JP2016163989A - プレス成形体の製造方法、及びプレス成形体の製造装置 - Google Patents

プレス成形体の製造方法、及びプレス成形体の製造装置 Download PDF

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【課題】不連続炭素繊維と熱可塑性樹脂とを含む複合材料をコールドプレスしてプレス成形体を製造する方法に関するものであり、かかる従来技術の問題点を解消し、さまざまな形状に対応できる形状自由性に優れるプレス成形体の製造方法を提供すること。
【解決手段】不連続炭素繊維と熱可塑性樹脂とを含む複合材料をコールドプレスして、プレス成形体を製造する方法であって、式(1)、(2)を満たし、かつ以下の工程1〜5を含むプレス成形体の製造方法。
工程1:加熱した複合材料を成形型に配置する工程。
工程2:加圧開始時刻t0から、流動開始圧力Pfに達する時刻t1までが1秒以下の工程。
工程3:時刻t2において、最大圧力Pmに達する工程。
工程4:平均保圧Pkで複合材料を時刻t2から時刻t3までプレスする保圧工程。
工程5:成形型を開放し、成形体を成形型から取り出す工程。
ただし、
式(1) 4 < Pf/t1 < 7500 [MPa/sec]
式(2) 45 < Pk×(t3−t2) < 5400 [MPa・sec]
【選択図】なし

Description

本発明は、不連続炭素繊維と熱可塑性樹脂とを含む複合材料をコールドプレスして、プレス成形体を製造する方法およびプレス成形体の製造装置に関するものである。
より詳しくは、本発明は、不連続炭素繊維と熱可塑性樹脂とを含む複合材料を、成形型内で流動させ、圧縮成形してプレス成形体を製造するにあたり、成形時の流動性に優れ、プレス成形体の形状自由度が向上する製造方法に関するものである。
炭素繊維で強化された複合材料は、その高い比強度・比弾性率を利用して、航空機や自動車などの構造材料や、テニスラケット、ゴルフシャフト、釣竿などの一般産業やスポーツ用途等に広く利用されてきた。これらに用いられる炭素繊維の形態としては、連続繊維を用いて作られる織物や、1方向に繊維が引き揃えられたUDシート、カットした繊維(不連続繊維)を用いて作られるランダムシート、不織布等がある。
近年、従来の熱硬化性樹脂に代わり、熱可塑性樹脂をマトリクスに用いた複合材料が注目されている。例えば、不連続炭素繊維と熱可塑性樹脂を含浸させた成形用材料を熱可塑性樹脂の軟化点(可塑化温度)以上に加熱し、融点以下もしくはガラス転移温度以下に調整された成形型に投入後、型締めにて賦形する成形方法が開発されている(特許文献1、2)。
特許文献1には、特定形態の不連続炭素繊維と熱可塑性樹脂を含んだ流動しやすい成形材料をプレス成形することにより、表面が平滑であり、均一な厚さを有する成形体およびその製造方法が記載されている。
特許文献2には、成形機やユーティリティー設備の容量が大きくするのを防ぐため、不連続炭素繊維と熱可塑性樹脂を含む成形材料を低圧成形して流動させ、複雑形状や大型の成形体を製造する技術が提案されている。
特許文献3には、溶融熱可塑性樹脂のプレス開始から圧縮速度が最大速度に達するまでの加速領域を制御することにより、表面転写性に優れた表面外観の良好な成形品を得る方法が記載されている。
特開2013−52602号公報 国際公開第2013/018920号 特開平9−104025号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、成形時の複合材料の挙動は考慮されておらず、より一層流動させることで、より複雑な形状に対応出来るか、必ずしも明確ではなかった。同様に、特許文献2に記載の発明では、流動開始圧力に達する時間が考慮されていないため、より複雑な形状に対応できるかどうか、必ずしも明確ではなかった。
また、特許文献3は熱可塑性樹脂のプレス成形に関する技術であり、不連続炭素繊維と熱可塑性樹脂とを含む複合材料には、そのまま適応できない。
したがって本発明の課題は、不連続炭素繊維と熱可塑性樹脂とを含む複合材料をコールドプレスしてプレス成形体を製造する方法に関するものであり、かかる従来技術の問題点を解消し、さまざまな形状に対応できる形状自由性に優れるプレス成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
1. 不連続炭素繊維と熱可塑性樹脂とを含む複合材料をコールドプレスして、プレス成形体を製造する方法であって、式(1)、(2)を満たし、かつ以下の工程1〜5を含むプレス成形体の製造方法。
工程1:加熱した複合材料を成形型に配置する工程。
工程2:加圧開始時刻t0から、流動開始圧力Pfに達する時刻t1までが1秒以下の工程。
工程3:時刻t2において、最大圧力Pmに達する工程。
工程4:平均保圧Pkで複合材料を時刻t2から時刻t3までプレスする保圧工程。
工程5:成形型を開放し、成形体を成形型から取り出す工程。
ただし、
式(1) 4 < Pf/t1 < 7500 [MPa/sec]
式(2) 45 < Pk×(t3−t2) < 5400 [MPa・sec]
2. 圧力Pm、Pfと、時刻t1、t2との関係が、式(3)を満たす、前記1に記載のプレス成形体の製造方法。
式(3) 4<(Pm−Pf)/(t2−t1)<7500 [MPa/sec]
3. 最大圧力Pmと平均保圧Pkとが、
0.5<Pk/Pm<1.0である前記1又は2に記載のプレス成形体の製造方法。
4. 最大圧力Pmが、5〜50MPaである前記1〜3いずれか1項に記載のプレス成形体の製造方法。
5. 不連続炭素繊維の平均繊維長が1mm〜100mmの範囲内である前記1〜4いずれか1項に記載のプレス成形体の製造方法。
6. 式(6)で定義される複合材料に含まれる炭素繊維体積割合が10〜70Vol%である前記1〜5いずれか1項に記載のプレス成形体の製造方法。
式(6) Vf=100×炭素繊維体積/(炭素繊維体積+熱可塑性樹脂体積)
7. 熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂である前記1〜6いずれか1項に記載のプレス成形体の製造方法。
8. 不連続炭素繊維と熱可塑性樹脂とを含む複合材料をコールドプレスして、プレス成形体を製造する装置であって、前記コールドプレスは、式(1)、(2)を満たし、かつ以下の工程1〜5を含み、成形型の開閉機に、増速装置を設置したプレス成形体の製造装置。
工程1:加熱した複合材料を成形型に配置する工程。
工程2:加圧開始時刻t0から、流動開始圧力Pfに達する時刻t1までが1秒以下の工程。
工程3:時刻t2において、最大圧力Pmに達する工程。
工程4:平均保圧Pkで複合材料を時刻t2から時刻t3までプレスする保圧工程。
工程5:成形型を開放し、成形体を成形型から取り出す工程。
ただし、
式(1) 4 < Pf/t1 < 7500 [MPa/sec]
式(2) 45 < Pk×(t3−t2) < 5400 [MPa・sec]
9. 成形型の開閉機に、増速装置を設置した製造装置を用いる、前記1〜7いずれか1項に記載のプレス成形体の製造方法。
