイントデータは、自己が保有する全てのポイントデータを送信しても良いし、一部のポイントデータを選択して送信しても良い。一部のポイントデータを送信する場合、送信対象のポイントデータは、ランダムに選択しても良いし、予め定めたルールに従って選択しても良い。本実施形態の無線送受信部13を用いたデータ通信は、早くとも2400bps程度としている。そのため、あまり大量のデータを一括して送ることはできない。従って、制御部18は、所定のルールに従って、一度に送信するポイントデータを選択するようにした。この所定のルールは、本実施形態では、現在の自車位置情報の付近に存在するものを優先して選択するようにした。これにより、この送信されたポイントデータを受信する他の目標物検出装置は、そのときの自車の付近のポイントデータを優先的に受信することができるので、タイムリーな情報を効率よく取得することができる。
具体的には、制御部18内のメモリ或いは内部不揮発性メモリ17に記憶・保持する自車位置情報を取得し、その取得した自車位置情報から所定の領域(たとえば半径2km)に存在するポイントデータを抽出し、抽出したポイントデータを送信する。また、1度に送信するポイントデータの数は任意に設定でき、1つとしても良いし複数の所定の数としても良い。本実施形態では、1つとした。これにより、1台の目標物検出装置10がポイントデータを送信するために占有する無線帯域使用時間を短くし、周囲に存在し通信に参加するユニット(目標物検出装置)の数を多くすることができる。そして、参加するユニット数が多くなるほど、ネットワークが広がり多様的に情報を収集することができると共に、情報の信頼性が向上するので好ましい。
また、1回の送信処理で1つのポイントデータを送信するようにすると、2km以内の領域に複数のポイントデータが存在する場合には、制御部18は、各ポイントデータの“登録日”を比較し、“登録日”が新しいポイントデータから順にローテーションで送信する。これは、登録日の古いポイントデータは、すでに送信され他の目標物検出装置に行き渡っている(登録されている)可能性が高くなるので、新しいポイントデータから送るようにすることで、少ない更新時間でデータを効率的に送受信することができる。つまり、該当する全てのポイントデータを送信することができなくても、他の目標物検出装置に未登録の可能性の高いポイントデータを優先的に送信することができ、各目標物検出装置は、効率よく新たなポイントデータを取得し、記憶保持することができる。また、登録日の新しいデータは、たとえば、現在速度測定処理を行っている車両速度測定装置等、より有益な情報の可能性も高いので、その点から見ても、登録日を基準に新しいものから送信するのが好ましい。
また、該当する全てのポイントデータの送信が完了したならば、最初から再度送信しても良いし、送信対象となる領域を広げ(現在位置から2kmよりも外の領域,現在位置から2〜5kmなど)その広げた領域に属するポイントデータを送信するようにしても良い。さらにまた、上述の2km以内の領域に存在するポイントデータが1つもない場合、送信処理をしないようにしても良いし、領域を広げて該当するポイントデータを再度抽出するようにしたり、全てのポイントデータを送信するようにしたりしても良い。この場合、複数のポイントデータが存在することが多々あるが、送信対象とするポイントデータの優先付けは、上述したように登録日の新しい順としたり、現在位置から近い順としたりするなど、各種の方法が採れる。そして、本実施形態では、2km以内の領域を広げることなく、該当するポイントデータを繰り返し送信するようにした。
さらに、ポイントデータは、単独で送信しても良いし、自車位置情報と併せて送信するようにしても良い。本実施形態では、自車位置情報と併せて送信するようにした。つまり、周囲に向けてポイントデータを送信するタイミングは、自車位置情報と同様に定期的に一定間隔で送信する。もちろん、他の目標物検出装置からの自車位置情報を受信した場合に、それを契機としてすぐに自己が保有するポイントデータを送信する処理を開始しても良い。
