JP2016158541A - 香気成分を高める方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】短鎖分岐脂肪酸エチルエステルの新たな生成方法が求められていた。
【解決手段】本発明は、酵母由来の酵素YMR210wもしくはEHT1またはその変異体を用いて、短鎖分岐脂肪酸をエチルエステル化し、短鎖分岐脂肪酸エチルエステルを生成する方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、香気成分を高める方法に関する。
ビールには、ホップ由来の成分から生成する香気成分がいくつか存在することが知られている(非特許文献1)。そのような香気成分のうち、分岐脂肪酸のエチルエステルである以下の成分(1)〜(3)は、ホップや麦汁中にはわずかしか存在しないが、発酵させることで大きく増加することが知られており(非特許文献1)、酵母によりホップに含まれる分岐脂肪酸が変換することで以下の成分(1)〜(3)が生成されるものと推定される。
(1)イソ酪酸エチル(ethyl isobutyrate:CAS番号:97−62−1)(明細書中、「EIB」と記載する場合がある。);
(2)DL−2−メチル酪酸エチル(ethyl DL−methylbutyrate:CAS番号:7452−79−1)(明細書中、「E2MB」という場合がある。);および
(3)イソ吉草酸エチル(ethyl isovalerate:CAS番号:108−64−5)(明細書中、「E3MB」という場合がある。)
Figure 2016158541
また、イソ吉草酸エチルは、発酵焙煎コーヒー豆にも含まれ、コーヒーの香り成分としても重要である(特許文献1)。発酵処理をしていないコーヒー生豆やそれを焙煎したコーヒー豆には、イソ吉草酸エチルが含まれるものは見出されないことから、イソ吉草酸エチルは発酵処理を施すことによって特異的に生成される化合物であると考えられている。以上のことから、上記の(1)〜(3)は、ビールやコーヒーに限らず広く発酵食品において発酵工程を経て生成する香気成分であると考えられる。
しかしながら、この反応に関与する遺伝子は同定されていなかった。
酵母では、アシルCoA:エタノール O−アシルトランスフェラーゼ遺伝子として、EHT1(YBR177c)とEEB1(YPL095c)が知られており、そのホモログとして、YMR210wも知られている。
EHT1はヘキサン酸(C6)エチルやオクタン酸(C8)エチルの生合成に関与しており、またEEB1はC4〜C10の直鎖脂肪酸エチル(ブタン酸(C4)エチル、ヘキサン酸(C6)エチル、オクタン酸(C8)エチル、デカン酸(C10)エチル)の生合成に関与しており、両者は、特にヘキサン酸エチルの生合成に関与していることが知られている。一方、YMR210wは少なくとも直鎖の短鎖〜中鎖脂肪酸エチルエステルの生合成には関与していない可能性が示唆されており(非特許文献2、非特許文献3)、その機能は未知であった。
さらに、酵母では、アルコールアセチルトランスフェラーゼ(ATF1とATF2)がアルコールとアセチルCoAからアセテートエステルを生成することが知られているが、これらを高発現させることで、各種アセテートエステル以外にもヘキサン酸エチルが増加することが知られている(非特許文献3)。
ホップにおいて分岐脂肪酸は、α酸、β酸の前駆体として生成することが知られている。すなわち、分岐アミノ酸であるバリン、イソロイシン、およびロイシンの分解により、分岐脂肪酸として、それぞれ、イソ酪酸(isobutyric acid:CAS番号:79−31−2)(明細書中、「IB」という場合がある)、DL−2−メチル酪酸(DL−2−Methylbutyric acid:CAS番号:116−53−0)(明細書中、「2MB」という場合がある)、およびイソ吉草酸(isovaleric acid:CAS番号:116−53−0)(明細書中、「3MB」という場合がある)が生成され、これらの短鎖分岐脂肪酸がCoA−型でホップのトリコームに蓄積していることが知られている(非特許文献4)。
Figure 2016158541
WO2011/096283
J.Agric.Food Chem.,54(23),8855−8861(2006) J.B.C.,281(7),4446−4456(2006) Microbial Biotechnology,3(2),165−177,(2010) BMC Plant Biology,13,12(2013)
上記のような状況の下、香気成分である短鎖分枝脂肪酸エチルエステルの新たな生成方法が求められていた。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、酵母由来の酵素YMR210wおよびEHT1が、短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1] 以下の(a)〜(e)からなる群から選択されるポリヌクレオチドにコードされるタンパク質を用いて、短鎖分岐脂肪酸をエチルエステル化し、短鎖分岐脂肪酸エチルエステルを生成する方法。
(a)配列番号1または配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列において、1〜45個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(d)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(e)配列番号1または配列番号3の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドと高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、かつ短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
[2] 前記ポリヌクレオチドが、配列番号1または配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチドである、上記[1]に記載の方法。
[3] 前記ポリヌクレオチドが、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドである、上記[1]に記載の方法。
[4] 前記短鎖分岐脂肪酸が、DL−2−メチル酪酸、イソ酪酸、またはイソ吉草酸である、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の方法。
[5] 前記短鎖分岐脂肪酸エチルエステルが、DL−2−メチル酪酸エチル、イソ酪酸エチル、またはイソ吉草酸エチルである、上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の方法。
[6] 前記ポリヌクレオチドが、発現ベクターに挿入されたものである、上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の方法。
[7] 前記発現ベクターが形質転換酵母に導入されたものである、上記[6]に記載の方法。
[8] 前記短鎖脂肪酸エステルが、飲食品内に生成される、上記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の方法。
[9] 前記飲食品が発酵過程を経て製造される飲食品である、上記[8]に記載の方法。
[10] 前記飲食品が、酒類である、上記[8]または[9]に記載の方法。
[11] 前記酒類が、麦芽使用飲料である、上記[10]に記載の方法。
