本発明は都市部などで敷設される家庭やビル、工場等の施設から排出する生活汚水などを下水処理場まで流下させる汚水用の下水管路や、道路などの雨水を集めて河川湖沼に流下させる雨水用の下水管路等において、下水管路内に通常流れる下水とは異なる異常水が浸入した場合、その異常水の浸入場所特定に利用するための下水管路における流水状態の検出装置および検出方法に関する。
都市部に敷設される汚水用の下水管路や雨水用の下水管路は、一般的に道路に沿って敷設されるが、その上流側には比較的口径の小さい枝管が多く敷設され、それら枝管は管路下流側に敷設される口径の大きな本管に連通される。このような下水管路にはメンテナンス用として、開閉が可能な蓋を有する枡やマンホール等が多く設置される。枡は住宅や工場に近い場所に埋設される枝管の先端領域に多く設置され、マンホールは枝管の途中や本管の途中、または枝管同士の合流部や枝管と本管の合流部に設置される。
都市部では汚水用の下水管路と雨水用の下水管路が網目状に多数敷設され、それらは同じ道路に沿って並設されることが多い。そのため、例えば汚水用の下水管路の一部に雨水用の下水管路の一部が誤って接続される例、またはその逆に雨水用の下水管路の一部に汚水用の下水管路の一部が接続される例、などの接続ミスが各所で発生することがある。また何十年間の長期間に亘り埋設された下水管路では、老朽化や地震等により本管の継ぎ手部分や、枡と枝管を結ぶ取付管の接合部に損傷等の異常が発生し、地下水や雨水の流入事故が発生している。一般に下水管路は施工後に地中に埋設された状態になるので、これらのような異常発生個所は、外部からは容易に発見できないのが現状である。
このように誤接続や管路の損傷により汚水用の下水管路に浸入する雨水や地下水、または雨水用の下水管路に浸入する汚水や地下水は、本来流下する水とは別の異常水(もしくは不明水)として扱われ、これを解消させるには下水管路の補修や改修工事などの何らかの対策が必要になる。
特に汚水用の下水管路に流入する雨水や地下水は下水処理場で浄化処理すべきものではなく、その流入は処理費用の負担増となる。そして下水処理場の計画処理能力を超える下水の流入がある場合は未処理汚水の状態で河川湖沼に放流され、水質汚染問題の発生源となってしまう。また管路に損傷部があると、そこから汚水が管路外の地下地盤に漏出し、土壌や地下水の汚染問題を発生する原因となりこの問題解決は重要となる。
これらの問題の発生源となる下水管路における誤接続や損傷の場所の特定は、従来から種々試みられている。
特許文献1には異常水の浸入場所を特定する方法が開示されている。特許文献1の方法は、下水管路の複数個所に温度検出部を有する検出装置を設置し、所定の時間間隔で温度を複数記憶し、所定の検出期間(例えば1〜2カ月)の経過後に各検出装置を下水管路から回収し、記録された温度変化データを電磁波通信によりデータ処理装置に伝送する。そしてデータ処理装置は特定の下水管路ごとに予め記憶蓄積された平常状態の温度変化データと、伝送された温度変化データを比較し、両者の間に温度変化の相違が生じた場合、その下水管路の場所には異常水が浸入していると判定する方法である。なお汚水や雨水の平常温度は季節ごとに異なるが、地下水の場合はあまり大きな変化はない。それらの平常温度は季節や時間ごとに予めデータ処理装置に記憶される。
一方、下水管路の異常水浸入場所の特定方法として、下水管路における下水流の流量変化を水位変化で捉え、平常な水位変化から離脱した異常な水位変化の状態を検出し、その検出データを基にデータ処理装置で異常水浸入場所を特定する方法も知られている。すなわち下水管路における平常な水位変化(流量変化)、例えば特定の管路における通常予想される一日の水位変化と、水位検出装置で検出した水位変化をデータ処理装置で比較することにより、下水管路における異常水の浸入場所を特定する方法である。
下水管路における異常水の浸入場所を特定する際、特定の下水管路において検出した温度変化データと予め記憶蓄積した温度変化データを比較する方法は、各種の下水管路においてかなり高い精度で異常水の浸入場所を特定することが可能である。しかし下水管路によっては、日や時間の経過とともに、各所から合流する各汚水等の混合温度が、予め予測した平常な温度と異なるような変化を生じることもある。また本来の下水温度と異常水の温度に大きな相違が無い場合もあり、そのような下水管路では、異常水の浸入場所特定の精度は低下する可能性がある。
一方、下水管路内の水位変化のみで異常水の浸入場所を特定する方法においては、汚水等の平常な流量変化が予測した範囲と一致しない場合がある。例えば各所から合流する汚水等自体に予測しなかった異常な変化が生じることはしばしば起こる。そのような下水管路では、異常水の浸入場所特定の精度は低下する可能性がある。
さらに、一般的な水位計は比較的高価である上に、かなり大きな設置スペースを必要とし、口径の小さい下水管路に設置することは容易ではない。またミリ単位の高精度の水位を検出する水位計の構造はより複雑化するので、その設置スペースやコストなどの問題がより大きくなる。
