JP2016165441A - 人工骨スペーサ - Google Patents

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秀行 河津
Hideyuki Kawazu
秀行 河津
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Abstract

【課題】骨切り術によって生じた欠損部の深さや角度に適した人工骨スペーサを,手術中の負担を軽減して容易に準備できるようにする。
【解決手段】人工骨スペーサ10は,互いに対面する上面11及び下面12を有し,上面11と下面12の一方は,他方に対して傾斜した傾斜面となっている。上面11と下面12の両方に凸部21及び凹部22が形成されているか,若しくは上面11と下面12の一方に凸部21が形成され他方に凹部22が形成されている。2つの同形状の人工骨スペーサ10を中心を揃えて上下に重ねた場合に,第1の人工骨スペーサ10の凸部21と第2の人工骨スペーサ10の凹部22が嵌合する。これにより,同形状の人工骨スペーサ10を安定的かつ簡単に積み上げることができ,人工骨スペーサの傾斜角や高さを自由に調節できる。
【選択図】図2

Description

本発明は,人工骨スペーサに関する。具体的に説明すると,本発明の人工骨スペーサは,変形性膝関節症等の治療ための整形外科手術において,骨切り術を行ったときに生じる骨欠損部を埋めるための補填材として使用される。
内側型変形性膝関節症等の治療では,脛骨に骨切り術を施術し,骨の角度を改善するための外科手術が行われる。例えば,骨切り術にて脛骨の内側に切り込みを入れ,その部分をくさび形に拡げて,O脚がややX脚になるように脛骨の角度の調整が行われる。これによって,膝の内側にかかりすぎている重心を外側に移動することが内側型変形性膝関節症等の治療として行われている。このような施術は,高位脛骨骨切り術(HTO:High Tibial Osteotomy)とも呼ばれる。
一般的に,骨切り術によって生じた海綿骨欠損部には顆粒状の人工骨が使われる。他方で,図1に示されるように,骨切り術によって生じた内側皮質骨欠損部はくさび形となる。このため,このくさび形の欠損部には,その形状に合わせた人工骨スペーサが補填され,皮質骨からの荷重を支えることが行われる。
従来の人工骨スペーサは直方体の形状をしており,これを骨切り後に生じた欠損部の形状に合わせて手術中に加工し,傾斜面の角度や厚みを所望の形に整えて使用する。人工骨スペーサの加工は専用の電動加工機やヤスリを用いて行う。しかし,人工骨スペーサの加工は,手術時間の延長や治療環境の汚染をもたらす恐れがあり,手術中に行うには困難な作業である。
また,骨切り術で生じた欠損部を正確に埋めるためには,使用される人工骨スペーサの傾斜面の角度を欠損部の角度よりも若干小さくし,人工骨スペーサが容易に挿入できるようにすることが求められる。そして,人工骨スペーサを補填した後に,脛骨の角度を調整しながら,調整後の隙間周囲には局所骨を詰めることが行われる。局所骨とは,骨切り術によって生じた骨の切片である。
患者が手術後に通常生活に戻ると,歩行する際に体重が脛骨にかかり,骨切り部にも荷重がかかることになる。このとき補填された人工骨スペーサは傾斜面を持って入るため,荷重を掛けることによって,この人工骨スペーサが欠損部から脱転が生じることがある。
また,脛骨には上方向からの荷重が掛かり,人工骨スペーサはくさび形状となっているため,脛骨からの荷重は人工骨を押し出す方向の力となり,これにより人工骨スペーサが押し出され,いわゆる脱転を生じる。傾斜面の角度が大きいと特に脱転し易いこととなる。
これを防ぐ為に人工骨スペーサを補填した外側にプレートを用いることが行われる。ネイルを用いてプレートを脛骨に取り付けることで,人工骨スペーサが飛び出さないようにする。これにより人工骨スペーサの脱転防止策としている。しかし,骨切り部が治癒するとプレートは必要なくなり,プレートを取り外す必要が出て来る。プレートを取り外すには再度切開手術が必要となる。
また,特許文献1には従来の人工骨スペーサが開示されている。特許文献1の人工骨スペーサは,脊椎の椎体間に挿入配置される脊椎補綴部材であり,上下の椎体と接する上面及び下面を有し,これらの面のなす角度が1〜13°であることを特徴としている。また,特許文献1では,椎体と接する上面及び下面に溝及び/又は突起を形成することもできるとされている。しかしながら,特許文献1に開示された従来の人工骨スペーサは,下面から上面までの高さや,下面と上面の傾斜角を調整することが困難である。このため,特許文献1の人工骨スペーサを用いて骨の欠損部を補填するためには,高さや傾斜角の異なる複数種類の人工骨スペーサを予め用意しておき,欠損部のサイズに合わせて適切な人工骨スペーサを選択するか,若しくは手術中に人工骨スペーサを専用の電動加工機やヤスリで加工して高さや傾斜角を調整する必要がある。
特開平8−10276号公報
本発明は,上記した従来技術の問題を克服するために提案されたものであり,脛骨等の骨切り術によって生じた骨欠損部に人工骨スペーサを補填するときに,欠損部の深さや角度に適した人工骨スペーサを,手術中の負担を軽減して容易に準備できるようにすることを目的とする。併せて,本発明は,補填後に脱転を起こさない構造の人工骨スペーサを提供することを目的とする。
