JP2016157936A - 光電変換素子及び太陽電池 - Google Patents

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功一 坂巻
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峰樹 長谷川
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Abstract

【課題】優れた光電変換特性を得ることが可能な光電変換素子を提供する。【解決手段】光電変換素子は、一対の電極と、その一対の電極の間に配置された光電変換層と、その光電変換層を2層以上に分離する1以上の中間層とを備える。1以上の中間層のうちの少なくとも1つは、7nm以上35nm以下の厚さを有するアルミニウム層を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、一対の電極の間に光電変換層を備えた光電変換素子及びそれを用いた太陽電池に関する。
近年、光電変換素子(光電変換層)を備えた太陽電池(太陽光発電)に関する研究及び開発が盛んに行われている。この場合には、持続的に利用できること、資源の枯渇に起因する問題が少ないこと、環境汚染を発生させにくいこと等が重視されている。
太陽電池は、主に、Si系又は非Si系等の無機系太陽電池と、色素増感型又は有機薄膜型等の有機系太陽電池とに大別される。
無機系太陽電池では、概して、光電変換効率が高いという利点が得られる反面、高真空環境又は高温熱処理等を要するため、製造コストが高くなるという欠点がある。
これに対して、有機系太陽電池では、製膜方法として塗布法又は印刷法等を用いることができるため、製造コストが安くなると共に、製膜面積の大面積化も可能になるという利点が得られる。しかも、無機系太陽電池と比較して、太陽電池を軽量化できることも利点として挙げられる。
中でも、有機薄膜型の太陽電池では、印刷法を用いて有機薄膜を容易に製膜できると共に、フィルム等に対する製膜も容易であるため、フレキシブルな太陽電池を容易に実現できる。
この有機薄膜型の太陽電池では、変換効率を向上させるために、いわゆるタンデム型(多接合型又は積層型等とも呼ばれる)の素子構造が採用されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
タンデム型の素子構造を有する太陽電池は、利用波長が異なる複数の光電変換層を備えており、その太陽電池が正常に駆動すると、複数の光電変換層を用いていることに起因して高い出力電圧(Voc)が得られる。
この複数の光電変換層を備えた太陽電池では、0.5nm〜2.0nm程度の厚さを有する中間層(接合層)が光電変換層間に設けられており、その中間層は、金属酸化物、導電性高分子材料又は金属薄膜等の透明な導電性材料を含んでいる。金属酸化物は、酸化チタン、錫ドープ酸化インジウム(ITO)又はアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)等である。導電性高分子材料は、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)又はポリアニリン等である。金属薄膜は、銀、金又はアルミニウム等である。中でも、製膜が容易であるため、金属薄膜が広く用いられている。
タンデム型の素子構造を有する太陽電池では、光電変換層の形成材料として、シリコン系又は化合物半導体系(例えば、Ga−As系等)の無機系材料(無機半導体材料)が広く検討されている。一方、光電変換層の形成材料として、有機系材料(有機半導体材料)に関しても検討が進められている。
しかしながら、有機系材料を用いた場合には、中間層として金属薄膜を用いると、1つ(単層)の光電変換層を用いた場合と同程度の出力電圧(Voc)しか得られない。このため、タンデム型の素子構造の利点、即ち複数の光電変換層を用いる効果が活かされていない状況にある。
但し、中間層の形成材料として金属酸化物を用いた場合には、タンデム型の素子構造の利点が得られるため、高い出力電圧が得られることが報告されている(例えば、非特許文献1,2参照。)。
特公昭63−033308号公報 特開2014−049550号公報
Appl. Phys. Lett., 90, 143512(2007) Science, 317, 222(2007)
光電変換層の形成材料として有機系材料を用いる意義は、上記したように、製膜方法として塗布法又は印刷法等を適用できることにある。
しかしながら、有機系材料を用いて光電変換層を形成する場合には、一般的に、その有機系材料は、有機溶剤により溶解された状態で用いられる。この場合には、中間層を備えた太陽電池の製造工程において、有機系材料を含む溶液が中間層の表面に供給されるため、その中間層の表面に保護層が形成されていない場合には、溶液の供給時において下地の中間層及び光電変換層が悪影響を受けやすくなる。これにより、タンデム型の素子構造の利点が十分に得られないため、太陽電池において十分な光電変換特性を得ることが困難になる。
本発明の目的は、優れた光電変換特性を得ることが可能な光電変換素子及び太陽電池を提供することにある。
本発明者は、上記した目的を達成するために鋭意検討した結果、光電変換層を2層以上に分離する1以上の中間層が所定の厚さのアルミニウム層を含むことで、上記した課題が解決されることを見出した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明の光電変換層は、一対の電極と、その一対の電極の間に配置された光電変換層と、その光電変換層を2層以上に分離する1以上の中間層とを備えたものである。この1以上の中間層のうちの少なくとも1つは、7nm以上35nm以下の厚さを有するアルミニウム層を含む。
また、本発明の太陽電池は、光電変換素子を備え、その光電変換素子が上記した本発明の光電変換素子と同様の構成を有するものである。
ここで、「光電変換層を2層以上に分離する1以上の中間層」とは、光電変換層に挿入される中間層の数に応じて、その光電変換層の分離数(層数)が決定されることを意味している。すなわち、一例を挙げると、中間層の数が1つである場合には、その1つの中間層により光電変換層が2つに分離されるため、その光電変換層の層数は2層になる。また、中間層の数が2つである場合には、その2つの中間層により光電変換層が分離されるため、その光電変換層の層数は3層になる。
本発明の光電変換素子又は太陽電池によれば、光電変換層を2層以上に分離する1以上の中間層のうちの少なくとも1つは、7nm以上35nm以下の厚さを有するアルミニウム層を含んでいる。よって、優れた光電変換特性を得ることができる。
