JP2016145639A - 玉軸受用保持器およびその玉軸受用保持器を用いた玉軸受 - Google Patents

玉軸受用保持器およびその玉軸受用保持器を用いた玉軸受 Download PDF

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Naoaki Tsuji
直明 辻
石田 光
Hikari Ishida
光 石田
千春 伊藤
Chiharu Ito
千春 伊藤
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【課題】ポケット内への潤滑剤の巻き込みを抑制し、異音の低減を図ることができる玉軸受用保持器およびその玉軸受用保持器を用いた玉軸受を提供する。【解決手段】この玉軸受用保持器は、軸受中心軸回りの円環部6の円周方向の複数箇所に、この円環部6を半径方向に貫通して設けられたポケット7内にボールを保持し、かつボール案内形式である。ポケット7の内面のうち円周方向に互いに対向する両側の円周方向対向部分に、半径方向の外径側部分に位置して前記ボール案内形式とするボール案内面14,14を設ける。ボール案内面14を、先端に向かうに従ってポケット中心軸に近づくように傾斜する断面形状に形成し、且つ、平面状とする。ポケット7の軸受軸方向に互いに対向する両側の軸方向案内面15,15を、ポケット中心軸に垂直な断面が円弧状となる円弧面とした。【選択図】図2

Description

この発明は、玉軸受用保持器およびその玉軸受用保持器を用いた玉軸受に関し、例えば、モータ用の玉軸受等における保持器音を低減する技術に関する。
従来、例えばモータ用の玉軸受において、合成樹脂製の保持器を採用したものが提案されている(例えば特許文献1,2)。この合成樹脂製の保持器は、図14に示すように、いわゆる波形保持器において、ポケットPtの内面の周方向両端部にボールの外周に沿った凹球面50を形成している(特許文献2)。
特開2013−245762号公報 特開2013−7468号公報
図14の保持器52では、軸受運転時に、この保持器52が径方向に移動した際に、ポケット内面の周方向両端部に形成した凹球面50におけるポケット内径部50aが線接触となり、ボールに付着したグリースが保持器52のポケット内に巻き込まれて引き摺り抵抗が大きくなっていた。これにより保持器52に異音が発生していた。
つまり図15に示すように、モータの回転軸Shを支持する玉軸受に、回転軸Shの先端のプーリ(図示せず)に掛装されたベルトの荷重F(すなわちラジアル荷重F)が負荷されている場合、ポケット内へのグリースの巻き込みにより、同図15の状態のボール51から保持器52へ加わる径方向内外の力Faが増加され、図16に示すように、保持器52が一方に偏って公転する。この状態でさらにポケット内にグリースが巻き込まれると、図17に示すように、瞬間的にボール公転速度の変化やボール51から保持器52へ加わる径方向内外の力Faのバランスが崩れ、保持器52が振れ廻る。なお図15〜図17の符号A1は、この玉軸受つまり保持器52の回転方向を示す。図15〜図17の円弧Laは回転時のボールと保持器ポケットの接触位置を示す。図16、図17では保持器52の偏りを実際よりも強調して表示している。
玉軸受にベルト荷重によるラジアル荷重が付加されていない場合もポケット内にグリースが巻き込まれることで、瞬間的にボール公転速度の変化やボール51から保持器52へ加わる径方向内外の力のバランスが崩れ、保持器52が振れ廻っているものと考えられる。上記の状態になると、図14に示すように、ボールが保持器ポケット内径部50aで積極的に案内され、ボールと保持器ポケット間のグリース厚みの変動で保持器52が振動し異音が発生しているものと考えられる。
この発明の目的は、ポケット内への潤滑剤の巻き込みを抑制し、異音の低減を図ることができる玉軸受用保持器およびその玉軸受用保持器を用いた玉軸受を提供することである。
この発明の玉軸受用保持器は、軸受中心軸回りの円環部の円周方向の複数箇所に、この円環部を半径方向に貫通して設けられたポケット内にボールを保持するボール案内の玉軸受用保持器において、