本発明におけるプレス成形体の製造方法、又はプレス成形体の製造装置を用いた場合、加圧開始の直後に複合材料は流動開始圧力に達するため、複合材料が流動し、かつその流動速度が速いため、非流動面と流動面をほぼ同時に加圧できる。この結果、成形型への充填性が飛躍的に高まるため、非流動面と流動面が同程度に加圧され、プレス成形体の形状自由度が大幅に改善される。
したがって、複雑な立体構造であっても、本発明におけるプレス成形体の製造方法、又はプレス成形体の製造装置を用いた場合、複合材料をプレスする際、比較的長い距離を複合材料が流動でき、突起部や細い空間まで複合材料を充填することが可能となる。
本発明のプレス成形体の製造方法に関する特性の説明図である。 本発明のプレス成形体の製造方法に関する特性の説明図である。 プレス成形体を製造する際の、経過時間と上型の移動速度の関係を示した説明図である。 複合材料を成形型に配置した模式図である。 加圧開始時刻t0を示した模式図である。 流動開始時刻t1を過ぎて、複合材料が流動している様子を示した模式図である。 流動開始時刻t1を過ぎて、複合材料が流動している様子を示した模式図である。 流動面と非流動面を示した模式図である。 従来のプレス成形体の製造方法を用いた場合を示す模式図である。 本発明のプレス成形体の製造方法を用いた場合を示す模式図である。
本発明におけるプレス成形体の製造方法は、不連続炭素繊維と熱可塑性樹脂とを含む複合材料をコールドプレスして、プレス成形体を製造する方法であって、式(1)、(2)を満たし、かつ以下の工程1〜5を含むものである。
工程1:加熱した複合材料を成形型に配置する工程。
工程2:加圧開始時刻t0から、流動開始圧力Pfに達する時刻t1までが1秒未満の工程。
工程3:時刻t2において、最大圧力Pmに達する工程。
工程4:平均保圧Pkで複合材料を時刻t2から時刻t3までプレスする保圧工程。
工程5:成形型を開放し、成形体を成形型から取り出す工程。
ただし、
式(1) 4 < Pf/t1 < 7500 [MPa/sec]
式(2) 45 < Pk×(t3−t2) < 5400 [MPa・sec]
[炭素繊維]
炭素繊維としては、一般的にポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、石油・石炭ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、リグニン系炭素繊維、フェノール系炭素繊維、気相成長系炭素繊維などが知られているが、本発明においてはこれらのいずれの炭素繊維であっても好適に用いることができる。
なかでも、本発明においては引張強度に優れる点でポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維を用いることが好ましい。炭素繊維としてPAN系炭素繊維を用いる場合、その引張弾性率は100GPa〜600GPaの範囲内であることが好ましく、200GPa〜500GPaの範囲内であることがより好ましく、230〜450GPaの範囲内であることがさらに好ましい。また、引張強度は2000MPa〜10000MPaの範囲内であることが好ましく、3000MPa〜8000MPaの範囲内であることがより好ましい。
本発明に用いられる炭素繊維は、表面にサイジング剤が付着しているものであってもよい。サイジング剤が付着している炭素繊維を用いる場合、当該サイジング剤の種類は、炭素繊維及びマトリックス樹脂の種類に応じて適宜選択することができるものであり、特に限定されるものではない。
[炭素繊維の形態]
(繊維長)
本発明に用いられる炭素繊維は不連続であればよく、その繊維長は炭素繊維の種類や熱可塑性樹脂の種類、複合材料中における炭素繊維の配向状態等に応じて適宜決定することができるものであり、特に限定されるものではない。不連続炭素繊維の平均繊維長は、通常、0.1mm〜500mmの範囲内であることが好ましく、1mm〜100mmの範囲内であることがより好ましく、5〜80mmが更に好ましく、10〜80mmがより一層好ましく、10〜60mmが最も好ましい。平均繊維長が500mm以下であると、複合材料の流動性が大幅には低下せず、プレス成形体の形状自由度が向上する。一方、平均繊維長が0.1mm以上であれば、複合材料及び圧縮成形体の機械強度が低下しにくいため好ましい。
本発明においては繊維長が互いに異なる炭素繊維を併用してもよい。換言すると、本発明に用いられる炭素繊維は、平均繊維長に単一のピークを有するものであってもよく、あるいは複数のピークを有するものであってもよい。
炭素繊維の平均繊維長は、例えば、複合材料から無作為に抽出した100本の繊維の繊維長を、ノギス等を用いて1mm単位まで測定し、下記式(5)に基づいて求めることができる。平均繊維長の測定は、繊維長の長いものを重視するように計算した重量平均繊維長(Lw)で測定することが好ましい。
個々の炭素繊維の繊維長をLi、測定本数をjとすると、数平均繊維長(Ln)と重量平均繊維長(Lw)とは、以下の式(4)、(5)により求められる。
Ln=ΣLi/j ・・・式(4)
Lw=(ΣLi)/(ΣLi) ・・・式(5)
なお、繊維長が一定長の場合は数平均繊維長と重量平均繊維長は同じ値になる。
複合材料からの炭素繊維の抽出は、例えば、複合材料に対し、500℃×1時間程度の加熱処理を施し、炉内にて樹脂を除去することによって行うことができる。
(繊維径)
本発明に用いられる炭素繊維の繊維径は、炭素繊維の種類に応じて適宜決定すればよく、特に限定されるものではない。平均繊維径は、通常、3μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、4μm〜12μmの範囲内であることがより好ましく、5μm〜8μmの範囲内であることがさらに好ましい。
ここで、上記平均繊維径は、炭素繊維の単糸の直径を指すものとする。したがって、炭素繊維が繊維束状である場合は、繊維束の径ではなく、繊維束を構成する炭素繊維(単糸)の直径を指す。炭素繊維の平均繊維径は、例えば、JIS R−7607:2000に記載された方法によって測定することができる。
(繊維体積割合)
本発明において、下記式(6)で定義される複合材料に含まれる炭素繊維体積割合(以下、単に「Vf」ということがある)に特に限定は無いが、複合材料における炭素繊維体積割合(Vf)は、10〜70Vol%であることが好ましい。
式(6) Vf=100×炭素繊維体積/(炭素繊維体積+熱可塑性樹脂体積)
複合材料における炭素繊維体積割合(Vf)が10Vol%以上の場合、所望の機械物性が得られやすい。一方、Vfが70Vol%以下の場合、プレス成形体を作成する際、成形材料の流動性が低下せず、成形時に所望の形状を得られやすい。複合材料中における炭素繊維体積割合(Vf)のより好ましい範囲は20〜60Vol%であり、さらに好ましい範囲は30〜50Vol%である。
[複合材料の厚み]
本発明に用いられる複合材料の厚みは特に限定されるものではないが、複合材料の厚みが厚くなるほど、複合材料の熱容量が大きくなるため、工程1で加熱した後、可塑化温度以下に低下するまでの時間が延びる。したがって、複合材料の厚みは0.01mm以上が好ましい。
