JP2016159319A - アルミニウムクラッド鋼帯およびその製造方法 - Google Patents

アルミニウムクラッド鋼帯およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】表面平滑性と成形加工性に優れた箔製品の素材として好適に用いられるアルミニウムクラッド鋼帯の提供。
【解決手段】アルミニウムめっき鋼帯及び工業用純アルミニウムコイルを冷間で接合圧延し、少なくとも片方の面に配された純アルミニウム層の表面の算術平均粗さRaで0.3μm以下であると共に接合界面の剥離強度が単位巾あたり0.5N/mm巾以の上2層または3層のアルミニウムクラッド鋼帯を製造する。接合圧延時のワークロールの表面に噴霧又は塗布する圧延潤滑剤中に含まれる油分の動粘度ν(mm2/sec)、圧延速度V(m/min)、及び素材の全体を総合した圧延率r(%)により算出される値T=ν×V×(1-r)を20〜2000とする。接合圧延では、素材個々の圧延率をいずれも10%超とし、素材全体の圧延率を10〜65%とするとともに、接合圧延後に250〜450℃に1秒間以上保持する熱処理を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルミニウムクラッド鋼帯およびその製造方法に関し、具体的には、曲げやせん断もしくは深絞り等の成形加工を経て、筺体、外装材または反射板等として使用される、表面平滑性と成形加工性に優れた箔製品の素材として好適に用いられるアルミニウムクラッド鋼帯およびその製造方法に関する。
アルミニウムクラッド鋼箔は、アルミニウム箔が有する鏡面反射性や耐候性さらには耐薬品性を有しつつ、その欠点である強度不足を補完するために、その内層材料として経済性の高い鋼板を配した箔製品として、例えば各種筺体、電子機器部材または反射板等の様々な形態・用途での活用が期待される。このアルミニウムクラッド鋼箔は、予めクラッド接合されたアルミニウムクラッド鋼帯を、さらに冷間圧延加工して減肉することによって、製造される。
特許文献1には、鋼板にアルミニウムまたはアルミニウム合金を溶融めっきしたアルミナイズド鋼板を100〜550℃に加熱し、常温のアルミニウムまたはアルミニウム合金板を重ね合わせて圧下率10〜40%の圧延加工を行って圧着させることにより、アルミニウムクラッド鋼帯を製造する方法が開示されている。
特許文献2には、鋼板の表面にアルミニウムまたはアルミニウム合金を蒸着または電気めっきしたアルミニウム被覆鋼板にアルミニウム板またはアルミニウム合金板を重ね合わせ、少なくともアルミニウム被覆鋼板を200〜500℃の温度に加熱して圧延することにより、アルミニウムクラッド鋼板を製造する方法が開示されている。
しかし、特許文献1,2により開示された方法では、圧延加工の際に加熱されて高温で活性化したアルミニウムめっき鋼板の表面が圧延ロールと接触した際にアルミニウムが圧延ロールに付着し、特にコイルで長時間の接合圧延を行う場合には表面性状を平滑に保つことができない。
このように、温間あるいは熱間で接合圧延されて表面平滑性が損なわれたアルミニウムクラッド鋼帯を素材として再度の圧延加工により箔製品を製造すると、製造された箔製品の表面に微細な肌荒れが残留し、外観を損ねたり、あるいは目的の鏡面反射率を得られないという問題がある。
特許文献3,4には、接合素材となる鋼板やめっき鋼板ならびにアルミニウムのコイルを真空チャンバー内で表面処理した上で、同じく真空チャンバー内に設置された圧延機を用いて冷間で接合圧延することにより、アルミニウムクラッド鋼板を製造する方法が開示されている。
特公昭56−52679号公報 特許第2761963号明細書 国際公開第00/039861号パンフレット 特開平4−91872号公報
特許文献3,4により開示される真空チャンバー内に設置された圧延機では、圧延潤滑剤を使用できず、さらに被圧延材の表面が化学的に活性化されているため、圧延ロールへのアルミニウムの付着を防止できず、製造されたアルミニウムクラッド鋼帯の表面性状を平滑に保つことができない。
このように、真空チャンバー内で接合されて表面平滑性が損なわれたアルミニウムクラッド鋼帯についても、これを素材として再度圧延加工により箔製品を製造すると、製造された箔製品の表面に微細な肌荒れが残留し、外観を損ねたり、目的とする鏡面反射率を得られない。