本発明の発明者は,上記の従来技術の問題の解決手段について鋭意検討した結果,人工骨スペーサの上面と下面の一方を傾斜面とするとともに,上面と下面に凸部及び/又は凹部を形成し,2つの同形状の人工骨スペーサを中心を揃えて上下に重ねたときに凸部と凹部が嵌合するという構造を発案した。このように人工骨スペーサを複数個重ねて使用できるようにすることで,骨の欠損部に挿入する人工骨スペーサの高さや傾斜角度を簡単かつ自由に調整することができる。また,各人工骨スペーサの凸部が欠損部の切断面に食い込むとともに,その凹部に新生骨が入り込みスペーサと生体骨との接合強度が高まるため,人工骨スペーサの脱転を防止できる。そして,本発明者は,上記知見に基づけば,従来技術の課題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。具体的に説明すると,本発明は以下の構成を有する。
本発明は,骨切り術によって生じた骨の欠損部に挿入される人工骨スペーサに関する。
人工骨スペーサ10は,少なくとも互いに対面する上面11及び下面12を有する。
ここで,上面11と下面12の一方は,他方に対して傾斜した傾斜面となっている。
また,上面11と下面12は,その両方に凸部21及び凹部22が形成されているか,若しくはその一方に凸部21が形成され他方に凹部22が形成されている。
そして,本発明においては,2つの同形状の人工骨スペーサ10を中心を揃えて上下に重ねた場合に,第1の人工骨スペーサ10の凸部21と第2の人工骨スペーサ10の凹部22が互いに嵌合する構造となっている。
なお,「2つの同形状の人工骨スペーサ10を中心を揃えて上下に重ねた場合」とは,例えば,ある人工骨スペーサ10の上面11の中心と他の人工骨スペーサ10の下面12の中心を合わせて重ねた場合や,上面11同士の中心を合わせて重ねた場合,あるいは下面12同士の中心を合わせて重ねた場合が含まれる。また,2つの人工骨スペーサ10を重ね合わせるときの向きは特に限定されず,例えば,上下の人工骨スペーサ10の前端同士及び後端同士を揃えて重ねる場合だけでなく,上下の人工骨スペーサ10の前後を反転させて前端と後端とを揃えて重ねてもよい。少なくとも重ね合わせる人工骨スペーサ10の中心が一致していればよい。このように,2つの同形状の人工骨スペーサ10を上下に重ねるパターンとしては,上下の人工骨スペーサ10の前後を揃えたり,若しくは人工骨スペーサ10の前後を反転させたりすることができ,さらに上面11と下面12を合わせるパターンや,上面11同士を合わせるパターン,下面12同士を合わせるパターンなど様々なパターンが考えられる。このうち,少なくとも1つ以上のパターンにおいて,2つの人工骨スペーサ10の凸部21と凹部22とが互いに嵌合すればよい。勿論,前記した全てのパターンにおいて,凸部21と凹部22が嵌合することとしてもよい。
上記構成のように,本発明では,2つの同形状の人工骨スペーサ10を中心を揃えて上下に重ねた場合に,凸部21と凹部22が互いに嵌合する構造を採用している。これにより,同形状の複数の人工骨スペーサ10を重ねるという簡単な作業で,人工骨スペーサを組み合わせたときの高さや傾斜角を自由に調整することができる。従って,本発明の人工骨スペーサを利用すれば,高さや傾斜角の異なる複数種類の人工骨スペーサを予め用意しておくことや,欠損部のサイズに合わせて手術中に人工骨スペーサを加工して高さや傾斜角を調節するといった作業が不要になる。また,本発明の人工骨スペーサ10を骨の欠損部へ挿入し補填することで,その上面11又は下面12に設けられた凸部21が骨切り部の切断面に食い込むため,両者が固定されて脱転を防ぐことができる。さらに,本発明の人工骨スペーサ10を骨の欠損部へ補填することで,上面11又は下面12に設けられた凹部22に新生骨が入り込み,凹部22と接した周囲の骨に対してアンカー効果によって固定されるため,補填された人工骨スペーサが脱転することを防止できる。
本発明の人工骨スペーサは,上面11から下面12までの上下の高さ(H,H)が前後の長さ(L)及び左右の幅(W)よりも小さいことが好ましい。
上記構成のように,各人工骨スペーサ10を薄い板状とすることで,複数枚の人工骨スペーサ10を重ねたときに,その重なった状態を安定させることができる。反対に,上下の高さ(H,H)が前後の長さ(L)又は左右の幅(W)よりも大きい形状の人工骨スペーサは,本発明のように上下に複数枚重ねて使用することには不向きであるといえる。
本発明の人工骨スペーサは,上面11と下面12の両方に凸部21及び凹部22が形成されていることが好ましい。この場合において,2つの同形状の人工骨スペーサ10を上面11と下面12を合わせて上下に重ねたときに,第1の人工骨スペーサ10の凸部21と第2の人工骨スペーサ10の凹部22が嵌合し,かつ,2つの同形状の人工骨スペーサ10を上面11同士又は下面12を合わせて上下に重ねたときに,第1の人工骨スペーサ10の凸部21と第2の人工骨スペーサ10の凹部22が嵌合することが好ましい。
上記構成のように,上面11と下面12のそれぞれに凸部21と凹部22とを形成することで,上面11と下面12とを合わせる場合であっても,上面11同士・下面12同士を合わせる場合であっても,複数の人工骨スペーサ10を上下に重ね合わせることができる。これにより,手術中に各人工骨スペーサ10の裏表を正確に確認しなくても,複数の人工骨スペーサ10を重ね合わせて高さや傾斜角を調整することが可能となるため,手術中の作業性が向上する。また,上面11と下面12のそれぞれに凸部21と凹部22とを形成することで,骨切り術によって生じた骨の欠損部の切断面に,必ず凸部21と凹部22の両方が当接することとなるため,人工骨スペーサ10と欠損部の接合強度が向上する。
