従来の上記車両用ドアチェッカでは、ドアの開放限界を通常の開放限界以上に拡大する場合には、チェックレバー側のストッパ突起と支持体側のストッパ受けとの係合を随時に解除可能な係脱機構を用いて、チェックレバーを支持体より随時に完全に切り離せるようにしていた。
このため、その切り離し後においてドアが完全フリーになって振らつくのを防止するためにドアヒンジ部に摩擦付与機構を特設する必要があり、またフリーのドアが最大開放限界以上に開かないようにドアヒンジ部にストッパ機構を特設する必要もあった。また、その切り離されたチェックレバーの自由端部が外部に露出すると、外観体裁が悪いだけでなく、チェックレバーの露出端部が他物と接触して、その他物を傷つけたり汚したりする虞もあった。
更に上記従来のドアチェッカでは、ドアの開放限界を任意選択的に多段階に切替えることが困難であった。
本発明は、かゝる事情に鑑みてなされたもので、ドアの開放限界を任意に多段階に切替え可能としつつ、簡単な構造で従来のドアチェッカの上記問題を解決できるようにした車両用ドアチェッカを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、車体又はドアの一方に基部が回動可能に軸支されるチェックレバーと、そのチェックレバーを挿通させる挿通孔を有して車体又はドアの他方に固着される支持体とを備え、前記チェックレバーに設けたストッパ突起と、前記支持体に設けたストッパ受けとの係合によりドアの開放限界を規定可能とした車両用ドアチェッカにおいて、複数の前記ストッパ突起が前記チェックレバーにその長手方向に間隔をおいて固定される一方、単一の前記ストッパ受けが、各々の前記ストッパ突起に対して係合可能なストッパ位置と係合不能な後退位置との間で移動可能として前記支持体に設けられ、前記支持体と前記ストッパ受け間には、該ストッパ受けを少なくとも前記ストッパ位置に保持し得る保持手段が設けられ、前記ストッパ位置に保持した前記ストッパ受けに複数の前記ストッパ突起を係合させることでドアの開放限界を複数段に規定できるようにしたことを第1の特徴とする。
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記ストッパ受けは、これが前記ストッパ位置と後退位置との間を移動できるように前記支持体に取付けられる金属製のストッパ受け本体と、そのストッパ受け本体に装着されて、該ストッパ受け本体が前記ストッパ突起に係合したときに衝撃を吸収すべく該ストッパ受け本体と前記支持体のストッパ面との間で挟圧される弾性体とを備えることを第2の特徴とする。
また本発明は、第2の特徴に加えて、前記保持手段が、前記ストッパ受けを前記ストッパ位置側に常時付勢する第1弾性部材で構成され、前記ストッパ受けを前記後退位置に移動操作するための操作レバーが、前記ストッパ位置にある前記ストッパ受けとの間に遊びが存する待機位置と、前記ストッパ受けを前記第1弾性部材の弾発力に抗して前記後退位置まで強制的に後退させる操作位置との間を移動可能として前記支持体に設けられ、前記操作レバーには、これを前記待機位置側に常時付勢する第2弾性部材が接続されることを第3の特徴とする。
さらに本発明は、第2又は第3の特徴に加えて、ドアの最大開放限界を規制するための前記ストッパ突起がドア開放過程で前記ストッパ位置の前記ストッパ受けに当接したときに、前記支持体のストッパ面との間に小間隙を存して対面する厚肉壁部が前記チェックレバーの端部に設けられ、この厚肉壁部は、前記当接による衝撃で前記弾性体が所定量弾性変形したときに前記ストッパ面に当接することでドアの最大開放限界を規制することを第4の特徴とする。
さらに本発明は、第1〜第4の特徴の何れかに加えて、前記ストッパ受けは、これが前記ストッパ位置に保持されていても、ドアの閉成時には少なくとも1つの前記ストッパ突起に係合、連動して前記後退位置側に移動することで該少なくとも1つのストッパ突起のストッパ受け通過を許容するように構成されることを第5の特徴とする。