これら種々の問題を解決するため、本発明は下水管路を流れる流水の温度変化と水位変化の両者を検出して記憶し、且つ水位変化を特定の水圧検出手法により高い精度で検出できるようにした流水検出装置、およびそれを用いた流水検出方法を提供するものである。
本発明の流水検出装置を下水管路に設置すると、前記のように予測できない外乱要素が発生する可能性のある下水管路であっても、温度と水圧を同時に記録した2つの検出データにより、例え温度と圧力の一方の検出データに異常な現象が発生したとしても、他方の検出データが平常な値であれば、その異常な現象は外乱要素であり異常水の浸入ではないと判定することは容易であり、異常水浸入場所特定のミスは大幅に低減する。
例えば汚水用の下水管路にはトイレや浴室などからの生活汚水が排出され、一般的にその下水温度は雨水や地下水より高いとされており、異常水の流入がある下水管路では、降雨時に雨水が流入することで下水の温度が下がり、また流量が増加することで、水位が上がることになる。現在、気象庁や多くの自治体では地域毎に降雨があった日時と降水量についてのデータを公表しており、例えばその降雨時の前後に上記の方法で測定した下管路内の下水の温度と水位に変化が生じていれば、その下水管路には雨水が異常水として流入していると判定することが可能となる。
以上の背景から、本発明の第1の発明は、下水管路の流水を検出する装置であって、温度検出部、水圧検出部、制御部、温度及び水圧の検出値を同時に所定の時間間隔で複数記憶する記憶部、送受信部および水密性の検出ボックスを備え、前記検出ボックスの内部に前記温度検出部、前記水圧検出部、前記制御部、送受信部および記憶部が設けられ、前記検出ボックスを下水管路に設置した際、該検出ボックスの下流側の側面に前記水圧検出部の検出面が設けられ、その検出面で該検出ボックス下流側の水圧変化を検出することにより流水の水位変化を検出できるように構成されていることを特徴とする(請求項1)。
本発明の第2の発明は、上記第1の発明の検出装置において、前記検出ボックスが、それを下水道管路に設置した状態における底面、上面および側面を有し、流水が分流する左右の両側面は円弧状に形成され、下流側の側面に水圧検出部の水圧検出面が設けられていることを特徴とする(請求項2)。
本発明の第3の発明は、上記いずれかの発明の検出装置を用い、下水管路を流れる流水の温度と水位を同時に所定の時間間隔で複数検出することにより、下水管路の流水状態を検出する方法であって、前記検出装置を下水管の底部または下水管路に設置されたマンホールもしくは枡の底部に設置することを特徴とする(請求項3)。
本発明の第1の発明は、温度検出部、水圧検出部、制御部、送受信部、記憶部および水密性の検出ボックスを備え、検出ボックスの内部に温度検出部、水圧検出部、送受信部、制御部および記憶部が設けられ、検出ボックスにおける下水管路の下流側となる下流側外面に水圧検出部の検出面が設けられ、その検出面で検出ボックス下流側の水圧変化を検出することにより流水の水位変化を検出できるように構成されていることを特徴とする。
検出される水圧(静水圧)の値は水位にそのまま換算できる。このように水位を小型化できる水圧検出部により検出し、且つ一つの検出ボックス内に温度検出部と水圧検出部の両者を設けることにより、これらの検出部を独立したボックスに構成する場合と比較して検出装置は外形が極めて小型化され、下水管路における狭い設置スペースの場所であっても、流水検出装置を容易に設置できる。
また、下水管路の同じ設置場所で温度と水圧(水位に相当)を検出して記録できるので、流水における同一時期の温度変化と水位変化の相互関係を精度よく検出し、所定の検出期間経過後に、検出したデータをデータ処理装置などで処理することが可能である。それによって、予測できない温度変化または水位変化のような外乱要素が発生する下水管路においても、これら両者の検出データを利用することにより、異常水浸入の有無を高精度で識別し判定することが可能になる。特に雨水による異常水の浸入の場合は、その地区周辺に実際に発生した降雨が大きく関係するので、その降雨に関係するデータ等の利用でより精度高く判定することができる。
さらに、検出ボックスを下水管路内に設置した際に、流水の下流側に位置する検出ボックスの下流側の側面に水圧検出部の水圧検出面が設けられるので、水圧検出の際に流水の動水圧や乱流の影響が著しく低減され、流水の静水圧値のみを高精度で検出でき、それによって水圧から換算される水位データが高精度の値で得られる。
本発明の第2の発明は、検出ボックスが、それを下水管路に設置した状態における底面、上面および側面を有しており、流水が分流する左右の両側面は円弧状に形成され、下流側の側面に水圧検出部の水圧検出面が設けられていることを特徴とする。
検出ボックスをこのような形状にすると、円弧状の両側面における流水がスムーズに下流側に流れるので、その部分の局部的な乱流発生が抑制され、測定データが安定する。
