JP2016153735A - 位相変調信号生成回路並びにその生成回路を用いた変位量検出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】位相変調信号生成回路3は、矩形波の変調信号RsinTを生成する変調信号生成回路31、変調信号RsinTを90°移相し利得制御信号GSTL、GCTLを生成する信号発生回路32、平衡変調信号Bc(T)を生成するアナログスイッチ33と差動増幅アンプ34との直列回路、平衡変調信号Bs(T)を生成するアナログスイッチ35と差動増幅アンプ36との直列回路、2つの平衡変調信号Bc(T)とBs(T)を、好ましくは、電流加算する加算回路37、および、減衰量の小さなローパスフィルタ(LPF)38を有する。
【選択図】図6
Description
このような位相変調信号を出力する磁気センサとしては、例えば、磁気ヘッドや、MRセンサ等が知られている。
以下、磁気センサの1例としてMRセンサを例示して述べる。
図1に図解したMRセンサにおいて、Vcc端子とGND端子間に4素子からなる2組のブリッジ回路が構成されている。図2に図解したMRセンサにおいて、2組のVcc端子とGND端子をそれぞれ共通に接続すると4素子からなる2組のブリッジ回路が構成されている。
ブリッジ回路のVcc端子とGND端子との間に、電位差(VCC−GND)の電圧を印加すると、スケール部とMRセンサとの相対変位によって生じた外部磁界に応じて抵抗値が変化するブリッジ回路の抵抗値の変化に応じた、互いに直交する正負(+、−)の、第1の信号−A、+A、および、第2の信号−B、+Bの2相の信号を取り出すことができる。
位相変調信号の数式表現について述べる。
変調信号の周波数をfc 〔Hz〕、スケール目盛をλ〔m〕、直線変位(または回転変位)をx〔m〕、時間をt〔s〕で表すと位相変調信号epmは式(1)で表すことができる。
なお、以下の記述において、角変位X(大文字)を変位x(小文字)と同義で使用する場合は変位X(大文字)と記述することがある。
位相変調信号を用いた変位量検出装置は、変位量検出装置内の信号処理回路全体におけるドリフトの影響を受け難いだけでなく、変位量検出装置の外部からのノイズの影響も受けにくいなど優れた利点を有している。
しかしながら、これらの信号処理にはアナログ的な乗算処理が必要となり、高価な乗算アンプ(演算増幅器)が必要になるだけでなく、アナログ処理に伴うドリフトや演算誤差の影響を避けることが困難であった。
本発明においては、第1に、検出センサ信号と変調信号の乗算処理を行う「アナログ乗算回路」を、デジタル信号で駆動されるアナログスイッチと差動アンプ(演算増幅回路)に置き代えることによって、装置コスト(価格)を低減し、さらに、ドリフトの問題を解決する。
本発明においては、第2に、従来のアナログ信号に代えて、デジタル信号を用いて平衡変調処理を行う。
本発明においては、第3に、キャリア周波数fc の高次成分(理論的には奇数次信号成分)と検出センサの直交する2相信号(sinX、cosX)との乗算によって生成される不要な高次の平衡変調信号の重畳に伴う信号品質の悪化(低下)を抑制するため、変調信号の1周期区間を複数の区間に分割して多段の信号波形を持つ矩形波のデジタル変調信号を用い、これら区間における差動アンプの利得をデジタル的に制御可能な手段を設け、位相変調信号の1周期期間(Tc )内の信号振幅を等価的に正弦波信号の振幅に近似させる。
キャリア周波数がfc で互いに直交する2相の矩形波信号と、該2相の矩形波信号の論理が”H(ハイ)”および”L(ロー)”の区間の略中央部で活性化する利得制御信号を生成する制御信号生成手段と、前記変位に対応して前記センサ部から出力される前記2相の直交信号を前記2相の矩形波信号に同期して開閉制御する2組の開閉制御手段と、前記2組の開閉制御手段に対応して配設され、前記利得制御信号に同期して前記開閉制御手段からの信号の利得を制御する2組の利得制御手段と、該2組の利得制御手段の出力を加算または減算して位相変調信号を生成する信号合成手段と、該合成手段から出力される位相変調信号に重畳する不要な高調波成分除去する低域通過手段と