反対に、複合材料の厚みが薄くなると、複合材料の熱容量が小さくなるため、工程1で加熱した後に温度が下がり易く、成形可能時間が相対的に短くなる。
ただし、本発明の方法を用いれば、複合材料厚みが比較的薄い場合であっても、短い成形可能時間でプレス成形することが可能となり、従来は難しかった薄物であってもプレス成形体を製造することができる。
複合材料の厚みは、0.01以上100mm未満の範囲内がより好ましく、0.1mm以上10mm未満の範囲内が更に好ましく、1mm以上5mm未満の範囲内がより一層好ましい。
なお、本発明に用いられる複合材料が、複数の層が積層された構成を有する場合、上記厚みは各層の厚みを指すのではなく、各層の厚みを合計した複合材料全体の厚みを指すものとする。
本発明に用いられる複合材料は、単一の層からなる単層構造を有するものであってもよく、又は複数層が積層された積層構造を有するものであってもよい。複合材料が積層構造を有する態様としては、同一の組成を有する複数の層が積層された態様であってもよく、又は互いに異なる組成を有する複数の層が積層された態様であってもよい。
[複合材料の大きさ]
本発明に用いられる複合材料の大きさは特に限定されるものではない。複合材料が大きくなるほど、大きな成形圧力が必要になるが、本発明の製造方法を用れば大きな設備の増加をすることなく成形を可能にできる。この観点から、複合材料の表面の面積が0.5m以上であることが好ましく、1m以上であることがより好ましく、2m以上であることが更に好ましく、3m以上であればより一層好ましい。
(炭素繊維の繊維形態)
本発明に用いられる炭素繊維は、その種類に関わらず単糸からなる単糸状であってもよく、複数の単糸からなる繊維束状であってもよい。
本発明に用いられる強化繊維は、単糸状のもののみであってもよく、繊維束状のもののみであってもよく、両者が混在していてもよい。ここで示す繊維束とは2本以上の単糸が集束剤や静電気力等により近接している事を示す。繊維束状のものを用いる場合、各繊維束を構成する単糸の数は、各繊維束においてほぼ均一であってもよく、あるいは異なっていてもよい。
本発明に用いられる炭素繊維が繊維束状である場合、各繊維束を構成する単糸の数は特に限定されるものではないが、通常、2本〜10万本の範囲内とされる。
一般的に、炭素繊維は、数千〜数万本のフィラメントが集合した繊維束状となっている。炭素繊維をこのまま使用すると、繊維束の交絡部が局部的に厚くなり薄肉の複合材料を得ることが困難になる場合があるため、繊維束を拡幅したり、又は開繊したりして使用するのが通常である。
複合材料における炭素繊維の配向状態としては、例えば、炭素繊維の長軸方向が一方向に配列した一方向配列や、上記長軸方向が複合材料の面内方向においてランダムに配列した2次元ランダム配列を挙げることができる。
本発明における強化繊維の配向状態は、上記一方向配列又は2次元ランダム配列のいずれであってもよい。また、上記一方向配列と2次元ランダム配列の中間の無規則配列(炭素繊維の長軸方向が完全に一方向に配列しておらず、かつ完全にランダムでない配列状態)であってもよい。さらに、炭素繊維の繊維長によっては、炭素繊維の長軸方向が複合材料の面内方向に対して角度を有するように配列していてもよく、繊維が綿状に絡み合うように配列していてもよく、さらには繊維が平織や綾織などの二方向織物、多軸織物、不織布、マット、ニット、組紐、強化繊維を抄紙した紙等のように配列していてもよい。
本発明における炭素繊維は、炭素繊維マットの状態であっても良い。炭素繊維マットとは、炭素繊維が堆積し、または絡みあうなどしてマット状になったものをいう。炭素繊維マットとしては、炭素繊維の長軸方向が複合材料の面内方向においてランダムに配列した2次元ランダム炭素繊維マットや、炭素繊維が綿状に絡み合うなどして、強化繊維の長軸方向がXYZの各方向においてランダムに配列している3次元ランダム炭素繊維マットが例示される。
なお、複合材料における炭素繊維の2次元ランダム配列の配向態様は、例えば、複合材料の任意の方向、及びこれと直交する方向を基準とする引張試験を行い、引張弾性率を測定した後、測定した引張弾性率の値のうち大きいものを小さいもので割った比(Eδ)を測定することで確認できる。弾性率の比が1に近いほど、炭素繊維が2次元ランダム配列していると評価できる。直交する2方向の弾性率の値のうち大きいものを小さいもので割った比が2を超えないときに等方性であるとされ、この比が1.3を超えないときは等方性に優れていると評価される。
炭素繊維の配置の方向を制御する手法として特に限定は無いが、具体的には炭素繊維の形状に繊維束を使用する手法、複合材料の製造時にエアレイド法、カーディング法、抄紙法を用いる事で達成できる。
[熱可塑性樹脂]
本発明に用いられる熱可塑性樹脂は、所望の強度を有する複合材料を得ることができるものであれば特に限定されるものではなく、プレス成形体の用途等に応じて適宜選択して用いることができる。上記熱可塑性樹脂は特に限定されるものではなく、複合材料の用途等に応じて所望の軟化点(可塑化温度)又は融点を有するものを適宜選択して用いることができる。通常、軟化点(可塑化温度)が180℃〜350℃の範囲内のものが用いられるが、これに限定されるものではない。
熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂(ポリオキシメチレン樹脂)、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、フッ素系樹脂、熱可塑性ポリベンゾイミダゾール樹脂等を挙げることができる。
上記ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等を挙げることができる。上記ポリスチレン樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)等を挙げることができる。上記ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド6樹脂(ナイロン6)、ポリアミド11樹脂(ナイロン11)、ポリアミド12樹脂(ナイロン12)、ポリアミド46樹脂(ナイロン46)、ポリアミド66樹脂(ナイロン66)、ポリアミド610樹脂(ナイロン610)等を挙げることができる。上記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ボリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、液晶ポリエステル等を挙げることができる。上記(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレートを挙げることができる。上記ポリフェニレンエーテル樹脂としては、例えば、変性ポリフェニレンエーテル等を挙げることができる。