本発明の人工骨スペーサは,互いに対面する上面11と下面12,互いに対面する左面13と右面14,及び互いに対面する前面15と後面16とを有する形状であることが好ましい。この場合,傾斜面である上面11と下面12の一方と前面15とのなす角θは,他方と前面15とのなす角θよりも大きくなっていることが好ましい。さらに,傾斜面である上面11と下面12の一方と後面16とのなす角θは,他方と後面16とのなす角θよりも小さくなっていることが好ましい。
上記構成のように,本発明の人工骨スペーサでは,角θを角θよりも大きくし,角θを角θよりも小さくすることが好ましい。このようにすることで,例えば角θと角θを等しくしたり角θ3と角θ4を等しくしたりする場合と比べて,複数の人工骨スペーサ10の重ね合わせた場合のバランスを取りやすくなり,安定的に人工骨スペーサ10を積み上げることができる。
本発明の人工骨スペーサにおいて,角θと角θの和は180°に等しく,かつ,角θ及び角θは直角であることが好ましい。
上記構成のようにすることで,例えば,2つの人工骨スペーサの前後の向きを反転させ,各傾斜面同士を合わせるようにして上下に積み重ねたときに,2つの人工骨スペーサの傾斜角が相殺されるため,上下の面を平行面とすることができる。つまり,通常どおりに複数の人工骨スペーサを重ね合わせると,重ね合わせた構造体の高さと傾斜角はスペーサの数に比例して大きくなる。他方で,上記したように傾斜角を相殺させるように積み重ねることで,重ね合わせた構造体の高さはスペーサの数に比例することとなるが,構造体の傾斜角はスペーサの数には比例しない。このため,人工骨スペーサを重ね合わせた構造体の傾斜角の調整の自由度がさらに向上する。
本発明の人工骨スペーサは,上面11から下面12にわたって貫通した一又は複数の貫通孔23をさらに有することとしてもよい。
上記構成のように,人工骨スペーサ10に貫通孔23を形成しておくことで,その貫通孔23に新生骨が入り込むこととなるため,スペーサと生体骨との接合強度が高めることができる。また,例えば貫通孔23を直線上に並べて形成することで,この貫通孔23の列に沿って人工骨スペーサ10を分割しやすくすることもできる。
本発明の人工骨スペーサは,上面11と下面12の両方又は一方に,人工骨スペーサ10の分割を容易にするための分割溝24をさらに有することとしてもよい。
上記構成のように,上面11及び/又は下面12に分割溝24を形成しておくことで,この分割溝24に沿って人工骨スペーサ10を分割しやすくなる。なお,この分割溝24に沿って,上述した複数の貫通孔23の列を形成することも可能である。
本発明によれば,脛骨等の骨切り術によって生じた骨欠損部に人工骨スペーサを補填するときに,欠損部の深さや角度に適した人工骨スペーサを,手術中の負担を軽減して容易に準備できるようになる。併せて,補填後に脱転を起こさない構造の人工骨スペーサを提供することができる。
具体的に説明すると,本発明の人工骨スペーサは,上下の面同士が角度を持ち,断面がくさび状となる傾斜面を持ち,傾斜面には凸部が設けられているため,骨切り術を行って出来た骨欠損部へ補填することで,凸部が骨の切断面に食い付き脱転を防ぐ働きがある。
また,本発明の人工骨スペーサを2枚使用し,傾斜の向きを同じにして重ねたときに,傾斜面に設けられた凸部と凹部が嵌合し,各々の面同士がほぼ隙間無く合わさり,同時に凸部と凹部の嵌合により両者のズレを防ぐ働きが生じて一体化される。このとき,2枚の人工骨スペーサを組み合わせた構造体の傾斜角度は,両者を加え合わせた角度となる。
また,本発明の人工骨スペーサを3枚以上を用いて,傾斜の向きを同じにして重ねたとき,2枚重ねるのと同様に面同士がほぼ隙間なく合わさり,各々の接合面の凸部と凹部が嵌合することで,お互いのズレを防ぎ,一体化し,各々の人工骨スペーサの傾斜角度の合計値を持った人工骨スペーサとなる。
さらに,本発明の人工骨スペーサを2枚使用し,傾斜の向きを互い違いの向きにして重ねたときに,傾斜面に設けられた凸部と凹部が嵌合し,各々の面同士がほぼ隙間無く合わされ,同時に凸部と凹部の嵌合により両者のズレを防ぐ働きが生じて一体化されるが,傾斜角度は両者の傾斜角度が相殺された角度となり,これにより上下の面が平行面となり,人工骨スペーサの厚みは両者を合わせた値となる。
また,本発明の人工骨スペーサを複数枚重ねて使用するときも,最上面及び最下面となる傾斜面の凸部および凹部は骨切りによって生じた切断面に直接接触し,1枚使用する場合と同様に脱転防止の働きが期待できる。
図1は,変形性膝関節症等の治療ための整形外科手術の概要を示している。 図2は,本発明の第1の実施形態に係る人工骨スペーサを示している。 図3は,第1の実施形態に係る人工骨スペーサを,前後を揃えて4枚重ねた場合の例を示している。 図4は,第1の実施形態に係る人工骨スペーサを,前後反転させて2枚重ねた場合の例を示している。 図5は,第1の実施形態に係る人工骨スペーサを,下方の2枚は前後反転させて重ねて,上方の4枚は前後を揃えて重ねた場合の例を示している。 図6は,本発明の第2の実施形態に係る人工骨スペーサを示している。 図7は,本発明の第3の実施形態に係る人工骨スペーサを示している。 図8は,本発明の第4の実施形態に係る人工骨スペーサを示している。 図9は,本発明の第5の実施形態に係る人工骨スペーサを示している。 図10は,本発明の第6の実施形態に係る人工骨スペーサを示している。 図11は,本発明の第7の実施形態に係る人工骨スペーサを示している。 図12は,本発明の第8の実施形態に係る人工骨スペーサを示している。 図13は,本発明の第9の実施形態に係る人工骨スペーサを示している。
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更したものも含む。
