JP2016166555A - 送風装置 - Google Patents

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修三 小田
文也 石井
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Abstract

【課題】遠心ファンとケースとの間の摺動抵抗を低減させることのできる送風装置を提供する。
【解決手段】全周吹出の遠心式の送風装置1は、遠心ファン20と、ケース10と、モータ30とを備える。遠心ファン20は、複数のブレード23と、当該ブレード23を回転軸方向に挟む一対の板材21,22を有する。ケース10は、遠心ファン20を内部に収容するとともに、遠心ファン20に吸い込まれる空気の導入口となる吸込口120を有する。モータ30は、遠心ファン20を回転させる。ケース10は、遠心ファン20の回転軸方向に側板22と隙間を有して対向配置されるカバー12を有する。遠心ファン20は、ケース10に対して回転軸方向に移動可能に支持されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、全周吹出の遠心式の送風装置に関する。
この種の送風装置としては、特許文献1に記載の送風装置がある。特許文献1に記載の送風装置は、複数のブレードを有する遠心ファンと、遠心ファンを回転させるモータと、遠心ファン及びモータを内部に収容するケースとを備えている。遠心ファンは、複数のブレードを回転軸方向に挟む側板(シュラウド)を有している。ケースの中央部には、遠心ファン側に折り曲げられた部分が形成されている。この折り曲げ部分により、遠心ファンに吸い込まれる空気の導入口となる吸込口が構成されている。側板には、ケースの折り曲げ部分が埋没する凹部が形成されている。凹部には、液状またはゲル状のシール材が充填されている。特許文献1に記載の送風装置では、モータの駆動に基づき遠心ファンが回転する際、ケースの折り曲げ部分に対して側板の凹部が摺動することにより、遠心ファンがケースに対して相対回転する。
特開2010−248941号公報
ところで、特許文献1に記載の送風装置では、遠心ファンが回転する際、その側板とケースとの間に摩擦による摺動抵抗が生じる。これがモータの負荷を大きくし、モータの消費電力の増加等の不都合を招く要因となっている。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遠心ファンとケースとの間の摺動抵抗を低減させることのできる送風装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、全周吹出の遠心式の送風装置(1)は、遠心ファン(20)と、ケース(10)と、モータ(30)とを備える。遠心ファンは、複数のブレード(23)、及び当該ブレードを回転軸方向に挟む一対の板材を有する。ケースは、遠心ファンを内部に収容するとともに、遠心ファンに吸い込まれる空気の導入口となる吸込口(120)を有する。モータは、遠心ファンを回転させる。一対の板材のうち、ケースの吸込口側に配置される板材を側板(22)とするとき、ケースは、遠心ファンの回転軸方向に側板と隙間を有して対向配置されるカバー(12)を有する。遠心ファンは、ケースに対して回転軸方向に移動可能に支持されている。
この構成によれば、モータの駆動に基づき遠心ファンがケースに対して相対回転すると、遠心ファンの中央部付近に発生する負圧により、遠心ファンがケースのカバーに近づく。これにより、遠心ファンの側板とカバーとの間に形成された隙間が小さくなる。この際、遠心ファンの側板とカバーとの間の隙間に発生する動圧により、遠心ファンがカバーに接触せずに回転可能に支持される。このような動圧軸受構造により、遠心ファンがカバーに接触せずに回転することが可能となるため、遠心ファンとカバーとの間に発生する摺動抵抗を低減することができる。
本発明によれば、遠心ファンとケースとの間の摺動抵抗を低減させることができる。
送風装置の一実施形態についてその斜視構造を示す斜視図である。 図1のII−II線に沿った端面構造を示す端面図である。 図2のIII−III線に沿った断面構造を示す断面図である。 図3のIV−IV線に沿った断面構造を示す断面図である。 送風装置の変形例についてその端面構造を示す端面図である。 送風装置の他の変形例についてその側板の断面構造を示す断面図である。 送風装置の他の変形例についてその側板の断面構造を示す断面図である。 送風装置の他の変形例についてその側板の断面構造を示す断面図である。
