JP2016145674A - 構造物及び構造物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】流体の熱交換に用いる構造物であって、上記構造物を形成する部材は、蓄熱材と樹脂とからなり、上記蓄熱材は、カプセル内に蓄熱物質が封入されてなり、かつ、上記部材の内部に存在していることを特徴とする構造物。
【選択図】 図1
Description
快適条件となる屋内温度と屋外温度の差が大きくなる夏季もしくは冬季においては、冷房や暖房等の空調システムを用い、屋内環境の屋内温度を快適条件となるように調節させている。その一方、屋内の空気を入れ替える換気をすることにより、屋内の不快感が軽減されるが、屋外の新鮮な空気が屋内に流入し、その流入分が屋内温度を変化させる。その屋内温度の変化に対して、空調システムの稼動負荷が増えるため、冷暖房効率が低下する。また、快適な屋内温度の変化に対して、快適条件となる屋内温度に戻すためには、一定時間を要する。
特許文献1の構造物は、屋内と屋外とを繋ぐ換気ユニットの空気の流路に配置されることになる。また、構造物は、所定の温度まで蓄熱することができるようになっていて、換気の際に蓄熱構造物に空気を通過させて蓄熱構造物と空気との間で熱交換することにより、屋内の温度及び湿度を調整することが記載されている。
また、従来技術の構造物は、セラミックからなる多孔質部材で構成されているので材料の密度が小さいので、構造物の単位体積当たりの熱容量が小さい。このような従来技術の構造物の熱容量を増加する方法として、構造物の体積を大きくする方法がある。しかし、構造物の体積を大きくすると、構造物を設置するための空間も大きくなり、構造物の用途及び使用が制限される。このような理由から構造物の体積を大きくする以外の方法で熱容量を大きくすることも求められた。
なお、本明細書において「蓄熱物質」とは、熱交換において、高温側の温度と、低温側の温度との間の温度で相転移する物質のことを意味する。
例えば、本発明の構造物では、樹脂により骨格が形成され、カプセル内に蓄熱物質が封入されてなる蓄熱材が樹脂の内部に又は樹脂から一部を露出して存在していてもよい。樹脂を用いることで、蓄熱材を樹脂の内部に、又は、樹脂から一部を露出して存在させることができる。また、蓄熱材を用いる結果として、構造物の熱容量を大きくすることができる。
このような構造物を流体との熱交換に用いると、構造物の温度が変化することに伴い、蓄熱物質が相転移する。蓄熱物質が相転移する際には、潜熱として熱を放出又は吸収するので、蓄熱物質には温度変化が生じない。従って、蓄熱物質が相転移している間は、構造物の温度が変化しにくくなる。そのため、熱交換の際に、構造物を所定の温度に長時間保ちやすくなる。従って、本発明の構造物では、熱交換の際に熱交換機能を確保することができる。また、蓄熱物質は、潜熱として熱を放出又は吸収することもできるので、相転移温度における蓄熱物質の放出又は吸収できる熱量は大きい。そのため、本発明の構造物では、単位体積当たりの放出又は吸収できる熱量が大きくなる。従って、本発明の構造物を小型化しても充分な熱量を放出又は吸収することができる。
本発明の構造物では、蓄熱物質がカプセル内に封入されているので、蓄熱物質が相転移したとしても、蓄熱物質がカプセル外に漏れ出ることはない。つまり、蓄熱物質が構造物から漏れ出ることを防ぐことができる。そのため、本発明の構造物は、流体との熱交換に繰り返し用いることができる。
なお、蓄熱材として蓄熱物質そのものを使用し、これを樹脂と混合し構造物を製造する場合、蓄熱物質が相転移した際に、蓄熱物質が構造物から漏れ出るなどの不具合を引き起こすことがある。
構造物が流入口、流路、流出口を有する構造であると、流体との熱交換において、流体が構造物の内部を通過することになる。
つまり、流体が構造物を通過する間、流体と構造物とが接触することになり、その結果、接触に対して、流体と構造物との間で効率よく熱交換することができる。
複数の流路を有する構造物であると、流体と構造物との接触度合いを増加させることができる。流体と構造物との熱交換効率は、これらの接触度合いの大きさに依存するので、本発明の構造物では、効率よく熱交換をすることができる。
構造物がハニカム形状であると、流路の形状の組み合わせにより用途の自由度が上がる。また、構造物の強度を強くすることができる。さらに、流体と構造物との接触度合いを増加させることができる。
隔壁の厚さが、50μm以上であると、隔壁が充分に厚いので、構造物の強度が充分に強くなる。また、隔壁に含まれる蓄熱材を充分な量とすることができるので、熱交換効率が向上する。
隔壁の厚さが、5000μm以下であると、流体と構造物との接触度合いを充分に大きくすることができる。また、隔壁の内部まで熱が伝わりやすくなる。そのため、熱交換効率が向上する。
流路の密度が、10個/平方インチ以上であると、流体と構造物との接触度合いが大きくなる。そのため、熱交換効率が向上する。
流路の密度が、1000個/平方インチ以下であると、隔壁が充分な厚さとなり、構造物が充分な強度となる。
蓄熱材の平均粒子径が10μm以上であると、蓄熱材に封入される蓄熱物質の量が充分な量となり、蓄熱材の量に対する、構造物の熱交換効率が充分に高くなる。また、構造物を形成することが阻害されにくくなる。
蓄熱材の平均粒子径が6000μm以下であると、蓄熱材の表面積が充分に大きくなり、蓄熱物質への伝熱速度又は蓄熱物質からの伝熱速度が充分に速くなる。その結果、構造物の熱交換効率が向上する。
本発明の構造物では、蓄熱材の平均粒子径が、隔壁の厚さよりも大きくてもよく、小さくてもよい。
