JP2016146683A - 接地系流入電流計算装置及び方法 - Google Patents

接地系流入電流計算装置及び方法 Download PDF

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Abstract

【課題】接地抵抗の設計の基礎となる接地系流入電流をより精度良く計算できる接地系流入電流計算装置を提供することである。
【解決手段】電力系統を模擬する解析モデル22、解析モデル22の送電線モデルの地絡電流及び送電線モデルの電磁誘導電流が計算できる電磁過渡現象解析プログラム25を記憶装置20に記憶させておき、
地絡電流計算手段19は電磁過渡現象解析プログラム25及び解析モデル22を用いて解析対象の地絡電流を求め、電磁誘導電流計算手段23は電磁過渡現象解析プログラム25及び解析モデル22を用いて解析対象の電磁誘導電流を求め、接地系流入電流計算手段24は地絡電流計算手段19で求めた地絡電流から電磁誘導電流計算手段23で求めた電磁誘導電流を減算して接地系流入電流を求める
【選択図】 図1

Description

本発明は、電力系統の送電線に地絡事故が発生したときに変電所や開閉所の接地系に流入する接地系流入電流を計算する接地系流入電流計算装置及び方法に関する。
例えば、変電所の変圧器の中性点を直接接地した直接接地系変電所では、送電線に地絡事故が発生した場合、大きな地絡電流が流れるため、接地抵抗値を小さく抑え接地系電位上昇値をあまり上げないことが要求される。そのため、メッシュ状に埋設した接地網が一般的に採用されている。この接地網は、地絡事故時における電気所内の接地上昇電位を抑制するために抵抗値は小さくしなければならないが、地下地質の固有抵抗が大きかったり接地場所が狭い場合には、接地抵抗値を小さくできない場合がある。そこで、地下地質の固有抵抗が大きかったり、接地場所が狭いという不利な条件のもとであっても充分な接地を可能にするとともに、接地極の埋設位置に制限を受けることがないようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
接地系の接地抵抗の設計にあたっては、接地系に流入する接地系流入電流を把握し、その接地系流入電流に基づいて行うようにしている。従来においては、送電線に地絡事故が発生したときの接地系流入電流は、変圧器中性点及び引留鉄構に地絡電流が分流するという考え方で、その分流率は一般的な発変電所では40%程度として接地抵抗を設計している。
図7は、従来の接地系流入電流を求める考え方の説明図である。図7では変圧器11の1次側(例えば500kV)だけを示しており、図7の右側が電源側であり左側の変圧器11に電力が供給されているとする。
いま、送電線12の地絡点Fで地絡事故が発生したとすると、地絡電流Iは、接地極13への接地系流入電流Iと、接地極13を介した変圧器中性点14への分流電流I及び引留鉄構15への分流電流Iとに分流すると考え、地絡電流Iと接地系流入電流Iの分流率を算出している。これは、対称座標法により零相回路を考慮し零相インピーダンスを想定して計算されている。つまり、零相電流Iの3倍が変圧器中性点14に流れるとされている。架空地線16も零相インピーダンスを考え、カーソンポラチェック式から分流率を求めている。
特開平7−37669号公報
しかし、地絡電流Iは地絡点Fから接地極13を介して負荷側(変圧器11側)には分流せず、電源側(変圧器11側の反対側)に戻ると考えられるため、地絡点Fと変圧器中性点14との間では地絡電流は循環しないと考えられる。よって地絡電流Iが分流し分流率を考慮して接地系流入電流Iを求める考え方では、精度良く接地系流入電流Iを求めることはできないと考えられる。
電力系統の発変電所地点及び電力系統規模の違いにより、地絡電流I及び接地系流入電流Iは一律ではなく変わるため、合理的な接地抵抗の設計をするためには電力系統を全系模擬し解析することが望ましい。また500kV基幹系統の新設変電所は山岳地に建設されることが多くなり、所要の接地抵抗が取れないケースも出てきた。
本発明の目的は、接地抵抗の設計の基礎となる接地系流入電流をより精度良く計算できる接地系流入電流計算装置及び方法を提供するものである。
請求項1の発明に係る接地系流入電流計算装置は、電力系統の発電所に設置された電源モデルまたは発電機モデルを、接地された昇圧用変圧器及び引留鉄構を有した変電所モデルまたは接地された引留鉄構を有した開閉所モデルを介して送電線モデルに接続し、解析対象の変電所または開閉所の母線を模擬スイッチにより地絡事故を発生させて電力系統を模擬する解析モデル、前記送電線モデルの地絡電流及び前記送電線モデルの電磁誘導電流が計算できる電磁過渡現象解析プログラムを記憶した記憶装置と、前記電磁過渡現象解析プログラム及び前記解析モデルを用いて前記解析対象の変電所または開閉所の地絡電流を求める地絡電流計算手段と、前記電磁過渡現象解析プログラム及び前記解析モデルを用いて前記解析対象が変電所の場合は変圧器中性点及び引留鉄構に流れる電磁誘導電流を、前記解析対象が開閉所の場合は前記引留鉄構に流れる電磁誘導電流を求める電磁誘導電流計算手段と、前記解析対象が変電所の場合は前記地絡電流計算手段で求めた前記地絡電流から前記電磁誘導電流計算手段で求めた前記変圧器中性点及び引留鉄構に流れる電磁誘導電流を減算して接地系流入電流を求め、前記解析対象が開閉所の場合は前記地絡電流計算手段で求めた前記地絡電流から前記電磁誘導電流計算手段で求めた前記引留鉄構に流れる電磁誘導電流を減算して接地系流入電流を求める接地系流入電流計算手段とを備えたことを特徴とする。
