JP2016143525A - 非水電解液及びこれを備えたリチウムイオン二次電池 - Google Patents

非水電解液及びこれを備えたリチウムイオン二次電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2016143525A
JP2016143525A JP2015017380A JP2015017380A JP2016143525A JP 2016143525 A JP2016143525 A JP 2016143525A JP 2015017380 A JP2015017380 A JP 2015017380A JP 2015017380 A JP2015017380 A JP 2015017380A JP 2016143525 A JP2016143525 A JP 2016143525A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
general formula
compound
aqueous electrolyte
anion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015017380A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6637237B2 (ja
Inventor
弘行 水野
Hiroyuki Mizuno
弘行 水野
裕大 勝山
Yuudai Katsuyama
裕大 勝山
好洋 森田
Yoshihiro Morita
好洋 森田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP2015017380A priority Critical patent/JP6637237B2/ja
Publication of JP2016143525A publication Critical patent/JP2016143525A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6637237B2 publication Critical patent/JP6637237B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Secondary Cells (AREA)

Abstract

【課題】高温下で保管した場合や、高電圧下で使用しても、スルホニルイミドアニオン化合物の分解を抑制し、電池としての容量及びレート特性の低下を抑制することのできる非水電解液及びこれを用いたリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】本発明の非水電解液は、一般式(1)[N(XSO2)(FSO2)]-(一般式(1)中、Xは、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表す。)で表されるアニオンと、リチウムカチオンと、下記一般式(2)で表されるリン酸系化合物と、(上記一般式(2)中、Ra、Rbは、それぞれ独立して水素、C1〜C4のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表し、p、qは0又は1である。)を含むことを特徴とする非水電解液。【選択図】なし