図1は、本発明の光電変換素子の構成の一例を表す図である。 図2は、本発明の光電変換素子の他の構成の一例を表す図である。
以下、本発明に関して詳細に説明する。説明する順序は、下記の通りである。但し、本発明に関する詳細は、以下で説明する態様に限定されるわけではなく、適宜変更可能である。

1.光電変換素子
1−1.基本構成
1−2.構成例1
1−3.構成例2
1−4.作用及び効果
1−5.変形例
2.光電変換素子の適用例
<1.光電変換素子>
まず、本発明の光電変換素子の構成に関して説明する。
<1−1.基本構成>
図1は、光電変換素子の構成の一例を表している。尚、図1に示した上向きの矢印は、光電変換素子に入射する光(外光)を表しており、その光は、hv(h=プランク定数,v=振動数)で表されるエネルギーを有している。
この光電変換素子は、主に、互いに対向配置された一対の電極(第1電極2及び第2電極7)と、その一対の電極の間に配置された光電変換層4と、その光電変換層4を2層以上に分離する1以上の中間層5とを備えている。但し、光電変換素子は、更に、上記以外の他の層のうちのいずれか1又は2以上を備えていてもよい。
上記したように、光電変換素子は、2層以上の光電変換層4を備えている。即ち、ここで説明する光電変換素子は、タンデム型の素子構造を有している。
光電変換層4の層数は、2層以上であれば、特に限定されない。また、中間層5の数は、1以上であれば、特に限定されない。但し、2層以上の光電変換層4において、隣り合う2つの光電変換層4が中間層5を介して分離(離間)されることを条件とする。
尚、上記したように、光電変換層4の分離数(層数)は、中間層5の数に応じて決定される。一例を挙げると、中間層5の数が1つである場合には、光電変換層4の層数は2層になると共に、中間層5の数が2つである場合には、光電変換層4の層数は3層になる。
中間層5の数は、上記したように、1つの場合もあれば、2つ以上の場合もあるが、その中間層5のうちの1つ以上は、所定の範囲内の厚さ(=7nm〜35nm)を有するアルミニウム層を含んでいる。
<1−2.構成例1>
ここでは、例えば、図1に示したように、光電変換層4は、1つの中間層5により2層に分離されている。これに伴い、光電変換素子は、例えば、2つの光電変換層4(第1光電変換層41及び第2光電変換層42)と、1つの中間層5(中間層51)とを備えている。
より具体的には、光電変換素子は、例えば、支持体1の上に、第1電極2と、第1電荷移動層3と、第1光電変換層41と、中間層51と、第2光電変換層42と、第2電荷移動層6と、第2電極7とがこの順に積層された構造を有している。
[支持体]
支持体1は、第1電極2等を支持する。この支持体1の形成材料及び厚さ等は、第1電極2等を安定に支持(保持)することが可能であれば、特に限定されない。但し、支持体1は、光電変換素子の内部(光電変換層4)に外光を導くために、透明性を有している。この「透明性」とは、光電変換層4において光電変換するために用いられる所定の波長領域(例えば、可視光領域等)の光を十分に透過させる性質(光透過性)である。尚、支持体1は、剛性を有する基板等でもよいし、フレキシブル性を有するフィルム等でもよいし、両者の組み合わせでもよい。
この支持体1は、例えば、無機材料及び有機材料等のうちのいずれか1種類又は2種類以上を含んでいる。無機材料の具体例は、ガラス等である。有機材料の具体例は、高分子材料等であり、その高分子材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエステルスルフォン及びシンジオタクチックポリスチレン等である。
尚、第1電極2が十分な剛性(硬度又は自立性)を有していない場合には、その第1電極2等を安定に支持するために、光電変換素子は支持体1を備えていることが好ましい。一方、第1電極2等が十分な剛性を有している場合には、光電変換素子は支持体1を備えていなくてもよい。この場合には、第1電極2が支持体1の役割を兼ねることになる。
[第1電極]
第1電極2は、上記した支持体1と同様に、光電変換素子の内部(光電変換層4)に外光を導くために透明性を有している。すなわち、第1電極2は、いわゆる透明電極である。
この第1電極2は、例えば、透明性を有する導電性材料のうちのいずれか1種類又は2種類以上を含んでおり、その透明性を有する導電性材料は、例えば、金属酸化物及び高分子材料(有機導電性化合物)等である。金属酸化物の具体例は、酸化亜鉛、酸化錫(NESA)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びフッ素ドープ酸化錫(FTO)等である。高分子材料の具体例は、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)等である。
尚、第1電極2の形成方法は、例えば、ドライプロセス及びウェットプロセスのうちのいずれか1種類又は2種類以上である。このドライプロセス及びウェットプロセスの詳細に関しては、後述する。この他、第1電極2は、ゾルゲル法等を用いた焼成プロセスにより形成されてもよい。
第1電極2の厚さは、特に限定されないが、例えば、5nm〜1000nm、好ましくは10nm〜500nmである。但し、第1電極2の厚さは、例えば、その第1電極2の形成材料に応じて異なる場合がある。
[第1電荷移動層]
第1電荷移動層3は、第1電極2の形成材料が光電変換層4に侵入(反応)することを防止する。また、第1電荷移動層3は、光電変換層4において分離された電荷が再結合することを防止すると共に、その電荷を効率よく第1電極2に移動させる。
この第1電荷移動層3は、例えば、電荷移動物質のうちのいずれか1種類又は2種類以上を含んでいる。電荷移動物質の具体例は、PEDOT:PSS、ポリエチレンオキシド(PEO)、酸化バナジウム(V2 5 )、酸化亜鉛、フッ化リチウム、酸化チタン(TiOx )及びナフタレンテトラカルボン酸無水物等である。
第1電荷移動層3は、上記した第1電極2と同様に、光電変換素子の内部(光電変換層4)に外光を導くために透明性を有している。一例を挙げると、光電変換層4が後述するP3HT:PCBM等の有機バルクへテロ接合素子である場合には、第1電荷移動層3はPEDOT:PSSを含む。
尚、第1電荷移動層3の形成方法は、例えば、ドライプロセス及びウェットプロセスのうちのいずれか1種類又は2種類以上である。このドライプロセス及びウェットプロセスの詳細に関しては、後述する。第1電荷移動層3の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.01nm〜100nm、好ましくは0.1nm〜50nmである。
