JP2016164739A - Rfid付き無線通信端末 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極間の電気的な導通をより確実に確保することができるRFID付き無線通信端末を提供する。【解決手段】非接触ICカード10は、フィルム基材11と、外部装置との間で無線通信を行うため渦巻き状に形成されたアンテナコイル13と、アンテナコイル13を介して無線通信処理を行うICチップ12と、アンテナコイル13の内側終端及び外側終端それぞれに接続される第1の一対の平板電極14a,14bと、第1の一対の平板電極14a,14bとそれぞれが互いに対向するように配置される第2の一対の平板電極16a,16bと、アンテナコイル13の一部と対向して第2の一対の平板電極16a,16を連結するジャンパ線17と、を備えている。この非接触ICカード10では、第1の一対の平板電極14a,14bと第2の一対の平板電極16a,16bとが容量部を形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、RFID付き無線通信端末に関する。
HF帯(例えば13.56MHz)の信号を用いて無線通信を行う非接触ICカードなどの無線通信端末が知られている(例えば特許文献1参照)。このような無線通信端末では、両面に金属箔が貼り合わされたフィルム基材をエッチング等により加工することで、コイルアンテナや端子電極等をフィルム基材上に形成している。
特開2001−109862号
このような両面金属箔貼り合わせ基材を用いて無線通信端末を形成した場合、エッチング等により基材の両面に形成された電極同士を導通させるため、圧力を付与して両者を接続させていた。しかしながら、この場合、無線通信端末を構成する基材に熱が加わると、その熱膨張により電極同士の接続が外れてしまい、電極間の導通を確保できなくなってしまう場合があった。
本発明は、上述した課題を解決するためのものであり、電極間の電気的な導通をより確実に確保することができるRFID付き無線通信端末を提供することを目的とする。
本発明は、RFID付き無線通信端末に関する。このRFID付き無線通信端末は、フィルム基材と、フィルム基材の一方の面に配置され、外部装置との間で無線通信を行うため渦巻き状に形成されたアンテナコイルと、アンテナコイルを介して無線通信処理を行うICチップと、アンテナコイルの内側終端及び外側終端それぞれに接続され、フィルム基材の一方の面に並列配置される第1の一対の平板電極と、第1の一対の平板電極とフィルム基材の厚み方向においてそれぞれが互いに対向するようにフィルム基材の他方の面に並列配置される第2の一対の平板電極と、フィルム基材の厚み方向においてアンテナコイルの一部と対向し、第2の一対の平板電極をフィルム基材の他方の面上において連結するジャンパ部と、を備えている。このRFID付き無線通信端末では、第1の一対の平板電極と第2の一対の平板電極とが容量部を形成している。
このRFID付き無線通信端末では、フィルム基材の両面に互いに対向するように第1及び第2の一対の平板電極をそれぞれ設け、これら第1及び第2の一対の平板電極により容量部を形成している。つまり、第1の一対の平板電極と第2の一対の平板電極とを直接接続させることなくフィルム基材を介して配置し、これら第1及び第2の一対の平板電極により高周波信号を伝搬可能な容量部をその回路中に形成している。この場合、第1及び第2の一対の平板電極は高周波領域において電気的に導通されるものの互いに直接接続される構成ではないため、フィルム基材に熱が加わって膨張したとしても第1及び第2の一対の平板電極によって形成される容量部による信号の伝搬が出来なくなるわけではないため、電極間の電気的な導通をより確実に確保することができる。そして、この無線通信端末によれば、基材の両面に形成された電極間での導通が確実に確保されるため、両者間での信号の授受も確実に行うことができ、外部装置とICチップとの間での信号の授受をより確実に行うことができる。
上記のRFID付き無線通信端末では、ジャンパ部は、1つのジャンパ線から構成され、当該ジャンパ線は、フィルム基材のアンテナ形成面から透かして視た際に(フィルム基材の厚み方向から視た際に)、少なくともアンテナコイルと交わる部分においては互いが直交するように形成されていてもよい。この場合、ジャンパ線とアンテナコイルとが対向することによって生成される不要な静電容量を少なくすることができる。また、当該ジャンパ線は、第2の一対の平板電極同士を最短距離で接続するようにしてもよい。この場合、当該ジャンパ線自体の抵抗損失を減らすことができる。
