JP2016159298A - アンダーカット欠陥の検出方法、アンダーカット欠陥の検出装置、及び、隅肉アーク溶接方法 - Google Patents

アンダーカット欠陥の検出方法、アンダーカット欠陥の検出装置、及び、隅肉アーク溶接方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アーク溶接において、アンダーカット欠陥をオンライン検出できる方法を提供する。
【解決手段】溶接トーチをウィービングさせながら隅肉アーク溶接する際の溶接中にアンダーカット欠陥を検出する方法であって、隅肉アーク溶接中の溶接部周囲のうち、凝固直後の溶接部周囲をカメラで撮像し、アーク光の反射光を監視し、ウィービングの反転位置に相当する箇所に観測される当該箇所の周囲より高輝度のアーク光の反射光を検出したときに、アンダーカット欠陥が生じたと判断することを特徴とするアンダーカット欠陥の検出方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、アーク溶接中に溶接欠陥を検出する方法に関し、特に、アーク溶接において、オンラインでアンダーカット欠陥を検出する方法に関するものである。
自動溶接の場合、開先の寸法精度が悪いと、溶接線倣いを行っていても溶接トーチの移動軌跡が開先の中心からずれるなどの原因で、アンダーカットが発生する場合がある。
そこで、溶接作業が終了した後に、作業者が溶接部周囲の外観形状を目視することで、アンダーカット欠陥を検出している。しかし、作業者が目視でアンダーカット欠陥の検出を行っているのでは、アンダーカット欠陥の発見に熟練を要し、良否判断において誤差を生じやすく、補修に多大な手間を要していた。また、溶接作業が終了した後に、目視などでアンダーカット欠陥を検出する方法であると、アンダーカット欠陥が発見された場合、欠陥部の周囲を切除し、補修溶接後、再欠陥検出という繰り返し作業が必要となり、経費及び作業工数が増加し、溶接コストが高くなっていた。
そのため、溶接中に発生する欠陥をリアルタイムに検出することが望まれていた。つまり、溶接中に溶接部の情報をリアルタイムで監視して、アンダーカット欠陥を検出し、溶接の続行の可否を即座に判定することが望まれていた。このような状況のもと、溶接部周囲の溶接欠陥の溶接中における検出(オンライン検出)に関して、種々提案がなされている。
特許文献1には、アーク溶接において、アーク溶接時の溶接電圧をモニタリングし、通常溶接時のデータより設定された規定値から一定以上の乖離が発生した瞬間を検出することで穴あきを検出する技術が開示されている。
特許文献2には、電流変化量ΔIとトーチから溶接対象母材までの距離変化量ΔLとの関係式を試験溶接により同定し、実際の溶接において、溶接電流Iを検出して目標電流からの電流変化量ΔIを算出して、前記関係式に算出した電流変化量ΔIを代入することにより、トーチから溶接対象母材までの目標距離からの距離変化量ΔLを算出して、算出した距離変化量ΔLが減少するようにトーチの先端位置をフィードバック制御して、狙い位置をずらさずに欠陥の発生を抑制する技術が開示されている。
特許文献3には、溶接を行う開先部にスリット光を照射し、開先部の表面で反射されたスリット光を撮像し、撮像されたスリット光の画像を画像処理して光切断線を抽出し、得られた光切断線から開先部の位置及び形状を認識し、正確な狙い位置を溶接することで欠陥の発生を抑制する技術が開示されている。
特許文献1に開示の技術は、穴あき欠陥以外の溶接欠陥では、電圧変動が小さくモニタリングできない問題があり、特許文献2に開示の技術は、切断精度が悪い開先では、狙い位置がずれてしまいアンダーカット欠陥が発生する問題があり、特許文献3に開示の技術は、光切断法の装置を使用するものであり、アンダーカット欠陥の検出は可能だが非常に高価であり実用化し難い問題があった。
特開2014−046316号公報 特開2014−030841号公報 特開2014−032076号公報
