JP2016157024A - 撮像装置およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】撮影レンズと撮像素子の間にハーフミラーが侵入した場合であっても、画素に応じでデフォーカス演算の敏感度を補正することにより高精度な焦点検出が可能な撮像装置を提供すること。【解決手段】前記撮影レンズの射出瞳の異なる領域を通過した光をそれぞれ光電変換して得られる画像信号を出力する焦点検出用画素対(201a,201b)を有する撮像素子(107)と、前記撮影レンズと前記撮像素子との間の光路上に進退可能に設けられたハーフミラー(117)と、焦点検出用画素対(201a,201b)の相対的な像ずれ量からデフォーカスの敏感度を用いてデフォーカス演算を行う撮像装置において、前記焦点検出画素対は異なる分光感度特性を有し、前記ハーフミラーが前記光路上に侵入状態である場合には、前記焦点検出画素対の分光感度に対応したデフォーカス演算の敏感度に対して補正を実施することを特徴とする。【選択図】図9a

Description

本発明は、電子カメラ等の撮像装置に用いる焦点調節装置に関する。
従来、撮影レンズからの光のうちハーフミラーを透過した光をサブミラーで反射し、焦点検出装置に導く構成の一眼レフカメラが知られている。しかし、前記一眼レフカメラは前記焦点検出装置を有するため、大型となってしまうという問題があった。そこで、小型軽量化のために焦点検出機能を兼ね備えた撮像素子を有し、前記焦点検出装置及び前記サブミラーを廃止した撮像装置が知られている。前記撮像装置の焦点検出時において、前記ハーフミラーは、撮影モードにより光路中から退避した退避状態である場合と光路中に侵入した侵入状態である場合が存在する。
特許文献1には、焦点検出素子の機能も兼ねている撮像素子を有する前記撮像装置が開示されている。特許文献1に記載の撮像装置には、光路中にハーフミラーが侵入した際に、該ハーフミラーの侵入による像面移動量を撮影レンズ絞り値等を考慮してデフォーカス量のオフセット量として記憶し、デフォーカス量を補正する技術が開示されている。
特開2013−140380号公報
しかしながら、特許文献1に開示された撮像装置では、前記ハーフミラーの侵入により各焦点検出用画素に対応する撮影光学系の射出瞳の位置ずれ、瞳距離が変化してしまうことは考慮されていない。
そこで、本発明は、撮影レンズと撮像素子の間にハーフミラーが侵入した場合であっても、瞳変化に伴う敏感度補正により高精度な焦点検出が可能な撮像装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、
撮影レンズの射出瞳の異なる領域を通過した光をそれぞれ光電変換して得られる画像信号を出力する焦点検出用画素対を有する撮像素子と、前記撮影レンズと前記撮像素子との間の光路上に進退可能に設けられたハーフミラーと、焦点検出用画素対の相対的な像ずれ量からデフォーカスの敏感度を用いてデフォーカス演算を行う撮像装置において、前記焦点検出画素対は異なる分光感度特性を有し、前記ハーフミラーが前記光路上に侵入状態である場合には、前記焦点検出画素対の分光感度に対応したデフォーカス演算の敏感度に対して補正を実施することを特徴とする。
本発明によれば、撮影レンズと撮像素子の間にハーフミラーが侵入した場合であっても、瞳変化に伴う敏感度補正を実現することにより高精度な焦点検出が可能な撮像装置を提供することができる。
撮像装置の構成例を示す図である。 撮像用画素の構造を説明する図である。 瞳分割について説明する概念図である。 シェーディングの発生原理の説明図(A)およびシェーディングを例示する図(B)である。 ハーフミラー117の侵入による周辺画素に対応する枠及び瞳のずれを示す概念図である。図5(A)は、ハーフミラー117が侵入状態の場合における光路を示したy−z平面の断面図、図5(B)乃至(D)は瞳と枠の位置関係を示す図、図5(E)乃至(G)は枠内の瞳の拡大図である。 光線の波長が異なる場合において、ハーフミラー117の侵入による周辺画素に対応する枠及び瞳のずれを示す概念図である。図6(A)はハーフミラー117が侵入状態の場合における光路を示したy−z平面の断面図、図6(B)及び(C)は瞳と枠の位置関係を示す図、図6(D)及び(E)は枠内の瞳の拡大図である。 y方向に瞳分割した場合において、ハーフミラー117の侵入による周辺画素に対応する枠及び瞳のずれを示す概念図であり、ハーフミラー117が侵入状態の場合における光路を示したy−z平面の断面図である。 