JP2016158438A - 絶縁構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】位置決めピンの位置決め精度の低下を抑制するとともに、絶縁性が向上された絶縁構造体の製造方法を提供する。【解決手段】絶縁構造体10の製造方法によれば、ケース16と位置決めピン26はアルミニウム製で、且つ位置決めピン26はケース16より純度の高いアルミニウムよりなり、ケース16の穴41内へ位置決めピン26を圧入することにより組み付けた状態にて陽極酸化処理を行う。ケース16とオイルポンプボデー22との間に絶縁部材24を介在させつつ、表面に陽極酸化皮膜F1が形成された位置決めピン26のオイルポンプボデー22の穴42内への隙間嵌めによりケース16にオイルポンプボデー22を組み付ける。このため、陽極酸化処理前の位置決めピン26がケース16の穴41内へ圧入される。また、位置決めピン26のオイルポンプボデー22との接触表面に陽極酸化皮膜F1が形成される。【選択図】図2
Description
本発明は、ハイブリッド車両の駆動装置に備えられた絶縁構造体に関し、とりわけ、位置決めピンの位置決め精度の低下を抑制するとともに、絶縁性を向上させる技術に関する。
ケース内に電動機と電動機の出力軸を支持する軸支持部材とを備えるハイブリッド車両の動力伝達機構が開示されている。たとえば、特許文献1のハイブリッド車両の動力伝達機構がそれである。このようなハイブリッド車両では、ケースと軸支持部材とが締結されて構成される。
ところで、上記のようなハイブリッド車両では、電動機による誘導電流がケースに伝わってケース内で閉回路を形成し、閉回路内の部材に電食を起こすことを抑制するために、ケースと軸支持部材とを絶縁部材を介して締結することが求められる。このため、ケースと軸支持部材とを位置決めするのに用いる位置決めピンも絶縁処理する必要がある。
これに対して、たとえば図3および図4に示すような、ケースと軸支持部材とを位置決めする位置決めピンを備える絶縁構造体が提案されている。図3の絶縁構造体110は、ケース112の円筒状穴に圧入された絶縁性を有する樹脂スリーブ114の内径仕上げの後、位置決めピン116の一端部側が圧入される。そして、ケース112側の一面が絶縁処理された中間部材118を介して軸支持部材120の円筒状穴に位置決めピン116の他端部側が挿入されて、ケース112と軸支持部材120が位置決めされる。しかしながら、図3の絶縁構造体110では、スリーブ114が樹脂製であるため内径仕上げしても加工精度が低く、樹脂スリーブ114内への位置決めピン116の圧入荷重が高くなることにより、かじりが生じて位置決め精度が低下する可能性があった。また、矢印で示されるように中間部材118の内周面を通じて通電する可能性があった。
また、図4の絶縁構造体122は、樹脂製の位置決めピン124あるいは、陽極酸化処理により絶縁性を付与する不動態酸化皮膜が表面に形成された位置決めピン124が、その一端部側がケース126の円筒状穴に圧入された後に、板状の絶縁部材128を介して軸支持部材130の円筒状穴に他端部側が挿入されて、ケース126と軸支持部材130とが位置決めされる。絶縁構造体122では、樹脂製の位置決めピン124の場合にはその外径の加工精度が低いため、あるいは表面が陽極酸化処理された位置決めピン124の場合には、表面に形成された酸化皮膜により幅寸法が変化するため、両方の場合において、ケース126の円筒状穴内への位置決めピン124の圧入荷重が高くなることにより、かじりが発生し、位置決めピン124自体が変形してしまい位置決め精度が低下する可能性があった。なお、太い実線は部材表面において絶縁性を有する表面処理層を示す。
また、ケースには強度確保のために純度の低いアルミニウムが用いられ、位置決めピンには陽極酸化処理後の絶縁性を確保するために純度の高いアルミニウムが用いられる必要があり、一体成形にして陽極酸化処理を施して狙いの強度、絶縁性を得ることは難しいという問題があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、位置決めピンの位置決め精度の低下を抑制するとともに、絶縁性が向上された絶縁構造体の製造方法を提供することにある。
本発明の要旨とするところは、第1部材および第2部材を、それらの部材間に絶縁部材を介在させた状態で位置決めを行う位置決めピンと、を備える絶縁構造体の製造方法であって、前記第1部材と前記位置決めピンはアルミニウム製で、且つ前記位置決めピンは前記第1部材より純度の高いアルミニウムよりなり、前記第1部材と前記位置決めピンを組み付け状態にて陽極酸化処理を行い、陽極酸化処理後に前記第1部材と前記第2部材との間に前記絶縁部材を介在させて前記第2部材を組み付け、前記絶縁構造体を製造することにある。
本発明の絶縁構造体の製造方法によれば、第1部材と位置決めピンはアルミニウム製で、且つ位置決めピンは第1部材より純度の高いアルミニウムよりなり、第1部材と位置決めピンを組み付け状態にて陽極酸化処理を行い、陽極酸化処理後に第1部材と第2部材との間に絶縁部材を介在させて第2部材を組み付ける。このため、陽極酸化処理前の位置決めピンが第1部材へ圧入されることにより、圧入荷重が高くなることが抑制され、位置決めピンの位置決め精度の低下が抑制される。また、第2部材と接触する表面が絶縁された位置決めピンが、第1部材と第2部材との間に絶縁部材が介在させられた状態で第2部材に組み付けられることにより、第1部材と第2部材との間の絶縁性が向上される。