本発明は、上記の従来技術の現状に鑑みて、アーク溶接において、アンダーカット欠陥をオンライン検出できる方法を提供することを目的とする。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決する方法について鋭意検討した。隅肉アーク溶接を行う際に、隅肉アーク溶接装置の溶接進行方向に対して逆進行方向の斜め上方にカメラを設置して、溶接部周囲を観察したところ、溶接金属の凝固直後の上方のウィービングの反転位置に相当する箇所に高輝度の光を観測した。この光を詳細に調査したところ、アンダーカット欠陥でアーク光が反射された光であるとの知見を得た。そして、この反射光を隅肉アーク溶接中に検出することで、アンダーカット欠陥の有無をオンラインで検出、判定できることを見出した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨とするところは以下の通りである。
(1)溶接トーチをウィービングさせながら隅肉アーク溶接する際の溶接中にアンダーカット欠陥を検出する方法であって、隅肉アーク溶接中の溶接部周囲のうち、凝固直後の溶接部周囲をカメラで撮像し、アーク光の反射光を監視し、ウィービングの反転位置に相当する箇所に観測される当該箇所の周囲より高輝度のアーク光の反射光を検出したときに、アンダーカット欠陥が生じたと判断することを特徴とするアンダーカット欠陥の検出方法。
(2)溶接トーチをウィービングさせながら隅肉アーク溶接する際の溶接中にアンダーカット欠陥を検出する装置であって、隅肉アーク溶接中の溶接部周囲のうち、凝固直後の溶接部周囲を撮像するカメラと、前記カメラにより撮像された像を表示し、アーク光の反射光の有無を監視できる表示装置とを有することを特徴とするアンダーカット欠陥の検出装置。
(3)溶接トーチをウィービングさせながら自動で隅肉アーク溶接する方法であって、前記隅肉アーク溶接中に、前記(1)に記載のアンダーカット欠陥の検出方法により、アンダーカット欠陥が生じたことを検出したところで、前記隅肉アーク溶接を中止し、溶接トーチの溶接位置を変更して隅肉アーク溶接することを特徴とする隅肉アーク溶接方法。
本発明によれば、隅肉アーク溶接において、開先の寸法精度によらず、電圧監視では検出できないアンダーカット欠陥をオンライン検出することができ、熟練者でなくとも、アンダーカット欠陥の有無を容易に検出、判定することができる。
ウィービングの中心の溶接狙い位置を調整して隅肉アーク溶接を行う方法の概略を示す図である。 隅肉アーク溶接中の様子と溶接ビードの断面を示す図である。(a)は隅肉アーク溶接中の溶接直後の溶接部周囲の高輝度に光る部分を示し、(b)は高輝度に光っていた部分を含む溶接ビードの断面(光学顕微鏡写真)を示す。 ウィービングの中心の溶接狙い位置を調整して隅肉アーク溶接した際に高輝度に光っていた部分を含む溶接ビードの断面(光学顕微鏡写真)を示す図である。 ウィービングの中心の溶接狙い位置とアンダーカット欠陥の深さの関係を示す図である。
以下、本発明の溶接欠陥の検出方法(以下、「本発明の検出方法」という)について、説明する。
本発明の検出方法は、2枚の板の合せ部や交差部などを隅肉アーク溶接する際の隅肉アーク溶接中に生じるアンダーカット欠陥を検出する方法である。特に、隅肉アーク溶接中の溶接部周囲のうち、凝固直後の溶接部周囲のウィービングの反転位置を含む周囲をカメラで撮像して、アーク光の反射光を監視し、ウィービングの反転位置に相当する箇所からの高輝度のアーク光の反射光を検出したときにアンダーカットが生じたと判断する検出方法である。
本発明者らは、溶接作業が終了した後に、目視などでアンダーカット欠陥を検出する方法であると、アンダーカット欠陥の発見に熟練を要し、良否判断に誤差を生じやすく、補修に多大な手間を要するため、アンダーカット欠陥の発生をオンラインで簡便に検出する方法を検討した。まず、アーク溶接装置の溶接進行方向に対して、逆進行方向の斜め上方にカメラを設置して、T字継手の隅肉アーク溶接を行い、アーク溶接中の溶接部周囲を観察した。そうしたところ、溶接直後の溶接部周囲に高輝度の光を確認した。溶接作業の終了後に光っていた部分を確認したところ、アンダーカット欠陥が生じていた。これより、溶接直後の溶接部周囲の高輝度の光は、アンダーカット欠陥により反射されるアーク光であると推察した。