請求項2の発明に係る接地系流入電流計算装置は、請求項1の発明において、前記電磁誘導電流計算手段は、前記地絡電流計算手段で求めた地絡電流と、前記電磁誘導電流計算手段で求めた電磁誘導電流との比率を求め、前記電磁誘導電流計算手段で求めた前記電磁誘導電流に代えて、前記地絡電流計算手段以外で求めた前記解析対象の変電所または開閉所の地絡電流に前記比率を乗算して前記解析対象の変電所または開閉所の電磁誘導電流を求めることを特徴とする。
請求項3の発明に係る接地系流入電流計算装置は、請求項1または請求項2の発明において、前記解析モデルは、前記解析対象の変電所または開閉所が繋がった基幹電力系統を全系模擬した解析モデル、または、前記解析対象の変電所または開閉所が繋がった縮小基幹電力系統を模擬した解析モデルであることを特徴とする。
請求項4の発明に係る接地系流入電流計算方法は、電力系統の発電所に設置された電源モデルまたは発電機モデルを、接地された昇圧用変圧器及び引留鉄構を有した変電所モデルまたは接地された引留鉄構を有した開閉所モデルを介して送電線モデルに接続し、解析対象の変電所または開閉所の母線を模擬スイッチにより地絡事故を発生させて電力系統を模擬する解析モデルを用意し、前記送電線モデルの地絡電流及び前記送電線モデルの電磁誘導電流が計算できる電磁過渡現象解析プログラムと前記解析モデルとを用いて、前記解析対象の変電所または開閉所の地絡電流を求め、前記解析対象が変電所の場合は変圧器中性点及び引留鉄構に流れる電磁誘導電流を、前記解析対象が開閉所の場合は前記引留鉄構に流れる電磁誘導電流を求め、前記解析対象が変電所の場合は前記地絡電流から前記変圧器中性点及び引留鉄構に流れる電磁誘導電流を減算して接地系流入電流を求め、前記解析対象が開閉所の場合は前記地絡電流から前記引留鉄構に流れる電磁誘導電流を減算して接地系流入電流を求めることを特徴とする。
本発明によれば、解析対象の変電所または開閉所の地絡電流を求め、地絡電流により発生する電磁誘導電流に着目し、解析対象が変電所の場合は変圧器中性点及び引留鉄構に流れる電磁誘導電流を求め、地絡電流から変圧器中性点及び引留鉄構に流れる電磁誘導電流を減算して接地系流入電流を求め、解析対象が開閉所の場合は引留鉄構に流れる電磁誘導電流を求め、地絡電流から引留鉄構に流れる電磁誘導電流を減算して接地系流入電流を求めるので、接地抵抗の設計の基礎となる接地系流入電流をより精度良く計算できる。
本発明の実施形態に係る接地系流入電流計算装置の一例を示す構成図。 本発明の実施形態での接地系流入電流を求める考え方の説明図。 電力系統を模擬する解析モデルの説明図。 送電線亘長が80kmで母線設備が三相GISや気中母線である場合の送電線装柱における上中下相が地絡相である場合の接地系流入電流のグラフ。 本発明の実施形態に係る接地系流入電流計算装置の他の一例を示す構成図。 本発明の実施形態に係る接地系流入電流計算方法を示すフローチャート。 従来の接地系流入電流を求める考え方の説明図。
以下、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の実施形態に係る接地系流入電流計算装置の一例を示す構成図である。接地系流入電流計算装置は、例えば一般的なパーソナルコンピュータで構成される。入力装置17から演算制御装置18に起動がかけられると、地絡電流計算手段19が起動される。
地絡電流計算手段19は、記憶装置20に記憶された電磁過渡現象解析プログラム25及び解析モデル22を用いて解析対象の変電所または開閉所の地絡電流を求めるものである。解析モデル22は、電力系統の発電所に設置された電源モデルまたは発電機モデルを、接地された昇圧用変圧器及び引留鉄構を有した変電所モデル、または接地された引留鉄構を有した開閉所モデルを介して送電線モデルに接続し、解析対象の変電所または開閉所の母線を模擬スイッチにより地絡事故を発生させて電力系統を模擬するものである。地絡電流計算手段19は、電磁過渡現象解析プログラム25を用いて解析モデル22の模擬スイッチにより模擬された送電線の地絡点での地絡電流を計算する。地絡電流計算手段19で計算された地絡電流Iは電磁誘導電流計算手段23お及び接地系流入電流計算手段24に入力される。
電磁誘導電流計算手段23は、地絡電流計算手段19から地絡電流Iが入力されると、記憶装置20に記憶された電磁過渡現象解析プログラム25及び解析モデル22を用いて解析対象の変電所または開閉所の電磁誘導電流を求めるものである。電磁過渡現象解析プログラム25は、例えば、電力系統の回路現象解析シミュレーションプログラムATP(Alternative Transients Program)の電磁誘導電流が計算できる電磁過渡現象解析プログラムEMTP(Electro Magnetic Transients Program)である。電磁誘導電流計算手段23は、解析対象が変電所の場合は変圧器中性点に流れる電磁誘導電流I及び引留鉄構に流れる電磁誘導電流Iを計算し、解析対象が開閉所の場合は引留鉄構に流れる電磁誘導電流Iを計算する。電磁誘導電流計算手段23で計算された電磁誘導電流I及び引留鉄構に流れる電磁誘導電流Iは、接地系流入電流計算手段24に入力される。