以下、送風装置の一実施形態について説明する。本実施形態の送風装置は、例えば車両のシートに設けられ、シートの座面部から空気を送風することにより乗員の快適性を確保するための空調装置に用いられるものである。
図1に示されるように、本実施形態の送風装置1は、ケース10と、遠心ファン20とを備えている。また、図2に示されるように、送風装置1は、ケース10の内部に収容されるモータ30を備えている。図1及び図2では、遠心ファン20の回転軸線が一点鎖線mで示されている。送風装置1は、遠心ファン20の回転軸方向の一方向A1が鉛直方向下方G1となるように、また遠心ファン20の回転軸方向の他方向A2が鉛直方向上方G2となるように設置される。
図2に示されるように、遠心ファン20は、その回転軸方向A1,A2に対向する主板21及び側板22と、主板21及び側板22に挟み込まれる複数のブレード23と、回転軸24とを備えている。本実施形態では、主板21及び側板22が一対の板材に相当する。側板22は、主板21に対して遠心ファン20の回転軸方向A2側、すなわち鉛直方向上方G2側に配置されている。
主板21は円盤状をなしている。主板21の中央部には、遠心ファン20の回転軸方向A2側に突出する凸部210が形成されている。凸部210には回転軸24の一端部が固定されている。回転軸24は、軸受け40,41を介して筒状部材42により回転可能に支持されている。一方の軸受け40は、回転軸24の中央部付近を回転可能に支持している。他方の軸受け41は、回転軸24の他端部240を回転可能に支持している。回転軸24は軸受け40,41により径方向に拘束されている。すなわち、遠心ファン20は、軸受け40,41により径方向(ラジアル方向)に拘束されているが、回転軸方向(スラスト方向)には拘束されていない。したがって、遠心ファン20は、筒状部材42に対して軸方向に相対移動可能となっている。遠心ファン20が回転していない状態では、主板21の凸部210の底部が軸受け40の内輪に接触することにより、遠心ファン20が筒状部材42により鉛直方向に支持されている。遠心ファン20は、回転軸24を中心に図1の矢印Cで示される方向に回転する。
図2に示されるように、回転軸24の他端部240の外周には、リング状の規制部材25が嵌めこまれている。遠心ファン20が回転していない状態では、規制部材25は、遠心ファン20の回転軸方向A2に軸受け41との間に隙間を有して配置されている。規制部材25は、遠心ファン20が回転軸方向A2側に移動した際に、軸受け41に接触することにより遠心ファン20の移動を規制する規制部材として機能する。
側板22は円環状をなしている。遠心ファン20の回転軸方向A2における側板22の外面222には、遠心ファン20の径方向と所定角度をなす傾斜面222aが形成されるとともに、当該傾斜面222aの径方向内側に段差面222bが形成されている。段差面222bは、遠心ファン20の径方向に略平行な平面からなり、傾斜面222aよりも遠心ファン20の回転軸方向A2側に突出している。
図3は、図2のIII−III線に沿った端面構造を示したものである。また、図4は、図3のIV−IV線に沿った端面構造を示したものである。図3に示されるように、段差面222bには、遠心ファン20の回転軸方向A2側に突出する突出部224が等角度間隔で複数形成されている。遠心ファン20の回転方向Cに隣接する突出部224,224間には所定の隙間が設けられている。図4に示されるように、突出部224は、断面三角形状をなしており、遠心ファン20の回転方向C側の側面に回転方向Cに対して所定角度をなす傾斜面224aを有している。また、図3に示されるように、突出部224の頂部224bは、遠心ファン20の径方向と所定角度をなす方向に延びている。なお、図3では、突出部224の傾斜面224aの図示が省略されている。
図2に示されるように、主板21の凸部210と側板22の内周面との間には、遠心ファン20の回転軸方向A1,A2側に開口する開口部26が形成されている。遠心ファン20の径方向外側における主板21の外周端部と側板22の外周端部との間には開口部27が形成されている。
モータ30は、筒状部材42の外周に取り付けられるステータ31と、主板21に固定されるロータ32とを備えている。ステータ31にはコイル310が巻回されている。ロータ32は、永久磁石320と、永久磁石320を内部に収容する収容部材321とを有している。収容部材321は主板21に固定されている。すなわち、永久磁石320及び収容部材321は遠心ファン20と一体的に回転する。