[光電変換層]
第1光電変換層41は、例えば、光電変換材料(有機半導体材料)のうちのいずれか1種類又は2種類以上を含んでいる。この光電変換材料は、p型有機半導体材料のうちのいずれか1種類又は2種類以上と、n型有機半導体材料のうちのいずれか1種類又は2種類以上とを含んでいる。具体的には、第1光電変換層41は、例えば、有機バルクへテロ接合素子、超階層ナノ構造接合素子、ハイブリッドヘテロ接合型素子及びp−i−n接合型素子等である。中でも、有機バルクヘテロ接合素子が好ましい。
p型有機半導体材料の具体例は、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料及びキナクリドン系顔料等である。
また、p型有機半導体材料の具体例は、トリアリールメタン、トリアリールアミン、オキサゾール、ヒドラゾン、スチルベン、ピラゾリン、ポリシラン、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びそれらの誘導体等である。ポリフェニレンビニレンの誘導体は、例えば、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−フェニレンビニレン](MEH−PPV)及びポリ[2−メトキシ−5−(3’,7’−ジメチルオクチロキシ)−1,4−フェニレンビニレン]等である。ポリチオフェンの誘導体の具体例は、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)及びポリ(3−オクチルチオフェン))等である。
更に、p型有機半導体材料の具体例は、下記の(Z−1)〜(Z−25)のそれぞれで表される2価の基のうちのいずれか1種類又は2種類以上を含む高分子材料である。高分子材料の具体的な構成は、上記した2価の基のうちのいずれか1種類又は2種類以上を含んでいる化合物であれば、特に限定されない。この高分子材料は、例えば、上記した2価の基のうちのいずれか1種類又は2種類以上を繰り返し単位中に含んでいる。
Figure 2016157936
(X1は、硫黄原子(S)及びNR2のうちのいずれかである。X2は、硫黄原子、NR2、CR3R4及びSiR3R4のうちのいずれかである。X3は、硫黄原子、酸素原及びNR2のうちのいずれかである。R1〜R4のそれぞれは、1価の炭化水素基及びその誘導体のうちのいずれかである。kは、1〜4の整数のうちのいずれかである。)
「1価の炭化水素基」とは、炭素及び水素により構成される1価の基の総称であり、直鎖状でもよいし、1または2以上の側鎖を有する分岐状でもよい。1価の炭化水素基の種類は、特に限定されないが、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基及びそれらの2種類以上が結合された1価の基(以下、「1価結合基」と呼称する。)等である。尚、1価の炭化水素基の炭素数は、特に限定されない。
アルキル基の種類は、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、t−アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、t−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、t−オクチル基及びノニル基等である。アルケニル基の種類は、特に限定されないが、例えば、ビニル基及びアリル基等である。アルキニル基の種類は、特に限定されないが、例えば、エチニル基等である。シクロアルキル基の種類は、特に限定されないが、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基及びシクロデシル基及びシクロヘキシルフェニル基等である。アリール基の種類は、特に限定されないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレイル基、チオフェニルフェニル基、フラニルフェニル基、2’−フェニル−プロピルフェニル基及びナフチルメチル基等である。1価結合基の種類は、特に限定されないが、例えば、ベンジル基等である。
「1価の炭化水素基の誘導体」とは、例えば、1価の炭化水素基に含まれている水素原子のうちの1又は2以上が他の原子又は他の基により置換された基である。他の原子又は他の基の詳細に関しては、後述する。
また、「1価の炭化水素基の誘導体」とは、例えば、その1価の炭化水素基のうちの途中に1又は2以上の2価の連結基が導入された基でもよい。1価の炭化水素基に2価の連結基が導入される場合には、1価の炭化水素基のうちの炭素鎖が2つの炭素鎖に分断されると共に、その2つの炭素鎖が2価の連結基を介して結合される。2価の連結基の種類は、特に限定されないが、例えば、−O−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)−、−S−、−SO−、−SO2 −、−NR10−、−HC=CH−及び−C≡C−等である。R10は、1価の炭化水素基及びその誘導体である。1価の炭化水素基及びその誘導体に関する詳細は、上記した通りである。
尚、(Z−1)〜(Z−25)のそれぞれに示した2価の基に含まれている水素原子のうちの1又は2以上は、他の原子又は他の基により置換されていてもよい。
他の原子の種類は、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等である。
他の基の種類は、特に限定されないが、例えば、シアノ基、ニトロ基、水酸基、チオール基、アミノ基誘導体(−NR5R6)、1価の炭化水素基及びその誘導体、並びに1価の複素環基及びその誘導体等である。
R5及びR6のそれぞれは、1価の炭化水素基及びその誘導体である。1価の炭化水素基に関する詳細は、上記した通りである。1価の炭化水素基の誘導体は、上記したように、1価の炭化水素基に含まれている水素原子のうちの1又は2以上が上記した他の原子又は上記した他の基(但し、1価の炭化水素基及びその誘導体を除く。)により置換された基である。
他の基の候補である1価の炭化水素基及びその誘導体に関する詳細は、例えば、上記したR5及びR6のそれぞれの候補である1価の炭化水素基及びその誘導体に関する詳細と同様である。
1価の複素環基の種類は、特に限定されないが、例えば、チアゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、チオフェニル基、フラニル基、ビチオフェニル基及びターチオフェニル基等である。1価の複素環基の炭素数は、特に限定されないが、例えば、1〜40、好ましくは4〜22である。
