JP2016142497A - 蒸気配管接続構造およびこれを備えた蒸気タービンプラントならびに蒸気配管冷却方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】蒸気が流れる蒸気配管24のフランジ部34a同士を複数のボルト40によって接続する蒸気配管接続構造30Bであって、各フランジ部34aを外側から覆うカバー部50を備え、カバー部50には、冷却用空気を導入する冷却用空気導入配管54と、冷却用空気を排出する冷却用空気排出配管60とが接続されている。また、冷却用空気導入配管54と冷却用空気排出配管60とを接続する再循環配管62と、再循環配管62を流れる冷却用空気の流量を調整する制御弁64とを備えている。
【選択図】図4
Description
また、特許文献2には、蒸気タービン車室のフランジ部ではあるが、フランジ部を締結するボルトに形成した中心孔内に冷却空気を流す方法が提案されている。
また、特許文献2に記載の発明は、ボルトを冷却するものであり、フランジ部までを冷却することは考慮されていない。特に、同文献では、フランジ部の突出幅がボルト外径と同程度の寸法となっており、フランジ部の冷却を考慮する必要のない形状となっている。
すなわち、本発明にかかる蒸気配管接続構造は、蒸気が流れる蒸気配管のフランジ部同士を複数のボルトによって接続する蒸気配管接続構造であって、各前記フランジ部の全体を、前記蒸気配管の外側から覆うカバー部を備え、該カバー部には、冷却用流体を導入する冷却用流体導入配管と、冷却用流体を排出する冷却用流体排出配管とが接続されていることを特徴とする。
各フランジ部及び各ボルトを冷却した後の冷却流体は、冷却流体排出配管からカバー部外へと排出される。これにより、新たな冷却流体を連続的に導入することができ、冷却効果を促進することができる。
冷却流体としては、典型的には、空気が用いられる。
蒸気配管の直径は例えば50cm以上、好ましくは1m以上とされ、フランジ部の外径は65cm以上、好ましくは1.3m以上とされる。蒸気配管の直径が大きくなるほど熱膨張による変形量が大きくなり、蒸気の漏洩が発生する可能性が高くなる。したがって、50cm以上の直径とされた蒸気配管の接続構造に用いることが好ましい。
蒸気配管内を流れる蒸気の温度は、例えば400℃以上とされ、圧力は例えば5MPa以上とされる。
また、ボルト及び/又はフランジ部の温度、或いは、ボルトとフランジ部との温度差に基づいて、制御部によって再循環流量調整手段を制御することとしてもよい。これにより、適正なフランジ部の温度分布や、ボルトに塑性変形が生じない温度差を実現することができる。
また、ノズルは、ボルト方向に加えて、フランジ部方向へ向けて冷却流体を吹き付けるようにしても良い。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図3を用いて説明する。
図1には、本実施形態の蒸気配管接続構造が適用される蒸気タービンプラント1が示されている。
蒸気タービンプラント1は、ボイラ3と、蒸気タービン5とを備えており、一段再熱サイクルを構成している。
図2に示されているように、第2蒸気配管24は、蒸気流れSの上流側の上流配管32と、蒸気流れSの下流側の下流配管34とを備えている。本実施形態においては、各配管32,34は、外径が1m以上とされている。また、配管32,34内を流れる蒸気は、400℃以上、5MPa以上とされている。すなわち、高温高圧で大流量の蒸気がS方向へと流通する。
上流配管32の下流端部には第1フランジ部32aが設けられている。下流配管34の上流端部には第2フランジ部34aが設けられている。本実施形態では各フランジ部32a,34aの外径は1.3m以上とされている。各フランジ部32a,34aの材料は、例えばSF490A(炭素鋼鍛鋼品)などが一般的に利用されており、線膨張係数は約11×10−6/℃である。
各ボルト40は、図3に示されているように、等ピッチで円周方向に配置されている。なお、図3に示された実施形態では、8個のボルトが配置されているが、その個数は適宜設定することができる。
図2に示されているように、ボルト頭部40aと第1フランジ32aとの間には、第1座金44が配置されている。ナット42と第2フランジ34aとの間には、第2座金46が配置されている。
カバー部50の材質は、一般構造材(SS400)に腐食防止用の塗装やメッキ処理したもの、ステンレス材(SUS304)、や高温耐久エンジニアリングプラスティック材(ポリイミド系)などが利用されるが、コストを考慮するとSS400が好ましい。