[12] 短鎖分岐脂肪酸を生成する宿主に、以下の(a)〜(e)からなる群から選択されるポリヌクレオチドが導入された非ヒト形質転換体を培養することを含む、短鎖分岐脂肪酸エチルエステルの生産方法。
(a)配列番号1または配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列において、1〜45個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(d)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(e)配列番号1または配列番号3の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドと高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、かつ短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
[13] 前記ポリヌクレオチドが、配列番号1または配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチドである、上記[12]に記載の方法。
[14] 前記ポリヌクレオチドが、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドである、上記[12]に記載の方法。
[15] 前記短鎖分岐脂肪酸がDL−2−メチル酪酸であり、DL−2−メチル酪酸がエチルエステル化され、DL−2−メチル酪酸エチルが生産される、上記[12]〜[14]のいずれか1項に記載の方法。
[16] 前記ポリヌクレオチドが、発現ベクターに挿入されたものである、上記[12]〜[15]のいずれか1項に記載の方法。
[17] 前記形質転換体が、形質転換酵母または形質転換植物である、上記[12]〜[16]のいずれか1項に記載の方法。
本発明により、香気成分である短鎖分岐脂肪酸エチルエステルの新たな生成方法が提供される。本発明の好ましい態様の生成方法によれば、香気成分である短鎖分岐脂肪酸エチルエステルを効率よく生成することができる。
各酵素のE2MB生成能を評価した結果を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施の形態のみに限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施をすることができる。
「YMR210w」は、酵母由来の酵素であり、そのcDNA配列、およびアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号1、および配列番号2に示される。
「EHT1」は、酵母由来の酵素であり、そのcDNA配列、およびアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号3、および配列番号4に示される。
これらのポリヌクレオチドおよび酵素は、後述の実施例に記載した手法、公知の遺伝子工学的手法、公知の合成手法等によって取得することが可能である。
1.短鎖分岐脂肪酸エチルエステルの生成方法
本発明は、以下の(a)〜(e)からなる群から選択されるポリヌクレオチド(以下、「本発明のポリヌクレオチド」という場合がある)にコードされるタンパク質を用いて、短鎖分岐脂肪酸をエチルエステル化し、短鎖分岐脂肪酸エチルエステルを生成する方法(以下、「本発明の短鎖分岐脂肪酸エチルエステルの生成方法」)を提供する。
(a)配列番号1または配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列において、1〜45個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(d)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(e)配列番号1または配列番号3の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドと高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、かつ短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
「短鎖分岐脂肪酸」とは、炭素数4〜10の分岐脂肪酸であり、イソ酪酸、DL−2−メチル酪酸、イソ吉草酸、2−メチルペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、2−メチルヘプタン酸、2−エチルオクタン酸などが挙げられる。本発明における「短鎖分岐脂肪酸」は、好ましくは、イソ酪酸、DL−2−メチル酪酸、およびイソ吉草酸からなる群から選択される少なくとも1つであり、より好ましくは、イソ酪酸、DL−2−メチル酪酸、またはイソ吉草酸であり、さらに好ましくは、DL−2−メチル酪酸である。
「短鎖分岐脂肪酸をエチルエステル化」することには、短鎖分岐脂肪酸が、先ず、別の酵素によってCoAとエステル結合した短鎖分岐脂肪酸(以下、「CoA型短鎖分岐脂肪酸」という)になり、CoA型短鎖分岐脂肪酸と本発明のポリヌクレオチドにコードされるタンパク質が反応して、短鎖分岐脂肪酸エチルエステルが生成することが含まれてよい。この場合、本発明のポリヌクレオチドにコードされるタンパク質の基質は、CoA型短鎖分岐脂肪酸となる。
「CoAとエステル結合した短鎖分岐脂肪酸」または「CoA型短鎖分岐脂肪酸」とは、CoA(補酵素A)がその末端のチオール基で上記短鎖分岐脂肪酸とチオエステル結合を形成したものである。
「短鎖分岐脂肪酸エチルエステル」とは、炭素数4〜10の分岐脂肪酸のエチルエステルであり、上記した短鎖分岐脂肪酸をエチルエステル化して得られる化合物が挙げられる。「短鎖分岐脂肪酸エチルエステル」は、好ましくは、香気成分となる短鎖分岐脂肪酸エチルエステルであり、より好ましくは、イソ酪酸エチル、DL−2−メチル酪酸エチル、およびイソ吉草酸エチルからなる群から選択される少なくとも1つであり、さらに好ましくは、DL−2−メチル酪酸エチル、イソ酪酸エチル、またはイソ吉草酸エチルであり、特に好ましくは、DL−2−メチル酪酸エチルである。
「ポリヌクレオチド」とは、DNAまたはRNAであり、好ましくはDNAである。DNAとしては、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、細胞・組織由来のcDNA、細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAなどが挙げられる。ライブラリーに使用するベクターは、特に制限はなく、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織からtotalRNAまたはmRNA画分を調製したものを用いて直接Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction(以下、「RT−PCR法」と略称する)によって増幅することもできる。
配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、例えば、配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチドが挙げられる。配列番号4のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、例えば、配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチドが挙げられる。