前記ポケットの内面のうち前記円周方向に互いに対向する両側の円周方向対向部分に、前記半径方向の外径側部分または前記半径方向の内径側部分のいずれか一方に位置して、前記ボール案内とするボール案内面が設けられ、このボール案内面は、先端に向かうに従ってポケット中心軸に近づくように傾斜する断面形状に形成され、且つ、平面状とされ、前記ポケットの内面における軸受軸方向に互いに対向する両側の軸方向案内面を、前記ポケット中心軸に垂直な断面が円弧状となる円弧面とされていることを特徴とする。
前記「平面状」とは、平面だけでなく、ボール案内面がボールと接触したとき点接触となるようなポケット内部側に僅かに突出する曲面形状も含む。
前記「円弧面」は、円筒面および球面を含む。
この構成によると、ポケットの内面の円周方向対向部分に半径方向の外径側部分または内径側部分に位置して設けたボール案内面を、傾斜する断面形状で、且つ、平面状としたため、軸受運転時、ボール案内面と球形のボールとの接触は点接触となる。これにより、線接触の場合と比べて、ボールに付着した潤滑剤を保持器のポケット内に巻き込み難くなる。したがって引き摺り抵抗の低減を図ることができる。換言すれば、潤滑剤がボールに付着したままポケット内に一旦侵入しても、この潤滑剤は、ポケット内に滞留することなくボール案内面とボールの接触点以外の略全周にわたる環状隙間から、ボールに付着した状態のままポケット外に円滑に排出される。したがって引き摺り抵抗の低減を図ることができる。そうすると、瞬間的にボール公転速度が変化すること、および、ボールから保持器へ加わる径方向内外の力のバランスが崩れることを防止し、よって保持器が振れ廻ることを抑制し得る。したがって、保持器の振動を抑えて異音の低減を図ることができる。
またポケットの両側の軸方向案内面を、ポケット中心軸に垂直な断面が円弧状となる円弧面としたため、この保持器を例えば高速回転域で使用して保持器が弾性変形したときに、ポケットの両側の軸方向案内面とボールとの接触面圧が大きく変動することを防止し、玉軸受の異常発熱や保持器の摩耗を防止することができる。またポケットの軸方向案内面に潤滑剤が滞留することを防止でき、よって引き摺り抵抗の低減をさらに図ることができる。
参考提案例として、前記ポケットの軸受軸方向に互いに対向する両側の軸方向案内面に、遠心力で前記円環部が変形して前記ポケットの形状が変形したときに、前記ボールと当接して前記円環部と前記ボールとの接触範囲の増大を抑制する凸部を設けても良い。この場合、軸受運転時に遠心力で円環部が変形してポケットの形状が変形したときに、軸方向案内面の凸部にボールを接触させる。したがって、軸方向案内面に対するボールの接触面圧を抑えて玉軸受が異常発熱すること、および保持器が摩耗することを確実に防止し得る。
前記円環部は、この円環部の軸方向に互いに対向する二つの環状体を有し、これら環状体を前記軸方向に対向して組み合わせて複数の前記ポケットが形成されていても良い。この場合、内外輪の軌道面間に複数のボールを挿入した後、二つの環状体を前記軸方向の両側から組み合わせてこの保持器を容易に組み立てることができる。
この保持器を樹脂製として二つの環状体を同一形状とすると、一種類の成形用金型で前記二つの環状体を成形できるため、金型費用を抑えて保持器のコスト低減を図れると共に、組み合わせる二つの環状体を分別する必要がなく環状体の管理も容易である。
この発明の玉軸受は、前記いずれかに記載の玉軸受用保持器を用いたモータ用の玉軸受である。この場合、モータの高速回転化をより図ることができる。つまりモータを高速回転させても玉軸受からの異音を低減できる。
この発明の玉軸受用保持器は、軸受中心軸回りの円環部の円周方向の複数箇所に、この円環部を半径方向に貫通して設けられたポケット内にボールを保持するボール案内の玉軸受用保持器において、前記ポケットの内面のうち前記円周方向に互いに対向する両側の円周方向対向部分に、前記半径方向の外径側部分または前記半径方向の内径側部分のいずれか一方に位置してボール案内面が設けられ、このボール案内面は、先端に向かうに従ってポケット中心軸に近づくように傾斜する断面形状に形成され、且つ、平面状とされ、前記ポケットの軸受軸方向に互いに対向する両側の軸方向案内面は、前記ポケット中心軸に垂直な断面が円弧状となる円弧面とされている。このため、ポケット内への潤滑剤の巻き込みを抑制し、異音の低減を図ることができる。
