JP2016141656A - アリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされた組成物及びそれを含む固形剤 - Google Patents

アリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされた組成物及びそれを含む固形剤 Download PDF

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Abstract

【課題】アリルイソチオシアネートが長期にわたって分解せず、アリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされた組成物および該組成物を含むアリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされた固形剤の開発を課題とする。
【解決手段】室温において液体で、かつ酸素を含有するC〜C12脂肪族、脂環族または芳香族化合物と、アリルイソチオシアネートとを含有する組成物であって、前記アリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされてなることを特徴とする組成物により上記の課題を解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は、アリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされた組成物及びそれを含む固形剤に関する。より具体的には、本発明は、アリルイソチオシアネートの高い揮発性のコントロールを目的としたアリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされた組成物の開発、および該組成物を含むアリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされた固形剤の開発に関するものである。
さらに詳しくはアリルイソチオシアネートとの混和が良好で、アリルイソチオシアネートの分解が起こりにくく、かつアリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされたアリルイソチオシアネート含有組成物および該組成物を含有するアリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされた固形剤の開発に関するものである。
ワサビに含まれる辛味成分として知られるアリルイソチオシアネートは、ワサビやカラシに含まれるイソチオシアネートのなかでも最も多く含有される辛味成分であり、着香を目的としてキャンディー、ベーカリー製品、調味料、食肉加工品、ピクルス類などに用いられている。
また、アリルイソチオシアネートの蒸気は抗菌活性を示し、食中毒菌、腐敗細菌、病原性細菌、カビ、酵母などに対し抗菌性効果があることが報告されており、安全性についても問題ないことから食品の抗菌性製剤などとして広く用いられている。
しかし、アリルイソチオシアネートは、揮発性が高い上に、保存中においても酸化、重合および分解などが起こることから長期間において品質の維持が困難であった。
この問題を解決するための技術として、高分子の樹脂等からなる酸素吸収多層体を使用した酸素吸収性容器内にアリルイソチオシアネート含有物品を保存する方法(特許文献1)、常温で固形の油脂類にアリルイソチオシアネートを溶解保持させた徐放性抗菌性製剤(特許文献2)、ワサビ香料およびマスタード香料をシクロデキストリンに包接させ、ガム類、デンプン類、糖類で被覆する方法(特許文献3)、およびイソチオシアン酸エステルを蒸気圧の低い油性液体に溶解させ多孔質物質に含浸保持させる方法(特許文献4)などがある。
しかしながら特許文献1に記載される手法は高度な技術と高価な原材料が必要とし、特許文献2の手法はアリルイソチオシアネートを常温でペーストあるいは固形状にすることによってアリルイソチオシアネートの蒸気に徐放性を持たせるという点で優れているが、徐放性をコントロールするという点では不十分であり、特許文献3の手法においては高価なシクロデキストリンを必要とする課題を含むものである。
また、特許文献4ではイソチオシアン酸エステルを油性液体に溶解させるとイソチオシアン酸エステルの蒸発が抑えられるという点で優れているが、イソチオシアン酸エステルの蒸発を著しく抑制するといえるほどの効果はないことが比較例2より確認できている。
さらに、特許文献5では、これらの油性液体に加え、低級アルコールおよび低沸点の溶剤についても言及しているが、これらのイソチオシアン酸エステルの揮発抑制効果は不十分である。
すなわち、いずれの手法も安定性、香気保持性、ハンドリング性において十分満足のいくアリルイソチオシアネートの保存方法はいまだ開発されているとは言い難く、高度な技術や高価な原材料が必要である。
特開2011−136762 特開平4−208205 特開昭64-63354 特開平3-153607 特許第2926860号
したがって、安価で簡便な手法によって揮発性の高いアリルイソチオシアネートを長期間保存でき、かつアリルイソチオシアネートの揮発性をコントロールでき、安全でハンドリング性に優れたアリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされた組成物を提供することが求められる。