1価の複素環基の誘導体とは、1価の複素環基に含まれている水素原子のうちの1又は2以上が他の原子又は他の基により置換された基である。他の原子又は他の基に関する詳細は、例えば、上記した通りである。
n型有機半導体材料の具体例は、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、多環キノン系顔料、アゾ系顔料、フラーレン、有機金属錯体、オキサジアゾール、トリアゾール、フェナントロリン、トリアジン、キノリン、キノキサリン、ジフェニルキノン、ニトロ置換フルオレノン、チオピランジオキサイド及びそれらの誘導体等である。フラーレンは、例えば、C60フラーレン及びC70フラーレン等である。有機金属錯体は、例えば、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(10−ベンゾ[h]キノリノラート)ベリリウム、5−ヒドロキシフラボンのベリリウム塩及び5−ヒドロキシフラボンのアルミニウム塩等である。オキサジアゾールの誘導体は、例えば、1,3−ビス[5’−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2’−イル]ベンゼン等である。トリアゾールの誘導体は、例えば、3−(4’−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4’’−ビフェニル)−1,2,4−トリアゾール等である。フェナントロリンの誘導体は、例えば、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(バソクプロイン:BCP)等である。
中でも、フラーレン及びその誘導体が好ましい。n型有機半導体材料の中でも高いキャリア移動度が得られると共に、電荷分離効率も高いため、タンデム型の素子構造の利点がより得られやすいからである。
からである。
ここで、上記したフラーレン及びその誘導体の具体例は、下記のC1〜C6等である。C1は、フェニル−C61−酪酸メチルエステル(PCBM)である。C2は、[6,6]−フェニル−C61−酪酸ブチル(PCBB)である。C3は、フェニル−C61−酪酸オクチルエステル(PCBO)である。C4は、チエニル−C61−酪酸メチルエステル(ThCBM)、C5は、[70]PCBMである。中でも、C1(PCBM)が好ましい。電子準位の整合性に優れていると共に、容易に入手可能だからである。
Figure 2016157936
光電変換材料において、p型有機半導体材料とn型有機半導体材料との混合比(重量比)は、特に限定されない。この混合比(重量比)は、例えば、p型有機半導体材料:n型有機半導体材料=10:90〜90:10、好ましくは10:90〜70:30、より好ましくは20:80〜50:50である。
第1光電変換層41の形成方法は、特に限定されないが、例えば、ドライプロセス及びウェットプロセスのうちのいずれか1種類又は2種類以上である。
ドライプロセスの具体例は、蒸着法、物理気相成長法(PVD)、化学気相成長法(CVD)、原子層堆積法(ALD)、原子層エピタキシー法(ALE)、分子線エピタキシー法(MBE)、気相エピタキシー法(VPE)、スパッタ法及びプラズマ重合法等である。
ウェットプロセスの具体例は、塗布法及び印刷法等である。塗布法の種類は、特に限定されないが、例えば、ディップコート法、キャスト法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スピンコート法及びLB法等である。印刷法の種類は、特に限定されないが、例えば、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、ディスペンサ印刷法、インクジェット法及びエクストルージョンコート法等である。尚、第1光電変換層41を形成した後、必要に応じて第1光電変換層41を加熱処理(アニーリング)してもよい。
第1光電変換層41の厚さは、特に限定されないが、例えば、5nm〜5000nmである。
第1光電変換層41の形成方法としてウェットプロセスを用いる場合には、溶媒のうちのいずれか1種類又は2種類以上を用いて光電変換材料を溶解又は分散させてもよい。この場合には、第1光電変換層41を形成するために、光電変換材料を含む溶液(例えば、塗布液等)が用いられる。
溶媒の種類は、光電変換材料を溶解又は分散させることが可能である媒質であれば、特に制限されない。但し、溶媒に溶解又は分散させる光電変換材料は、p型有機半導体材料及びn型有機半導体材料のうちのいずれか一方だけでもよいし、双方でもよい。溶媒の具体例は、水及び有機溶剤等である。水の種類は、特に限定されないが、例えば、純水等である。有機溶剤の種類は、特に限定されないが、例えば、アルコール系溶剤、ジオール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、脂環族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、シアノ基を有する炭化水素溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤及びその他の有機溶剤等である。
アルコール系溶剤は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、第3ブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、2−ペンタノール、ネオペンタノール、第3ペンタノール、ヘキサノール、2−ヘキサノール、ヘプタノール、2−ヘプタノール、オクタノール、2―エチルヘキサノール、2−オクタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、メチルシクロペンタノール、メチルシクロヘキサノール、メチルシクロヘプタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、2−(N,N−ジメチルアミノ)エタノール及び3(N,N−ジメチルアミノ)プロパノール等である。
ジオール系溶剤は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、イソプレングリコール(3−メチル−1,3−ブタンジオール)、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、オクタンジオール(2−エチル−1,3−ヘキサンジオール)、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール及び1,4−シクロヘキサンジメタノール等である。