この発明の玉軸受は、この発明のいずれかの玉軸受用保持器を用いたモータ用であるため、ポケット内への潤滑剤の巻き込みを抑制し、異音の低減を図ることができる。
この発明の実施形態に係る玉軸受用保持器を用いた玉軸受の断面図である。 (A)は同玉軸受用保持器の要部の斜視図、(B)は図2(A)の要部を拡大した図である。 同玉軸受用保持器の二つの環状体を結合する前の状態を示す断面図である。 (A)は同玉軸受用保持器の一部を外径側から見た平面図、(B)は図3(A)の一部を拡大した図である。 図4(B)のV−V線断面図である。 図4(B)のVI−VI線断面図である。 この発明の他の実施形態に係る玉軸受用保持器の要部の斜視図である。 同玉軸受用保持器の要部を外径側から見た平面図である。 図8のIX−IX線断面図である。 図8のX−X線断面図である。 この発明のさらに他の実施形態に係る玉軸受用保持器の要部の斜視図である。 同玉軸受用保持器の平面図である。 図12のXIII-XIII線断面図である。 従来例の玉軸受用保持器のポケット等を示す斜視図である。 従来例の玉軸受のベルト荷重付加時の状態を説明する図である。 同玉軸受用保持器が一方向に偏り回転する状態を説明する図である。 グリース巻き込み時の状態を説明する図である。
この発明の実施形態を図1ないし図6と共に説明する。
この実施形態に係る玉軸受用保持器は、例えば、モータの回転軸を回転自在に支持する深溝玉軸受の保持器に適用される。
[玉軸受について]
図1は、この実施形態に係る玉軸受用保持器1を用いた玉軸受の断面図である。この玉軸受は、内輪2と、外輪3と、内外輪2,3間に介在する複数のボール4と、これらボール4を保持する保持器1と、内外輪2,3の両端に設けられ軸受空間を密閉するシール部材5,5とを有する。軸受空間には、グリースが封入されている。この保持器1はボール案内で外径拘束形である。この実施形態の場合の前記ボール案内は、保持器1が内外輪2,3に接触しないようにボール4を介して回転側輪となる内輪2に支持される案内形式である。ボール4は、例えば、鋼球やセラミックス等からなる。
[保持器全体の概略構成]
保持器1は、内外輪2,3間に介在するボール4を、軸受中心軸L回りの円環部6の円周方向の複数箇所に設けられたポケット7内に保持する。各ポケット7は円環部6を半径方向に貫通して設けられる。保持器1は、例えば、樹脂製であり、射出成型にて製作される。樹脂材料として、例えば、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の熱可塑性樹脂が適用される。この保持器1に適用される樹脂には、強度を高めるために、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維等の繊維が混合されている。なお保持器1は、例えば、鉄板をプレス加工した波形保持器としても良い。
[保持器1の連結構造等について]
図2(A)は、この保持器1の要部の斜視図であり、図2(B)は図2(A)の要部を拡大した図である。この保持器1は、各ポケット7を形成する球殻状板部8と、隣合うポケット間の部分となる連結部9とが円周方向に交互に並ぶいわゆる波形保持器である。図3に示すように、この保持器1の円環部6は、この円環部6の軸方向に互いに対向する二つの環状体10,10を有し、これら環状体10,10を軸方向に対向して組み合わせて複数のポケット7が形成される。この実施形態の二つの環状体10,10は互いに同一形状とし、表裏反対向きに組合わせている。
図4(A)はこの保持器1の一部を外径側から見た平面図、(B)は図4(A)の一部を拡大した図である。各環状体10は、それぞれ半球状のポケット7を成す球殻状板部半体8aと、隣合う半球状ポケット間の部分となる連結部半体9aとを有する。互いに対向する二つの球殻状板部半体8a,8aを組み合わせて球殻状板部8が形成される。また互いに対向する二つの連結部半体9a,9aを組み合わせて連結部9が形成される。連結部9は、二つの連結部半体9a,9aを組み合わせたときに面接触する合わせ面11を有する。この合わせ面11は前記軸方向に垂直な平面である。