隔壁の厚さに対して、平均粒子径が小さい蓄熱材を用いると、蓄熱材は隔壁内に収容される、又は、部分的に露出をすることになる。また、隔壁の厚さに対して、平均粒子径が同等又は大きい蓄熱材を用いると、蓄熱材は隔壁の少なくとも片側で露出をすることになる。
蓄熱材の平均粒子径は、熱交換効率や伝熱速度を考慮し、用途に応じて決定することが望ましい。
なお、「構造物の体積」とは、構造物の部材がある部分の体積を意味し、例えば、構造体の内部に空間がある場合、その空間は「構造体の体積」に含まれない。
また、体積の基準は、蓄熱物質の体積と、蓄熱物質の融点における構造物の体積とである。
蓄熱物質の含有量が5%以上であると、蓄熱物質の量が充分な量となり、構造物の熱交換効率が向上する。
蓄熱物質の含有量が85%以下であると、構造物を構成する樹脂の割合が高くなり、構造物の強度が充分に高くなる。
蓄熱材の一部が、部材の表面に露出していると、熱交換の際に流体と蓄熱材とが直接接することになる。従って、効率よく熱交換をすることができる。
本発明の構造物を熱交換に用いる際に、構造物を所定の温度に保つ効果は、蓄熱物質の相転移温度に依存する。また、蓄熱物質の相転移において、液体から固体への変化、又は、固体から液体への変化は体積の変化が少ないので制御しやすい。
そのため、蓄熱物質の融点が上記範囲にあると、熱交換の際に、本発明の構造物を好適な温度に保つことができる。また、蓄熱物質の融点が上記範囲にあることより、構造物の蓄熱量を任意に制御することができる。
これら物質は、容易に融点を制御することができるので蓄熱物質として好適に用いることができる。これらの中では、用途や使用に対しての設計の自由度が高くなるので、蓄熱物質にパラフィンを用いることが望ましい。
カプセルがこれら熱硬化樹脂であると、熱交換の際に、熱によりカプセルが破壊されることを防止することができる。
カプセルがこのような熱伝導率を有する第1フィラーを含むと、蓄熱物質へ熱を伝えやすくなる。すなわち、蓄熱物質への伝熱速度、又は、蓄熱物質からの伝熱速度を向上させることができる。従って、効率よく熱交換をすることができる。
これら樹脂は、本発明の構造物を構成する樹脂の骨格を形成することもでき、蓄熱材を内部に、又は、一部が露出するように配置することができる。
樹脂がこのような熱伝導率を有する第2フィラーを含むと、樹脂と蓄熱材との間の熱移動速度を向上させることができる。また、蓄熱材には蓄熱物質が含まれているので、結果的に、蓄熱物質への熱移動の速度、又は、蓄熱物質からの熱移動の速度を向上させることもできる。従って、効率よく熱交換をすることができる。
本発明の構造物の製造方法により、上記本発明の構造物を製造することができる。
3Dプリンタを用いることにより、任意の形状の構造物を製造することができる。
本発明の構造物の製造方法において、上記成形工程では、射出成形にて上記構造物を製造することが望ましい。
上記の押出成形又は射出成形のいずれかの成形方法を用いることにより、低コストで容易に所定の形状の構造物を製造することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
図1(a)は、本発明の構造物の一例を模式的に示す斜視図である。図1(b)は、図1(a)のA−A線断面図である。
図2は、本発明の構造物を形成する部材の内部の一例を模式的に示す本発明の構造物の断面図である。
図1(a)及び(b)に示す構造物1は、流体Fとの熱交換に用いる構造物である。
構造物1は、流体Fが流入する複数の流入口21と、流入口21から流入した流体Fが通過する複数の流路22と、流路22を通過した流体Fが流出する複数の流出口23とを有しており、構造物1の形状は、複数の流路22が隔壁24を隔てて長手方向に並設されたハニカム形状である。なお、流体Fの流れは、図1(b)中に矢印で示す。
また、図2に示すように、構造物1を形成する部材10は、蓄熱材11と樹脂14とからなり、蓄熱材11は、カプセル12内に蓄熱物質13が封入されてなり、かつ、部材10の内部に存在している。
構造物1がこのような構造であると、流体Fとの熱交換において、流体Fは構造物1の内部を通過することになる。つまり、流体Fが構造物1を通過する間、流体Fの周囲には常に構造物1が存在することになる。そのため、流体Fが構造物1を通過する際に、常に流体Fと構造物1とが接触することになる。従って、効率よく熱交換することができる。
構造物1が複数の流路22を有すると、流体Fと、構造物1との接触度合いを増加させることができる。流体Fと構造物1との熱交換効率は、これらの接触度合いの大きさに依存するので、構造物1では、効率よく熱交換をすることができる。
構造物1の形状がハニカム形状であると、流路22の形状の組み合わせにより用途及び使用の自由度が上がる。また、構造物1の強度を充分に強くすることができる。さらに、流体Fと構造物1との接触度合いを増加させることができる。
隔壁24の厚さが、50μm以上であると、隔壁24が充分に厚いので、構造物1の強度が充分に強くなる。また、隔壁24に含まれる蓄熱材11を充分な量とすることができるので、熱交換効率が向上する。
隔壁24の厚さが、5000μm以下であると、流体Fと構造物1との接触度合いを充分に大きくすることができる。また、隔壁24の内部まで熱が伝わりやすくなる。そのため、熱交換効率が向上する。
流路22の密度が、10個/平方インチ以上であると、流体Fと構造物1との接触度合いが大きくなる。そのため、熱交換効率が向上する。
流路22の密度が、1000個/平方インチ以下であると、隔壁24が充分な厚さとなり、構造物1が充分な強度となる。
相転移の態様としては、固体から液体への相転移、固体から気体への相転移、液体から固体への相転移、液体から気体への相転移、気体から固体への相転移等が挙げられる。蓄熱物質13は、熱交換において、高温側の温度と、低温側の温度との間の温度で、固体から液体又は液体から固体に相転移することが望ましい。