そこで、本発明者らは、隅肉アーク溶接の際に、溶接トーチの溶接狙い位置をアンダーカット欠陥が生じやすいように意図的に調整して、溶接直後の溶接部周囲の高輝度の光とアンダーカット欠陥との関係を確認するために、次のような試験を行った。
図1に、ウィービングの中心の溶接狙い位置を調整して隅肉アーク溶接を行う方法の概略を示す。まず、隅肉アーク溶接に用いる試験板の形状について、図1を用いて説明する。試験では、試験板として鋼板1と鋼板2を用い、鋼板1に鋼板2を、溶接トーチ3を用いて隅肉アーク溶接を行うものである。溶接用ワイヤには、YM―24Tを用いた。鋼板1及び鋼板2は、ともに紙面奥行方向(以下、「長さ方向」という)に200mmの長さを有している。鋼板2は、長さ方向及び板厚方向に垂直な方向(以下、「幅方向」という)に50mmの長さを有している。また、鋼板2は、溶接部端部に幅方向に10mmで板厚方向に5mmの傾斜部を有している。これは、多層盛り溶接において、下層が形成された後の状態からの溶接を模擬するためである。
次に、隅肉アーク溶接の溶接条件について説明する。まず、溶接トーチ3の溶接狙い位置について説明する。溶接狙い位置4は、鋼板2の溶接部端部を0として、鋼板2の溶接部端部の傾斜方向に1mm間隔で0〜+7まで設定できるようになっている。試験では、溶接狙い位置4を+1に設定し、この溶接狙い位置4を中心として、周波数を50Hzに設定して溶接トーチ3をウィービングさせ、鋼板1及び鋼板2の長さ方向に隅肉アーク溶接を行った。その他の溶接条件は、電流270A、電圧30V、溶接速度18cm/minに設定した。
次に、溶接直後の溶接部周囲の高輝度の光の観察方法について説明する。隅肉アーク溶接中に溶接部のうち、凝固直後の溶接部周囲の鋼板1のウィービングの反転位置を含む周囲をカメラで撮像して、高輝度の光の観察をした。カメラは、CCDカメラに波長940nm±4nmの範囲の光のみ通過するバンドパスフィルターを取り付けたものとした。そして、このカメラを、溶接部に対して、溶接逆進行方向の斜め上方に設置し、凝固直後の溶接部周囲の鋼板1を撮像した。撮像条件は、2000フレーム/秒で行った。
この試験における隅肉アーク溶接中の様子と形成された溶接ビードについて説明する。図2に、隅肉アーク溶接中の様子の図と溶接ビードの断面図を示す。図2(a)に、隅肉アーク溶接中の溶接直後の溶接部周囲の高輝度に光る部分の図を示し、図2(b)に、高輝度に光っていた部分を含む溶接ビードの断面図を示す。
図2(a)に示すように、隅肉アーク溶接中の様子は、鋼板1と鋼板2の隅肉アーク溶接において、溶接トーチ3に設けられたワイヤ5の先端からアーク6が発生し、溶融池7が形成されている。溶接方向に対して、溶融池7の後方に溶接ビード8が形成され、凝固直後の溶接ビード8の上部に周囲の鋼板1より高輝度の光を発する部分9が点状に観測される。しかし、溶融池7の前方の溶接予定部及び溶融池7から約5cm以上はなれた溶接ビード8の上部には、高輝度の光は観測されなかった。
高輝度の光を発する部分9を溶接ビード8の長手方向の位置と対応させておき、隅肉アーク溶接の終了後に、高輝度の光を発する部分9を含むように溶接ビード8の長手方向に対して垂直に切断した。この切断した断面像が図2(b)に示す像である。図2(b)に示すように、光学顕微鏡で観察した断面には、点線で囲んだ部分にアンダーカットが形成されていた。したがって、周囲の鋼板1より高輝度の光を発する部分9は、アンダーカット欠陥がアーク光を反射して光る部分であることが確認された。また、アンダーカット欠陥に近接してウィービングの反転位置に相当する箇所があり、ウィービングの中心の溶接狙い位置が適切でない場合に、ウィービングの反転位置に相当する箇所に、アンダーカット欠陥が形成されることを知見した。