y方向に瞳分割した場合において、ハーフミラー117の侵入による周辺画素に対応する枠及び瞳のずれを示す概念図であり、瞳と枠の全体図である。 y方向に瞳分割した場合において、ハーフミラー117の侵入による周辺画素に対応する枠及び瞳のずれを示す概念図であり、図7枠内のA像の瞳の拡大図である。 y方向に瞳分割した場合において、ハーフミラー117の侵入による周辺画素に対応する枠及び瞳のずれを示す概念図であり、枠内のB像の瞳の拡大図である。 撮影光学系の射出瞳と撮像素子までの間の光線の関係を示す図である。 射出瞳面での撮像素子の画素との関係を示す図である。 射出瞳面での撮像素子の画素との関係を示す図である。 射出瞳面での撮像素子の画素との関係を示す図である。 射出瞳面での撮像素子の画素との関係を示す図である。 焦点検出画素対の分光感度の一例を示す図である。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本実施形態に係る撮像装置の構成例を示す。なお、被写体側を撮像装置の前方と定義して各部の位置関係を説明する。
第1レンズ群101は撮影レンズ(撮像光学系)を構成するレンズ群のうち、最も前端に位置し、光軸方向に進退可能な状態でレンズ鏡筒に保持される。絞り兼用シャッタ102は、その開口径を調節することで撮影時の光量調節を行うとともに、静止画撮影時には露光調節用シャッタとして機能する。第2レンズ群103は、絞り兼用シャッタ102と一体となって光軸方向に進退し、第1レンズ群101の進退動作と連動して変倍動作によるズーム機能を有する。第3レンズ群105は、光軸方向に進退することで、焦点調節を行うフォーカスレンズ群である。光学的ローパスフィルタ106は、撮影画像の偽色やモアレを軽減するための光学素子である。
撮像素子107は、例えばCMOSセンサとその周辺回路で構成される。撮像素子107には、横方向にm個の画素、縦方向にn個の画素をもつ受光ピクセル上にベイヤー配列の原色カラーモザイクフィルタをオンチップで形成した、2次元単板カラーセンサ等が用いられる。後述するように、撮像素子107は焦点検出機能を構成する。
レンズROM(読み出し専用メモリ)110は、カメラボディに着脱可能な交換式レンズ毎に固有のデータを記憶しており、焦点検出等に必要なレンズ情報を通信により、後述のCPU(中央演算処理装置)121に提供する。レンズ情報の一部として、射出瞳距離の情報がレンズROM110に記憶されている。
ズームアクチュエータ111は、不図示のカム筒を回動することで、第1レンズ群101と第2レンズ群103を光軸方向に沿って移動させることで、変倍動作を行う。絞りシャッタアクチュエータ112は、絞り兼用シャッタ102の開口径を制御して撮影光量を調節すると共に、静止画撮影時の露光時間制御を行う。フォーカスアクチュエータ114は、第3レンズ群105を光軸方向に移動させて焦点調節を行う。
ハーフミラー117は、ミラー駆動回路118により制御されるミラーアクチュエータ119により回動し、光路に対する状態が切り替わる。ハーフミラー117が光路中に侵入している状態を侵入状態と呼び図1中実線で表され、退避している状態を退避状態と呼び図1中破線で表わされる。ハーフミラー117は侵入状態において、前記撮影レンズを通過した光の一部を反射してその反射光をファインダ光学系150に導くとともに、前記撮影レンズを通過した光の一部を透過して、さらに光学的ローパスフィルタ106を透過し撮像素子107に導く。
ファインダ光学系150は、撮像する被写体を光学的に観察するための系である。ハーフミラー117の反射光は、ピント板151にて拡散され、ペンタダハプリズム152によって正立像に変換される。該正立像は、接眼レンズ153によって拡大され、ユーザにより観察される。
表示器131にはLCD(液晶表示装置)等を使用し、撮影モードに関する情報、撮影前のプレビュー画像や撮影後の確認用画像、焦点検出時の合焦状態表示画像等を表示する。本実施形態に係る撮像装置においてユーザは以下の3つに分類される撮影モードを選択可能である。
第一の撮影モードは、被写体を撮影される画像として観察し、かつ、高画質な画像を撮影することを目的とするモードである。前記第一の撮影モードでは、観察時及び撮影時にハーフミラー117を退避状態にする。画像処理後の画像は表示器131に表示され、ユーザは画像処理後の被写体像を観察できる。また、撮影時にハーフミラー117を退避させているため、ハーフミラー117を透過することによる色収差等を原因とする画質の劣化がない画像を得ることができる。