を有する、位相変調信号生成回路が提供される。
キャリア周波数がfc で互いに直交する2相の矩形波信号と、該2相の矩形波信号の論理が”H(ハイ)”および”L(ロー)”の区間の略中央部で活性化する利得制御信号を生成する制御信号生成手段と、変位に対応して前記センサ部から出力される2相の直交信号を前記2相の矩形波信号に同期して開閉制御する手段と、2組の変調信号の論理が”H”および”L”の区間の略中央部で活性化する利得制御信号を生成する制御信号生成手段と、前記開閉制御手段の出力のうち前記利得制御信号が活性化している区間における出力とを電流に変換して合成する2組の電流合成手段と、該電流合成手段の出力を差動的に合成する1つの電流・電圧変換電圧手段と、該電流・電圧変換手段からの出力に重畳する不要な高調波成分を除去する低域通過手段と
を有する、位相変調信号生成回路が提供される。
a.前記利得制御信号が活性な時の前記利得制御手段の利得G2の絶対値G2(abs) と、前記利得制御信号が非活性な時の利得制御手段の利得G1の絶対値G1(abs) との比、すなわち、G2(abs) /G1(abs) 、または、(G2/G1)(abs) 、もしくは、
b.活性な時の前記電流・電圧変換手利得制御手段の利得V2の絶対値V2(abs) と、前記利得制御信号が非活性な時の利得制御手段の利得V1の絶対値V1(abs) との比、すなわち、V2(abs) /V1(abs) 、または、(V2/V1)(abs) を
前記2相の矩形波信号と同一の周期を有する正弦波信号が、正の値をとる区間(0<Tc <π)2値、および、負の値をとる区間(π/≦Tc ≦2π)の2値に対応して設定したことを特徴とする。
また本発明によれば、キャリア周波数fc に隣接する高次の変調信号を大幅に低減し、減衰量の小さな低域フイルタを用いて低価格で位相変調信号を生成可能とし、信号遅延が少なく高品質な位相変調信号を生成することができる。
図3を参照して第1実施の形態の位相変調信号生成回路、および、位相変調信号の生成方法を述べる。
式(2)に示すように、位相変調信号epmは直交する2組の平衡変調信号を合成することによって生成することができ、図3に図解した変調信号生成回路1は、式(2)に示す演算処理によって変調信号を生成する。
90°移相回路14は正弦波変調信号sinTを90°移相して余弦波変調信号cosTを生成する。
以上から、変調信号生成回路13と90°移相回路14とは直交する2相の変調信号を生成する直交する2相変調信号を生成する手段として機能する。
なお、正弦波の直交する交流信号cosTとsinTとはキャリア周波数fc で互いに直交している。
さらに、高精度な位相変調信号が必要な場合は、アナログ乗算回路11、12として高精度で高価なアナログ乗算回路を必要とする。
したがって、位相変調信号の安定度やコストが上昇するという課題の観点から、図3に図解した生成回路1は改善の余地がある。
図4〜図5を参照して第2実施の形態について述べる。
第2実施の形態の変調信号生成回路2は、図3の変調信号生成回路1においてアナログ乗算回路11、12を用いたことに起因する上記課題を克服する。
そのため、変調信号生成回路2は、矩形波変調信号生成回路21と、90°デジタル移相回路22と、第1、第2アナログスイッチ23、24、第1、第2差動アンプ25、26、加算回路27、および、ローパスフィルタ(LPF)28を有する。
90°デジタル移相回路22は、矩形波変調信号生成回路21からの変調信号RsinTを90°位相した変調信号RcosTを生成する。
第1矩形波の変調信号RsinTと第2矩形波の変調信号RcosTとは互いに直交している。矩形波の変調信号RsinTは、sinTと同一周期で同一位相である。矩形波の変調信号RcosTは、cosTと同一周期で同一位相である。