次に、溶接直後の溶接部周囲の高輝度の光として観測できるアンダーカット欠陥の深さを確認するために、次のような試験を行った。
図1に示す試験板と同様の試験板を鋼板1及び鋼板2として5組準備した。そして、溶接狙い位置4を+3〜+7までの5水準に設定して、各溶接狙い位置4を中心として、周波数を50Hzに設定して溶接トーチ3をウィービングさせ、鋼板1及び鋼板2の長さ方向に隅肉アーク溶接を行い、5片の試験片を作成した。その他の溶接条件は、各組共通とし、電流270A、電圧30V、溶接速度18cm/minに設定した。
また、溶接直後の溶接部周囲の高輝度の光の観察は、上述の溶接直後の溶接部周囲の高輝度の光とアンダーカット欠陥との対応関係の試験と同様のカメラ及びバンドパスフィルターを用いて、溶接部に対して、溶接逆進行方向の斜め上方に設置し、凝固直後の溶接部周囲の鋼板1をカメラで撮像した。撮像条件は、2000フレーム/秒で行った。
図3に、ウィービングの中心の溶接狙い位置を調整して隅肉アーク溶接した際に溶接部周囲の高輝度に光っていた部分を含む溶接ビードの光学顕微鏡で観察した断面図を示す。また、図3には、上述の溶接狙い位置4を+1として、隅肉アーク溶接した際に溶接部周囲の高輝度に光っていた部分を含む溶接ビードの断面図も併せて示す。図3から、溶接狙い位置を+1から+7の方向へ移動させることで、アンダーカット欠陥が小さくなることがわかる。すなわち、溶接狙い位置が+7のときに、アンダーカット欠陥が生じない適正な溶接狙い位置であることがわかる。
このウィービングの中心の溶接狙い位置とアンダーカット欠陥の深さの関係を図4に示す。また、白抜きの丸が、高輝度に光る部分が観察された溶接狙い位置とアンダーカット深さに対する関係であり、黒丸が高輝度に光る部分が観察されなかった溶接狙い位置とアンダーカット深さに対する関係である。これより、溶接狙い位置を+6に設定して、隅肉アーク溶接を行った際に形成された0.1mm程度の非常に浅いアンダーカット欠陥であっても、高輝度に光る部分が観察された。ここで、アンダーカット深さは、鋼板1の表面とアンダーカットの最も深い点との距離を測定することにより得た。
以上より、隅肉アーク溶接中の溶接部のうち、凝固直後の溶接部周囲の鋼板1のウィービングの反転位置を含む周囲をカメラで撮像し、周囲の鋼板1より高輝度のアーク光の反射光を検出することで、浅いアンダーカット欠陥であっても、オンラインで検出できることを知見した。
また、高速度カメラやバンドパスフィルターは高価であるため、市販のホームデジタルカメラにバンドパスフィルターの代わりに減光フィルタを取り付け、同様の実験を行った。その結果、市販のホームデジタルカメラでも同様にアンダーカット欠陥が検出されることを確認した。
本発明は、以上のような検討過程を経て上記(1)〜(3)に記載の発明に至ったものであり、そのような本発明について、さらに、必要な要件や好ましい要件について順次説明する。
まず、本発明の検出方法について説明する。
本発明の検出方法は、溶接継手の溶接トーチをウィービングさせながら隅肉アーク溶接する際の溶接中に生じるアンダーカット欠陥を検出する方法であり、隅肉アーク溶接中の溶接部のうち、凝固直後の溶接部周囲の鋼板のウィービングの反転位置を含む周囲をカメラで撮像して、当該鋼板から反射するアーク光を監視し、鋼板のウィービングの反転位置に相当する箇所に観測される当該箇所の周囲より高輝度のアーク光の反射光を検出したときに溶接欠陥が生じたと判断する方法である。図1における鋼板1側、鋼板2側のどちらから発生するアンダーカットも観測できる。
(隅肉アーク溶接)
本発明の検出方法は、鋼板と鋼板の交差部などを隅肉アーク溶接する際に行う方法である。隅肉アーク溶接の溶接方法は、特に限定されるものでなく、溶接トーチをウィービングさせながら溶接する方法であれば、通常用いられる溶接方法を採用することができる。溶接用ワイヤもワイヤの成分によらず使用できる。電流、電圧などの溶接条件についても通常用いられている条件で良い。シールドガスを使用する場合、シールドガスは、Arガス、COガス、及びそれらの混合ガスなどとすることができる。