Description

本発明は非水電解液及びこれを備えたリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、スマートフォンやパーソナルコンピューター用の電源、さらには自動車用電源として用いられている。これらの用途に使用される電池では、高出力化、高エネルギー密度化、サイクル特性やレート特性の改善といった各種特性の向上を目的とした研究が重ねられている。
例えば、リチウムイオン二次電池の特性改善を試みる技術として、各種の化合物を電解液に添加する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、亜リン酸を電解液に添加すると、電極表面にリチウム塩の保護被膜が生成し、高温保存時の電池の膨れが抑制される旨記載されている。
一方、本願出願人は、スルホニルイミドアニオン化合物をリチウムイオン二次電池用の電解液の電解質として用いる検討を一貫して続ける中、添加剤としてスルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物を用いることで、電極の腐食が抑制されることを見出し、既に出願している(特許文献2)。
特開2008−41635号公報 特開2004−13704号公報
ところで、上述のように電池特性の向上についての検討は種々行われているが、用途の拡がりに伴い、電池には一層の高エネルギー密度化が求められている。電池を高エネルギー密度化させるためには、高電圧下で電池を駆動させる必要がある。本願発明者らは、さらなる高電圧に耐えることができ、高温で保存しても性能劣化のない電池用電解液について検討を進めている。しかし、特にスルホニルイミドアニオン化合物を有する非水電解液を用いた電池を高電圧下で駆動させると、正極で電解液が分解して、分解生成物が負極上に堆積し、対向するセパレーターが目詰まりを起こし、電池の容量やレート特性を低下させてしまうといった問題があった。特許文献1に記載の亜リン酸を電解液に添加すると、正極表面に保護被膜を形成するため、電解液の分解や負極への分解生成物の堆積は抑制できるが、正極の抵抗上昇が起こり、高温保存後の回復容量やレート特性が低下してしまう。特許文献2では、4.2Vを超える高電圧下での使用の問題については検討されていない。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、高温下で保管した場合や、高電圧下で使用しても、電池としての容量及びレート特性の低下を抑制することのできる非水電解液及びこれを用いたリチウムイオン二次電池を提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明の非水電解液とは、一般式(1)[N(XSO2)(FSO2)]-(一般式(1)中、Xは、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表す。)で表されるアニオンと、
リチウムカチオンと、
下記一般式(2)で表されるリン酸系化合物と、
(上記一般式(2)中、Ra、Rbは、それぞれ独立して水素、C1〜C4のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表し、p、qは0又は1である。)
を含むことを特徴とする。
本発明の非水電解液は、さらにスルホン構造を有する化合物を含むことが好ましい。この場合において、スルホン構造を有する化合物が環状スルホン酸エステルである態様、上記リン酸系化合物が亜リン酸である態様は、いずれも本発明の好ましい実施態様である。
本発明の非水電解液は、さらに、下記一般式(7)、一般式(8)で表されるアニオン及びヘキサフルオロ砒酸イオン(AsF6 -)よりなる群から選択される少なくとも1種のアニオンを含むものであってもよい。
[PFl(Cm2m+16-l]- (0≦l≦6、1≦m≦4) (7)
[BFn(Co2o+14-n]- (0≦n≦4、1≦o≦4) (8)
本発明の非水電解液は、定格充電電圧が4.2V超であるリチウムイオン二次電池に用いられることが好ましく、本発明には、本発明の非水電解液を備えたリチウムイオン二次電池も包含される。
本発明の非水電解液は、正極で電解液材料が分解するのを抑制し、かつ、正極の抵抗上昇も抑えることができるため、本発明の非水電解液を有するリチウムイオン二次電池の高電圧下、高温保存後の容量およびレート特性の低下抑制に効果を発揮する。したがって、本発明の非水電解液によれば、容量及びレート特性の低下が抑制されたリチウムイオン二次電池を提供できる。
1.非水電解液
本発明の非水電解液とは、一般式(1):[N(XSO2)(FSO2)]-(一般式(1)中、Xは、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表す。)で表されるアニオンと(以下、スルホニルイミドアニオン(1)と称する。)、リチウムカチオンと、上記一般式(2)で表される化合物を含むところに特徴を有している。
1−1.スルホニルイミドアニオン(1)
本発明に係るスルホニルイミドアニオン(1)は、一般式(1):[N(XSO2)(FSO2)]-で表される。一般式(1)中、Xはフッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表す。炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基であるのが好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられる。炭素数1〜6のフルオロアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものが挙げられる。具体的には、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。これらの中でも、フッ素原子、トリフルオロメチル基及びペンタフルオロエチル基がXとして好ましい。
具体的なスルホニルイミドアニオン(1)としては、例えば、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、(フルオロスルホニル)(メチルスルホニル)イミドアニオン、(フルオロスルホニル)(エチルスルホニル)イミドアニオン、(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオン、(フルオロスルホニル)(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドアニオン等が挙げられる。好ましくはビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオン、(フルオロスルホニル)(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドアニオンであり、より好ましくはビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオンである。
本発明の非水電解液には1種のスルホニルイミドアニオン(1)が単独で含まれていてもよく、また、2種以上のスルホニルイミドアニオン(1)が含まれていてもよい。
本発明の非水電解液中において、スルホニルイミドアニオン(1)はカチオンと解離して存在しているが、非水電解液中に分散、溶解させられる前は、カチオンとイオン結合した塩の状態で存在している。本発明の電解液には、リチウムカチオンが必須的に含まれていれば、他のカチオンが含まれていてもよく、リチウム以外の無機カチオン、有機カチオンのいずれであってもよい。
スルホニルイミドアニオン(1)を含有するスルホニルイミド化合物は、本発明の非水電解液においては、電解質塩として機能することも可能であるし、電池の性能向上のための添加剤として機能することも可能である。すなわち、スルホニルイミドアニオン(1)を含有するスルホニルイミド化合物が、例えばリチウム塩の場合は、リチウム電池用電解液の電解質塩として機能することが可能である。
無機カチオンとしては、Li+、Na+、K+、Cs+、Pb+等の1価の無機カチオン;Mg2+、Ca2+、Zn2+、Pd2+、Sn2+、Hg2+、Rh2+、Cu2+、Be2+、Sr2+、Ba2+等の2価の無機カチオン;及びGa3+等の3価の無機カチオンが挙げられる。これらの中でもアルカリ金属カチオン及びアルカリ土類金属カチオンが好ましく、Li+、Na+、Mg2+及びCa2+はイオン半径が小さく電池等に利用し易いためより好ましく、特にLi+が好ましい。
有機カチオンとしては、一般式(3):L+−Rs(式中、Lは、C、Si、N、P、S又はOを表し、Rは、同一若しくは異なる有機基であり、互いに結合していてもよい。sはLに結合するRの数を表し、3又は4である。なお、sは、元素Lの価数及びLに直接結合する二重結合の数によって決まる値である)で表されるオニウムカチオンが好適である。