上記のRFID付き無線通信端末では、ジャンパ部は、少なくとも2つ以上のジャンパ線を含んで構成されていてもよい。ジャンパ部が1つのジャンパ線から構成される場合、第2の一対の平板電極間の導通が1つのジャンパ線により取られるため、平板電極を流れる電流の一部が平板電極上を往復するように流れることにより、平板電極における電気抵抗が増加してしまい、アンテナの電気的損失が上昇し、放射効率を低下させてしまう場合がある。しかし、ジャンパ部が少なくとも2つ以上のジャンパ線を含んで構成されることにより、平板電極上の電流の流れをスムーズにして電気的抵抗を下げ、これにより、アンテナの電気的損失の上昇を抑え、放射効率を向上させることが可能となる。なお、この場合において、上記少なくとも2つ以上のジャンパ線は、第2の一対の平板電極において、それぞれ相対する辺全体の方向にそれぞれジャンパ線の構成数の分、当該平板電極を等分割した各部位における、それら相対する辺の各中央部付近をそれぞれ互いにジャンパ線で接続するような形で形成されていることが好ましい。このように形成されることにより、平板電極上の電流の流れをよりスムーズにすることが可能となる。
上記のRFID付き無線通信端末では、ジャンパ部の1つのジャンパ線は、第2の一対の平板電極を、その長手方向の中央部にて連結してもよい。この場合、第2の一対の平板電極を流れる電流をより均等に流すことが可能となる。
上記のRFID付き無線通信端末では、第1の一対の平板電極と第2の一対の平板電極とは、フィルム基材の厚み方向から視た場合、各平板電極が一致するようにフィルム基材に配置されていてもよい。この場合、第1及び第2の一対の平板電極によって形成される静電容量を電極の面積比に対して最大化することができる。また、第1の一対の平板電極と第2の一対の平板電極とは、フィルム基材の厚み方向から視た場合、どちらか一方の平板電極が、もう片方の平板電極を完全に覆う形でフィルム基材に配置されていてもよい。この場合、第1の一対の平板電極の形成位置に対し、第2の一対の平板電極の形成位置が製造公差等の原因で若干のズレが生じたとしても、両電極で形成される平行平板の静電容量が変化することはなく、製品の電気的特性のバラつきを減らす効果が期待できる。
本発明によれば、電極間の電気的な導通をより確実に確保したRFID付き無線通信端末を提供することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る非接触ICカードの内部構成を示す斜視図であり、(a)は、その上面側からの斜視図であり、(b)は、その裏面側からの斜視図である。 図2(a)は、図1に示す非接触ICカードのII(a)−II(a)線に沿った断面図であり、図2(b)は、図1に示す非接触ICカードのII(b)−II(b)線に沿った断面図である。 図3は、図1に示す非接触ICカードの等価回路を示す回路図である。 図4は、本発明の第2実施形態に係る非接触ICカードの内部構成を示す斜視図であり、(a)は、その上面側からの斜視図であり、(b)は、その裏面側からの斜視図である。 図5は、図4に示す非接触ICカードの変形例を示す図であり、(a)は、その上面側からの斜視図であり、(b)は、その裏面側からの斜視図である。 図6は、第1実施形態及び第2実施形態に係る非接触ICカードのジャンパ部(ジャンパ線)での電流の流れを模式的に示す図であり、(a)は、第1実施形態の場合を示し、(b)は、第2実施形態の場合を示し、(c)は、第2実施形態の変形例の場合を示す。 図7は、第1実施形態及び第2実施形態に係る非接触ICカードのジャンパ部での放射磁界の広がりのシミュレーション結果を示す図であり、(a)は、第1実施形態の場合を示し、(b)は、第2実施形態の場合を示す。 図8は、第1実施形態及び第2実施形態に係る非接触ICカードのジャンパ部及び連結される平板電極での電流分布を示す図であり、(a)は、第1実施形態の場合の表裏両面を示し、(b)は、第2実施形態の場合の表裏両面を示す。 図9は、図8に示すシミュレーションに用いた等価回路の概略構成を示す。 図10は、第2実施形態におけるジャンパ線の配置間隔を示すための図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る非接触ICカードについて詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いる場合があり、重複する説明は省略する。