以上から、矩形波変調信号生成回路21と90°デジタル移相回路22とは、直交する2相の矩形波変調信号を生成する2相変調信号を生成する手段として機能する。
アナログスイッチ23は、たとえば、スイッチング素子としてのトランジスタをオン・オフすることによってアナログスイッチに入力された信号を、通過させるまたは通過させない(阻止する)回路である。
図5に図解したアナログスイッチ23は、矩形波の変調信号RsinTのオン・オフに応じて相補的に開閉されて、入力されるセンサ信号cosXを、差動アンプ25の反転入力端子または反転入力端子に出力する、相補的に動作する1対のアナログスイッチを有する。また、アナログスイッチ23は、矩形波の変調信号RsinTのオン・オフに応じて相補的に開閉されて、GND電位の信号を、差動アンプ25の反転入力端子または反転入力端子に出力する、相補的に動作する1対のアナログスイッチを有する。
これにより、差動アンプ25には、矩形波の変調信号RsinTのオン・オフに応じて、センサ信号cosXまたはGND電位の信号が入力される。
なお、電流として加算する利点は、複数の信号、たとえば、2つの信号の1つの点に接続して合成(加算)するだけでよく、加算回路27として、必ずしも、増幅回路を用いる必要はなく単に、接続点として構成することができるという利点がある。
この例については、図11の電流加算点SPn 、SPp を参照して後述する。
その結果、図3に例示した変調信号生成回路1におけるアナログ乗算回路11、12を用いて平衡変調信号を生成する場合に遭遇したドリフトの問題を改善し、高価なアナログ乗算器を用いずに高精度な回路を用いずにすみ、システムコスト(装置価格)の上昇を抑えることができた。
第3実施の形態は、第2実施の形態おける上記課題を克服する。
上述した奇数次の高調波で変調された不要な位相変調信号が重畳することを改善するため、第3実施の形態においては、(1)矩形波変調信号を用いてアナログスイッチを制御して平衡変調信号Bs(T)、Bc(T)を得ると共に、(2)さらに、変調信号の周期Tを複数の区間に分割し、その区間毎の正弦波の振幅と等価になるように差動アンプの利得を制御する手段を設けて、平衡変調回路(たとえば、図4のアナログスイッチ23、差動アンプ25の直列回路)に重畳する基本波に隣接した奇数次高調波成分を大きく減衰させるように構成する。それにより、減衰量の少ないLPFで高品質で不要な位相回転が少ない位相変調信号を得ることができる。
さらに好ましくは、(3)各チャンネルの平衡変調信号Bc(T)、Bs(T)を電流的に加算する手段を設けることにより、チャンネル毎に必要であった差動アンプと、各チャンネルから出力される平衡変調信号を合成して位相変調信号に変換するための回路を、1回路の差動アンプに置き変えることが可能となる。それにより、一層、システムの小型化と低コスト化に効果を発揮する。
図6は第3実施の形態にかかる変調信号生成回路3の全体構成を示す。
図7は図6における可変利得差動アンプの詳細構成を示す。
図8は図7に図解した可変利得差動アンプの動作タイミングを示す図である。
図9は多値の変調波を示す図である。
信号発生回路32は、図4を参照して述べた90°デジタル移相回路22と同様、矩形波変調信号生成回路31からの変調信号RsinTを90°位相した矩形波の変調信号RcosTを生成する他、第1および第2の利得制御信号GSTLおよびGCTLを生成する。
なお、矩形波の変調信号RsinTと変調信号RcosTとは互いに直交している。矩形波の変調信号RsinTは、信号sinTと同一周期で同一位相である。矩形波の変調信号RcosTは、信号cosTと同一周期で同一位相である。
なお、本実施の形態においては、第1、第2の利得制御信号GSTLおよびGCTLにより第1、第2可変利得型差動アンプ(GA)35、36の利得が制御される。
差動アンプ341の増幅率(利得)は、負帰還抵抗素子R2の抵抗値と入力抵抗素子の抵抗値の比率で規定(決定)されるから、信号発生回路32から出力される利得制御信号GSTLによって差動アンプ341の入力抵抗素子を、抵抗素子R1か抵抗素子Rpかのいずれかに選択することにより可変利得型差動アンプ(GA)34の利得を制御することができる。