連結部半体9aには、両側面に貫通する係合孔12が形成されている。一方の連結部半体9aには、他方の連結部半体9aに形成された係合孔12に挿入され係合される係合爪13が形成されている。係合孔12に係合段部12aが設けられる。係合爪13の先端部には、この係合爪13に対応する係合孔12の係合段部12aに係合可能な鉤部13aが形成されている。二つの環状体10,10を軸方向に互いに対向させ、一方の連結部半体9aの各係合爪13を、対応する他方の連結部半体9aの各係合孔12にそれぞれ挿入する。さらに各係合爪13の鉤部13aを、各係合孔12の係合段部12aにそれぞれ係合することで、二つの環状体10,10が互いに結合された波形保持器となる。
各球殻状板部半体8aには、軸方向に突出する突出壁部8aaがそれぞれ設けられる。二つの環状体10,10が互いに結合された状態で、一方の球殻状板部半体8aにおける円周方向の一端に、他方の球殻状板部半体側となる軸方向に突出する突出壁部8aaが設けられる。他方の球殻状板部半体8aにおける円周方向の他端には、一方の球殻状板部半体側となる軸方向に突出する突出壁部8aaが設けられる。
また二つの環状体10,10が互いに結合された状態で、前記他方の球殻状板部半体8aにおける円周方向の一端に、前記一方の球殻状板部半体8aの突出壁部8aaが嵌り込む嵌合凹部8abが設けられている。前記一方の球殻状板部半体8aにおける円周方向の他端には、前記他方の球殻状板部半体8aの突出壁部8aaが嵌り込む嵌合凹部8abが設けられている。突出壁部8aaの先端面と、この先端面に対向する嵌合凹部8abの底面との間には、微小な隙間が形成される。これら突出壁部8aaの先端面および嵌合凹部8abの底面は、ポケット7の軸方向中央から軸方向にずれた位置に形成されている。
[保持器1のポケット7について]
図5は図4(B)のV−V線断面図である。図6(a)は図4(B)のVI−VI線断面図であり、同図6(b)は保持器組立前の各環状体10の断面図である。図2(B)、図5および図6に示すように、各ポケット7の内面のうち円周方向に互いに対向する両側の円周方向対向部分に、半径方向の外径側部分に位置してボール案内面14,14を設けている。このボール案内面14を、先端に向かうに従ってポケット中心軸L1に近づくように傾斜する断面形状(テーパ形状)に形成し、且つ、平面状としている。このボール案内面14により、この保持器1はボール案内で外径拘束形に構成される。またポケット7の軸受軸方向に互いに対向する両側の軸方向案内面15,15を、ポケット中心軸L1に垂直な断面が円弧状となる円弧面としている。前記「円弧面」は、円筒面および球面のいずれであっても良い。
前記「平面状」とは、平面だけでなく、ボール案内面14がボール4と接触したとき(図5(b))点接触となるようなポケット側に僅かに突出する曲面形状も含む。また球殻状板部8は、二つの球殻状板部半体8a,8aを組み立てた状態で、対応する突出壁部8aaと嵌合凹部8abの底部との間には、溝状の隙間となる凹部δが形成されている。凹部δのうち、ボール案内面14における溝状の凹部δ1は、ポケット7の軸方向中央から軸方向にずれた位置に形成されている。この凹部δ1は軸受軸方向に垂直な方向に延び、後述する対向平面16における溝状の凹部δ2に連通する。
各ポケット7の両側の円周方向対向部分における、ボール案内面14以外の部分は、ポケット中心軸L1および軸受軸方向を含む平面に平行な平面形状としている。これら互いに平面形状となる部分を「対向平面16」と称す。両側の円周方向対向部分において、それぞれボール案内面14の基端が対向平面16に繋がる。対向平面16は、隣合う軸方向案内面15における円弧の両側縁部15aよりもポケット拡径方向に所定小距離奥まった位置に形成される。なおボール案内面14の先端に、隣合う軸方向案内面15における円弧の両側縁部15aが繋がっている。
溝状の凹部δのうち、対向平面16における、半径方向の外径側部分から中央付近に渡る凹部δ2もポケット7の軸方向中央から軸方向にずれた位置に形成されている。この凹部δ2は軸受軸方向に垂直な方向に延びる。この凹部δ2の軸方向位置は、ボール案内面14における凹部δ1と同一の軸方向位置で繋がっている。溝状の凹部δのうち、対向平面16における、半径方向の内径側部分の凹部δ3はポケット7の略軸方向中央位置となるように形成されている。この半径方向の内径側部分の凹部δ3と、半径方向の中央付近の凹部δ2とは、軸受軸方向に延びる凹部δ4を介して連通する。
[試験条件、試験結果]