この課題を解決するためには、接合素材を加熱することなく冷間(常温)で、かつ適切な圧延潤滑剤を使用して接合圧延すればよいと一見考えられる。しかし、このような冷間で接合圧延されて得られたアルミニウムクラッド鋼板では、充分な接合強度を得られない。このため、所望の接合強度を有する箔製品を得るために引き続いて行われる圧延工程において、界面剥離を生じたり、また得られた箔製品に対して曲げ、せん断または深絞り等の加工を行うと界面剥離を生じるという課題がある。
本発明は、従来の技術が有するこのような課題に鑑みてなされたものであり、従来のアルミニウムクラッド鋼帯では実現困難であった、高い表面平滑性と、曲げ、せん断さらには深絞り等の成形加工にも耐える接合強度とを兼備する箔製品、すなわち表面平滑性と成形加工性に優れた箔製品の素材として好適に用いられるアルミニウムクラッド鋼帯とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、普通鋼とアルミニウムとが接合圧延されたアルミニウムクラッド鋼帯を製造するにあたり、接合圧延ままの表面状態を平滑に保つために、圧延潤滑剤を用いた冷間での接合圧延によって充分な接合強度を得るための方法を鋭意検討した結果、予め鋼帯の表面にアルミニウム合金からなるめっき処理を行ってアルミニウムめっき鋼帯とし、このアルミニウムめっき鋼帯とアルミニウムコイルとを適切な条件のもと冷間で接合圧延すると、接合直後の接合強度は小さいもののアルミニウムめっき層とアルミニウムとの境界面は充分に金属接触していることから、引き続き適切な条件で熱処理を行うことによって、優れた表面平滑性と、曲げ、せん断または深絞り等の成形加工にも十分耐える高い接合強度とを兼備するアルミニウムクラッド鋼帯を得られることを知見し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。本発明は以下に列記の通りである。
(1)アルミニウムめっき鋼帯の片面または両面に工業用純アルミニウムコイルが冷間で接合圧延された2層または3層のアルミニウムクラッド鋼帯であって、その少なくとも片方の面に配された純アルミニウム層の表面粗さがJIS B 0601(2001)に規定された算術平均粗さRaで0.3μm以下であるとともに、前記2層または3層の接合界面を剥がす際の剥離強度が単位巾あたり0.5N/mm巾以上であることを特徴とする、表面平滑性に優れた箔製品の素材として用いられるアルミニウムクラッド鋼帯。
(2)アルミニウムめっき鋼帯および工業用純アルミニウムコイルを素材として冷間圧延法により前記アルミニウムめっき鋼帯および工業用純アルミニウムコイルを接合圧延することにより、1項に記載されたアルミニウムクラッド鋼帯を製造する方法であって、
前記接合圧延時の前記ワークロールの表面に圧延潤滑剤を噴霧または塗布するとともに、該圧延潤滑剤中に含まれる油分の動粘度ν(mm/sec)、前記接合圧延時の圧延速度V(m/min)、および前記素材の全体を総合した圧延率r(%)により算出される値T=ν×V×(1−r)を20〜2000とすること、および
前記接合圧延は、前記素材個々の圧延率をいずれも10%超とし、前記素材全体の圧延率を10〜65%とするとともに、前記接合圧延に引き続いて250℃〜450℃に1秒間以上保持する熱処理を行うこと
を特徴とするアルミニウムクラッド鋼帯の製造方法。
この場合に、前記接合圧延の際に用いるワークロールの、JIS B 0601(2001)に規定された算術平均粗さRaを0.3μm以下、かつ最大高さRzを2.5μm以下とすることが望ましい。
本発明により、従来のアルミニウムクラッド鋼帯では実現困難であった、高い表面平滑性と、曲げ、せん断さらには深絞り等の成形加工にも耐える接合強度とを兼備する箔製品、すなわち表面平滑性と成形加工性に優れた箔製品の素材として好適に用いられるアルミニウムクラッド鋼帯を提供できる。
図1は、冷間での接合圧延により製造されたアルミニウムクラッド鋼板の、剥離試験による接合強度に及ぼす接合後の熱処理温度の影響を示すグラフである。
1.本発明に係るアルミニウムクラッド鋼板
普通鋼とアルミニウムとを接合圧延によって直接接合してアルミニウムクラッド鋼帯を製造する場合には、一般的に、室温〜500℃の加熱温度で個々の構成材料の個別圧延率がいずれも10%以上となる条件で接合圧延する必要がある。また、曲げ、せん断または深絞り等の成形加工にも耐える接合強度を得るためには、接合に先立って構成材料を200〜500℃の温度に加熱する必要があるとされている。