モータ30では、ステータ31のコイル310が通電されると、回転磁界が形成される。この回転磁界と、永久磁石320により形成される磁界とが作用することにより遠心ファン20にトルクが付与され、遠心ファン20が回転軸24を中心に回転する。
ケース10は遠心ファン20及びモータ30を内部に収容している。ケース10は、モータ30の鉛直方向下方G1側を覆うモータハウジング11と、遠心ファン20の鉛直方向上方G2側を覆うカバー12とを有している。
図1に示されるように、モータハウジング11及びカバー12は矩形状の板材からなる。図2に示されるように、モータハウジング11の角部には、カバー12の角部に向かって延びる支柱13が形成されている。支柱13により、モータハウジング11及びカバー12は遠心ファン20の回転軸方向A1,A2に所定の隙間を有して配置されている。モータハウジング11及びカバー12は、支柱13にねじ込まれる図示しないビスにより締結されている。図1及び図2に示されるように、モータハウジング11及びカバー12のそれぞれの外周部分の隙間は、遠心ファン20から送風される空気が吹き出される吹出口14を構成している。
図2に示されるように、モータハウジング11の中央部には、筒状の挿入部110が形成されている。この挿入部110の内周面に筒状部材42が固定されることにより、筒状部材42がモータハウジング11に固定されている。
カバー12の中央部には、遠心ファン20に吸い込まれる空気の導入口となる吸込口120が形成されている。カバー12において遠心ファン20の側板22に対向する対向面122には、側板22の傾斜面222aと隙間M1を有して対向配置される第1対向面122aと、側板22の段差面222bと隙間M2を有して対向配置される第2対向面122bとが形成されている。遠心ファン20の回転軸方向A2における隙間M2の幅は、隙間M1の幅よりも狭くなっている。
次に、本実施形態の送風装置1の動作例について説明する。
送風装置1では、モータ30の駆動に基づき遠心ファン20が回転軸24を中心に回転すると、図2に矢印Wで示されるように遠心ファン20の中央部の開口部26から空気が吸い込まれる。この空気は、複数のブレード23の間を流れて遠心ファン20の径方向外側の開口部27を介してモータハウジング11及びカバー12のそれぞれの外周部分の隙間から送風される。このように、本実施形態の送風装置1は全周吹出の遠心式の構造を有している。
一方、遠心ファン20が回転すると、遠心ファン20の中央部付近に発生する負圧により、遠心ファン20には回転軸方向A2に平行な方向の力F1が作用する。この力F1が遠心ファン20の重力mgよりも大きくなると、遠心ファン20はケース10に対して回転軸方向A2側に相対移動する。これにより、図5に示されるように、遠心ファン20の側板22の段差面222bとカバー12の第2対向面122bとの間の隙間M2が狭くなる。このとき、側板22の段差面222bに形成される突出部224の頂部224bとカバー12の第2対向面122bとの間の狭い隙間において、くさび効果による動圧が発生する。この隙間M2に発生する動圧により、吹出口14に向かう空気の一部が隙間M1,M2を介して吸込口120に逆流することが抑制される。また、隙間M2に発生する動圧により、遠心ファン20の側板22の段差面222bには、回転軸方向A1に平行な方向の反力F3が作用する。
また、隙間M1,M2を介した空気の逆流が抑制されることにより、隙間M1に発生する静圧が高くなる。この静圧により、遠心ファン20の側板22の傾斜面222aには、回転軸方向A1に平行な方向の反力F2が発生する。
本実施形態の送風装置1では、負圧に基づく力F1により遠心ファン20が回転軸方向A2側に移動することにより、遠心ファン20の側板22の段差面222bとカバー12の第2対向面122bとの間の隙間M2が狭くなるほど反力F3が大きくなる。これにより、負圧に基づく力F1と、遠心ファン20の側板22の傾斜面222aに作用する静圧に基づく反力F2と、遠心ファン20の側板22の傾斜面222aに作用する動圧に基づき反力F3と、遠心ファン20の重力mgとの間に以下の式f1の関係が成立する。
F1<F2+F3+mg (f1)
式f1が成立することにより、遠心ファン20は、隙間M2に形成される動圧軸受構造によりカバー12に接触せずに回転可能に支持される。
以上説明した送風装置1によれば、以下の(1)〜(3)に示される作用及び効果を得ることができる。
(1)遠心ファン20がカバー12に接触せずに回転するため、遠心ファン20とカバー12との間に発生する摺動抵抗を低減することができる。