利得制御信号GSTLによりスイッチ342がオフにされたときの第1利得G1は、G1=R2/R1であり、利得制御信号GSTLによりスイッチ342がオンにされたときの第1利得G2は、G2=R2/(R1/Rp)である。
なお、上記R1、R2、Rpは、抵抗素子R1、R2、Rpの抵抗値を示す。
このように、第3実施の形態においては、信号発生回路32から出力される第1、第2の利得制御信号GSTL、GCTLによって、それぞれ、2通りの利得(増幅率)G1およびG2を選択(制御)可能となっている。
図8は、cosX側のセンサ信号について、第1チャンネルCH1側の変調信号RsinTと利得制御信号GSTLのタイミングチャートと各々のタイミングにおいて選択される利得の関係を示したものである。
本実施の形態においては、矩形波変調信号RsinTが”H(ハイ)”および”L(ロー)”となる中央部分で、信号発生回路32からハイレベルの利得制御信号GSTLが出力され、利得の絶対値が大きくなるように制御される。その理由は図9を参照して述べる。
単位周期Tc (=1/fc )が、複数に分割、たとえば、8分割された時刻t0 〜t7
の中間値における利得が該位置における正弦波信号sinTの値と同一の比率になるようにすることが好ましい。たとえば、利得比G2/G1の絶対値の絶対値G2/G1(abs)=sin67.5°/sin22.5°=2.414となるように設定するのが好都合である。
これにより、図9において、実線が示した多値の矩形波の励磁信号(変調信号)RsinTおよびRcosTは、利得制御信号GSTLとの組合わせより、図9に波線で例示したように、正弦波の変調信号sinTの信号波形に近似された多値の変調信号と等価に機能する。
その結果、たとえば、式3と式8とを対比すると、式3における奇数高調波成分、たとえば、3次高調波成分は0.33、5次高調波成分は0.2、7次高調波成分は0.14であったが、式7における奇数高調波成分は、たとえば、3次高調波成分は0.025、5次高調波成分は0.016と、それぞれ約1/10に減少している。
このことは、高調波成分が減少することに加えて図6に図解した生成回路3におけるローパスフィルタ(LPF)38が簡単な回路構成ですむという利点がある。
すなわち、第3実施の形態の生成回路3は、ドリフトの影響を受けにくく、かつ歪みと位相回転量の少ない位相変調信号を生成可能である。
図6に図解した生成回路3における加算回路37において、第1チャンネルCH1の平衡変調信号Bc(T)と第2チャンネルCH2の平衡変調信号Bs(T)とを加算して、位相変調信号epmを得ているが、加算回路37を減算回路に代えても位相変調信号epmを得ることができる。そのときの位相変調信号epmは式(8)となる。
なお、この場合は、変位xに対して位相変調信号epmの位相の変化する方向が、進み位相、遅れ位相が変わる。
上述した実施の形態において、センサ信号cosXについての利得制御信号GSTL、センサ信号sinXについての利得制御信号GCTLは、周期期間Tc 内で、第1、第2可変利得型差動アンプ(GA)35、36の利得の絶対値が大きくなる期間、ハイレベルとなる、オン・オフ信号である。
第1、第2可変利得型差動アンプ(GA)35、36の利得を3以上の多段階に切り換える場合は、たとえば、図7に図解した回路において、抵抗素子Rpを複数設けて、複数の抵抗素子Rpを選択するスイッチも多数設けて、複数のスイッチを切り換える利得制御信号GSTL(GCTL)もスイッチに応じて多数設け、利得制御信号GSTL(GCTL)をタイミングに応じてオン・オフするように構成する。
上記変形態様(2)に関連して、図9に例示した、多値の励磁信号(変調信号)RsinTおよびRcosTを、多段階に制御される利得に応じて、正弦波変調信号sinTに一層近似する階段状に変換する変調信号とすることできる。