[第1実施形態]
まず、図1〜図3を参照して、本発明の第1実施形態に係る非接触ICカードについて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る非接触ICカードの内部構成を示す斜視図であり、(a)は、その上面側からの斜視図であり、(b)は、その裏面側からの斜視図である。図2(a)は、図1に示す非接触ICカードのII(a)−II(a)線に沿った断面図であり、図2(b)は、図1に示す非接触ICカードのII(b)−II(b)線に沿った断面図である。図3は、図1に示す非接触ICカードの等価回路を示す図である。なお、図1の(b)は、図1の(a)に示す斜視図の長手方向における中心線を軸として反転した裏側の図を示している。非接触ICカードは、主にHF帯(例えば13.56MHz)の信号を用いてリーダーライター等の外部読み書き装置(不図示)との間でRFID技術を用いて非接触通信を行うことができるRFID付き無線通信端末である。
非接触ICカード10は、図1及び図2に示すように、矩形形状のフィルム基材11を備えている。フィルム基材11の表面11a上には、ICチップ12、アンテナコイル13、及び、第1の一対の平板電極14a,14bが配置され、フィルム基材11の裏面11b上には、第2の一対の平板電極16a,16b及びジャンパ線17(ジャンパ部)が配置される。
フィルム基材11は、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)やポリエチレンテレフタレート共重合体(PET−G)等の絶縁性や耐久性を備えた材料から構成される。フィルム基材11の表裏両面11a,11bには、エッチング等による加工前には金属箔が貼り合わされており、これら金属箔をエッチング等によって加工して、アンテナコイル13、第1の一対の平板電極14a,14b、第2の一対の平板電極16a,16b、及びジャンパ線17を形成する。
ICチップ12は、例えばID情報が格納されたICタグから構成される。ICチップ12は、フィルム基材11の表面11a上においてアンテナコイル13の経路上のどこかに配置され、その両端子がアンテナコイル13に接続される。ICチップ12は、導通されたアンテナコイル13を介して無線通信処理を行い、外部読み書き装置との間で所定の信号の授受を行う。
アンテナコイル13は、リーダ―ライター等の外部読み書き装置のアンテナと電磁結合して非接触の無線通信を行うための平面渦巻き状のアンテナである。アンテナコイル13は、この無線通信により、信号の授受及び電力の受給を非接触状態で行う。アンテナコイル13は、フィルム基材11の表面11a上に配置された導体から形成される。具体的には、例えば厚さ15μm〜50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等の絶縁性のフィルム基材11の表面11a側に貼り合わされた厚さ5μm〜50μmの銅箔又はアルミ箔をエッチングすることにより、パターン形成される。このようなアンテナコイル13は、その外側終端において平板電極14aに接続され、その内側終端において平板電極14bに接続される。
第1の一対の平板電極14a,14bは、それぞれ矩形形状の平面電極であり、アンテナコイル13の一部をその間に挟んだ状態で、フィルム基材11の表面11a上の一方の端側に並列して配置される。平板電極14bは、アンテナコイル13の内側に形成されることから、平板電極14aよりもその電極面積が僅かに小さくなっている。但し、平板電極14a,14bの電極面積は同じでもよいし、平板電極14bの方が平板電極14aより大きくなっていてもよい。また、平板電極14aは、上述したように、アンテナコイル13の外側終端に接続され、平板電極14bは、アンテナコイル13の内側終端に接続される。なお、第1の一対の平板電極14a,14bは、アンテナコイル13と同様に、フィルム基材11の表面11a側に貼り合わされた金属箔をエッチングすることによりパターン形成される。後述する第2の一対の平板電極16a,16b及びジャンパ線17も同様に形成される。