さらに本発明は、第1〜第5の特徴の何れかに加えて、前記支持体には、前記チェックレバーに設けたディテント面に摺動可能に圧接してドア開放時に節度感を生じさせるための一対のシューが、前記挿通孔の開口部を開閉可能として設けられ、前記ストッパ突起が前記一対のシュー間を通過するのを、前記チェックレバーの前記ディテント面により該一対のシュー間の間隔を拡げることで許容することを第6の特徴とする。
本発明の第1の特徴によれば、複数のストッパ突起がチェックレバーにその長手方向に間隔をおいて固定される一方、単一のストッパ受けが、各々のストッパ突起に対して係合可能なストッパ位置と係合不能な後退位置との間で移動可能として支持体に設けられ、それら支持体とストッパ受け間には、ストッパ受けを少なくともストッパ位置に保持し得る保持手段が設けられ、そのストッパ位置に保持したストッパ受けに複数のストッパ突起を選択的に係合させることでドアの開放限界を複数段に規定できるようにしている。これにより、その複数段の開放限界のうち低開度のものを通常の開放限界と設定することで、チェックレバーを支持体より随時に切り離すことなくドアを、通常の開放限界よりも更に大きい開放限界まで大きく開放可能となるため、その切り離しに伴う従来技術の前記諸問題(例えば、チェックレバーの自由端部が外部に露出して他物を損傷、汚損する等の問題)を一挙に解決することができる。
しかもドアの開放限界を任意選択的に多段階に切替えることが可能となって、使い勝手がよくなり、また、その多段階切替えのために、支持体に対し可動(即ちストッパ位置と後退位置間を移動可能)であって構造が比較的複雑となるストッパ受けは、只1個設けるだけで済むことから、部品点数を極力減らしてコスト節減や組立作業性の向上に寄与することができる。
また特に第2の特徴によれば、上記ストッパ受けは、これがストッパ位置と後退位置との間を移動できるように支持体に取付けられる金属製のストッパ受け本体と、そのストッパ受け本体に装着されて、ストッパ受け本体がストッパ突起に係合したときに衝撃を吸収すべくストッパ受け本体と支持体のストッパ面との間で挟圧される弾性体とを備えるので、ストッパ受け本体を金属製として頑丈に製作できる一方で、このストッパ受け本体がストッパ突起に係合したときの衝撃を上記弾性体の弾性変形により効果的に吸収でき、従って、耐久性や静粛性が高められる。
また特に第3の特徴によれば、上記保持手段が、ストッパ受けをストッパ位置側に常時付勢する第1弾性部材で構成され、ストッパ受けを後退位置に移動操作するための操作レバーが、ストッパ位置にあるストッパ受けとの間に遊びが存する待機位置と、ストッパ受けを第1弾性部材の弾発力に抗して後退位置まで強制的に後退させる操作位置との間を移動可能として支持体に設けられ、操作レバーには、これを待機位置側に常時付勢する第2弾性部材が接続されるので、ストッパ受けがストッパ突起に係合したときの衝撃で上記弾性体が弾性変形したときに、そのストッパ受けが、静止状態の操作レバーに対し前記遊びの範囲で相対移動可能となる。これにより、上記弾性体の変形の際にストッパ受けに連動して操作レバーが移動するのを防止でき、操作レバーの盲動防止に効果的である。
また特に第4の特徴によれば、ドアの最大開放限界を規制するためのストッパ突起がドア開放過程でストッパ位置のストッパ受けに当接したときに、支持体のストッパ面との間に小間隙を存して対面する厚肉壁部がチェックレバーの端部に設けられ、この厚肉壁部は、当接による衝撃で弾性体が所定量弾性変形したときにストッパ面に当接することでドアの最大開放限界を規制するので、ドアが最大開放限界に達したときに、ストッパ突起のストッパ受けへの係合に加えて、上記厚肉壁部が支持体のストッパ面に当接することで、ドアの開放を確実に規制可能となる。
また特に第5の特徴によれば、ストッパ受けは、これがストッパ位置に保持されていても、ドアの閉成時には少なくとも1つのストッパ突起に係合、連動して後退位置側に移動することでそのストッパ突起のストッパ受け通過を許容するように構成されるので、ドアの閉成動作に機械的に連動してストッパ突起のストッパ受け通過を無理なく許容でき、しかもその際にストッパ受けを後退位置まで特別に操作する必要はなく、操作性が良好である。