ポイントデータを送信する期間は、本実施形態では、周囲に他の目標物検出装置が存在している間とした。具体的には、制御部18は、他の目標物検出装置からの自車位置情報を一定時間(たとえば、1分間)受信できなくなった場合、ポイントデータの送信を停止する。そして、本実施形態では、ポイントデータと自車位置情報を対にして送信するようにしたので、上記の通り他の目標物検出装置からの自車位置情報を一定時間受信できなかった場合には、自車位置情報のみの送信に繰り替える。
図2は、上述したポイントデータの送信機能と、自車位置情報の送信機能を備えた送信機能を実現するためのアルゴリズムの一例を示している。この例では、ポイントデータは、自車位置情報と対にして送信するようにしている。所定のタイミングで自車位置情報を送信したならば(S1)、送信周期を認識するための第1タイマ(制御部18が内蔵)をリスタートさせる(S2)。そして、他の目標物検出装置から送られてくる自車位置情報が受信されるのを待つ(S3,S4)。第1タイマがタイムアップ(5秒経過)しても受信しなかった場合、処理ステップS1に戻り、自己の自車位置情報を送信する。実際には、制御部18は、送信要求とともに自車位置情報を無線送受信部13に渡し、無線送受信部13が無線による送信を行う。
一方、他の目標物検出装置からの自車位置情報を受信したならば(S3でYes)、制御部18は、第2タイマをスタートさせるとともに、内部不揮発性メモリ17をアクセスして現在位置の周辺(例えば2km以内)にポイントデータが存在するか以内を判断する(S6)。存在する場合には、その中から送信対象のポイントデータを読み出す(S7)。すなわち、1回で送信するポイントデータが1とし、周辺のポイントデータが複数ある場合には、登録日が新しいものから順に1つずつ読み出していく。ここで読み出すポイントデータの項目は、少なくともユニットIDと位置情報としている。
次いで、自車位置情報の送信タイミングを待ち(第1タイマがタイムアップ)、自車位置情報と上記読み出したポイントデータを対にして送信する(S8)。一方、現在位置の周辺にポイントデータがない場合(S6でNo)には、自車位置情報の送信タイミングを待ち(第1タイマがタイムアップ)、自車位置情報のみを送信する(S8)。
これら処理ステップS8/S9を実行後、他の目標物検出装置の自車位置情報(ポイントデータ付加されていることもある)を受信するのを待つ(S10,S11)。受信したならば(S10でYes)、処理ステップS5に戻り第2タイマをリスタートさせるとともに、S6以降のポイントデータ等の送信処理を実行する。また、第2タイマがタイムアウト(例えば、1分経過)したならば、周囲には他の目標物検出装置が存在しなくなったと判断でき、処理ステップS1に戻り通常の自己の自車位置情報のみの送信に戻る。
*ポイントデータの受信機能
制御部18は、他の目標物検出装置から送られてきたポイントデータを受信した場合、内部不揮発性メモリ17のポイントデータ格納領域に登録する。このとき、同一の発生要因(マイクロ波発信源)に基づくポイントデータが、異なる複数の目標物検出装置から通知されることは容易に予想され、また、すでに自己が自動或いは手動で登録したポイントデータや他の目標物検出装置からの受信に基づき登録したポイントデータと同じ目標物(マイクロ波発信源)についてのポイントデータを受信することも予想される。このとき、各ポイントデータの緯度・経度情報は、全く同一であることはほとんど無く、微妙に違う位置となっていることが多々あると予想される。