上記Rで示される「有機基」としては、水素原子、フッ素原子、又は炭素原子を少なくとも1個有する基を意味する。上記「炭素原子を少なくとも1個有する基」は、炭素原子を少なくとも1個有してさえいればよく、また、ハロゲン原子やヘテロ原子等の他の原子や、置換基等を有していてもよい。置換基としては、例えば、アミノ基、イミノ基、アミド基、エーテル結合を有する基、チオエーテル結合を有する基、エステル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、カルバモイル基、シアノ基、ジスルフィド基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホニル基等が挙げられる。
オニウムカチオンの中でも、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム及びトリエチルメチルアンモニウム等の鎖状第4級アンモニウム;トリエチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、ジブチルメチルアンモニウム及びジメチルエチルアンモニウム等の鎖状第3級アンモニウム;1−エチル−3−メチルイミダゾリウム及び1,2,3−トリメチルイミダゾリウム等のイミダゾリウム;N,N−ジメチルピロリジニウム及びN−エチル−N−メチルピロリジニウム等のピロリジニウムは入手容易であるためより好ましい。さらに好ましいものとしては、第4級アンモニウム、イミダゾリウムが挙げられる。なお、耐還元性の観点からは、上記鎖状オニウムカチオンに分類されるテトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム及びトリエチルメチルアンモニウム等の第4級アンモニウムがさらに好ましい。
非水電解液中で解離してスルホニルイミドアニオン(1)を生成するスルホニルイミド化合物(スルホニルイミドアニオン(1)を有する化合物)としては、上述したスルホニルイミドアニオン(1)とリチウム、必要により他のカチオンとの組み合わせであればよいが、例えば、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウム(フルオロスルホニル)(メチルスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(エチルスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、トリエチルメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、テトラエチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、テトラエチルアンモニウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミド等が挙げられる。
スルホニルイミド化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、スルホニルイミド化合物は、市販品を使用してもよいし、従来公知の方法により合成した物を用いてもよい。
1−2.他のアニオン
本発明の非水電解液は、さらに、下記一般式(7)、一般式(8)で表されるアニオン及びヘキサフルオロ砒酸イオン(AsF6 -)よりなる群から選択される少なくとも1種のアニオンを含んでいてもよい。
[PFl(Cm2m+16-l]- (0≦l≦6、1≦m≦4) (7)
[BFn(Co2o+14-n]- (0≦n≦4、1≦o≦4) (8)
一般式(7)で表されるアニオン(以下、アニオン(7)と称する場合がある)としては、PF6 -、PF3(CF33 -、PF3(C253 -、PF3(C373 -、PF3(C493 -等が好ましいものとして挙げられる。より好ましくはPF6 -、PF3(C253 -であり、さらに好ましくはPF6 -である。
一般式(8)で表されるアニオン(以下、アニオン(8)と称する場合がある)としては、BF4 -、BF(CF33 -、BF(C253 -、BF(C373 -等が好ましいものとして挙げられ、BF4 -、BF(CF33 -がより好ましく、BF4 -がさらに好ましい。
上記非水電解液では、スルホニルイミドアニオン(1)の含有量が、スルホニルイミドアニオン(1)と、上記一般式(7)、一般式(8)で表されるアニオン及びヘキサフルオロ砒酸イオン(AsF6 -)の合計100mol%中、20mol%以上であることが好ましい。本発明は、スルホニルイミドアニオンを有する化合物のラジカルによる分解を抑制するものであるので、スルホニルイミドアニオンの含有量が全体のアニオン量の20mol%より少ないと、一般式(2)で表される化合物を添加する効果が発現しにくくなるからである。スルホニルイミドアニオンの含有量は、全体のアニオン量の30mol%以上がより好ましく、50mol%以上がさらに好ましい。
本発明の非水電解液は、さらに他のアニオンを含んでいてもよい。他のアニオンとしては、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF3SO3 -)、過塩素酸イオン(ClO4 -)、テトラシアノホウ酸イオン([B(CN)4-)、テトラクロロアルミニウムイオン(AlCl4 -)、トリシアノメチドイオン(C[(CN)3-)、ジシアナミドイオン(N[(CN)2-)、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン(C[(CF3SO23-)、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン(SbF6 -)およびジシアノトリアゾレートイオン(DCTA)等が挙げられる。
これらのアニオンは、スルホニルイミドアニオンの対カチオンとして例示したカチオンと組み合わせて、電解質塩として非水電解液に含めることで利用できる。
本発明の非水電解液中の電解質塩(スルホニルイミドアニオンを有する化合物、アニオン(7)を有する化合物、アニオン(8)を有する化合物、AsF6 -1を有する化合物及び他の電解質塩)の総和量は、特に限定はされないが、0.6mol/L以上であるのが好ましく、より好ましくは0.8mol/L以上であり、さらに好ましくは1.0mol/L以上であり、5.0mol/L以下であるのが好ましく、より好ましくは3.0mol/L以下であり、さらに好ましくは2.0mol/L以下である。電解質塩の非水電解液中の濃度が高すぎると非水電解液の粘度が上昇してイオン伝導度が低下する虞がある。一方、濃度が低すぎると電池性能が劣る場合がある。
1−3.リチウムカチオン
本発明の非水電解液はリチウムカチオンを含む。リチウムカチオンは、スルホニルイミド化合物に由来するものであってもよく、また上述の電解質塩に由来するものであってもよい。本発明の非水電解液に含まれるリチウムカチオンの濃度は0.6mol/L以上であるのが好ましい。本発明の非水電解液のリチウムカチオン濃度は0.8mol/L以上であるのがより好ましく、さらに好ましくは1.0mol/L以上である。リチウムカチオン濃度が高すぎると電解液の粘度が上昇し、イオン伝導度が低下する虞があるので、好ましくは飽和濃度以下で使用するのが好ましい。より好ましくは5.0mol/L以下であり、さらに好ましくは2.0mol/L以下である。
ここで「非水電解液中のリチウムカチオンの濃度」とは、本発明の非水電解液に含まれる全リチウムカチオン量に基づく値であり、例えば、2種以上のリチウムカチオンを有する電解質塩を使用する場合は、使用した電解質塩から生成するリチウムカチオンの合計量に、また、スルホニルイミド化合物にリチウムカチオンが含まれる場合は、スルホニルイミド化合物に含まれるリチウムカチオンと、併用する電解質塩に含まれるリチウムカチオンとの合計量に基づいて求められる値を非水電解液中のリチウムカチオンの濃度とする。スルホニルイミド化合物にリチウムカチオンが含まれない場合は、併用する電解質塩(リチウムカチオン含有)の濃度の総和を上記リチウムカチオン濃度と考えればよい。
1−4.リン酸系化合物
本発明の非水電解液には、下記一般式(2)で表されるリン酸系化合物が必須成分として含まれる。
(上記一般式(2)中、Ra、Rbは、それぞれ独立して水素、C1〜C4のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表し、p、qは0又は1である。)
上記リン酸系化合物は正極表面に保護被膜を形成するため、スルホニルイミド化合物が正極の活性を高める場合であっても、正極近傍で電解液が分解し分解生成物が負極上に堆積して対向するセパレーターを目詰まりさせることを抑制できる。リン酸系化合物は、後述するスルホン構造を有する化合物と併用しない場合は、単独で多量に添加すると、電池性能、特に高電圧下、高温保存後のレート特性を低下させるおそれがある。