このような構造物1を流体Fとの熱交換に用いると、構造物1の温度が変化することに伴い、蓄熱物質13が相転移する。蓄熱物質13が相転移する際には、潜熱として熱を放出又は吸収するので、蓄熱物質13には温度変化が生じない。従って、蓄熱物質13が相転移している間は、構造物1の温度が変化しにくくなる。そのため、熱交換の際に、構造物1を所定の温度に長時間保ちやすくなる。従って、構造物1では、熱交換の際に熱交換機能を確保することができる。また、蓄熱物質13は、潜熱として熱を放出又は吸収することもできるので、相転移温度における蓄熱物質の放出又は吸収する熱量は大きい。そのため、構造物1では、単位体積当たりの放出又は吸収できる熱量が大きくなる。従って、構造物1を小型化しても充分な熱量を放出又は吸収することができる。
蓄熱材11の平均粒子径が10μm以上であると、蓄熱材11に封入される蓄熱物質13の量が充分な量となり、蓄熱材11の量に対する、構造物1の熱交換効率が充分に高くなる。また、構造物1を形成することが阻害されにくくなる。
蓄熱材11の平均粒子径が6000μm以下であると、蓄熱材11の表面積が充分に大きくなり、蓄熱物質13への伝熱速度又は蓄熱物質13からの伝熱速度が充分に速くなる。その結果、構造物1の熱交換効率が向上する。
構造物1では、蓄熱材11の平均粒子径が、隔壁24の厚さよりも大きくてもよく、小さくてもよい。
隔壁24の厚さに対して、平均粒子径が小さい蓄熱材11を用いると、蓄熱材11は隔壁24内に収容される、又は、部分的に露出をすることになる。また、隔壁24の厚さに対して、平均粒子径が同等又は大きい蓄熱材11を用いると、蓄熱材11は隔壁24の少なくとも片側で露出をすることになる。
蓄熱材11の平均粒子径は、熱交換効率や伝熱速度を考慮し、用途に応じて決定することが望ましい。
平均粒子径が相対的に大きい蓄熱材11の平均粒子径は、特に限定されないが、500〜3000μmであることが望ましく、800〜1500μmであることがより望ましい。
平均粒子径が相対的に小さい蓄熱材11の平均粒子径は、特に限定されないが、10〜300μmであることが望ましく、50〜200μmであることがより望ましい。
なお、「構造物1の体積」とは、図1(a)及び(b)において、部材10がある部分の体積を意味し、構造物1の内部空間である流路22の体積は、「構造物1の体積」に含まない。
また、体積の基準は、蓄熱物質13の体積と、蓄熱物質13の融点における構造物1の体積とである。
蓄熱物質13の含有量が5%以上であると、蓄熱物質13の量が充分な量となり、構造物1の熱交換効率が向上する。
蓄熱物質13の含有量が85%以下であると、構造物1を構成する樹脂14の割合が高くなり、構造物の強度が充分に高くなる。
また、蓄熱物質13は蓄熱材11の内部に存在しているので、蓄熱物質13の含有量が多くなる場合には、蓄熱材11の量も多くなる。蓄熱材11の量が多すぎる場合には、構造物1の表面付近に配置された蓄熱材11が脱落しやすくなる。しかし、蓄熱物質13の含有量が85%以下であると、構造物1に含まれる蓄熱材11の量が多くなりすぎない。そのため、蓄熱材11が脱落することを防ぐことができ、その結果、熱交換率が低下することを防ぐことができる。
図3に示すように、構造物1では、蓄熱材11の一部が、部材10の表面15に露出していることが望ましい。すなわち、蓄熱材11の一部が、部材10から飛び出し、流体Fと直接接する状態であることが望ましい。
蓄熱材11の一部が、部材10の表面15に露出していると、熱交換の際に流体Fと蓄熱材11とが直接接することになる。従って、効率よく熱交換をすることができる。
また、構造物1では、蓄熱材11が部材10の内部に存在していれば、部材10の表面15に蓄熱材11がさらに付着していてもよい。
図4に示すように、構造物1では、蓄熱材11が部材10を貫通し、部材10の表面15に露出していてもよい。
構造物1では、蓄熱物質13がカプセル12内に封入されているので、蓄熱物質13が相転移したとしても、蓄熱物質13がカプセル12外に漏れ出ることはない。つまり、蓄熱物質13が構造物1から漏れ出ることを防ぐことができる。
蓄熱材としては、三菱製紙株式会社製の商品名:サーモメモリー、三木理研株式会社製の蓄熱用マイクロカプセル、及び、JSR株式会社製の商品名:CALGRIP等の市販されているものを用いることができる。
構造物1を熱交換に用いる際に、構造物1を所定の温度に保つ効果は、蓄熱物質13の相転移温度に依存する。また、蓄熱物質13の相転移において、液体から固体への変化、又は、固体から液体への変化は体積の変化が少ないので制御しやすい。
そのため、蓄熱物質13の融点が上記範囲にあると、熱交換の際に、構造物1を好適な温度に保つことができる。また、蓄熱物質13の融点が上記範囲にあることより、構造物1の蓄熱量を任意に制御することができる。
これら物質は、容易に融点を制御することができるので蓄熱物質13として好適に用いることができる。これらの中では、用途や使用に対しての設計の自由度が高くなるので、蓄熱物質にパラフィンを用いることが望ましい。
カプセル12がこれら熱硬化樹脂であると、熱交換の際に、熱によりカプセル12が破壊されることを防止することができる。
カプセル12がこのような熱伝導率を有する第1フィラーを含むと、蓄熱物質13へ熱を伝えやすくなる。すなわち、蓄熱物質13への伝熱速度、又は、蓄熱物質13からの伝熱速度を向上させることができる。従って、効率よく熱交換をすることができる。
これら樹脂は、構造物1を構成する樹脂14の骨格を形成することもでき、蓄熱材11を内部に、又は、一部が露出するように配置することができる。