第二の撮影モードは、動的被写体を高画質な画像として撮影することを目的とするモードである。前記第二の撮影モードでは、ハーフミラー117を観察時には侵入状態に、撮影時には退避状態にする。ユーザはファインダ光学系150を用いて観察するため、画像処理等によるタイムラグなしで被写体像の観察が可能であり、動的被写体を観察するのに適している。また、第一の撮影モードと同様の理由により、ハーフミラー117の透過による画質の劣化がない画像を得ることができる。
第三の撮影モードは、動画撮影を目的とするモードである。前記第三の撮影モードでは、観察時及び撮影時にハーフミラー117を侵入状態にする。ユーザはファインダ光学系150を用いることにより画像処理等によるタイムラグなしで被写体像の観察しながら、動画を撮影できる。
いずれの撮影モードにおいても、観察時に焦点検出機能を有する撮像素子107に被写体からの光が入射するため、観察時に焦点検出が可能である。つまり、ユーザが選択した撮影モードによって、焦点検出時にハーフミラー117は退避状態と侵入状態である場合が存在するため、撮像素子107には、ハーフミラー117を透過した光が入射する場合とハーフミラー117を介さない光が入射する場合がある。
撮像装置本体の種々の制御を司るCPU121は、演算部、ROM、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェイス回路等を有する。CPU121はROMに記憶された所定のプログラムを読み出して実行することで各部を駆動し、焦点検出、撮影、画像処理、記録等の一連の動作を制御する。また、CPU121は、後述する補正値算出部(請求項1におけるシェーディング補正値決定手段に該当する。)、焦点検出を行う焦点検出部(請求項1における焦点検出手段に該当する。)の機能を兼ねている。
撮像素子駆動回路124は、撮像素子107の撮像動作を制御するとともに、取得した画像信号をA/D変換してCPU121に送信する。画像処理回路125は、撮像素子107から取得した画像データのγ(ガンマ)変換、カラー補間、JPEG圧縮等の処理を行う。JPEGは”Joint Photographic Experts Group”の略号である。
フォーカス駆動回路126およびフォーカスアクチュエータ114はフォーカス手段を構成する。フォーカス駆動回路126は、焦点検出結果に基づいてフォーカスアクチュエータ114を駆動し、第3レンズ群105を光軸方向に沿って移動させることで焦点ずれ量を調節する。絞りシャッタ駆動回路128は、絞りシャッタアクチュエータ112を駆動して絞り兼用シャッタ102の開口径を制御する。ズーム駆動回路129は、撮影者のズーム操作に応じてズームアクチュエータ111を駆動する。フォーカス駆動回路126、絞りシャッタ駆動回路128、ズーム駆動回路129はそれぞれ通信部を介してカメラボディ内の制御部(CPU121)と接続される。
操作部132は、電源スイッチ、レリーズ(撮影トリガ)スイッチ、ズーム操作スイッチ、撮影モード選択スイッチ等で構成される。記録媒体133は、例えば撮像装置に着脱可能なフラッシュメモリであり、撮影済みの画像データを記録する。
次に撮像素子107の構造を説明する。
図2(A)は撮像素子の画素配列を説明する概略図であり、2次元CMOSセンサの画素配列を、4行×4列の画素範囲で示す。画素群210の配列は2行×2列であり、ベイヤー配列が採用されている。対角方向の2画素には、G(緑)の分光感度を有する画素部210Gが配置され、他の2画素にはR(赤)の分光感度を有する画素部210Rと、B(青)の分光感度を有する画素部210Bが配置されている。画素部210R、210G、210Bはそれぞれ、瞳分割用の2つの副画素(請求項1における焦点検出用画素対に該当する。)201a、201bを有する。副画素201aは、撮像光学系の第1瞳領域を通過した光束を受光する第1画素であり、第1検出部を構成する。また、副画素201bは、撮像光学系の第2瞳領域を通過した光束を受光する第2画素であり、第2検出部を構成する。各画素を構成する検出素子は、撮像用素子と焦点検出素子を兼用する。
図2(B)は図2(A)に例示した撮像素子内の画素部210Gを拡大した図である。x,y,zで示す座標軸について、x−y平面は図2の紙面内に位置し、z軸は紙面に対して垂直な軸とする。副画素201a、201bはx軸に平行な方向に沿って配置されている。