第2の一対の平板電極16a,16bは、それぞれ矩形形状の平面電極であり、アンテナコイル13に対応する領域の一部をその間に挟んだ状態で、フィルム基材11の裏面11b上の一方の端側に並列して配置される。平板電極16bは、アンテナコイル13に対応する領域(図1の(b)のアンテナコイル13を点線で示す領域)の内側に形成されることから、平板電極16aよりもその電極面積が僅かに小さくなっているが、第1の一対の平板電極14a,14bと同様に、それに限定されるものではない。また、図2の(a)及び(b)に示すように、第2の一対の平板電極16a,16bは、フィルム基材11の厚み方向において、第1の一対の平板電極14a,14bと対向するように形成される。より具体的には、平板電極14aと平板電極16aとが互いに対向し、平板電極14bと平板電極16bとが互いに対向する。このような対向配置により、第1の一対の平板電極14a,14bと第2の一対の平板電極16a,16bが2つの容量部(図3参照)をそれぞれ形成する。
また、互いに対向する平板電極14aと平板電極16aとは、同じ形状及び同じ大きさ(面積)を有していることが好ましく、互いに対向する平板電極14bと平板電極16bも同様に同じ形状及び同じ大きさを有していることが好ましい。そして、これら第1の一対の平板電極14a,14bと第2の一対の平板電極16a,16bとは、フィルム基材11の厚み方向から視た場合に、各平板電極が一致するか、もしくは第1の一対の平板電極14a,14bと第2の一対の平板電極16a,16bのどちらか一方の平板電極が、もう片方の平板電極を完全に覆う形でフィルム基材11に配置されていてもよい。なお、第2の一対の平板電極16a,16bは、第1の一対の平板電極14a,14bとは異なり、アンテナコイル13には接続されていない。
ジャンパ線17は、第2の一対の平板電極16a,16bをフィルム基材11の裏面11b上において連結する配線である。ジャンパ線17は、対向するアンテナコイル13との間の静電容量を小さくすることが好ましいため、その幅は出来るだけ細いことが好ましく例えば1〜3mm程度である。また、ジャンパ線17は、前記したように、フィルム基材11の厚み方向において、アンテナコイル13の一部と対向するように配置されるが、好ましくは、アンテナコイル13と直交するように配置形成されている。これにより、発生する静電容量を更に小さくすることができる。なお、ここでいう「直交」は、フィルム基材11の厚み方向から視た際(フィルム基材11のアンテナ形成面から透かして視た際)に、アンテナコイル13とジャンパ線17とが90度で交差している場合のみを含む趣旨ではなく、設計上許容されるその前後10度(80度〜100度)の範囲で交差している場合を含む趣旨である。また、前記「直交する配置」については、アンテナコイルとジャンパ線とが少なくとも交わる部分において「直交」しており、必ずしもジャンパ線全体がアンテナコイルと「直交」する配置である必要はない。また、ジャンパ線17は、上記したような直行配置等により、第2の一対の平板電極16a,16間を最短距離で結ぶことができる。これにより、ジャンパ線17自体の抵抗損失を減らすこともできる。このようなジャンパ線17により、平板電極16aと平板電極16bとの導通が図られる。なお、図1の(b)に示す例では、ジャンパ線17は、平板電極16a,16bの長手方向の中央部で平板電極16a,16bを連結しているが、必ずしも中央部ではなくてもよい。
このような構成を有する非接触ICカード10は、図3に示すような等価回路として表すことができる。つまり、図3に示すように、非接触ICカード10は、ICチップ12、アンテナコイル13、第1の容量部14a,16a、ジャンパ線17、及び、第2の容量部14b,16bの順に並ぶ回路から構成される。