本発明の第3の発明は、上記いずれかの発明の検出装置を用い、下水管路を流れる流水の温度と水位を同時に所定の時間間隔で複数記録することにより、下水管路の流水検出を行う方法であって、前記検出装置を下水管の底部または下水管路に設置されたマンホールもしくは枡の底部に設置することを特徴とする。
本方法によれば、予測できない温度変化または水位変化のような外乱要素が発生する下水管路においても、これら温度および水圧(水位)の両者の検出データを利用することにより、異常水浸入の有無だけを高精度で識別し判定することが可能になる。
本発明の流水検出装置を設置した下水管路の1例を示す系統図である。
図1の下水管路に設置した本発明の流水検出装置の1例を模式的に示す側面図および平面図である。
本発明の流水検出装置を設置部材により下水管路に設置した状態を示す平面図および側面図である。
本発明の流水検出装置の系統図である。
次に図面により本発明の最良の形態を説明する。図1は本発明の流水検出装置(以下単に「検出装置」という)を設置した下水管路の1例を示す系統図である。下水管路1は本管2と枝管3を備え、流水は矢印のように枝管3と本管2の上流側から下流側に向かって流れる。本管2または枝管3の適宜の場所、または本管2と枝管3の合流箇所には、メンテナンス用のマンホール4が設置される。
口径の大きい枝管3の一部には図示のように、より口径の小さい枝管3が合流する場合が多く、それら口径の小さい枝管3の上流側には、図示しない枡等が適宜設置されることが多い。本管2または枝管3、あるいはマンホール4の底面には本発明の検出装置5が設置される。
汚水用の下水管路の場合、例えば図1の右側の枝管3のA部分に雨水用の下水管路が誤接続された場合、その異常水の浸入場所の特定は、A部分を含む枝管3に沿った複数個所、およびそれより下流側の本管2への合流点付近における降雨データによる降雨時前後の汚水の温度変化および水圧(水位)変化の検出データの解析により行うことが好ましいが、最小限A部分を挟む前後の枝管3における2箇所の温度変化および水圧(水位)変化の検出データを解析することにより行う。
一方、図1の左側の枝管3のB部分が損傷して外部から地下水が浸入した場合、その異常水の浸入場所の特定は、最小限B部分を挟む枝管3の2箇所の検出装置5の温度および水圧(水位)変化の検出データを解析することにより行われる。なおデータ解析は後述するデータ処理装置20で行われる。この地下水の浸入がある下水管路の流水の温度は異常水の浸入がない生活汚水だけの下水管路の温度より低くなる傾向があり、これらにより異常水の特定が可能になる。
一方、雨水用の下水管路の場合も同様で、例えば図1の右側の枝管3のA部分に汚水用の下水管路が誤接続された場合、あるいは図1の左側の枝管3のB部分が損傷して外部から地下水が浸入した場合は、正常な下水管路では雨水用であるので晴天時には下水管路内への雨水の浸入はないが、浸入がある下水管路では地下水や汚水の流入により検出データに変化が生じる。また降雨があった場合でも検出データに変化が生じる。これらにより異常水の浸入場所の特定が可能になる。
図2(a)は図1の下水管路1の底面1a上に設置した本発明の検出装置5の側面図で、図2(b)はその平面図である。検出装置5は検出ボックス6を有し、検出ボックス6は平断面が円形の形状とされ、平坦な上面6aと底面6bを有し、上流側からの流水の動水圧が加わる上流側の側面6d、上流側からの流水が分流して接する左右の両側面6cは、共に円弧状に形成されている。検出ボックス6の下流側の側面6dには水圧検出部8の水圧検出面8aが設けられる。
なお上流側の側面6dは円弧状以外に、台形状であってもよく、場合によっては流水方向に直角な平坦面であってもよい。そのような平坦面により乱流が多少発生したとしても、その乱流は下流側の左右の両側面6cにより軽減される。
検出ボックス6は通常、硬質の樹脂材で水密性に形成されるが、場合によっては両側面6cは耐食性を有するステンレス等の金属材で形成することもできる。本発明の検出装置5は極めて小さく形成できる。実際に製造した例では、検出ボックス6の大きさは直径27mmφ、高さ12mm程度である。従って検出ボックス6の底面6bを平坦な面に形成しても、口径の著しく異なる下水管の円弧状の底面はそれに適合するほぼ平坦な面とみなせるので、該底面に安定して設置することができる。
検出ボックス6の内部には温度検出部7、水圧検出部8、制御部11およびその他の部材が固定した状態で収容される。温度検出部7の温度検出面7aは検出ボックス6の上面6aの内面に配置され、水圧検出部8の本体は検出ボックス6の内部に配置され、その本体から延長する水圧検出面8aの部分が、前記側面6dから検出ボックス6の外部に露出して流水と接するようになっている。このように水圧検出面8aを露出させることによって高い精度で水圧を測定することが可能である。なお検出ボックス6は金属製または樹脂製とすることができる。