そこで、本実施形態では、制御部18に、図3に示すような処理を行うポイントデータ受信機能を実装した。すなわち、他の目標物検出装置からのポイントデータを受信するのを待つ(S15)。そして、ポイントデータを受信したならば、制御部18は、その受信したポイントデータの緯度・経度情報をキーにして、内部不揮発性メモリ17に登録済みの既存のポイントデータを検索し、同一の目標物(発生要因)と推定されるポイントデータが存在するか否かを判断する(S16)。この同一の目標物と推定する条件としては、すでに登録済みのポイントデータの緯度・経度情報を中心として半径500m内のポイントは、全て同じものとみなすようにする。従って、受信したポイントデータの緯度・経度情報により特定される位置と、登録済みの位置との距離を算出し、その算出値が500m以下の場合には、同一、つまり、S16の分岐判断はYesとする。なお、この処理ステップS16の分岐判断における同一のものとみなす条件は、本実施形態では半径500m内としたが、その数値は任意に変更することができる。
登録済みのものがある場合(S16=Yes)、今回受信したポイントデータは登録しないので、処理ステップS15に戻り、次のポイントデータの受信を待つ。なお、新規のポイントデータとしての登録処理はしないが、後述するように、信頼性の更新処理をするようにすると良い。また、登録済みのポイントデータが存在しない場合(S16=No)、制御部18は、今回受信したポイントデータを内部不揮発性メモリ17に登録する(S17)。このとき、ポイントデータの送信項目として、信頼度が含まれている場合には、受信した信頼度を登録し、信頼度が含まれていない場合には、信頼度は基準値=1を設定する。
このように、同一とみなされるポイントデータを登録しないようにすることで、必要以上にポイントが追加され、警報が多発したり、表示部上に表示されるポイントの数が闇雲に多くなって見難くなったりするのを防止することができる。
また、本実施形態では、同一とみなされた場合には受信したポイントデータを登録することなく破棄するようにしたが、たとえば、その位置情報をすでに登録されたポイントデータに関連づけて追加・記憶するようにしても良い。これにより、1つの検出対象の目標物についての位置情報が複数存在することになる。そして、警報時には、ポイントデータの位置と、車両の現在位置が、所定の位置関係になった場合に警報を発するが、このときのポイントデータの位置をポイントデータに登録された複数の位置情報から決定した代表位置とすることができる。この代表位置は、たとえば複数の位置情報の重心・中心位置を求め、その位置を代表位置としたり、位置の偏りから代表位置を求めるようにしたりするなど、幾何学的に代表位置を算出することができる。
さらに、本実施形態では、ポイントデータの位置情報を登録し、警報は、その位置情報を中心に所定の距離(領域)内に位置するときに行うようにした。つまり、警報領域は、所定の半径の範囲内とした。ただし、これに限ることはなく、楕円形や、四角形その他の所定の幾何学的表現形式等で警報領域を規定し、自車両がその警報領域内に存在する場合に警報を発するようにしても良い。
*ポイント表示機能
上述したように、制御部18は、自己において自動・手動登録、並びに、他の目標物検出装置からの通知に基づいて内部不揮発性メモリ17に記憶保存したポイントデータの位置情報と、自車位置情報とが所定の位置関係になった場合に警報を発するが、この警報の態様としては、スピーカ16を用いた音声(音)等の聴覚による報知と、表示部15を用いた視覚による報知がある。
すなわち、表示部15を用いた表示態様の一例としては、図4に示すものがある。この表示領域は、主として目標物(ターゲット)と自車との位置関係を示すためのもので、複数の目標物を表示可能となっている。自車と目標物とは、共にアイコン(マーク)で示している。自車は、○印の中に矢印を追記した形状で形成される自車進行アイコンInで示す。この自車進行アイコンAを中心とした所定半径(切替可)からなる円の範囲内に存在する目標物(ターゲット)が、その存在位置にターゲットアイコンTnとして表示される。