また特に第6の特徴によれば、支持体には、チェックレバーに設けたディテント面に摺動可能に圧接してドア開放時に節度感を生じさせるための一対のシューが、挿通孔の開口部を開閉可能として設けられ、ストッパ突起が一対のシュー間を通過するのを、チェックレバーのディテント面により一対のシュー間の間隔を拡げることで許容するので、簡単な構造でストッパ突起が一対のシュー間を無理なく通過可能となり、シューがストッパ突起通過の障害となる虞れはない。
本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて以下に説明する。先ず、本発明の一実施形態を、図1〜図12を参照して説明する。
先ず、ドアチェッカの全体構造について説明する。図1において、自動車の車体Fには、その乗降口を開閉すべくドアDがヒンジ6を介して略鉛直軸線回りに回動可能に取付けられており、これら車体F及びドアD間には、ドアDの開放限界を複数段(図示例では2段)に切替え可能な本発明のドアチェッカDCが取付けられる。
図2〜図12も併せて参照して、ドアチェッカDCは、ドアDの端壁内面に固着される支持体としてのケースCを有する。このケースCは、鋼板等の金属板をプレス成形して一端を開放した箱形としたケース本体1と、その開放端を覆いながらケース本体1に結合される鋼板等の金属板よりなるカバー1′とからなっており、これらケース本体1及びカバー1′はドアDの端壁に、該端壁の内面にカバー1′を当接させた状態で上下一対のボルト2,2により締結される。
このケース本体1の閉塞端壁1w及びカバー1′には、ドアDの端壁に開口する透孔3と同軸に並ぶ挿通孔1a,1a′がそれぞれ穿設される。そして、これら三つの孔3,1a,1a′を遊隙を存して貫通するチェックレバーLの基端部が、コ字状のブラケット7にピボット軸8を介して回動可能に連結されており、このブラケット7は、ピボット軸8、即ちチェックレバーLの回動軸線を前記ヒンジ6のピボット軸と平行となるよう配置して、車体Fにボルト9により固着される。
チェックレバーLは、先部寄りの中間部に彎曲部を有する帯板状に形成されて略水平に配置され、その上下両面がディテント面5,5になっている。このチェックレバーLは、そのレバーと同じく帯板状に形成され且つブラケット7と連結されて略水平に配置される鋼板製の芯板Mと、この芯板Mの周面を被覆するように一体にモールド結合される合成樹脂製の被覆部Pとから構成される。
その芯板Mの長手方向中間部、特に先部寄りの中間部には、後述するストッパ受けSと協働してドアDの第1開放限界を規制するための金属製の第1ストッパ突起T1が、被覆部Pから露出するようにして一体に突設される。更にその芯板Mの先端部には、同ストッパ受けSと協働してドアDの第1開放限界より更に開いた第2開放限界を規制するための金属製の第2ストッパ突起T2が、これまた被覆部Pから露出するようにして一体に突設される。そして、その第1開放限界がドアDの通常の開放限界(図示例では開度が75度)として設定され、またその第2開放限界がドアDの最大開放限界(図示例では開度が150度)として設定される。
チェックレバーLの、前記被覆部Pで形成される上下のディテント面5,5には、その長手方向中間部に複数のディテントノッチ5aが長手方向に間隔をおいて形成される。そして、その最も先部寄りのディテントノッチ5aの近くでチェックレバーLの先端部(特に合成樹脂製の被覆部Pの先端部)には厚肉壁部11が全開ストッパとして一体に形成される。この厚肉壁部11は、前記ケース本体1の挿通孔1a周縁の端壁1w外面で構成されるストッパ面1sと直接係合することにより、第2ストッパ突起T2及びストッパ受けSと協働してドアDの前記最大開放限界を規定する。尚、本実施形態では、後述するようにドアDが第2開放限界まで開放されて第2ストッパ突起T2がストッパ受けSに係合した当初は、図8(A)に示す如くケースCのストッパ面1sと厚肉壁部11との間に小間隙25が形成されるように、厚肉壁部11の形状や位置が設定されるが、この小間隙25は、図8(B)に示すように前記係合による衝撃で弾性体Srが弾性変形するのに応じて消滅し、即ちストッパ面1sと厚肉壁部11とが直接係合する。