しかし、このような温間もしくは熱間での接合圧延によりアルミニウムクラッド鋼帯を製造しようとすると、加熱によって活性化したアルミニウムの表面が圧延ロールと直接接触するために両者が凝着し易く、長時間を要するコイル圧延では圧延ロールへのアルミニウムの付着を防止できず、得られたアルミニウムクラッド鋼帯の表面性状を平滑に保つことができない。
この問題を解決するためは圧延潤滑剤を用いた冷間での接合圧延によって普通鋼とアルミニウムとを接合することが有効であるものの、冷間での接合圧延により無垢の普通鋼とアルミニウムとを安定して接合するためには構成材料全てを総合した総圧延率としておよそ70%もの高い圧延率が必要になり、このような大圧下圧延では、圧延荷重が大きくなるために接合圧延中の材料表面と圧延ロールとの接触面に加わる応力が大きくなり、圧延ロールへのアルミニウムの付着を防止できない。
これに対し、普通鋼の表面に予めアルミニウム合金からなるめっき処理を施すことにより接合すべき界面を、アルミニウム合金めっきおよびアルミニウムからなる界面とすることにより、小さな圧延率であっても安定した接合圧延を行うことができ、圧延ロールへのアルミニウムの付着を防止できる。
このように接合すべき界面をアルミニウム合金めっきとアルミニウムからなる界面としても、冷間での接合圧延を行われたアルミニウムクラッド鋼帯の接合界面では充分な接合強度を得られず、曲げ、せん断または深絞り等の成形加工を行うと界面剥離を生じるおそれがある。
これに対し、適切な条件のもとで冷間での接合圧延を行われたアルミニウムクラッド鋼帯に対して適切な条件で熱処理を行うことにより、接合界面の接合強度を増大させることができる。これは、冷間での接合圧延を行われたままの接合界面は、充分に金属接触しているにも関わらず、界面が結晶方位の再配置を伴って一体化するために必要な熱エネルギーが不足するために充分な接合強度を得られないのに対し、適切な条件で熱処理を行うことによって接合界面が一体化されるためであると考えられる。すなわち、冷間での接合圧延時に界面が均一に金属接触するような条件下で接合された界面は、引き続いて適切な熱処理を行われることによって、接合強度を高められる。
図1に、アルミニウムめっき鋼帯とアルミニウムコイルとを上記の方法に従って冷間で接合圧延して得られたアルミニウムクラッド鋼帯に、接合後の熱処理温度を20℃以上500℃以下の範囲において7水準で変更して熱処理を行って得られたアルミニウムクラッド鋼帯に対して行った剥離試験による接合強度に及ぼす熱処理の影響をグラフで示す。
接合強度は、サンプルとして切り出した巾10mm,長さ120mmの短冊試料の一端から界面を強制剥離し、剥離した各々の端部を引張り試験機にチャッキングして引き剥がした際のロードセル荷重とした。
図1のグラフに示すように、熱処理温度が250℃以上450℃以下の範囲において接合強度を顕著に増大する。
また、上記の接合強度の測定に用いたサンプルを利用して、巾6mm,長さ100mmの短冊サンプルを切り出し、ねじり戻し試験および90度繰り返し曲げ試験を行うことにより成形加工性を評価した。
ねじり戻し試験では、長さ100mmのサンプルの両端10mmずつを掴み部として2回転ねじりを加え、さらに2回転戻す操作後に界面剥離の有無により合否を判定した。また、90度繰り返し曲げ試験では、長さ100mmのサンプルの片端50mmを掴み部として自由端を左右に1往復ずつ90度曲げした後に界面剥離の有無により合否を判定した。成形加工性評価試験の結果を表1にまとめて示す。
Figure 2016159319
表1に示すように、ねじり戻し試験および90度繰り返し曲げ試験のいずれにおいても、熱処理温度が250℃以上450℃以下の範囲内において良好な成形加工性が得られたことから、本試験材においては、剥離試験による接合強度(剥離強度)が0.5N/mm巾以上となる範囲において、成形加工性に優れたアルミニウムクラッド鋼帯を得られることがわかる。
さらに、図1および表1に示す結果より、接合強度が0.5N/mm巾以上の接合強度は、ねじり戻し試験および90°繰り返し曲げ試験の合否判定基準と等価であることが分かる。接合強度は、前述のとおり、切り出した短冊試料の一端から界面を強制剥離して各々の端部を引張り試験機にチャッキングして引き剥がすことにより測定するが、強制剥離した一端の厚みが0.5mmを下回る場合には、引き剥がす作業において母材破断する場合があり、接合強度を測定することができないケースが生じる。そこで、強制剥離した一端の厚みが0.5mmを下回る場合、および箔圧延したクラッド材の接合性を評価する場合にあっては、ねじり戻し試験および90°繰り返し曲げ試験によって接合性を評価することができる。
