JP2016148386A - 密封装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】互いに摺動可能に接触するシールリップおよびシールフランジの組み合わせを備えるとともにシールフランジの軸方向端面にネジ溝を設けた密封装置において、静止漏れが発生するのを抑制する。【解決手段】非回転のハウジング側に装着されるシールリップが回転軸側のシールフランジの軸方向端面に摺動可能に接触する構造を備え、シールフランジの軸方向端面に回転時ポンピング作用を発揮するネジ溝を設けた密封装置において、シールフランジの軸方向端面に環状溝をネジ溝と交差するように設け、環状溝の内面に対し記シールリップの先端部を摺動可能に接触させることを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、シール技術に係る密封装置に関する。本発明の密封装置は例えば、自動車関連の分野または汎用機械の分野等において回転用オイルシールとして用いられる。
従来から図6(A)に示すように、非回転のハウジング51側に装着されるシールリップ102が回転軸61側のシールフランジ103の軸方向端面103aに摺動可能に接触する構造を備える密封装置101が知られている。シールフランジ103の軸方向端面103aには図6(B)に示すように、回転軸61の回転時に遠心力による流体ポンピング作用を発揮するネジ溝104が設けられており、このネジ溝104を設けた軸方向端面103aに対しシールリップ102が摺動可能に接触している。
上記密封装置101は回転軸61の回転時、回転軸61と共に回転するシールフランジ103が遠心力による流体振り切り作用を発揮するとともにネジ溝104が遠心力による流体ポンピング作用を発揮するため、機内側Aの密封流体がシールリップ102およびシールフランジ103の接触部を通過して機外側Bへ漏洩するのを抑制することが可能とされる。
特開2014−137129号公報
しかしながら上記従来の密封装置101に対しては、以下の点について更なる機能向上が求められる。
すなわち上記密封装置101においては上記したように回転軸61の回転時、回転軸61と共に回転するシールフランジ103が遠心力による流体振り切り作用を発揮するとともにネジ溝104が遠心力による流体ポンピング作用を発揮するため、機内側Aの密封流体が機外側Bへ漏洩するのを抑制することが可能とされるが、回転軸61の回転が停止すると遠心力が消失し上記両作用が消失するため、密封流体がネジ溝104を伝って接触部を通過し、機外側Bへ漏洩する可能性がある(いわゆる静止漏れの発生の可能性)。
本発明は以上の点に鑑みて、互いに摺動可能に接触するシールリップおよびシールフランジの組み合わせを備えるとともにシールフランジの軸方向端面にネジ溝を設けた密封装置において、静止漏れが発生するのを抑制することができる密封装置を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するため、以下の手段を採用した。
すなわち本発明の密封装置は、非回転のハウジング側に装着されるシールリップが回転軸側のシールフランジの軸方向端面に摺動可能に接触する構造を備え、前記シールフランジの軸方向端面に回転時ポンピング作用を発揮するネジ溝を設けた密封装置において、前記シールフランジの軸方向端面に環状溝を前記ネジ溝と交差するように設け、前記環状溝の内面に対し前記シールリップの先端部を摺動可能に接触させることを特徴とする。
本発明の密封装置においては、シールフランジの軸方向端面に環状溝が設けられ、この環状溝がネジ溝と交差するように設けられるとともに環状溝の内面に対しシールリップの先端部が摺動可能に接触するため、ネジ溝を伝っての静止漏れの漏れ流路が、この環状溝の内面に対しシールリップの先端部が接触する部位において遮断されることになる。したがって、静止漏れが発生するのを抑制することが可能とされる。