上記一般式(2)中のRa、Rbは、水素、メチル基、エチル基、ブチル基、プロピル基といったC1〜C4のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基である。Ra、Rbは、同じでも異なっていてもよい。置換基としては、カルボキシ基、シアノ基、N置換アミノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルキル基、フルオロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、シアノアルキル基、シアノアルコキシ基、シアノアルキルスルホニル基、アルキルスルホニル基等が挙げられる。pとqが共に1の場合、P(リン原子)には、水酸基、C1〜C4のアルコキシ基、又はフェノキシ基が結合することになる。
具体的なリン酸系化合物としては、上記一般式(2)中、Ra、Rbがいずれも水素であり、pが0、qが1である亜リン酸(H3PO3)、上記一般式(2)中、Raが水素、Rbがフェニル基であり、p、qが共に0であるフェニルホスフィン酸、上記一般式(2)中、Ra、Rbがいずれもフェニル基であり、p、qが共に1であるリン酸ジフェニル等が挙げられ、中でも亜リン酸が好ましい。
上記リン酸系化合物は、非水電解液100質量%中、0.01質量%以上、1質量%以下の範囲で用いることが好ましい。0.01質量%よりも少ないと、高電圧下、高温保存時の電解液の分解を抑制する効果が不充分となることがあり、1質量%を超えて添加すると、電池性能そのものが低下する虞があり好ましくない。より好ましくは、0.03質量%以上、0.5質量%以下であり、さらに好ましくは、0.05質量%以上、0.2質量%以下である。
1−5.スルホン構造を有する化合物
本発明の非水電解液は、スルホン構造を有する化合物を添加剤として含有することが好ましい。スルホン構造を有する化合物とは、スルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物である。電解液にリン酸系化合物を添加することで形成される正極表面の保護被膜は、正極近傍での電解液材料の分解を抑制し、セパレーターの目詰まりを防ぐが、正極の抵抗を上昇させ、電池性能を低下させてしまう。スルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物は、こういった正極の抵抗上昇を抑制する効果を有する。そのメカニズムは、スルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物がリン酸系化合物よりも先に被膜を形成し、リン酸化合物由来の高抵抗な保護被膜の成長を抑制するためと推測される。その結果、前記したリン酸系化合物の効果も相まって、本発明の非水電解液を備えたリチウム二次電池は、高電圧下、高温保存後の特性の低下が生じ難いものになると考えられる。リン酸系化合物とスルホン構造を有する化合物の併用により、電解液の分解生成物の発生も抑制されることから、特に高温保存後のレート特性の改善に効果的であり、本発明の非水電解液の好適な実施態様である。
スルホン酸エステルとは、R1−S(O)2−O−R2で表される化合物であり、R1、R2は、炭素数1〜10の炭化水素基を表す。当該炭化水素基は、鎖状、分岐鎖状、環状、又は、これらの内2以上の構造を併せ持っていてもよく、また、炭化水素基を構成する炭素に結合する一部又は全部の水素原子は、ハロゲンで置換されていてもよい。より好ましくは、炭素数1〜6の炭化水素基である。具体的には、アルキル基、アリール基、フルオロアルキル基、フルオロアリール基等が挙げられる。上記R1とR2とは、同一若しくは異なっていてもよく、またR1、R2は結合して環を形成していてもよい。具体的なスルホン酸エステルとしては、1,3−プロパンサルトン、1,3−ブタンサルトン、1,4−ブタンサルトン、2,4−ブタンサルトン、1,5−ペンタンサルトン、2,4−ペンタンサルトン、1,4−へキサンサルトン、4,6−ヘプタンサルトン等の環状スルホン酸エステル;メタンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸メチル、トリフルオロメタンスルホン酸メチル等の鎖状スルホン酸エステルが挙げられる。上記スルホン酸エステルの中でも環状スルホン酸エステルが好ましく、1,3−プロパンサルトン、1,4−ブタンサルトン、2,4−ブタンサルトンがより好ましく、さらに好ましくは1,3−プロパンサルトン、1,4−ブタンサルトンであり、特に好ましくは1,4−ブタンサルトンである。
スルホン化合物とは、分子内にスルホン結合(R1−SO2−R2)を有する化合物である(R1とR2は、スルホン酸エステルと同様)。具体的なスルホン化合物としては、スルホラン、3−メチルスルホラン等の環状スルホン化合物、エチルメチルスルホン、ジフェニルスルホン、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン等の鎖状スルホン化合物が挙げられる。上記スルホニル基を有する化合物の中でも、スルホラン、3−メチルスルホラン、エチルメチルスルホンが好ましく、スルホランがより好ましい。
上記スルホン酸エステル及び/又はスルホン化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
スルホン構造を有する化合物は、非水電解液100質量%中、0.01〜3質量%とすることが好ましい。0.01質量%よりも少ないと、スルホン構造を有する化合物に由来する効果を十分に得ることができない虞があり、一方、3質量%を超えて添加すると、電池性能そのものが低下する虞がある。スルホン構造を有する化合物の含有量は、より好ましくは0.1〜2質量%であり、さらに好ましくは0.5〜1.5質量%である。
なお、非水電解液100質量%とは、スルホニルイミド化合物、他の電解質塩、スルホン構造を有する化合物、リン酸系化合物、溶媒、必要に応じて用いられる添加剤といった電解液を構成する成分すべての合計量である。
1−6.溶媒
本発明の非水電解液は溶媒を含む。溶媒としては、本発明の非水電解液に含まれる各種成分を溶解させることができれば特に限定されず、非水系溶媒や、ポリマー及びポリマーゲル等の媒体等、電池に用いられる従来公知の溶媒はいずれも使用できる。
非水系溶媒としては、誘電率が大きく、スルホニルイミド化合物の溶解性が高く、沸点が60℃以上であり、且つ、電気化学的安定範囲が広い溶媒が好適である。より好ましくは、含有水分量が低い有機溶媒である。このような有機溶媒としては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、2,6−ジメチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、クラウンエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエ−テル、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のエーテル類;炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジフェニル、炭酸メチルフェニル等の鎖状炭酸エステル類;炭酸エチレン、炭酸プロピレン、2,3−ジメチル炭酸エチレン、炭酸ブチレン、炭酸ビニレン、2−ビニル炭酸エチレン等の環状炭酸エステル類;フルオロエチレンカーボネート、trans−ジフルオロエチレンカーボネート、cis−ジフルオロエチレンカーボネート等のフッ素化環状炭酸エステル;蟻酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル等の脂肪族カルボン酸エステル類;安息香酸メチル、安息香酸エチル等の芳香族カルボン酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類;リン酸トリメチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル、リン酸トリエチル等のリン酸エステル類;リン酸トリフルオロエチルジメチル、リン酸ビス(トリフルオロエチル)メチル、リン酸トリス(トリフルオロエチル)、リン酸ペンタフルオロプロピルジメチル、リン酸トリフルオロエチルメチルエチル、リン酸ペンタフルオロプロピルメチルエチル、リン酸トリフルオロエチルメチルプロピル等のハロゲン化リン酸エステル類;モノホスファゼン、環状ホスファゼン、鎖状ホスファゼン等のホスファゼン化合物;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、2−メチルグルタロニトリル、バレロニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル等のニトリル類;N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、N−ビニルピロリドン等のアミド類;ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン等の硫黄化合物類:エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類;ジメチルスルホキシド、メチルエチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド類;ベンゾニトリル、トルニトリル等の芳香族ニトリル類;ニトロメタン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン等を挙げることができる。