図2(C)は図2(B)に示すa−a線に沿って画素部210Gを切断した場合の断面図である。x,y,zで示す座標軸について、x−z平面は図2の紙面内に位置し、y軸は紙面に対して垂直な軸とする。検出部はp型層200とn型層から構成されるフォトダイオードを有し、z軸方向(光軸方向)に所定の距離をおいてマイクロレンズ202が配置されている。マイクロレンズ202は配線層203上に形成される。
本実施形態では、全ての画素部にて瞳分割用の副画素が配置されており、副画素を焦点検出用画素として使用する。なお、瞳分割可能であって焦点検出用画素として使用する検出素子に関しては、全画素ではなく、撮像センサ面上の一部にだけ配置した構成でもよい。
次に、撮像素子107の瞳分割状況について説明する。
図3は1つの画素部による瞳分割の様子を示す。下方に示す検出部の図にx,y,zで示す座標軸について、x−z平面は図3の紙面内に位置し、y軸は紙面に対して垂直な軸とする。検出部はp型層300と、n型層301a,301bを備える。p型層300とn型層301aは副画素201aに相当する検出素子を構成し、p型層300とn型層301bは副画素201bに相当する検出素子を構成している。z軸上にマイクロレンズ303が配置されている。
図3の上部には、射出瞳302と、枠(絞り枠やレンズ枠等)304を示す。この図にx,y,zで示す座標軸について、x−y平面は図3の紙面内に位置し、z軸は紙面に対して垂直な軸とする。
1つの画素部には、p型層300に包含されるn型層301a,301bがそれぞれ形成されており、2つの副画素がx方向に沿って規則的に配置される。2つの副画素はそれぞれ、+x方向と、−x方向に偏芯しているので、1つのマイクロレンズ303を用いて瞳分割を行える。射出瞳302には、像信号Aの瞳302aと、像信号Bの瞳302bを示す。像信号Aとは、−x方向に偏芯したn型層301aに対応する副画素で取得される第1の像信号である。また、像信号Bは、+x方向に偏芯したn型層301bに対応する副画素で取得される第2の像信号である。像信号Aと像信号Bとの相対的な像ずれ量を検出し、両者の相関演算を用いてデフォーカス量を算出することで、撮影レンズの焦点状態を検出できる。検出結果に基づいて、撮影レンズの焦点ずれ量を調節する処理が行なわれる。
なお、図3に示す例では、x方向に輝度分布を有する被写体に対応した構成について説明した。同様の構成は、y方向についても適用できるので、y方向に輝度分布を有する被写体にも対応可能である。また、本実施形態では瞳分割を行うため、1画素中に偏芯させた複数の副画素を1次元方向に配置した例を示す。瞳分割方法に関しては、これに限らず、x方向およびy方向の2次元平面にて瞳分割用の複数の副画素を配置してもよい。本実施形態では瞳分割を行う1つのマイクロレンズ当たり、複数の副画素を配置した例を示す。瞳分割方法に関しては、これに限らず、1つマイクロレンズ当たり、偏芯させた画素を1つ配置し、偏芯量の異なる複数の画素を用いて焦点検出を行ってもよい。以下、特に断りのない限り、副画素をx方向に配置し、x方向に瞳分割を行う例を前提として説明する。
次に、図4を参照して、シェーディングの発生原理とシェーディングを説明する。まずは簡単のためにハーフミラー117が退避状態である場合について説明する。図4はシェーディングの発生原理と発生するシェーディングを説明するための図である。図4において、401aは画像信号Aの瞳強度分布、401bは画像信号Bの瞳強度分布、402は絞り枠、403は各像高の画素を示す。また、404aは図4(A)の状態における画像信号Aのシェーディング、404bは図4(A)の状態における画像信号Bのシェーディングをそれぞれ示している。
図4(A)のような場合、像高が−x1の画素403は絞り枠402を通して瞳座標上の+x2の場所の瞳を見ることになる。そのため、図4(A)の瞳強度分布401aと瞳強度分布401bを見れば分かるように画像信号Aと画像信号Bの感度を比較した場合、画像信号Bの方の感度が良いことが分かる。逆に、像高が+x1の撮像素子403では絞り枠402を通して瞳座標上の−x2の場所の瞳を見ることになるため、画像信号Aと画像信号Bの感度を比較した場合、画像信号Aの方が感度が良くなる。
上記のような理由のため、図4(A)のような状態におけるシェーディングは図4(B)のようになる。シェーディングは図4(A)を見れば分かるように、絞り枠402の位置や大きさに応じて変化する性質があるため、像高、射出瞳距離または絞り値が変わるとシェーディングも変化する。