以上のように、表面平滑性に優れた箔製品の素材として用いるアルミニウムクラッド鋼帯を得るために必要な、冷間圧延法によるクラッド接合を実現する手法として、予めアルミニウム合金をめっきしたアルミめっき鋼帯とアルミニウムコイルとを、圧延潤滑剤を用いた冷間圧延法により個々の圧延率がいずれも10%を超える条件で接合し、さらに得られたクラッドコイルを250℃以上450℃以下に1秒間以上保持する熱処理を施すことが有効である。
上記のように冷間で圧延接合されたアルミニウムクラッド鋼帯を素材として、さらに圧延率50%以上の冷間圧延を行うことによって得られる箔製品は、JIS Z 8741に記載のGs(60°)鏡面光沢度が800を超え、また外観上の表面品質も良好である。
ここで、熱間圧延法や真空圧延法によって接合された直後のアルミニウムクラッド鋼帯表面がJIS B 0601に規定された算術平均粗さRaで0.3μmを超える場合には、箔製品のGs(60°)鏡面光沢度が800を下回り、外観品質判定においても表面に曇り不良を生じる等の問題が生じたため、表面平滑性に優れた箔圧延素材の指標として、JIS B 0601に規定された算術平均粗さRaが0.3μm以下であることを指標とすることができる。
2.本発明に係るアルミニウムクラッド鋼帯の製造方法
本発明に係るアルミニウムクラッド鋼帯は、アルミニウムめっき鋼帯と工業用純アルミニウムコイルとを素材として、冷間圧延法により両者を接合圧延することにより、製造される。すなわち、アルミニウムめっき鋼帯の片面に工業用純アルミニウムコイルを接合圧延する場合には2層のアルミニウムクラッド鋼帯となり、アルミニウムめっき鋼帯の両面面に工業用純アルミニウムコイルを接合圧延する場合には3層のアルミニウムクラッド鋼帯となる。
素材として用いるアルミニウムめっき鋼帯は、通常の溶融めっき法もしくは電気めっき法で製造されたものを用いることができるが、普通鋼の表面に5質量%以上15質量%以下のSiを含むアルミニウム合金を溶融めっきしたものや、普通鋼の表面に純アルミニウムを電気めっきしたものを用いることができる。
めっき層の厚みは、特に限定を要するものではなく、5μm以上50μm以下であることが例示される。
また、アルミニウムめっき鋼帯と接合されるアルミニウムコイルには、JIS H 4000で1000番台合金として規定される工業用純アルミニウムを用いる。これは、不純物が少ない純アルミニウムを用いることによりクラッド接合性を良好に保つことができるとともに、アルミニウム層中の合金元素が異相を形成して表面に露出し、表面平滑性が損なわれることを防止するためである。
接合圧延に用いるこれらの素材であるコイルの前処理には、通常の洗浄方法を用いて表面の油分や汚れを除去しておくだけでよいが、必要に応じて表面を溶解処理やブラッシング処理してもよい。
接合圧延には、通常のクラッド接合用圧延機を用いることができる。すなわち、2段から6段の直列圧延機の入側に複数の巻き出しリールを配置し、また圧延ロールの出側近傍には圧延潤滑剤の供給装置を有するコイル冷間圧延機である。
冷間での接合圧延の直後での表面を平滑に保つために、使用するワークロールの表面粗さを、JIS B 0601に規定された算術平均粗さRaで0.3μm以下、かつ最大高さRzで2.5μm以下とすることが望ましい。これは、算術平均粗さRaが0.3μmを超え、もしくは最大高さRzが2.5μmを超えて粗くなると、粗さの先端部で局所的な接触応力が大きくなり、アルミニウムと圧延ロールとが直接接触するようになるために長時間の圧延を経ることでアルミニウムが圧延ロールに付着して接合圧延後のクラッドコイルの表面の平滑性を保つことができなくなるおそれがあるからである。
接合圧延に用いる圧延潤滑剤は、ミネラルタイプおよびエマルションタイプのいずれも使用可能であるが、冷間での接合圧延の直後における表面を平滑に保つために、ミネラルオイルの動粘度もしくはエマルション潤滑剤ベース油の動粘度ν(mm/sec)と、接合圧延時の圧延速度V(m/min)ならびに素材であるコイル全体を総合した圧延率r(%)とにより算出される値T=ν×V×(1−r)を20以上2000以下とする。
