JP4756092B2 - 下水道管路における異常水浸入場所の特定のための温度記録方法 - Google Patents

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本発明は下水道管路における異常水浸入場所を効率よく特定のための温度記録方法に関する。
現在の都市部における下水道管路の多くは雨水管路と汚水管路に分類される。雨水管路は大きな道路に沿って敷設された本管と、本管に適宜接続された多数の枝管を有し、枝管は住宅街の小さな路地まで張り巡らされている。雨水管路には道路や建物の屋根に降った雨は先ず側溝などから枝管に流入し、次いで各枝管から本管に合流し、本管の最下流である放流口から未処理のまま河川、湖沼、海洋などに放流される。
汚水管路も大きな道路に沿って敷設された本管と、本管に適宜接続された多数の枝管を有し、枝管は住宅街の小さな路地まで張り巡らされて、一般家屋、工場、ビル、レストラン等の種々の事業所や施設などの排水口に連通し、それらの排水口からはトイレ、台所,洗面所、食堂、風呂場などから排出される大腸菌等を含む生活排水による汚水が枝管に流入する。汚水管路の最下流は下水処理場に連通しており、汚水はそこで浄化処理されてから河川、湖沼、海洋などに放流される。
雨水管路および汚水管路は、本管や枝管を構成するコンクリート製やプラスチック製の管渠と、それら管渠に沿って分散配置されたマンホールを有する。これらマンホールは本管や枝管の途中、または本管と枝管の接続部に適宜配置され、管路内の点検や保守作業に利用される。
正常な状態では、雨水管路には本来の流水である雨水のみが流れ、汚水管路には本来の流水である汚水のみが流れる。しかし雨水管路または汚水管路に対し、他の管路の誤接続や管渠に発生した亀裂等により、予期しない異常水がこれら管路に浸入することがある。
例えば雨水管路に汚水管路を過って接続施工してしまう事例が各所で報告されている。すなわち雨水管路を構成する枝管は住宅街の小さな路地まで張り巡らされているため、一般家屋の汚水管渠を本来接続すべき汚水管路の枝管ではなくそれに隣接して敷設されることが多い雨水管路の枝管に接続施工してしまう事故例が後を絶たない。また、一般家屋からの汚水管渠が雨水管路に誤接続する例もある。これら誤接続の結果、雨水管路に浸入した汚水は非浄化のまま河川等に放流されることになり、放流場所もしくはその近辺では悪臭や、異臭、水質汚染などが発生して社会問題になる。
このような雨水管路への汚水流入は、通常、雨水管路の末端である河川等への放流個所における悪臭(もしくは異臭)や放流口周囲の変色などから発見される。放流個所の状態から雨水管路のどこかに汚水管路の誤接続が存在することを発見した場合、その誤接続場所を特定(検出)して汚水管路を切り離す必要がある。
また、雨水管路を構成する管渠に発生した亀裂、あるいは管渠同士の接続部分や管渠本体の破損部、管渠とマンホールの接続部分からの漏れなど、雨水管路に漏水を引き起こす隙間や破損部が生じたときには、地下に埋設された雨水管路に、その周囲の土壌中の隙間などを通って地下水が異常水として浸入する。浸入した地下水は通常は有害物質を含んでいないので、一般的には雨水と混合した状態で河川などに放流可能である。しかし管渠の亀裂や接続部からの地下水の漏水は、管路の外部の土壌中の土砂も一緒に管路内に流出させるので、管路を地下構造物として保持する土壌中に空隙部を発生させ、道路面の沈下や陥没事故を発生させる原因となる。そのため、土壌中の空隙が拡大しないうちに補修することが望ましく、そのためには何らかの方法で地下水の浸入場所を特定し、正常な状態にする必要がある。
一方、汚水管路に誤って雨水管渠を接続施工する例も多くある。汚水管路の汚水は下水処理場で浄化処理されるが、近年、全国的に発生しているゲリラ型集中豪雨のように時間当たり降雨量が50〜100mmを超える大量の雨水が汚水管路に流入すると、一時的に下水処理場の処理能力を超えてしまい、汚水の一部を未処理状態で河川などに放流しなければならない事態を引き起こす。そのため汚水管路に対する雨水管渠の誤接続場所を出来るだけ早急に特定し、雨水管渠を切り離すことが必要になる。
また、汚水管路を構成する管渠に発生した隙間や破損部、あるいは管渠同士の接続部分や管渠とマンホールの接続部分からの漏れなど、汚水管路に漏水を引き起こす隙間などが生じたときには、地下に埋設された汚水管路の周囲の土壌の隙間などを通って地下水が異常水として浸入する。このような管渠の亀裂や接続部からの地下水の漏水は、前記雨水管路と同様な問題だけでなく、処理場の処理能力にも影響を及ぼす。また管内を流れている汚水が管渠の隙間や破損部から外部に流出し土壌〜地下水の汚染問題を発生することになるので、それが拡大しないうちに補修することが望ましく、そのためには何らかの方法で地下水の浸入場所を特定する必要がある。
従来から、下水道管路に対する異常水の浸入場所の特定としては、人手に頼る方法と、測定機器を利用して行う方法がある。人手による特定方法は、先ず下水道管路を構成する本管のマンホールを利用して、本管の下流側から上流側に遡って異常水の流入状況や過去に浸入したとみられる痕跡などを順次目視により確認していき、異常水が流入したと思われる本管の最も上流側のマンホール配置場所を最初に特定する。次に特定したマンホールまたはその近傍に接続されている枝管を遡って本管と同様に目視により異常水の浸入を確認していき、最終的に浸入場所を特定する。