以下、本発明の絶縁構造体の一実施例について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、絶縁構造体10を備えるハイブリッド車両12(以下、「車両12」という。)の駆動装置の要部の断面図である。車両12は、走行用の駆動力源である図示しないエンジン、第1電動機MG1、および図示しない第2電動機と、左右一対の駆動輪との間の動力伝達経路に設けられた、遊星歯車装置、差動歯車装置などとを、エンジンを除いてトランスアクスルケース13内に備えている。また、車両12には、エンジンにより回転駆動されることで、第1電動機MG1、遊星歯車装置などのトランスアクスルケース13内の部材に潤滑油を供給するオイルポンプ14が備えられている。また、車両12は、トランスアクスルケース13のエンジンとは反対側の一部を構成する第1部材として機能するケース16と、オイルポンプ14のポンプロータ18を収容する凹部を有し、オイルポンプ14のポンプロータ18を駆動するポンプ軸20および第1電動機MG1のロータ軸21を回転可能に支持する第2部材として機能するオイルポンプボデー22と、ケース16とオイルポンプボデー22との間に介在させられる板状の絶縁部材24と、オイルポンプボデー22側端部の表面が絶縁処理され、ケース16とオイルポンプボデー22との間に絶縁部材24を介在させた状態でそれらケース16とオイルポンプボデー22とを絶縁状態で位置決めする位置決めピン26とを含む絶縁構造体10を備えている。
第1電動機MG1および第2電動機は、複数の永久磁石を有するロータRおよび回転磁界を発生するステータSとを有する同期電動機から構成されており、いずれも駆動力を発生させるモータ(発動機)および反力を発生させるジェネレータ(発電機)としての機能を共に有する、モータジェネレータであるが、第1電動機MG1は少なくともジェネレータとしての機能を備え、第2電動機は少なくともモータとしての機能を備える。
第1電動機MG1のロータ軸21は、オイルポンプボデー22に固定された第1ベアリング30とケース16に固定された第2ベアリング32とに回転可能に支持され、遊星歯車装置の回転要素であるサンギヤに連結される。第1電動機MG1のロータ軸21の内側には、ポンプ軸20がロータ軸21と同心にオイルポンプボデー22に回転可能に支持されており、その一端部がオイルポンプ14のポンプロータ18に、他端部が遊星歯車装置のキャリアにそれぞれ連結されている。また、遊星歯車装置のキャリアは、エンジンのクランク軸に連結されており、エンジンの動力によりポンプ軸20およびそれに連結されたポンプロータ18が回転駆動されるようになっている。
エンジンにより駆動させられることによりオイルポンプ14から吐出された潤滑油は、ポンプ軸20の内側に形成された軸心油路34とポンプ軸20およびロータ軸21の径方向に設けられた径方向油路とを通じて、第1電動機MG1を含めたトランスアクスルケース13内の各部材に供給される。絶縁部材24は、軸心油路34と、絶縁部材24とケース16との間に構成された油路36とを連通する貫通穴38を有しており、オイルポンプ14から吐出された潤滑油は、油路36を通じてもトランスアクスルケース13内の各部材に供給される。
ケース16は、アルミニウム純度の低い鋳物用アルミニウム材料から形成された、たとえばアルミニウム合金製であり、高強度を有している。また、位置決めピン26は、ケース16より純度の高いアルミニウムから形成されている。また、絶縁部材24は、電気的な絶縁材料、たとえば合成樹脂フィルムなどから形成されている。また、絶縁構造体10は、絶縁部材24および絶縁処理された位置決めピン26によりオイルポンプボデー22とケース16との間を絶縁し、第1電動機MG1による誘導電流がオイルポンプボデー22からケース16に伝わって、トランスアクスルケース13内で閉回路を形成し閉回路内の第1ベアリング30、第2ベアリング32などの部材に電食を起こすことを抑制するように機能するものである。また、絶縁構造体10のケース16およびオイルポンプボデー22は、絶縁ワッシャ39を有する締結ボルト40がケース16に螺合されることにより、絶縁部材24を介して締結されている。締結ボルト40とオイルポンプボデー22との間には隙間が設けられ、締結ボルト40を通じてのオイルポンプボデー22からケース16への通電が阻止されている。
図2は、絶縁構造体10の製造工程を説明する位置決めピン26の周辺を拡大して示す断面図である。先ず、図2内の上図に示されるように、ケース16に円筒状に形成された穴41内に、ケース16よりアルミニウムの純度が高い位置決めピン26の一端側が圧入されて、ケース16に位置決めピン26が組み付けられる。次に、ケース16と位置決めピン26とが組み付けられた状態で、公知の陽極酸化処理が行われる。これにより、図2内の太い実線で示されるように、陽極酸化処理された位置決めピン26のケース16の穴41内に圧入されていない側の表面すなわち、オイルポンプボデー22に嵌め入れられる側の表面に絶縁性を有する薄い陽極酸化皮膜F1が形成される。また、ケース16の位置決めピン26が圧入された側であり、オイルポンプボデー22に締結される側の表面に陽極酸化皮膜F2が形成される。このケース16の表面に形成された陽極酸化皮膜F2は、ケース16が位置決めピン26よりも純度の低いアルムニウムで形成されているため、位置決めピン26に形成された陽極酸化皮膜F1よりも緻密ではない。次に、ケース16の陽極酸化皮膜F2が形成された面とオイルポンプボデー22の円筒状の穴42が形成された面との間に、絶縁部材24が介在させられた状態で、陽極酸化皮膜F1が形成された位置決めピン26とオイルポンプボデー22の円筒状の穴42とが隙間嵌めされて、ケース16にオイルポンプボデー22が位置決めされて組み付けられる。図2内の下図はこの状態を示している。このように構成された絶縁構造体10は、オイルポンプボデー22が、ケース16に絶縁部材24を介して組み付けられており、且つ位置決めピン26のオイルポンプボデー22と接触する部分には、陽極酸化皮膜F1が形成されている。