図2に示されているように、カバー部50の上半部50aの一側面(図2において左側面)には、冷却用空気(冷却用流体)を導入するための導入口52が設けられている。冷却用流体はそのまま排気ができる空気が好ましいが、空気に限定されるものではなく窒素や二酸化炭素などのイナートガスを含んだガスでもよく、温度が低下していれば別目的でシールしたガスを流通させてもよい。導入口52には、冷却用空気導入配管54が接続されており、ブロワ56によって強制的に冷却用空気がカバー部50内に導入され、フランジ部32a,34a及びボルト40の冷却に必要な冷却空気流量が導入されるようになっている。
カバー部50の上半部の他側面(図2において右側面)には、排出口58が設けられている。排出口58には、冷却用空気排出配管60が接続されており、カバー部50内を流通した冷却用空気がカバー部50外へと排出されるようになっている。
なお、導入口52と排出口58の位置は、図2に示した位置に限定されるものではなく、カバー部50内の冷却用空気の流動状態がフランジ部32a,34a及びボルト40の冷却に良好となるように適宜決定することができ、例えばカバー部50の下半部50bに設けてもよい。なお、冷却用流体には、例えば常温の室内空気などが用いられ、そのまま屋外へと廃棄できるので好ましいが、空気に限定されるものではなく窒素や二酸化炭素などのイナートガスを含んだガスでもよく、温度が低下していれば別目的でシールしたガスを流通させてもよい。なお、蒸気配管表面の腐食を抑制するために、冷却用空気には水分含有量の少ない流体であることが好ましい。
蒸気タービンプラント1の運転中には、第2蒸気配管24を構成する上流配管32及び下流配管34内には400℃以上でかつ5MPa以上とされた高温高圧の蒸気が流通する。高温の蒸気が流通するので、フランジ部32a,34a及びボルト40も加熱され、温度が上昇する。
そして、本実施形態では、ブロワ56によって冷却用空気を、冷却用空気導入配管54を介して導入口52からカバー部50内へ導入する。これにより、フランジ部32a,34a及びボルト40が強制的に冷却される。図2には、冷却用空気によって、フランジ部32a,34aと、配管32,34について、説明用にフランジ部32a,34aに隣接する部分が冷却されて温度分布が低減されるようなる箇所がスマッジング(薄く塗りつぶされた部分)によって示されている。
このように、冷却用空気によってフランジ部32a,34aとともに、ボルト40が冷却されることにより、フランジ部32a,34aが過剰に熱膨張して締付力が過大となりボルト40が塑性変形することが回避され、ボルト40による適正な締付力を与えることができる。また、フランジ部32a,34aが冷却されることにより、フランジ部32a,34aの温度分布が周方向および半径方向に均一化されてフランジ部の局所的な変形が抑制され、シール部材36から配管32,34内を流れる蒸気の漏洩が防止される。
フランジ部32a,34a及びボルト40を冷却した後の冷却用空気は、排出口58からカバー部50外へと排出される。これにより、新たな冷却用空気をカバー部50内に連続的に導入することができ、冷却効果を促進することができる。
次に、本発明の第2実施形態について図4を用いて説明する。
本実施形態は、第1実施形態と同様に図1に示された蒸気タービンプラント1に用いられるものであり、図2に示した第1実施形態の構造と部分的に異なる。そこで、以下の説明では、第1実施形態と同様の構成については同一符号を付し、その説明を省略する。
なお、制御弁64は、再循環配管62内を流れる冷却用空気の流量を調整できる位置に配置されていれば良く、再循環配管62に設けてもよいし、また、冷却用空気排出配管60と再循環配管62との分岐点に3方弁を設けても良い。
制御部66では、ボルト40の温度およびフランジ部32a,34aの温度やこれらの温度差を適正範囲内に維持する制御弁64の開度を演算し、適正な開度指令値を制御弁64に指令するようになっている。
また、図5に示されているように、座金44,46の一側面には、半径方向に形成された半径方向溝44a,46aが設けられている。これら半径方向溝44a,46aは、フランジ部32a,34aに当接する面に形成されている。