また測定機器を利用する方法としては、管路に流量計を設置して流量、流速の変化による浸入場所を特定する方法や、自走式ロボットに搭載したテレビカメラで管路内を点検〜撮影する方法がある。
人手による特定方法の場合では、例えば雨水管路に汚水管渠が誤接続されている場合、一般家屋などからの汚水は断続的にしか排出されないので、マンホールから汚水が連続して流れている状態を目視で確認できる機会は極めて少ない。また車道に設置されたマンホールの蓋を長時間開けた状態で監視を続けることは道路交通事情から許されない。また手間と時間を要し多大のコストがかかるという問題もある。
さらに、雨水管路に断続的に流れる汚水は降雨時に雨水により洗い流され、管路内に一旦生じた汚染の痕跡が消失してしまうことも多い。そのため目視による汚水管路の誤接続場所の特定には限界がある。また、雨水管路に地下水が浸入している場合、地下水位は変動するので常に雨水管路に地下水が流れている保障はない。そのため雨水管路における地下水の浸入場所の特定は困難なことが多い。
一方、汚水管路においては、多くの一般家屋や施設などから汚水が管路に流入するが、個々に流入する汚水は断続的でも、それらが多数合流することにより連続した流れになる。したがって汚水管路内には常に連続した流れが存在するので、雨水が浸入している場合でも人手に頼る方法では汚水と雨水の区別が難しく、雨水の浸入場所を特定することは困難である。
さらに汚水管路においても雨水管路の場合と同様に地下水の浸入場所の特定は困難なことが多い。
また、雨水管路や汚水管路において測定機器を利用する方法では、流量計で測定する場合には流量計の設置と記録計や電源との配線、測定器用電源の確保等が必要となり、また設置台数も多くなるので、測定するには多くの手間がかかり総費用も膨大なものとなる。またテレビカメラを利用する方法では、異常水の浸入場所を特定する範囲が狭まった時の方法としては有効となるが、管路全体を調査するには膨大な費用がかかり、また雨水の浸入場所の特定には雨天時に実施する必要があり、タイムリーな調査の実施は困難である。
そこで従来から、雨水管路や汚水管路などの下水道管路における異常水の浸入場所を、確実で信頼性があり、測定〜特定までが簡単な方法で特定することが要望されている。
上記課題を解決する本発明の第1の下水道管路における異常水浸入場所の特定のための温度記録方法(以下、単に「特定方法」という)は、下水道管路の異常水浸入場所を特定するための温度記録方法において、温度検出部、記録部および送受信部を備えた複数の温度記録装置と、記憶部、出力部および送受信部を備えた制御装置を用い、制御装置から各温度記録装置に対し、それぞれの下水道管路における設置場所の情報を伝送してその記録部に記録すると共に温度記録の時間間隔を伝送してその記録部に記録することにより時間間隔を設定し、次に各温度記録装置を前記記録された設置場所に応じて下水道管路の下流側から上流側に沿った複数の個所にそれぞれ設置し、各温度記録装置の記録部に下水道管路内の温度を前記設定時間ごとに所定の期間記録し、記録終了後に各温度記録装置をそれぞれの設置場所から回収し、回収した各温度記録装置に記録されている温度記録の情報を温度記録装置の設置場所情報と共に制御装置に伝送してその記憶部に記憶し、前記記憶部に記憶された各温度履歴と温度記録装置の設置場所の情報を下水道管路における異常水浸入場所特定に利用するために制御装置の出力部から出力することを特徴とするものである。
また第2の特定方法は、上記第1の特定方法において、下水道管路には管渠と、管渠の下流側から上流側に沿って分散配置された複数のマンホールが敷設され、マンホールを横切る流路または管渠のマンホール接続部近傍の底部に、温度記録装置を設置することを特徴とするものである。
また第3の特定方法は、上記第1または第2の特定方法において、下水道管路が雨水管路の場合、異常水は汚水管路の誤接続により浸入した汚水、または管路に生成した隙間や破損部から浸入した地下水であることを特徴とするものである。
また第4の特定方法は、上記第1または第2の特定方法において、下水道管路が汚水管路の場合、異常水は雨水管路の誤接続により浸入した雨水、または管路に生成した隙間や破損部から浸入した地下水であることを特徴とするものである。
また第5の特定方法は、上記第1ないし第4のいずれかの特定方法において、異常水浸入場所の特定を行う地域に敷設された雨水管路が、道路から雨水が側溝を経て雨水マスに流入し、そこから更に該雨水管路を構成する管渠に流入するように構成されている場合、温度記録装置を前記雨水マスに設置して当該地域に降った雨水温度を所定の期間記録し、記録終了後に温度記録装置を設置場所から回収し、次いで回収した温度記録装置に記録されている温度履歴を雨水の平常温度範囲として、前記特定に利用することを特徴とするものである。