検出ボックス6の外側を流れる流水は、図2(a)(b)に矢印で示すように、検出ボックス6の上面6aおよび両側面6cに沿って流下するが、上面6a側は該面に沿って実質的に平行に流下し、両側面6c側は上流側から分流してスムーズな流れで該側面6cに沿って流下する。そのため検出ボックス6付近における局部的な乱流発生は極力抑制され、水圧検出面8aには上流側からの動水圧や乱流などの影響も実質的に受けず、水位に対応する静水圧のみ正確に印加される。
図3は本発明の検出装置5を設置部材10により下水管路1に設置した例を示す模式的な図である。なお図2と同じ部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。設置部材10は平坦な底板10aと、底板10aから垂直上方に延長する側板10bを有する。図3(a)示すにように、側板10bは流水の上流側に位置する部分が検出ボックス6の上流側の側面に合わせて円弧状に形成され、その円弧部の両端部から下流側にそれぞれ直線状に平坦な側板10bが互いに平行して延長され、その直線状の側板10bの両先端部はそれぞれ内側に小さい角度(例えば30〜40度程度の角度θ)で折り曲げられている。なお折り曲げられた側板10bの両先端部の間は充分に開口され、側板10bの高さより低い水位の場合でも、水圧検出面8aが流水に接するようになっている。このように直線状の側板10bの両先端部をそれぞれ内側に小さい角度で折り曲げることにより、側板10bの外側に沿って流下する流水による下流側の乱流発生を抑制している。これは図2における検出ボックス6の円弧状の両側面6cと同様な作用効果である。
設置部材10は金属材または樹脂材で形成され、その底板10aの一部には必要に応じて下水管路1の底部1aに固定するためのボルト孔やロープ等への係合部などを設けることもできる。
図3に示すような設置部材10を用いると、流水は設置部材10の側板10bの外面に沿ってスムーズに流下するので、水圧検出面8aにはより安定した静水圧が印加される。
図4は本発明の検出装置5の系統図である。検出装置5は温度検出部7、水圧検出部8、制御部11、記憶部12および送受信部13を備えている。制御部11はCPU等により構成され、アナログデジタル変換部14を経由して温度検出部7、水圧検出部8および送受信部13に接続される。記憶部12は温度及び水圧の検出データを同時に所定の時間間隔で複数記憶するもので、例えば512Kbitの容量を有して測定点数12000程度記憶できるようになっている。記憶部12で温度及び水圧の検出データを同時に所定の時間間隔で複数記憶するため時計部15が設けられ、例えば測定間隔が1分〜256分間隔に設定された記憶信号を制御部11に送り、制御部11からその信号を記憶部12に送る。
電源部16は制御部11及びその他の部分に電源を供給するもので、例えばリチウム電池が使用される。送受信部13はアンテナ部13aを有し、アンテナ部13aを通して外部のデータ処理装置20と電磁波通信を行う。なお電源部16を除くこれらの部分は、例えば同一の集積基板上に形成することができ、その基板の周囲が樹脂で密封された状態で検出ボック6の内部に固定される。
データ処理装置20はコンピュータシステムにより構成され、前記送受信部13と電磁波通信するためのアンテナと送受信部を備えている。多数の検出装置5を下水管路1に設置する際に、予めデータ処理装置20から各検出装置5に測定間隔等の情報を電磁波通信により伝送して入力しておき、データ取得時には各検出装置5に記憶されたデータを電磁波通信によりデータ処理装置20に伝送してそのデータ処理装置20内部の記憶部に記憶する。そして降雨があった日時の降雨前、降雨中、降雨後での温度水位の蓄積データを比較することで、異常水箇所を検出することができる。なお記録データとの関連性をデータ処理装置20に予め各下水管路の季節や時間ごとの温度、水位等のデータがその記憶部に蓄積しておくことで、異常個所を特定することができる。従ってその蓄積データと各検出部5から受けた温度および水圧(水位)の検出データを比較し、比較した結果データを出力部に出力することが可能となる。
本発明の下水管路における流水状態の検出装置は、下水管路に本来の流水と異なる流水(異常水)が浸入場所を特定するために利用できる。
1 下水管路
1a 底面
2 本管
3 枝管
4 マンホール
5 検出装置
6 検出ボックス
6a 上面
6b 底面
6c、6d 側面
7 温度検出部
7a 温度検出面
8 水圧検出部
8a 水圧検出面
10 設置部材
10a 底板
10b 側板
11 制御部
12 記憶部
13 送受信部
13a アンテナ部
14 アナログデジタル変換部
15 時計部
16 電源部
20 データ処理装置