「配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列において、1〜45個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有するタンパク質」としては、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列において、例えば、1〜45個、1〜44個、1〜43個、1〜42個、1〜41個、1〜40個、1〜39個、1〜38個、1〜37個、1〜36個、1〜35個、1〜34個、1〜33個、1〜32個、1〜31個、1〜30個、1〜29個、1〜28個、1〜27個、1〜26個、1〜25個、1〜24個、1〜23個、1〜22個、1〜21個、1〜20個、1〜19個、1〜18個、1〜17個、1〜16個、1〜15個、1〜14個、1〜13個、1〜12個、1〜11個、1〜10個、1〜9個(1〜数個)、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、または1個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有するタンパク質が挙げられる。上記アミノ酸残基の欠失、置換、挿入および/または付加の数は、一般的には小さい程好ましい。
「1〜45個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、および/または付加された」とは、同一配列中の任意かつ1〜45個のアミノ酸配列中の位置において、1〜45個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入および/または付加があることを意味し、欠失、置換、挿入および付加のうち2種以上が同時に生じてもよい。
以下に、相互に置換可能なアミノ酸残基の例を示す。同一群に含まれるアミノ酸残基は相互に置換可能である。
A群:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2−アミノブタン酸、メチオニン、o−メチルセリン、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、シクロヘキシルアラニン;
B群:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン酸、2−アミノアジピン酸、2−アミノスベリン酸;
C群:アスパラギン、グルタミン;
D群:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4−ジアミノブタン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸;
E群:プロリン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン;
F群:セリン、スレオニン、ホモセリン;
G群:フェニルアラニン、チロシン。
また、このようなタンパク質としては、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列と90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、または99.9%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有するタンパク質が挙げられる。上記配列同一性の数値は一般的に大きい程好ましい。
「配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有するタンパク質」としては、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列と90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、または99.9%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有するタンパク質が挙げられる。上記配列同一性の数値は一般的に大きい程好ましい。
ここで、「短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性」とは、短鎖分岐脂肪酸から、短鎖分岐脂肪酸エチルエステルを生成する反応を触媒する活性を意味する。例えば、短鎖分岐脂肪酸が、先ず、別の酵素によってCoA型短鎖分岐脂肪酸になり、CoA型短鎖分岐脂肪酸と本発明のポリヌクレオチドにコードされるタンパク質が反応して、短鎖分岐脂肪酸エチルエステルが生成される場合には、前記活性は、CoA型短鎖分岐脂肪酸を反応基質とする触媒活性でもよい。
短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性は、酵素剤となり得るタンパク質を、短鎖分岐脂肪酸またはCoA型短鎖分岐脂肪酸と接触させて、短鎖分岐脂肪酸エチルエステルを生成し、得られた短鎖分岐脂肪酸エチルエステルを精製し、精製したものをガスクロマトグラフィー質量分析法(GC−MS)や液体クロマトグラフィー(Liquid Chromatography:LC)等の公知の手法により分析することで確認することができる。「接触」とは、酵素剤となり得るタンパク質を、短鎖分岐脂肪酸またはCoA型短鎖分岐脂肪酸と同一の反応系に存在させることを意味する。
「高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、例えば、配列番号1または配列番号3の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、または配列番号2または4のアミノ酸配列をコードする塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドの全部または一部をプローブとして、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法またはサザンハイブリダイゼーション法などを用いることにより得られるポリヌクレオチドをいう。ハイブリダイゼーションの方法としては、例えば、”Sambrook&Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual Vol. 4,Cold Spring Harbor, Laboratory Press 2012”、”Ausubel, Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons 1987−1997”などに記載されている方法を利用することができる。
「高ストリンジェントな条件」とは、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、50℃、または0.2xSSC、0.1%SDS、60℃、または0.2xSSC、0.1%SDS、62℃、または0.2xSSC、0.1%SDS、65℃の条件であるが、これに限定されるものではない。これらの条件において、温度を上げるほど高い配列同一性を有するDNAが効率的に得られることが期待できる。ただし、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度、プローブ濃度、プローブの長さ、イオン強度、時間、塩濃度等の複数の要素が考えられ、当業者であればこれらの要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