(被溶接鋼板)
溶接しようとする鋼板の板厚は、特に限定されない。ただし、板厚6mm以上の鋼板の隅肉アーク溶接では、溶接トーチをウィービングしながら徐々に溶接進行方向に移動させて、積層する溶接方法が採用されることがある。本発明の検出方法は、ウィービングの中心の溶接狙い位置が適切でない場合に、ウィービングの反転位置に近接して形成されるアンダーカット欠陥を検出する方法であるため、板厚6mm以上の鋼板の隅肉アーク溶接において、採用すると有効である。溶接しようとする鋼板の形状は、少なくとも板状部分があればよく、全体が板でなくともよく、例えば、形鋼や鋼管なども含むものである。
また、溶接しようとする鋼板の成分組成は、特に限定されない。本発明の検出方法は、前述したように、アンダーカット欠陥からのアーク光の反射光の検出に基づくものであるので、この限りで溶接しようとする鋼板及び溶接金属の成分組成は、必ずしも限定する必要はなく、所望の機械特性などに応じて調整すればよい。またステンレスやアルミを用いてもよい。
(カメラの設置場所)
カメラを、凝固直後の溶接部周囲のウィービングの反転位置を含む周囲を撮像できるように、溶接部の溶接の逆進行方向に設置することで、アンダーカット欠陥を撮像できる。凝固直後の溶接部とは、溶融池後方から約5cmの範囲の溶接部のことである。そして、カメラは、凝固直後の溶接部周囲に生じるアンダーカット欠陥を撮像できる位置に設置され、アーク光、溶融池、及び、溶接ビードの監視を必ずしも行う必要はない。よって、カメラの視野内に鋼板のウィービングの反転位置を含む周囲が入るように溶接部と溶接カメラとの距離(例えば、150mm〜300mm)を調整すればよい。また、溶接部周囲の鋼板に対し、カメラを溶接部の溶接の逆進行方向の斜め上方に設置すると、アンダーカット欠陥を検出しやすいため好ましい。
(アーク光の反射光の監視)
鋼板から反射するアーク光をカメラにより撮像し、表示装置に表示して監視する。鋼板のウィービングの反転位置に相当する箇所に観測される当該箇所の周囲より高輝度のアーク光の反射光を確認したときに、アンダーカット欠陥が生じたと判断する。前記箇所からのアーク光の反射光は高輝度のため、容易に確認でき、熟練作業者でなくともアンダーカット欠陥の発生を判断できる。また、溶接部の接合強度に影響を与えるアンダーカット欠陥は、最終パスにおいて形成されるアンダーカット欠陥であるので、鋼板と鋼板の交差部などを多層盛り溶接する場合は、最終パスの隅肉アーク溶接の際に、また、鋼板と鋼板の交差部などを1パス溶接する場合は、1パスの隅肉アーク溶接の際に、アーク光の反射光の監視を行えばよい。
次に、本発明のアンダーカット欠陥の検出装置(以下、「本発明の検出装置」という)について説明する。
本発明の検出装置は、隅肉アーク溶接中に生じるアンダーカット欠陥を検出する装置であり、隅肉アーク溶接中の溶接部周囲のうち、凝固直後の溶接部周囲の鋼板のウィービングの反転位置を含む周囲を撮像するカメラと、カメラにより撮像された像を表示する表示装置とを有する装置である。
(カメラ)
本発明の検出装置は、隅肉アーク溶接中に溶接部のうち、凝固直後の溶接部周囲の鋼板のウィービングの反転位置を含む周囲を撮像するカメラを有し、カメラは、CCDカメラや高速度デジタルビデオカメラなど赤外領域まで感度を有するカメラとすることができる。カメラは、撮像するためのレンズを備え、このレンズに、減光フィルタなどを取り付けることが好ましい。アーク光は、強度が強すぎるからである。また、隅肉アーク溶接において、パルス電流を用いて行うときは、パルスの周波数で放出されるアーク光を撮像できるように、パルスの周波数の2倍以上のコマ数で観察できるカメラを用いることが好ましい。例えば、50Hzでウィービングさせて隅肉アーク溶接を行う場合、カメラの撮像条件を2000フレーム/秒で行うことが例示される。