本発明の目的は、アリルイソチオシアネートの高い揮発性を抑制的にコントロールでき、アリルイソチオシアネートの香気の保持時間を延長できる方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、アリルイソチオシアネートが長期にわたって分解せず、アリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされた組成物および該組成物を含むアリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされた固形剤の開発を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、酸素原子を含む化合物をアリルイソチオシアネートと混合することによってアリルイソチオシアネートの高い揮発性を抑制的にコントロールし、アリルイソチオシアネートの香気の保持時間を延長させることにより達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、室温において液体で、かつ酸素を含有するC〜C12脂肪族、脂環族または芳香族化合物と、アリルイソチオシアネートとを含有する組成物であって、前記アリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされてなることを特徴とする組成物が提供される。
また、本発明によれば、前記C〜C12脂肪族または芳香族化合物が、モノまたはジエステルである前記の組成物が提供される。
また、本発明によれば、前記C〜C12脂環族化合物が、環状モノテルペン化合物である前記の組成物が提供される。
また、本発明によれば、前記C〜C12脂肪族または芳香族化合物が、酢酸イソプロピル、酢酸ヘキシル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸リナリル、コハク酸ジエチル、安息香酸エチル、またはこれらの混合物である前記の組成物が提供される。
また、本発明によれば、前記環状モノテルペン化合物が、1,8−シネオール、酢酸テルピニル、酢酸イソボルニル、酢酸ジヒドロテルピニル、酢酸ミルテニル、ターピネオール、またはこれらの混合物である前記の組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、前記の組成物を含み、アリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされてなることを特徴とする固形剤が提供される。
本発明によれば、アリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされている組成物が提供され、該組成物におけるアリルイソチオシアネートの揮発性をコントロールすることが可能であり、加えて非常に安価であるので、例えば従来用いられてきたアリルイソチオシアネートを用いる保存法の代替として、またはその保存技術を使用して更に長期の保存を可能にする。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明によるアリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされている組成物は、室温において液体の状態で存在し、酸素原子を含むC〜C12脂肪族、脂環族または芳香族化合物と、アリルイソチオシアネートとから構成される。前記の化合物は、アリルイソチオシアネートに単独で混合しても複数の化合物を混合して使用してもよいが、これらの化合物は、80℃〜235℃/760mmHgの沸点を有することを特徴とする。
アリルイソチオシアネートと上記の酸素原子を含む化合物を用いる場合の重量比は、アリルイソチオシアネートに対して酸素原子を含む化合物を10重量%以上用いることが好ましく、さらにアリルイソチオシアネートの揮発性の抑制の観点から、30重量%以上用いることが好ましい。
本発明においてアリルイソチオシアネートは、単品としてのアリルイソチオシアネート、すなわち3−イソチオシアネート−1−プロペン以外に、6−メチルイソヘキシルイソチオシアネート、7−メチルチオへプチルイソチオシアネートまたは8−メチルチオオクチルイソチオシアネートなどを用いてもよいし、ワサビ、カラシまたは大根、とりわけわさび大根等のアブラナ科の植物から抽出されるアリルイソチオシアネートを含む辛味成分の抽出物を用いてもよい。
本発明によるアリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされた組成物がアリルイソチオシアネートと共に含む化合物は、室温において液体の状態で存在し、かつ酸素を含有するC〜C12脂肪族、脂環族または芳香族化合物であり、より好ましくはエステル結合および/またはエーテル結合を有する化合物である。
上記の化合物における酸素含有脂肪族化合物がアルコール類である場合の例としては、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、1−ノナノール、2−ノナノール、3−ノナノール、4−ノナノール、5−ノナノール、1−デカノール、2−デカノール、3−デカノール、4−デカノール、5−デカノール、1−ウンデカノール、2−ウンデカノール、3−ウンデカノール、4−ウンデカノール、5−ウンデカノール、6−ウンデカノール、1−ドデカノール、2−ドデカノール、3−ドデカノール、4−ドデカノール、5−ドデカノール、6−ドデカノールおよびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
なかでも1−ヘキサノールが、入手の容易性およびアリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされた揮発性抑制効果の観点から好ましい。