樹脂14がこのような熱伝導率を有する第2フィラーを含むと、樹脂14と蓄熱材11との間の熱移動速度を向上させることができる。また、蓄熱材11には蓄熱物質13が含まれているので、結果的に、蓄熱物質13への熱移動の速度、又は、蓄熱物質13からの熱移動の速度を向上させることもできる。従って、効率よく熱交換をすることができる。
まず、構造物1の温度が、流体Fの温度より高く、流体Fが構造物1を通過する際に流体Fが温められる場合を説明する。
図5は、流体が、流体の温度よりも高い温度の本発明の構造物を通過する際の、本発明の構造物及び本発明の構造物を通過した流体の温度変化の一例を模式的に示すグラフである。
図5において、実線は構造物1の温度を示し、破線は構造物1を通過した流体Fの温度を示している。
図6は、流体が、流体の温度よりも高い温度の一般的な熱交換用構造物を通過する際の、一般的な熱交換用構造物及び一般的な熱交換用構造物を通過した流体の温度変化の一例を模式的に示すグラフである。
なお、一般的な熱交換用構造物とは、例えば、蓄熱材料を含まないセラミック多孔体等であり、顕熱により熱交換する熱交換用構造物のことを意味する。
図6において、実線は、一般的な熱交換用構造物の温度を示し、破線は一般的な熱交換用構造物を通過した流体Fの温度を示している。
そして、時間が進むにつれ構造物1の温度は次第に低下することになる。
構造物1の温度が蓄熱物質13の融点である温度αまで低下すると、蓄熱物質13は液体から固体へと相転移する。蓄熱物質13が固体から液体に相転移している間(図5中t1〜t2の間)、蓄熱物質13は熱を放出し温度が一定に保たれる。また構造物1も、蓄熱物質13からの熱を受けるので、温度が一定に保たれることになる。そして、この間(図5中t1〜t2の間)は、流体Fを温める効果が低下しにくくなる。その結果、構造物1では、熱交換の際に熱交換機能が低下しにくい。
図7は、流体が、流体の温度よりも低い温度の本発明の構造物を通過する際の、本発明の構造物及び本発明の構造物を通過した流体の温度変化の一例を模式的に示すグラフである。
図7において、実線は構造物1の温度を示し、破線は構造物1を通過した流体Fの温度を示している。
図8は、流体が、流体の温度よりも低い温度の一般的な熱交換用構造物を通過する際の、一般的な熱交換用構造物及び一般的な熱交換用構造物を通過した流体の温度変化の一例を模式的に示すグラフである。
図8において、実線は一般的な熱交換用構造物の温度を示し、破線は一般的な熱交換用構造物を通過した流体Fの温度を示している。
そして、時間が進むにつれ構造物1の温度は次第に上昇することになる。
構造物1の温度が蓄熱物質13の融点である温度αまで上昇すると、蓄熱物質13は固体から液体へと相転移する。蓄熱物質13が液体から固体に相転移している間(図7中t1〜t2の間)、蓄熱物質13は熱を吸収し温度が一定に保たれる。また構造物1も、蓄熱物質13により熱を奪われるので、温度が一定に保たれることになる。そして、この間(図7中t1〜t2の間)は、流体Fを冷やす効果が低下しにくくなる。その結果、構造物1では、熱交換の際に熱交換機能が低下しにくい。
構造物1は、住宅換気システムに用いることができる。
図9は、本発明の構造物が用いられた住宅換気システムの一例を模式的に示す模式図である。
図10(a)及び(b)は、図9に示す住宅換気システムを用いて換気をする工程の一例を模式的に示す模式図である。
そして、住宅換気システム30は、構造物1がファン32よりも屋外側に配置され、かつ、住宅50の壁51を貫通するように設置されている。
上記構造の住宅換気システム30を用いて換気を行う場合には、換気される空気は構造物1の内部を通ることになる。
なお、住宅換気システム30では、構造物1がファン32よりも屋内側に配置されていてもよい。
住宅換気システム30を用いて、屋外の空気Aを屋内に取り込む場合、構造物1の温度は、寒い屋外の空気Acの温度よりも高く設定されており、蓄熱物質13は液体である。
図10(a)に示すように、屋外の空気Acは、ファン32により屋内に取り込まれる。その過程で、空気Acは構造物1を通過することになり、構造物1から空気Acへ熱Hが伝達される。そのため、住宅換気システム30を通じて空気Acが屋内に到達する際には、空気Acは充分に温められて温かい空気Ahとなっており、屋内温度が下がりにくくなる。
また、屋外の空気Acを取り込む過程において、蓄熱物質13は液体から固体に相転移することになる。
住宅換気システム30を用いて、屋内の空気Ahを屋外に排出する場合、構造物1の温度は、屋内の空気Ahの温度よりも低く設定されており、蓄熱物質13は固体である。
図10(b)に示すように、屋内の空気Ahは、ファン32により屋外に排出される、その過程で、空気Ahは構造物1を通過することになり、空気Ahから構造物1へ熱Hが伝達される。そして、空気Ahは、冷たい空気Acとなり屋外に排出されることになる。
この際、構造物1は充分に温められ、蓄熱物質13は固体から液体に相転移する。そのため、屋内の熱が構造物1に蓄積されることになる。つまり、屋内の空気Ahを屋外に排出する際に、屋内の熱の放出を低減することができる。
また、このように熱が蓄積された構造物1を、上述した屋外の空気Acの屋内への取り込みに用いることができる。
屋内への空気Acの取り込み及び屋外への空気Ahの放出の切り換えは、例えば、ファン32の回転を逆にすることにより行うことができる。