以上説明した保持器を備えた玉軸受を試験機に組込み、保持器に異音が発生するか否かの試験を行った。試験条件は以下の通りである。
<試験条件>
試験機:サーボモータ
ベルト荷重:3400N
回転速度:1000min−1→7000min−1→3000min−1→7000min−1
但し、1000min−1から7000min−1に、または3000min−1から7000min−1に回転速度を上げるとき1000min−1毎にステップアップし、7000min−1から3000min−1に回転速度を下げるとき1000min−1毎にステップダウンする。
判定方法:聴覚判定
Figure 2016145639



<試験結果>
同表1において、「○」は、聴覚判定により保持器に異音が発生していないことを表し、「×」は、聴覚判定により保持器に異音が発生したことを表す。試験結果によると、本実施形態の保持器は、各回転速度において異音が発生しなかった。
[作用効果]
以上説明した保持器1によると、ポケット7の内面の円周方向対向部分に半径方向の外径側部分に位置して設けたボール案内面14を、傾斜する断面形状で、且つ、平面状としたため、軸受運転時、ボール案内面14とボール4との接触は点接触となる。これにより、線接触の場合と比べて、ボール4に付着したグリースを保持器1のポケット内に巻き込み難くなる。したがって引き摺り抵抗の低減を図ることができる。
換言すれば、グリースがボール4に付着したままポケット内に一旦侵入しても、このグリースは、ポケット7内に滞留することなくボール案内面14とボール4の接触点以外の略全周にわたる環状隙間から、ボール4に付着した状態のままポケット外に円滑に排出される。したがって引き摺り抵抗の低減を図ることができる。そうすると、瞬間的にボール公転速度が変化すること、および、ボール4から保持器1に加わる径方向内外の力のバランスが崩れることを防止し、よって保持器1が振れ廻ることを抑制し得る。したがって、保持器1の振動を抑えて異音の低減を図ることができる。
またポケット7の両側の軸方向案内面15を、ポケット中心軸L1に垂直な断面が円弧状となる円弧面としたため、この保持器1を例えば高速回転域で使用して保持器1が弾性変形したときに、ポケット7の両側の軸方向案内面15とボール4との接触面圧が大きく変動することを防止し、玉軸受の異常発熱や保持器1の摩耗を防止することができる。またポケット7の軸方向案内面15にグリースが滞留することを防止でき、よって引き摺り抵抗の低減をさらに図ることができる。なおこの例の高速回転域は5000min−1以上であるがこの回転速度に限定されるものではない。
円環部6は、軸方向に互いに対向する二つの環状体10,10を前記軸方向に対向して組み合わせて複数のポケット7が形成される。このため、内外輪2,3の軌道面間に複数のボール4を挿入した後、二つの環状体10,10を前記軸方向の両側から組み合わせてこの保持器1を容易に組み立てることができる。
この保持器1を樹脂製として二つの環状体10,10を同一形状としているため、一種類の成形用金型で前記二つの環状体10,10を成形できる。このため、金型費用を抑えて保持器1のコスト低減を図れると共に、組み合わせる二つの環状体10,10を分別する必要がなく環状体10の管理も容易である。
この保持器1を用いたモータ用の玉軸受の場合、モータの高速回転化をより図ることができる。つまりモータを高速回転させても玉軸受からの異音を低減できる。
[他の実施形態について]
以下の説明においては、各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
図7は、他の実施形態に係る玉軸受用保持器1Aの要部の斜視図であり、図8は、この玉軸受用保持器1Aの要部を外径側から見た平面図である。図9は図8のIX−IX線断面図である。図10(a)は図8のX−X線断面図であり、図10(b)は保持器組立前の各環状体10の断面図である。図7乃至図10に示すように、この保持器1Aはボール案内で内径拘束形である。この保持器1Aは、ポケット7の内面の円周方向対向部分に半径方向の内径側部分に位置して設けたボール案内面14を、傾斜する断面形状で、且つ、平面状としている。