接地系流入電流計算手段24は、解析対象が変電所の場合は地絡電流計算手段19で求めた地絡電流Iから電磁誘導電流計算手段23で求めた変圧器中性点に流れる電磁誘導電流I及び引留鉄構に流れる電磁誘導電流Iを減算して接地系流入電流Iを求め、解析対象が開閉所の場合は地絡電流計算手段19で求めた地絡電流Iから電磁誘導電流計算手段23で求めた引留鉄構に流れる電磁誘導電流Iを減算して接地系流入電流Iを求める。そして、計算した接地系流入電流Iを出力装置26に出力する。
このように、本発明の実施の形態では、地絡電流Iにより発生する電磁誘導電流I、Iに着目し、接地系流入電流Iは対称座標法による零相回路の零相インピーダンスによる地絡電流の分流で決まるのではなく、あくまでも送電線や変電所回路に発生する地絡相の電磁誘導により架空地線や健全相に発生する電磁誘導電流が変圧器中性点に流れるという考えに基づくものである。つまり、地絡電流Iとそれによる電磁誘導電流I、Iの相殺分とが接地系流入電流Iとして大地に流れるというものである。
図2は、本発明の実施形態での接地系流入電流を求める考え方の説明図である。図2では変圧器11A、11Bの1次側だけを示しており、図2の右側の変圧器11Bが電源側であり左側の変圧器11Aに電力が供給されているとする。
いま、送電線12の地絡点Fで地絡事故が発生したとすると、地絡電流Iの一部は接地系流入電流Iとして接地極13Aに流れ込む。この地絡電流Iにより、変圧器11Aと変圧器11Bとの間の送電線12Aの健全相には電磁誘導電流Iが誘起され、変圧器11Bの右側の送電線12Bの健全相には電磁誘導電流I’が誘起される。変圧器11Aと変圧器11Bとの間の送電線12Aの健全相に誘起される電磁誘導電流Iは、変圧器11Aの中性点14A、送電線12A、変圧器11Bの中性点14B、接地極13B、大地、接地極13A、変圧器11Aの中性点14Aで形成される回路を循環する。同様に、変圧器11Bの右側の送電線12Bの健全相に誘起される電磁誘導電流I’は、変圧器11Bの中性点14B、送電線12B、変圧器11Bの右側の図示省略の変圧器の中性点、接地極、大地、接地極13B、変圧器11Bの中性点14Bで形成される回路を循環する。
また、変圧器11A側の引留鉄構15A1、15A2には、地絡相の地絡電流Iによる架空地線16Aに発生する電磁誘導電流Iが流れ、変圧器11B側の引留鉄構15B1には、地絡相の地絡電流Iによる架空地線16Bに発生する電磁誘導電流I’が流れる。電磁誘導電流Iは、引留鉄構15A1、架空地線16A、引留鉄構15A2、大地、引留鉄構15A1で形成される回路を循環する。同様に、電磁誘導電流I’は、引留鉄構15B1、架空地線16B、引留鉄構15B1の右側の図示省略の引留鉄構、大地、引留鉄構15B1で形成される回路を循環する。
また、地絡電流Iにより、変圧器11Aの3次Δ巻線27Aには還流電流IdA(=I−I)が流れ、変圧器11Bの3次Δ巻線27Bには還流電流IdB(=I−I’)が流れる。変圧器11Aの3次Δ巻線27Aの還流電流IdA(=I−I)は、変圧器11Aと変圧器11Bとの間の送電線12Aの健全相の電磁誘導電流Iにより誘起され、変圧器11Bの3次Δ巻線27Bの還流電流IdB(=I−I’)は、変圧器11Bの右側の送電線12Bの健全相の電磁誘導電流I’により誘起される。
変圧器11Aの3次Δ巻線27Aの還流電流IdA(=I−I)により、変圧器11Aと変圧器11Bとの間の送電線12Aの地絡相には電流(I−I)が流れ、変圧器11Bの3次Δ巻線27Bの還流電流IdB(=I−I’)により、変圧器11Bの右側の送電線12Bの地絡相には、電流IdB(=I−I’)が流れる。
変圧器11Aと変圧器11Bとの間の送電線12Aの地絡相に電流(I−I)が流れることから、変圧器11Aの中性点14Aには、変圧器11Aと変圧器11Bとの間の送電線12Aの健全相に発生する電磁誘導電流Iの3倍の電磁誘導電流I(=3I)が流れる。また、変圧器11Aの中性点14Bには、変圧器11Aと変圧器11Bとの間の送電線12Aの健全相に発生する電磁誘導電流Iと変圧器11Bの右側の送電線12Bの健全相に発生する電磁誘導電流I’との差分の3倍の電磁誘導電流I’(=3I−3I’)が流れる。
図2に示すとおり、本発明の実施形態では、引留鉄構15A1には地絡相の地絡電流Iによる架空地線16Aに発生する電磁誘導電流Iが流れ、変圧器11Aの中性点14Aには、3次△巻線27Aが存在するため、健全相に発生する電磁誘導電流Iの3倍が流れると考えるものである。