なお,本願明細書において,「A〜B」とは,「A以上B以下」であることを意味する。
[1.第1の実施形態]
図2は,本発明の第1の実施形態に係る人工骨スペーサ10の平面図と断面図を示している。本発明の人工骨スペーサ10は,基本的に,整形外科手術において骨切り術を行ったときに生じる骨欠損部を埋めるための補填材として利用される。例えば,図1に示されるように,脛骨の骨切り術では,脛骨の骨切りを行った後,その骨切り部(欠損部)の角度を拡げて,そこに人工骨スペーサを挟み込む。このようにして,くさび形の欠損部には,その形状に合わせた人工骨スペーサが補填され,皮質骨からの荷重を支えることが行われる。
図2に示されるように,人工骨スペーサ10は,基本的に,互いに対面する上面11と下面12,互いに対面する左面13と右面14,及び互いに対面する前面15と後面16とからなる六面体によって構成される。また,上面11,下面12,左面13,右面14,前面15,及び後面16の各面は,平面視した場合に基本的に四角形状となっている。本願明細書では,基本的に,このような六面体の人工骨スペーサ10を例に挙げて説明を行う。ただし,人工骨スペーサ10は,少なくとも上面11と下面12を観念することのできる構造であればよく,六面体以外の多面体構造(例えば八面体や十面体,十二面体など)とすることも可能である。また,各面の基本形状は四角形に限定されず,三角形やその他多角形,円形,楕円形,その他曲線を含む形状とすることも可能である。
図2に示されるように,人工骨スペーサ10の上面11は,下面12に対して所定角度で傾斜している。つまり,上面11と下面12は少なくとも平行な面ではない。本実施形態において,上面11は,前面15側にて下面12との距離が近くなり,後面16側にて下面12との距離が遠くなるように傾斜したものである。なお,本発明の人工骨スペーサ10では,上面11と下面12の距離が近くなる側を前面15とし,上面11と下面12の距離が遠くなる側を後面16として捉えている。例えば,上面11と下面12とのなす角は,0.5〜15°,1〜10°,1.5〜5°とすることが好ましい。患者の症状にもよるが,骨切り術で生じる欠損部の角度は約20〜25°であることが多い。このため,本発明では,この欠損部に複数の人工骨スペーサ10を重ねて挿し込むことで,この欠損部の角度に合わせて適切に補填できるものであることが好ましい。このように,本願明細書で説明する例では,上面11が傾斜面となる。ただし,下面12を傾斜面として設計することも勿論可能である。
また,図2に示されるように,人工骨スペーサ10は,板状となっている。ここにいう「板状」とは,上面11から下面12までの上下の高さ(H,H)が,前後の長さ(L)及び左右の幅(W)よりも小さい形状を意味する。本発明の人工骨スペーサ10は,上面11が下面12に対して傾斜面となっているため,前面15側の高さ(H)が後面16側の高さ(H)に対して低くなる(H<H)。例えば,前面15側の高さ(H)は,後面16側の高さ(H)に対して,40〜90%,50〜80%,又は60〜70%とすればよい。具体的な実施例では,前面15側の高さ(H)を1mmとし,後面16側の高さ(H)を1.5mmとすればよい。また,図2の例において,人工骨スペーサ10は,前後の長さ(L)が左右の幅(W)よりも短くなる(L<W)。例えば,前後の長さ(L)は,左右の幅(W)に対して,20〜80%又は30〜70%であり,特に45〜55%又は50%であることが好ましい。具体的な実施例では,前後の長さ(L)を10mmとし,左右の幅(W)を20mmとすればよい。このように,図2に示された人工骨スペーサ10は,横長の薄い板状となっている。例えば,人工骨スペーサ10の高さの最大値(H)は,前後の長さと左右の幅のうちの短い方(L)に対して,5〜50%,10〜40%,又は15〜35%程度であることが好ましい。なお,前後の長さ(L)を,左右の幅(W)と等しくしたり,左右の幅(W)より長くしたりすることも当然可能である。
図2に示されるように,人工骨スペーサ10の上面11と下面12には,それぞれ凸部21及び凹部22が形成されている。凸部21は,面表面から外側に突出する突起であり,凹部22とは,面表面から内側に窪んだ窪みである。凸部21と凹部22は互いに嵌合するものであり,具体的には凹部22の中に凸部21を挿し込むことができるようになっている。例えば,図2の例では,凸部21と凹部22はそれぞれ平面視において円形となっている。このとき,凸部21の直径φは,凹部22の直径φ未満に設定される(φ<φ)。例えば,凸部21の直径φは,凹部22の直径φよりも0.1〜1.0mm又は0.2〜0.6mm程度小さいものであればよい。また,凸部21の隆起の高さは,凹部22の窪みの深さ以下とすることが好ましい。例えば,凸部21の隆起の高さは,凹部22の窪みの深さと等しいか,それよりも0.1〜1.0mm又は0.2〜0.6mm程度低くすればよい。実施例について説明すると,凸部21は,直径φを1.6mm,隆起の高さを0.3mmとし,凹部22は,直径φを2mm,窪みの深さを0.5mmとすればよい。なお,凸部21と凹部22の形状は,平面において円形のものに限られず,三角形や四角形その他の多角形とすることも可能である。