尚、環状溝およびネジ溝の溝深さについて、ネジ溝の深さよりも環状溝の深さのほうが小さい場合および両溝の深さが同等の場合には、環状溝およびネジ溝が交差する部位においてシールリップの先端部が環状溝の内面に対し接触し得ないため、この交差する部位において密封流体が環状溝からその内周側のネジ溝へ少量ながら流出することが懸念される。そこで、これに対策するには、ネジ溝の深さよりも環状溝の深さのほうを大きく設定するのが好適であり、これによれば環状溝の内面に対しシールリップの先端部が全周に亙って接触するため、静止漏れが発生するのをほぼ完全に防止することが可能とされる。
本発明においては、互いに摺動可能に接触するシールリップおよびシールフランジの組み合わせを備えるとともにシールフランジの軸方向端面にネジ溝を設けた密封装置において、静止漏れが発生するのを抑制することができ、回転軸が回転している時のみならず静止している時にも密封流体が漏洩するのを抑制することができる。
本発明の実施例に係る密封装置の要部断面図 同密封装置に備えられるスリンガーの断面図 同密封装置に備えられるネジ溝および環状溝の説明図 同密封装置に備えられるネジ溝および環状溝の一部拡大斜視図 同密封装置に備えられるネジ溝および環状溝の一部拡大断面図 従来例を示す図であって、(A)は従来例に係る密封装置の要部断面図、(B)は同密封装置に備えられるネジ溝の説明図
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
図1は、本発明の実施例に係る密封装置1の要部断面を示している。
当該実施例に係る密封装置1は、非回転のハウジング51側に装着されるシールリップ24が回転軸61側のシールフランジ13の軸方向端面13aに摺動可能に接触する構造を備える密封装置であって、ハウジング(シールハウジング)51とこのハウジング51に設けた軸孔52に挿通する回転軸61との間で機内側(油側)Aの密封流体(油)が機外側(大気側)Bへ漏洩しないようにシールする密封装置(エンジン用オイルシール)である。またこの密封装置1は、ハウジング51の軸孔52内周に装着されるリップシール部材21と、回転軸61の外周に装着されるスリンガー11との組み合わせよりなり、リップシール部材21に、請求項1に記載したシールリップ24が備えられるとともに、スリンガー11に、請求項1に記載したシールフランジがフランジ部13として備えられている。
スリンガー11は、金属等の剛材製であって、回転軸61の外周面に固定(嵌合)されるスリーブ部12と、このスリーブ部12の軸方向一方の端部(機内側端部)に設けられた外向きのフランジ部13とを一体に有し、フランジ部13の軸方向他方の端面である機外側端面13aに図2および図3に示すような、回転軸61の回転時に遠心力による流体ポンピング作用を発揮することにより密封流体を外周側(機内側A)へ向けて押し戻す作用を発揮するネジ溝15が設けられている。矢印eは回転軸61の回転方向を示している。
一方、リップシール部材21は、ハウジング51の軸孔52内周面に固定(嵌合)される金属等の剛材よりなる取付環22と、この取付環22に被着(加硫接着)されたゴム状弾性体23とを有し、このゴム状弾性体23によって、スリンガー11におけるフランジ部13の機外側端面13aに摺動可能に接触するシールリップ(端面リップ)24と、スリンガー11に対し非接触の油回収リップ25が一体に設けられ、またこのゴム状弾性体23に対し、スリンガー11におけるスリーブ部12の外周面に摺動可能に接触するダストリップ26が組み付けられている。油回収リップ25はシールリップ24の機外側Bに配置され、ダストリップ26は油回収リップ25の更に機外側Bに配置されている。
シールリップ24は、その基端部24aから先端部24bへかけて漸次拡径するよう機内側Aであってかつ径方向外方へ向けて斜めに設けられており、その先端部24bの内周面にて、フランジ部13の機外側端面13aに接触している。またこの接触については所定の締め代(接触面圧)が設定され、よってシールリップ24はその先端部24bの内周面にてフランジ部13の機外側端面13aに対し所定の締め代をもって弾性的に接触している。
また図2、図3および図4に示すように、スリンガー11におけるフランジ部13の機外側端面13aに環状溝16がネジ溝15と交差するように設けられ、この環状溝16の内面に対しシールリップ24の先端部24bがその内周面をもって摺動可能に接触するように設定されている。