そして、接地系流入電流Iは対称座標法による零相回路の零相インピーダンスによる地絡電流の分流で決まるのではなく、あくまでも送電線12Aや変電所回路に発生する地絡相からの電磁誘導により、架空地線16A及び健全相に発生する電磁誘導電流Iが変圧器11Aの中性点14Aに流れるというものである。つまり、その地絡電流Iからそれらの電磁誘導電流I(=3I)、Iを相殺した(I−I−3I)が接地系流入電流Iとして接地極13Aを介して大地に流れるというものである。また、接地系流入電流I’として接地極13Bを介して(IG−I’+3I−3I’)が大地に流れる。これにより、接地系流入電流(I+I’)が大地を介して電源側に流れる。
次に、電力系統を模擬する解析モデルについて説明する。図3は電力系統を模擬する解析モデルの説明図である。図3では送電線の1次側だけを示している。電力系統を模擬する場合、基幹電力系統28を全系模擬する場合と、基幹電力系統28の一部で解析対象の変電所または開閉所を含んだ縮小基幹電力系統29を縮小模擬する場合とがある。
基幹電力系統28を全系模擬する場合には、基幹電力系統に繋がる各発電所30及び各送電線12、各変電所(または開閉所)31、解析対象の変電所(または開閉所)31A1、31A2のすべて繋がった基幹電力系統28を全系模擬する。一方、縮小基幹電力系統29を縮小模擬する場合には、縮小基幹電力系統29に繋がる発電所30及び送電線12、変電所(または開閉所)31、当該の解析対象の変電所(または開閉所)31A1、31A2を含んだ縮小基幹電力系統29を縮小模擬する。
解析モデルにおいて、発電所30の電源は定電圧源モデルまたは発電機モデル、変電所31の変圧器11はTransformerモデル、送電線12はJ.MartiモデルまたはK.C.Leeモデルとした。定電圧源モデルは、電圧一定の電源(COSINEカーブ)モデルであり出力電圧が変動し内電源モデル、発電機モデルは、励磁状態や内部インダクタンスなどにより出力電圧が変動する電源モデルであり、自動電圧調整装置AVR、超速応励磁装置、系統安定化装置PSS、回転子の慣性などを含むモデルで模擬するようにしてもよい。送電線モデルは架空地線と電力線の電磁誘導が解析できるモデルであり、変圧器モデルは変圧器11の励磁特性と漏れインピーダンスと変圧比が模擬できるモデルである。
また、図示省略の変電所母線はCable constantsモデルまたは単相分布定数モデル(ガス絶縁開閉装置GIS(Gas Insulated Switch)の場合)及びK.C.Leeモデル(架空線の場合)とし、背後インピーダンス(インダクタンス及び抵抗など)を模擬し、地絡点はスイッチで模擬した。変電所母線モデルは基本的に電磁誘導が解析できるモデルであり、背後インピーダンスはインダクタンスと抵抗である。
また、鉄塔や引留鉄構は雷時のインパルス応答特性で模擬してもよいが、雷時のインパルス応答特性に代えて商用周波電圧によるインピーダンス応答特性で模擬する。これは、商用周波数による引留鉄構や鉄塔のインピーダンスは、雷の時よりも小さくなると考えられるため接地系流入電流は小さくなると予想されるからである。接地系流入電流が小さくなると接地抵抗値が大きく取れる可能性が大きいからである。解析条件としては、基幹電力系統の模擬は縮小模擬でもよいが全系模擬する方がよい。
全系模擬でも縮小模擬でも基幹電力系統の変圧器を介した2次側(例えば275kV)には背後インピーダンスを何がしか挿入する。基幹電力系統全系を全系模擬すれば1次側(例えば500kV)には背後インピーダンスは必要ないが、2次側(例えば275kV)は送電線や変電所を模擬しきれないので、2次側はある程度省略して送電線や変電所をまとめて系統短絡容量などの背後インピーダンスで模擬する。背後インピーダンスとしては、基幹電力系統の短絡容量(例えば63kAや50kAなど)に相当するインピーダンスを挿入する。背後インピーダンスを挿入すると電流が抑えられるため、背後インピーダンスを挿入しない場合は電流が大きくなる。そこで、地絡電流が大きくなる厳しい条件で、基幹電力系統の2次側を模擬する場合は、変圧器を介して2次側母線に直接電源を接続するようにする。
次に、縮小基幹電力系統29を縮小模擬した解析モデルに対し、電力系統の回路現象解析シミュレーションプログラムATP(Alternative Transients Program)の電磁過渡現象解析プログラムEMTP(Electro Magnetic Transients Program)により、地絡電流、引留鉄構に流れる電磁誘導電流、変圧器中性点に流れる健全相電磁誘導電流、変圧器巻線にそれぞれ流れる電流を解析した。
表1は、2回線送電線の場合の送電亘長による地絡電流、接地系流入電流、引留鉄構電磁誘導電流、変圧器中性点電流、変圧器巻線電流を示すものであり、引留鉄構の接地線抵抗を1Ω、変圧器中性点の接地線抵抗を0.3Ω、地絡点の接地線抵抗を0Ωとして2回線運用時の送電線引込口の所で地絡した場合の解析結果を示す。
Figure 2016146683