本実施形態では,上面11に凸部21と凹部22が2箇所ずつ設けられ,下面12にも凸部21と凹部22が2箇所ずつ設けられている。このように,上面11と下面12とでは,凸部21と凹部22の数が一致していることが好ましい。凸部21の凹部22の配置について具体的に説明すると,図2に示されるように,上面11側では,左面13寄りの領域のうち,前面15側に凹部22,後面16側に凸部21が形成され,右面14寄りの領域のうち,前面15側に凸部21,後面16側に凹部22が形成されている。このように,凸部21の凹部22は,左右と前後で互い違いになるように配置されていることが好ましい。また,下面12側では,上面11の凸部21の真裏に凹部22が形成され,上面11の凹部22の真裏に凸部21が形成されている。このように,厚み方向にみたときに,上面11の凸部21と下面12の凹部22が同じ位置に形成され,上面11の凹部22と下面12の凸部21が同じ位置に形成されていることが好ましい。
図2に示されるように,上面11と下面12とに凸部21と凹部22を配置することで,2つの同形状の人工骨スペーサ10を中心を揃えて上下に重ね合わせれば,基本的には各人工骨スペーサ10をどのように重ね合わせても,凸部21と凹部22が嵌合するとともに,2つの人工骨スペーサ10の面(上面・下面)が隙間無く重ね合わさることとなる。例えば,2つの人工骨スペーサ10の前後方向の向きを揃えた場合,各人工骨スペーサ10の上面11と下面12を合わせるようにして重ねることもできるし,各人工骨スペーサ10の上面11同士又は下面12同士を合わせて重ねることもできる。2つの人工骨スペーサ10の前後方向の向きを揃えて上下に重ねた場合,これらを組み合わせた構造体の傾斜角は2倍になる。他方で,2つの人工骨スペーサ10の前後方向を互いに逆向きにして,上下に重ね合わせることもできる。例えば,2つの人工骨スペーサ10の前後方向を互いに逆向きにした場合,各人工骨スペーサ10の上面11と下面12を合わせるようにして重ねることもできるし,各人工骨スペーサ10の上面11同士又は下面12同士を合わせて重ねることもできる。特に,2つの人工骨スペーサ10の前後方向を互いに逆向きにして,各人工骨スペーサ10の上面11同士(傾斜面同士)を合わせて重ねた場合,人工骨スペーサの傾斜角は相殺され,これらを組み合わせた構造体の上下の面を平行にすることもできる。
例えば,図3には,4枚の人工骨スペーサ10を上下に重ねた場合の例が示されている。図3に示した例では,4枚すべての人工骨スペーサ10の前後の向きが一致しており,かつ,下方の人工骨スペーサ10の上面11に上方の人工骨スペーサ10の下面12を合わせるようにして積まれている。各人工骨スペーサ10は,凸部21と凹部22の嵌合により,上下に安定的に積重ねられている。各人工骨スペーサ10の上面11の傾斜角は約3°である。このため,同形状の人工骨スペーサ10を4枚積み重ねることで,これらを組み合わせた構造体の傾斜角は,各人工骨スペーサ10の傾斜角の4倍と等しい約12°となる。また,各人工骨スペーサ10の後面16側の高さは1.5mmである。このため,同形状の人工骨スペーサ10を4枚積み重ねることで,これらを組み合わせた構造体の高さは,各人工骨スペーサ10の高さの4倍と等しい約6mmとなる。人工骨スペーサ10を重ねる枚数を調整することで,これらを組み合わせた構造体の傾斜角や高さを簡単かつ自由に調整することができる。
また,図4には,2枚の人工骨スペーサ10を上下に重ねた場合の例が示されている。図4に示した例では,2枚の人工骨スペーサ10が前後逆向きに配置されており,かつ,人工骨スペーサ10の上面11同士(傾斜面同士)を合わせるように積まれている。この場合であっても,各人工骨スペーサ10は,凸部21と凹部22の嵌合により,上下に安定的に積重ねられている。図4に示されるように積み重ねることで,2枚の人工骨スペーサ10の傾斜角は相殺され,上下面が平行な構造体をなしている。つまり,下方の人工骨スペーサ10の下面12と上方の人工骨スペーサ10の下面12とが略平行になる。各人工骨スペーサ10は,前面15側の高さが1.0mmであり,後面16側の高さが1.5mmである。このため,図4のように人工骨スペーサ10を2枚積み重ねた構造体は,その高さが2.5mmとなる。このように,2枚の人工骨スペーサ10を,傾斜面を作らずに積み重ねることもできる。このような人工骨スペーサ10の積み上げ方は,例えば骨切り術によって生じた欠損部を補填する際に,人工骨スペーサの傾斜を緩やかにしつつ厚みを確保したい場合などに有効である。
また,図5には,6枚の人工骨スペーサ10を上下に重ねた場合の例が示されている。具体的には,図5では,図4に示した構造体の上に,図3に示した構造体を重ねた状態となっている。図5に示した構造体は,図3に示した構造体と比べて,積み重なっている人工骨スペーサ10の数が増え高さが高くなっているものの,傾斜角は約12°であり,図3と等しくなっている。つまり,傾斜角を約12°に維持しつつ,人工骨スペーサの構造体の高さのみを高くすることができる。このように,本発明の人工骨スペーサ10によれば,積み上げる人工骨スペーサ10の枚数と,積み上げられた構造体の傾斜角とを比例させないで,自由に調整することができる。従って,骨切り術によって生じた欠損部のサイズや角度に合わせて,より適切に人工骨スペーサを補填することが可能となる。
さらに,図3から図5に示されるように,人工骨スペーサ10をどのように積み上げた場合であっても,基本的には,最下層に位置する人工骨スペーサ10から下方に向かって凸部21が突出すると共に,最上層に位置する人工骨スペーサ10から上方に向かって凸部21が突出する。最下層の人工骨スペーサ10の凸部21と最上層の人工骨スペーサ10の凸部21は,生体骨の欠損部の切断面に接触し,この切断面に食い込むこととなる。従って,この凸部21の食い込みによって,複数の人工骨スペーサ10を一体化させた構造体が,生体骨の欠損部から脱転することを防止できる。