以上の背景から、本発明の第1の発明は、下水管路の底部に設置して下水管路の流水を検出する装置であって、温度検出部、水圧検出部、制御部、温度及び水圧の検出値を同時に所定の時間間隔で複数記憶する記憶部、送受信部および水密性の検出ボックスを備え、前記検出ボックスの内部に前記温度検出部、前記水圧検出部、前記制御部、送受信部および記憶部が設けられ、前記検出ボックスを下水管路の底部に設置した際、流水の下流側に位置する前記検出ボックスの側面に前記水圧検出部の検出面が設けられ、その検出面で該検出ボックス下流側の水圧変化を検出することにより、下水管路における流水の水位変化を検出できるようになっており、それによって検出ボックス設置位置における流水の温度と水位を所定間隔で同時に検出できるように構成されていることを特徴とする(請求項1)。
本発明は都市部などで敷設される家庭やビル、工場等の施設から排出する生活汚水などを下水処理場まで流下させる汚水用の下水管路や、道路などの雨水を集めて河川湖沼に流下させる雨水用の下水管路等において、下水管路内に通常流れる下水とは異なる異常水が浸入した場合、その異常水の浸入場所特定に利用するための下水管路における流水状態の検出装置および検出方法に関する。
都市部に敷設される汚水用の下水管路や雨水用の下水管路は、一般的に道路に沿って敷設されるが、その上流側には比較的口径の小さい枝管が多く敷設され、それら枝管は管路下流側に敷設される口径の大きな本管に連通される。このような下水管路にはメンテナンス用として、開閉が可能な蓋を有する枡やマンホール等が多く設置される。枡は住宅や工場に近い場所に埋設される枝管の先端領域に多く設置され、マンホールは枝管の途中や本管の途中、または枝管同士の合流部や枝管と本管の合流部に設置される。
都市部では汚水用の下水管路と雨水用の下水管路が網目状に多数敷設され、それらは同じ道路に沿って並設されることが多い。そのため、例えば汚水用の下水管路の一部に雨水用の下水管路の一部が誤って接続される例、またはその逆に雨水用の下水管路の一部に汚水用の下水管路の一部が接続される例、などの接続ミスが各所で発生することがある。また何十年間の長期間に亘り埋設された下水管路では、老朽化や地震等により本管の継ぎ手部分や、枡と枝管を結ぶ取付管の接合部に損傷等の異常が発生し、地下水や雨水の流入事故が発生している。一般に下水管路は施工後に地中に埋設された状態になるので、これらのような異常発生個所は、外部からは容易に発見できないのが現状である。
このように誤接続や管路の損傷により汚水用の下水管路に浸入する雨水や地下水、または雨水用の下水管路に浸入する汚水や地下水は、本来流下する水とは別の異常水(もしくは不明水)として扱われ、これを解消させるには下水管路の補修や改修工事などの何らかの対策が必要になる。
特に汚水用の下水管路に流入する雨水や地下水は下水処理場で浄化処理すべきものではなく、その流入は処理費用の負担増となる。そして下水処理場の計画処理能力を超える下水の流入がある場合は未処理汚水の状態で河川湖沼に放流され、水質汚染問題の発生源となってしまう。また管路に損傷部があると、そこから汚水が管路外の地下地盤に漏出し、土壌や地下水の汚染問題を発生する原因となりこの問題解決は重要となる。
これらの問題の発生源となる下水管路における誤接続や損傷の場所の特定は、従来から種々試みられている。
特許文献1には異常水の浸入場所を特定する方法が開示されている。特許文献1の方法は、下水管路の複数個所に温度検出部を有する検出装置を設置し、所定の時間間隔で温度を複数記憶し、所定の検出期間(例えば1〜2カ月)の経過後に各検出装置を下水管路から回収し、記録された温度変化データを電磁波通信によりデータ処理装置に伝送する。そしてデータ処理装置は特定の下水管路ごとに予め記憶蓄積された平常状態の温度変化データと、伝送された温度変化データを比較し、両者の間に温度変化の相違が生じた場合、その下水管路の場所には異常水が浸入していると判定する方法である。なお汚水や雨水の平常温度は季節ごとに異なるが、地下水の場合はあまり大きな変化はない。それらの平常温度は季節や時間ごとに予めデータ処理装置に記憶される。
一方、下水管路の異常水浸入場所の特定方法として、下水管路における下水流の流量変化を水位変化で捉え、平常な水位変化から離脱した異常な水位変化の状態を検出し、その検出データを基にデータ処理装置で異常水浸入場所を特定する方法も知られている。すなわち下水管路における平常な水位変化(流量変化)、例えば特定の管路における通常予想される一日の水位変化と、水位検出装置で検出した水位変化をデータ処理装置で比較することにより、下水管路における異常水の浸入場所を特定する方法である。
下水管路における異常水の浸入場所を特定する際、特定の下水管路において検出した温度変化データと予め記憶蓄積した温度変化データを比較する方法は、各種の下水管路においてかなり高い精度で異常水の浸入場所を特定することが可能である。しかし下水管路によっては、日や時間の経過とともに、各所から合流する各汚水等の混合温度が、予め予測した平常な温度と異なるような変化を生じることもある。また本来の下水温度と異常水の温度に大きな相違が無い場合もあり、そのような下水管路では、異常水の浸入場所特定の精度は低下する可能性がある。