また、上記の化合物における脂肪族および/または脂環族エーテル類としては、メチル(tert−ブチル)エーテル、エチルプロピルエーテル、プロピルエーテル、1−メトキシペンタン、プロピル(tert−ブチル)エーテル、アミルエチルエーテル、2−エトキシペンタン、3−エトキシペンタン、1−プロポキシブタン、2−プロポキシブタン、1−メトキシヘプタン、4−メトキシヘプタン、1−エトキシヘキサン、ブチルエーテル、1−エトキシヘプタン、1−プロポキシヘキサン、1−ブトキシペンタン、2−ブトキシペンタン、1−メトキシノナン、1−エトキシオクタン、1−ブトキシヘキサン、アミルエーテル、1,4−シネオールおよび1,8−シネオール、ならびにこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
なかでも1,8−シネオールが、入手の容易性およびアリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされた揮発性抑制効果の観点から好ましい。
また、上記の化合物における酸素含有脂肪族もしくは芳香族化合物がモノまたはジエステルである化合物としては、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸1−メチルブチル、酢酸2−メチルブチル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酢酸4−メチル−2−ペンチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ヘプチル、酢酸オクチル、酢酸イソオクチル、酢酸リナリル、酢酸ノニル、コハク酸ジエチル、酢酸2−ノニル、3−メチルブタン−1,3−ジイルジアセテート、安息香酸エチルおよびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
なかでも酢酸イソプロピル、酢酸ヘキシル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸リナリル、コハク酸ジエチルおよび安息香酸エチルまたはこれらの混合物が、アリルイソチオシアネートの揮発性抑制効果の観点から好ましい。
また、上記の化合物における脂環属化合物が環状モノテルペン化合物である例としては、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、δ−テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、ボルネオール、メントール、カルボン、樟脳、酢酸テルピニル、酢酸ジヒドロテルピニル、酢酸ミルテニル、酢酸イソボルニルおよびこれらの混合物等が挙げられる。
なかでも酢酸テルピニル、酢酸イソボルニル、酢酸ジヒドロテルピニル、酢酸ミルテニル、ターピネオールおよびこれらの混合物が、アリルイソチオシアネートの揮発性抑制効果の観点から好ましい。
上記の化合物は、いずれもアリルイソチオシアネートと単独で混合しても良いし、複数の化合物を混合して使用しても良い。
すなわち、本発明によるアリルイソチオシアネートの揮発性コントロール組成物を用いれば、高度な技術や高価な原材料を用いることなく、アリルイソチオシアネートの揮発性をコントロールすることが可能となる。
また、本発明によるアリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされた組成物を使用することにより、固形剤を作製することもできる。
このようなアリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされた固形剤の作成に用いられる賦形剤としては、常温で固体を呈する脂肪酸のグリセリンエステル、脂肪酸の高級アルコールエステル、パーム油、ラード、牛脂等の動植物油脂、バター等の乳脂、マーガリン等の硬化油、パラフィンワックス、カルナウバワックス、蜜蝋等の動植物および石油系のロウ等が挙げられる。これらの賦形剤は単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。
本発明によるアリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされた組成物を含むアリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされた固形剤の製造法において使用できる添加剤としては、乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、サポニン、レシチン)、バインダー(ポリアクリル酸ナトリウム、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、豆澱粉、ジャガイモ澱粉、サツマイモ澱粉、タピオカ澱粉、グリコーゲン、アガロース、ペクチン、アラビアゴム)等が挙げられ、これらは単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。
以下に具体的な実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら制限されるものではない。なお、比較例および実施例では、特に記載が無い限り、以下の試薬、分析装置および分析方法を用いた。
アリルイソチオシアネート:日本テルペン化学社製 アリルイソチオシアネート
酢酸ヘキシル:日本テルペン化学社製 酢酸ヘキシル
酢酸ジヒドロテルピニル:日本テルペン化学社製 酢酸ジヒドロテルピニル