本発明の第1の特定方法は、下水道管路の異常水浸入場所を特定するための温度記録方法において、温度検出部、記録部および送受信部を備えた複数の温度記録装置と、記憶部、出力部および送受信部を備えた制御装置を用い、制御装置から各温度記録装置に対し、それぞれの下水道管路における設置場所の情報を伝送してその記録部に記録すると共に温度記録の時間間隔を伝送してその記録部に記録することにより時間間隔を設定し、次に各温度記録装置を前記記録された設置場所に応じて下水道管路の下流側から上流側に沿った複数の個所にそれぞれ設置し、各温度記録装置の記録部に下水道管路内の温度を前記設定時間ごとに所定の期間記録し、記録終了後に各温度記録装置をそれぞれの設置場所から回収し、回収した各温度記録装置に記録されている温度記録の情報を温度記録装置の設置場所情報と共に制御装置に伝送してその記憶部に記憶し、前記記憶部に記憶された各温度履歴と温度記録装置の設置場所の情報を下水道管路における異常水浸入場所特定に利用するために制御装置の出力部から出力することを特徴とする。
下水道管路に流れ込む本来の流水の温度、例えば雨水管路の場合は雨水の温度、汚水管路の場合は汚水の温度は、時間帯や季節等により変動する傾向にあるが、いずれの時間帯や季節においても、両者の温度は互いに異なっていることが種々の調査データから明らかにされている。そして雨水や汚水の温度は、短い時間ではそれぞれ多少の上下変動を示すことはあるが、数日間もしくは数週間の範囲での平均値で見れば、比較的狭い温度範囲(平常温度範囲)に収まる。また地下水温度は、地域や季節が変わってもあまり変化せず、汚水の平常温度範囲より低いことが分かっている。
本発明の第1の特定方法では、下水道管路の下流側から上流側に沿って複数の温度記録装置を設置し、管路内の温度を予め設定された時間ごとに所定期間記録し、設置場所から回収した各温度記録装置に記録された温度履歴を比較する。そして当該下水道管路の本来の流水の平常温度範囲と異なる温度履歴を記録している温度記録装置が存在する場合は、当該温度記録装置を設置した場所より上流側で、温度の異なる異常水(本来の流水以外の水)が浸入していると特定できる。
本発明の第2の特定方法では、上記第1の特定方法において、下水道管路には管渠と、管渠の下流側から上流側に沿って分散配置された複数のマンホールが敷設されている場合、マンホールを横切る流路、または管渠のマンホール接続部近傍の底部に、温度記録装置を設置することができる。
このようにマンホールを横切る流路、または管渠のマンホール接続部近傍の底部に温度記録装置を設置すると、温度記録装置を容易に管路に設置できる。なおマンホールの底部付近には流入側の管渠と流出側の管渠が接続され、それらを結ぶ線上にマンホールを横切る流路が形成されるが、該流路に温度記録装置を設置することにより、管路内を流れている状態の水温度(流水の温度)を測定することができる。また管渠のマンホール接続部近傍の底部に温度記録装置を設置する場合も、同様に管路内を流れる状態の水温度を測定することができる。
さらに第5の特定方法では、上記第1ないし第4のいずれかの特定方法において、異常水浸入場所の特定を行う地域に敷設された雨水管路が、道路から雨水が側溝を経て雨水マスに流入し、そこから更に該雨水管路を構成する管渠に流入するように構成されている場合、温度記録装置を雨水だけが流入する前記雨水マスに設置して、当該地域に降った雨水温度を所定の期間記録し、記録終了後に温度記録装置を設置場所から回収し、次いで回収した温度記録装置に記録されている温度履歴を、雨水の平常温度範囲として前記特定に利用することができる。
雨水マスには雨水のみが流入し、他の雑水の流入は実質的に無い。そのため雨水マスに設置した温度記録装置で記録した温度履歴から、降雨があったその地域における正確な(基準的な)雨水の平常温度範囲が得られるので、それを利用することによって、より正確な汚水管路への雨水浸入場所、または雨水管路への汚水浸入場所の特定が可能になる。
本発明の異常水特定方法を適用する下水道管路を模式的に示す系統図である。 温度記録装置の一例を模式的に示す断面図である。 温度記録装置を下水道管路に設置する例を示す図である。 下水道管路としての雨水管路に対し、図3に示す固定方法により温度記録装置をマンホール内に設置した例である。 下水道管路としての汚水管路に対し、図3に示す固定方法により温度記録装置をマンホール内に設置した例である。 下水道管路に温度記録装置を設置する他の方法を示す断面図であり、(a)はキャップ状の固定具を下水道管路の管渠あるいはマンホールの壁面に固定した状態を示し、(b)は壁面に固定した固定具に温度記録装置を嵌着した状態を示す図である。 温度記録装置のブロック図と、制御装置のブロック図である。 制御装置の記憶部に記憶された雨水管路における温度履歴の一部をアナログ表示したものである。 制御装置記憶部に記憶された汚水管路における温度履歴の一部をアナログ表示したものである。
次に図面を基に本発明を実施する最良の形態を説明する。図1は本発明の特定方法を適用する下水道管路を模式的に示す系統図である。本実施形態では、下水道管路1が口径の大きい本管2と、それに接続される口径の小さい複数の枝管3により構成され、本管2の最下流(末端)の開口4が放流部5に連通している。そして本管2に直接接続される枝管3のいくつかには、さらに他の枝管3が分岐(もしくは合流)している。