上記ポリイミド樹脂としては、例えば、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等を挙げることができる。上記ポリスルホン樹脂としては、例えば、変性ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂等を挙げることができる。上記ポリエーテルケトン樹脂としては、例えば、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂を挙げることができる。上記フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等を挙げることができる。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂は1種類のみであってもよく、2種類以上であってもよい。2種類以上の熱可塑性樹脂を併用する態様としては、例えば、相互に軟化点(可塑化温度)又は融点が異なる熱可塑性樹脂を併用する態様や、相互に平均分子量が異なる熱可塑性樹脂を併用する態様等を挙げることができるが、この限りではない。
[プレス成形体の製造方法]
本発明におけるプレス成形体の製造方法は、不連続炭素繊維と熱可塑性樹脂とを含む複合材料をコールドプレスして、プレス成形体を製造する方法であって、式(1)、(2)を満たし、かつ以下の工程1〜5を含むものである。
工程1:加熱した複合材料を成形型に配置する工程。
工程2:加圧開始時刻t0から、流動開始圧力Pfに達する時刻t1までが1秒未満の工程。
工程3:時刻t2において、最大圧力Pmに達する工程。
工程4:平均保圧Pkで複合材料を時刻t2から時刻t3までプレスする保圧工程。
工程5:成形型を開放し、成形体を成形型から取り出す工程。
ただし、
式(1) 4 < Pf/t1 < 7500 [MPa/sec]
式(2) 50 < Pk×(t3−t2) < 5400 [MPa・sec]
(コールドプレス)
本発明におけるコールドプレスとは、工程1において、複合材料に含まれる熱可塑性樹脂の可塑化温度以上に加熱された複合材料を、可塑化温度未満に設定された成形型に配置し、工程2〜4において成形型を型締めすることにより、可塑化温度以下に冷却して成形するプレス方法をいう。
熱可塑性樹脂の可塑化温度は、DSC(Differential Scanning Calorimetry)により求めことができる。昇温速度10℃/minで測定し、得られたDSC曲線における融解ピークのピークトップを可塑化温度とする。
可塑化温度以下とは、成形型の温度が成形材料を構成する熱可塑性樹脂の固化温度より20℃〜100℃低い温度の範囲内で行われることが可塑化した、成形材料の賦形のしやすさや、成形体の表面外観の観点から好ましい。例えば、熱可塑性樹脂としてポリアミド6樹脂を用いる場合は、120℃〜160℃の範囲内、ポリプロピレン樹脂を用いる場合は80℃〜120℃の範囲内が好ましい態様として例示出来る。
(プレス成形)
プレス成形とは、加工機械および型、工具等を用いて金属、プラスチック材料、セラミックス材料などに例示される各種材料に曲げ、剪断、圧縮等の変形を与えて成形体を得る方法であるが、その成形形態として絞り、深絞り、フランジ、コールゲート、エッジカーリング、型打ちなどが例示される。また、プレス成形の方法としては、型を用いて成形を行う金型プレス法、ラバープレス法(静水圧成形法)などが例示される。上記プレス成形の方法のなかでも、成形圧力、温度の自由度の観点から、金属製の型を用いて成形を行なってもよい。
(工程1〜5)
1.工程1
工程1は加熱した複合材料を成形型に配置する工程である。ここで、加熱した複合材料とは、複合材料に含まれる熱可塑性樹脂の可塑化温度(軟化点)以上に加熱した複合材料をいう。また、複合材料を配置する成形型の温度は、複合材料に含まれる熱可塑性樹脂の可塑化温度未満に設定されている。
加熱した複合材料は搬送され、開放された成形型の下型へ配置される。加熱された成形材料は人手、ロボットなどで搬送し、開放された成形型へ配置される。搬送に際しては、作業上の安全面や、プレス成形が行われる成形型への成形材料の配置精度の観点から、適宜、人手やロボットが選択される。
2.工程2
工程2は複合材料をプレスする工程であって、加圧開始時刻t0から、流動開始圧力Pfに達する時刻t1までが1秒未満の工程である。
2.1 加圧開始時刻t0
図1(a)にプレス型内圧力と時刻の関係を示す。工程2は時刻t0からt1までをさし、工程2における加圧開始時刻t0とは、成形型の上型が複合材料に接してから、成形機の圧力の出力値に、圧力が計測された時刻をさす。
複合材料の種類にもよるが、加圧開始時刻t0は、必ずしも成形型の上型が複合材料に接した時刻と同一時刻とは限らない。不連続炭素繊維を含む複合材料は、繊維の配向の程度にも依存するが、加熱による軟化でスプリングバックする傾向がある。例えば複合材料が加熱された後、スプリングバックにより厚みが、厚み方向にα%膨張した場合、上型が複合材料に接しても、成形機の圧力の出力値に、圧力は小さすぎて計測されない。
図3(a)は、複合材料の加熱前の厚みをhとし、スプリングバックした割合をαとしたとき、厚みがh(1+α)に膨張している複合材料を、成形型の下型に配置しているのを示すものである。このスプリングバックした複合材料をプレス成形する場合、上型が下降し、スプリングバックにより膨張した複合材料の厚み(hα)を上型が抑え込んだ(図3(b))後に、成形機の圧力の出力値に、圧力が計測される。
ただし、スプリングバックを全く生じない複合材料は、このような現象が起きないので成形型の上型が複合材料に接した時刻に圧力が計測されるので、該時刻が加圧開始時刻t0となる。
2.2 流動開始圧力Pf
工程2における流動開始圧力Pfとは、上型によって複合材料が加圧されることにより、加熱前の複合材料の厚みから更に薄くなり、複合材料が流動し始める圧力をいう。例えば図3(c)は、複合材料が流動している模式図である。
複合材料303−1と上型301、複合材料303−1と下型302とが接触している面は、成形型が可塑化温度以下であるので、接触した時刻に熱可塑性樹脂が固化し、非流動面となる。
一方、複合材料303−1の内部は可塑化温度以上を維持しており、プレス圧力の上昇により、複合材料303−2(図3(c)の横線を引いた部分)のように、複合材料が流動する。このとき、複合材料303−2と上型301とが接触している面、複合材料303−2と下型302とが接触している面は、流動面(図3(e)の304)を形成する。
流動開始圧力Pfは、複合材料の種類によって一義的にきまる圧力であり、プレス条件によって大きく変化するものでは無い。
流動開始圧力Pfは、本発明者らの測定の結果、複合材料の厚みが厚い程、炭素繊維体積割合(Vf)が大きいほど、大きくなる傾向にある。
2.3 時刻t0から時刻t1までが1秒以下
本発明において、加圧開始時刻t0から流動開始圧力Pfに達する時刻t1までが1秒以下である場合、非流動面(図3(e)の305)が形成されて加圧されてから、流動面(図3(e)の304)が形成されて加圧されるまでの時間が極めて短く、流動面が形成される直前まで複合材料の図3(c)303−2部分の温度は可塑化温度以上を維持できる。