(バンドパスフィルター)
バンドパスフィルターをカメラに取り付けて、特定の波長の光のみを通して、カメラで撮像することも好ましい。しかしながら、この高輝度部からの放射は、600nm以下の波長域の光が主体であることから、赤色より長波長の領域を選択的に透過するバンドパスフィルターを用いて撮影すると、アーク周辺プラズマの部分が相対的に抑制されて、溶接部周囲の様子をよりよく観察することができる。また、バンドパスフィルターが赤外線も透過するものであれば、CCDカメラなど赤外領域まで感度を有する撮像装置を用いたときに、アンダーカットからのアーク光の反射光を検出してより明瞭な画像を得ることができる。市販のホームデジタルカメラを用いる場合は減光フィルタを用いても、明瞭な画像を得ることができる。
(表示装置)
カメラによって撮像された像は、たとえば、液晶ディスプレイなどの表示装置に表示させる。表示装置は、特に限定されるものでなく、作業者が、表示された像を確認できればよい。
次に、本発明の隅肉アーク溶接方法(以下、「本発明の溶接方法」という)について説明する。
本発明の溶接方法は、溶接トーチをウィービングさせながら予め決められた溶接狙い位置に基づいて自動で隅肉アーク溶接中に、本発明の検出方法により、アンダーカット欠陥が生じたことを検出したとき、隅肉アーク溶接を中止し、溶接トーチの溶接狙い位置を変更して隅肉アーク溶接する方法である。
溶接ロボット等を用いて、自動でウィービングさせながら溶接する場合、予め決められた溶接狙い位置に基づいて、あるいは、溶接線倣いを併用して、溶接トーチを進行させている。しかし、開先中心がずれている場合、あるいは、溶接線倣い併用する場合でもそのずれが溶接線倣いでカバーできる範囲を超えている場合などでは、溶接トーチが開先の変化に追随できずに、アンダーカットが生じることがある。
そこで、本発明の検出方法により、アンダーカット欠陥を検出したとき、隅肉アーク溶接を中止し、溶接狙い位置を適切な位置、たとえば、溶接狙い位置を図1における+7の位置に変更し、溶接を再度実施する。これにより、溶接作業の終了後にアンダーカット欠陥周囲を補修溶接することがなくなる。
本発明によれば、隅肉アーク溶接において、開先の寸法精度によらず、電圧監視では検出できないアンダーカット欠陥をオンライン検出することができ、熟練者でなくとも、アンダーカット欠陥の有無を容易に検出、判定することができる。よって、本発明は、産業上の利用可能性が高いものである。
1 鋼板
2 鋼板
3 溶接トーチ
4 溶接狙い位置
5 ワイヤ
6 アーク
7 溶融池
8 溶接ビード
9 高輝度の光を発する部分(アンダーカット)

Claims (3)

  1. 溶接トーチをウィービングさせながら隅肉アーク溶接する際の溶接中にアンダーカット欠陥を検出する方法であって、隅肉アーク溶接中の溶接部周囲のうち、凝固直後の溶接部周囲をカメラで撮像し、アーク光の反射光を監視し、ウィービングの反転位置に相当する箇所に観測される当該箇所の周囲より高輝度のアーク光の反射光を検出したときに、アンダーカット欠陥が生じたと判断することを特徴とするアンダーカット欠陥の検出方法。
  2. 溶接トーチをウィービングさせながら隅肉アーク溶接する際の溶接中にアンダーカット欠陥を検出する装置であって、隅肉アーク溶接中の溶接部周囲のうち、凝固直後の溶接部周囲を撮像するカメラと、前記カメラにより撮像された像を表示し、アーク光の反射光の有無を監視できる表示装置とを有することを特徴とするアンダーカット欠陥の検出装置。
  3. 溶接トーチをウィービングさせながら自動で隅肉アーク溶接する方法であって、前記隅肉アーク溶接中に、請求項1に記載のアンダーカット欠陥の検出方法により、アンダーカット欠陥が生じたことを検出したところで、前記隅肉アーク溶接を中止し、溶接トーチの溶接位置を変更して隅肉アーク溶接することを特徴とする隅肉アーク溶接方法。
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