これらの中でも、鎖状炭酸エステル類、環状炭酸エステル類、脂肪族カルボン酸エステル類、ラクトン類、エーテル類が好ましく、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、エチレンカーボネート(炭酸エチレン)、プロピレンカーボネート(炭酸プロピレン)、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等がより好ましい。上記非水系溶媒は1種を単独で用いてもよく、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリマーやポリマーゲルを溶媒として用いる場合は次の方法を採用すればよい。すなわち、従来公知の方法で成膜したポリマーに、上述の非水系溶媒に各種成分(スルホニルイミド化合物、他の電解質塩、スルホン構造を有する化合物、リン酸系化合物、必要に応じて用いられる添加剤)等を溶解させた溶液を滴下して、各種成分等並びに非水系溶媒を含浸、担持させる方法;ポリマーの融点以上の温度でポリマー、各種成分等を溶融、混合した後、成膜し、ここに非水系溶媒を含浸させる方法;予め各種成分等を非水系溶媒に溶解させた電解液とポリマーとを混合した後、これをキャスト法やコーティング法により成膜し、有機溶媒を揮発させる方法(以上、ゲル電解質);ポリマーの融点以上の温度でポリマー、各種成分等を溶融し、混合して成形する方法(真性ポリマー電解質);等が挙げられる。
上記方法に用いられるポリマーとしては、エポキシ化合物(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、アリルグリシジルエーテル等)の単独重合体又は共重合体であるポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のメタクリル系ポリマー、ポリアクリロニトリル(PAN)等のニトリル系ポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン等のフッ素系ポリマー、及びこれらの共重合体等が挙げられる。
なお、溶媒の分解を防ぎ、本発明の非水電解液をリチウムイオン二次電池に使用した場合のサイクル特性(寿命)の劣化を抑制する観点からは、溶媒として環状カーボネートを使用することが推奨される。環状カーボネートとしては、上述した飽和環状カーボネート、不飽和結合を有する環状カーボネート、フッ素含有環状カーボネート等が挙げられる。これらの中でも、コスト面からは飽和環状カーボネートが好ましく、特に炭酸エチレン、炭酸プロピレンが好ましい。環状カーボネートは1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
環状カーボネートは、非水電解液に含まれる全リチウムカチオンに対するモル比(環状カーボネート/Li+)が1以上、5以下となる範囲で用いるのが好ましい。上記範囲内で環状カーボネートを使用する場合には、リチウムイオン二次電池のサイクル特性(寿命)の劣化が一層抑制される。
サイクル特性劣化の一因は、非水電解液を構成する溶媒の分解にあることが知られている。しかしながら、環状カーボネートの使用量をリチウムイオンに対して上記範囲とすることで、サイクル特性の劣化を一層抑制することができる。環状カーボネートの使用量をリチウムイオン量に応じて決定することで、非水電解液中に存在するリチウムイオンと溶媒和していない環状カーボネート(フリーな環状カーボネート)の量を低減できる。すなわち、分解反応に関与できるフリーな環状カーボネートの量が減少するので、溶媒の分解反応が生じ難くなり、サイクル特性の劣化が抑制されるものと考えられる。
上記モル比(環状カーボネート/Li+)が大きすぎる場合は、非水電解液中に過剰に存在するフリーな環状カーボネートが酸化及び/又は還元分解され、その結果、サイクル特性が劣化してしまう。一方、上記モル比が小さすぎる場合は、環状カーボネート量が少なすぎて、環状カーボネートに由来する効果(例えば、負極上に被膜を形成し、非水電解液の分解を抑制する効果等)が得られ難くなったり、また、充放電の繰り返しによる溶媒の消費(被膜形成、分解等)により非水電解液の液枯れ状態となる虞がある。したがって、環状カーボネートは、リチウムイオンに対するモル比(環状カーボネート/Li+)が
1以上、4以下の範囲で使用することがより好ましく、より好ましくは3以下であり、さらに好ましくは2.0以下であり、1.8以下であるのが特に好ましい。
なお、環状カーボネートのリチウムカチオンに対するモル比(環状カーボネート/Li+)は、環状カーボネートの比重、モル質量に基づいて算出すればよい。例えば、エチレンカーボネートの場合は、比重を1.321、モル質量を88.06として、算出すればよい。
この場合、他の溶媒の使用量は、環状カーボネートと他の溶媒の合計100体積%に対して50体積%以上であるのが好ましく、より好ましくは55体積%以上であり、さらに好ましくは60体積%以上であり、好ましくは99体積%以下であり、より好ましくは95体積%以下であり、さらに好ましくは90体積%以下である。
1−7.その他の成分
本発明に係る非水電解液は、リチウムイオン二次電池の各種特性の向上を目的とする添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水クロトン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等のカルボン酸無水物;エチレンサルファイト、ブサルファン、テトラメチルチウラムモノスルフィド、トリメチレングリコール硫酸エステル等の含硫黄化合物;1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルスクシンイミド等の含窒素化合物;モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩等のリン酸塩;ヘプタン、オクタン、シクロヘプタン等の飽和炭化水素化合物;等が挙げられる。
上記添加剤は、本発明の非水電解液100質量%中0.1質量%以上、10質量%以下の範囲で用いるのが好ましい(より好ましくは0.2質量%以上、8質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以上、5質量%以下)。添加剤の使用量が少なすぎるときには、添加剤に由来する効果が得られ難い場合があり、一方、多量に他の添加剤を使用しても、添加量に見合う効果は得られ難く、また、非水電解液の粘度が高くなり伝導率が低下する虞がある。
2.リチウムイオン二次電池
本発明のリチウムイオン二次電池とは、リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な正極活物質を含有する正極、リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な負極活物質を含有する負極、及び非水電解液を有する。より詳細には、正極と負極との間にはセパレーターが設けられており、非水電解液は上記セパレーターに含浸された状態で、正極、負極等と共に外装ケースに収容されている。本発明のリチウムイオン二次電池は、上述した本発明の非水電解液を備えている。
2−1.正極
正極は、正極活物質、導電助剤及び結着剤等を含む正極合剤が正極集電体に担持されてなるものであり、通常、シート状に成形されている。
正極の製造方法は特に限定されないが、例えば、(i)分散用溶媒に正極合剤を溶解又は分散させた正極活物質組成物を正極集電体にドクターブレード法等で塗工したり、正極集電体を正極活物質組成物に浸漬した後、乾燥する方法;(ii)正極活物質組成物を混練成形し乾燥して得たシートを正極集電体に導電性接着剤を介して接合し、プレス、乾燥する方法;(iii)液状潤滑剤を添加した正極活物質組成物を正極集電体上に塗布又は流延して、所望の形状に成形した後、液状潤滑剤を除去し、次いで、一軸又は多軸方向に延伸する方法;等が挙げられる。また、必要に応じて乾燥後の正極合剤層を加圧してもよい。これにより正極集電体との接着強度が増し、電極密度も高められる。