図4(B)から分かるように、シェーディングは像高に応じて連続的に変化する値であるため、像高をパラメータとする関数として表現できる。すなわち、シェーディングの補正値は、像高の関数として数式表現が可能である。前述したように、シェーディングは像高によって変化する上に、絞り値及び射出瞳距離の組合せによって変化する。本実施形態では、補正値算出部により予め条件(像高、射出瞳距離及び絞り値情報の組合せ)毎にシェーディングの補正値を算出し、その近似関数を求めておく(式(1)、式(2)参照)。近似関数の係数値のみを所定の記憶部に格納すれば演算量を低減できる。
式(1)にて、S0A、S1A、S2A、S3A、S4A、S5Aは、A像用のシェーディングの補正値SA(x)を算出するための近似関数の係数である。また、式(2)にて、S0B、S1B、S2B、S3B、S4B、S5Bは、B像用のシェーディングの補正値SB(x)を算出するための近似関数の係数である。A像及びB像用の前記係数を総称して補正値算出係数と呼ぶ。なお、本実施形態では、撮像素子の構造において、SA(x)およびSB(x)は、y方向(x軸と直交する方向)において、原点に関して略対称形になるため偶関数で表現され、yの奇数次の項は存在しない。
以上のように、ハーフミラー117が退避状態のとき補正値算出係数は、像高、射出瞳距離及び絞り値の組合せによって決定される。
次に、ハーフミラー117の侵入状態における補正値算出係数の決定方法を説明する。光路へのハーフミラー117の侵入によるシェーディングへの影響について図5乃至図7を用いて説明する。なお、図5乃至図7はいずれも概念図であり、現象の説明のために寸法関係は無視して示されている。
図5はハーフミラー117の侵入による周辺画素に対応する枠及び瞳のずれを示す概念図である。図5(A)は、ハーフミラー117が侵入状態の場合における光路を示したy−z平面の断面図である。
図5(A)には射出瞳距離の異なる3種の撮影レンズの枠面が示されており、射出瞳距離の小さい順にSF1、SF2、SF3と呼び、枠面SF2は瞳面Sと一致している。ここで、A像の瞳及びB像の瞳は紙面奥行き方向に並んでおり、瞳面Sにおいて後述するA像の瞳中心CPA及びB像の瞳中心CPBは、図5(A)において重なっているため、一つの瞳中心Cとして表す。また、枠中心CF1、CF2、CF3は後述する枠の重心である。周辺画素502と枠中心CF1を結ぶ光線LF1はハーフミラー117により屈折するため、枠中心CF1はy方向に枠ずれ量dF1だけずれ、光線LF1はL’F1となる。ハーフミラー117によりずれた枠中心をC’F1と呼ぶ。同様に、光線LF2、LF3及びLそれぞれに対応する枠中心CF2、CF3及び瞳中心Cは、枠中心C’F2、C’F3及び瞳中心C’にずれ、光線はそれぞれL’F2、L’F3及びL’となる。そのときのずれ量を枠ずれ量dF2、dF3及び瞳ずれ量dとする。ここで、瞳中心Cと枠中心CF2は一致しているため、瞳ずれ量dと枠ずれ量dF2は等しく、瞳中心C’と枠中心C’F2も一致する。光線L’F1、L’F2、L’F3及びL’のハーフミラー117への入射角をθF1、θF2、θF3及びθとすると、θF1<θF2=θ<θF3が成り立つ。入射角が大きいほど、入射角と屈折角の差も大きくなるため、dF1<dF2=d<dF3が成立する。
図5(B)乃至(G)は、各枠面SF1、SF2、SF3における瞳と枠の位置関係を示す図である。図5(B)乃至(D)は瞳と枠の全体図であり、図5(E)乃至(G)は、ハーフミラー117が侵入状態のときの枠内のA像の瞳の拡大図である。図5(B)乃至(D)中、ハーフミラー117が退避状態のときのA像の瞳を512PA(瞳中心CPA)、B像の瞳を512PB(瞳中心CPB)と表し、ハーフミラー117が侵入状態のときのA像の瞳を512’PA(瞳中心C’PA)、B像の瞳を512’PB(瞳中心C’PB)と表す。また、枠面SF1、SF2、SF3それぞれにおいて、ハーフミラー117が退避状態のときの枠を522F1、522F2、522F3(枠中心CF1、CF2、CF3)と表す。ハーフミラー117が侵入状態のときの枠を522’F1、522’F2、522’F3(枠中心C’F1、C’F2、C’F3)と表す。SF1において、522’F1は図5(B)に示すように、dだけずれるので、シェーディングは図5(E)となる。同様にSF2において図5(F)、SF3において図5(G)となる。以上のように、射出瞳距離が互いに異なる3つの図ではシェーディングも異なることがわかる。
以上により、ハーフミラー117が侵入すると、シェーディングも変化し、その変化量は射出瞳距離により異なる。なお、その変化量は像高が高くなるにつれて、大きくなる。