本管2の途中部分、本管2と枝管3の接続部分、枝管3の途中部分、枝管3と枝管3の接続部分等の適宜の場所にマンホール6が分散配置される。図1には本管2の放流部5から上流側に向かって3番目のマンホール6部分に接続された、図面右側の枝管3に異常水の浸入場所が存在する例が示されている。すなわち図面右側の枝管3に、当該管渠とは異なる管渠7(下水道管路1が雨水管路の場合は汚水管渠7、下水道管路1が汚水管路の場合は雨水管渠7)が誤接続されている場合と、図面右側の枝管3に亀裂等の隙間から地下水が浸水する浸入場所7aが存在する例が示されている。そして下水道管路1の適宜の個所、例えばマンホール6を横切る流路、または管渠のマンホール接続部近傍の底部には、黒丸で示した温度記録装置8が取り付けられる。
下水道管路1には雨水管路と汚水管路の2種が存在するが、例えば雨水管路の場合には、図示のように道路の側溝に沿って適宜の間隔で雨水マスMが設けられる。雨水マスMには側溝からの雨水のみが流入し、点線で示す管渠で雨水管路の枝管3と連通する。雨水マスMにも(後述する目的のために)温度記録装置8を設置することができる。
図2は温度記録装置8の一例を模式的に示す断面図である。温度記録装置8は、電源部10と、温度検出部11と、温度検出部11の温度測定値を予め設定された時間ごとに記録する記録部12と、後述する制御装置から送信要請の電磁波信号を受信し、それに基づいて前記記録部12に記録された温度履歴を、後述する制御装置に送信する送受信部13を備えている。
送受信部13は、送受信回路13aとそれに接続されたアンテナ13bを有する。そして電源部10、温度検出部11、記録部12および送受信部13は、強化プラスチック製などの電磁波透過性を有する防水型の密閉容器14内に収容される。密閉容器14は容器状の本体15と蓋体15aを有し、両者は内部機器を収容後に接着等により密閉化されるか、またはシール層を介して、ボルトや螺着などにより着脱自在に密閉化される。
このような温度記録装置8は、例えばドイツのマイクロ センシス(Micro Sensys)社から温度用超小型データロガー(タイプ TELID 3T Plus等)として市販されている。この市販の温度記録装置は、温度センサー、リチューム電池、データ容量16Kbit〜256Kbitの記憶部を備え、測定点数1800〜8000回、測定間隔1分〜255分で任意設定可能であり、リードライト距離(送受信距離)0〜5mm、リードタイム2秒、対応OS:Windows(登録商標)で、各部品は密閉プラスチック容器に収容されている。
マンホール6は、コンクリート製もしくは強化プラスチック製の本体と、その上部の開口部を閉鎖する取り外し可能な金属性の蓋体を有し、本体の内部に作業用の梯子などが設けられる。なお本体部分は道路に埋設され、道路面に蓋体のみが露出される。
図3は温度記録装置8を下水道管路に設置する具体例を示す図である。この例は鎖(またはロープ)8aの両端に、それぞれ固定部8bを連結して構成した固定具8cにより、温度記録装置8が下流側に流出しないように、例えばマンホール6の周壁6aに支持させるようになっている。固定部8bの一方は、温度記録装置8の密閉容器14に接着やボルト等により固定され、固定部8bの他方は、周壁6aに接着やボルト等により固定される。なお周壁6aにおける固定部8bの固定位置は、マンホール6内の最高水位より上方とすることが望ましい。
設置した温度記録装置8を回収する際は、周壁6bに固定した固定部8bを取り外すか、または温度記録装置8に固定した固定部8bを取り外す。温度記録装置8に固定した固定部8bを取り外す場合は、後日、温度記録装置8を再び当該場所に設置するときにその固定具8cを再利用することができる。
図4は下水道管路1としての雨水管路に対し、図3に示す固定方法により温度記録装置8をマンホール6内に設置した例である。このマンホール6は図面右側とそれに直角な側の2か所に雨水流入側の管渠(図示の例では枝管3を構成する管渠)が接続され、図面左側に雨水流出側の管渠(図示の例では枝管3を構成する管渠)が接続されている。そして雨水管路に設置されるマンホール6の底面6bは、接続される管渠の底面より下方に位置し、雨水と共に流入する落ち葉などの固形物をマンホール6の底部に滞留させ、定期的にマンホール6から固形物を除去できるようになっている。
本実施形態では、温度記録装置8がマンホール6に2か所から流入する流水温度をそれぞれ測定するようになっている。そのためマンホール6の底部の滞留水の有無に影響されないように、温度記録装置8をマンホール6に接続される管渠の底面レベルより下方には設置せず、マンホール6を横切る流水の流路における上流側2か所に設置される。なお図4に示す右方の温度記録装置8は、右側からの流水により左側に押されて傾く傾向があるが、温度測定に支障はない。
図5は下水道管路1としての汚水管路に対し、図3に示す固定方法により温度記録装置8をマンホール6内に設置した例である。このマンホール6は図面右側とそれに直角な側の2か所に汚水流入側の管渠(図示の例では枝管3を構成する管渠)が接続され、図面左側に汚水流出側の管渠(図示の例では枝管3を構成する管渠)が接続されている。そして汚水管路に設置されるマンホール6の底面6bと、それに接続される管渠の底面はほぼ同じレベルになっており、各管渠の接続部分からマンホール6の底面中央部に向かって下方に傾斜する流路が形成されるように、マンホール6の底面にインバート6cが形成される。なおインバート6cの形状は、マンホール6に流入する汚水が乱流を起こさずスムーズに下流側の管渠に向かって流れることによって、固形物がマンホール6の底部に滞留しないようになっている。図示のように、対向するインバート6cの下縁間に所定の幅で形成される流路は、マンホール6を横切る流水の流路となる。そして温度記録装置8はその流路の流水温度を測定できる位置に設置される。