一方、下水管路内の水位変化のみで異常水の浸入場所を特定する方法においては、汚水等の平常な流量変化が予測した範囲と一致しない場合がある。例えば各所から合流する汚水等自体に予測しなかった異常な変化が生じることはしばしば起こる。そのような下水管路では、異常水の浸入場所特定の精度は低下する可能性がある。
さらに、一般的な水位計は比較的高価である上に、かなり大きな設置スペースを必要とし、口径の小さい下水管路に設置することは容易ではない。またミリ単位の高精度の水位を検出する水位計の構造はより複雑化するので、その設置スペースやコストなどの問題がより大きくなる。
これら種々の問題を解決するため、本発明は下水管路を流れる流水の温度変化と水圧変化の両者を検出して記憶し得るようにした流水検出装置、およびそれを用いた流水検出方法を提供するものである。
本発明の流水検出装置を下水管路に設置すると、前記のように予測できない外乱要素が発生する可能性のある下水管路であっても、温度と水圧を同時に記録した2つの検出データにより、例え温度と水圧の一方の検出データに異常な現象が発生したとしても、他方の検出データが平常な値であれば、その異常な現象は外乱要素であり異常水の浸入ではないと判定することは容易であり、異常水浸入場所特定のミスは大幅に低減する。
例えば汚水用の下水管路にはトイレや浴室などからの生活汚水が排出され、一般的にその下水温度は雨水や地下水より高いとされており、異常水の流入がある下水管路では、降雨時に雨水が流入することで下水の温度が下がり、また流量が増加することで、水位が上がることになる。現在、気象庁や多くの自治体では地域毎に降雨があった日時と降水量についてのデータを公表しており、例えばその降雨時の前後に上記の方法で測定した下管路内の下水の温度と水圧に変化が生じていれば、その下水管路には雨水が異常水として流入していると判定することが可能となる。
以上の背景から、本発明の第1の発明は、下水管路の底部に設置して下水管路の流水を検出する装置であって、温度検出部、水圧検出部、制御部、温度及び水圧の検出値を同時に所定の時間間隔で複数記憶する記憶部、送受信部および水密性の検出ボックスを備え、前記検出ボックスの内部に前記温度検出部、前記水圧検出部、前記制御部、送受信部および記憶部が設けられ、前記検出ボックスは、それを下水管路に設置した状態における底面、上面および側面を有し、流水が分流する左右の両側面は円弧状に形成されている。
前記検出ボックスを下水管路の底部に設置した際、流水の下流側に位置する前記検出ボックスの側面に前記水圧検出部の検出面が設けられ、その検出面で該検出ボックス下流側の水圧変化を検出することにより、下水管路における流水の水位変化に換算できるようになっており、検出ボックス設置位置における流水の温度と水圧を所定の時間間隔で同時に検出して検出データを記憶部に記憶できるように構成されていることを特徴とする(請求項1)。
本発明の第2の発明は、上記第1の発明の検出装置を用い、下水管路を流れる流水の温度と水圧を同時に所定の時間間隔で複数検出することにより、下水管路の流水状態を検出する方法であって、前記検出装置を下水管の底部または下水管路に設置されたマンホールもしくは枡の底部に設置することを特徴とする(請求項2)。
本発明の第1の発明は、温度検出部、水圧検出部、制御部、送受信部、記憶部および水密性の検出ボックスを備え、検出ボックスの内部に温度検出部、水圧検出部、送受信部、制御部および記憶部が設けられ、検出ボックスにおける下水管路の下流側となる下流側外面に水圧検出部の検出面が設けられ、その検出面で検出ボックス下流側の水圧変化を検出することにより流水の水位変化に換算できるように構成されていることを特徴とする。
検出される水圧(静水圧)の値は水位にそのまま換算できる。このように水圧を小型化できる水圧検出部により検出し、且つ一つの検出ボックス内に温度検出部と水圧検出部の両者を設けることにより、これらの検出部を独立したボックスに構成する場合と比較して検出装置は外形が極めて小型化され、下水管路における狭い設置スペースの場所であっても、流水検出装置を容易に設置できる。
また、下水管路の同じ設置場所で温度と水圧(水位に相当)を検出して記録できるので、流水における同一時期の温度変化と水圧変化の相互関係を精度よく検出し、所定の検出期間経過後に、検出したデータをデータ処理装置などで処理することが可能である。それによって、予測できない温度変化または水圧変化のような外乱要素が発生する下水管路においても、これら両者の検出データを利用することにより、異常水浸入の有無を高精度で識別し判定することが可能になる。特に雨水による異常水の浸入の場合は、その地区周辺に実際に発生した降雨が大きく関係するので、その降雨に関係するデータ等の利用でより精度高く判定することができる。
さらに、検出ボックスを下水管路内に設置した際に、流水の下流側に位置する検出ボックスの下流側の側面に水圧検出部の水圧検出面が設けられるので、水圧検出の際に流水の動水圧や乱流の影響が著しく低減され、流水の静水圧値のみを高精度で検出でき、それによって水圧から換算される水位データが高精度の値で得られる。