このターゲットアイコンTnは、丸形,四角形,星形等の所定の形状で示される。また、目標物の種類に応じて色や大きさを変更するようにするとよい。重要なものほど大きくしたり、赤色等の目立つ色で表示したりする。また、ターゲットアイコンTnの中には、自車との位置関係から、警報対象となる目標物を示す警報対象アイコンと、警報対象と成らない目標物を示す警報対象外アイコンがある。ここで警報対象とは、自車の進行方向より前(進行方向より±90°)にあるターゲットであり、且つ、マイクロ波を発する速度計測装置などの警報角度があるターゲットについては、さらに警報対象角度内(ターゲットの警報角度±40°)の条件を具備するものである。警報対象外アイコンの場合、その形状を、小さい丸にしたり、表示色を灰色にしたりする。
また表示領域における表示画面は、自車の進行方向を上に見た状態で表示する。これは、GPS受信部12から与えられる自車の位置情報に基づき、制御部18が自車の進行方向を求め、その進行方向が上に向いた状態での各目標物の位置を求め、円形の表示領域内に存在するものを該当する位置に表示することで対応できる。
なお、図示の例では、自車進行アイコンI0を中心とした円全体が表示部15の表示領域に表示されるようにしたが、たとえば、自車進行アイコンI0を画面に下方側に位置させたり、半径を拡大させたりすることで、円の一部のみを表示するようにしてもよい。
そして、このターゲットアイコンの一つに、上述したポイントデータとして登録されたポイントを加える。つまり、制御部18は、自車位置情報とポイントデータの位置情報とを取得し、ポイントデータが自車位置を中心とした所定の半径内の円の領域内に存在する場合、該当する位置にポイントデータに対応するターゲットアイコンを表示する。
*他車位置表示機能
上述したように、本実施形態では、定期的に各目標物検出装置は、それぞれ自車位置情報を送信しており、他の目標物検出装置から送信された自車位置情報を受信することで、周囲に他の目標物検出装置が存在していることを認識する。
そこで、制御部18は、表示部15に表示する項目(要素)の一つとして、他の目標物検出装置を追加した。これにより、表示部15の表示態様として、自車の周囲に存在する目標物をマーク表示するようにした場合であって、その表示領域内に他の目標物検出装置が存在する場合には、該当する位置に“目標物検出装置を搭載した車両”を示すターゲットアイコン(マーク)を表示する。
このようにすることで、同じ表示画面上に自車と他車を示すマークがそれぞれ表示され、表示画面上で互いの位置関係を確認することができる。その結果、本システムが正常に作動していることを体感することができる。また、他車を示すマークが表示されている状態で、ポイントを示すターゲットアイコンが表示されて場合、自車並び他車のいずれにおいてもポイントデータが登録されていないことを意味するので、その周囲に、ポイントデータを登録する発生要因が存在しない確率が高いことがわかる。
次に、上記の各機能を具体例を挙げて説明する。図5に示すように、目標物検出装置であるユニットA(ID=A)を搭載する自車両と、他の目標物検出装置であるユニットB(ID=B)を搭載する他の車両がそれぞれ所定の軌跡で走行し、徐々に近づいているとする。図6に示すように、ID=Aの目標物検出装置を備えた自車両は、走行するにつれて現在位置情報も代わるので、定期的(5秒間隔)で自車位置情報が更新されるとともに、その自車位置情報が送信される。周囲に他の目標物検出装置が存在しない場合、当該他の目標物検出装置からの自車位置情報を受信しないので、制御部18は、メモリに記憶する自車位置情報を更新すると共に、その更新した自車位置情報を送信する処理を定期的に繰り返し行う。
一方、図7に示すように、ID=Aの目標物検出装置と、ID=Bの目標物検出装置が近づき、両者の間が一定の距離以下になると、ID=Bの目標物検出装置から送信される自車位置情報をID=Aの目標物検出装置が受信することができる。すると、制御部18は、受信したID=Bの自車位置情報に基づき、当該ID=Bの目標物検出装置に対応するターゲットアイコン(図7中、符号B)を表示する。