表1から分かるように、送電線亘長が長くなるほど地絡電流は小さくなり、接地系流入電流も比率も小さくなっていく。また、引留鉄構の電磁誘導電流も比率も送電線亘長が長くなるにつれ、小さくなっていく。変圧器中性点電流はそれほど大きな違いはない。これらのことから送電線亘長が長くなるにつれ、送電線のインピーダンスが大きくなり地絡電流が小さくなるため、引留鉄構の電磁誘導電流の比率が多少小さくなり、その結果、接地系流入電流も比率も小さくなっていくと考えられる。実際には変電所には様々な送電線が連系されているため、系統規模と地絡点によって地絡電流は決まってくる。また送電線の電力線の健全相の電磁誘導電流は相間距離が大きいため、それほど大きくはならず、また健全回線からの地絡電流の回り込みもあるため、地絡電流の大きさほどには変圧器中性点電流は大きくならないものと考えられる。
表2は、送電線亘長が80kmで、1回線停止時の地絡相の違いによる母線設備による地絡電流、接地系流入電流、引留鉄構電磁誘導電流、変圧器中性点電流を示すものであり、引留鉄構の接地線抵抗を1Ω、変圧器中性点の接地線抵抗を0.3Ω、地絡点の接地線抵抗を0Ωとして1回線停止時の送電線の装柱における上中下相に繋がる変電所内の地絡事故時の解析結果を示している。
Figure 2016146683
表2から分かるように、上相地絡で解析すると母線設備が三相GISでも単相GISでも地絡電流、接地系流入電流などにほとんど違いはなく、GISでの電磁誘導の影響はわずかでほとんどないと考えられる。これは三相GISのときでも相間導体距離は短いがタンクにより電磁誘導電流を打ち消す方向に働き、単相GISのときとあまり変わらないためと考えられる。また気中母線のときは地絡電流がかなり小さくなり、接地系流入電流は12.7%と小さくなる。これは、送電線での電磁誘導は変わらないが、気中母線のため母線の電磁誘導が発生し、変圧器中性点電流が多少大きくなり、また気中母線の架空地線への屋外母線鉄構に流れる電磁誘導電流により地絡電流をキャンセルさせる働きをするためと考えられる。
中相地絡で解析すると三相GISのとき架空地線に流れる電磁誘導は架空地線との距離が長くなるため電磁誘導電流が小さくなり、引留鉄構の誘導電流が小さくなるが送電線での電力線の電磁誘導が多少大きくなるため、変圧器中性点に流れる電磁誘導電流が多少大きくなる。よって地絡電流に対する比率は上相地絡のときよりも大きくなる。気中母線のときは、地絡電流もGISよりは小さくなり、母線の架空地線からの母線との距離が長くなるため、変圧器中性点電流は多少小さくなり屋外母線鉄構に流れる誘導電流も小さくなるため、接地系流入電流は上相地絡のときよりは大きくなる。
下相地絡で解析すると三相GISのとき架空地線に流れる電磁誘導電流は架空地線との距離がさらに長くなるため、電磁誘導電流が小さくなり引留鉄構の誘導電流がさらに小さくなる。また送電線の電力線の電磁誘導は上相との距離がさらに長くなるため、さらに小さくなり変圧器中性点電流は上相地絡と同等となる。よって引留鉄構の誘導電流は小さくなり、接地系流入電流は最も大きくなる。気中母線のときは、引留鉄構の誘導電流はさらに小さくなり、変圧器中性点電流は上相地絡と同等となり、送電線の架空地線の電磁誘導電流が小さくなった分上相地絡時よりも接地系流入電流は大きくなる。
特に表2の解析結果は、零相回路の従来の接地系流入電流理論では説明がつかないが、本発明の実施形態による電磁誘導による接地系流入電流の考え方であればすべて説明できるので、実際の現象はこちらの考え方が正しいと考えられる。
また表2では、三相GISのときは変圧器回線GIS、三相母線での地絡事故を想定しており、単相GISのときは送電線回線GISの地絡事故を想定している。気中母線のときは、気中絶縁変電所の変圧器回線、母線地絡を想定している。よってGIS変電所と気中絶縁変電所とでは接地系流入電流に大きな差が出る。これらの解析結果から、気中絶縁変電所では最大接地系電位許容上昇値は全く問題ないと考えられる。よって、系統地点により接地系流入電流は大きく変わり、なおかつ地絡相によっても大きく変わるため新設のGIS変電所では系統全系を模擬し地絡電流および接地系流入電流を解析検討する必要があると考えられる。
また表2の解析結果から1回線停止時は送電線装柱の上相地絡のときが最も接地系流入電流が大きくなり、この条件で解析して接地系流入電流を求める必要があると考えられる。特に山岳地に建設する新設変電所では所要接地抵抗を低くするのが難しい場合もあるため、系統地点を見極め地絡電流および接地系流入電流を解析検討して所要接地抵抗値を押さえておく必要があると考えられる。
表3は、地絡相が送電線装柱の上相、送電線亘長が100km、母線設備が三相GISで1回線停止時の引留鉄構抵抗値、中性点抵抗値、地絡点抵抗値の違いによる地絡電流、接地系流入電流、引留鉄構電磁誘導電流、変圧器中性点電流を示すものであり、引留鉄構の接地線の抵抗を0.1Ω、1Ω、10Ω、変圧器中性点の接地線の抵抗を0.1Ω、3Ω、100Ω、600Ω、地絡点の接地立ち上げ線の抵抗を0.1Ω、3Ωとした場合の解析結果を示す。
Figure 2016146683