前記ケースCには、チェックレバーLの一対のディテント面5,5と摺接し且つ該面5,5と協働してドアDを所定の開き位置に保持し得る上下一対の合成樹脂製のシュー13,13と、これらシュー13,13をそれぞれディテント面5,5に対して弾発付勢する一対の弾性部材14,14とが収納される。尚、その弾性部材14,14は図示例ではゴム材より構成されるが、金属スプリングで構成してもよい。
それらシュー13,13は、ケースCにチェックレバーLの板厚方向に沿って摺動可能に嵌合保持されるものであって、前記ディテントノッチ5aに係合し得る半円筒状の係合部13aと、チェックレバーLの、ディテント面5,5の横幅方向に並ぶ両側面に摺接する一対の案内壁13b,13bとを一体に備える。
而して、ドアDを全閉位置(図12鎖線参照)から開放していくと、ケースCはチェックレバーLに対しその先部側へ相対移動すると同時に、チェックレバーLはピボット軸8周りに回動する。そして、このケースCのチェックレバーLに対する相対移動によれば、シュー13,13の係合部13a,13aがチェックレバーLのディテント面5,5を摺接する。そして、ドアDを所定の中間開度位置まで来ると、シュー13,13の係合部13a,13aが弾性部材14,14の弾発力を以てチェックレバーLのディテントノッチ5a,5aに落ち込むことにより、ドアDの開放トルクが急増するので、ドアDを同中間開度位置に弾力的に保持することができる。
ところで本実施形態のドアチェッカDCは、チェックレバーLにその長手方向に間隔をおいて固設した第1,第2ストッパ突起T1,T2と、ケースCに設けた単一のストッパ受けSとの係合によりドアDの開放限界を規定可能としている。即ち、そのストッパ受けSは、各ストッパ突起T1,T2に対し係合可能なストッパ位置(例えば図3実線位置、図7(A)位置、図11(A)位置)と、各ストッパ突起T1,T2に対し係合不能な後退位置(例えば図3鎖線位置、図10(B)位置)との間で移動可能としてケースCに取付けられ、そのケースCとストッパ受けS間には、ストッパ受けSをストッパ位置に保持し得る保持手段Hが設けられる。そして、その保持手段Hによりストッパ位置に保持したストッパ受けSに第1,第2ストッパ突起T1,T2を選択的に係合させることで、ドアDの開放限界を複数段に規定できるようになっている。
次にそのストッパ受けSの具体的構造及びそれのケースCへの取付構造について説明する。ケースCのカバー1′は、ケース本体1の一側方に延びるカバー延長部1h′を一体に有しており、そのカバー延長部1h′に金属製のヒンジブラケットBが締結される。このヒンジブラケットBは、カバー延長部1h′にボルト10等の結合手段を以て各々結合された上壁部Bu及び下壁部Blと、それら上、下壁部Bu,Bl間を一体に接続する中間壁部Bmとよりコ字状に形成されており、それら上、下壁部Bu,Bl間には、上下方向に延びる割りピン等よりなる支軸15が固着される。
前記ストッパ受けSは、これが前記ストッパ位置と後退位置との間を揺動できるようにケースC(具体的にはヒンジブラケットB)に前記支軸15を介して取付けられる金属板製のストッパ受け本体Smと、そのストッパ受け本体Smに装着されて、該ストッパ受け本体Smが第1,第2ストッパ突起T1,T2に各々係合したときに衝撃を吸収すべく該ストッパ受け本体Smとケース本体1のストッパ面1sとの間で挟圧されるゴム等よりなる弾性体Srとを備える。
そのストッパ受け本体Smは、それのコ字状をなす基部が支軸15に挿通支持され、また平板状をなす先部の裏面に弾性体Srが接合される。そして、図示例では弾性体Srと一体の係合突起Sraを、ストッパ受け本体Smの先部の支持孔Smaに圧入することで弾性体Srがストッパ受け本体Sm先部に固定されるが、斯かる固定手段に代えて(或いは加えて)他の固定手段、例えば接着剤により、弾性体Srをストッパ受け本体Sm先部に固定するようにしてもよい。