ガスクロマトグラフィー分析装置:株式会社 島津製作所 製 GC−2010
アリルイソチオシアネートの分析方法
純度の明確なアリルイソチオシアネート、および内部標準物質(IS)をバイアルに精秤し、アセトンで希釈混合した溶液をガスクロマトグラフィー分析装置にて分析した。この結果を用いてf:ファクター値を算出し定量分析に用いた。
液体試料およびISをバイアルに精秤し、アセトンで希釈混合した溶液をガスクロマトグラフィー分析装置にて分析し、得られたサンプルおよびISの面積、重量、f値よりアリルイソチオシアネートの重量を算出した。
固体試料およびISを20mlのサンプル瓶に精秤し、ヘキサンを加えて30分間の超音波処理を行い、0.45μのPTFEシリンジフィルターで上澄みを濾過した溶液をガスクロマトグラフィー分析装置にて分析し、得られたサンプルおよびISの面積、重量、f値よりアリルイソチオシアネートの重量を算出した。
ガスクロマトグラフィー分析条件:InertCap 1701 30mカラム、ヘリウムキャリヤーガス、インジェクション温度280℃、検出器温度280℃、カラムオーブン温度80℃〜200℃、10℃/分昇温。
実施例1〜14
本発明のアリルイソチオシアネートの揮発性コントロール組成物の組成比率および保留効果について検討を行った。すなわち、「表1」の処方に基づき本発明のアリルイソチオシアネートの揮発性コントロール組成物を混合調製し、組成比率と保留効果を評価した。
比較例1〜5
上記の実施例1〜14と同様に、「表1」の処方に基づきアリルイソチオシアネートの揮発性コントロール組成物を混合調製し、組成比率と保留効果を評価した。
なお、保留効果の評価における実験条件は、表1の比較例および実施例に記載の組成物を混合して溶液を作製し、各溶液を直径60mmのシャーレへ表1に記載の重量を入れて40℃の恒温槽に静置した。実験開始時のアリルイソチオシアネート正味重量を100%として、経過時間ごとのアリルイソチオシアネート正味重量をパーセントで示し、得られた結果から半減期を導き出し表1にまとめて示した。
表1に示されるように、適当なエステル体をアリルイソチオシアネートに混合することにより、アリルイソチオシアネートの半減期を延長することが可能である。ここでの半減期とは、実験開始のアリルイソチオシアネートの含有率が半分になるまでに要する時間のことであり、半減期が長いほどアリルイソチオシアネートの揮発速度が減少していることを示す。
例えば、比較例4の2−プロパノール(アルコール類)を90%添加したアリルイソチオシアネートの溶剤と、実施例1の酢酸イソプロピル(エステル類)を90%添加したアリルイソチオシアネートの溶剤を比較すると、実施例1においてアリルイソチオシアネートの半減期は比較例4に対して約5.7倍への延長が可能となった。実施例14は酸素を含む炭素数6の脂肪族である1−ヘキサノールを混合しており、アリルイソチオシアネート原液と比較すると約3倍の延長が可能となった。この1−ヘキサノールをアセチル化した実施例5の酢酸ヘキシルにおいては、半減期が実施例14に対し約2.5倍へ延長を可能としており、アルコール体よりもエステル体とすることでアリルイソチオシアネートの半減期をより長くすることが可能となることが判明した。
また、実施例2、9および14のように、加える溶剤の組成比をコントロールすることによって、半減期をコントロールすることが可能であることも判明した。
Figure 2016141656
実施例15〜18
本発明のアリルイソチオシアネートの揮発性コントロール組成物を用いた固形物の保留効果について検討を行った。すなわち、表2および表3の処方に基づき、本発明のアリルイソチオシアネートの揮発性コントロール組成物を用いた固形物を作製し保留効果を評価した。
すなわち、表2および表3に記載の組成、パラフィンペレットおよび/またはカルナバワックスを用い、溶液使用量に基づいてパラフィンビーズを作製し、これを表2および表3に記載の試料量に基づき保留効果を評価した。
比較例6および7
上記の実施例15〜18と同様にして、表2および表3に記載の組成に基づいて、パラフィンビーズを作製し、これを表2および表3に記載の試料量に基づき保留効果を評価した。
なお、保留効果の評価における実験は、表2および表3の比較例および実施例のアリルイソチオシアネートの揮発性コントロール組成物を用いた固形物を表2および表3に記載の試料量を直径60mmのシャーレへ入れて40℃の恒温槽に静置することにより行った。実験開始時のアリルイソチオシアネート重量を100%として、経過時間ごとにアリルイソチオシアネート重量をパーセントで示し、得られた結果から半減期を導き出して表2および表3にまとめて示した。
実施例19
アリルイソチオシアネートの揮発性コントロール組成物を用いた固形物(パラフィンビーズ)の製造
500mlコルベンに水300g、アラビアゴム3g、ポリビニルアルコール3gを約80℃のウォーターバスで撹拌溶解させ、Tween20を1.6g加えて混和させた。200mlビーカーにパラフィンペレット54.0gを入れて加熱溶解させたところへアリルイソチオシアネート0.63gならびに酢酸ヘキシル5.42gを加えてすみやかに撹拌し、すばやくコルベンへと投入した。投入後はコルベンを放冷後、冷却させ、常圧ろ過によりパラフィン粒子74.6gを得た。これをエバポレーターで最大に減圧し、徐々に空冷から水浴25℃にて乾燥させたところ乾燥物50.1gが得られ、1.7mm、1.0mmの篩を通して1.0〜1.7mmの製品粒子30.5gを得た。得られた製品粒子のアリルイソチオシアネート含有率はGC定量法により0.35%、収率はアリルイソチオシアネートベースで17.0%であった。
実施例20