また、制御部18は、他の目標物検出装置(ID=B)の自車位置情報を受信装置の存在を認識すると、内部不揮発性メモリ17をアクセスし自己が記憶する自車位置情報に基づき現在位置から2km以内に保有しているポイント(図の例では、“ポイントX”)があればそれを抽出し、図8に示すように、自車位置情報の送信タイミングのときに、当該自車位置情報と対にしてポイントXについてのポイントデータを送信する。
図示省略するが、ID=Bの目標物検出装置は、この送信されるポイントXのデータを受信すると、新規なものか登録済みのものか否かを判断し新規な場合には自己の内部不揮発性メモリに登録する。ID=Bの目標物検出装置は、ポイントXのポイントデータが未登録の場合、新たに内部不揮発性メモリにそのポイントXについてのポイントデータを登録し、現在位置情報とポイントXの位置情報が所定の関係になった場合、位置情報に基づく警報をすることができる。つまり、ID=Bの目標物検出装置にとっては、ポイントXは、一度もマイクロ波を受信することなく、事前に位置情報に基づく警報を行うことができる。
また、ID=Aの目標物検出装置は、移動するにつれて2km以内の範囲も変わるので、その範囲に属するポイントも変化するため、移動に伴ってポイントの送信内容も変えるようにする。なお、複数のポイントが存在する場合には、たとえば、その複数のポイントデータをバッファ等の一時メモリに格納すると共に、送信済みフラグを関連づけておき、上述したように登録日の新しいものから1つずつ送信し、送信したならば送信済みフラグをたてる。そして、次の送信の際には、送信済みフラグが立っていないものの中から最新の登録日のものを選択し送信する。また、このとき、2km以内の範囲が変更され、それに伴い一時メモリに追加・削除するポイントデータが生じた場合には、係る追加・削除の更新処理をする。
制御部18は、一旦他の目標物検出装置の自車位置情報を受信し、自己が保有するポイントデータの送信を開始したならば、一時的に当該他の目標物検出装置の自車位置情報を受信できなくなったとしてもポイントデータの送信を継続する。これは、通信エラーやビジー状態で通信不可など、周囲に他の目標物検出装置が存在していても、当該他の目標物検出装置の自車位置情報を受信できないおそれがあるためである。そして、一定時間(たとえば1分間)継続して自車位置情報を受信できないような場合には、当該他の目標物検出装置は離反したと判断し、制御部18は、自車位置情報のみの送信に切り替える(ポイントデータの送信を終了する)。また、これに伴い、表示部15の表示領域から、ID=Bの目標物検出装置を示すターゲットアイコンを消去する(表示しない)。
*ポイントデータの信頼度更新機能
上述したように、少なくともポイントデータの自動・手動登録の際には、初期値として信頼度を基準値=1を設定する。このように当済みのポイントデータと同一ポイントとみなされるポイントデータが他の1または複数の目標物検出装置から送信されてくることがある。同じポイントに対して異なる目標物検出装置からポイントデータを受信した場合、そのポイントデータの信頼度は高いと言える。
そこで、制御部18に、図9に示すような信頼度更新機能を付加すると良い。図9に示すフローチャートは、図3の受信機能を基本とし、処理ステップS18,S19を追加したものである。この処理ステップS18,S19の部分が信頼度更新機能ともいえ、図9に示すフローチャートは、信頼度更新機能付受信機能とみなしても良い。
具体的には、ポイントデータを受信するのを待ち(S15)、受信したポイントデータと同一の目標物(発生要因)と推定されるポイントデータがすでに登録されているか否かを判断する(S16)。そして、登録されている場合(S16=Yes)、制御部18は、新規の目標物検出装置からのポイントデータか否かを判断し(S18)、新規ならば同一とみなされたポイントデータに格納されている信頼度を1インクリメントするとともに、受信したポイントデータに含まれる位置情報かユニットIDを付加情報として追加する(S19)。新規の目標物検出装置からのポイントデータか否かは、付加情報を利用して行える。つまり付加情報としてユニットIDが登録されている場合には、今回のポイントデータのユニットIDが付加情報として登録されていない場合には新規と判断できる。また、付加情報として位置情報が登録されている場合には全く同一の位置情報が登録されていない場合には新規と判断できる。異なる目標物検出装置で登録された位置情報が全く同一となる可能性は少ないからである。