このように、本発明において、利得の制御は、上記例示した2段階には限定されず、3以上の多段階とすることができる。
図10〜図13を参照して本発明の第4実施の形態について述べる。
第4実施の形態は、第3実施の形態の回構成をさらに改良したものである。
図10に図解した変調信号生成回路4は、図6に図解の変調信号生成回路3における、矩形波変調信号生成回路31と同様の矩形波変調信号生成回路41、信号発生回路32に類似する信号発生回路42、アナログスイッチ33、34と同様のアナログスイッチ43、45、ローパスフィルタ(LPF)38と同様のLPF48を有する。
図10に図解した変調信号生成回路4において、図6に図解した第1、第2可変利得型差動アンプ(GA)34、36に代えて1つの加算・利得制御回路44を設けている。
加算・利得制御回路44は、演算増幅回路441と、負帰還抵抗素子R2と、信号発生回路42からの利得制御信号GSTLによってオン・オフ制御されるアナログスイッチ回路442、443と、複数の第1入力抵抗素子R1と、複数の第2入力抵抗素子Rp、第1、第2の電流加算点(ノード)SPn、SPpを有する。
加算・利得制御回路44において、利得制御信号GSTL(またはGCTL)により、演算増幅回路441の入力抵抗素子を切り替え、演算増幅回路441の利得を変化させることは、図7を参照して述べた方法と同様である。
アナログスイッチ43によって平衡変調された第1チャンネルCH1側の出力電圧E1−およびE1+は、抵抗素子R1およびRpを介して差動アンプ441の反転端子(−)および非反転端子(+)に、また、第2チャンネルCH2側の出力電圧E2−およびE2も抵抗素子R1およびRpを介して差動アンプ441の反転端子(−)および非反転端子(+)に入力されている。
第1チャンネルCH1側の電流I1nおよび第2チャンネルCH2側の電流I2nは電流加算点SPnで、第1チャンネルCH1側の電流I2nおよび第2チャンネルCH2側の電流I2pは電流加算点SPpで加算され(結合され)、それぞれ、差動アンプ441の反転端子(−)および非反転端子(+)に接続されている。
このように、第4実施の形態は第3実施の形態と同様に動作し、第3実施の形態より回路構成が簡単になっている。
第3実施の形態および第4実施の形態においては、2チャンネルのセンサからはシングルエンドの出力信号cosxまたはsinxが得られるものとして説明しているが、MRセンサを含め多くの磁気センサは相補 (差動) 型の出力cosx、−cosx、または、sinx、−sinxを出力する端子を備えている。
そのため、実質的な平衡変調処理を担うアナログスイッチ部は、好ましくは、図12に示すように、相補(差動)型の出力端子を持つセンサにも対応可能なこと、また、利得制御部は、好ましくは、図13に示すように、直列に接続された利得制御抵抗素子R1、Rsとスイッチで実現可能なことは言うまでもない。
好ましくは実施の形態として、第3実施の形態および第4実施の形態に関連して、その基本原理を整理して述べる。
本発明においては、センサ信号と変調信号の乗算処理を行う「アナログ乗算器」を、デジタル信号で駆動されるアナログスイッチと差動アンプ(演算増幅回路)に置き換える。それにより、磁気センサのコストの問題とドリフトの問題とを解決する。
第1の手法と共に、デジタル信号を用いて平衡変調処理を行うことによって発生するキャリア周波数fc の高次成分(理論的には奇数次信号成分)とセンサ信号との乗算によって生成する不要な高次の平衡変調信号の重畳に伴う信号品質の悪化(低下)を抑制するため、変調信号の1周期区間を複数の区間に分割し(たとえば、図9)、これら区間における差動アンプの利得をデジタル的に制御可能な手段を設け、変調信号の各期間毎の信号振幅を等価的に正弦波信号の振幅に近似させる。
その結果、キャリア周波数fc に隣接する高次の変調信号の発生を大幅に低減し(たとえば、式(7))、減衰量の小さな低域フイルタ(LPF)(たとえば、図6、LPF38、図10、LPF48)を用いて位相変調信号を生成可能とし、信号遅延が少なく高品質な位相変調信号を生成を実現している。