ケトン系溶剤は、例えば、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、メチルヘキシルケトン、エチルブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノン等である。
エステル系溶剤は、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸第2ブチル、酢酸第3ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸第3アミル、酢酸フェニル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸第2ブチル、プロピオン酸第3ブチル、プロピオン酸アミル、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸第3アミル、プロピオン酸フェニル、2−エチルヘキサン酸メチル、2−エチルヘキサン酸エチル、2−エチルヘキサン酸プロピル、2−エチルヘキサン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ第2ブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ第3ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ第2ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノイソブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ第3ブチルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノ第2ブチルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノイソブチルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノ第3ブチルエーテルアセテート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、オキソブタン酸メチル、オキソブタン酸エチル、γ−ラクトン、マロン酸ジメチル、コハク酸ジメチル、プロピレングリコールジアセテート及びδ−ラクトン等である。
エーテル系溶剤は、例えば、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、モルホリン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル及びジオキサン等である。
脂肪族炭化水素系溶剤及び脂環族炭化水素系溶剤は、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカリン、ソルベントナフサ、テレピン油、D−リモネン、ピネン、ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油株式会社製)及びソルベッソ#100(エクソン化学株式会社製)等である。
芳香族炭化水素系溶剤は、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン、ジエチルベンゼン、クメン、イソブチルベンゼン、シメン及びテトラリン等である。
シアノ基を有する炭化水素溶剤は、例えば、アセトニトリル、1−シアノプロパン、1−シアノブタン、1−シアノヘキサン、シアノシクロヘキサン、シアノベンゼン、1,3−ジシアノプロパン、1,4−ジシアノブタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,4−ジシアノシクロヘキサン及び1,4−ジシアノベンゼン等である。
ハロゲン化炭化水素系溶剤は、例えば、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン及びトリクロロベンゼン等である。
その他の有機溶剤は、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アニリン、トリエチルアミン、ピリジン及び二硫化炭素等である。
中でも、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン及びトリクロロベンゼン等が好ましい。優れた溶解性及び分散性が得られるからである。
第1光電変換層41の形成工程において、光電変換材料を含む溶液を用いる場合には、その溶液中における光電変換材料の含有量は、第1光電変換層41の形成に支障を生じなければ、特に限定されない。この溶液中における光電変換材料の含有量は、例えば、溶媒100重量部に対して0.1重量部〜20重量部、好ましくは1重量〜10重量部、より好ましくは3重量部〜7重量部である。第1光電変換層41を容易且つ安定に形成しやすいからである。なお、2種類以上の光電変換材料を用いた場合において、上記した光電変換材料の含有量とは、その2種類以上の光電変換材料の含有量の総和である。
尚、第1光電変換層41は、有機溶剤により溶解可能である高分子材料のうちのいずれか1種類又は2種類以上を含んでいることが好ましい。有機溶剤のうちのいずれか1種類又は2種類以上を用いて、光電変換材料が溶解又は分散された溶液を調製することが可能になるため、その第1光電変換層41の形成方法として、ウェットプロセスを用いることができるからである。
有機溶剤により溶解可能である高分子材料の種類は、特に限定されないが、例えば、上記した(Z−1)〜(Z−25)のそれぞれに示した2価の基のうちのいずれか1種類又は2種類以上を含む高分子材料等である。尚、有機溶剤の種類に関する詳細は、上記した通りである。
第2光電変換層42の形成材料、形成方法及び厚さ等は、例えば、第1光電変換層41の形成材料、形成方法及び厚さ等と同様である。但し、第2光電変換層42の形成方法は、ウェットプロセスであることが好ましい。これに伴い、第2光電変換層42は、有機溶剤により溶解可能である高分子材料のうちのいずれか1種類又は2種類以上を含んでいることが好ましい。この高分子材料に関する詳細は、例えば、上記した通りである。第2光電変換層42の形成時において下地(中間層51等)が悪影響を受けにくいため、タンデム型の素子構造の利点が得られやすいからである。