また、登録済みのポイントデータが存在しない場合(S16=No)、制御部18は、今回受信したポイントデータを内部不揮発性メモリ17に登録する(S17)。このとき、ポイントデータの送信項目として、信頼度が含まれている場合には、受信した信頼度を登録し、信頼度が含まれていない場合には、信頼度は基準値=1を設定する。
このように、S16でNoになるのは、自動登録或いは手動登録のいずれも行われず(目標物検出装置自体でのポイントデータの登録が行われず)、他の目標物検出装置からポイントデータの通知を受けた場合である。そして、このように他の目標物検出装置からの通知に伴い登録されたポイントデータも、登録された以降は処理ステップS16の分岐判断の際の比較対象となる登録済みポイントデータとなる。よって、この登録後に、同一の目標物と思われるポイントデータを新たに他の目標物検出装置から受信した場合、処理ステップS16の分岐判断は、Yesとなり、S18の分岐判断である新たに受信したポイントデータを登録した目標物検出装置が、上記のすでに登録済みのポイントデータを最初に登録した目標物検出装置と異なるか否かの判断をする。この判断でYesとなる場合、同一の目標物(ポイント)について別々の他の目標物検出装置で登録されたポイントデータを受信することになり、1つの目標物検出装置のみから受信した場合よりも信頼性が高いと言え、信頼度を高くする。
つまり、自動登録或いは手動登録により登録したポイントデータと、受信した他の目標物検出装置が登録したポイントデータとが、同じ目標物についてのポイントデータであったり、複数の別々の目標物検出装置から受信したポイントデータが同一の目標物についてのものであったりした場合(作成元は異なる)には、そのポイントデータに対応する目標物が検出対象物である可能性が高くなるので、上記のように信頼度をその都度上昇させるようにした。
図10は、先に他の目標物検出装置からの受信によりポイントデータの登録が行われ、その後に、自己にて自動・手動で登録しようとした場合の信頼度更新機能を示している。制御部18は、所定の条件を具備するマイクロ波を検出した場合(S21でYes)、ポイントデータの登録をしようとするが、このとき、すでにポイントデータとして登録されているか否かを判断する(S22)。この判断は、上述した各種の機能の場合と同様に、ポイントデータとして登録された位置と、現在位置とを比較し、両者が一定の距離以内の場合には同一の目標物と判断し、すでに登録済みと判断する。そして、登録されている場合には、制御部18は、ポイントデータに格納されるユニットIDを確認し、自己のユニットIDか否かを判断する(S23)。他の目標物検出装置からの受信にともない登録した場合(S23でNo)、ユニットIDは自己以外のIDが格納されているので、自己は初めてのポイントの検出と判断できるので、信頼度を更新する(+1インクリメント)。一方、自己のユニットIDの場合(S23でYes)、過去に自ら登録した信頼度の更新はしない。なお、S22の分岐判断でNoならば、新規なポイントデータであるので、登録処理をする(S25)。
さらにまた、別の信頼度更新機能としては、ポイントデータには信頼度情報を付加し、送信側の目標物検出装置は「自己」のユニットIDとポイントデータを送信し、受信側の目標物検出装置は、受信した位置情報に対応する警報対象を特定するポイントと同じとみなせるポイントについてのポイントデータがすでにポイントデータ記憶部に登録されており、今回受信したポイントのユニットIDと、記憶部に記憶されているユニットIDとが異なる場合には信頼度を高くするようにしてもよい。