次に、光線の波長の違いによりシェーディングが変化する理由を図6を用いて説明する。図6は光線の波長が異なる場合において、ハーフミラー117の侵入による周辺画素に対応する枠及び瞳のずれを示す概念図である。図6(A)はハーフミラー117が侵入状態の場合における光路を示したy−z平面の断面図である。一例として、枠面SF4が瞳面Sよりも撮像素子107に近い位置にある場合について説明する。
ハーフミラー退避時における瞳中心はCであり、枠中心はCF4である。光線L’PR、L’PBはそれぞれ赤色、青色の波長の光線であり、ハーフミラー侵入状態におけるそれぞれ瞳中心C’PR、C’PBと周辺画素502を通る。光線L’F4R、L’F4BはそれぞれL’PR、L’PBと同波長の赤色、青色の光線であり、ハーフミラー侵入状態におけるそれぞれ枠面SF4の枠中心C’F4R、C’F4Bと周辺画素502を通る。ここで、ハーフミラー等の光学部材の屈折率は波長により変化する。瞳中心C’PRの瞳ずれ量dPRと瞳中心C’PBの瞳ずれ量dPB、枠中心C’F4Rの枠ずれ量dF4Rと枠中心C’F4Bの枠ずれ量dF4Bは、dPR<dPB、dF4R<dF4Bとなる。それぞれの波長の違いによるずれ量の差dPB−dPRとdF4B−dF4Rを比較すると、dPB−dPR>dF4B−dF4Rが成立する。したがって、青色光線における瞳と枠のずれ量差ΔdF4B=dPB−dF4Bと赤色光線における瞳と枠のずれ量差ΔdF4R=dPR−dF4RにはΔdF4B>ΔdF4Rが成立する。
図6(B)乃至(E)は赤色光線、青色光線が入射した場合における瞳と枠の位置関係を示す図である。図6(B)及び(C)は瞳と枠の全体図であり、図6(D)及び(E)はハーフミラー侵入状態の枠内のA像の瞳の拡大図である。図6(B)中、赤色光線において、ハーフミラー117が侵入状態のときのA像の瞳を512’PRA(瞳中心C’PRA)、B像の瞳を512’PRB(瞳中心C’PRB)と表し、枠を522’F4R(枠中心C’F4R)と表す。同様に図6(C)中、青色光線において、ハーフミラー117が侵入状態のときのA像の瞳を512’PBA(瞳中心C’PBA)、B像の瞳を512’PBB(瞳中心C’PBB)と表し、枠を522’F4B(枠中心C’F4B)と表す。前述したように、赤色光線、青色光線それぞれの瞳と枠のずれ量差には、ΔdF4B>ΔdF4Rが成立する。そのため、図6(D)に示す赤色波長のシェーディングと図6(D)に示す青色波長のシェーディングは互いに異なる。以上により、同じ射出瞳距離及び同じ像高であっても、波長の違いによりハーフミラー117の侵入によるシェーディングの変化量は異なる。
よって、本実施形態に係る撮像装置においては、各画素の分光感度特性に応じて補正値算出係数を決定する必要がある。
以上説明したように、シェーディングは像高、射出瞳距離、絞り値または焦点検出画素の分光感度特性により変化する。そのため、ハーフミラー117の侵入状態における補正値算出係数は、像高、射出瞳距離、絞り値及び焦点検出画素の分光感度特性の組合せによって決定される。
以上では、x方向に瞳分割を行う場合について説明した。次に、図7を用いてy方向に瞳分割を行う場合におけるハーフミラー117の侵入よる瞳と枠のずれについて説明する。図7はy方向に瞳分割した場合において、ハーフミラー117の侵入による周辺画素に対応する枠及び瞳のずれを示す概念図であり、図7(A)はハーフミラー117が侵入状態の場合における光路を示したy−z平面の概念図である。一例として、枠面SF5が瞳面Sと一致している場合について説明する。ハーフミラー117が退避状態の場合のA像の瞳中心CP2A、B像の瞳中心CP2B及び枠中心CF5は、ハーフミラー117の侵入により、それぞれ瞳中心C’P2A、瞳中心C’P2B及び枠中心C’F5にずれる。y方向に瞳分割を行う場合、A像、B像の瞳のy方向の位置が異なるため、それぞれの瞳中心CP2A、CP2B及び枠中心CF5から射出された光線のハーフミラー117への入射角は互いに異なる。そのため、A像の瞳ずれ量dP2Aと、B像の瞳ずれ量dP2B及びdF5も互いに異なる。