正極集電体の材料、正極活物質、導電助剤、結着剤、正極活物質組成物に用いられる溶媒(正極合剤を分散または溶解する溶媒)としては特に限定されず、従来公知の各材料を用いることができ、例えば、特開2014−13704号公報に記載の各材料を用いることができる。
正極活物質の使用量は、正極合剤100質量部に対して75質量部以上、99質量部以下とするのが好ましく、より好ましくは85質量部以上であり、さらに好ましくは90質量部以上であり、より好ましくは98質量部以下であり、さらに好ましくは97質量部以下である。
導電助剤を用いる場合の、正極合剤中の導電助剤の含有量としては、正極合剤100質量%に対して、0.1質量%〜10質量%の範囲で用いるのが好ましい(より好ましくは0.5質量%〜10質量%、さらに好ましくは1質量%〜10質量%)。導電助剤が少なすぎると、導電性が極端に悪くなり、負荷特性及び放電容量が劣化する虞がある。一方、多すぎると正極合剤層のかさ密度が高くなり、結着剤の含有量をさらに増やす必要があるため好ましくない。
結着剤を用いる場合の、正極合剤中の結着剤の含有量としては、正極合剤100質量%に対して0.1質量%〜10質量%が好ましい(より好ましくは0.5質量%〜9質量%、さらに好ましくは1質量%〜8質量%)。結着剤が少なすぎると良好な密着性が得られず、正極活物質や導電助剤が集電体から脱離してしまう虞がある。一方、多すぎると内部抵抗の増加を招き電池特性に悪影響を及ぼしてしまう虞がある。
導電助剤及び結着剤の配合量は、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視等)、イオン伝導性等を考慮して適宜調整することができる。
2−2.負極
負極は、負極活物質、結着剤及び必要に応じて導電助剤等を含む負極合剤が負極集電体に担持されてなるものであり、通常、シート状に成形されている。
負極の製造方法としては、正極の製造方法と同様の方法を採用することができる。また、負極の製造時に使用する導電助剤、結着剤、材料分散用の溶媒も、正極で用いられるものと同様のものが用いられる。
負極集電体の材料、負極活物質としては、従来公知の負極活物質を用いることができ、例えば、特開2014−13704号公報に記載の各材料を用いることができる。
2−3.セパレーター
セパレーターは正極と負極とを隔てるように配置されるものである。セパレーターには特に制限がなく、本発明では、従来公知のセパレーターはいずれも使用でき、例えば、特開2014−13704号公報に記載の各材料を用いることができる。
2−4.電池外装材
正極、負極、セパレーター及び非水電解液等を備えた電池素子は、リチウムイオン二次電池使用時の外部からの衝撃、環境劣化等から電池素子を保護するため電池外装材に収容される。本発明では、電池外装材の素材は特に限定されず従来公知の外装材はいずれも使用することができる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池の形状は特に限定されず、円筒型、角型、ラミネート型、コイン型、大型等、リチウムイオン二次電池の形状として従来公知の形状はいずれも使用することができる。また、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等に搭載するための高電圧電源(数10V〜数100V)として使用する場合には、個々の電池を直列に接続して構成される電池モジュールとすることもできる。
本発明のリチウムイオン二次電池の定格充電電圧は特に限定されないが、4.2V超であるのが好ましい。本発明による効果は特に4.2Vを超える電圧で使用する場合に顕著となる。より好ましくは4.3V以上であり、さらに好ましくは4.35V以上である。定格充電電圧が高いほど、エネルギー密度を高めることはできるが、高すぎると安全性を確保し難い場合がある。したがって、定格充電電圧は4.6V以下であるのが好ましい。より好ましくは4.5V以下である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
1.非水電解液の調製
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを、3:7(体積比)で混合した非水溶媒に六フッ化リン酸リチウム(LiPF6、キシダ化学株式会社製、電解質塩)を溶解させて、LiPF6濃度1.2mol/Lの非水電解液No.1を調製した。
上記非水電解液No.1中に、一般式(2)で表される化合物として亜リン酸を0.1質量%となるように溶解させて、非水電解液No.2を調製した。
上記非水電解液No.1中に、スルホン構造を有する化合物として1,4−ブタンスルトンを1質量%となるように溶解させて、非水電解液No.3を調製した。
上記非水電解液No.1中に、亜リン酸が0.5質量%、1,4−ブタンスルトンが1質量%となるように溶解させて、非水電解液No.4を調製した。
上記非水電解液No.1のLiPF6濃度を0.6mol/Lに変更し、スルホニルイミドアニオン(1)を有し、非水電解液中でスルホニルイミドアニオン(1)を生成する化合物として、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(以下、LiFSIと称する場合がある)を0.6mol/Lとなるように溶解させて、非水電解液No.5を調製した。
上記非水電解液No.5中に、亜リン酸が0.1質量%となるように溶解させて、非水電解液No.6を調製した。
上記非水電解液No.5中に、1,4−ブタンスルトンが1質量%となるように溶解させて、非水電解液No.7を調製した。
上記非水電解液No.5中に、亜リン酸が0.5質量%、1,4−ブタンスルトンが1質量%となるように溶解させて、非水電解液No.8を調製した。
2.コイン型リチウムイオン二次電池の作製
正極活物質(LiCoO2)、導電助剤1(アセチレンブラック、AB)、導電助剤2(グラファイト)及び結着剤(ポリフッ化ビニリデン、PVdF)を93:2:2:3の質量比で有する正極と、負極活物質として人造黒鉛、導電助剤(気相法炭素繊維、「VGCF(登録商標)」、昭和電工社製)、及び結着剤(ポリフッ化ビニリデン、PVdF)を95.7:0.5:3.8の質量比で有する負極を用いた。セパレーター(ポリエチレン製、16μm)に非水電解液を含浸させ、コインセルを作製した。
3.電池評価
4.4Vにおける0.2C回復容量及び放置後レート特性(1C/0.2C)の測定
コインセルを用いて定格充電電圧を4.4Vとするリチウムイオン二次電池を作製し、充放電試験装置(ACD−01、アスカ電子株式会社製)を使用して、温度25℃の環境下、4.4Vまで1Cで0.02Cカットの定電流定電圧充電を行った後、0.2Cで2.75Vまで放電したときの容量を測定した。この容量を初期0.2C容量とした。その後、同様の充電を行った後、1Cで2.75Vまで放電し、初期1C容量を測定した。その後4.4Vまで1Cで3時間の定電流定電圧(CCCV)充電を行い、80℃で3日間放置した。
放置後の電池を温度25℃の環境下に置き24時間経過した後、温度25℃、放電速度1Cで2.75Vまで放電し、放電容量を測定した。その後、4.4Vまで1Cで0.02Cカットの定電流定電圧充電を行い、0.2Cで2.75Vまで定電流放電を行った。このときの放電容量を放置後0.2C回復容量とした。初期0.2C容量と放置後0.2C回復容量の値から、下記式により0.2C回復容量(%)を求めた。結果を表1に示した。
0.2C回復容量(%)=(放置後0.2C回復容量/初期0.2C回復容量)×100
さらに、4.4Vまで1Cで0.02Cカットの定電流定電圧充電を行った後、1Cで2.75Vまで定電流放電を行った。このときの容量を放置後1C容量とした。放置後0.2C容量に対する放置後1C容量の割合(下式)を放置後レートとして表1に併記した。
放置後レート(%)=(1C/0.2C)×100
比較例1−1と2−1と3−1を比較すると、充電電圧が4.2Vで、亜リン酸を0.1質量%加えた比較例2−1は、放置後レートが若干低下した。ブタンスルトンを加えた比較例3−1は、LiPF6のみを含む比較例1−1と、電池性能はほとんど変わらなかった。充電電圧を4.4Vに高めた場合、比較例1−2、2−2、3−2、4のいずれにおいても4.2Vのときより、容量、レート特性は低下した。
一方、LiFSIを添加した比較例5では放置後レートが著しく低下した。LiFSIが正極の活性を高め、正極近傍で非水電解液の分解が起きているものと考えられる。LiFSI添加系において亜リン酸を加えた実施例1では放置後レートに改善が認められた。ブタンスルトンを加えた比較例6では、放置後レートに改善は認められなかった。LiFSI添加系において亜リン酸とブタンスルトンの両方を加えた実施例2では、放置後レートが比較例5の2倍レベルに向上した。これにより、亜リン酸とブタンスルトンの併用効果が確認できた。