以上、本実施形態に係る非接触ICカード10では、フィルム基材11の両面11a,11bに互いに対向するように第1及び第2の一対の平板電極14a,14b,16a,16bをそれぞれ設け、これら第1及び第2の一対の平板電極14a,14b,16a,16bにより2つの容量部を形成している。つまり、第1の一対の平板電極14a,14bと第2の一対の平板電極16a,16bとを直接接続させることなくフィルム基材11を介して配置し、これら第1及び第2の一対の平板電極14a,14b,16a,16bにより高周波信号を伝搬可能な容量部をその回路中に形成している。このように、第1及び第2の一対の平板電極14a,14b,16a,16b間では高周波領域において電気的に導通されるものの互いに直接接続されていないため、フィルム基材11に熱が加わって膨張したとしても第1及び第2の一対の平板電極14a,14b,16a,16bによって形成される容量部による信号の伝搬が出来なくなるわけではないため、電極間の電気的な導通をより確実に確保することができる。そして、この非接触ICカード10によれば、フィルム基材11の両面に形成された電極間での導通が確実に確保されるため、両者間での信号の授受も確実に行うことができ、外部装置とICチップ12との間での信号の授受をより確実に行うことができる。
また、本実施形態に係る非接触ICカード10では、ジャンパ線17は、フィルム基材11の厚み方向から視た際に、アンテナコイル13と直交するように形成されている。このため、ジャンパ線17とアンテナコイル13とが対向することによって生成される不要な静電容量をできるだけ少なくすることができる。
また、本実施形態に係る非接触ICカード10では、ジャンパ線17は、第2の一対の平板電極16a,16bを、その長手方向の中央部にて連結している、このため、第2の一対の平板電極16a,16bを流れる電流をより均等に流すことが可能となり、平板電極16a,16b上の電流の流れをスムーズにして電気抵抗を下げ、これにより、アンテナコイル13の電気的損失の上昇を抑え、放射効率を向上させることが可能となる。
また、本実施形態に係る非接触ICカード10では、第1の一対の平板電極14a,14bと第2の一対の平板電極16a,16bとは、フィルム基材11の厚み方向から視た場合、各平板電極14a,14b,16a,16bが一致するようにフィルム基材11に配置されている。このため、第1及び第2の一対の平板電極14a,14b,16a,16bによって形成される静電容量をより大きくすることができる。また、同じくフィルム基材11の厚み方向から視た場合、第1の一対の平板電極14a,14bと第2の一対の平板電極16a,16bのどちらか一方の平板電極が、もう片方の平板電極を完全に覆う形でフィルム基材に配置されていてもよい。この場合、第1の一対の平板電極14a,14bの形成位置に対し、第2の一対の平板電極16a,16bの形成位置が製造公差等の原因で若干のズレが生じたとしても、両電極で形成される平行平板の静電容量が変化することはなく、製品の電気的特性のバラつきを減らす効果が期待できる。
[第2実施形態]
次に、図4を参照して、本発明の第2実施形態に係る非接触ICカードについて説明する。図4は、本発明の第2実施形態に係る非接触ICカードの内部構成を示す斜視図であり、(a)は、その上面側からの斜視図であり、(b)は、その裏面側からの斜視図である。なお、図4の(b)は、図4の(a)に示す斜視図の長手方向における中心線を軸として反転した裏面側の図を示している。図4に示すように、非接触ICカード10aは、第1実施形態と同様に、フィルム基材11、ICチップ12、アンテナコイル13、第1の一対の平板電極14a,14b、及び、第2の一対の平板電極16a,16bを備えている。
その一方、非接触ICカード10aは、第1実施形態と異なり、3本のジャンパ線17a,17b,17cを備えており、これら3本のジャンパ線17a,17b,17cにより、第2の一対の平板電極16a,16bが互いに導通するように連結されている。また、3本のジャンパ線17a,17b,17cは、互いの間隔が均等となるように配置されており、その内のジャンパ線17bが平板電極16a,16bの長手方向の中央部にて両者を連結する。また、これらジャンパ線17a,17b,17cは、第1実施形態のジャンパ線17と同様に、少なくともアンテナコイル13と交わる部分においては、それぞれがアンテナコイル13と直交するように形成されている。
なお、第2実施形態に係る非接触ICカードは、3本のジャンパ線17a,17b,17cを備えたものに限定されるわけではなく、図5に変形例として示すように、2本のジャンパ線17d,17eを備えた非接触ICカード10bであってもよい。この非接触ICカード10bでは、2本のジャンパ線17d,17eにより、第2の一対の平板電極16a,16bが互いに連結されて導通可能となっている。また、本実施形態に係る非接触ICカードは、4本以上のジャンパ線を備えた非接触ICカードであってもよい。