表3から分かるように、接地系流入電流が最も大きいのは引留鉄構の接地線抵抗が10Ωのときである。次に大きいのは地絡点の接地線抵抗が3Ωのときである。また中性点の接地抵抗が100Ωのとき接地系流入電流は5742A(44.2%)で下から2番目であった。中性点の接地線抵抗が3Ωのときは下から3番目で、5760A(43.5%)である。中性点の接地抵抗が600Ωのとき接地流入電流は上から3番目で5946A(48.3%)であった。これらのことから人身に影響のない最大接地系電位許容上昇値においては、抵抗接地系の変電所ではほとんど問題ないレベルである。また引留鉄構の接地線や変圧器中性点の接地線、地絡点の接地線は太い方が接地系流入電流も小さくなり、最大接地系電位上昇を抑えることができると考えられる。また引留鉄構の接地線抵抗値が大きくなると引留鉄構誘導電流が小さくなり、逆に変圧器中性点の誘導電流は若干大きくなる。地絡点の接地線抵抗を下げるためにGISタンクの立ち上げ接地線や変圧器タンクの立ち上げ接地線も太い方が接地系流入電流が小さくなるため、最大接地系電位上昇を抑えることができると考えられる。よって立ち上げ接地線の太さは地絡したときの地絡電流を故障遮断時間以内で通電させる容量よりも1ランクか2ランク太い方が最大接地系電位上昇を抑えるには効果があると考えられる。
表4は、地絡相が送電線装柱の上相、送電線亘長が100km、送電線運用と地絡点抵抗値の違いによる地絡電流、接地系流入電流、引留鉄構電磁誘導電流、変圧器中性点電流を示すものであり、2回線運用のときは地絡点の接地線抵抗を0Ω、3Ω、0.3μH(定常アークインダンスを1μH/m、三相GISの導体〜タンク間のスペーサのアーク距離0.3mとして0.3μH)、1回線停止のときは0Ω、3Ωとしたときの解析結果を示している。
Figure 2016146683
表4に示すように、送電線2回線運用時の方が接地系流入電流が大きくなり、解析の条件としては2回線運用時で、上相地絡で検討するのがよいと考えられる。また引留鉄構の接地線抵抗や変圧器中性点の接地線抵抗は、0.1Ω程度まで下げると仮定して、地絡点の接地線抵抗や地絡点のアークインダクタンスおよびアーク抵抗を考慮して、3Ω程度で解析すると最も接地系流入電流が大きくなるようである。また地絡点の接地線抵抗を3Ωとしたときに地絡電流が最も大きくなるのは、送電線のインダクタンスとキャパシタンスによる電流位相はほぼ遅れになっていると考えられ、そこにわずかな抵抗分の電流成分が加わることにより、遅れベクトルからわずかに進みベクトルになるため、スカラーが大きくなるためと考えられる。因みに地絡点の接地線抵抗を10Ωとして解析してみると、抵抗分による電流の減衰が起こり遅れベクトルの減衰によりスカラーが小さくなると考えられる。解析では500A程度小さくなった。
表5は、地絡相が送電線装柱の上相、送電線亘長が100km、引留鉄構抵抗値、中性点抵抗値、地絡点抵抗値は一定、変圧器台数の違いによる地絡電流、接地系流入電流、引留鉄構電磁誘導電流、変圧器中性点電流を示すものであり、変圧器台数を1台、2台、4台したときの解析結果を示している。
Figure 2016146683
表5から分かるように、接地系流入電流は変圧器台数が多くなるほど小さくなった。また変圧器中性点電流は、変圧器1台あたりの中性点電流は小さくなるがトータルとしてはほぼ台数に比例している。これは、送電線の電磁誘導電圧はほぼ変わらないが、変圧器台数が増えるに従い、変圧器の零相インピーダンスが反比例するため、中性点電流のトータルは比例するものと考えられる。また地絡電流は、健全相の電磁誘導電流が地絡相に重畳されるため、変圧器台数1台のときに比べ増えた中性点電流が変圧器台数1台のときの地絡電流に重畳されると考えられる。よって、変圧器台数が増えると地絡電流は増えるが、接地系流入電流は中性点電流すなわち健全相の電磁誘導電流が増えるため相殺されて小さくなる。
次に、図4は、送電線亘長が80kmで母線設備が三相GISや気中母線である場合の送電線装柱における上中下相が地絡相である場合の接地系流入電流のグラフである。曲線S1は母線設備が三相GISである場合の接地系流入電流、曲線S2は母線設備が気中母線である場合の接地系流入電流を示している。
図4から分かるように、気中母線の変電所では、接地系流入電流はかなり小さくなり、人身に影響のない最大接地系電位許容上昇値を考慮した接地抵抗値は問題ないレベルと考えられる。また母線設備が三相GISである変電所では、接地系流入電流は7300A程度になり、系統の電源から近い変電所ではかなり接地系流入電流は上がると考えられ、注意を要すると考えられる。実際には送電線が2回線で繋がっている変電所はほぼないと考えられ、系統の中心部ほど地絡電流は上がると考えられる。また系統端部の変電所では2次側の電源につながり変圧器を介して500kVに昇圧されているような変電所も見受けられる。そういう系統端部の変電所では地絡電流が大きく上がることはあまりないと考えられるが、解析してみないとわからない部分も多い。よってこれから新設される変電所は山岳地の系統端部の変電所が多いと考えられるが、その系統地点の最大地絡電流および最大接地系流入電流を解析検討する必要があると考えられる。
以上述べたように、解析条件としては、地絡相は上相、変電所形態はGIS、送電線運用は2回線送電あるいは変電所に繋がる送電線は全併用、引留鉄構の接地線抵抗は0.1Ω程度、変圧器中性点の接地線抵抗は0.1Ω程度、地絡点の接地線抵抗および地絡アーク抵抗を合計で3Ω程度とし、変圧器台数は1台とするのがよいと考えられる。電力系統の模擬は縮小模擬でもよいが全系模擬する方がよい。これらの条件で解析検討して、変電所母線地絡を想定し、最大の地絡電流および接地系流入電流を解析し、最大接地系電位許容上昇値から個別に所要の接地抵抗を求める必要があると考えられる。