なお、ハイブリダイゼーションに市販のキットを用いる場合は、例えばAlkphos Direct Labelling and Detection System(GE Healthcare)を用いることができる。この場合は、キットに添付のプロトコルにしたがい、標識したプローブとのインキュベーションを一晩行った後、メンブレンを55〜60℃の条件下で0.1%(w/v)SDSを含む1次洗浄バッファーで洗浄後、ハイブリダイズしたDNAを検出することができる。あるいは、配列番号1または配列番号3の塩基配列と相補的な塩基配列、または配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列をコードする塩基配列と相補的な塩基配列の全部または一部に基づいてプローブを作製する際に、市販の試薬(例えば、PCRラベリングミックス(ロシュ・ダイアグノスティクス社)等)を用いて該プローブをジゴキシゲニン(DIG)ラベルした場合には、DIG核酸検出キット(ロシュ・ダイアグノスティクス社)を用いてハイブリダイゼーションを検出することができる。
上記以外にハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドとしては、BLASTの相同性検索ソフトウェアにより、デフォルトのパラメーターを用いて計算したときに、配列番号1または3の塩基配列のDNA、または配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列をコードするDNAと60%以上、61%以上、62%以上、63%以上、64%以上、65%以上、66%以上、67%以上、68%以上、69%以上、70%以上、71%以上、72%以上、73%以上、74%以上、75%以上、76%以上、77%以上、78%以上、79%以上、80%以上、81%以上、82%以上、83%以上、84%以上、85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、または99.9%以上の配列同一性を有するDNAをあげることができる。
なお、アミノ酸配列や塩基配列の配列同一性は、カーリンおよびアルチュールによるアルゴリズムBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 872264−2268,1990;Proc Natl Acad Sci USA 90:5873,1993)を用いて決定できる。BLASTを用いる場合は、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。
本発明の好ましい態様のポリヌクレオチドは、配列番号1または配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチドである。本発明の別の好ましい態様のポリヌクレオチドは、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドである。
上記した本発明のポリヌクレオチドは、公知の遺伝子工学的手法または公知の合成手法によって取得することが可能である。
本発明のポリヌクレオチドは、好ましくは、適切な発現ベクターに挿入された状態で宿主に導入される。本発明のポリヌクレオチドが挿入された発現ベクターを、「本発明の発現ベクター」という。
適切な発現ベクターは、通常、
(i)宿主細胞内で転写可能なプロモーター;
(ii)該プロモーターに結合した、本発明のポリヌクレオチド;および
(iii)RNA分子の転写終結およびポリアデニル化に関し、宿主細胞内で機能するシグナルを構成要素として含む発現カセット
を含むように構成される。
本発明の発現ベクターの作製方法としては、プラスミド、ファージまたはコスミドなどを用いる方法が挙げられるが特に限定されない。
ベクターの具体的な種類は特に限定されず、宿主細胞中で発現可能なベクターが適宜選択され得る。すなわち、宿主細胞の種類に応じて、確実に本発明のポリヌクレオチドを発現させるために適宜プロモーター配列を選択し、これと本発明のポリヌクレオチドを各種プラスミド等に組み込んだベクターを発現ベクターとして用いればよい。
本発明の発現ベクターは、導入されるべき宿主細胞の種類に依存して、発現制御領域(例えば、プロモーター、ターミネーターおよび/または複製起点等)を含有する。細菌用発現ベクターのプロモーターとしては、慣用的なプロモーター(例えば、trcプロモーター、tacプロモーター、lacプロモーター等)が使用され、酵母用プロモーターとしては、例えば、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼプロモーター、PH05プロモーター等が挙げられ、糸状菌用プロモーターとしては、例えば、アミラーゼ、trpC等が挙げられる。また、植物細胞内で目的遺伝子を発現させるためのプロモーターの例としては、カリフラワーモザイクウィルスの35S RNAプロモーター、rd29A遺伝子プロモーター、rbcSプロモーター、前記カリフラワーモザイクウィルスの35S RNAプロモーターのエンハンサー配列をアグロバクテリウム由来のマンノピン合成酵素プロモーター配列の5’側に付加したmac−1プロモーター等が挙げられる。動物細胞宿主用プロモーターとしては、ウイルス性プロモーター(例えば、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター等)が挙げられる。
発現ベクターは、少なくとも1つの選択マーカーを含むことが好ましい。このようなマーカーとしては、栄養要求性マーカー(ura5、niaD、URA3、TRP1、HIS3、LEU2、LYS2)、薬剤耐性マーカー(hygromycine、ゼオシン)、ジェネチシン耐性遺伝子(G418r)、銅耐性遺伝子(CUP1)(Marin et al.,Proc.Natl.Acad.Sci. USA,vol. 81,p.337,1984)、セルレニン耐性遺伝子(fas2m, PDR4)(それぞれ、猪腰淳嗣ら,生化学,vol.64,p.660,1992;Hussain et al.,Gene,vol.101,p.149,1991)などが利用可能である。
本発明の発現ベクターは、好ましくは、適切な宿主細胞に導入されたものである。本発明の発現ベクターが導入された宿主細胞を、「本発明の形質転換細胞」という。
本発明の形質転換細胞の作製方法(生産方法)は特に限定されないが、例えば、本発明のポリヌクレオチドを含む発現ベクターを宿主細胞に導入して形質転換する方法が挙げられる。形質転換の対象となる細胞としては、従来公知の各種細胞を好適に用いることができる。形質転換の対象となる細胞としては、例えば、大腸菌(Escherichia coli)等の細菌、酵母(出芽酵母Saccharomyces cerevisiae、分裂酵母Schizosaccharomyces pombe)、糸状菌(麹菌Aspergillus oryzae、Aspergillus sojae)、植物細胞、ヒトを除く動物細胞等が挙げられる。上記の宿主細胞のための適切な培養培地および条件は当分野で周知である。本発明のいくつかの態様では、形質転換細胞は、非ヒト形質転換細胞である。形質転換細胞は、好ましくは、形質転換酵母である。