Claims (7)

  1. 一般式(1)[N(XSO2)(FSO2)]-(一般式(1)中、Xは、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表す。)で表されるアニオンと、
    リチウムカチオンと、
    下記一般式(2)で表されるリン酸系化合物と、
    (上記一般式(2)中、Ra、Rbは、それぞれ独立して水素、C1〜C4のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表し、p、qは0又は1である。)
    を含むことを特徴とする非水電解液。
  2. さらに、スルホン構造を有する化合物を含む請求項1に記載の非水電解液。
  3. 上記スルホン構造を有する化合物が、環状スルホン酸エステルである請求項2に記載の非水電解液。
  4. 上記リン酸系化合物が、亜リン酸である請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解液。
  5. さらに、下記一般式(7)、一般式(8)で表されるアニオン及びヘキサフルオロ砒酸イオン(AsF6 -)よりなる群から選択される少なくとも1種のアニオンを含む請求項1〜4のいずれかに記載の非水電解液。
    [PFl(Cm2m+16-l]- (0≦l≦6、1≦m≦4) (7)
    [BFn(Co2o+14-n]- (0≦n≦4、1≦o≦4) (8)
  6. 定格充電電圧が4.2V超であるリチウムイオン二次電池に用いられるものである請求項1〜5のいずれかに記載の非水電解液。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の非水電解液を備えたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
JP2015017380A 2015-01-30 2015-01-30 非水電解液及びこれを備えたリチウムイオン二次電池 Active JP6637237B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015017380A JP6637237B2 (ja) 2015-01-30 2015-01-30 非水電解液及びこれを備えたリチウムイオン二次電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015017380A JP6637237B2 (ja) 2015-01-30 2015-01-30 非水電解液及びこれを備えたリチウムイオン二次電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016143525A true JP2016143525A (ja) 2016-08-08
JP6637237B2 JP6637237B2 (ja) 2020-01-29