また、検出ボックスが、それを下水管路に設置した状態における底面、上面および側面を有しており、流水が分流する左右の両側面は円弧状に形成され、下流側の側面に水圧検出部の水圧検出面が設けられている。
検出ボックスをこのような形状にすると、円弧状の両側面における流水がスムーズに下流側に流れるので、その部分の局部的な乱流発生が抑制され、測定データが安定する。
本発明の第2の発明は、上記いずれかの発明の検出装置を用い、下水管路を流れる流水の温度と水圧を同時に所定の時間間隔で複数記録することにより、下水管路の流水検出を行う方法であって、前記検出装置を下水管の底部または下水管路に設置されたマンホールもしくは枡の底部に設置することを特徴とする。
本方法によれば、予測できない温度変化または水位変化のような外乱要素が発生する下水管路においても、これら温度および水圧(水位)の両者の検出データを利用することにより、異常水浸入の有無だけを高精度で識別し判定することが可能になる。
本発明の流水検出装置を設置した下水管路の1例を示す系統図である。
図1の下水管路に設置した本発明の流水検出装置の1例を模式的に示す側面図および平面図である。
本発明の流水検出装置を設置部材により下水管路に設置した状態を示す平面図および側面図である。
本発明の流水検出装置の系統図である。
次に図面により本発明の最良の形態を説明する。図1は本発明の流水検出装置(以下単に「検出装置」という)を設置した下水管路の1例を示す系統図である。下水管路1は本管2と枝管3を備え、流水は矢印のように枝管3と本管2の上流側から下流側に向かって流れる。本管2または枝管3の適宜の場所、または本管2と枝管3の合流個所には、メンテナンス用のマンホール4が設置される。
口径の大きい枝管3の一部には図示のように、より口径の小さい枝管3が合流する場合が多く、それら口径の小さい枝管3の上流側には、図示しない枡等が適宜設置されることが多い。本管2または枝管3、あるいはマンホール4の底面には本発明の検出装置5が設置される。
汚水用の下水管路の場合、例えば図1の右側の枝管3のA部分に雨水用の下水管路が誤接続された場合、その異常水の浸入場所の特定は、A部分を含む枝管3に沿った複数個所、およびそれより下流側の本管2への合流点付近における降雨データによる降雨時前後の汚水の温度変化および水圧(水位)変化の検出データの解析により行うことが好ましいが、最小限A部分を挟む前後の枝管3における2個所の温度変化および水圧(水位)変化の検出データを解析することにより行う。
一方、図1の左側の枝管3のB部分が損傷して外部から地下水が浸入した場合、その異常水の浸入場所の特定は、最小限B部分を挟む枝管3の2個所の検出装置5の温度および水圧(水位)変化の検出データを解析することにより行われる。なおデータ解析は後述するデータ処理装置20で行われる。この地下水の浸入がある下水管路の流水の温度は異常水の浸入がない生活汚水だけの下水管路の温度より低くなる傾向があり、これらにより異常水の特定が可能になる。
一方、雨水用の下水管路の場合も同様で、例えば図1の右側の枝管3のA部分に汚水用の下水管路が誤接続された場合、あるいは図1の左側の枝管3のB部分が損傷して外部から地下水が浸入した場合は、正常な下水管路では雨水用であるので晴天時には下水管路内への雨水の浸入はないが、浸入がある下水管路では地下水や汚水の流入により検出データに変化が生じる。また降雨があった場合でも検出データに変化が生じる。これらにより異常水の浸入場所の特定が可能になる。
図2(a)は図1の下水管路1の底面1a上に設置した本発明の検出装置5の側面図で、図2(b)はその平面図である。検出装置5は検出ボックス6を有し、検出ボックス6は平断面が円形の形状とされ、平坦な上面6aと底面6bを有し、上流側からの流水の動水圧が加わる上流側の側面6d、上流側からの流水が分流して接する左右の両側面6cは、共に円弧状に形成されている。検出ボックス6の下流側の側面6dには水圧検出部8の水圧検出面8aが設けられる。
なお上流側の側面6dは円弧状以外に、台形状であってもよく、場合によっては流水方向に直角な平坦面であってもよい。そのような平坦面により乱流が多少発生したとしても、その乱流は下流側の左右の両側面6cにより軽減される。
検出ボックス6は通常、硬質の樹脂材で水密性に形成されるが、場合によっては両側面6cは耐食性を有するステンレス等の金属材で形成することもできる。本発明の検出装置5は極めて小さく形成できる。実際に製造した例では、検出ボックス6の大きさは直径27mmφ、高さ12mm程度である。従って検出ボックス6の底面6bを平坦な面に形成しても、口径の著しく異なる下水管の円弧状の底面はそれに適合するほぼ平坦な面とみなせるので、該底面に安定して設置することができる。
検出ボックス6の内部には温度検出部7、水圧検出部8、制御部11およびその他の部材が固定した状態で収容される。温度検出部7の温度検出面7aは検出ボックス6の上面6aの内面に配置され、水圧検出部8の本体は検出ボックス6の内部に配置され、その本体から延長する水圧検出面8aの部分が、前記側面6dから検出ボックス6の外部に露出して流水と接するようになっている。このように水圧検出面8aを露出させることによって高い精度で水圧を測定することが可能である。なお検出ボックス6は金属製または樹脂製とすることができる。