またストッパ受け本体SmとケースCとの間には、ストッパ受け本体Smを常にストッパ位置側、即ち弾性体Srを介してケース本体1のストッパ面1sに係合する側に弾発付勢する第1弾性部材としての第1捩じりコイルばねSp1が介装される。この第1捩じりコイルばねSp1の中間コイル部は支軸15に巻装され、またその両端部はカバー1′に、更にその中央折返し部はストッパ受け本体Smの基部にそれぞれ係合する。而して第1捩じりコイルばねSp1、支軸15及びケース本体1のストッパ面1sは、互いに協働してストッパ受けSをストッパ位置に付勢し保持する前記保持手段Hを構成する。そして、その保持状態で弾性体Srの弾性変形量がゼロ乃至は僅少となるように、弾性体Sr及び第1捩じりコイルばねSp1の各セット荷重が設定される。
またケースC、即ちそれに固定のヒンジブラケットBには、支軸15を介して操作レバー20の基部20aが揺動可能に支持される。この操作レバー20は、ストッパ受けSを前記後退位置に随時に移動操作するためのものであって、ストッパ位置にあるストッパ受けSと連係しない所定の待機位置(例えば図3実線位置、図7(A)位置、図11(A)位置)と、ストッパ受けSを第1捩じりコイルばねSp1の弾発力に抗して前記後退位置まで強制的に後退させる操作位置(例えば図3鎖線位置、図10(B)位置)との間を支軸15回りに揺動できるようになっている。そして、ストッパ受けSが前記ストッパ位置にあり且つ操作レバー20が前記待機位置にあるときには、そのストッパ受けSと操作レバー20との間に所定量の遊び21が設定される。
その操作レバー20とケースCとの間には、操作レバー20を常に待機位置側に弾発付勢する第2弾性部材としての第2捩じりコイルばねSp2が介装される。この第2捩じりコイルばねSp2の中間コイル部は支軸15に巻装され、またその両端部はヒンジブラケットBに、更にその中央折返し部は操作レバー20の基部20a寄りの中間部にそれぞれ係合する。またヒンジブラケットBの中間壁部Bmには、操作レバー20に係合可能なレバー受け部22が一体に突設されており、その係合により操作レバー20は、それの自由状態(即ち非操作状態)にあっては第2捩じりコイルばねSp2の弾発付勢力に抗して待機位置に保持される。
また操作レバー20の先部20bは、ドアDの内面に設けた凹部23に受容されて操作ノブの機能を果たすものであり、この先部20bを手で図2矢印方向(車室内方側)に引くことで操作レバー20を、車室内で操作位置に(従ってストッパ受けSを待機位置まで)随時操作できるようになっている。
而して、本実施形態のようにストッパ受け本体Smと、これを後退位置まで強制操作する操作レバー20とを結合一体化せずに別部品としたことにより、ストッパ受け本体Smが第1,第2ストッパ突起T1,T2に係合したときの衝撃で弾性体Srが弾性変形(例えば図7(B)を参照)したときに、そのストッパ受け本体Smが、静止状態の操作レバー20に対し前記遊び21の範囲で相対移動可能となって、操作レバー20の静止状態が維持される。これにより、上記弾性体Srの変形の際にストッパ受けSに連動して操作レバー20が妄りに移動するのを防止できるから、操作レバー20のガタつきや盲動が未然に防止可能となる。
また本実施形態のストッパ受けSは、これが前記ストッパ位置に保持されていても、ドアDの閉成時には第1ストッパ突起T1にストッパ受け本体Smが係合、連動して前記後退位置側に移動することで第1ストッパ突起T1のストッパ受けS通過を許容するように構成される。そのために、ストッパ受けSの弾性体Srには、ドアDを閉じるときに第1ストッパ突起T1との干渉を避ける溝状の逃げ部16が凹設され、これにより、ドアDの閉じ過程(即ち図11(A)〜(B))では、第1ストッパ突起T1が逃げ部16を通過してストッパ受け本体Smの裏面側に係合することでストッパ受けSを後退位置側に揺動させる。