Family

ID=56570751

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015017380A Active JP6637237B2 (ja) 2015-01-30 2015-01-30 非水電解液及びこれを備えたリチウムイオン二次電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6637237B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112164825A (zh) * 2019-12-26 2021-01-01 华南师范大学 一种高压磷酸酯电解液添加剂及含该添加剂的锂离子电池电解液
WO2021196427A1 (zh) * 2020-03-30 2021-10-07 山东海容电源材料股份有限公司 阻燃型锂离子电池电解液
CN113594547A (zh) * 2021-08-20 2021-11-02 蜂巢能源科技有限公司 电解液及锂离子电池

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013152825A (ja) * 2012-01-24 2013-08-08 Sony Corp 電池ならびに電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム
JP2014116078A (ja) * 2012-12-06 2014-06-26 Shin Kobe Electric Mach Co Ltd リチウムイオン二次電池、それを用いた二次電池システム、およびリチウムイオン二次電池用非水電解液
JP2015018713A (ja) * 2013-07-11 2015-01-29 旭化成株式会社 非水電解液、及び該非水電解液を用いたリチウムイオン二次電池

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013152825A (ja) * 2012-01-24 2013-08-08 Sony Corp 電池ならびに電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム
JP2014116078A (ja) * 2012-12-06 2014-06-26 Shin Kobe Electric Mach Co Ltd リチウムイオン二次電池、それを用いた二次電池システム、およびリチウムイオン二次電池用非水電解液
JP2015018713A (ja) * 2013-07-11 2015-01-29 旭化成株式会社 非水電解液、及び該非水電解液を用いたリチウムイオン二次電池

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112164825A (zh) * 2019-12-26 2021-01-01 华南师范大学 一种高压磷酸酯电解液添加剂及含该添加剂的锂离子电池电解液
WO2021196427A1 (zh) * 2020-03-30 2021-10-07 山东海容电源材料股份有限公司 阻燃型锂离子电池电解液
CN113594547A (zh) * 2021-08-20 2021-11-02 蜂巢能源科技有限公司 电解液及锂离子电池

Also Published As

Publication number Publication date
JP6637237B2 (ja) 2020-01-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102141903B1 (ko) 전해액 및 이것을 구비한 리튬이온 이차전지
KR101363442B1 (ko) 전기 화학 디바이스용 전해질, 이것을 사용하는 전해액 및 비수 전해액 전지
JP6647877B2 (ja) 非水電解液およびそれを用いた非水電解液二次電池
WO2013031551A1 (ja) 非水電解液電池用電解液及び非水電解液電池
US10290900B2 (en) Non-aqueous electrolytic solution and lithium ion secondary battery comprising same
JP6669506B2 (ja) 非水電解液及びこれを備えたリチウムイオン二次電池
JP6267038B2 (ja) 非水電解液及びこれを含む蓄電デバイス
JP2016062820A (ja) 非水電解液、電池用添加剤、電極およびリチウムイオン二次電池
WO2012176871A1 (ja) 非水電解液電池用電解液及び非水電解液電池
JP2016091906A (ja) 非水電解液及びこれを用いたリチウムイオン二次電池
JP6785148B2 (ja) 非水電解液およびそれを用いた非水電解液二次電池
JP6637237B2 (ja) 非水電解液及びこれを備えたリチウムイオン二次電池
JP6276575B2 (ja) 非水電解液及びこれを含むリチウムイオン二次電池
JP2017126542A (ja) リチウムイオン二次電池
JP6591184B2 (ja) 非水電解液及びこれを備えたリチウムイオン二次電池
JP6712117B2 (ja) 非水電解液及びこれを備えたリチウムイオン二次電池
JP5976490B2 (ja) 電池用電極及びこれを用いた電池
JP6278758B2 (ja) 非水電解液及びこれを含む蓄電デバイス
JP6603014B2 (ja) 非水電解液及びこれを備えたリチウムイオン二次電池
JP2015035400A (ja) リチウムイオン二次電池
JP5998013B2 (ja) 蓄電デバイス及び電解液
JP2015138627A (ja) 正極溶出抑制剤及びこれを含むリチウムイオン二次電池
JP2017004772A (ja) リチウムイオン二次電池の発熱抑制剤、及びこれを含む非水電解液、又は電極、並びにリチウムイオン二次電池
JP2015213046A (ja) スルホニル基を有するニトリル化合物を含有する電解液又は電極、及びこれらを用いたリチウムイオン二次電池
JP2015213045A (ja) スルホニル基を有するニトリル化合物を含有する電解液又は電極、及びこれらを用いたリチウムイオン二次電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171005

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180725

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180807

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180920

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20180920

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190305

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190419

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190620

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20190830

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191203

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191220

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6637237

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150