特に、第1光電変換層41の形成方法及び第2光電変換層42の形成方法の双方がウェットプロセスであると、その第1光電変換層41と第2光電変換層42との間に相互作用が生じるため、タンデム型の素子構造の利点がより得られやすくなる。この相互作用は、主に、ウェットプロセスを用いて第1光電変換層41を形成した後、同様にウェットプロセスを用いて第2光電変換層42を形成した際に、その第2光電変換層42を形成するために用いられた有機溶剤の一部が中間層51を経由して第1光電変換層41まで浸透することに起因して生じると考えられる。
[中間層]
中間層51は、第1光電変換層41と第2光電変換層42との間に配置されている。このため、第1光電変換層41と第2光電変換層42とは、中間層51を介して分離されている。
ここで、上記したように、中間層5のうちの1つ以上は、7nm〜35nmの厚さを有するアルミニウム層を含んでいる。ここでは、例えば、中間層5の数が1つ(中間層51)であるため、その中間層51は、7nm〜35nmの厚さを有するアルミニウム層を含んでいる。
アルミニウム層が上記した範囲内の厚さを有しているのは、タンデム型の素子構造の利点、即ち複数の光電変換層4(第1光電変換層41及び第2光電変換層42)を用いる効果が十分に得られるからである。詳細には、厚さが7nmよりも小さい場合には、第1光電変換層41と第2光電変換層42とが接近しすぎることに起因して、その第1光電変換層41と第2光電変換層42とが十分に分離されないため、タンデム型の素子構造の利点が得られにくくなる。一方、厚さが35nmよりも大きい場合には、中間層51が厚くなりすぎることに起因して、その中間層51を外光が十分に透過できないため、タンデム型の素子構造の利点が得られにくくなる。
特に、アルミニウム層の厚さは、10nm〜30nmであることが好ましく、10nm〜20nmであることがより好ましい。タンデム型の素子構造の利点がより得られやすいからである。
尚、中間層51は、上記したアルミニウム層と共に、他の層のうちのいずれか1種類又は2種類以上を含んでいてもよい。即ち、中間層51は、アルミニウム層だけからなる単層でもよいし、アルミニウム層と共に1又は2以上の他の層とを含む多層でもよい。
この他の層は、例えば、金属材料、金属酸化物、高分子材料、金属ハロゲン化物及びナフタレンテトラカルボン酸無水物等のうちのいずれか1種類又は2種類以上を含んでいる。金属材料の具体例は、金、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、パラジウム、銀、カドミウム、モリブデン、バナジウム、チタン、インジウム、錫及びそれらの合金等である。金属酸化物の具体例は、上記した金属材料の酸化物等である。高分子材料の具体例は、PEDOT:PSS及びPEO等である。金属ハロゲン化物の具体例は、フッ化リチウム等である。
他の層の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.01nm〜100nm、好ましくは0.1nm〜50nmである。
[第2電荷移動層]
第2電荷移動層6は、第2電極7の形成材料が光電変換層4に侵入(反応)することを防止する。また、第2電荷移動層6は、光電変換層4において分離された電荷が再結合することを防止すると共に、その電荷を効率よく第2電極7に移動させる。尚、第2電荷移動層6は、上記した第1電荷移動層3とは異なり、透明性を有していてもよいし、透明性を有していなくもよい。
この第2電荷移動層6の形成材料、形成方法及び厚さ等は、例えば、第1電荷移動層3の形成材料、形成方法及び厚さ等と同様である。一例を挙げると、光電変換層4がP3HT:PCBM等の有機バルクへテロ接合素子である場合には、第2電荷移動層6はPEDOT:PSSを含む。
[第2電極]
第2電極7は、例えば、導電性材料のうちのいずれか1種類又は2種類以上を含んでいる。この第2電極7は、上記した第1電極2とは異なり、透明性を有していてもよいし、透明性を有していなくもよい。
導電性材料は、貴金属、金属酸化物、金属材料、無機材料及び高分子材料(有機導電性化合物)等である。貴金属の具体例は、金、白金及び銀等である。金属酸化物の具体例は、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫(NESA)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びフッ素ドープ酸化錫(FTO)等である。金属材料の具体例は、リチウム、リチウム−インジウム合金、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、カルシウム、マグネシウム、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、インジウム、ルテニウム、チタニウム、マンガン、イットリウム、アルミニウム、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−カルシウム合金、アルミニウム−マグネシウム合金及びクロミウム等である。無機材料の具体例は、グラファイト等である。高分子材料の具体例は、PEDOT:PSS等である。
尚、第2電極7の形成方法及び厚さ等は、例えば、第1電極2の形成方法及び厚さ等と同様である。
ここで、第1電極2の仕事関数と第2電極7の仕事関数との関係は、相対的に大小関係にあることが好ましく、言い替えれば、第1電極2の仕事関数と第2電極7の仕事関数とは、互いに異なっていることが好ましい。中でも、第1電極2の仕事関数は、第2電極7の仕事関数よりも大きいことが好ましい。この場合において、第1電極2の仕事関数と第2電極7の仕事関数との差は、0.5V以上であることが好ましい。
<1−3.構成例2>
又は、例えば、図1に対応する図2に示したように、光電変換層4は、2つの中間層5により3層に分離されていてもよい。これに伴い、光電変換素子は、例えば、3つの光電変換層4(第1光電変換層43,第2光電変換層44,第3光電変換層45)と、2つの中間層5(第1中間層52,第2中間層53)とを備えている。
より具体的には、光電変換素子は、例えば、支持体1の上に、第1電極2と、第1電荷移動層3と、第1光電変換層43と、第1中間層52と、第2光電変換層44と、第2中間層53と、第3光電変換層45と、第2電荷移動層6と、第2電極7とがこの順に積層された構造を有している。