そして、このときのストッパ受けSの後退位置側への揺動は、ストッパ受けSと操作レバー20との間の前記遊び21の範囲で許容されるため、操作レバー20は待機位置に静止したままである。かくして、ドアDの閉成動作に連動して第1ストッパ突起T1のストッパ受けS通過が無理なく許容され、しかもその際にストッパ受けSを後退位置まで操作レバー20で特別にレバー操作する必要はなく、操作性が良好である。
次に、この実施形態の作用について説明する。ドアチェッカDCがドアDと車体Fとの間に正しく組付けられた状態において、通常の使用態様では、図3実線及び図12(A)に示すようにドアDに固定のケースCがチェックレバーLの、第1ストッパ突起T1よりも基部寄りに位置するよう設定され、また、そのケースCに支持されるストッパ受けSは、通常は図3実線及び図7(A)に示すように所定のストッパ位置に保持される。
この状態でドアDが開放されて第1開放限界(即ち開度75度)に達すると、ストッパ位置にあるストッパ受けSが、図7(B)及び図12(B)に示すように第1ストッパ突起T1に係合することで、ドアDの第1開放限界を超える開放が規制される。この場合、ストッパ受け本体Smが第1ストッパ突起T1に係合したときの衝撃は、弾性体Srの弾性変形(図7(B)参照)で効果的に吸収されるため、装置の耐久性や静粛性が高められる。
またドアDの第1開放限界を超える開放動作を可能としたい場合には、図10(B)及び図12(A)に示すように、ドアDが第1開放限界まで開放される前に操作レバー20を待機位置から所定の操作位置まで車室内方側に操作することで、ストッパ受けSをそれまでのストッパ位置から後退位置まで強制揺動させる。そして、その状態のままドアDを更に開放すれば、第1ストッパ突起T1がストッパ受けSをこれと干渉することなく通過し、ケースCが第1,第2ストッパ突起T1,T2の間に移動する。しかる後に操作レバー20を解放すれば、同レバー20は第2捩じりコイルばねSp2の弾発付勢力で待機位置まで自動復帰し、これに伴い、ストッパ受けSが第1捩じりコイルばねSp1の弾発付勢力でストッパ位置まで自動復帰する。尚、操作レバー20は、これを所定の操作位置まで回動操作したときは、図10(B)に示すように該レバー20に一端部を係合させたストッパ受け本体Smの他端部をヒンジブラケットBの中間壁部Bmに係合させることで、そのレバー20の回動限界がストッパ受け本体Smを介してヒンジブラケットBにより規制される。
そして、ドアDが更に開放されて第2開放限界(即ち開度150度)に達すると、図8(A)及び図12(C)に示す如く、ストッパ位置にあるストッパ受けSが第2ストッパ突起T2に係合することで、ドアDの第2開放限界を超える開放が一次的に規制される。この場合、ストッパ受け本体Smが第2ストッパ突起T2に係合したときの衝撃は、先刻のストッパ受け本体Smが第1ストッパ突起T1に係合したときと同様、弾性体Srの弾性変形で効果的に吸収されるため、装置の耐久性や静粛性が高められる。
ところで本実施形態では、上記のようにドアDが第2開放限界まで開放されて第2ストッパ突起T2がストッパ位置のストッパ受けSに係合した当初は、図8(A)に示す如くケースCのストッパ面1sとチェックレバーL先部の厚肉壁部11との間に小間隙25が存するが、この厚肉壁部11は、前記係合による衝撃で弾性体Srが所定量弾性変形したときに、図8(B)に示す如くストッパ面1sに当接することでドアの最大開放限界を二次的に規制する。しかもこの規制は、弾性体Srよりも剛性が高く頑丈な合成樹脂製の厚肉壁部11とケースCのストッパ面1sとの直接係合によるため、ドアDの更なる開放が確実に規制され、弾性体Srの過度の弾性変形が回避される。
また、図12(C)に示すようにケースCが第1,第2ストッパ突起T1,T2の間にある状態からドアDを閉じる過程では、ストッパ受けSは、これがストッパ位置に在っても、前述のように第1ストッパ突起T1に対しストッパ受け本体Smの裏面側が弾性体Srの逃げ部16を通して(即ち弾性体Srを介さずに)係合、連動することで、該ストッパ受けSを後退位置側に自動的に揺動させ、これにより第1ストッパ突起T1のストッパ受けS通過が無理なく、また弾性体Srを傷つけることなく許容される。しかも、この場合に、ストッパ受けSを後退位置まで操作レバー20で特別にレバー操作する必要はないから、操作性が良好である。