各ノズル70への冷却用空気の分配は、冷却用空気導入配管54を分岐して各ノズル70へ供給しても良いが、図6に示したように、冷却用空気導入配管54からマニホールド72へ冷却用空気を導入し、マニホールド72から分岐流路74を介して各ノズル70へ冷却用空気を分配するようにしても良い。
制御部66によって制御弁64の開度を調整することで、カバー部50内に投入される冷却用空気の温度を調整する。具体的には、制御弁64の開度を小さくすると、再循環配管62を通り冷却用空気導入配管54へと流れ込む流量が増大する。再循環配管62を流れる冷却用空気は、カバー部50内でフランジ部32a,34a及びボルト40を冷却することによって加熱されているので、冷却用空気導入配管54に合流させることでブロワ56に吸い込まれる空気の温度を上昇させて、ノズル70からカバー部50内に供給する冷却用空気の温度を上げることができる。これとは逆に、制御弁64の開度を大きくすると、再循環配管62を通り冷却用空気導入配管54へと流れ込む流量が減少するので、ノズル70からカバー部50内に供給する冷却用空気の温度を上げる量を少なくすることができる。そして、制御部66は、第1温度センサ68で計測したボルト40の温度と、第2温度センサ69で計測した第1フランジ部32aの温度とに基づいて、ボルト40及びフランジ部32a,34aの温度が適正範囲になるように制御弁64によって調整することができる。
また、制御部66は、ボルト40とフランジ部32a,34aの温度差についても管理する。ボルト40の冷却が進み、ボルト40とフランジ部32a,34aの温度差が大きくなりすぎると、ボルト40に対するフランジ部32a,34aの熱膨張差が大きくなりボルト40に塑性変形が生じるおそれがあるからである。ボルト40は頭部40aが突出しており、また本実施形態ではノズル70の正面に位置しているので、ボルト40が優先的に冷却されるおそれがある。したがって、ボルト40とフランジ部32a,34aの温度差が大きくなった場合には、ボルト40が過剰に冷却されているおそれがあるので、制御部66の指令によって制御弁64の開度を大きくしてカバー部50内に流入する冷却用空気の温度を上げるように制御することで、ボルト40の過剰な冷却を抑制できる。
一方、ボルト40とフランジ部32a,34aの温度差が小さい場合には、フランジ部32a,34aの熱変形が伴うとボルト40による締結力が不足するおそれがあるので、制御部66の指令によって制御弁64の開度を小さくしてカバー部50内に流入する冷却用空気の温度を上げる量を少なくするように制御することで、ボルト40の冷却を促進させてボルト40の温度を低下させる。
さらに、冷却用空気は、座金44,46へと導かれ、座金44,46のフランジ部32a,34a側の面に形成された半径方向溝44a,46aを流れ、フランジ部32a,34a側へと導かれる。これにより、フランジ部32a,34aを均一に冷却することができる。
次に、本発明の第3実施形態について、図7を用いて説明する。
本実施形態は、第1実施形態と同様に図1に示された蒸気タービンプラント1に用いられるものであり、図2に示した第1実施形態の構造と部分的に異なる。そこで、以下の説明では、第1実施形態と同様の構成については同一符号を付し、その説明を省略する。
また、蒸気配管24の直径が1m以上としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、高温高圧の蒸気が流れる場合に蒸気の漏洩が懸念される50cm以上の配管径を有する蒸気配管に適用できるものである。
また、上述した各実施形態は、それぞれ適宜組み合わせることができる。例えば、第2実施形態で示した再循環配管62、制御弁64、制御部66及び温度センサ68,69の組合せは、第1実施形態や第3実施形態に用いることができ、第3実施形態の内周壁部50cは、第1実施形態や第2実施形態に用いることができる。
また、カバー部50内の圧力を検出する圧力センサを設けることとしても良い。圧力センサの検出圧力が所定値以上に上昇した場合には、フランジ部からの蒸気の漏洩が発生していると判断し、ブロワ回転の動力を増加させて冷却空気の導入量を増大させる制御を行う。この場合、蒸気の漏洩は、圧力センサに代えて、図4に示した温度センサ68,69の検出温度に応じて判断しても良い。
また、蒸気の漏洩が発生するおそれのある蒸気タービン負荷または許容できない蒸気の漏洩が発生する蒸気タービン負荷を予め決めておき、この蒸気タービン負荷に達した状態で冷却空気の導入を開始することとしても良い。これにより、冷却空気の供給開始時期を適正化することで、ブロワ動力の低減を図ることができる。