この値Tは、被圧延材と圧延ロールとの直接接触を阻害する油膜厚みに関係するパラメータであり、値Tが20を下回ると、油膜厚みが薄くなり過ぎて被圧延材と圧延ロールとの直接接触を阻害することができなくなり、長時間の圧延を経ることでアルミニウムが圧延ロールに付着して接合圧延後のクラッドコイルの表面の平滑性を保つことができない。一方、値Tが2000を超えて大きくなると、油膜厚みが厚くなり過ぎて平滑な圧延ロールの表面を被圧延材に転写させることができなくなり、また被圧延材であるアルミニウムの表面が油膜を介して自由変形するようになるために意図しない凹凸が生じて接合圧延後のクラッドコイルの表面の平滑性を保つことができない。
接合圧延は、素材を重ね合わせて1パスのみの圧延でも達成されるが、その際の圧延率は個々の素材の圧延率をいずれも10%超とし、かつ素材であるコイル全体を総合した圧延率を10%以上65%以下として行うことが望ましい。個々の素材のいずれかの圧延率が10%未満であると、材料表面の展伸を伴って接合面を均一に金属接触させる効果が得られず、引き続いて行われる熱処理を経た後にも充分な接合強度を得られない。また、素材であるコイル全体を総合した圧延率が65%を超えると、接合圧延中に材料コイルと圧延ロールとの間に働く応力が大きくなり過ぎるため、アルミニウム素材と圧延ロールとが直接接触するようになって被圧延材と圧延ロールとの直接接触を阻害することができず、長時間の圧延を経ることによりアルミニウムが圧延ロールに付着して接合圧延後のクラッドコイルの表面の平滑性を保つことができない。
適切な条件下で接合圧延したクラッドコイルは、上述したように、接合界面が均一に金属接触しているもののこのままでは充分な接合強度を得られないため、引き続いて、250〜450℃の温度に1秒間以上保持する熱処理を行うことが望ましい。これは、冷間での圧延接合によって充分に金属接触したクラッド界面に対して熱処理を施すことにより、結晶方位の再配置を伴った界面の一体化が進行して接合強度が増大するためであると考えられる。
熱処理の温度が250℃よりも低かったり、あるいは保持時間が1秒間よりも短いと、クラッド界面に与える熱エネルギーが不足するために結晶方位の再配置を伴った界面の一体化が進行せず、接合強度が増大しない。一方、熱処理温度が450℃を超えると、芯材である普通鋼とアルミニウムとの界面で硬くて脆いFe−AlやFe−Al−Siなどの金属間化合物が生成し、界面の接合強度が損なわれる可能性がある。
なお、熱処理における保持時間の上限は、特に定める必要はないが、生産性の観点から24時間以下とすることが望ましい。
熱処理の手法は、特に限定を要するものではなく、例えば、大気中の電気炉加熱や、窒素やアルゴンなど不活性ガス中での電気炉加熱等の手法を用いることが例示される。また、熱処理炉も、特に限定を要するものではなく、連続熱処理ラインに含まれる縦型炉や横型炉を用いてもよいし、バッチ式熱処理を行う箱型炉を用いてもよい。
このようにして、本発明によれば、従来のアルミニウムクラッド鋼帯では実現困難であった、高い表面平滑性と、曲げ、せん断さらには深絞り等の成形加工にも耐える接合強度とを兼備する箔製品、すなわち表面平滑性と成形加工性に優れた箔製品の素材として好適に用いられるアルミニウムクラッド鋼帯を得られる。
実施例を参照しながら、本発明をより具体的に説明する。
アルミニウムクラッド鋼帯を試作するための素材として、(a)普通鋼の両面にAl−10%Si合金を溶融めっきした厚さ0.6mmのアルミニウムめっき鋼帯、および(b)厚さ0.5mmのA1100純アルミニウムコイルの量産コイルを準備した。
実験用コイル圧延機を使用し、入側に配した3基の巻き出しリールに、純アルミニウム,アルミニウムめっき鋼帯,純アルミニウムをそれぞれ設置して巻き出し、ライン中でこれら3種の素材をこの順で重ね合わせて冷間で接合圧延することにより、本発明例の3層のアルミニウムクラッド鋼帯のクラッドコイルを作成した。
この際の圧延に用いるワークロールは、直径200mmの通常の鍛鋼ロールであって表面を#240砥石で研磨することにより、算術平均粗さRaを0.12μmに、最大高さRzを1.02μmにそれぞれ調製した。また、圧延潤滑剤として、40℃での動粘度が11mm/secのミネラル油と、40℃での動粘度が210mm/secの潤滑油を、蒸留水で4.0質量%に希釈したエマルションタイプの潤滑剤の2種類を使用した.