さらに好ましくは、アナログスイッチと差動アンプ(差動増幅回路)で構成されていた2組の平衡変調信号生成手段と、これらの出力を合成して位相変調信号に変換していた位相変調信号合成手段とを、2組のアナログスイッチと、各アナログスイッチからの出力を電流的に加算する手段と1組の差動アンプで置き変える(たとえば、図10における、加算・利得制御回路44)。
それにより、磁気センサの回路の規模を削減し、さらなる小型化を実現し、かつ低コストで位相変調信号を生成可能とする。
スケールとセンサ相対変位xに対応して出力される2相の直交信号をcosX、sinX、変調信号の周期時間をTc (=1/fc )、変調信号の角変位をT(= 2πt/Tc
[s] )とし、cosX信号を出力する側を第1チャンネルCH1、sinX信号を出力する側を第2チャンネルCH2として、本発明による利点を述べる。
たとえば、磁気ヘッドを用いた変位量検出装置においては、専用の励磁巻線にcos(T/2)、または、sin(T/2)なる励磁信号を加えることにより、第1チャンネルCH1の信号巻線からはスケール部と磁気ヘッドとの相対変位xに応じて上記励磁信号の2倍のキャリア周波数で平衡変調されたcosT・sinXの平衡変調信号が出力され、第2チャンネルCH2の信号巻線からはsinT・cosXなる平衡変調信号が出力される。これらの平衡変調信号を合成することにより式(2)に示す位相変調信号epmを取り出すことができる。
しかしながら、市販されているMRセンサの多くは電源端子にDC電圧を供給して使用することを想定しているため、たとえば、図1および図2に例示したように、等価回路ではチャンネル毎のVcc端子やGND端子が独立した構造になっていないことも多く、励磁方式によって位相変調信号を取り出すことが困難であった。
本発明は、磁気センサに限らず、ホール素子、TMRセンサなどを用いて位相変調信号を作成する生成回路にも適用可能である。
勿論、上記した位相変調信号を生成する生成回路を、たとえば、変位量検出装置に適用すれば、変調信号生成回路から出力される位相変調信号を用いて変位量検出装置から、検出した変位量、たとえば、変位x、回転角θなどを得ることができる。
31、41…矩形波変調信号生成回路、32、42…信号発生回路
33、35…アナログスイッチ、34、36…可変利得型差動アンプ(GA)
37…加算回路、38…ローパスフィルタ(LPF)
GSTL、GCTL…利得制御信号
キャリア周波数がfc で互いに直交する2相の矩形波信号と、該2相の矩形波信号が”ハイレベル”と”ローレベル”の区間の略中央部で活性化する利得制御信号を生成する制御信号生成手段と、
前記変位に対応して前記センサ部から出力される前記2相の直交信号を前記2相の矩形波信号に同期して開閉制御する2組の開閉制御手段と、
前記2組の開閉制御手段に対応して配設され、前記利得制御信号に同期して前記開閉制御手段からの信号の利得を制御する2組の利得制御手段と、
該2組の利得制御手段の出力を加算または減算して位相変調信号を生成する信号合成手段と、
該合成手段から出力される位相変調信号に重畳する不要な高調波成分除去する低域通過手段と
を有する、位相変調信号生成回路が提供される。
キャリア周波数がfc で互いに直交する2相の矩形波信号と、該2相の矩形波信号の論理が”ハイレベル”と”ローレベル”の区間の略中央部で活性化する利得制御信号を生成する制御信号生成手段と、
変位に対応して前記センサ部から出力される2相の直交信号を前記2相の矩形波信号に同期して開閉制御する手段と、
2組の変調信号の論理が”ハイレベル”と”ローレベル”の区間の略中央部で活性化する利得制御信号を生成する制御信号生成手段と、
前記開閉制御手段の出力のうち前記利得制御信号が活性化している区間における出力とを電流に変換して合成する2組の電流合成手段と、
該電流合成手段の出力を差動的に合成する1つの電流・電圧変換電圧手段と、
該電流・電圧変換手段からの出力に重畳する不要な高調波成分を除去する低域通過手段と