検出ボックス6の外側を流れる流水は、図2(a)(b)に矢印で示すように、検出ボックス6の上面6aおよび両側面6cに沿って流下するが、上面6a側は該面に沿って実質的に平行に流下し、両側面6c側は上流側から分流してスムーズな流れで該側面6cに沿って流下する。そのため検出ボックス6付近における局部的な乱流発生は極力抑制され、水圧検出面8aには上流側からの動水圧や乱流などの影響も実質的に受けず、水位に対応する静水圧のみ正確に印加される。
図3は本発明の検出装置5を設置部材10により下水管路1に設置した例を示す模式的な図である。なお図2と同じ部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。設置部材10は平坦な底板10aと、底板10aから垂直上方に延長する側板10bを有する。図3(a)示すにように、側板10bは流水の上流側に位置する部分が検出ボックス6の上流側の側面に合わせて円弧状に形成され、その円弧部の両端部から下流側にそれぞれ直線状に平坦な側板10bが互いに平行して延長され、その直線状の側板10bの両先端部はそれぞれ内側に小さい角度(例えば30〜40度程度の角度θ)で折り曲げられている。なお折り曲げられた側板10bの両先端部の間は充分に開口され、側板10bの高さより低い水位の場合でも、水圧検出面8aが流水に接するようになっている。このように直線状の側板10bの両先端部をそれぞれ内側に小さい角度で折り曲げることにより、側板10bの外側に沿って流下する流水による下流側の乱流発生を抑制している。これは図2における検出ボックス6の円弧状の両側面6cと同様な作用効果である。
設置部材10は金属材または樹脂材で形成され、その底板10aの一部には必要に応じて下水管路1の底部1aに固定するためのボルト孔やロープ等への係合部などを設けることもできる。
図3に示すような設置部材10を用いると、流水は設置部材10の側板10bの外面に沿ってスムーズに流下するので、水圧検出面8aにはより安定した静水圧が印加される。
図4は本発明の検出装置5の系統図である。検出装置5は温度検出部7、水圧検出部8、制御部11、記憶部12および送受信部13を備えている。制御部11はCPU等により構成され、アナログデジタル変換部14を経由して温度検出部7、水圧検出部8および送受信部13に接続される。記憶部12は温度及び水圧の検出データを同時に所定の時間間隔で複数記憶するもので、例えば512Kbitの容量を有して測定点数12000程度記憶できるようになっている。記憶部12で温度及び水圧の検出データを同時に所定の時間間隔で複数記憶するため時計部15が設けられ、例えば測定間隔が1分〜256分間隔に設定された記憶信号を制御部11に送り、制御部11からその信号を記憶部12に送る。
電源部16は制御部11及びその他の部分に電源を供給するもので、例えばリチウム電池が使用される。送受信部13はアンテナ部13aを有し、アンテナ部13aを通して外部のデータ処理装置20と電磁波通信を行う。なお電源部16を除くこれらの部分は、例えば同一の集積基板上に形成することができ、その基板の周囲が樹脂で密封された状態で検出ボック6の内部に固定される。
データ処理装置20はコンピュータシステムにより構成され、前記送受信部13と電磁波通信するためのアンテナと送受信部を備えている。多数の検出装置5を下水管路1に設置する際に、予めデータ処理装置20から各検出装置5に測定間隔等の情報を電磁波通信により伝送して入力しておき、データ取得時には各検出装置5に記憶されたデータを電磁波通信によりデータ処理装置20に伝送してそのデータ処理装置20内部の記憶部に記憶する。そして降雨があった日時の降雨前、降雨中、降雨後での温度、水圧(水位)の蓄積データを比較することで、異常水個所を検出することができる。なお記録データとの関連性をデータ処理装置20に予め各下水管路の季節や時間ごとの温度、水位等のデータがその記憶部に蓄積しておくことで、異常個所を特定することができる。従ってその蓄積データと各検出部5から受けた温度および水圧(水位)の検出データを比較し、比較した結果データを出力部に出力することが可能となる。
本発明の下水管路における流水状態の検出装置は、下水管路に本来の流水と異なる流水(異常水)が浸入場所を特定するために利用できる。
1 下水管路
1a 底面
2 本管
3 枝管
4 マンホール
5 検出装置
6 検出ボックス
6a 上面
6b 底面
6c、6d 側面
7 温度検出部
7a 温度検出面
8 水圧検出部
8a 水圧検出面
10 設置部材
10a 底板
10b 側板
11 制御部
12 記憶部
13 送受信部
13a アンテナ部
14 アナログデジタル変換部
15 時計部
16 電源部
20 データ処理装置