宿主細胞の形質転換方法としては一般に用いられる公知の方法が利用できる。例えば、エレクトロポレーション法(Mackenxie,D.A.et al.,Appl.Environ.Microbiol.,vol.66,p.4655−4661,2000)、パーティクルデリバリー法(特開2005−287403「脂質生産菌の育種方法」に記載の方法)、スフェロプラスト法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,vol.75,p.1929,1978)、酢酸リチウム法(J.Bacteriology,vol.153,p.163,1983)、Methods in yeast genetics,2000 Edition:A Cold Spring Harbor Laboratory Course Manualなどに記載の方法)で実施可能であるが、これらに限定されない。
その他、一般的な分子生物学的な手法に関しては、”Sambrook&Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual Vol.4, Cold Spring Harbor Laboratory Press 2012”、”Methods in Yeast Genetics、A laboratory manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor,NY)”等を参照することができる。
形質転換細胞が、形質転換酵母である場合、本発明のポリヌクレオチドを含む組換えベクターを、当該ポリヌクレオチドによってコードされる本発明のタンパク質が発現され得るように酵母中に導入することによって取得される。本発明のポリヌクレオチドで形質転換された酵母は、野生型と比べて本発明のタンパク質を多く発現する。このため、酵母で発現した本発明のタンパク質が、短鎖分岐脂肪酸をエチルエステル化する反応を触媒し、短鎖分岐脂肪酸エチルエステルが酵母の細胞内または培養液中、好ましくは、培養液中に生成される。
本発明のポリヌクレオチドにコードされるタンパク質を、「本発明のタンパク質」という。本発明のタンパク質は、これをコードする本発明のポリヌクレオチドを適切な宿主細胞で発現させることなどにより得ることができるが、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t−ブチルオキシカルボニル法)等の化学合成法によっても製造することができる。また、AAPPTec LLC製、Perkin Elmer Inc.製、Protein Technologies Inc.製、PerSeptive Biosystems製、Applied Biosystems製、SHIMADZU CORPORATION製等のペプチド合成機を利用して化学合成することもできる。
本発明の短鎖分岐脂肪酸エチルエステルの生成方法では、本発明のタンパク質を用いて、短鎖分岐脂肪酸をエチルエステル化する。本発明のタンパク質を用いるとは、本発明のタンパク質自体、または本発明のタンパク質を発現する本発明の形質転換細胞を、酵素剤として用いることを意味する。具体的には、酵素剤を、エタノールの存在下、短鎖分岐脂肪酸またはCoA型短鎖分岐脂肪酸と接触させる。「接触」とは、本発明のタンパク質と短鎖分岐脂肪酸またはCoA型短鎖分岐脂肪酸とを同一の反応系または培養系に存在させることを意味し、例えば、本発明のタンパク質を入れた容器に短鎖分岐脂肪酸またはCoA型短鎖分岐脂肪酸を添加すること、短鎖分岐脂肪酸またはCoA型短鎖分岐脂肪酸を入れた容器に本発明のタンパク質を添加すること、本発明のタンパク質と短鎖分岐脂肪酸またはCoA型短鎖分岐脂肪酸とを混合すること、本発明の形質転換細胞の培養容器に短鎖分岐脂肪酸またはCoA型短鎖分岐脂肪酸を添加すること、本発明の形質転換細胞と短鎖分岐脂肪酸またはCoA型短鎖分岐脂肪酸とを混合すること、および本発明の形質転換細胞を短鎖分岐脂肪酸またはCoA型短鎖分岐脂肪酸の存在下で培養することが含まれる。
本発明の短鎖分岐脂肪酸エチルエステルの生成方法において、出発物質となる短鎖分岐脂肪酸またはCoA型短鎖分岐脂肪酸は、公知の方法またはそれに準ずる方法によって調製してもよい。あるいは、出発物質となる短鎖分岐脂肪酸またはCoA型短鎖分岐脂肪酸は、市販のものでもよい。短鎖分岐脂肪酸またはCoA型短鎖分岐脂肪酸は、精製されたものを用いてもよいし、あるいは、短鎖分岐脂肪酸またはCoA型短鎖分岐脂肪酸を生成する微生物(例えば納豆菌やビフィズス菌のような消化管内微生物)や植物(例えば、ホップ、コーヒー果実など)をそのまま用いてもよい。
イソ酪酸、DL−2−メチル酪酸、およびイソ吉草酸を、エチルエステル化すると、それぞれ、香気成分である、イソ酪酸エチル、DL−2−メチル酪酸エチル、およびイソ吉草酸エチルが生成される。本発明の好ましい態様では、DL−2−メチル酪酸をエチルエステル化してDL−2−メチル酪酸エチルを生成する。
生成された短鎖分岐脂肪酸エチルエステルは、適切な溶媒(水等の水性溶媒、または、ジクロロメタン、アルコール、エーテル、アセトン等の有機溶媒)による抽出、酢酸エチルその他の有機溶媒:水の勾配、高速液体クロマトグラフィー(High Performance Liquid Chromatography:HPLC)、ガスクロマトグラフィー、飛行時間型質量分析(Time−of−Flight mass spectrometry:TOF−MS)、超高性能液体クロマトグラフィー(Ultra (High) Performance Liquid chromatography:UPLC)等の公知の方法によって精製することができる。
上述した本発明の発現ベクターを製造対象となる飲食品の製造に適した宿主細胞に導入し、その形質転換細胞を用いることによって、所望の飲食品で、かつ短鎖分岐脂肪酸エチルエステル含量が増加し、香味に優れた飲食品を製造することもできる。したがって、本発明の短鎖分岐脂肪酸エチルエステルの生成方法は、短鎖分岐脂肪酸エチルエステルが飲食品内に生成される方法も包含する。飲食品は、酒類、非アルコール飲料、食品およびこれらの原料をいい、好ましくは、発酵過程を経て製造される飲食品である。
酒類としては、例えば、ビール等の麦芽使用飲料(例えば、ビール、発泡酒などのアルコール飲料)、ワイン、ウイスキー、清酒などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。発酵過程を経て製造される非アルコール飲料としては、ビールテイスト飲料や茶飲料、乳酸発酵飲料、コーヒー飲料、豆乳飲料などが挙げられる。発酵過程を経て製造される食品としては、大豆発酵食品(しょうゆ、味噌、納豆など)、調味料(みりん、食酢、魚醤など)、乳製品(チーズ、ヨーグルトなど)、パン、その他動植物由来原料の発酵過程を経て得られる食品(漬物類、キムチ、ピクルス、ザワークラフト、鰹節など)が挙げられるが、それらは特に限定されるものではない。このような発酵食品の製造に用いられる原料としては、各種農産物、例えば、ホップ、麦芽、ブドウ、米、大麦、小麦、コーヒー豆(好ましくはコーヒー果実に対して酵母などを利用して発酵に基づく加工をして得られる発酵コーヒー豆)、茶葉や、水産物、畜産物などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
例えば、これらの飲食品を製造する場合は、親株の代わりに本発明の形質転換細胞、好ましくは形質転換酵母を用いる以外は公知の手法を利用することができる。
2.非ヒト形質転換体を用いた短鎖分岐脂肪酸エチルエステルの生産方法