図7(B)乃至(D)は、瞳と枠の位置関係を示す図である。図7(B)は瞳と枠の全体図、図7(C)は枠内のA像の瞳の拡大図、図7(D)は枠内のB像の瞳の拡大図である。図7(C)及び(D)において、左図はハーフミラー117が退避状態、右図はハーフミラー117が侵入状態の瞳を表す。図7(B)において、A像の瞳513P2A(瞳中心CP2A)、B像の瞳513P2B(瞳中心CP2B)及び枠523F5(枠中心CF5)は、ハーフミラー117の侵入により、それぞれ瞳513’P2A(瞳中心C’P2A)、B像の瞳513’P2B(瞳中心C’P2B)及び枠523’F5(枠中心C’F5)にずれる。図7(C)及び(D)に着目すると、A像及びB像のいずれもハーフミラー117の侵入によりシェーディングは変化していることがわかる。また、枠に対するA像の瞳とB像の瞳の移動量は互いに異なるため、シェーディングの変化量も異なるといえる。
以上のように本実施例によれば、ハーフミラー117が光路中に侵入した場合であっても、像高、射出瞳距離、絞り値及び焦点検出画素の分光感度特性の組合せにより補正値を算出することで、高精度なシェーディング補正が可能となる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。なお、上記の実施例では、シェーディング補正値決定手段として式(1)及び式(2)を用いて算出する方法を示した。しかし、本発明はこれに限定されず、撮像装置が像高、射出瞳距離情報及び絞り値情報等に対応する補正値を記憶することにより、算出を伴わずにシェーディング補正値を決定することも可能である。
次に、図8、図9、図10を用いて、デフォーカス演算に用いる敏感度の補正について説明する。図8、図9においては、撮影光学系の射出瞳と焦点検出画素対の投影関係を示している。
図8は撮影光学系の射出瞳と撮像素子までの間の光線の関係を示しており、601は、本撮像装置の撮像素子107の撮像面を示しており、602は、撮像光学系の射出瞳面を示している。610は、ミラーアッフ状態での射出瞳602と撮像面601の投影関係を示す光軸でおり、611から613はミラーダウン状態での射出瞳602と撮像面601の投影関係を示す光軸である。本実施例では、光軸611は赤色近傍の分光感度を持つ画素の関係を示しており、光軸612は緑色近傍の分光感度を持つ画素の関係を示しており、光軸613は青色近傍の分光感度を持つ画素の関係を示している。
ここで、光軸610に対して、光軸611、光軸612、光軸613は、それぞれ、Pb、Pg、Prずれた状態となっている。
図9は射出瞳面での撮像素子の画素との関係を示しており、撮影画面の横方向に瞳分割されている場合について示している。
図9において、305は、枠304で決まるミラーアップ状態の開口を示しており、306は、枠304で決まるミラーダウン状態の開口を示している。
図9aは撮像装置がミラーアップ状態に設定されている場合の射出瞳と焦点検出画素対の関係を示している。この場合には、撮影光学系と焦点検出画素対の間にはミラーが存在していないため、図に示す撮影光軸上の画素については、射出瞳の中心と焦点検出画素対の中心が一致しており、枠304で決まるミラーアップ状態の開口305により決まる焦点検出画素対の基線長がBLuになっている。また、撮像光学系の射出瞳と焦点検出画素対の距離はPOuとなっており、デフォーカス演算の敏感度係数はKuで表される値をとる。
図9b、図9c、図9dは撮像装置がミラーダウン状態に設定されている場合の射出瞳と焦点検出画素対の関係を示している。本実施例の焦点検出画素対は、赤色、緑色、青色の感度を持った画素から構成されている場合を示している。図9b、図9c、図9dについては、すべて撮像光学系と焦点検出画素対の間には、ハーフミラー117が配置されている状態を示しており、撮像光学系の射出瞳と焦点検出画素対の間にハーフミラー117が挿入されることにより、射出瞳と焦点検出画素対の位置関係の変化量が焦点検出画素対の分光感度に応じて異なることとなる。
図9bは焦点検出画素対の分光感度が赤色近傍を検出する様に構成されている場合を示している。この場合、撮像光学系の射出瞳と焦点検出画素対の位置は、中心がPrずれた状態となっており、枠304で決まるミラーダウン状態の開口306により決まる焦点検出画素対の基線長がBLrになっている。また、撮像光学系の射出瞳と焦点検出画素対の距離は、ミラーアップ状態と比較して短縮されたPOrに変化しており、デフォーカス演算の敏感度係数はKrで表される値をとる。
図9cは焦点検出画素対の分光感度が緑色近傍を検出する様に構成されている場合を示している。この場合、撮像光学系の射出瞳と焦点検出画素対の位置は、中心がPgずれた状態となっており、枠304で決まるミラーダウン状態の開口306により決まる焦点検出画素対の基線長がBLgになっている。また、撮像光学系の射出瞳と焦点検出画素対の距離は、ミラーアップ状態と比較して短縮されたPOgに変化しており、デフォーカス演算の敏感度係数はKgで表される値をとる。