3 ボイラ
5 蒸気タービン
7 火炉
9 給水ポンプ
11 第1過熱器
13 第2過熱器(再熱器)
15 高圧タービン
17 低圧タービン
19 ロータ軸
21 発電機
23 第1蒸気配管
24 第2蒸気配管
25 第3蒸気配管
27 復水器
29 給水配管
30A,30B,30C 蒸気配管接続構造
32 上流配管
32a 第1フランジ部
34 下流配管
34a 第2フランジ部
36 シール部材
40 ボルト
40a 頭部
40b 中心軸貫通孔
40c 半径方向貫通孔
42 ナット
44 第1座金
44a 半径方向溝
46 第2座金
46a 半径方向溝
50 カバー部
50a 上半部
50b 下半部
50c 内周壁部(壁部)
52 導入口
54 冷却用空気導入配管
56 ブロワ
58 排出口
60 冷却用空気排出配管
62 再循環配管(冷却流体再循環配管)
64 制御弁(再循環流量調整手段)
66 制御部
68 第1温度センサ
69 第2温度センサ
70 ノズル
Claims (10)
- 蒸気が流れる蒸気配管のフランジ部同士を複数のボルトによって接続する蒸気配管接続構造であって、
各前記フランジ部の全体を、前記蒸気配管の外側から覆うカバー部を備え、
該カバー部には、冷却用流体を導入する冷却用流体導入配管と、冷却用流体を排出する冷却用流体排出配管とが接続されていることを特徴とする蒸気配管接続構造。 - 前記冷却用流体導入配管と前記冷却用流体排出配管とを接続する冷却用流体再循環配管と、
該冷却用流体再循環配管を流れる冷却用流体の流量を調整する再循環流量調整手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の蒸気配管接続構造。 - 前記ボルトには、中心軸線を通って貫通する中心軸貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸気配管接続構造。
- 前記ボルトには、前記中心軸貫通孔に連通するとともに半径方向に貫通する半径方向貫通孔が少なくとも一か所以上に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の蒸気配管接続構造。
- 前記ボルトの頭部と前記フランジ部との間、及び/又は、前記ボルトに取り付けられるナットと前記フランジ部との間、に設けられた座金を備え、
該座金の前記フランジ部側の面には、半径方向に形成された半径方向溝が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の蒸気配管接続構造。 - 各前記ボルトに向けて前記冷却用流体導入配管から導かれる冷却用流体を吹き付けるノズルを備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の蒸気配管接続構造。
- 前記カバー部は、前記冷却用流体を旋回させるように、該カバー部の内面に立設された壁部を有していることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の蒸気配管接続構造。
- 蒸気を生成するボイラと、
該ボイラによって生成された蒸気を導く蒸気配管と、
該蒸気配管に接続された蒸気タービンと、
前記蒸気配管の端部同士を接続するための請求項1から7のいずれかに記載の蒸気配管接続構造と、
を備えていることを特徴とする蒸気タービンプラント。 - 蒸気が流れる蒸気配管のフランジ部同士を複数のボルトによって接続する蒸気配管接続構造を冷却する蒸気配管冷却方法であって、
各前記フランジ部の全体を、前記蒸気配管の外側から覆うカバー部内に、冷却用流体を導入するとともに、冷却後の冷却用流体を該カバー部内から排出させて、前記蒸気配管内を流れる蒸気の漏洩を防止することを特徴とする蒸気配管冷却方法。 - 前記カバー部内から排出された冷却後の冷却用流体を、該カバー部内へ再び導く冷却用流体再循環工程と、
該冷却用流体再循環工程にて流れる冷却用流体の再循環流量を調整する再循環流量調整工程と、
を備え、
前記再循環流量調整工程にて、前記ボルト及び/又は前記フランジ部の温度、或いは、前記ボルトと前記フランジ部との温度差に基づいて、前記再循環流量を調整することを特徴とする請求項9に記載の蒸気配管冷却方法。
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