図6は下水道管路1に温度記録装置8を設置する他の方法を示す断面図であり、(a)はキャップ状の固定具16を下水道管路1の管渠(本管2または枝管3を構成する管渠)あるいはマンホール6の設置場所の壁面17に固定した状態を示し、(b)は壁面17に固定した固定具16に温度記録装置8を嵌着した状態を示す。
次に図6における温度記録装置8の設置手順を説明する。先ず図6(a)のように固定具16の底面を壁面17の所定位置に合わせ、コンクリート用のスクリュー式アンカーボルト18で固定具16を壁面17に固定する。次に図6(b)のように固定具16のキャップ内に温度記録装置8を押し込んで嵌着する。その際、図2に示す温度記録装置8の温度検出部11側が表面になるようにする。
図6に示す設置用の壁面17としては、下水道管路1が雨水管路または汚水管路のいずれであっても、マンホール6の下部に形成される流路に接する周壁6a部分、またはマンホール6に接続される管渠の接続部分近くのインバート6cの底面などが望ましい。
図6に示す温度記録装置8を温度記録終了後に回収するには、温度記録装置8の上部を把持具で掴み、固定具16から上方に引き抜けばよい。壁面17に残った固定具16は取り外してもよいが、そのままの状態で次回の温度記録装置8の設置時に再利用することもできる。
図7は図2に示す温度記録装置8の回路系統を示すブロック図と、温度記録装置8との間で情報の送受信を行う制御装置20の回路系統を示すブロック図である。温度記録装置8は電源部10、温度検出部11、記録部12および送受信部13を備え、記録部12はCPU12a、記憶部12b、時計部12c、A/D変換部19a、19bを備え、送受信部13は送受信回路13aと巻き線などで構成したアンテナ13bを有する。なお電源部10はリチウムイオン電池などの電池と電圧安定回路で構成され、温度検出部11はサーミスタや熱電対などによる温度センサーと増幅回路で構成され、記録部12bは書き換え可能な半導体メモリ装置で構成され、時計部12cは水晶発振式の時計回路を有する。
制御装置20は電源部21、送受信部22、制御部23、記憶部24、を備え、送受信部22は送受信回路22aと巻き線などで構成したアンテナ22bを有し、制御部23はCPU25、入力部26、出力部27、A/D変換部28を有する。なお電源部21はリチウムイオン電池などの電池電源または商用電源と電圧安定回路で構成され、入力部26はキーボードもしくはタッチパネルにより構成され、出力部27は液晶ディスプレーまたはプリンターで構成され、記憶部24は書き書き換え可能な半導体メモリ装置で構成される。次に、本発明の異常水の浸入場所特定方法の特定手順を説明する。
(下水道管路が雨水管路の場合)
図1に示す下水道管路1が雨水管路である場合、本管2の放流部5に汚水流出を示す悪臭(若しくは異臭)、あるいは汚水の痕跡等を発見した場合、雨水管路のどこかに汚水管渠が誤接続されていると推定されるが、その誤接続された場所を特定する方法は次の2種ある。
第1の方法は、図1のように本管2と枝管3の適当な個所に複数の温度記録装置8を取り付けて各温度記録装置8の温度履歴を比較する1段階方式である。
第2の方法は、最初に本管1に沿って下流側から上流に向かって適当な個所に複数の温度記録装置8を取り付け、それら温度記録装置8の温度履歴を比較して本管2のどこに汚水が流入したかを特定し、次に本管2の特定した場所またはその直近の上流側に接続された枝管の適当な個所に、複数の温度記録装置8を取り付け、それら温度記録装置8の温度履歴を比較し、枝管3における汚水管路の誤接続の場所を特定する2段階方式である。
(1段階方式の場合)
先ず必要数の温度記録装置8を準備し、それらに温度測定値の記録開始時期、記録間隔等の設定を制御装置20により行う。具体的には、制御装置20のアンテナ22bを設定すべき最初の温度記録装置8のアンテナ13bに近づけた状態(電磁波による通信可能な状態)で、制御装置20の入力部26からA/D変換部28および送受信部22を介して、各種の設定信号をアナログ信号として当該温度記録装置8の送受信部13に送信する。温度記録装置8のCPU12aは、送受信部13とA/D変換部19bを介してデジタル信号として受信した設定信号に基づいて、記録部12の記憶部12bに測定開始時期と記録間隔の設定情報を格納する。同様な設定の操作は、必要とする全ての温度記録装置8に順次行う。
例えば前記マイクロ センシス社から市販されている温度記録装置8を用いる場合は、最大8000回の温度測定値を記録部12に記録することができるので、例えば5分ごとに記録する場合は5分×8000回=40000分(28日間)、3分ごとに記録する場合は3分×8000回=24000分(16日間)の期間それぞれ記録可能である。
制御装置20は上記の設定のほかに、各温度記録装置8にその設置場所を示す名称または記号、もしくは番号等の設置場所情報を送信する。具体的には、制御装置20の入力部26から設置場所情報を入力して当該温度記録装置8に送信し、温度記録装置8のCPU12aはその情報を記憶部12bに記憶させる。この情報は後述するように、温度記録装置8から制御装置20に温度履歴と共に送信され、その温度履歴と温度記録装置8の設置場所を関連付けるために用いられる。