2.4 式(1)の説明
本発明における流動開始圧力Pfと、時刻t1は、式(1)を満たすものである。
式(1) 4 < Pf/t1 < 7500 [MPa/sec]
式(1)は、図1(b)「時刻−プレス型内圧力」の関係図において、時刻t0から時刻t1までのグラフの傾き(図1(b)の103)を意味する。Pf/t1の値が大きい程、単位時間あたりに複合材料に加わる力は大きくなる。好ましいPf/t1の値は、4<Pf/t1≦5000であり、より好ましくは4<Pf/t1≦200である。
Pf/t1の値が4以下であると成形性が低下するという問題が生じ、7500以上であると装置や金型が破損するという問題が生じるため好ましくない。
3.工程3
工程3は、複合材料をプレスする工程であって、時刻t2において、最大圧力Pmに達する工程である。
最大圧力Pmとは、成形機の圧力の出力値に、計測される圧力が最大になる時の圧力であり、上型を高速で下降させると、図1(a)の時刻t2に示すようにピーク値を示すことが多い。
本発明において、圧力Pm、Pfと、時刻t1、t2との関係に特に限定は無いが、好ましくは式(3)を満たすことが好ましい。
式(3) 4<(Pm−Pf)/(t2−t1)<7500 [MPa/sec]
式(3)は、図1(b)「時刻−プレス型内圧力」の関係図において、時刻t1からt2までのグラフの傾き(図1(b)の105)を意味する。(Pm−Pf)/(t2−t1)の値が大きい程、単位時間あたりに複合材料に加わる力は大きくなる。好ましい(Pm−Pf)/(t2−t1)の値は、12<(Pm−Pf)/(t2−t1)<7500であり、より好ましくは20<(Pm−Pf)/(t2−t1)<7500である。
(Pm−Pf)/(t2−t1)の値が4より大きいと、成形性が向上し、成形品の中央部と末端で厚み差が発生するという問題が生じにくい。7500未満であると装置や金型が破損するという問題が生じにくいため好ましい。
なお、式(3)を好ましい値にするためには、成形型の開閉機に、増速装置を設置すると良い。
本発明における最大圧力Pmに達する時刻に特に限定は無いが、好ましい時刻t2は、t1から3秒以内であり、より好ましくは2秒以内であり、更に好ましくは1.0以内であり、0.6秒以内が最も好ましい。工程3における最大圧力Pmに達する時刻t2が、流動開始圧力Pfに達する時刻t1から3秒以下であれば、生産性の向上という観点から好ましい。
また、最大圧力Pmの値に特に限定は無いが、5〜50MPaが好ましく、10〜30MPaがより好ましい。
4.工程4
4.1 保圧工程
工程4は、平均保圧Pkで複合材料を時刻t2から時刻t3までプレスする保圧工程であり、工程2〜3でおおよその賦形をした後の保圧工程に相当し、成形体の形状を安定化させる工程である。平均保圧Pkの間、保圧Pkは、t2からおおよそ1秒経過した後(最大圧力Pmに達した点から1秒経過した後)、1秒間での加圧力が4%以上変動していないものであることが好ましい。
また、t2からおおよそ1秒経過した後、残りの保圧工程全体においては、10%以上保圧を変動させない事が好ましい。好ましくは5%以上変動しない事であり、更に好ましくは4%以上変動しない事である。このように圧力の変動量を制御する手法として特に限定はないが、具体的には圧縮成形条件として定圧条件とする事、適切に賦形できる条件、例えば成形機の上型位置を制御できる成形機で賦形する事が挙げられる。
最大圧力Pmと平均保圧Pkとの関係に特に限定は無いが、0.5<Pk/Pm<1.0であることが好ましく、0.5<Pk/Pm<0.9であることがより好ましく、0.5<Pk/Pm<0.8であることが更に好ましい。
Pk/Pm<1.0であると、成形型内の成形材料が高温の状態で賦形することができ、成形製品の表面転写性が向上するので好ましく、0.5<Pk/Pmであると、設備上の限界の観点から好ましい。
より具体的な平均保圧Pkとしては、0.1〜50MPaの範囲内であることが可塑化した成形材料の賦形のしやすさや、成形体の厚み制御のしやすさ、プレス成形体の表面性や型内における充填性など、形状安定化の観点から好ましい。とりわけ、5MPa〜30MPaの範囲内がプレス成形機の設備コストの観点から好ましい。
なお、最大圧力Pm、平均保圧Pkとは、成形型の開口部のキャビティの投影面積にかかる加圧力をいう。
4.2 式(2)の説明
本発明において、平均保圧Pk、時刻t3、時刻t2との関係は、式(2)を満たす。
式(2) 45 < Pk×(t3−t2) < 5400 [MPa・sec]
Pk×(t3−t2)は、図1(b)の斜線で例示する面積部分に該当する。Pk×(t3−t2)の値が式(2)の範囲内であれば、非流動面と流動面での表面意匠性に差が生じず、外観が良好な成形体を製造できる。
Pk×(t3−t2)の下限は、50[MPa・sec]以上が好ましく、100[MPa・sec]以上がより好ましく、150[MPa・sec]以上が更に好ましく、200[MPa・sec]以上がより一層好ましい。
一方上限は、4000[MPa・sec]以下が好ましく、2000[MPa・sec]以下がより好ましく、500[MPa・sec]以下が更に好ましい。
4.3 保圧工程での固化
図3(d)は、表面が固化し流動が停止している模式図である。図3(c)でプレスしたことにより流動が開始しているのを模式的に表すが、図3(c)の303−2の部分が、冷却により固化し、図3(d)の303−3のような固化表面を形成する。
5.工程5
工程5は、冷却後、成形型を開放し、成形型から成形体を取り出す工程である。
工程4と工程5の間に、工程5を補助する目的で、エジェクタを動作させる工程が含まれていた場合、成形作業の簡素化、成形トラブルなどを防止できるという点で好ましい。
また、エジェクタは、圧縮空気をブローする方式、機械的な構造部材により突き上げる方式のいずれも好ましく用いることができる。
本発明のプレス成形体の製造方法は、工程1〜5を工程1、工程2、工程3、工程4、工程5の順に含むものであるが、その他の工程を含んでいてもよい。
6.まとめ
以上、説明した製造方法を用いることで、成形体の形状自由性が向上する。これは、急速に複合材料を流動して賦形させるため、複合材料の温度が可塑化温度以下になる前に賦形を完了できる事を意味する(図5参照)。
(従来のコールドプレス)
従来のコールドプレスは、図1(a)「プレス型内圧力−時刻との関係」でいう、点線102を示していたものであり、流動開始までに時間がかかっていた。
この結果、流動面が形成される時刻が遅れ、流動面をプレス成形する時には複合材料が可塑化温度を下回っており、良好な表面意匠性を確保するのが不十分であった。
すなわち、複合材料が流動する前に複合材料が可塑化温度以下に冷めてしまうものであった(図4参照)。
なお、図1(a)「プレス型内圧力−時刻との関係」でいう、実線101は、本発明のプレス成形の一例の挙動を示す。
[プレス成形装置]