この構成例2の光電変換素子は、以下で説明する点を除き、図1に示した構成例1の光電変換素子と同様の構成を有している。尚、以下では、構成例1の光電変換素子の構成要素を随時引用する。
第1光電変換層43、第2光電変換層44及び第3光電変換層45の形成材料、形成方法及び厚さ等は、例えば、第1光電変換層41及び第2光電変換層42の形成材料、形成方法及び厚さ等と同様である。特に、第2光電変換層44及び第3光電変換層45の形成方法は、ウェットプロセスであることが好ましい。第2光電変換層44及び第3光電変換層45の形成時において下地(第1中間層52及び第2中間層53等)が悪影響を受けにくいため、タンデム型の素子構造の利点が得られやすいからである。
第1中間層52は、第1光電変換層43と第2光電変換層44との間に配置されているため、その第1光電変換層43と第2光電変換層44とは、第1中間層52を介して分離されている。また、第2中間層53は、第2光電変換層44と第3光電変換層45との間に配置されているため、その第2光電変換層44と第3光電変換層45とは、第2中間層53を介して分離されている。
ここでは、例えば、中間層5の数が2つ(第1中間層52及び第2中間層53)であるため、その第1中間層52及び第2中間層53のうちの一方又は双方は、7nm〜35nmの厚さを有するアルミニウム層を含んでいる。第1中間層52及び第2中間層53の形成材料、形成方法及び厚さ等は、例えば、中間層51の形成材料、形成方法及び厚さ等と同様である。
第1中間層52及び第2中間層53のうち、一方の層だけが7nm〜35nmの厚さを有するアルミニウム層を含んでいる場合には、他方の層は、7nm〜35nmの厚さを有するアルミニウム層を含んでいない。この場合において、他方の層は、例えば、上記した他の層と同様の構成を有している。
第1中間層52及び第2中間層53の双方が7nm〜35nmの厚さを有するアルミニウム層を含んでいる場合には、第1中間層52の構成と第2中間層53の構成とは、同じでもよいし、異なってもよい。ここで説明する「構成」とは、層数、各層の形成材料及び各層の厚さ等である。
<1−4.作用及び効果>
本発明の光電変換素子によれば、光電変換層4を2層以上に分離する1以上の中間層5のうちの少なくとも1つが、7nm〜35nmの厚さを有するアルミニウム層を含んでいる。この場合には、上記したように、中間層5の形成材料及び厚さが適正化されるため、複数の光電変換層4を用いたタンデム型の素子構造の利点が十分に得られる。これにより、中間層5として金属薄膜、即ち上記したアルミニウム層を用いても、複数の光電変換層4により高い出力電圧(Voc)が得られるため、高い変換効率(Voc/V)が得られる。よって、優れた光電変換特性を得ることができる。
特に、図1に示したように中間層5数が1つであると共に光電変換層4の層数が2層であり(構成例1)、又は図2に示したように中間層の数が2つであると共に光電変換層4の層数が3層であれば(構成例2)、簡素な構成を有する(容易に製造可能である)光電変換素子において、十分な光電変換特性を得ることができる。
また、光電変換層4が有機溶剤により溶解可能である高分子材料を含んでいれば、ウェットプロセスを用いて光電変換層4を形成可能になるため、より高い効果を得ることができる。中でも、2層以上に分離された光電変換層4のそれぞれが有機溶剤により溶解可能である高分子材料を含んでいれば、上記したように、2層以上に分離された光電変換層4のそれぞれの間に、有機溶剤の浸透に起因する相互作用が生じるため、更に高い効果を得ることができる。
<1−5.変形例>
尚、本発明の光電変換素子の構成に関して、図1及び図2を参照しながら、光電変換層4の層数が2層又は3層である(中間層5の数が1つ又は2つである)場合を例に挙げて説明したが、これらに限られない。即ち、光電変換層4の層数は4層以上(中間層5の数は3つ以上)でもよい。この場合においても、光電変換層4の層数が2層又は3層である場合と同様の効果を得ることができる。
<2.光電変換素子の適用例>
次に、本発明の光電変換素子の適用例に関して説明する。
本発明の光電変換素子は、多様な電子デバイスに適用可能である。この電子デバイスの具体例は、太陽電池、フォトダイオード及び光検出器等である。但し、光電変換素子は、電子デバイスに限られず、その電子デバイス以外の用途に適用されてもよい。
この太陽電池等の電子デバイスによれば、本発明の光電変換素子を備えているので、上記した光電変換素子と同様の理由により、優れた光電変換特性が得られる。よって、優れた動作特性を得ることができる。
以下では、本発明の実施例に関して具体的に説明する。但し、本発明の態様は、ここで説明する態様に限定されない。
(実験例1〜18)
以下の手順により、図1に示した光電変換素子を作製した。
最初に、第1電極2(ITO,厚さ=150nm)が形成された支持体1(ガラス基板)を準備した後、その支持体1を洗浄した。この場合には、イソプロピルアルコール(IPA)を用いて支持体1を煮沸洗浄すると共に、その支持体1を紫外線(UV)−オゾン洗浄した。
続いて、スピンコート法を用いて、電荷移動物質(Heraeus株式会社製のPEDOT:PSS)を含む溶液を第1電極2の表面に塗布した後、その溶液を減圧乾燥(乾燥温度=100℃,乾燥時間=10分間)して、第1電荷移動層3(厚さ=40nm)を形成した。
続いて、スピンコート法を用いて、光電変換材料を含む溶液を第1電荷移動層3の表面に塗布した後、その溶液を減圧乾燥(乾燥温度=100℃,乾燥時間=10分間)して、第1光電変換層41を形成した。この光電変換材料を含む溶液の種類(後述する塗布液1〜3)及び第1光電変換層41の厚さ(nm)は、表1に示した通りである。
ここで、上記した光電変換材料を含む溶液としては、下記の3種類の溶液(塗布液1〜3)を調製した。
塗布液1を調製する場合には、溶媒(o−ジクロロベンゼン)に光電変換材料を溶解させた。この光電変換材料は、p型有機半導体材料であるP3HT(Rieke Metals株式会社製の4002−E)と、n型有機半導体材料であるPCBM(フェニル−C61−酪酸メチルエステル)とを含む。この場合には、光電変換材料の混合比(重量比)をp型有機半導体材料:n型有機半導体材料=1:1、塗布液1中における光電変換材料の含有量を25mg/cm3 (=25mg/ml)とした。
塗布液2を調製する場合には、溶媒(クロロベンゼン)に光電変換材料を溶解させた後、その溶媒に1,8−ジヨードオクタンを添加した。この光電変換材料は、p型有機半導体材料である下記の化合物1(Aldrich株式会社製)と、n型有機半導体材料であるPCBMとを含む。この場合には、光電変換材料の混合比(重量比)をp型有機半導体材料:n型有機半導体材料=2:3、塗布液2中における光電変換材料の含有量を20mg/cm3 (=20mg/ml)、1,8−ジヨードオクタンの添加量を3重量%とした。