を有する、位相変調信号生成回路が提供される。
Claims (5)
- スケール部とセンサ部との相対変位をキャリア周波数(fc )の位相変調信号として取り出し、該位相の変化から位相変調信号を生成する位相変調信号生成回路であって、
キャリア周波数がfc で互いに直交する2相の矩形波信号と、該2相の矩形波信号の論理が”H”および”L”の区間の略中央部で活性化する利得制御信号を生成する制御信号生成手段と、
前記変位に対応して前記センサ部から出力される前記2相の直交信号を前記2相の矩形波信号に同期して開閉制御する2組の開閉制御手段と、
前記2組の開閉制御手段に対応して配設され、前記利得制御信号に同期して前記開閉制御手段からの信号の利得を制御する2組の利得制御手段と、
該2組の利得制御手段の出力を加算または減算して位相変調信号を生成する信号合成手段と、
該合成手段から出力される位相変調信号に重畳する不要な高調波成分除去する低域通過手段と
を有する、位相変調信号生成回路。 - スケール部とセンサ部との相対変位をキャリア周波数fc の位相変調信号として取り出し、該位相の変化から位相変調信号を生成する位相変調信号生成回路であって、
キャリア周波数がfc で互いに直交する2相の矩形波信号と、該2相の矩形波信号の論理が”H”および”L”の区間の略中央部で活性化する利得制御信号を生成する制御信号生成手段と、
変位に対応して前記センサ部から出力される2相の直交信号を前記2相の矩形波信号に同期して開閉制御する手段と、
2組の変調信号の論理が”H”および”L”の区間の略中央部で活性化する利得制御信号を生成する制御信号生成手段と、
前記開閉制御手段の出力のうち前記利得制御信号が活性化している区間における出力とを電流に変換して合成する2組の電流合成手段と、
該電流合成手段の出力を差動的に合成する1つの電流・電圧変換電圧手段と、
該電流・電圧変換手段からの出力に重畳する不要な高調波成分を除去する低域通過手段と
を有する、位相変調信号生成回路。 - 請求項1または2に記載の生成回路において、
前記2相の矩形波信号の1周期区間はTc (1/fc )であり、
前記利得制御信号が活性な時の前記利得制御手段の利得G2の絶対値G2(abs)と前記利得制御信号が非活性な時の利得制御手段の利得G1の絶対値G1(abs)との比率、すなわち、G2(abs)/G1(abs)、もしくは、前記利得制御信号が活性な時の前記電流・電圧変換手段からの出力電圧V2の絶対値V2(abs)と前記利得制御信号が非活性な時の前記電流・電圧変換手段からの出力電圧V1の絶対値V1(abs) との比率、すなわち、V2(abs)/V1(abs)を、前記2相の矩形波信号と同一の周期を有する正弦波信号が、正の値をとる区間(0<Tc <π)2値および負の値をとる区間(π/≦Tc ≦2π)の2値に対応して設定したことを特徴とする、
位相変調信号生成回路。 - 前記制御信号生成手段は、第1の矩形の変調信号を生成する矩形波変調信号生成回路と、前記第1の矩形の変調信号を90°移相し、利得制御信号を生成する信号発生回路とを有し、
前記変位に対応して前記センサ部から出力される前記2相の直交信号を前記2相の矩形波信号に同期して開閉制御する2組の開閉制御手段はアナログスイッチを有し、
前記2組の開閉制御手段に対応して配設され、前記利得制御信号に同期して前記開閉制御手段からの信号の利得を制御する2組の利得制御手段と、
前記信号合成手段は、前記2組の利得制御手段の出力を電流信号として加算または減算して位相変調信号を生成し、
前記低域通過手段は減衰量の小さなローパスフィルタである、
請求項1〜3のいずれかに記載の位相変調信号生成回路。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の位相変調信号生成回路を有し、前記位相変調信号から相対変位を算出する変位量検出装置。
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