空調システムがエンジンの駆動と連動しているアイドリングストップ車において、アイドリングストップ車が信号待ちなどで一時停止すると、エンジンが止まることになる。また、エンジンの停止に伴いコンプレッサーも止まることになる。そのため、エバポレーターに冷媒が循環されなくなり、空気の冷却ができなくなる。この場合においても、稼動しているファンにより、空気は車内に供給されることになるが、その空気は、エンジンからの熱等により温められることになる。
そして、エンジン等からの熱により温められた空気がそのまま車内に送風され、車内の温度が一時的に上昇し不快になることがある。
しかし、構造物1を空調システムの送風口に配置することにより車内の温度の一時的な上昇を抑制することができる。その原理を以下に説明する。
図11(a)〜(c)に示すように、空調システム70は、空気Aを冷却するためのエバポレーター73と、冷却された空気Aの通り道となる送風管71と、その出口である送風口72とを備えており、構造物1が送風口72に配置されている。
そうすると、図11(c)に示すように、エンジンの起動に伴い、コンプレッサーも起動しエバポレーター73に冷媒が循環し始める。そして、空調システム70は冷たい空気Acを再度供給する。この際、再度構造物1から空気Acに熱Hが移動すると共に蓄熱物質13が液体から固体に相転移する。そして、構造物1は、空気Aを冷却する機能を取り戻す。
このような場合に、構造物1を用いることにより、空調システム70を起動させた際、一般的な熱交換用構造物が空調システムに配置されている場合に比べ、速やかに車両内を冷却することができる。
従って、構造物1がエバポレーター73から供給される空気に接触すると、速やかに構造物1の温度が蓄熱物質13の融点まで低下する。
その速度は、一般的な熱交換用構造物が蓄熱物質13の融点まで低下する速度よりも速い。
図12(a)及び(b)は、車両内の温度が高い場合に、本発明の構造物が配置されている空調システムを用いて車両内の温度を低くする工程を模式的に示す模式図である。
図13(a)及び(b)は、車両内の温度が高い場合に、一般的な熱交換用構造物が配置されている空調システムを用いて車両内の温度を低くする工程を模式的に示す模式図である。
なお、図12(a)及び(b)並びに図13(a)及び(b)中、熱の移動を矢印で示し、その量を矢印の太さで表す。
また、図13(a)に示すように、車両内の温度が高い場合に、一般的な熱交換用構造物が配置されている空調システム170を起動すると、冷却された空気Acが送風管171を通り一般的な熱交換用構造物101に到達する。そして、一般的な熱交換用構造物101から冷却された空気Acに熱Hが移動する。
ここで、構造物1と一般的な熱交換用構造物101の蓄熱量が同じであると、一般的な熱交換用構造物101は、顕熱のみで蓄放熱するが、潜熱蓄熱材を含む構造物1の場合は、潜熱も利用できるため体積が小さくなる。そのため、潜熱蓄熱材を含む構造物1は、顕熱の蓄放熱量を小さく抑えることができるので、一般的な熱交換用構造物101よりも速やかに温度変化する。
つまり、空調システム70又は空調システム170を起動させた初期の段階では、構造物1の温度が、一般的な熱交換用構造物101の温度よりも低い期間が生じる。
dp=h(Tf−Ts)・・・(1)
(式(1)中、dpは単位時間あたりの単位面積を横切って移動した熱量を示し、hは熱伝達率を示し、Tfは流体の温度を示し、Tsは構造物の表面の温度を示す。)
上記式(1)に従えば、構造物1の温度が、一般的な熱交換用構造物101の温度よりも低い期間においては、構造物1と空気Acとの温度差が、空調システム170を起動した初期の段階における一般的な熱交換用構造物101と空気Acとの温度差よりも小さくなる。
そのため、図12(b)及び図13(b)に示すように、構造物1から空気Acに移動する熱量は、一般的な構造物101から空気Acに移動する熱量よりも少なくなる。
そのため、この期間においては、構造物1を用いる方が、一般的な熱交換用構造物101を用いるよりも、車内に送風される空気Acの温度が低くなる。従って、車内の速やかな冷却をすることができる。
まず、カプセル内に蓄熱物質が封入されてなる蓄熱材と樹脂とを混合して混合物を調製する。
蓄熱材と樹脂とを混合する方法は、特に限定されず、湿式混合であっても、乾式混合であってもよい。また、混合物では、蓄熱材が樹脂に均等に分散していることが望ましい。
さらに、蓄熱材と樹脂とを混合する際には、無機繊維、金属粉末等を合わせて混合してもよい。
なお、蓄熱材及び樹脂の構成材料や割合等、並びに、カプセル及び蓄熱物質の構成材料や大きさ等は上述した通りなのでここでの記載は省略する。
次に、上記(1)混合工程で得られた混合物を成形して、蓄熱材と樹脂とからなる部材により形成され、複数の流路が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム形状である構造物を成形する。
混合物を成形する際には、3Dプリンタを用いてもよく、押出成形又は射出成形により成形してもよい。
3Dプリンタを用いることにより構造物を製造することができる。
また、混合物を押出成形又は射出成形により成形する場合には、混合物を成形後、混合物の材質に応じて加熱、光照射等を行うことにより形状を固定させることにより構造物を製造することができる。
すなわち、筒状体31は、蓄熱材11と樹脂14とからなる部材10により形成され、蓄熱材11は、カプセル12内に蓄熱物質13が封入されてなり、かつ、部材10の内部に存在していてもよい。
住宅換気システム30を用いて換気をする際に、筒状体31も空気Aと接触することになる。筒状体31が上記構成であると、筒状体31は熱交換に用いる構造物として機能する。従って、空気Aとの熱交換を効率的に行うことができる。
図14は、本発明の構造物が配置された車両の空調システムの送風口を模式的に示す透過図である。