アリルイソチオシアネートの揮発性コントロール組成物を用いた固形物(カルナバビーズ)の製造
500mlコルベンに水300g、アラビアゴム3g、ポリビニルアルコール3gを約100℃のオイルバスで撹拌溶解させ、Tween20を2.0g加えて混和させた。200mlビーカーにカルナバワックス57.0gを入れて約100℃で加熱溶解させたところへアリルイソチオシアネート3.0gを加えてすみやかに撹拌し、すばやくコルベンへと投入した。投入後はオイルバス余熱でコルベンを徐冷し、放冷後冷却して常圧ろ過によりカルナバ粒子87.4gを得た。これをエバポレーターで最大に減圧し、徐々に空冷から水浴25℃にて乾燥させたところ乾燥物52.6gが得られ、2.0mm、1.7mm、1.0mm、0.5mmの篩を通して1.0〜1.7mmの製品粒子20.5gを得た。得られた製品粒子のアリルイソチオシアネート含有率はGC定量法により1.08%、収率はアリルイソチオシアネートベースで7.4%であった。
実施例21
アリルイソチオシアネートの揮発性コントロール組成物を用いた固形物(シクロデキストリン包接体)の製造
シクロデキストリン25gに水3.5gを入れて均一に混練し、アリルイソチオシアネートと酢酸ヘキシルの混合溶液2.0gを加え、エタノール3.0gを更に加えて均一に混練し、デンプン50gを加えてシクロデキストリン包接体を製造した。
実施例22
アリルイソチオシアネートの揮発性コントロール組成物を用いた固形物(ゼラチンカプセル)の製造
500mlビーカーに水200gを入れゼラチン60gを加えて5分程度静置してゼラチンをふやかし、65℃に設定したウォーターバスで加熱して溶解させ、砂糖60g、Tween80を約1.2g、アリルイソチオシアネートと酢酸ヘキシルの混合溶液20gを加え、特殊機化工業社製のT.K.ホモミキサーで10分間の乳化(63.7℃)を行った。一方、2Lの4つ口コルベンにヘキサン200gおよびmonoolein12gを加えて溶解させ、内温約25℃、回転数300rpmにて撹拌しているところへ前述の乳化液を投入した。投入後の内温は約43℃であった。乳化液投入後はやや回転数を下げ(250rpmへ)、内温が約30℃付近となったら氷冷を開始した。内温が約7℃となったところで1分間、静置させて1回目のデカンタを行い、デカンテーション液136gを得た。エタノール205gを加えて15分撹拌し、3分間静置させて2回目のデカンタを行い、2層のデカンテーション液183gを得た。同様にエタノール205gを加えて10分間撹拌し、1分間静置させて3回目のデカンタを行い、デカンテーション液288gを得た。さらにエタノール201gを加えて10分間撹拌し、1分間静置して218gのデカンテーション液を得た。残ったビーズを減圧濾過し、26gのエタノールでリンスしてウェットのビーズ202gを得た。これをエバポレーターでまずは空冷から徐々に減圧しながら水冷〜50℃まで加熱し、最終的に減圧最大の状態において50℃の水浴で2時間乾燥させ、ドライのビーズ製品127gを得た。
Figure 2016141656
Figure 2016141656
表2および表3に示されるように、酢酸ヘキシル、ジヒドロターピニルアセテートなどのエステルを含有することにより、アリルイソチオシアネートの揮発を抑制することが可能となった。例えば、実施例15の半減期は、酢酸ヘキシルを半量加えることによって比較例6に対して半減期を約4倍にまで延長することができている。実施例17でも同様に、比較例7の約3.5倍にまで半減期を延長することができている。また、実施例16は比較例6の約2倍の半減期であるが、同様にジヒドロターピニルアセテートを使用している実施例18は比較例7の約2倍の半減期となっており、基材の種類によらず一定の割合でアリルイソチオシアネートの保留性を高めていることを示している。
本発明によるアリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされた組成物を用いれば、高度な技術や高価な原材料を用いることなく、アリルイソチオシアネートの揮発性をコントロールすることが可能となり、加えて非常に安価であるので、例えば従来用いられてきたアリルイソチオシアネートを用いる保存法の代替として、更に長期の保存を可能にできる。

Claims (6)

  1. 室温において液体で、かつ酸素を含有するC〜C12脂肪族、脂環族または芳香族化合物と、アリルイソチオシアネートとを含有する組成物であって、前記アリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされてなることを特徴とする組成物。
  2. 前記C〜C12脂肪族または芳香族化合物が、モノまたはジエステルである請求項1に記載の組成物。
  3. 前記C〜C12脂環族化合物が、環状モノテルペン化合物である請求項1に記載の組成物。
  4. 前記C〜C12脂肪族または芳香族化合物が、酢酸イソプロピル、酢酸ヘキシル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸リナリル、コハク酸ジエチル、安息香酸エチル、またはこれらの混合物である請求項1または2に記載の組成物。
  5. 前記環状モノテルペン化合物が、1,8−シネオール、酢酸テルピニル、酢酸イソボルニル、酢酸ジヒドロテルピニル、酢酸ミルテニル、ターピネオール、またはこれらの混合物である請求項3に記載の組成物。
  6. 前記1〜5のいずれか1つに記載の組成物を含み、アリルイソチオシアネートの揮発性がコントロールされてなることを特徴とする固形剤。
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