すなわち、複数の目標物検出装置から同一とみなせるポイントの位置情報を受信した場合には、1つの目標物検出装置からのみ通知を受けた場合よりも、その信頼性は高く、更に、“複数”といっても、その数が多くなるほど、信頼性はより高くなる。そこで、異なるユニットIDから同一とみなせるポイントのポイントデータを受信する都度、信頼度を上昇(+1ずつインクリメント)するようにしてもよい。もちろん、同じ目標物検出装置から同一のポイントデータについて複数回受信する場合もあるが、その場合には、過去に受信したポイントデータに関連付けられたユニットIDと比較し、同一であることが認識できれば、今回のポイントデータの受信に伴う当該ポイントデータについての信頼での上昇(更新処理)は行わない。
また、他の目標物検出装置から受信したポイントデータは、必ずしも送信元の目標物検出装置が自動・手動で登録したものとは限らず、更に別の目標物検出装置から送られてきたものを受信して登録したポイントデータの場合もあるし、過去に自己が送信したポイントデータの場合もあり得る。従って、上記のように、単純に送信元のユニットIDの異同のみに基づいて信頼度を決定するようにすると、最初に登録した目標物検出装置(作成元)は全て同じという事態も生じる。係る場合、複数の目標物検出装置から受信したポイントデータであっても、その全ての作成元が異なる場合に比べると、信頼性は低いと判断できる。そこで、ユニットIDが異なっても、全く同一の緯度・経度の場合の場合には、作成元は同じと推定し、信頼度を高くする更新処理はしないようにするとよい。このとき、更に登録日情報も加味し、全く同一の緯度・経度・登録日の場合に作成元は同じと推定して更新処理をしないようにすると、より好ましい。異なる目標物検出装置でポイントデータの登録を行ったとしても、偶然に緯度・経度が全く同一になる可能性も残っているからである。もちろん、簡易な処理で信頼度更新処理をするためには、上述したように、送信元のユニットIDに基づいて(緯度・経度等を用いない)判断するものでも良い。
これらの信頼度更新機能を用いることで、例えば図11(a)に示すように、すでにポイントXがポイントデータとして登録されている場合において、他の目標物検出装置からポイントY(図11(b))について受信したとすると、YはXの500m圏内にはないので、別のものと認識されポイントデータとして追加されるとともに、ターゲットアイコンTnとして表示される。一方、図11(c)に示すように、他の目標物検出装置からポイントZについて受信したとすると、ZはXの500m圏内となっているので同一のものと判断され、Zに基づいて新たなポイントデータの登録はされないが、元々登録されていたXについてのポイントデータの信頼度が高くなる。
*ポイントデータの寿命管理機能
他の目標物検出装置から受信したポイントデータの利用を考えた場合、係るポイントデータは、移動式の速度測定装置を用いた臨時の速度測定の場合が多く、登録日以外の日で同じ場所で同じように速度測定を行う可能性はさほど高くないとも言える。定期的に移動式の速度測定装置を用いて計測を行うような場所は、ある程度有名にもなるので、事前に基本のデータとして別途登録しておくことで対処することもできる。
一方、たまたまある位置で速度の測定を行っており、そのときポイントデータを登録したようなことが多々あると、登録されるポイントデータの数が多くなり、そのポイントデータに基づく警報が多発し、しかも、その多発した警報があっても実際には関係がない(検出対象の目標物が無い)ことが多いと、かえって注意力が散漫になり好ましくない結果が生じるおそれがある。
そこで、本実施形態では、制御部18は、ポイントデータのパラメータの一つである登録日と、現在日時(GPS信号から取得可能)とを比較し、以下に示すようにポイントデータに寿命を持たせ、警報の内容を変えるようにする。
現在日時が登録した日 : 本日のポイントとして警報
登録してから2週間以内 : 最近のポイントとして警報
登録してから1ヶ月以内 : 過去1ヶ月以内のポイントとして警報
登録してから2ヶ月以内 : 過去2ヶ月以内のポイントとして警報