比較のため、上記と同様の0.6mmのアルミニウムめっき鋼帯と厚さ0.5mmのA1100純アルミニウムコイルとを用い、加熱温度200℃での温間接合圧延および400℃での熱間接合圧延により、比較例のアルミニウムクラッド鋼帯のクラッドコイルを作成した。
この際の圧延に用いるワークロールには、上記の冷間での接合圧延で用いたものと同様の直径200mmの鍛鋼ロール用い、圧延潤滑剤には40℃での動粘度が210mm/secの潤滑油を蒸留水で4.0質量%に希釈したエマルションタイプの潤滑剤を使用した。
さらに、比較のため、厚さ0.6mmの普通鋼帯と厚さ0.5mmのA1100純アルミニウムコイルとを用い、真空チャンバー中で冷間での接合圧延を行って、比較例のアルミニウムクラッド鋼帯のクラッドコイルを作成した。
この際の圧延ロールとして、直径100mmの鍛鋼ロールを用い、表面を#240砥石で研磨して算術平均粗さRaを0.10μm、最大高さRzを0.95μmにそれぞれ調製した。圧延潤滑剤は使用しない。
このようにして得られた本発明例,比較例のクラッドコイルから適当な大きさのサンプルを切り出し、JIS B 0601に規定された算術平均粗さRaを用いて表面の平滑性を評価した。
また、得られたクラッドコイルから切り出したサンプルに、実験用電気炉を用いて種々温度での熱処理を施した後、得られたサンプルから巾6mmで長さ100mmの短冊サンプルを切り出して、上述のねじり戻し試験および90度繰り返し曲げ試験を行って、成形加工性を評価した。
ねじり戻し試験では、長さ100mmのサンプルの両端10mmずつを掴み部として2回転ねじりを加え、さらに2回転戻す操作後に界面剥離の有無により合否を判定した。また、90度繰り返し曲げ試験では、長さ100mmのサンプルの片端50mmを掴み部として自由端を左右に1往復ずつ90度曲げした後に界面剥離の有無により合否を判定した。
さらに、得られたクラッドコイルを圧下率50%の条件で再度冷間圧延することにより、アルミニウムクラッド鋼箔を得た。この際、潤滑油として40℃での動粘度が11mm/secのミネラル油を用い、圧延のワークロールとして直径200mmの通常の鍛鋼ロールを用い、その表面を#600砥石で研磨して算術平均粗さRaを0.04μmに、最大高さRzを0.35μmにそれぞれ調製した。
得られたアルミニウムクラッド箔についてJIS Z 8741に記載のGs(60°)鏡面光沢度を測定するとともに外観観察を行って良否を判定した。なお、Gs(60°)鏡面光沢度の測定にはスガ試験機株式会社製のHG−246を使用した。
表2に実施した各々の試作条件と評価結果をまとめて示す。なお、表2における下線は、本発明の条件を逸脱すること、または評価結果が不芳であることを示す。
Figure 2016159319
表2における番号1〜8は、いずれも、本発明で規定する条件を全て満足する本発明例であり、表面の平滑性ならびに成形加工性がいずれも良好なアルミニウムクラッド鋼帯が得られたことがわかる。
番号9は、ワークロールの表面の最大高さRzが2.64μmと、本発明の範囲の上限を上回る比較例であり、ワークロールの粗さ先端部にアルミニウムが付着したため、アルミニウムクラッド鋼帯の表面の平滑性が不芳であった。さらに、このアルミニウムクラッド鋼帯を素材として再圧延加工により製造した箔製品は、JIS Z 8741に記載のGs(60°)鏡面光沢度が800を下回るとともに、外観上でも曇り不良が見られた。