以上、第2実施形態に係る非接触ICカード10a,10bでは、ジャンパ線の本数は異なるものの、第1実施形態と同様の容量部の構成を備えており、第1及び第2の一対の平板電極14a,14b,16a,16bでの電気的な導通は確保でき、且つ互いに直接接続されていないため、フィルム基材11に熱が加わって膨張したとしても第1及び第2の一対の平板電極14a,14b,16a,16bによって形成される容量部による信号の伝搬が出来なくなるわけではなく、フィルム基材11の両面に形成された電極間での信号の授受を確実に行うことができる。即ち、本実施形態に係る非接触ICカード10a,10bによれば、第1実施形態と同様、電極間の導通をより確実に確保することができ、その結果、外部装置とICチップ12との間での信号の授受をより確実に行うことができる。
ここで、第1実施形態に係る非接触ICカード10と、第2実施形態に係る非接触ICカード10a(10b)との間におけるジャンパ線の本数の違いによる作用効果の違いについて、図6〜図9を参照して説明する。図6は、第1実施形態及び第2実施形態に係る非接触ICカードのジャンパ部(ジャンパ線)での電流の流れを模式的に示す図であり、(a)は、第1実施形態の場合を示し、(b)は、第2実施形態の場合を示し、(c)は、第2実施形態の変形例の場合を示す。
まず、第1実施形態に係る非接触ICカード10の場合について説明する。図6の(a)に示すように、非接触ICカード10は、平板電極16a,16bを連結するジャンパ部が1本のジャンパ線17から構成され、第2の一対の平板電極16a,16b間の導通が1本のジャンパ線17により取られる構成となっている。このため、非接触ICカード10では、平板電極16a,16bを流れる電流の一部が平板電極16a,16b上を往復するように流れてしまうことにより、平板電極16a,16bにおける電気抵抗がやや増加してしまう可能性がある。仮に電気抵抗が増加してしまうと、アンテナコイル13の電気的損失が上昇し、放射効率が低下してしまう。
これに対し、図6の(b)及び(c)に示すように、第2実施形態に係る非接触ICカード10a,10bのジャンパ部は、少なくとも2本以上のジャンパ線17a〜17c又は17d〜17eを含んで構成されている。このため、平板電極16a,16b上の電流の平均的な流路長を最小化すると共にその流れをよりスムーズにして電気抵抗を下げ、これにより、アンテナの電気的損失の上昇を抑え、非接触ICカード10a,10bにおいて、放射効率を向上させることが可能となる。なお、上記実施形態では、第2の一対の平板電極16a,16bがそれぞれ相対する辺全体の方向(図6の実施例では長辺方向)にそれぞれジャンパ線の構成数の分、平板電極を等分割した各部位における相対する辺の各中央部付近を互いに接続するような形で形成されていることが好ましい。具体的には図10(a)において、辺a,b,c,dの長さの相関関係として、a≧2×bであり、かつc≦2×dが目安として成り立つ。また、図10(b)の例においては、辺e,f,g,h,i,jの長さの相関関係としては、e≧2×f、h≦2×i、f≒g、i≒jが目安としてそれぞれ成り立つことが好ましい。また、ここでは一対の平板電極16a,16bが互いに長方形である場合の例を示したが、これらの電極がL字型やコの字であったり、平板電極同士が相対する辺が半円形であったとしても同様の考えでジャンパ線の配置を決定することが可能である。このことにより、平板電極16a,16b上の電流の流れをよりスムーズにすることが可能となる。
上述した作用効果をより具体的に示すため、図7〜図9を参照して、以下にシミュレーションを行った結果を示す。図7は、第1実施形態及び第2実施形態に係る非接触ICカードのアンテナから放射される磁界の広がりのシミュレーション結果を示す図であり、(a)は、第1実施形態の場合を示し、(b)は、第2実施形態の場合を示す。図8は、第1実施形態及び第2実施形態に係る非接触ICカードのジャンパ部及び連結される平板電極での電流分布を示す図であり、(a)は、第1実施形態の場合の表裏両面を示し、(b)は、第2実施形態の場合の表裏両面を示す。図9は、図8に示すシミュレーションに用いた等価回路の概略構成を示す。
図7の(a)と(b)との比較から読み取れるように、IC端子より13.6MHzの周波数で1[W]相当の電力を給電した際の非接触ICカード10(1本のジャンパ線17)と非接触ICカード10a(3本のジャンパ線17a〜17c)における放射磁界は、僅かではあるが、第2実施形態に係る非接触ICカード10aの方が広くなっており、磁界の広がりが範囲として3%増、入力電力換算として0.7dB増加したことが確認された。