本発明のポリヌクレオチドを、細菌、真菌類、植物、昆虫、ヒトを除く哺乳動物などに由来する宿主細胞に導入して本発明のタンパク質を細胞外に発現させ、本発明のタンパク質と、短鎖分岐脂肪酸またはCoA型短鎖分岐脂肪酸を接触させることにより短鎖分岐脂肪酸エチルエステルを生成することができる。あるいは、宿主によっては、本発明のタンパク質を宿主細胞内で発現させ、短鎖分岐脂肪酸エチルエステルを生成することもできる。
そこで、本発明は、短鎖分岐脂肪酸を生成する宿主に、以下の(a)〜(e)からなる群から選択されるポリヌクレオチド(すなわち、本発明のポリヌクレオチド)が導入された非ヒト形質転換体を培養することを含む、短鎖分岐脂肪酸エチルエステルの生産方法を提供する。
(a)配列番号1または配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列において、1〜45個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(d)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(e)配列番号1または配列番号3の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドと高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、かつ短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
「ポリヌクレオチド」は、前述の通りである。
配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、例えば、配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチドが挙げられる。配列番号4のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、例えば、配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチドが挙げられる。
「配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列において、1〜45個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有するタンパク質」としては、前述のものが挙げられる。
「配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有するタンパク質」としては、前述のものが挙げられる。
「高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、前述の通りである。
本発明のポリヌクレオチドは、公知の遺伝子工学的手法または公知の合成手法によって取得することが可能である。
本発明のポリヌクレオチドは、好ましくは、適切な発現ベクターに挿入された状態で宿主に導入される。適切な発現ベクターは、前述の通りである。
本発明の形質転換体の作製方法(生産方法)は特に限定されないが、例えば、本発明のポリヌクレオチドを含む発現ベクターを宿主に導入して形質転換する方法が挙げられる。ここで用いられる宿主は、特に限定されるものではなく、例えば、乳酸菌やビフィズス菌、大腸菌(Escherichia coli)等の細菌、出芽酵母Saccharomyces cerevisiae、分裂酵母Schizosaccharomyces pombeなどの酵母、麹菌Aspergillus oryzae、Aspergillus sojaeなどの糸状菌、植物細胞、ヒトを除く動物細胞等が挙げられる。上記の宿主細胞のための適切な培養培地および条件は当分野で周知である。また、形質転換の対象となる生物も、特に限定されるものではなく、上記宿主細胞で例示した各種微生物または植物またはヒトを除く動物が挙げられる。形質転換体は、好ましくは、形質転換酵母または形質転換植物である。
宿主細胞の形質転換方法、その他一般的な分子生物学的な手法に関しては、前述の通りである。
形質転換体が、酵母である場合、本発明のポリヌクレオチドを含む組換えベクターを、当該ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドが発現され得るように酵母中に導入することによって取得される。本発明のポリヌクレオチドで形質転換された酵母は、野生型と比べて本発明のタンパク質を多く発現する。このため、酵母で発現した本発明のタンパク質が、短鎖分岐脂肪酸をエチルエステル化する反応を触媒し、短鎖分岐脂肪酸エチルエステルが酵母の細胞内または培養液中、好ましくは、培養液中に生成される。
形質転換体が、植物である場合、本発明のポリヌクレオチドを含む組換えベクターを、当該ポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が発現され得るように植物中に導入することによって取得される。本発明において形質転換の対象となる植物は、植物体全体、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、種子など)、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束、柵状組織、海綿状組織など)または植物培養細胞、あるいは種々の形態の植物細胞(例えば、懸濁培養細胞)、プロトプラスト、葉の切片、カルスなどのいずれをも意味する。形質転換に用いられる植物としては、分岐脂肪酸を生成する植物であれば特に限定されず、単子葉植物綱または双子葉植物綱に属する植物のいずれでもよい。植物への遺伝子の導入には、当業者に公知の形質転換方法(例えば、アグロバクテリウム法、遺伝子銃法、PEG法、エレクトロポレーション法など)が用いられる。遺伝子が導入された細胞または植物組織は、まずハイグロマイシン耐性などの薬剤耐性で選択され、次いで定法によって植物体に再生される。形質転換細胞から植物体の再生は、植物細胞の種類に応じて当業者に公知の方法で行うことが可能である。本発明のポリヌクレオチドが植物に導入されたか否かの確認は、PCR法、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザンハイブリダイゼーション法などによって行うことができる。本発明のポリヌクレオチドがゲノム内に組み込まれた形質転換植物体が一旦取得されれば、当該植物体の有性生殖または無性生殖によって子孫を得ることができる。また、当該植物体またはその子孫、あるいはこれらのクローンから、例えば、種子、果実、切穂、塊茎、塊根、株、カルス、プロトプラストなどを得て、それらを基に当該植物体を量産することができる。本発明のポリヌクレオチドで形質転換された植物(以下、「本発明の植物」)は、その野生型と比べて本発明のタンパク質を多く含む。このため、本発明のタンパク質が、短鎖分岐脂肪酸をエチルエステル化する反応を触媒し、短鎖分岐脂肪酸エチルエステルが植物中に生成される。
本発明のいくつかの態様の形質転換体またはその培養液は、その野生型と比べて短鎖分岐脂肪酸エチルエステルの含有量が高く、その抽出物または培養液には、短鎖分岐脂肪酸エチルエステルが高濃度で含まれる。本発明の形質転換体の抽出物は、形質転換体をガラスビーズ、ホモジェナイザーまたはソニケーター等を用いて破砕し、当該破砕物を遠心処理し、その上清を回収することにより、得ることができる。短鎖分岐脂肪酸エチルエステルが培養液中に蓄積される場合には、培養終了後、通常の方法(例えば、遠心分離、ろ過など)により形質転換体と培養上清とを分離することにより、短鎖分岐脂肪酸エチルエステルを含む培養上清を得ることができる。