次に設定済みの複数の温度記録装置8を、本管2と枝管3の適当な個所に順次設置する。時計部12cによる時間情報により予め設定された温度測定開始時期に達すると、CPU12aは温度検出部11から出力するアナログによる温度測定信号を、A/D変換部19aでデジタル変換して記憶部12bに記憶させる制御を開始し、設置した全ての温度記録装置8が、同一時刻から一斉に測定〜記録を開始する。その際、CPU12aは時計部12cによる時間情報を基に、予め設定された時間ごとに温度検出部11による温度測定値を記憶部12bに記憶させる制御を行う。
予め設定された温度測定期間(例えば14日間)が終了したら、雨水管路に設置した各温度記録装置8を取り外して回収し、各温度記録装置8の温度記録を制御装置20に伝送してその記憶部24に記憶する。
回収した温度記録装置8に記録された温度履歴を制御装置20に伝送するには、先ず制御装置20の入力部26から伝送指令をCPU25に出し、CPU25はその指令に基づきA/D変換部28および送受信部22を介して、温度記録装置8に送信要請信号を電磁波として送信する。温度記録装置8のCPU12aは、送受信部13とA/D変換部19aを介して受信した送信要請信号に応答して、記憶部12bに記憶された温度履歴および当該温度記録装置8の設置場所を特定する情報を、制御装置20に電磁波として送信する制御を行う。
温度履歴および当該温度記録装置8の設置場所を特定する情報を受信した制御装置20のCPU25は、温度履歴をその設置場所に関連付けて、記憶部24に記憶する制御を行う。さらに同様な方法で、回収した全ての温度記録装置8の温度履歴や設置場所を順次記憶部24に記憶する。
次に制御装置20で各温度履歴を比較して、汚水管渠が誤接続された場所の特定を行う。特定は温度履歴を出力部27に出力して行う方法と、予め記憶部24に格納された自動検出プログラムに従って行う方法があるが、先ず出力部27に出力して行う方法について説明する。
出力部27に温度履歴を出力するには、入力部26から出力指示をCPU25に伝え、CPU25はその指令を受けて、記憶部24から出力部27に温度履歴を出力する制御を行う。出力部27に出力される温度履歴は、アナログ表示(記録)またはデジタル表示(記録)のいずれも可能である。
図8は制御装置20の記憶部24に記憶された、雨水管路における温度履歴の一部を出力部27でアナログ表示したものである。なお図8では説明を簡単にするため、図1に示す下水道管路1としての雨水管路における場所R1〜R4に設置した、温度記録装置8の温度履歴だけを抽出して示している。
一般に、雨水管路内の雨水(本来の流水)は、降雨時だけ流れて晴天時には流れない。雨水管路に雨水による流水が存在するときは、温度記録装置8には雨水温度が記録され、流水が存在しないときは、当該管路内の温度記録装置8を設置した付近の空気温度が記録される。雨水温度と空気温度の間には温度差があり、雨水管路内における雨水による流水温度は空気温度より低い傾向にある。
一方、一般家屋などから排出する汚水温度は雨水温度より高い傾向にあり、地下水温度は汚水温度より低い傾向にある。
図8のA期間は、当該雨水管路を敷設した地域に降雨があったときと、その前後における雨水管路内の空気温度t0と雨水温度(流水温度)t1を含む各温度履歴である。場所R1〜R4の全ての温度履歴は同じ傾向であり、その地域に降雨があったことを示している。
図8にはA期間において、雨水温度t1が時間軸に平行な直線として描かれているが、実際は管路内の種々の条件変化により、比較的狭い範囲であるが時系列的に上下に変化する帯状となる。そこでこの帯状の比較的狭い温度範囲を、本発明では雨水の平常温度範囲(雨水管路における本来の流水の平常温度範囲)として定義し、その中央値を図8にt1として示してある。
なお、図8における雨水の平常温度範囲が何らかの原因で不安定な動き、例えば降雨時に雨水管路に原因不明な水が一時的に混入して不安定な温度変化を示す場合には、図1に示す雨水マスMに設置した温度記録装置8の温度履歴を参考にして雨水の平常温度範囲を定めることもできる。
図1には場所R1とR4の間の枝管3に、雨水管渠7の誤接続場所または地下水浸入場所が重複して図示されている(現実には両者が重なる例は極めて少ないが、説明の都合上、同じ図面に描いてある。)が、通常、降雨時における雨水の水量は大きく、断続的に浸入する汚水や管渠の亀裂、または管渠接続部の管路に生じた隙間などから浸入する地下水の流量は、雨水量に比べて少ない場合があるので、図8のA期間のように、降雨時には汚水や地下水などの異常水の浸入場所の特定は難しい。
一方、図8のB期間は晴天時であり、雨水管路に汚水が断続的に浸入していることが現れる。すなわち、場所R2〜R4では雨水管路内の空気温度t0が続いているが、場所R1のみ空気温度t0とそれより高い温度t2が交互に現れている。このことから、図1に示す枝管3の場所R1と場所R4の間に汚水管渠7が誤接続されていると特定することができる。