登録してから3ヶ月以内 : 過去3ヶ月以内のポイントとして警報
登録してから3ヶ月経過 : 警報しない
上記の警報は、音声により通知することができるし、表示部に出力する場合には、メッセージとして出力したり、色や大きさを替えて表示したりするなど各種の態様がとれる。
*既存の目標物に対する付記情報追加機能
内部不揮発性メモリ17内には、目撃情報等に基づいて移動式の速度測定装置を用いて定期的・頻繁に速度測定を行う地域を登録し、制御部18は、当該地域に近付いたならば、所定の警報を発するようにする機能を備えることがある。このような機能を備えた場合、自己或いは他者からの通知に伴い、新たなポイントデータの追加要求が発生した場合に、そのポイントデータの位置情報から、当該ポイントデータが上記の地域に対応することが認識できた場合、当該地域に付記情報として検出実績を付加する。この検出実績が付加された場合、より信頼性の高い対応での警報(付記情報も音声で追加して報知等)をすることができる。これにより、ポイントデータを追加登録することなく、信頼性を加味した警報をすることができる。
*ポイント警報機能
ポイントデータの場合、方位情報(マイクロ波の出射方向等)を付加するのは困難である。そこで、警報範囲を通常のものよりも広げるようにした。たとえば、図12に示すように、ポイントデータの位置を中心に1100m圏内に進入した(中心位置に近づいている)ならば1kmの警報を行い、600m圏内に進入したならば500mの警報を行う。そして、一旦500m圏内に進入した(中心位置に近づいている)ならば、その後は1100m圏内から離れたときに離反告知を行うようにする。
*通信仕様
ところで、目標物検出装置10は、定期的に自車位置情報(ポイントデータ付のものもある)を送信するようにしている。そこで、各目標物検出装置10の送信間隔を全く同一値(5秒)にすると、図13(a)に示すように、複数(図では2個)の目標物検出装置がほぼ同一のタイミングでキャリアセンスを開始すると、そのときは他の目標物検出装置から自車位置情報が送信されていないのでキャリアなしとなり受信処理を行わず、互いに同時に送信を開始する処理を延々と繰り返し行われる可能性がある。すると、同時に送信することから、各目標物検出装置10間で互いのデータの授受が成立しなくなるという問題がある。
そこで、各目標物検出装置10の送信間隔(送信周期)を、基準値(たとえば5秒)を基準として一定範囲内で乱数で拡散するようにした。これにより、各目標物検出装置10の送信周期が延々と同じになることが抑制され、図13(b)に示すように、ある時点ではキャリアセンス&送信のタイミングが一致しているとしても、別の時点ではキャリアセンスのタイミングがズレ、他方の目標物検出装置から送信される自車位置情報等を受信することができる。
また、無線送受信部13は、送信中以外は、フレーム同期サーチのために常時受信動作をしている。そして、制御部18は、送信周期に至ると無線送受信部13に対し、送信要求を送る。無線送受信部13は、その送信要求を受けると、現在送信可能か否か(キャリア無し)を判断し、キャリアなしで送信可能な場合には、送信要求を受け付けて送信処理を行い、受信中等の場合には送信できないので送信要求は棄却される。周辺に複数(多数)の目標物検出装置が存在している場合、キャリアなしになった瞬間に一斉に送信が開始され、通信エラーとなるおそれがある。そこで、好ましくは、各目標物検出装置に、受信終了後から次の送信開始時間までの待ち時間(オフセット)を異なる値に設定し、いずれか1つの目標物検出装置から送信がされるようにするとよい。このオフセットを異ならせる方法としては、毎回乱数等を用いて変更する方法がある。このようにすると、周辺に存在する複数の目標物検出装置のオフセットが毎回一致してしまう可能性を抑制することができる。また、製造番号の下一桁或いは二桁等を利用してグループ分けし、各グループごとに異なるオフセットを設定する。このようにしても、周辺に存在する複数の目標物検出装置が同一グループに属する可能性が低くなる。