送電線亘長100kmで2回線送電のとき接地抵抗の計算例としては引留鉄構の接地線抵抗を0.1Ω、変圧器中性点の接地線抵抗を0.1Ω、地絡点の接地線抵抗および地絡アーク抵抗を3Ω、変圧器台数を1台とすれば最大地絡電流は19.8kA、最大接地系流入電流は9906Aで、人身に影響のない最大接地系電位許容上昇値を考慮した所要接地抵抗値を算出できることになる。この理論は抵抗接地系の変電所でも適用できる。
以上のように、本発明の実施形態では、地絡電流は分流するのではなく、送電線による電磁誘導により地絡電流とその電磁誘導電流とが相殺されてその差し引き分が接地系流入電流となると考え、その差し引き分を電力系統の回路現象解析シミュレーションプログラムATPより電力系統全系を模擬し、解析対象の変電所(または開閉所)ごとに個別に解析し接地系流入電流を求める。そして、接地系流入電流に基づき、所要の接地抵抗値を計算する。
所要の接地抵抗値を計算するにあたって、今後の電力系統増強により地絡電流が増加すると予想される場合には、系統分離運用や系統切離し運用すれば地絡電流は減る傾向であるため、系統分離運用や系統切離し運用も考慮し、成熟期の電力系統の変電所または開閉所での最大地絡電流と電磁誘導電流を求め、それから接地系流入電流を求め、その所要接地抵抗値に多少の裕度を持った接地抵抗値を選択する。
また、将来にわたる新規の発電事業者の参入地点をあらかじめ想定し、その発電所や系統増強送電線を系統で模擬することにより系統の当該の変電所または開閉所の最大地絡電流分布および接地系流入電流を解析し、新規の発電事業者の参入地点を予測して、計算された接地系流入電流に対して裕度を持った接地抵抗値を選択する。これにより、接地極の接地抵抗を合理的な接地抵抗値とすることができる。
図5は、本発明の実施形態に係る接地系流入電流計算装置の他の一例を示す構成図である。この他の一例は、図1に示した一例に対し、電磁誘導電流計算手段23は、地絡電流計算手段19で求めた地絡電流Iと、電磁誘導電流計算手段23で求めた電磁誘導電流との比率を求め、電磁誘導電流計算手段23で求めた電磁誘導電流に代えて、地絡電流計算手段19以外で求めた解析対象の変電所または開閉所の地絡電流IF0に比率を乗算して解析対象の変電所または開閉所の電磁誘導電流を求めるようにしたものである。図1と同一要素には、同一符号を付し重複する説明は省略する。
地絡電流計算手段19は、解析モデル22の模擬スイッチにより模擬された送電線の地絡点での地絡電流Iを計算する。
電磁誘導電流計算手段23は、解析対象が変電所の場合は変圧器中性点に流れる電磁誘導電流I及び引留鉄構に流れる電磁誘導電流Iを計算し、解析対象が開閉所の場合は引留鉄構に流れる電磁誘導電流Iを計算する。
そして、電磁誘導電流計算手段23は、解析対象が変電所の場合は、地絡電流計算手段19で求めた地絡電流Iと、電磁誘導電流計算手段23で求めた電磁誘導電流(I+I)との比率α1を求め、地絡電流計算手段19以外で求めた解析対象の変電所の地絡電流IF0に比率α1を乗算して解析対象の変電所または開閉所の電磁誘導電流を求める。一方、解析対象が開閉所の場合は、地絡電流計算手段19で求めた地絡電流Iと、電磁誘導電流計算手段23で求めた電磁誘導電流Iとの比率α2を求め、地絡電流計算手段19以外で求めた解析対象の変電所の地絡電流IF0に比率α2を乗算して解析対象の開閉所の電磁誘導電流を求める。これにより、地絡電流計算手段19以外で求めた解析対象の変電所の地絡電流IF0を有効活用し、解析対象の変電所や開閉所の電磁誘導電流を求めることができる。
図6は、本発明の実施形態に係る接地系流入電流計算方法を示すフローチャートである。まず、電力系統を模擬する解析モデルを用意する(S1)。すなわち、電力系統の発電所に設置された電源モデルまたは発電機モデルを、接地された昇圧用変圧器及び引留鉄構を有した変電所モデルまたは接地された引留鉄構を有した開閉所モデルを介して送電線モデルに接続し、解析対象の変電所または開閉所の母線を模擬スイッチにより地絡事故を発生させて電力系統を模擬する解析モデルを用意する。解析モデルは、前述したように全系模擬または縮小模擬のいずれでもよいが、好ましくは全系模擬の解析モデルがよい。
次に、解析対象の地絡電流を求める(S2)。すなわち、解析モデルの模擬スイッチにより地絡事故を発生させて、送電線モデルの地絡電流及び送電線モデルの電磁誘導電流が計算できる電磁過渡現象解析プログラムと解析モデルとを用いて、解析対象の変電所または開閉所の地絡電流を求める。
そして、解析対象の電磁誘導電流を求める(S3)。すなわち、解析対象が変電所の場合は変圧器中性点及び引留鉄構に流れる電磁誘導電流を、解析対象が開閉所の場合は引留鉄構に流れる電磁誘導電流を求める。
次に、接地系流入電流を求める(S4)。すなわち、解析対象が変電所の場合は地絡電流から変圧器中性点及び引留鉄構に流れる電磁誘導電流を減算して接地系流入電流を求め、一方、解析対象が開閉所の場合は地絡電流から引留鉄構に流れる電磁誘導電流を減算して接地系流入電流を求める。これにより、接地抵抗の設計の基礎となる接地系流入電流をより精度良く計算できる。