本発明におけるプレス成形装置は、不連続炭素繊維と熱可塑性樹脂とを含む複合材料をコールドプレスして、プレス成形体を製造する装置であって、前記コールドプレスは、式(1)、(2)を満たし、かつ以下の工程1〜5を含むものである。
工程1:加熱した複合材料を成形型に配置する工程。
工程2:加圧開始時刻t0から、流動開始圧力Pfに達する時刻t1までが1秒以下の工程。
工程3:時刻t2において、最大圧力Pmに達する工程。
工程4:平均保圧Pkで複合材料を時刻t2から時刻t3までプレスする保圧工程。
工程5:成形型を開放し、成形体を成形型から取り出す工程。
ただし、
式(1) 4 < Pf/t1 < 7500 [MPa/sec]
式(2) 45 < Pk×(t3−t2) < 5400 [MPa・sec]
ここで、複合材料のコールドプレス、工程1〜5、式(1)、(2)は既に上述した通りである。以下に、好ましいプレス成形装置の態様を記載する。
本発明におけるプレス成形の製造の際、コールドプレスに用いる成形型の開閉動作挙動に注目すると良い。成形型を開閉する機構に限定は無いが、例えばトグル式または直圧式があり、動力源としては油圧またはサーボモーターなど各種の機構および動力が知られている。本発明における「工程3:時刻t2において、最大圧力Pmに達する工程」を実現するために、成形型内に配置した複合材料をコールドプレスする際、数秒単位の短い時間でプレス圧力を上昇させる必要がある。そのため、高速なサーボモーターを用いた成形型開閉機や、油圧回路に吐出量の大きな油圧ポンプまたは、増速装置を設置した成形型開閉機を用いると好ましいが、特に増速装置としてアキュムレータータンクを設置した油圧直圧式成形型開閉機を用いることが好適である。
より具体的には、アキュムレータータンクは、アキュムレータータンク内に油圧を蓄圧し成形型を型締めする際にタンク内の油圧を開放する開放することで、一時的に成形型内の昇圧速度を向上できる。また、油圧直圧式成形型開閉機は、高圧力を長時間保持できる観点からも、好ましく用いることができる。
増速装置としてアキュムレータータンクを用いる場合、アキュムレータータンクを開放するタイミングと、アキュムレータータンクの容量とが重要である。平面上のプレス成形体を得る場合、成形型の上型が複合材料に接触するタイミングで増速効果が発現されることが好ましい。油圧の圧力伝達時間遅れなどを考慮すると、複合材料の厚みより0〜5mmの上側位置に、成形型の上型が到達したタイミングでアキュムレータータンクを開放すると、アキュムレータータンクの容量が小容量で足りるので好ましい。
一方、凹凸を有する立体形状のプレス成形体を得る場合、成形型の型締めと共に成形体形状に沿って複合材料が引込まれて折り曲げられる事に起因した、皺が発生する場合がある。皺を均一にしたプレス成形体を得るためには、上述の引込まれや、折り曲げが始まるタイミングでアキュムレータータンクを開放し、成形型の上型を増速することが好ましい。
上記の複合材料が引込まれて折り曲げられる事に起因した皺を、成形型の型締めにて解消するには、低圧高速できる小径油圧シリンダーを用いて高速で成形型の型締めを行い、発生した皺を潰しながらアキュムレータータンクを開放することが、過度な圧力は必要なく、設備的にも好ましい。
アキュムレータータンクを制御する方法としては、例えば成形型の上型のスライド位置による位置制御方法が好ましいし、より簡易な方法としては、油圧の圧力の制御でも制御することができる。具体的には、上記の成形型の型締めと共に成形体形状に沿って複合材料が引込まれて折り曲げられる事に起因した皺を潰すには、従来は大きな圧力が必要であったが、上記の低圧高速できる小径油圧シリンダーの油圧が所定の圧力に達したタイミングでアキュムレータータンクを開放する方法を用いれば製造装置に具備されたシリンダーの大きな圧力は必要ではなくなる。この時、油圧伝達時間遅れを発生させないように、油圧伝達時間が短い小型の成形機が好適である。
[成形型の構造]
本発明に用いる成形型は、特に製品形状を限定するものではないが、シャーエッジ構造を有し、成形型を完全に閉じたときに、成形型内部のキャビティが密閉空間となる構造を有することが好ましい。
成形型内部のキャビティが密閉された空間を形成することによって、容易にプレス成形体端部まで均一の外観を有する成形体を得ることが可能になる。
ただし、本発明の成形体の製造方法を用いれば、いわゆるオープンキャビティでも比較的良好な表面意匠性を有する成形体を製造することができる。密閉空間となる構造とならない、いわゆるオープンキャビティを用いた場合、複合材料が流動する先端は成形型に接触することなく流動するので、従来は流動面と非流動面で同一の外観を有するのは難しかった。しかしながら、本発明の成形体の製造方法を用いることによって、オープンキャビティを用いた場合であっても、流動面と非流動面が、ほぼ同時に加圧されるため、流動面と非流動面の表面意匠性に比較的差が無い成形体を製造ができる。
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の参考例で用いた原料は以下の通りである。なお、分解温度は、熱重量分析による測定結果である。
・PAN系炭素繊維
東邦テナックス社製の炭素繊維“テナックス”(登録商標)STS40−24KS(平均繊維径7μm)
・ポリアミド6
以下、PA6と略。結晶性樹脂、融点225℃、分解温度(空気中)300℃。
・ポリプロプレン
以下、PPと略。結晶性樹脂、融点170℃、分解温度(空気中)300℃。
・ポリカーボネート
以下、PCと略。非晶性樹脂、ガラス転移点150℃、分解温度(空気中)420℃。
(1)炭素繊維体積割合(Vf)の分析
複合材料を500℃×1時間、炉内にて熱可塑性樹脂を燃焼除去し、処理前後の試料の質量を秤量することによって炭素繊維分と熱可塑性樹脂の質量を算出した。次に、各成分の比重を用いて、炭素繊維と熱可塑性樹脂の体積割合を算出した。プレス成形体に関しても、含有する炭素繊維体積割合をVfで表す。
式(6) Vf=100×炭素繊維体積/(炭素繊維体積+熱可塑性樹脂体積)
(2)複合材料に含まれる炭素繊維の平均繊維長の分析
複合材料に含まれる炭素繊維の平均繊維長は、500℃×1時間程度、炉内にて熱可塑性樹脂を除去した後、無作為に抽出した炭素繊維100本の長さをノギスおよびルーペで1mm単位まで測定して記録し、測定した全ての炭素繊維の長さ(Li、ここでi=1〜100の整数)から、次式により重量平均繊維長(Lw)を求めた。
Lw=(ΣLi)/(ΣLi) ・・・ 式(5)
なお、プレス成形体中の炭素繊維の平均繊維長についても上記と同様の方法で測定することができる。
(3)プレス成形体の表面意匠性の評価
プレス成形体の表面の表面意匠性(平滑性)を評価する目的で、成形体表面を目視、光学顕微鏡、および手で触れて評価した。
excellent:非流動部と流動部における表面Raの比率(非流動部/流動部)が0.8〜1.0の範囲内である。目視評価では、表面における炭素繊維への樹脂の含浸が不十分な(ドライな)部位やシワなどがなく、平滑な表面であった。
good:非流動部と流動部における表面Raの比率(非流動部/流動部)が0.5〜0.8の範囲内である。