さらに,図3から図5に示されるように,人工骨スペーサ10をどのように積み上げた場合であっても,基本的には,最下層に位置する人工骨スペーサ10の凹部22が露出すると共に,最上層に位置する人工骨スペーサ10の凹部22が露出する。各人工骨スペーサ10の凹部22は,生体骨の欠損部の切断面に接触し,この生体骨から新生骨が侵入する。従って,この新生骨の侵入によって人工骨スペーサ10と生体骨とが結合し,アンカー効果などによって,複数の人工骨スペーサ10を一体化させた構造体が,生体骨の欠損部から脱転することを防止できる。
図2を再び参照して,人工骨スペーサ10のさらに具体的な構造について説明する。図2において,上面11と前面15のなす角が符号θで示され,下面12と前面15のなす角が符号θで示されている。ここで,角θは,角θよりも大きい角度であることが好ましい(θ>θ)。具体的には,角θは鈍角であることが好ましく,95〜120°又は100〜115°であることが好ましい。対して,角θは,直角であることが好ましく,85〜95°であってもよい。また,図2において,上面11と後面16のなす角が符号θで示され,下面12と後面16のなす角が符号θで示されている。ここで,角θは,角θよりも小さい角度であることが好ましい(θ<θ)。具体的には,角θは鋭角であることが好ましく,60°〜85°又は65〜80°であることが好ましい。対して,角θは,直角であることが好ましく,85〜95°であってもよい。また,角θと角θの和は,180°に等しいことが好ましく,175〜185°であってもよい。特に,図2の例では,角θと角θの和が180°となり,角θと角θがそれぞれ90°となる例が示されている。このように人工骨スペーサ10を設計することで,複数の人工骨スペーサ10の重ね合わせた場合のバランスを取りやすくなり,安定的に複数の人工骨スペーサ10を積み上げることができる。さらに,図4に示されるように,2つの人工骨スペーサの前後の向きを反転させ,各傾斜面同士を合わせるようにして上下に積み重ねたときに,2つの人工骨スペーサの傾斜角が完全に相殺されるため,上下の面を完全な平行面とすることができる。
本発明の人工骨スペーサ10は,公知の生体適合性を有する材料,より具体的には生体骨に対して好適な適合性を示す材料によって形成することができる。例えば,人工骨スペーサ10の材質は,セラミックスであれば,リン酸カルシウム化合物のハイドロキシアパタイト又はβ−リン酸三カルシウム(β−TCP),あるいは両者の混合物を採用することができる。また,人工骨スペーサ10を樹脂で製作する場合は,PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等の生体適合性のある材質を採用することが好ましい。金属であればチタン,チタン合金,またはポーラスチタン部材が好ましい。
続いて,以下では,図6〜図13を参照して,本発明に係る人工骨スペーサ10の他の実施形態について説明する。以下に説明する実施形態では,基本的に,上述した第1の実施形態と同様の構成については説明を省略し,これと異なる構成を中心に説明を行う。上述した第1の実施形態についての説明は,以下に説明する実施形態に適宜援用できる。
[2.第2の実施形態]
図6は,本発明の第2の実施形態に係る人工骨スペーサ10を示している。図6に示されるように,第2の実施形態に係る人工骨スペーサ10は,上面11から下面12にわたって貫通した貫通孔23を複数箇所に有している。特に,本実施形態において,貫通孔23は,上面11の凸部21と凹部22,及び下面12の凸部21と凹部22と同じ位置に形成されている。すなわち,上面11の凸部21の真裏に下面12の凹部22が形成され,上面11の凹部22の真裏に下面12の凸部21が形成されている構造において,凸部21と凹部22を貫通するように,貫通孔23が設けられている。このように,凸部21と凹部22を貫通するように貫通孔23を設けることで,この貫通孔23を通じて凸部21と凹部22のすき間に新生骨や血液などの環流が発生し,骨形成を促進することが期待される。従って,より早期に,生体と人工骨スペーサ10の結合を達成することができる。
図6に示した各貫通孔23の直径φは,血液などの環流が発生しやすい程度であることが好ましく,例えば0.1〜1.0mm,0.2〜0.6mm,又は0.3〜1.0mmとすればよい。例えば,実施例では,各貫通孔23の直径φを0.4mmとすればよい。
なお,図2に示した第1の実施形態では,上面11と下面12のなす角(傾斜角)が約3°に設定されていたが,図6に示した第2の実施形態では,上面11と下面12のなす角(傾斜角)が約5°に設定されている。
[3.第3の実施形態]
図7は,本発明の第3の実施形態に係る人工骨スペーサ10を示している。図7に示されるように,第3の実施形態に係る人工骨スペーサ10は,上面11から下面12にわたって貫通した貫通孔23を複数箇所に有している。特に,本実施形態において,複数の貫通孔23は,直線上に一列に並んで配置されている。図7に示されるように,貫通孔23の列は,人工骨スペーサ10の左右方向(左面13と右面14を結ぶ方向)の中央において,前後方向(前面15と後面16を結ぶ方向)に延びて形成されている。このため,貫通孔23の列は,人工骨スペーサ10を左右に二分する位置に形成されていることとなる。この貫通孔23には,それぞれ新生骨や血液などの侵入がするため,骨形成を促進される。また,貫通孔23の列は,板状の人工骨スペーサ10を左右に二分割するための分割線としても機能する。人工骨スペーサ10の横幅を短くする必要が生じたときは,この貫通孔23の列に沿って力を加えることで,人工骨スペーサ10を簡単に割ることができる。