溝状の凹部δのうち、ボール案内面14における、突出壁部8aaと嵌合凹部8abとの間の凹部δ1は、ポケット7の軸方向中央から軸方向にずれた位置に形成されている。この凹部δ1は、軸受軸方向に垂直な方向に延び、対向平面16の凹部δ2に連通する。対向平面16における、半径方向の内外に渡る凹部δ2も、ポケット7の軸方向中央から軸方向にずれた位置に形成されている。
この保持器1Aによると、ポケット7の内面の円周方向対向部分に半径方向の内径側部分に位置して設けたボール案内面14を、傾斜する断面形状で、且つ、平面状としたため、軸受運転時、ボール案内面14とボール4との接触は点接触となる(図9(b))。これにより、線接触の場合と比べて、ボール4に付着したグリースを保持器1Aのポケット7内に巻き込み難くなる。その他前述の実施形態と同様の作用効果を奏する。
図11は、さらに他の実施形態に係る玉軸受用保持器1Bの要部の斜視図である。同図11(a),(b)は玉軸受用保持器1Bを異なる方向から見た斜視図である。図12は同玉軸受用保持器1Bの平面図であり、図13は図12のXIII-XIII線断面図である。図
11乃至図13に示すように、この保持器1Bは、各ポケット7の両側の軸方向案内面15,15に、それぞれ凸部17を設けている。軸方向案内面15における半径方向の外径側部分15bは円錐面に形成されている。つまり軸方向案内面15における半径方向の外径側部分15bには、先端に向かうに従ってポケット中心軸に近づくように傾斜する断面形状に形成した軸方向のボール案内面を設けている。軸方向案内面15において、前記軸方向のボール案内面以外をポケット中心軸L1に垂直な断面が円弧状となる円弧面15cとしている。各円弧面15cにそれぞれ凸部17を設けている。
これら凸部17は、両側の軸方向案内面15における、ボールがポケット内で自転する軸心L2付近に、ポケット側に半球状に突出するボス部のように設けられる。凸部17の直径および突出量は、例えば、試験やシミュレーション等の結果によりボール直径の数%に定められる。但し、この例に限定されるものではない。凸部17は、軸受運転時の遠心力で円環部6が変形してポケット7の形状が変形したときに円環部6とボールとの接触範囲の増大を抑制する。この例では、各軸方向案内面15に凸部17を一つずつ設けているが凸部17を複数設けても良い。
図11、図12に示すように、この保持器1Bには、グリースが保持器1Bの軸受軸方向の側面を伝わって直接内外輪軌道面に入ることを防止するフランジ18が設けられている。この例では、連結部9における軸受軸方向を向く側面、および球殻状板部8における軸受軸方向を向く側面のうち、半径方向の外径側部分に軸受軸方向に突出するフランジ18が設けられている。このフランジ18は軸受軸方向の両側にそれぞれ設けられている。
連結部9における、両側フランジ18,18を含む保持器1Bの幅寸法と、球殻状板部8における、両側フランジ18,18を含む保持器1Bの幅寸法とは同一である。連結部9における軸方向一方のフランジ18と、球殻状板部8における軸方向一方のフランジ18とは、軸方向先端位置が同一となるように形成されている。軸方向他方のフランジ18についても同様である。
球殻状板部8には、グリースがポケット7内に侵入することを抑制する内側フランジ19が設けられている。具体的には、球殻状板部8におけるポケット7の内面のうち、円周方向に互いに対向する両側の半径方向内径側縁部に、ポケット内側に所定小距離突出する内側フランジ19が設けられている。この内側フランジ19は平面視円弧状(図12)に形成されている。なお両側の軸方向案内面15に内側フランジ19が殆ど設けられていないのは、次の理由による。仮に、グリースが遠心力によりポケット7の軸方向案内面15から侵入しても、この軸方向案内面15に凸部17があるため、グリースはポケット内に滞留することなく軸方向案内面15とボールの点接触以外の隙間からポケット外に円滑に排出されるからである。
その他の構成は図7乃至図10の保持器と同様である。
この保持器1Bによると、軸受運転時に遠心力で円環部6が変形してポケット7の形状が変形したときに、軸方向案内面15の凸部17にボールを接触させる。特にこの例では、軸方向案内面15における半径方向の外径側部分15bに、いわゆる円錐面状のボール案内面を設けているため、前記凸部17が無ければポケット7の形状が弾性変形等したときに、前記円錐面状のボール案内面にボールが過度に線接触することが考えられる。