上述のように、本実施例の絶縁構造体10の製造方法によれば、ケース16と位置決めピン26はアルミニウムを主成分とする金属製で、且つ位置決めピン26はケース16より純度の高いアルミニウムより形成され、ケース16の穴41内へと位置決めピン26を圧入することにより組み付けた状態にて陽極酸化処理を行う。陽極酸化処理後にケース16とオイルポンプボデー22との間に絶縁部材24を介在させて、オイルポンプボデー22と接触する表面に陽極酸化皮膜F1が形成された位置決めピン26がオイルポンプボデー22の穴42内へ隙間嵌めされることによりケース16にオイルポンプボデー22を組み付ける。このため、陽極酸化処理前の位置決めピン26がケース16の穴41内へ圧入されることにより、圧入荷重が高くなりかじりが発生することが抑制され、位置決めピン26の位置決め精度の低下が抑制される。また、位置決めピン26のオイルポンプボデー22に接触する表面には、陽極酸化皮膜F1が形成され、且つケース16とオイルポンプボデー22との間には、絶縁部材24が介在させられることにより、ケース16とオイルポンプボデー22との間の絶縁性が向上される。
また、本実施例の絶縁構造体10の製造方法によれば、ケース16と位置決めピン26との組付けはケース16の穴41内への位置決めピン26の圧入で行われるため、オイルポンプボデー22の穴42内への位置決めピン26の隙間嵌めによるケース16へのオイルポンプボデー22の組付け時の、位置決めピン26のガタつきが抑制される。
以上、本発明を表及び図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
10:絶縁構造体
16:ケース(第1部材)
22:オイルポンプボデー(第2部材)
24:絶縁部材
26:位置決めピン
16:ケース(第1部材)
22:オイルポンプボデー(第2部材)
24:絶縁部材
26:位置決めピン
Claims (1)
- 第1部材および第2部材を、それらの部材間に絶縁部材を介在させた状態で位置決めを行う位置決めピンと、を備える絶縁構造体の製造方法であって、
前記第1部材と前記位置決めピンはアルミニウム製で、且つ前記位置決めピンは前記第1部材より純度の高いアルミニウムよりなり、前記第1部材と前記位置決めピンを組み付け状態にて陽極酸化処理を行い、陽極酸化処理後に前記第1部材と前記第2部材との間に前記絶縁部材を介在させて前記第2部材を組み付け、前記絶縁構造体を製造することを特徴とする絶縁構造体の製造方法。
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JP2015035919A JP2016158438A (ja) | 2015-02-25 | 2015-02-25 | 絶縁構造体の製造方法 |
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JP2015035919A JP2016158438A (ja) | 2015-02-25 | 2015-02-25 | 絶縁構造体の製造方法 |
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JP (1) | JP2016158438A (ja) |
Cited By (1)
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CN108928225A (zh) * | 2017-05-25 | 2018-12-04 | 丰田自动车株式会社 | 车辆用电动机收纳装置 |
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2015
- 2015-02-25 JP JP2015035919A patent/JP2016158438A/ja active Pending
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CN108928225A (zh) * | 2017-05-25 | 2018-12-04 | 丰田自动车株式会社 | 车辆用电动机收纳装置 |
JP2018201277A (ja) * | 2017-05-25 | 2018-12-20 | トヨタ自動車株式会社 | 車両用電動機格納装置 |
CN108928225B (zh) * | 2017-05-25 | 2021-05-18 | 丰田自动车株式会社 | 车辆用电动机收纳装置 |
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