以上のように、解析対象の変電所(または開閉所)ごとに個別に解析し接地系流入電流を求めるので、精度よく接地系流入電流を求めることができる。従って、解析対象の変電所や開閉所ごとに個別に接地系流入電流が解析評価できるので所要の接地抵抗値を合理的に設計できる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
11…変圧器、12…送電線、13…接地極、14…変圧器中性点、15…引留鉄構、16…架空地線、17…入力装置、18…演算制御装置、19…地絡電流計算手段、20…記憶装置、22…解析モデル、23…電磁誘導電流計算手段、24…接地系流入電流計算手段、25…電磁過渡現象解析プログラム、26…出力装置、27…3次Δ巻線、28…基幹電力系統、29…縮小基幹電力系統、30…発電所、31…変電所(または開閉所)、31A…解析対象の変電所(または開閉所)

Claims (4)

  1. 電力系統の発電所に設置された電源モデルまたは発電機モデルを、接地された昇圧用変圧器及び引留鉄構を有した変電所モデルまたは接地された引留鉄構を有した開閉所モデルを介して送電線モデルに接続し、解析対象の変電所または開閉所の母線を模擬スイッチにより地絡事故を発生させて電力系統を模擬する解析モデル、前記送電線モデルの地絡電流及び前記送電線モデルの電磁誘導電流が計算できる電磁過渡現象解析プログラムを記憶した記憶装置と、
    前記電磁過渡現象解析プログラム及び前記解析モデルを用いて前記解析対象の変電所または開閉所の地絡電流を求める地絡電流計算手段と、
    前記電磁過渡現象解析プログラム及び前記解析モデルを用いて前記解析対象が変電所の場合は変圧器中性点及び引留鉄構に流れる電磁誘導電流を、前記解析対象が開閉所の場合は前記引留鉄構に流れる電磁誘導電流を求める電磁誘導電流計算手段と、
    前記解析対象が変電所の場合は前記地絡電流計算手段で求めた前記地絡電流から前記電磁誘導電流計算手段で求めた前記変圧器中性点及び引留鉄構に流れる電磁誘導電流を減算して接地系流入電流を求め、前記解析対象が開閉所の場合は前記地絡電流計算手段で求めた前記地絡電流から前記電磁誘導電流計算手段で求めた前記引留鉄構に流れる電磁誘導電流を減算して接地系流入電流を求める接地系流入電流計算手段とを備えたことを特徴とする接地系流入電流計算装置。
  2. 前記電磁誘導電流計算手段は、前記地絡電流計算手段で求めた地絡電流と、前記電磁誘導電流計算手段で求めた電磁誘導電流との比率を求め、前記電磁誘導電流計算手段で求めた前記電磁誘導電流に代えて、前記地絡電流計算手段以外で求めた前記解析対象の変電所または開閉所の地絡電流に前記比率を乗算して前記解析対象の変電所または開閉所の電磁誘導電流を求めることを特徴とする請求項1に記載の接地系流入電流計算装置。
  3. 前記解析モデルは、前記解析対象の変電所または開閉所が繋がった基幹電力系統を全系模擬した解析モデル、または、前記解析対象の変電所または開閉所が繋がった縮小基幹電力系統を模擬した解析モデルであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の接地系流入電流計算装置。
  4. 電力系統の発電所に設置された電源モデルまたは発電機モデルを、接地された昇圧用変圧器及び引留鉄構を有した変電所モデルまたは接地された引留鉄構を有した開閉所モデルを介して送電線モデルに接続し、解析対象の変電所または開閉所の母線を模擬スイッチにより地絡事故を発生させて電力系統を模擬する解析モデルを用意し、
    前記送電線モデルの地絡電流及び前記送電線モデルの電磁誘導電流が計算できる電磁過渡現象解析プログラムと前記解析モデルとを用いて、
    前記解析対象の変電所または開閉所の地絡電流を求め、
    前記解析対象が変電所の場合は変圧器中性点及び引留鉄構に流れる電磁誘導電流を、前記解析対象が開閉所の場合は前記引留鉄構に流れる電磁誘導電流を求め、
    前記解析対象が変電所の場合は前記地絡電流から前記変圧器中性点及び引留鉄構に流れる電磁誘導電流を減算して接地系流入電流を求め、前記解析対象が開閉所の場合は前記地絡電流から前記引留鉄構に流れる電磁誘導電流を減算して接地系流入電流を求めることを特徴とする接地系流入電流計算方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021109630A1 (zh) * 2019-12-03 2021-06-10 广东电网有限责任公司 高土壤电阻率地区雷击输电线路耐雷水平测评方法
WO2021109634A1 (zh) * 2019-12-03 2021-06-10 广东电网有限责任公司 计及线路土壤电阻率差异化的雷击跳闸率试验方法
WO2021109633A1 (zh) * 2019-12-03 2021-06-10 广东电网有限责任公司 一种基于粒子群算法的输电线路绕击跳闸率测评方法

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