(2)負圧に基づく力F1により遠心ファン20が回転軸方向A2側に移動した際、規制部材25が軸受け41に接触することにより、遠心ファン20の移動が規制される。これにより、遠心ファン20のカバー12への接触をより的確に防止することができる。
(3)遠心ファン20の側板22の段差面222bとカバー12の第2対向面122bとの間の隙間M2を、遠心ファン20の側板22の傾斜面222aとカバー12の第1対向面122aとの間の隙間M1よりも狭くすることとした。これにより、側板22の段差面222bの部分には、空気の逆流を抑制することの可能な動圧を発生させることができる。また、側板22の傾斜面222aの部分に作用する静圧を高くすることができる。この動圧と静圧により、カバー12に接触せずに遠心ファン20を回転可能に支持することができる。
なお、上記実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
・側板22の段差面222bに形成される突出部224の形状は適宜変更可能である。例えば図6に示されるように、複数の突出部224は、遠心ファン20の回転方向Cにおいて連続するように設けられていてもよい。また、図7に示されるように、突出部224は、断面矩形状をなすものであってもよい。さらに、図8に示されるように、突出部224は、その頂部224bが遠心ファン20の径方向に平行な方向に延びる形状からなるものであってもよい。
・側板22の外面222の形状、及びこれに対向するカバー12の対向面122の形状は適宜変更可能である。
・規制部材25の位置や形状は適宜変更可能である。要は、規制部材25は、ケース10に対する遠心ファン20の回転軸方向の移動を規制することが可能なものであればよい。また、遠心ファン20に作用する力F1〜F3及び重力mgのバランスにより、規制部材25が無くともカバー12への遠心ファン20の接触を回避できる場合には、送風装置1から規制部材25を排除してもよい。
・本発明は上記の具体例に限定されるものではない。すなわち、上記の具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
1:送風装置
10:ケース
12:カバー
20:遠心ファン
21:主板(板材)
22:側板(板材)
23:ブレード
24:回転軸
25:規制部材
30:モータ
120:吸込口
224:突出部

Claims (6)

  1. 全周吹出の遠心式の送風装置(1)であって、
    複数のブレード(23)、及び当該ブレードを回転軸方向に挟む一対の板材(21,22)を有する遠心ファン(20)と、
    前記遠心ファンを内部に収容するとともに、前記遠心ファンに吸い込まれる空気の導入口となる吸込口(120)を有するケース(10)と、
    前記遠心ファンを回転させるモータ(30)と、を備え、
    前記一対の板材のうち、前記ケースの吸込口側に配置される板材を側板(22)とするとき、
    前記ケースは、前記遠心ファンの回転軸方向に前記側板と隙間を有して対向配置されるカバー(12)を有し、
    前記遠心ファンは、前記ケースに対して前記回転軸方向に移動可能に支持されていることを特徴とする送風装置。
  2. 請求項1に記載の送風装置において、
    前記ケースに対する前記遠心ファンの前記回転軸方向の移動を規制する規制部材(25)を更に備えることを特徴とする送風装置。
  3. 請求項2に記載の送風装置において、
    前記規制部材は、前記遠心ファンの回転軸(24)に設けられていることを特徴とする送風装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の送風装置において、
    前記側板と前記カバーとの間の隙間は、前記遠心ファンの径方向外側よりも前記遠心ファンの径方向内側の方が狭くなっていることを特徴とする送風装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の送風装置において、
    前記遠心ファンの前記側板における前記カバーに対向する外面には、前記遠心ファンの径方向と所定角度をなす方向に延びる複数の突出部(224)が形成されていることを特徴とする送風装置。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の送風装置において、
    前記遠心ファンの前記側板における前記カバーに対向する外面には、前記遠心ファンの径方向に平行な方向に延びる複数の突出部(224)が形成されていることを特徴とする送風装置。
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