空調システム70内部の送風管71も、送風口72に配置されたルーバー74も空調システム70から送風される空気Aと接触することになる。空調システム70内部の送風管71や、送風口72に配置されたルーバー74が上記構成であると、これらは、熱交換に用いる構造物として機能する。従って、空気Aとの熱交換を効率的に行うことができる。
構造物1の形状がフィン形状であると、構造物1は配管ダクト等のフィンに用いることができる。配管ダクト等のフィンは、流体と接触することになる。従って、構造物1は、フィンの機能を果たすと共に、流体の温度を制御する機能も有する。
構造物1がこのような形状であると、容易に流路内に空気を導入又は流路から空気を排出することができ、熱効率を向上させることができる。
(1)本発明の構造物は、カプセル内に蓄熱物質が封入されてなる蓄熱材を含んでいる。
このような構造物を流体との熱交換に用いると、構造物の温度が変化することに伴い、蓄熱物質が相転移する。蓄熱物質が相転移する際には、潜熱として熱を放出又は吸収するので、蓄熱物質には温度変化が生じない。従って、蓄熱物質が相転移している間は、構造物の温度が変化しにくくなる。そのため、熱交換の際に、構造物を所定の温度に長時間保ちやすくなる。従って、本発明の構造物は、熱交換の際に熱交換機能が確保される。
また、蓄熱物質は、潜熱として熱を放出又は吸収することもできるので、相転移温度における蓄熱物質の放出又は吸収できる熱量は大きい。そのため、本発明の構造物は、単位体積当たりの放出又は吸収できる熱量が大きくなる。従って、本発明の構造物を小型化しても充分な熱量を放出又は吸収することができる。
例えば、構造物が、蓄熱物質を直接充填させた樹脂からなると、蓄熱物質が相転移した際に、蓄熱物質が構造物から漏れ出ることがある。
しかし、本発明の構造物では、蓄熱物質がカプセル内に封入されているので、蓄熱物質が相転移したとしても、蓄熱物質がカプセル外に漏れ出ることはない。つまり、蓄熱物質が構造物から漏れ出ることを防ぐことができる。そのため、本発明の構造物は、流体との熱交換に繰り返し用いることができる。
以下、本発明の第一実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
(1)混合工程
樹脂として液状アクリル樹脂を107gと、蓄熱材としてパラフィン入りカプセル状蓄熱材(三菱製紙社製、製品名「サーモメモリーFP−9」)を65gとを混合して混合物を得た。なお、パラフィン入りカプセル状蓄熱材にパラフィンは80重量%の割合で含まれており、その融点は9℃であった。
また、液状アクリル樹脂と、パラフィンとの体積比は、液状アクリル樹脂:パラフィン=65:35であった。
次に、上記(1)混合工程で得られた混合物を、3Dプリンター(3D Systems,Inc.社製、製品名「PJ−1500」)を用いて、紫外線照射により液状アクリル樹脂を光硬化させることにより、実施例1−1に係るハニカム形状の構造物を得た。実施例1−1の構造物は、外形が直径85.0mm、長さ104.0mmの円柱状であった。また、流入口及び流出口の形状が、3.80mm×3.80mmの正方形であり、隔壁の厚さが0.78mmであった。また、流路の密度は、31個/平方インチであった。また、実施例1−1に係る構造物を形成する部材の体積は198.8cm3であり、密度は1.00g/cm3であった。
(1)混合工程
樹脂としてポリプロピレン樹脂を16.35kgと、蓄熱材としてパラフィン入りカプセル状蓄熱材(三菱製紙社製、製品名「サーモメモリーFP−9」)を33.65kgとを押出機でシリンダー温度を160℃にて溶融・混合し、押出しカットしてペレットを作成した。
(2)成型工程
次に、上記(1)混合工程で得られたペレットを用いて、流路の密度が31個/平方インチとなる金型を用いて、押出機にて押出成形することによりハニカム形状からなる構造物を作製した。なお、押出成形の際、押出機のシリンダー温度を160℃にした。また、実施例1−2に係る構造物の形状が、実施例1−1に係る構造体と同じ形状の円柱状となるような金型を用いて成形を行った。
(1)混合工程
樹脂としてポリプロピレン樹脂を16.35kgと、蓄熱材としてパラフィン入りカプセル状蓄熱材(三菱製紙社製、製品名「サーモメモリーFP−9」)を33.65kgとを押出機でシリンダー温度を160℃にて溶融・混合し、押出しカットしてペレットを作成した。
(2)成型工程
図15(a)〜(d)は、実施例1−3の成形工程を模式的に示す模式図である。
次に、上記(1)混合工程で得られたペレットを射出成形機にて成形金型に射出し、図15(a)に示すような、底面に隔壁が規則的かつ垂直に形成された射出成形体を作製した。なお、射出成形体の隔壁の間隔は3.80mmであり、隔壁の高さは3.80mmであった。また、射出成形の際、成形金型の温度を40℃、射出成形機のシリンダー温度を160℃とした。
次に、図15(b)に示すように、射出成形体を積層し接着により貼り合わせて、図15(c)に示すような流路の密度が31個/平方インチとなるハニカム形状からなる構造物を得た。
そして、得られた構造物を、図15(c)に示す破線の部分で切り取り、図15(d)に示すように、実施例1−1に係る構造物と同じ形状の円柱状となるように、外周をポリプロピレン樹脂で埋め、外径加工を行った。
原料のコージェライトを粉砕・粒度調整し、所定の化学組成になるように調合し、水とバインダーを加え混練した後、押出機にてハニカム状に押出成形されたものを乾燥、焼成した。
比較例1−1の構造物は、外形が直径96.0mm、長さ147.4mmの円柱状であった。また、流入口及び流出口の形状が、3.98mm×3.98mmの正方形であり、隔壁の厚さが0.60mmであった。また、流路の密度は、31個/平方インチであった。また、比較例1−1に係る構造物を形成する部材の体積は308.6cm3であり、密度は2.84g/cm3であった。