図5に拡大して示すように、環状溝16は、その溝深さdをネジ溝15の溝深さdよりも大きく形成されている。また、シールリップ24の先端部24bと環状溝16の内面との接触部Sは、その深さdをネジ溝15の溝深さd以上の大きさに形成され、ネジ溝15の溝深さdよりも大きく形成されている。したがってシールリップ24の先端部24bはその内周面をもって全周に亙って環状溝16の内面に対し摺動可能に接触することが可能とされている。
また、環状溝16は、その長手直角の断面形状を三角形に形成されて内周側斜面16aおよび外周側斜面16bを備え、両斜面16a,16bのうちの内周側斜面16aに対しシールリップ24の先端部24bを摺動可能に接触させている。また環状溝16は、その長手直角の断面形状を溝開口部を底辺する不等辺三角形に形成されて、機外側端面13aに対する角度θを比較的小さく設定された内周側斜面16aおよび機外側端面13aに対する角度θを比較的大きく設定された外周側斜面16bを備え、両斜面16a,16bのうち機外側端面13aに対する角度θを比較的小さく設定された内周側斜面16aに対しシールリップ24の先端部24bを摺動可能に接触させている。
上記構成の密封装置1においては、シールリップ24がその先端部24bにてフランジ部13の機外側端面13aに接触しており、この状態で回転軸61が回転してフランジ部13が従動回転すると、回転軸61と共に回転するフランジ部13が遠心力による流体振り切り作用を発揮するとともにネジ溝15が遠心力による流体ポンピング作用を発揮するため、機内側Aの密封流体がシールリップ24およびフランジ部13間の接触部を通過して機外側Bへ漏洩するのを抑制することが可能とされる。
また、回転軸61が静止している時には、密封流体がネジ溝15を伝って漏れようとするが、上記したようにスリンガー11における機外側端面13aに環状溝16がネジ溝15と交差するように設けられ、この環状溝16の内面に対しシールリップ24の先端部24bがその内周面をもって全周に亙って環状溝16の内面に対し摺動可能に接触しているため、ネジ溝15を伝っての静止漏れの漏れ流路が、この環状溝16の内面に対しシールリップ24の先端部24bが接触する部位において遮断される。したがって静止漏れをほぼ完全に防止することが可能とされる。
したがって以上説明したところにより、回転時のシール性を維持しつつ、静止漏れが発生するのを抑制することができる。
また、上記構成の密封装置1においては、シールリップ24の先端部24bが環状溝16の内面に接触する部位(接触部S)において回転時、ネジ溝15の流体ポンピング作用による動圧が発生し、この動圧がシールリップ24および環状溝16内面の接触部をその内周側から開くように作用する。したがって接触面圧を低減させ、摺動トルクを低減させることが可能される。
環状溝16の断面形状については、特に限定されず、例えば二等辺三角形や断面四角形、断面円弧形などであっても良い。
1 密封装置
11 スリンガー
12 スリーブ部
13 フランジ部(シールフランジ)
13a 機外側端面(軸方向端面)
15 ネジ溝
16 環状溝
16a 内周側斜面
16b 外周側斜面
21 リップシール部材
22 取付環
23 ゴム状弾性体
24 シールリップ
24a 基端部
24b 先端部
25 油回収リップ
26 ダストリップ
51 ハウジング
52 軸孔
61 回転軸
S 接触部
A 機内側
B 機外側

Claims (2)

  1. 非回転のハウジング側に装着されるシールリップが回転軸側のシールフランジの軸方向端面に摺動可能に接触する構造を備え、前記シールフランジの軸方向端面に回転時ポンピング作用を発揮するネジ溝を設けた密封装置において、
    前記シールフランジの軸方向端面に環状溝を前記ネジ溝と交差するように設け、
    前記環状溝の内面に対し前記シールリップの先端部を摺動可能に接触させることを特徴とする密封装置。
  2. 請求項1記載の密封装置において、
    前記ネジ溝の深さよりも前記環状溝の深さのほうを大きく設定したことを特徴とする密封装置。
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