また,図7に示されるように,人工骨スペーサ10は,貫通孔23の列を挟んで左右両側の領域において,上面11と下面12のそれぞれに,凸部21と凹部22の両方が形成されている。このため,貫通孔23の列に沿って人工骨スペーサ10を二分割しても,その分割後の各個片には,上面11と下面12のそれぞれに凸部21と凹部22が残ることとなる。従って,人工骨スペーサ10を貫通孔23の列に沿って二分割しても,分割前の人工骨スペーサ10と略同様の機能を果たす。なお,図示は省略されているが,図7に示した第3の実施形態においても,図2に示した第2の実施形態と同様に,上面11の凸部21の真裏に下面12の凹部22が存在し,上面11の凹部22の真裏に下面12の凸部21が存在している。
図7に示した各貫通孔23の直径φは,人工骨スペーサ10を分割しやすい大きさであることが好ましく,人工骨スペーサ10の高さ(厚み)などに応じて適宜調整すればよい。例えば,貫通孔23の直径φは,0.2〜1.2mm,0.4〜0.8mm,又は0.5〜0.7mmとすればよい。例えば,実施例では,各貫通孔23の直径φを0.6mmとすればよい。
[4.第4の実施形態]
図8は,本発明の第4の実施形態に係る人工骨スペーサ10を示している。第4の実施形態に係る人工骨スペーサ10は,上面11(傾斜面)と下面12の形状をダイヤカット状にして,上面11と下面12に凸部21と凹部22を設けている。
具体的に説明すると,本実施形態では,上面11と下面12のそれぞれの中央に,四角形状のダイヤカット状の領域を形成している。ダイヤカット状の領域では,複数の直角二等辺三角形が複数の正方形をなすように互いの辺(斜辺と底辺)を共有している。各直角二等辺三角形は,立体的に斜めに傾斜している。そして,4つの直角二等辺三角形の頂角(90°の角)が合わさる位置に凸部21が形成され,8つの直角二等辺三角形の底角(45°の角)が合わさる位置に凹部22が形成されている。このように形成された凸部21と凹部22は,左右方向と前後方向に互い違いに(交互に)位置する。また,上面11に形成されたダイヤカット状の領域と下面12に形成されたダイヤカット状の領域とでは,凸部21の真裏に凹部22が位置する関係となっている。このため,同形状の人工骨スペーサ10を上下に重ねると,上面11のダイヤカット状の領域をなす二等辺三角形の面と,下面12のダイヤカット状の領域をなす二等辺三角形の面とが,隙間なく密着する。従って,本実施形態に係る人工骨スペーサ10は,上下に重ねたときに強い摩擦力を発揮するため,安定的に積み上げることができる。
[5.第5の実施形態]
図9は,本発明の第5の実施形態に係る人工骨スペーサ10を示している。図9に示されるように,第5の実施形態に係る人工骨スペーサ10は,上面11の四隅に凸部21が形成され,下面12の四隅に凹部22が形成されている。このため,2つの人工骨スペーサ10を上下に積み重ねる際には,ある人工骨スペーサ10の上面11の四隅に形成された凸部21を,他の人工骨スペーサ10の下面12の四隅に形成された凹部22に嵌合させればよい。なお,図9の例において,上面11に凹部22は形成されておらず,下面12に凸部21は形成されていない。
[6.第6の実施形態]
図10は,本発明の第6の実施形態に係る人工骨スペーサ10を示している。図10に示されるように,第6の実施形態に係る人工骨スペーサ10は,上面11の左右の両側縁に沿って凸部21が形成され,下面12の左右両側縁に沿って凹部22が形成されている。このため,2つの人工骨スペーサ10を上下に積み重ねる際には,ある人工骨スペーサ10の上面11の両側縁に形成された凸部21を,他の人工骨スペーサ10の下面12の両側縁に形成された凹部22に嵌合させればよい。なお,図10の例において,上面11に凹部22は形成されておらず,下面12に凸部21は形成されていない。
[7.第7の実施形態]
図11は,本発明の第7の実施形態に係る人工骨スペーサ10を示している。図11に示されるように,第7の実施形態では,人工骨スペーサ10の上面11に,左右方向の中央において,前後方向に沿って延びる分割溝24が形成されている。この分割溝24は,上面11において,前面15側から後面16までの全域に亘って直線状に延びている。このため,この分割溝24は,人工骨スペーサ10を左右に二分する位置に形成されていることとなる。分割溝24は,板状の人工骨スペーサ10を左右に二分割しやすくするための分割線として機能する。つまり,人工骨スペーサ10の横幅を短くする必要が生じたときは,この分割溝24に沿って力を加えることで,人工骨スペーサ10を簡単に割ることができる。
また,図11に示されるように,人工骨スペーサ10は,分割溝24を挟んで左右両側の領域において,上面11と下面12のそれぞれに,凸部21と凹部22の両方が形成されている。このため,分割溝24に沿って人工骨スペーサ10を二分割しても,その分割後の各個片には,上面11と下面12のそれぞれに凸部21と凹部22が残ることとなる。従って,人工骨スペーサ10を分割溝24に沿って二分割しても,分割前の人工骨スペーサ10と略同様の機能を果たす。なお,図示は省略するが,分割溝24は,下面12に形成することとしてもよいし,上面11と下面12の両方に形成することもできる。
図11に示した分割溝24の深さDは,人工骨スペーサ10を分割しやすい深さであることが好ましく,人工骨スペーサ10の高さ(厚み)などに応じて適宜調整すればよい。例えば,分割溝24の深さDは,人工骨スペーサ10の高さ(厚み)の半分程度,例えば30〜70%,40〜60%程度であることが好ましい。具体的には,分割溝24の深さDは,0.5mm〜1.5mmとすればよい。例えば,実施例では,分割溝24の深さDを1.0mmとすればよい。