原料のコージェライトを粉砕・粒度調整し、所定の化学組成になるように調合し、水とバインダーを加え混練した後、押出機にてハニカム状に押出成形されたものを乾燥、焼成した。
比較例1−2の構造物は、外形が直径96.1mm、長さ99.4mmの円柱状であった。また、流入口及び流出口の形状が、3.98mm×3.98mmの正方形であり、隔壁の厚さが0.60mmであった。また、流路の密度は、31個/平方インチであった。また、比較例1−2に係る構造物を形成する部材の体積は208.2cm3であり、密度は2.82g/cm3であった。
実施例1−1並びに比較例1−1及び比較例1−2に係る構造物を20℃とし、各構造物に1.0℃の空気を1.8m/secで70秒間流入させ、各構造物から流出後の空気の温度を測定した。結果を図16に示す。図16は、排気試験1の結果を示すグラフである。
なお、排気試験1は、住宅換気システムにおいて屋外の空気を屋内に取り込む場合を想定している。
上記排気試験1後の各構造物に、19.5℃の空気を1.8m/secで70秒間流入させ、各構造物から流出後の空気の温度を測定した。結果を図17に示す。図17は、排気試験2の結果を示すグラフである。
なお、排気試験2は、住宅換気システムにおいて屋内の空気を屋外に排出する場合を想定している。
図17に示すように、実施例1−1の構造物を用いると、比較例1−2の構造物を用いた場合と比較して、各構造物通過後の空気の温度が低かった。この結果は、実施例1−1の構造物は、比較例1−2の構造物より、多くの熱を吸収して、屋内の空気を屋外に排出する場合に、冷たい空気を排出することを示している。
また、図17において、実施例1−1の構造物を用いた場合と、比較例1−1の構造物を用いた場合とを比較すると、50秒までは、比較例1−1の構造物を用いた方が構造物通過後の空気の温度が低かった。これは、比較例1−1の構造物の方が実施例1−1の構造物よりも体積が大きいので、比較例1−1の構造物の方が実施例1−1の構造物よりも熱容量が大きく、この期間においては、多くの熱を吸収できたためと考えられる。しかし、50秒を経過すると、実施例1−1の構造物を用いた方が、比較例1−1の構造物を用いるより構造物通過後の空気の温度が低かった。これは、実施例1−1の構造物に含まれる蓄熱材料が、9℃で液体に相転移するので、50秒を経過後の期間において、実施例1−1の構造物の方が、比較例1−1の構造物よりも熱容量が大きくなり、より多くの熱を吸収できためと考えられる。従って、空気を50秒以上排出する場合には、実施例1−1に係る構造物は、効率よく空気から熱を吸収することができることが判明した。
また、実施例1−1に係る構造物の体積は比較例1−1に係る構造物の体積と比べ小さい。つまり、実施例1−1に係る構造物は、小さい体積であっても充分な性能を有する。そのため、薄い壁の住宅にも用いることができる。
また、実施例1−2及び実施例1−3の構造物を用いて上記(排気試験1)及び(排気試験2)を行った。その結果は、実施例1−1の構造物と同等であった。
構造物に含まれる蓄熱物質の体積の割合が、表1に示す割合となるように、加えるパラフィン入りカプセル状蓄熱材の重量を調整した以外は、実施例1−1と同様にして実施例2−1〜実施例2−4に係る構造物を製造した。
パラフィン入りカプセル状蓄熱材を用いない以外は、実施例1−1と同様にして比較例2−1に係る構造物を製造した。
実施例2−1及び比較例2−1に係る構造物を3℃とし、各構造物に34.5℃の空気を0.8m/secで80秒間流入させ、各構造物から流出後の空気の温度を測定した。結果を図18に示す。図18は、排気試験3の結果を示すグラフである。
なお、排気試験3は、一時停止したアイドリングストップ車において、車内に空気が供給される場合を想定している。すなわち、エンジンの停止によりコンプレッサーによる冷媒循環が停止し、エバポレーターによる空気の冷却ができない状態において、エンジン等からの熱により温められた空気が車内に給気される場合を想定している。
この結果から、実施例2−1の構造物をアイドリングストップ車の空調システムに用いると、アイドリングストップ車が一時停車して、エンジン及びコンプレッサーが止まり、空気の冷却ができない場合であっても、車内の温度の一時的な上昇を抑制することができることが示された。
実施例2−2〜実施例2−4及び比較例2−1に係る構造物を40℃とし、各構造物に3℃の空気を11m/secで100秒間流入させ、各構造物から流出後の空気の温度を測定した。結果を図19に示す。図19は、排気試験4の結果を示すグラフである。このグラフは、ANSYS Fluent v14.0を用いて計算した結果より求めた。
なお、排気試験4は、夏の炎天下に駐車しておいた場合など高温である車両においてエンジン始動時に空調システムを起動する場合を想定している。
一方、比較例2−1の構造物を用いると、排気される空気の温度は徐々に低下していき30秒程で7℃まで低下した。この結果から、実施例2−2〜実施例2−4の構造物を用いると、空気を排気する初期の段階において、排気される空気の温度を低くすることができることが判明した。
なお、30秒経過後、実施例2−3及び実施例2−4の構造物を用いた場合の排気される空気の温度は70秒経過するまで7℃を保っていた。これは、実施例2−3及び実施例2−4の構造物に含まれる蓄熱物質が液体から固体に相転移する際に放出される熱により、排気される空気が温められるためと考えられる。