better:非流動部と流動部における表面Raの比率(非流動部/流動部)が0.1〜0.5の範囲内である。目視評価では、わずかにドライな部位やシワが見られたり、ざらつきがあったりした。
bad:非流動部と流動部における表面Raの比率(非流動部/流動部)が0.1以下の範囲内である。目視評価では、ドライな部位やシワが多く見られたり、成形体表面に凸凹があったりして、重大不良であった。
ただし、表面意匠性の評価が「bad」であるプレス成形体であっても、意匠性を考慮する必要がない部分などに使用する場合は問題なく使用することができる。
(4)成形性の評価
成形性を評価する目的で、プレス成形体の形状観察を実施した。
excellent:成形体端部まで炭素繊維と熱可塑性樹脂が欠陥なく充填され、末端部から0〜10mmの範囲で厚みが均一であるものを最良品とした。
good:成形体の端部まで炭素繊維と熱可塑性樹脂が充填され、欠陥が見られない場合を良好とした。
better:一部に欠けや不良が見られる場合を不良とした。
bad:欠けや不良が多い場合を重大不良とした。
[参考例1]
強化繊維として、東邦テナックス社製の炭素繊維“テナックス”(登録商標)STS40−24KS(平均繊維径7μm)をナイロン系サイジング剤処理したものを使用し、熱可塑性樹脂として、ユニチカ社製のナイロン6樹脂A1030を用いて、WO2012/105080パンフレットに記載された方法に基づき、炭素繊維目付け1800g/m、ナイロン樹脂目付け1500g/m である等方性材料を作成し、240℃で90s間予熱後、2.0MPaの圧力をかけながら180s間、240℃にてホットプレスした。
ついで、加圧状態で50℃まで冷却し、厚さ2.6mmの炭素繊維体積割合(Vf)=35%の複合材料の平板を得、これを複合材料1とした。また、平均繊維長は30mm、面内等方性(Eδ)は1.1であった。複合材料1の大きさは1.2m×1.2mであった。
[参考例2、3]
複合材料の炭素繊維体積割合(Vf)を30%、40%としたこと以外は参考例1と同様に複合材料を作成し、それぞれ複合材料2、複合材料3とした。
[参考例4]
熱可塑性樹脂を、帝人社製のポリカーボネート“パンライト”(登録商標)L 1225WPに変更した以外は参考例1と同様に複合材料を作成し、複合材料4とした。
[参考例5、6、7]
複合材料の厚さを1mm、5mm、10mmとしたこと以外は参考例1と同様に複合材料を作成し、それぞれ複合材料5、6、7とした。
[参考例8]
強化繊維として、東邦テナックス社製の炭素繊維“テナックス”(登録商標)HTC110(平均繊維径7μm、繊維長6mm)を使用し、特開2014−09503号公報に記載の方法で抄紙基材を作成する。
具体的には、水と界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)からなる濃度0.1重量%の分散液を作製し、この分散液と上記炭素繊維とを用いて抄紙基材の製造装置を用いて、抄紙基材を製造する。得られた複合材料の幅は500mm、長さは500mm、目付は180g/mである。
得られた抄紙基材の間にポリアミドフィルム(ユニチカ製 エンブレム 厚み15μm)を所定の枚数挟んだ状態で上記抄紙基材を10枚重ねて240℃で90s間予熱後、2.0MPaの圧力をかけながら180s間、240℃にてホットプレスした。ついで、加圧状態で50℃まで冷却し、厚さ2mmの炭素繊維体積割合(Vf)=20%の炭素繊維複合材料の平板を得、これを複合材料8とする。
[プレス成形体の製造]
[実施例1]
1.工程1
NGKキルンテック株式会社製の樹脂シート加熱装置(型式H7GS−73408)を用いて、ポリアミド6(熱可塑性樹脂)の可塑化温度以上である290℃に加熱した複合材料1を、150℃に設定した成形型(オープンキャビティ)の下型に設置させ、平板のプレス成形体を作成した。また、成形機には増速装置(中村工機製の型式TL350−220−20)を設置した。
2.工程2
川崎油工株式会社製2000tf(20000kN)成形機(型式TMP2−2000)を用いて、加圧速度100mm/secで成形金型の上型を下降させ、上型を複合材料に接触させて加圧開始し、加圧開始時刻t0から0.025sec(時刻t1)で流動開始圧力Pfである5MPaに到達させた。なお、加圧開始時刻t0は、成形機の圧力の出力値に、圧力が計測された時刻とした。
3.工程3
流動開始圧力Pfに達した後、更に成形型の上型を下降させることで加圧し、加圧開始時刻t0から0.2sec(時刻t2)で、30MPa(最大圧力Pm)に達した。
4.工程4
最大圧力Pmに達した後、複合材料1を10sec間(時刻t3−時刻t2)、20MPa(平均保圧Pk)の状態にした。
5.工程5
成形型の上型を上昇させて成形型を完全に開放した後、エジェクターロッドにより作成したプレス成形体を下型から脱型させ、プレス成形体を取り出した。取り出したプレス成形体は、上記の通り、表面意匠性と成形性を、それぞれ評価した。
結果を表1に示す。
[実施例2〜6]
工程2における時間t1を、それぞれ0.125[sec]、0.25[sec]、0.5[sec]、0.75[sec]、1.0[sec]とし、
工程3における時刻t2を、それぞれ0.7[sec]、1.2[sec]、2.0[sec]、3.5[sec]、4.0[sec]、最大圧力Pmをそれぞれ25[MPa]、23[MPa]、22[MPa]、22[MPa]、20[MPa]としたこと以外は実施例1と同様にプレス成形して実施例2〜6を実施し、プレス成形体をそれぞれ得た。
結果を表1に示す。
[比較例1]
工程2における時間t1を、1.25[sec]とし、工程3における時刻t2を、5.0[sec]、最大圧力Pmを20[MPa]としたこと以外は実施例1と同様にプレス成形して、比較プレス成形体を得た。
得られたプレス成形体は、成形体の末端部が未充填状態となり、成形性の評価、表面意匠性の評価はともにbadとなった。
結果を表1に示す。
[実施例7〜8]
保圧時間(t3−t2)を、それぞれ40[sec]と30[sec]としたこと以外は実施例1と同様にプレス成形して実施例7〜8を実施し、プレス成形体を得た。
結果を表1に示す。
[実施例9]
工程3における時刻t2を、0.7[sec]、最大圧力Pmを12[MPa]、平均保圧Pkを10[MPa]としたこと以外は実施例3と同様にプレス成形して、プレス成形体を得た。結果を表1に示す。
[実施例10]
保圧時間(t3−t2)を5.0[sec]にしたこと以外は、実施例3と同様にプレス成形して、プレス成形体を得た。結果を表1に示す。
[実施例11]
工程3における時刻t2を、1.1[sec]、最大圧力Pmを11[MPa]、平均保圧Pkを10[MPa]としたこと以外は、実施例4と同様にプレス成形して、プレス成形体を得た。結果を表1に示す。
[比較例2]
保圧時間(t3−t2)を1.0[sec]としたこと以外は実施例11と同様にプレス成形して、比較プレス成形体を得た。結果を表1に示す。
[実施例12〜13]
工程1において、複合材料をそれぞれ300℃、280℃に加熱したこと以外は、実施例3と同様にプレス成形して、プレス成形体を得た。結果を表2に示す。