図8のC期間は同じく晴天時であり、雨水管路に地下水が浸入していることが現れている。すなわち、場所R2〜R4では雨水管路内の空気温度t0が続いているが、場所R1のみ雨水管路における平常流水温度範囲より低い温度t3が現れている。この期間は晴天時であることから、図1に示す枝管3の場所R1とR4の間に地下水が浸入していると特定できる。なお図8では期間Cのみ地下水浸入が発生しているが、これは地下水位が管路の亀裂場所まで上昇してこの時期に浸入した例である。この地下水の上昇時期は季節や降雨などの影響で周期的に繰り返されることが多いが、地下水が上昇する時期において比較的長期間(例えば2〜3週間程度)の温度履歴を比較することにより、地下水浸入の事実が明らかになりその浸入場所も特定できる。
次に制御装置20の記憶部24に予め格納された自動検出プログラムにより、異常水の浸入場所の特定を行う方法について説明する。本実施形態では、制御装置20の記憶部24に自動検出プログラムと共に雨水管路の敷設情報が予め格納され、自動特定操作の開始前に、当該地域の降雨開始時間と降雨終了時間を含む降雨情報を入力部26から入力することにより記憶部24に記憶される。
入力部26からCPU25に自動特定開始指示が伝送されると、CPU25は記憶部24に記憶されている各温度履歴を読み出し、図8に示す期間Bや期間Cの状態の有無を順次走査していく。期間Bの状態を抽出した場合は、雨水管路への汚水管渠の誤接続の事実とその場所を出力部27から出力し、期間Cの状態を抽出した場合は地下水浸入の事実とその場所を出力部27に出力する。
(2段階方式の場合)
次に別の実施形態である2段階方式について説明する。通常、雨水管路は図1のように本管2とそれから分岐する複数の枝管3により構成されるが、汚水管路が誤接続される場所は枝管3である場合が多い。汚水管渠の誤接続は、本管2が河川等に接続する末端の放流部5付近における悪臭や異臭等の発生により発見されるので、誤接続の場所を特定するには、先ず本管1を上流へと遡り、次いで枝管3に移っていく方法が効率的である。
本実施形態では、枝管3における汚水管渠の誤接続の場所を特定する際に、先ず温度記録装置8を本管2の下流側から上流側に沿った複数個所に設置し、各温度記録装置8で本管2内の温度を所定の期間記録し、記録終了後に各温度記録装置8をそれぞれの設置場所から回収し、次いで回収した各温度記録装置8に記録されている温度履歴を比較し、本管2における雨水(本来の流水)の平常温度範囲と異なる温度履歴が記録されている温度記録装置8を設置した最も上流側の設置場所(図1に示す下水道管路1の場合は、本管2における最下流の放流部5から上流側に向かって2番目の温度記録装置8の設置場所)を特定する。
次に、前記特定した本管2、またはその直近の上流側に接続されている枝管3(図1に示す下水道管路1の場合は、本管2における最下流の放流部5から上流側に向かって3番目のマンホール6の左右に接続されている2本の枝管3)における、下流側から上流側に沿った複数個所に新たに温度記録装置8を設置する。そして前記本管2と同様な方法で、該枝管3における雨水の平常温度範囲と異なる温度履歴が記録されている温度記録装置8を設置した場所より上流側で、異常水が浸入していると特定する。なお、2段階方式の場合も前記段階方式の場合と同様に、制御装置20の記憶部24に格納された自動検出プログラムにより異常水の浸入場所の特定を行うことができる。
(下水道管路が汚水管路の場合)
図1に示す下水道管路1が汚水管路である場合、本管2の放流部5は汚水処理場における処理施設になる。汚水管路から処理施設に流入する汚水量はその地域によってほぼ一定であるが、汚水管路に雨水管渠が誤接続され、または地下水が浸入すると流入水量がその分増加し、特に雨水管渠が誤接続されると、降雨時に大量の雨水が汚水管路から処理施設に流入する。そこで、これら流入水量の増加から、雨水管渠の誤接続や地下水浸入が生じていることが分かるので、その場所の特定操作を開始する。汚水管路における温度記録装置8の設置、回収、および制御装置20による異常水の浸入特定などの操作は、前記雨水管路における操作と同様であるので、重複する説明は省略する。
図9は制御装置20の記憶部24に記憶された汚水管路における温度履歴の一部を、出力部27でアナログ表示したものである。なお図9では説明を簡単にするため、図1に示す下水道管路1としての汚水管路における、場所R1〜R4に設置した温度記録装置8の温度履歴だけを抽出して示している。
一般に、汚水管路を構成する枝管3の流水は、多くの家屋や事業所から生活排水がそれぞれ断続的に放流されるが、合流することで連続流となる傾向がある。図9には図1における場所R1〜R4に設置した温度記録装置8の温度履歴が示されており、異常水の浸入が無いときの温度履歴は汚水温度t2を示す。
図9には異常水の浸入が無いときの汚水温度t2が時間軸に平行な直線として描かれているが、住宅地区、商業地区、工業地区等の違いや、汚水が排出される時間帯の違い等、種々の条件変化により差異はあるが、比較的狭い範囲であるが時系列的に上下に変化する帯状となる。そこで、この帯状の比較的狭い温度範囲を、本発明では「汚水の平常温度範囲」として定義し、その中央値を図9にt2として示してある。なお、前記雨水の平常温度範囲とこの汚水の平常温度範囲を含めて、本発明では下水道管路を流れる「本来の流水の平常温度範囲」として定義する。