このようにして得られた抽出液もしくは培養上清は、さらに精製工程に供してもよい。短鎖分岐脂肪酸エチルエステルの精製は、通常の分離および精製方法に従って行うことができる。具体的な方法は、前記と同様である。
このようにして得られた短鎖分岐脂肪酸エチルエステルは、常法に従って、例えば、飲食品に使用することができる。このような使用によれば、発酵食品に限らず、広く飲食品などの香りを向上させることができる。また、このようにして得られた短鎖分岐脂肪酸エチルエステルは、常法に従って、甘味料、香料、医薬品、工業原料(化粧料、石鹸等の原料)の製造等の用途に使用することができる。
なお、本明細書において引用した全ての文献、および公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込むものとする。
以下、実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例によって限定されない。
実施例1:酵母のゲノムDNAの抽出
Saccharomyces cerevisiae S288C株(以下、「S288C」という)をYPD液体培地(酵母エキス2%、ポリペプトン1%、およびグルコース2%)に植菌し、30℃で1日間振とう培養した。遠心分離により菌体を回収し、Genとるくん(酵母用)High Recavery(タカラバイオ)でDNAを回収した。
実施例2:候補遺伝子のクローン化
アルコール:アセチルトランスフェラーゼ遺伝子として、ATF1とATF2を、また、アシルCoA:エタノール O−アシルトランスフェラーゼ遺伝子およびそのホモログとして、EEB1、EHT1およびYMR210wをそれぞれ、S288Cから調製したDNAを鋳型として、以下のプライマーの組み合わせで、KOD−Plus−(東洋紡)でPCRにより増幅し、得られた断片をZero Blunt TOPO PCRクローニングキットを用いてクローン化した。
プライマー
Xba−ATF1−F2:5’−AATCTAGATGAATGAAATCGATGAGAAAAATCAGG−3’(配列番号11)
Xba−ATF1−R2:5’−GGTCTAGATCTAAGGGCCTAAAAGGAGAGCTTT−3’(配列番号12)
Xba−ATF2−F2:5’−AATCTAGATGGAAGATATAGAAGGATACGAACCACATATC−3’(配列番号13)
Xba−ATF2−R2:5’−TATCTAGATTAAAGCGACGCAAATTCGCC−3’(配列番号14)
ScEEB1−F:5’−ATGTTTCGCTCGGGTTACTATCCAAC−3’(配列番号15)
ScEEB1−R:5’−TTATAAAACTAACTCATCAAAGCTGCCCAA−3’(配列番号16)
Sac−ScEHT1−F:5’−AAGAGCTCATGTCAGAAGTTTCCAAATGGCC−3’(配列番号17)
Bam−ScEHT1−R:5’−TCGGATCCTCATACGACTAATTCATCAAACTTAGTGAA−3’(配列番号18)
YMR210w−F:5’−ATGCGTCTAAAAGAATTGTTACCTAATTTTTTG−3’(配列番号19)
YMR210w−R:5’−CTAATTCGCGCGAAAGGTTGTG−3’(配列番号20)
YMR210w、EHT1、EEB1、ATF1、およびATF2のcDNA配列を、それぞれ、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7および配列番号9に示す。また、YMR210w、EHT1、EEB1、ATF1、およびATF2のcDNA配列によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8および配列番号10に示す。
実施例3:酵母発現ベクターの構築
酵母用の発現ベクターとしては、YCp型の酵母ベクターであるpJHXSB−G418を用いた。このベクターでは酵母で構成的高発現する遺伝子であるTPI1遺伝子のプロモーターとターミネーターの間にXbaIサイトがあり、ここに目的遺伝子を導入することで、目的遺伝子を構成的に高発現できることが期待できる。
ATF1発現ベクターとして、クローン化したATF1遺伝子を制限酵素XbaIとSpeIで切り出して得られた1.6kbpのDNA断片をpJHXSB−G418のXbaIサイトに挿入し、ベクターのTPI1プロモーターから当該遺伝子が発現される向きに挿入されたものを選抜し、pJHXSB−G418−ATF1とした。
ATF2発現ベクターとして、クローン化したATF2遺伝子を制限酵素XbaIで切り出して得られた1.6kbpのDNA断片をpJHXSB−G418のXbaIサイトに挿入し、ベクターのTPI1プロモーターから当該遺伝子が発現される向きに挿入されたものを選抜し、pJHXSB−G418−ATF2とした。
EEB1発現ベクターとして、クローン化したEEB1遺伝子を制限酵素SpeIとNotIで切り出して得られた1.4kbpのDNA断片を末端平滑化して、pJHXSB−G418をXbaIで切断したあと、末端平滑化したものに挿入し、ベクターのTPI1プロモーターから当該遺伝子が発現される向きに挿入されたものを選抜し、pJHXSB−G418−EEB1とした。
EHT1発現ベクターとして、クローン化したEHT1遺伝子を制限酵素SacIとBamHIで切り出して得られた1.4kbpのDNA断片を末端平滑化して、pJHXSB−G418をXbaIで切断したあと、末端平滑化したものに挿入し、ベクターのTPI1プロモーターから当該遺伝子が発現される向きに挿入されたものを選抜し、pJHXSB−G418−EHT1とした。
YMR210w発現ベクターとして、クローン化したYMR210w遺伝子を制限酵素EcoRIで切り出して得られた1.4kbpのDNA断片を末端平滑化して、pJHXSB−G418をXbaIで切断したあと、末端平滑化したものに挿入し、ベクターのTPI1プロモーターから当該遺伝子が発現される向きに挿入されたものを選抜し、pJHXSB−G418−YMR210wとした。
実施例4:酵母形質転換株の取得
宿主株としてはYPH499株(MATa ura3−52 lys2−801_amber ade2−101_ochre trp1−Δ63 his3−Δ200 leu2−Δ1)を使用し、酢酸リチウム法で形質転換を行った。
G418を800mg/L添加したYPD寒天培地で生育できるものを形質転換株として選抜した。
実施例5:E2MB生成能の評価
得られた形質転換株を、G418を800mg/L添加したYPD液体培地10mLに植菌し30℃にて1日振とう培養した。遠心分離により菌体を全量回収した。G418を800mg/L添加したYPD10(酵母エキス2%、ポリペプトン1%、およびグルコース10%)液体培地に2MBを20μg/mLになるように添加した培地に、回収した全量植菌し、30℃にて5日間静置培養した。続いて、遠心分離により上清を回収した。培養上清15mLに、内部標準としてデカン酸メチルを添加した。ジクロロメタン10mLを添加したあと激しく撹拌し、遠心分離した。下層のジクロロメタン層を回収した後、残った上層にさらにジクロロメタン5mLを添加し、同様にして下層を回収した。ジクロロメタン層を合わせて、適量の硫酸ナトリウムを添加して脱水し、スピードバックで1mL程度まで濃縮した後、50℃の温浴で温めておよそ100μLにまで濃縮した。
GC−MS(アジレントテクノロジー5997A)で以下の条件で分析し、内部標準法により定量した。
カラム:DB−WAX 内径0.25mm、長さ60m、膜厚0.25μm
注入量:1μL