番号10は、T値が14と、本発明の範囲の下限を下回る比較例であり、ワークロールの粗さ先端部にアルミニウムが付着したため、アルミニウムクラッド鋼帯の表面の平滑性が不芳であった。さらに、このアルミニウムクラッド鋼帯を素材として再圧延加工により製造した箔製品は、JIS Z 8741に記載のGs(60°)鏡面光沢度が800を下回るとともに、外観上でも曇り不良が見られた。
番号11は、T値が2268と、本発明の範囲の上限を上回る比較例であり、アルミニウムの表面が自由変形して凹凸を生じたため、アルミニウムクラッド鋼帯の表面の平滑性が不芳であった。さらに、このアルミニウムクラッド鋼帯を素材として再圧延加工により製造した箔製品は、JIS Z 8741に記載のGs(60°)鏡面光沢度が800を下回るとともに、外観上でも曇り不良が見られた。
番号12は、接合圧延における素材全体の圧延率が70と、本発明の範囲の上限を上回る比較例であり、圧延荷重が大きくなって接合圧延中の材料表面と圧延ロールとの接触面に加わる応力が大きくなり、圧延ロールへアルミニウムが付着したため、アルミニウムクラッド鋼帯の表面の平滑性が不芳であった。さらに、このアルミニウムクラッド鋼帯を素材として再圧延加工により製造した箔製品は、JIS Z 8741に記載のGs(60°)鏡面光沢度が800を下回るとともに、外観上でも曇り不良が見られた。
番号13,14は、いずれも、接合後に行なう熱処理の温度が本発明に規定する範囲外である比較例であり、目的の接合強度を得られなったためにねじり戻し試験や90度繰返し曲げにおいて界面剥離を生じた。
さらに、番号14〜16は、それぞれ、温間接合圧延、熱間接合圧延、真空中での冷間接合圧延によって接合された比較例であり、いずれも、接合圧延中に圧延ロールへのアルミニウムの付着を防止できないためにアルミニウムクラッド鋼帯の表面の平滑性が不芳であった。また、これらのアルミニウムクラッド鋼帯を素材として再圧延加工により製造した箔製品は、JIS Z 8741に記載のGs(60°)鏡面光沢度が800を下回るとともに,外観上でも曇り不良が見られた。

Claims (2)

  1. アルミニウムめっき鋼帯の片面または両面に工業用純アルミニウムコイルが冷間で接合圧延された2層または3層のアルミニウムクラッド鋼帯であって、その少なくとも片方の面に配された純アルミニウム層の表面粗さがJIS B 0601(2001)に規定された算術平均粗さRaで0.3μm以下であるとともに、前記2層または3層の接合界面を剥がす際の剥離強度が単位巾あたり0.5N/mm巾以上であることを特徴とするアルミニウムクラッド鋼帯。
  2. アルミニウムめっき鋼帯および工業用純アルミニウムコイルを素材として冷間圧延法により前記アルミニウムめっき鋼帯および工業用純アルミニウムコイルを接合圧延することにより、請求項1に記載されたアルミニウムクラッド鋼帯を製造する方法であって、
    前記接合圧延時の前記ワークロールの表面に圧延潤滑剤を噴霧または塗布するとともに、該圧延潤滑剤中に含まれる油分の動粘度ν(mm/sec)、前記接合圧延時の圧延速度V(m/min)、および前記素材の全体を総合した圧延率r(%)により算出される値T=ν×V×(1−r)を20〜2000とすること、および
    前記接合圧延は、前記素材個々の圧延率をいずれも10%超とし、前記素材全体の圧延率を10〜65%とするとともに、前記接合圧延に引き続いて250℃〜450℃に1秒間以上保持する熱処理を行うこと
    を特徴とするアルミニウムクラッド鋼帯の製造方法。
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