しかし前述のように軸方向案内面15に凸部17を設けたため、前記円錐面状のボール案内面にボールが線接触することなく、軸方向案内面15の凸部17にボールを点接触させ得る。したがって、軸方向案内面15に対するボールの接触面圧を抑えて玉軸受が異常発熱すること、および保持器1Bが摩耗することを確実に防止し得る。また両側の軸方向案内面15,15における、ボールが自転する軸心L2付近に凸部17を設けたため、ボールを安定して自転させると共に公転させることができる。これにより保持器1Bの振れ廻りをより確実に抑えることができる。
連結部等における側面に軸受軸方向に突出するフランジ18を設けたため、グリースが保持器1Bの軸受軸方向の側面を伝わって直接内外輪軌道面に入ることを防止し得る。特に、フランジ18を半径方向の外径側部分に付設したため、軸受運転時の遠心力により保持器側面のグリースが半径方向の内径側から外径側に移動することをより確実に抑制し、グリースが外輪軌道面に過剰に侵入することを防止し得る。したがって、過剰なグリースがボールに付着してポケット内に侵入することを未然に防止することができる。これにより、グリースを保持器1Bのポケット内に巻き込み難くなる。よって引き摺り抵抗の低減を図ることができる。
また軸受運転時グリースが遠心力によりポケット内に侵入しようとするが、内側フランジ19を設けたため、グリースがポケット内に過度に侵入することを抑制することができる。これにより、グリースをポケット内にさらに巻き込み難くなる。よって引き摺り抵抗の低減を確実に図ることができる。
各実施形態において、以下の変形例を適用可能である。
保持器は樹脂製のみに限定されず金属製であっても良い。例えば黄銅等を機械加工して形成しても良い。この場合、保持器は二つの環状体からなる合わせ保持器でなくても良い。
フランジを設ける箇所は半径方向の外径側部分に限定されるものではない。例えば、連結部等における側面のうち、半径方向の内径側部分または半径方向の中央付近部分に軸受軸方向に突出するフランジを設けても良い。
潤滑剤としてグリースに代えて潤滑油を適用しても良い。この場合、例えばVG32以上の粘度の潤滑油が考えられる。
各保持器を用いる玉軸受として、アンギュラ玉軸受を適用しても良い。
実施形態の玉軸受は両側シールタイプとしているが、片側のみにシールを設けても良いし、両シールのないいわゆるオープンタイプとしても良い。
これら玉軸受をモータ以外の用途に適用することも可能である。この場合にも玉軸受からの異音を低減できる。
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,1A,1B…保持器
4…ボール
6…円環部
7…ポケット
10…環状体
14…ボール案内面
15…軸方向案内面

Claims (3)

  1. 軸受中心軸回りの円環部の円周方向の複数箇所に、この円環部を半径方向に貫通して設けられたポケット内にボールを保持するボール案内の玉軸受用保持器において、
    前記ポケットの内面のうち前記円周方向に互いに対向する両側の円周方向対向部分に、前記半径方向の外径側部分または前記半径方向の内径側部分のいずれか一方に位置して、前記ボール案内とするボール案内面が設けられ、このボール案内面は、先端に向かうに従ってポケット中心軸に近づくように傾斜する断面形状に形成され、且つ、平面状とされ、前記ポケットの軸受軸方向に互いに対向する両側の軸方向案内面は、前記ポケット中心軸に垂直な断面が円弧状となる円弧面とされていることを特徴とする玉軸受用保持器。
  2. 請求項1に記載の玉軸受用保持器において、前記円環部は、この円環部の軸方向に互いに対向する二つの環状体を有し、これら環状体を前記軸方向に対向して組み合わせて複数の前記ポケットが形成されている玉軸受用保持器。
  3. 請求項1または請求項2に記載の玉軸受用保持器を用いたモータ用の玉軸受。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115325031A (zh) * 2022-08-15 2022-11-11 北京理工大学 一种高速低噪音新能源汽车轴承保持架

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