一方、実施例2−2の構造物を用いた場合に排気される空気の温度は、30秒経過するまで7℃を保っており、その後、徐々に低下した。この温度変化は、30秒を経過するまで、実施例2−2の構造物に含まれる蓄熱物質が液体から固体に相転移する際に放出される熱により、排気される空気が温められていたためであり、30秒を経過すると蓄熱物質が全て固体に相転移したためであると考えられる。
実施例1−1、比較例1−1、比較例1−2、比較例2−1の構造物について、構造物の体積、熱容量(蓄熱量Q及び相対蓄熱量Q´)を求め、ハニカム形状の構造物の特性の評価を行った。その結果を表2に示す。
体積は、各構造物の寸法の実測値から求めた。
蓄熱量Qは、各構造物が0℃から35℃に温度変化する際に、各構造物に蓄積する熱量を意味する。相対蓄熱量Q´は、各構造物の体積を200cm3とした際の蓄熱量Qを意味する。
このことから、実施例1−1の構造物は、比較例1−1の構造物より小型化されているが、蓄熱性能が劣っていないことが示された。
また、実施例1−1、比較例1−2及び比較例2−1の構造物を比較すると。これら構造物の体積は同等であるが、実施例1−1の構造物の蓄熱量Q及び相対蓄熱量Q´は、比較例1−2並びに比較例2−1の構造物の蓄熱量Q及び相対蓄熱量Q´に比べて、大きかった。このことから、実施例1−1の構造物は、比較例1−2及び比較例2−1の構造物より蓄熱量を大きくすることができることが示された。
10 部材
11 蓄熱材
12 カプセル
13 蓄熱物質
14 樹脂
15 部材の表面
21 流入口
22 流路
23 流出口
24 隔壁
30 住宅換気システム
31 筒状体
32 ファン
50 住宅
51 壁
70、170 空調システム
71、171 送風管
72、172 送風口
73 エバポレーター
74 ルーバー
Claims (21)
- 流体の熱交換に用いる構造物であって、
前記構造物を形成する部材は、蓄熱材と樹脂とからなり、
前記蓄熱材は、カプセル内に蓄熱物質が封入されてなり、かつ、前記部材の内部に存在していることを特徴とする構造物。 - 前記構造物は、流体が流入する流入口と、前記流入口から流入した流体が通過する流路と、前記流路を通過した流体が流出する流出口とを有する請求項1に記載の構造物。
- 前記構造物の前記流入口側又は前記流出口側はファンが設置されている請求項2に記載の構造物。
- 前記構造物は、複数の前記流路を有する請求項2又は3に記載の構造物。
- 前記構造物の形状は、複数の前記流路が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム形状である請求項4に記載の構造物。
- 前記隔壁の厚さは、50〜5000μmである請求項5に記載の構造物。
- 前記流路の密度は、前記構造物の長手方向に垂直な断面において、10〜1000個/平方インチである請求項5又は6に記載の構造物。
- 前記蓄熱材の平均粒子径は、10〜6000μmである請求項1〜7のいずれかに記載の構造物。
- 前記蓄熱物質の含有量は、前記構造物の体積に対し5〜85%である請求項1〜8のいずれかに記載の構造物。
- 前記蓄熱材の一部が、前記部材の表面に露出している請求項1〜9のいずれかに記載の構造物。
- 前記蓄熱物質の融点は、−20〜110℃である請求項1〜10のいずれかに記載の構造物。
- 前記蓄熱物質は、パラフィン、硫酸ナトリウム水和物、酢酸ナトリウム水和物、塩化カルシウム水和物、エリスリトール及びチオ硫酸ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜11のいずれかに記載の構造物。
- 前記カプセルは、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド及びポリアクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の熱硬化樹脂である請求項1〜12のいずれかに記載の構造物。
- 前記カプセルは、前記カプセルの熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する第1フィラーをさらに含む請求項1〜13のいずれかに記載の構造物。
- 前記樹脂は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及び紫外線硬化樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜14のいずれかに記載の構造物。
- 前記樹脂は、ABS樹脂、ポリプロピレン、オレフィン系エラストマー及びアクリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜15のいずれかに記載の構造物。
- 前記樹脂は、前記樹脂の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する第2フィラーをさらに含む請求項1〜16のいずれかに記載の構造物。
- 請求項1〜17のいずれかに記載の構造物の製造方法であって、
カプセル内に蓄熱物質が封入されてなる蓄熱材と樹脂とを混合して混合物を調製する混合工程と、
前記混合物を成形して、蓄熱材と樹脂とからなる部材により形成される構造物とする成形工程とを含むことを特徴とする構造物の製造方法。 - 前記成形工程では、3Dプリンタを用いて前記構造物を製造する請求項18に記載の構造物の製造方法。
- 前記成形工程では、押出成形にて前記構造物を製造する請求項18に記載の構造物の製造方法。
- 前記成形工程では、射出成形にて前記構造物を製造する請求項18に記載の構造物の製造方法。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20190212 |