Figure 2016157936
塗布液3を調製する場合には、溶媒(o−ジクロロベンゼン)に光電変換材料を溶解させた。この光電変換材料は、p型有機半導体材料である下記の化合物2(Aldrich株式会社製)と、n型有機半導体材料であるPCBMとを含む。この場合には、光電変換材料の混合比(重量比)をp型有機半導体材料:n型有機半導体材料=1:4、塗布液3中における光電変換材料の含有量を50mg/cm3 (=50mg/ml)とした。
Figure 2016157936
続いて、第1光電変換層41の表面に、3層構造(金属ハロゲン化物層/金属材料層/金属酸化物層又は高分子材料層)を有する中間層51を形成した。この中間層51を形成する場合には、金属ハロゲン化物層の上に金属材料層を形成した後、その金属材料層の上に金属酸化物層又は高分子材料層を形成した。各層の形成材料及び厚さ(nm)は、表1に示した通りである。
金属酸化物層を含む3層構造の中間層51を形成する場合には、減圧された真空蒸着装置の内部(圧力=10-3Pa以下)に、第1光電変換層41が形成された支持体1を投入した後、シャドウマスクを用いて金属ハロゲン化物層、金属材料層及び金属酸化物層をこの順に形成した。この場合には、減圧環境中において、金属ハロゲン化物層であるフッ化リチウム層(LiF)と、金属材料層であるアルミニウム層(Al)、金層(Au)又は銀層(Ag)と、金属酸化物層である酸化モリブデン層(MoOx )とをこの順に連続的に製膜した。この酸化モリブデン層の蒸着源としては、株式会社高純度化学研究所製の酸化モリブデン(MoO3 )を用いた。
高分子材料層を含む3層構造の中間層51を形成する場合には、上記した金属酸化物層を含む3層構造の中間層51を形成した場合と同様の手順により、金属ハロゲン化物層(LiF)及び金属材料層(Al)をこの順に形成した。続いて、スピンコート法を用いて、高分子材料(PEDOT:PSS)を含む溶液を金属材料層の表面に塗布した後、その溶液を減圧乾燥(乾燥温度=100℃,乾燥時間=10分間)して、高分子材料層であるPEDOT:PSS層(PEPS)を形成した。
尚、中間層51の形成工程では、比較のために、必要に応じて中間層51を形成しなかった。この中間層51の有無は、表1に示した通りである。
続いて、スピンコート法を用いて、光電変換材料を含む溶液を中間層51の表面に塗布した後、その溶液を減圧乾燥(乾燥温度=100℃,乾燥時間=10分間)して、第2光電変換層42を形成した。この第2光電変換層42を形成するために用いた溶液の種類(塗布液1,2)及び第2光電変換層42の厚さ(nm)は、表1に示した通りである。
尚、第2光電変換層42の形成工程では、比較のために、必要に応じて第2光電変換層42を形成しなかった。この第2光電変換層42の有無は、表1に示した通りである。
最後に、減圧された真空蒸着装置の内部(圧力=10-3Pa以下)に、第2光電変換層42が形成された支持体1を投入した後、減圧環境中においてシャドウマスクを用いて第2光電変換層42の表面に第2電荷移動層6(フッ化リチウム,厚さ=0.5nm)及び第2電極7(アルミニウム,厚さ=100nm)をこの順に連続的に製膜した。
これにより、タンデム型の素子構造を有する光電変換素子が完成した。
この光電変換素子の光電変換特性を調べたところ、表1に示した結果が得られた。この場合には、ソーラーシミュレータ(エアマス=1.5G,照射強度=100mW/cm2 )を用いて、図1に示したように第1電極2側から光電変換素子に白色光を照射して、開放電圧Voc(V)を求めた。
Figure 2016157936
第1光電変換層41だけを形成して、中間層51及び第2光電変換層42を形成しなかった場合(実験例10〜12)には、十分な変換効率が得られなかった。
また、中間層51及び第2光電変換層42を形成しても、その中間層51がアルミニウム層を含んでいない場合(実験例17,18)には、やはり十分な変換効率が得られなかった。
更に、中間層51及び第2光電変換層42を形成すると共に、その中間層51がアルミニウム層を含んでいても、そのアルミニウム層が所定の範囲内の厚さ(=7nm〜35nm)を有していない場合(実験例13〜16)には、やはり十分な変換効率が得られなかった。
これに対して、中間層51及び第2光電変換層42を形成すると共に、その中間層51がアルミニウム層を含んでいる場合において、そのアルミニウム層が所定の範囲内の厚さ(=7nm〜35nm)を有している場合(実験例1〜9)には、著しく高い変換効率が得られた。
これらの結果から、光電変換層4を2層以上に分離する中間層5が所定の範囲内の厚さを有するアルミニウム層を含んでいると、優れた光電変換特性を得ることができた。
以上、実施形態及び実施例を挙げながら本発明を説明したが、本発明は実施形態及び実施例において説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。
1…支持体、2…第1電極、3…第1電荷移動層、4…光電変換層、5,51…中間層、6…第2電荷移動層、7…第2電極、41,43…第1光電変換層、42,44…第2光電変換層、45…第3光電変換層、52…第1中間層、53…第2中間層。

Claims (4)

  1. 一対の電極と、
    前記一対の電極の間に配置された光電変換層と、
    前記光電変換層を2層以上に分離する1以上の中間層と
    を備え、
    前記1以上の中間層のうちの少なくとも1つは、7nm以上35nm以下の厚さを有するアルミニウム層を含む、
    光電変換素子。
  2. 前記中間層の数は1つであると共に、前記光電変換層の層数は2層であり、
    又は、前記中間層の数は2つであると共に、前記光電変換層の層数は3層である、
    請求項1記載の光電変換素子。
  3. 前記光電変換層は、有機溶剤により溶解可能である高分子材料を含む、
    請求項1又は請求項2に記載の光電変換素子。
  4. 光電変換素子を備え、
    前記光電変換素子は、
    一対の電極と、
    前記一対の電極の間に配置された光電変換層と、
    前記光電変換層を2層以上に分離する1以上の中間層と
    を備え、
    前記1以上の中間層のうちの少なくとも1つは、7nm以上35nm以下の厚さを有するアルミニウム層を含む、
    太陽電池。
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