ところで本実施形態では、ドアD及びケースCの1の、チェックレバーLが挿通される前記孔3,1a,1a′は、第1ストッパ突起T1が通過し得る大きさに形成され、またケースCには、チェックレバーLのディテント面5に摺動可能に圧接してドア開放時に節度感を生じさせるための一対のシュー13が、前記孔3,1a,1a′の開口部を開閉可能として設けられる。そして、第1ストッパ突起T1が一対のシュー13間を通過する際には、前記ディテント面5の、ディテントノッチ5a間の膨出部により該一対のシュー13間の間隔が自動的に拡げられるため、そのシュー13間を第1ストッパ突起T1が無理なく、しかも特別な操作を行うことなくスムーズに通過可能となる。
以上説明した本実施形態によれば、複数のストッパ突起T1,T2がチェックレバーLにその長手方向に間隔をおいて固定される一方、単一のストッパ受けSが、各々のストッパ突起T1,T2に対して係合可能なストッパ位置と係合不能な後退位置との間で移動可能としてケースCに設けられ、それらケースCとストッパ受けS間には、ストッパ受けSをストッパ位置に保持し得る保持手段Hが設けられる。そして、その保持手段Hでストッパ位置に保持したストッパ受けSに複数のストッパ突起T1,T2を選択的に係合させることで、ドアDの開放限界が複数段(図示例では2段階)に規定可能である。
この場合、チェックレバーLの基部に比較的近い第1ストッパ突起T1が、ドアDの第1開放限界、即ち通常の開放限界(図示例では75°)を規定しており、しかもドアDの開放時に操作レバー20の操作でストッパ受けSを後退位置に随時移動させることで第1ストッパ突起T1のストッパ受けS通過が難なく許容される。そして、このようにして第1ストッパ突起T1を通過させたストッパ受けSに第2ストッパ突起T2を係合させると共に、チェックレバーLの厚肉壁部11をケースCのストッパ面1sに当接させることにより、ドアDの開放を第2開放限界に衝撃を極力抑えつつ確実に規定可能となるから、チェックレバーLをケースCより随時に切り離すことなくドアDを、通常の開放限界を超えて第2開放限界まで更に大きく開放可能となり、その切り離しに伴う従来技術の前記した諸問題(例えば、チェックレバーLの自由端部が外部に露出して他物を損傷、汚損する等の問題)が一挙に解決可能である。
しかもドアDの開放限界を任意選択的に多段階(図示例では2段階)に切替えることが可能となって、使い勝手がよくなり、また、その多段階切替えのために、ケースCに対し可動(即ちストッパ位置と後退位置間を移動可能)であって構造が比較的複雑となるストッパ受けS及びそれの操作機構(操作レバー20等)は、只1組設けるだけで済むことから、それだけ部品点数が削減されてコスト節減や組立作業性の向上が図られる。
以上本実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、チェックレバーLの基部を車体F側に固定のブラケット7に軸支すると共に、ストッパ受けSを支持する支持体(ケースC)をドアD側に固定したものを示したが、本発明では、上記とは逆に、チェックレバーLの基部をドアD側に固定のブラケットに軸支すると共に、ストッパ受けSを支持する支持体(ケースC)を車体F側に固定してもよい。
また前記実施形態では、チェックレバーLに設けられるストッパ突起T1,T2の設置個数が2個であったが、その設置個数は、3個以上であってもよい。
また前記実施形態では、ストッパ受けSがストッパ位置側に常にバネ付勢され、その付勢力に抗して後退位置に移動操作できるようにしたものを示したが、本発明では、ストッパ受けSを保持手段によりストッパ位置及び後退位置の何れにも選択的に保持できるようしてもよい。
また、本発明のドアチェッカが設けられるドアDとして、前記実施形態では、自動車の左右出入口を開閉するサイドドアが例示されるが、自動車の後部出入口を開閉するバックドア(即ちリヤゲート)に本発明のドアチェッカを設けるようにしてもよい。