汚水管路における異常水浸入場所の特定方法は、前記雨水管路における異常水浸入場所の特定方法と同様に、1段階方式と2段階方式のいずれも可能であり、さらに制御装置20による自動特定も前記と同様に可能である。このように雨水管路と汚水管路の操作は基本的に同じであるので、ここでは代表として出力部27に出力された温度履歴により1段階方式で特定する方法のみ説明する。
図9において、期間Dは当該地域に降雨があり、場所R2〜R4の温度履歴は汚水温度(平常汚水温度範囲)t2のままであるが、場所R1の温度履歴はt2からt1に下降している。すなわち降雨時における汚水管路を流れる雨水量は汚水量に比べて格段に多く、降雨時間が経過し雨水流入量が多くなると、汚水管路の流水温度はほぼ雨水温度(平常雨水温度範囲)t1に近い値となる。これらのことから、枝管3の場所R1とR4の間に雨水管渠が誤接続されていると特定できる。なお、雨水の温度t1(雨水の平常温度範囲)が何らかの原因で不安定な動き、例えば降雨時において汚水管路に流入する際の雨水に、原因不明な水が混入し不安定な温度変化をするような場合には、図1に示す雨水マスMに設置した温度記録装置8の温度履歴を参考に、雨水の浸入の事実を特定することもできる。
また図9において、期間Eは晴天時で、場所R2〜R4の温度履歴は汚水温度(平常汚水温度範囲)t2のままであるが、場所R1の温度履歴はt3にかなり下降している。晴天時なので降雨はなく、このことから、枝管3の場所R1とR4の間における地下水浸入場所の存在が特定できる。
本発明の下水道管路における異常水浸入場所の特定方法は、本管と枝管により構成される雨水管路や汚水管路などの下水道管路に発生する異常水浸入の場所特定に利用できる。
M 雨水マス
R1〜R4 場所
1 下水道管路
2 本管
3 枝管
4 開口
5 放流部
6 マンホール
6a 周壁
6b 底面
6c インバート
7 異なる管渠
7a 浸入場所
8 温度記録装置
8a 鎖
8b 固定部
8c 固定具
10 電源部
11 温度検出部
12 記録部
12a CPU
12b 記憶部
12c 時計部
13 送受信部
13a 送受信回路
13b アンテナ
14 密閉容器
15 本体
15a 蓋体
16 固定具
17 壁面
18 スクリュー式アンカーボルト
19a、19b A/D変換部
20 制御装置
21 電源部
22 送受信部
22a 送受信回路
22b アンテナ
23 制御部
24 記憶部
25 CPU
26 入力部
27 出力部
28 A/D変換部

Claims (5)

  1. 下水道管路の異常水浸入場所を特定するための温度記録方法において、温度検出部、記録部および送受信部を備えた複数の温度記録装置と、記憶部、出力部および送受信部を備えた制御装置を用い、
    制御装置から各温度記録装置に対し、それぞれの下水道管路における設置場所の情報を伝送してその記録部に記録すると共に温度記録の時間間隔を伝送してその記録部に記録することにより時間間隔を設定し、
    次に各温度記録装置を前記記録された設置場所に応じて下水道管路の下流側から上流側に沿った複数の個所にそれぞれ設置し、各温度記録装置の記録部に下水道管路内の温度を前記設定時間ごとに所定の期間記録し、
    記録終了後に各温度記録装置をそれぞれの設置場所から回収し、
    回収した各温度記録装置に記録されている温度記録の情報を温度記録装置の設置場所情報と共に制御装置に伝送してその記憶部に記憶し、
    前記記憶部に記憶された各温度履歴と温度記録装置の設置場所の情報を下水道管路における異常水浸入場所特定に利用するために制御装置の出力部から出力することを特徴とする下水道管路における異常水浸入場所の特定のための温度記録方法。
  2. 請求項1において、下水道管路には管渠と、管渠の下流側から上流側に沿って分散配置された複数のマンホールが敷設され、マンホールを横切る流路または管渠のマンホール接続部近傍の底部に温度記録装置を設置することを特徴とする下水道管路における異常水浸入場所の特定のための温度記録方法。
  3. 請求項1または請求項2において、下水道管路が雨水管路の場合、異常水は汚水管路の誤接続により浸入した汚水、または管路に生成した隙間や破損部から浸入した地下水であることを特徴とする下水道管路における異常水浸入場所の特定のための温度記録方法。
  4. 請求項1または請求項2において、下水道管路が汚水管路の場合、異常水は雨水管路の誤接続により浸入した雨水、または管路に生成した隙間や破損部から浸入した地下水であることを特徴とする下水道管路における異常水浸入場所の特定のための温度記録方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかにおいて、異常水浸入場所の特定を行う地域に敷設された雨水管路が、道路から雨水が側溝を経て雨水マスに流入し、そこから更に該雨水管路を構成する管渠に流入するように構成されている場合、温度記録装置を前記雨水マスに設置して当該地域に降った雨水温度を所定の期間記録し、記録終了後に温度記録装置を設置場所から回収し、次いで回収した温度記録装置に記録されている温度履歴を雨水の平常温度範囲として前記特定に利用することを特徴とする下水道管路における異常水浸入場所の特定のための温度記録方法。
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