また、図9の等価回路に相当するように2つの平板電極間をジャンパ部と共に給電部で連結した場合の電気特性のシミュレーションを行った。適用周波数を13.6MHzとした場合、その平板電極部におけるインピーダンスを比較したところ、第2実施形態に係る非接触ICカード10aにおける平板電極の方が、第1実施形態に係る非接触ICカード10における平板電極に比べて、その抵抗値(実部インピーダンス)が13%程度低く抑えられることが確認された。
以上、本実施形態に係る非接触ICカードについて説明してきたが、本発明に係るRFID付きの無線通信端末は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形を適用することができる。
10,10a,10b…非接触ICカード(RFID付き無線通信端末)、11…フィルム基材、12…ICチップ、13…アンテナコイル、14a,14b…第1の一対の平板電極、16a,16b…第2の一対の平板電極、17,17a〜17e…ジャンパ線(ジャンパ部)。

Claims (9)

  1. フィルム基材と、
    前記フィルム基材の一方の面に配置され、外部装置との間で無線通信を行うため渦巻き状に形成されたアンテナコイルと、
    前記アンテナコイルを介して無線通信処理を行うICチップと、
    前記アンテナコイルの内側終端及び外側終端それぞれに接続され、前記フィルム基材の前記一方の面に並列配置される第1の一対の平板電極と、
    前記第1の一対の平板電極と前記フィルム基材の厚み方向においてそれぞれが互いに対向するように前記フィルム基材の他方の面に並列配置される第2の一対の平板電極と、
    前記フィルム基材の厚み方向において前記アンテナコイルの一部と対向して前記第2の一対の平板電極を前記フィルム基材の前記他方の面上において連結するジャンパ部と、
    を備え、
    前記第1の一対の平板電極と前記第2の一対の平板電極が容量部を形成する、RFID付き無線通信端末。
  2. 前記ジャンパ部は、1本のジャンパ線から構成され、当該ジャンパ線は、前記フィルム基材のアンテナ形成面から透して視た際に、少なくとも前記アンテナコイルと交わる部分においては互いが直交するように形成されている、請求項1に記載のRFID付き無線通信端末。
  3. 前記ジャンパ部は、前記第2の一対の平板電極間の最短距離を結ぶように形成されている、請求項1又は2に記載のRFID付き無線通信端末。
  4. 前記ジャンパ部は、少なくとも2本以上のジャンパ線を含んで構成される、請求項1に記載のRFID付き無線通信端末。
  5. 前記少なくとも2本以上のジャンパ線は、前記フィルム基材のアンテナ形成面から透して視た際に、少なくとも前記アンテナコイルと交わる部分においてはそれぞれが前記アンテナコイルと直交するように形成されている、請求項4に記載のRFID付き無線通信端末。
  6. 前記第2の一対の平板電極において、それぞれ相対する辺全体の方向にそれぞれジャンパ線の構成数の分、当該平板電極を等分割した各部位における前記相対する辺の各中央部付近をそれぞれ互いに前記ジャンパ線で接続するように形成されている、請求項1〜4の何れか一項に記載のRFID付き無線通信端末。
  7. 前記第2の一対の平板電極において、それぞれ相対する辺全体の方向にそれぞれジャンパ線の構成数の分、当該平板電極を等分割した各部位における前記相対する辺同士の最短距離をそれぞれ互いにジャンパ線で接続するように形成されている、請求項6に記載のRFID付き無線通信端末。
  8. 前記第1の一対の平板電極と前記第2の一対の平板電極とは、前記フィルム基材の厚み方向から視た場合、各平板電極が一致するように前記フィルム基材に配置される、請求項1〜7の何れか一項に記載のRFID付き無線通信端末。
  9. 前記第1の一対の平板電極と前記第2の一対の平板電極とは、前記フィルム基材の厚み方向から視た場合、どちらか一方の平板電極が、もう片方の平板電極を完全に覆う形で前記フィルム基材に配置される、請求項1〜7の何れか一項に記載のRFID付き無線通信端末。
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