[8.第8の実施形態]
図12は,本発明の第8の実施形態に係る人工骨スペーサ10を示している。第8の実施形態に係る人工骨スペーサ10は,上述した第3の実施形態(図7)と第7の実施形態(図11)の改良例である。すなわち,第8の実施形態では,人工骨スペーサ10の上面11の分割溝24を形成するとともに,この分割溝24上に沿って複数の貫通孔23の列を形成している。これにより,分割溝24及び貫通孔23の列に沿って,人工骨スペーサ10をさらに分割しやすくなる。
[9.第9の実施形態]
図13は,本発明の第9の実施形態に係る人工骨スペーサ10を示している。第9の実施形態に係る人工骨スペーサ10は,上面11の左右の両側縁に沿って凸部21が形成され,下面12の左右両側縁に沿って凹部22が形成されている。また,上面11側では,左側の凸部21から右側の凸部21にかけて,左右方向に延びる直線筋状の突起部25と窪み部26が複数形成されている。突起部25と窪み部26は前後方向に交互に繰り返し形成されており,いわゆるギザギザ状の領域を形成している。同様に,下面12側においても,左側の凹部22から右側の凹部22にかけて,左右方向に延びる直線筋状の突起部25と窪み部26が複数形成されており,いわゆるギザギザ状の領域を形成している。
また,図13に示されるように,上面11に形成されたギザギザ状の領域と下面12に形成されたギザギザ状の領域とでは,突起部25の真裏に窪み部26が位置する関係となっている。このため,同形状の人工骨スペーサ10を上下に重ねると,上面11のギザギザ状の領域と下面12のギザギザ状の領域が嵌合し,隙間なく密着する。従って,本実施形態に係る人工骨スペーサ10は,上下に重ねたときに強い摩擦力を発揮するため,安定的に積み上げることができる。
以上,本願明細書では,本発明の内容を表現するために,図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし,本発明は,上記実施形態に限定されるものではなく,本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
本発明は,変形性膝関節症の整形外科手術などにおいて用いられる人工骨スペーサに関する。従って,本発明は医療機器の製造業において好適に利用し得る。
10…人工骨スペーサ 11…上面 12…下面
13…左面 14…右面 15…前面
16…後面 21…凸部 22…凹部
23…貫通孔 24…分割溝 25…突起部
26…窪み部

Claims (7)

  1. 互いに対面する上面(11)及び下面(12)を有する人工骨スペーサ(10)であって,
    前記上面(11)と前記下面(12)の一方は,他方に対して傾斜した傾斜面となっており,
    前記上面(11)と前記下面(12)の両方に凸部(21)及び凹部(22)が形成されているか,若しくは前記上面(11)と下面(12)の一方に凸部(21)が形成され他方に凹部(22)が形成されており,
    2つの同形状の前記人工骨スペーサ(10)を中心を揃えて上下に重ねた場合に,第1の前記人工骨スペーサ(10)の前記凸部(21)と第2の前記人工骨スペーサ(10)の前記凹部(22)が嵌合する
    人工骨スペーサ。
  2. 前記上面(11)から前記下面(12)までの上下の高さが前後の長さ及び左右の幅よりも小さい
    請求項1に記載の人工骨スペーサ。
  3. 前記上面(11)と前記下面(12)の両方に前記凸部(21)及び前記凹部(22)が形成されており,
    2つの同形状の前記人工骨スペーサ(10)を前記上面(11)と前記下面(12)を合わせて上下に重ねた場合に,第1の前記人工骨スペーサ(10)の前記凸部(21)と第2の前記人工骨スペーサ(10)の前記凹部(22)が嵌合し,かつ,
    2つの同形状の前記人工骨スペーサ(10)を前記上面(11)同士又は前記下面(12)同士を合わせて上下に重ねた場合に,第1の前記人工骨スペーサ(10)の前記凸部(21)と第2の前記人工骨スペーサ(10)の前記凹部(22)が嵌合する
    請求項1又は請求項2に記載の人工骨スペーサ。
  4. 前記人工骨スペーサ(10)は,互いに対面する上面(11)と下面(12),互いに対面する左面(13)と右面(14),及び互いに対面する前面(15)と後面(16)とを有し,
    前記傾斜面である前記上面(11)と前記下面(12)の一方と前記前面(15)とのなす角θは,他方と前記前面(15)とのなす角θよりも大きくなっており,
    前記傾斜面である前記上面(11)と前記下面(12)の一方と前記後面(16)とのなす角θは,他方と前記後面(16)とのなす角θよりも小さくなっている
    請求項1から請求項3のいずれかに記載の人工骨スペーサ。
  5. 前記角θと前記角θの和は,180°に等しく
    前記角θ及び前記角θは,直角である
    請求項4に記載の人工骨スペーサ。
  6. 前記上面(11)から前記下面(12)にわたって貫通した一又は複数の貫通孔(23)をさらに有する
    請求項1から請求項5のいずれかに記載の人工骨スペーサ。
  7. 前記上面(11)と前記下面(12)の両方又は一方に,前記人工骨スペーサ(10)の分割を容易にするための分割溝(24)をさらに有する
    請求項1から請求項6のいずれかに記載の人工骨スペーサ。
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