オーブン温度:30℃、2分→5℃/分、220℃→220℃、30分
スプリットレス
選択イオン検出(SIM)モード:102 115 130(E2MB)、71 88 116(EIB)、102 115 130(E3MB)
その結果を図1に示す。
コントロール株をはじめ、すべての株でE2MBの生成を確認できた。E2MBの生成量は、YMR210wを高発現させた株ではコントロールに比べて1.8倍程度増加しており、EHT1を高発現させた株では1.2倍程度、それぞれコントロールに比べて増加していた。これらのことから、培地中の2MBが酵母によりE2MBに変換されること、および、YMR210wやEHT1が2MBからE2MBへの変換に関与していることが強く示唆された。
[配列番号1]YMR210wのcDNA配列である。
[配列番号2]YMR210wのアミノ酸配列である。
[配列番号3]EHT1のcDNA配列である。
[配列番号4]EHT1のアミノ酸配列である。
[配列番号5]EEB1のcDNA配列である。
[配列番号6]EEB1のアミノ酸配列である。
[配列番号7]ATF1のcDNA配列である。
[配列番号8]ATF1のアミノ酸配列である。
[配列番号9]ATF2のcDNA配列である。
[配列番号10]ATF2のアミノ酸配列である。
[配列番号11]実施例で用いたプライマーである(Xba−ATF1−F2)。
[配列番号12]実施例で用いたプライマーである(Xba−ATF1−R2)。
[配列番号13]実施例で用いたプライマーである(Xba−ATF2−F2)。
[配列番号14]実施例で用いたプライマーである(Xba−ATF2−R2)。
[配列番号15]実施例で用いたプライマーである(ScEEB1−F)。
[配列番号16]実施例で用いたプライマーである(ScEEB1−R)。
[配列番号17]実施例で用いたオリゴDNAである(Sac−ScEHT1−F)。
[配列番号18]実施例で用いたオリゴDNAである(Bam−ScEHT1−R)。
[配列番号19]実施例で用いたオリゴDNAである(YMR210w−F)。
[配列番号20]実施例で用いたオリゴDNAである(YMR210w−R)。

Claims (17)

  1. 以下の(a)〜(e)からなる群から選択されるポリヌクレオチドにコードされるタンパク質を用いて、短鎖分岐脂肪酸をエチルエステル化し、短鎖分岐脂肪酸エチルエステルを生成する方法。
    (a)配列番号1または配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
    (b)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
    (c)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列において、1〜45個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
    (d)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
    (e)配列番号1または配列番号3の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドと高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、かつ短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
  2. 前記ポリヌクレオチドが、配列番号1または配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ポリヌクレオチドが、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記短鎖分岐脂肪酸がDL−2−メチル酪酸、イソ酪酸、またはイソ吉草酸である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記短鎖分岐脂肪酸エチルエステルが、DL−2−メチル酪酸エチル、イソ酪酸エチル、またはイソ吉草酸エチルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記ポリヌクレオチドが、発現ベクターに挿入されたものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記発現ベクターが形質転換酵母に導入されたものである、請求項6に記載の方法。
  8. 前記短鎖脂肪酸エステルが、飲食品内に生成される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記飲食品が、発酵過程を経て製造される飲食品である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記飲食品が、酒類である、請求項8または9に記載の方法。
  11. 前記酒類が、麦芽使用飲料である、請求項10に記載の方法。
  12. 短鎖分岐脂肪酸を生成する宿主に、以下の(a)〜(e)からなる群から選択されるポリヌクレオチドが導入された非ヒト形質転換体を培養することを含む、短鎖分岐脂肪酸エチルエステルの生産方法。
    (a)配列番号1または配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
    (b)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
    (c)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列において、1〜45個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
    (d)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
    (e)配列番号1または配列番号3の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドと高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、かつ短鎖分岐脂肪酸のエチルエステル化を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
  13. 前記ポリヌクレオチドが、配列番号1または配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチドである、請求項12に記載の方法。
  14. 前記ポリヌクレオチドが、配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドである、請求項12に記載の方法。
  15. 前記短鎖分岐脂肪酸がDL−2−メチル酪酸であり、DL−2−メチル酪酸がエチルエステル化され、DL−2−メチル酪酸エチルが生産される、請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記ポリヌクレオチドが、発現ベクターに挿入されたものである、請求項12〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記形質転換体が、形質転換酵母または形質転換植物である、請求項12〜16のいずれか1項に記載の方法。
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