図9dは焦点検出画素対の分光感度が青色近傍を検出する様に構成されている場合を示している。この場合、撮像光学系の射出瞳と焦点検出画素対の位置は、中心がPbずれた状態となっており、枠304で決まるミラーダウン状態の開口306により決まる焦点検出画素対の基線長がBLbになっている。また、撮像光学系の射出瞳と焦点検出画素対の距離は、ミラーアップ状態と比較して短縮されたPObに変化しており、デフォーカス演算の敏感度係数はKbで表される値をとる。
上記図9aから図9dで示した値については、
射出瞳と焦点検出画素対の位置の中心ずれ
Pr<Pg<Pb
射出瞳と焦点検出画素対の距離
POr<POg<POb
開口により決まる焦点検出画素対の基線長
BLu<BLr<BLg<BLb
となり、焦点検出画素対と射出瞳の距離の変化、及び、投影位置関係の変化から、結果としてデフォーカス演算の敏感度係数もミラーの状態、及び、焦点検出画素対の分光感度により、
Ku<Kf<Kg<Kb
となる。
そして、上記デフォーカス演算の敏感度係数を用いて撮像光学系のデフォーカス量を演算する際に、ミラーアップ状態では敏感度係数Kuを使用することに対して、ミラーダウン状態では、各画素の分光感度の条件に応じてKf、Kg、Kbの値を用いることで、ミラーダウンの条件下でも、デフォーカス演算の誤差をなくすことが出来る。
上記デフォーカス量の演算について、特定の分光感度を持つ画素のみを使用する場合、例えば、分光感度が緑色近傍を検出する焦点検出画素対を使用する場合には、ミラーダウン状態において、緑色の分光感度に対応する敏感度係数Kgを使用してデフォーカス量の演算を行うことになる。
焦点検出用画素対(201a,201b)の相対的な像ずれ量をPr、求めるデフォーカス量をDfとすると、
Df=Kg×Pr
の様に求めることが出来る。
また、複数の分光感度を持つ画素を使用する場合には、ミラーダウン状態において、各画素に対応した敏感度係数を使用してデフォーカス量の演算を行うこととなる。
この場合、各分光感度の焦点検出用画素対(201a,201b)の相対的な像ずれ量をPrr、Prg、Prbとして、各分光感度の重みづけ係数を、Ar、Ag、Abとすると
Df=Ar×Kr×Prr+Ag×Kg+Prg+Ab×Kb+Prb
のように認めることが出来る。
上記例は、各分光感度の画素で算出したデフォーカス量から、最終のデフォーカス量を算出した場合を示したが、各画素の像ズレ量を補正したのち、デフォーカス演算を行っても良いことは言うまでもなく、各画素の分光感度にに応じて、ハーブミラー117の挿入による補正を焦点検出画素対の分光感度に応じて実施出来れば、上記説明の方式には限るものではない。
図10は焦点検出画素対の分光感度の一例を示す図である。図10では、焦点検出画素対の分光感度が赤色近傍が540nmから640nm、緑色近傍が、470nmから570nm、青色近傍が、410nmから510nmの感度を持っている例を示しているか、一例であり、図10に示した特性に限るものではない。
本実施例においては、赤色、緑色、青色の分光感度を持つ焦点検出画素対を用いて検出する場合について一例を示したが、赤外領域に分光感度を持つ焦点検出画素対を持ちいても良いし、可視光域すべてに分光感度を持つ焦点検出画素対を用いてもよく、上記例示した分光感度の焦点検出画素対に限るわけではない。
107 撮像素子、117 ハーフミラー、201a,201b 副画素、
305 ミラーアップ状態の開口、306 ミラーダウン状態の開口、
Ku,Kf,Kg,Kb 敏感度係数

Claims (1)

  1. 撮影レンズの射出瞳の異なる領域を通過した光をそれぞれ光電変換して得られる画像信号を出力する焦点検出用画素対(201a,201b)を有する撮像素子(107)と、
    前記撮影レンズと前記撮像素子との間の光路上に進退可能に設けられたハーフミラー(117)と、焦点検出用画素対(201a,201b)の相対的な像ずれ量からデフォーカスの敏感度を用いてデフォーカス演算を行う撮像装置において、
    前記焦点検出画素対は異なる分光感度特性を有し、前記ハーフミラーが前記光路上に侵入状態である場合には、前記焦点検出画素対の分光感度に対応したデフォーカス演算の敏感度に対して補正を実施することを特徴とする撮像装置。
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