[実施例14〜16]
複合材料2〜4を用いたこと以外は、実施例3と同様にプレス成形して、プレス成形体を得た。結果を表2に示す。
[実施例17]
複合材料5を用いたこと以外は、実施例1と同様にプレス成形して、プレス成形体を得た。結果を表2に示す。
[実施例18]
最大圧力Pmを7[MPa]、平均保圧Pkを5[MPa]、工程3における時刻t2を0.04[sec]としたこと以外は、実施例17と同様にプレス成形して、プレス成形体を得た。結果を表2に示す。
[比較例3]
最大圧力Pmを6[MPa]、平均保圧Pkを4[MPa]、工程3における時刻t2を0.035[sec]としたこと以外は、実施例17と同様にプレス成形して、比較プレス成形体を得た。結果を表2に示す。
[実施例19]
複合材料6を用いたこと以外は、実施例3と同様にプレス成形して、プレス成形体を得た。結果を表2に示す。
[実施例20]
最大圧力Pmを35[MPa]、平均保圧Pkを30[MPa]、保圧時間(t3−t2)を120[sec]、工程3における時刻t2を1.8[sec]としたこと以外は、実施例19と同様にプレス成形して、プレス成形体を得た。結果を表2に示す。
[実施例21]
複合材料7を用いたこと以外は、実施例3と同様にプレス成形して、プレス成形体を得た。結果を表2に示す。
[実施例22]
最大圧力Pmを35[MPa]、工程3における時刻t2を1.8[sec]、平均保圧Pkを30[MPa]、保圧時間(t3−t2)を180[sec]としたこと以外は、実施例21と同様にプレス成形して、プレス成形体を得た。結果を表2に示す。
[比較例4]
保圧時間(t3−t2)を185[sec]としたこと以外は、実施例22と同様にプレス成形して、比較プレス成形体を得た。結果を表2に示す。
得られた成形体の成形性、表面意匠性はexcellentであるものの、成形時間が長すぎるため、製造工程上好ましく無く、比較例とした。
[実施例23]
複合材料8を用いたこと以外は、実施例3と同様にプレス成形して、プレス成形体を得る。
[実施例24]
増速装置を使用しないでプレスし、工程3における時刻t2が5.0[sec]となったこと以外は、実施例4と同様にプレス成形して、プレス成形体を得る。
[実施例25]
出来るだけ高速にプレス成形することを目的に、時刻t1を、1.0×10-3 [sec]、時刻t2を0.05にする以外は実施例7と同様にプレス成形する。この際、機械精度の問題より最大圧力を計測する事はできない。
[比較例5]
時刻t0から時刻t1に達する時間までを、6.5×10-4 [sec]まで短くしようとしたが、成形機が壊れそうになったため、実験を中止した。
Figure 2016163989
Figure 2016163989
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本発明の複合材料を用いて得られるプレス成形体は、薄肉化や等方化が可能であるので、各種構成部材、例えば自動車の内板、外板、構造部材、また各種電気製品、機械のフレームや筐体等に用いることができる。
101:「時刻−プレス型内圧力」の関係における、本願発明の一形態を実線示したもの
102:「時刻−プレス型内圧力」の関係における、従来のプレス成形体の製造方法を点線で示したもの
103:Pf/t1の傾きを示したもの
104:Pk×(t3−t2)の範囲を示したもの
105:(Pm−Pf)/(t2−t1)の傾きを示したもの
301:プレス成形体の製造方法に用いる成形型の上型の例
302:プレス成形体の製造方法に用いる成形型の下型の例
303:成形型に配置した複合材料の例
h:加熱前の複合材料の厚み
h(1+α):スプリングバックして膨らんだ際の膨張率をαとしたときの、複合材料の厚み
303−1:複合材料
303−2:複合材料の流動を示した例
303−3:可塑化温度以下となった熱可塑性樹脂表面
304:流動面
305:非流動面

Claims (9)

  1. 不連続炭素繊維と熱可塑性樹脂とを含む複合材料をコールドプレスして、プレス成形体を製造する方法であって、式(1)、(2)を満たし、かつ以下の工程1〜5を含むプレス成形体の製造方法。
    工程1:加熱した複合材料を成形型に配置する工程。
    工程2:加圧開始時刻t0から、流動開始圧力Pfに達する時刻t1までが1秒以下の工程。
    工程3:時刻t2において、最大圧力Pmに達する工程。
    工程4:平均保圧Pkで複合材料を時刻t2から時刻t3までプレスする保圧工程。
    工程5:成形型を開放し、成形体を成形型から取り出す工程。
    ただし、
    式(1) 4 < Pf/t1 < 7500 [MPa/sec]
    式(2) 45 < Pk×(t3−t2) < 5400 [MPa・sec]
  2. 圧力Pm、Pfと、時刻t1、t2との関係が、式(3)を満たす、請求項1に記載のプレス成形体の製造方法。
    式(3) 4<(Pm−Pf)/(t2−t1)<7500 [MPa/sec]
  3. 最大圧力Pmと平均保圧Pkとが、
    0.5<Pk/Pm<1.0である請求項1又は2に記載のプレス成形体の製造方法。
  4. 最大圧力Pmが、5〜50MPaである請求項1〜3いずれか1項に記載のプレス成形体の製造方法。
  5. 不連続炭素繊維の平均繊維長が1mm〜100mmの範囲内である請求項1〜4いずれか1項に記載のプレス成形体の製造方法。
  6. 式(6)で定義される複合材料に含まれる炭素繊維体積割合が10〜70Vol%である請求項1〜5いずれか1項に記載のプレス成形体の製造方法。
    式(6) Vf=100×炭素繊維体積/(炭素繊維体積+熱可塑性樹脂体積)
  7. 熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂である請求項1〜6いずれか1項に記載のプレス成形体の製造方法。
  8. 不連続炭素繊維と熱可塑性樹脂とを含む複合材料をコールドプレスして、プレス成形体を製造する装置であって、前記コールドプレスは、式(1)、(2)を満たし、かつ以下の工程1〜5を含み、成形型の開閉機に、増速装置を設置したプレス成形体の製造装置。
    工程1:加熱した複合材料を成形型に配置する工程。
    工程2:加圧開始時刻t0から、流動開始圧力Pfに達する時刻t1までが1秒以下の工程。
    工程3:時刻t2において、最大圧力Pmに達する工程。
    工程4:平均保圧Pkで複合材料を時刻t2から時刻t3までプレスする保圧工程。
    工程5:成形型を開放し、成形体を成形型から取り出す工程。
    ただし、
    式(1) 4 < Pf/t1 < 7500 [MPa/sec]
    式(2) 45 < Pk×(t3−t2) < 5400 [MPa・sec]
  9. 成形型の開閉機に、増速装置を設置した製造装置を用いる、請求項1〜7いずれか1項に記載のプレス成形体の製造方法。
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