[第1実施形態]
[パチンコ遊技機の構造]
本発明に係るパチンコ遊技機を実施するための形態を実施形態に基づいて以下に説明する。図1はパチンコ遊技機を正面からみた正面図、図2は遊技盤の前面を示す正面図である。なお、以下の実施の形態では、パチンコ遊技機を例に説明を行なうが、本発明による遊技機はパチンコ遊技機に限られず、コイン遊技機など、遊技球等の遊技媒体を発射して遊技領域に打込んで遊技が行なわれるその他の遊技機に適用することもできる。
パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図3参照)と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠(図3参照)とで構成される。また、パチンコ遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4と遊技球を発射するために操作する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。ガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。なお、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が形成されている。このパチンコ遊技機1では、打球供給皿3に貯留された遊技媒体としての遊技球を弾発発射して遊技領域7に打込んで遊技が行なわれる。
遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の飾り図柄を可変表示(変動表示ともいう)する複数の可変表示部を含む可変表示装置(飾り図柄表示装置)9が設けられている。可変表示装置9には、たとえば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア)がある。また、可変表示装置9には、始動入賞口14に入った有効入賞球数すなわち始動記憶数を表示する4つの特別図柄始動記憶表示エリア(始動記憶表示エリア)18が設けられている。有効始動入賞がある毎に、表示色が変化する(たとえば青色表示から赤色表示に変化)始動記憶表示エリアを1増やす。そして、可変表示装置9の可変表示が開始される毎に、表示色が変化している始動記憶数表示エリアを1減らす(すなわち表示色をもとに戻す)。この例では、図柄表示エリアと始動記憶表示エリアとが区分けされて設けられているので、可変表示中も始動記憶数が表示された状態にすることができる。なお、始動記憶表示エリアを図柄表示エリアの一部に設けるようにしてもよい。また、可変表示中は始動記憶数の表示を中断するようにしてもよい。また、この例では、始動記憶表示エリアが可変表示装置9に設けられているが、始動記憶数を表示する表示器(特別図柄始動記憶表示器)を可変表示装置9とは別個に設けてもよい。
可変表示装置9の上部には、識別情報としての特別図柄を可変表示(変動表示ともいう)する特別図柄表示器(特別図柄表示装置)8が設けられている。この実施の形態では、特別図柄表示器8は、たとえば0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(たとえば7セグメントLED)で実現されている。特別図柄表示器8は、遊技者に特定の停止図柄を把握しづらくさせるために、0〜99など、より多種類の数字を可変表示するように構成されていてもよい。可変表示装置9は、特別図柄表示器8による特別図柄の可変表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての飾り図柄の可変表示を行なう。なお、飾り図柄の可変表示を行なう可変表示装置9は、演出制御基板に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100によって制御される。さらに、可変表示装置9の左側には、遊技演出に用いられる可動部材としてのハンマ151が設けられている。ハンマ151は、モータ(図示省略)により駆動される。ハンマ151は、可動部152を支点として右方向に倒れ、可変表示装置9に表示される飾り図柄のうち最も左側の飾り図柄を叩くような演出を行なうことができる。
また、パチンコ遊技機1は、遊技の進行中に遊技者が操作可能な操作スイッチ81を備える。たとえば、操作スイッチ81が操作(押下)されると、可動部材としてのハンマ151が動作する。なお、本実施の形態においては、操作手段として押しボタン式の操作スイッチを説明するが、これに限らず、左右上下方向に指示可能な十字キー等、遊技者からの操作を受付けて、受付けた操作に応じた信号を出力するものであればよい。
可変表示装置9の下方には、始動入賞口14としての可変入賞球装置15が設けられている。始動入賞口14に入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、始動口スイッチ14aによって検出される。また、始動入賞口14の下部には開閉動作を行なう可変入賞球装置15が設けられている。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。
可変入賞球装置15の下部には、特定遊技状態(大当り状態)においてソレノイド21によって開状態とされる開閉板を用いた可変入賞球装置20が設けられている。可変入賞球装置20は大入賞口を開閉する手段である。可変入賞球装置20に入賞し遊技盤6の背面に導かれた入賞球のうち一方(V入賞領域:特別領域)に入った入賞球はVカウントスイッチ22で検出され、他方の領域に入った遊技球はカウントスイッチ23で検出される。遊技盤6の背面には、大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイド21Aも設けられている。
遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。この実施の形態では、左右のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行なわれ、たとえば、可変表示の終了時に右側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。普通図柄表示器10の近傍には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄始動記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、普通図柄始動記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。
遊技盤6には、複数の入賞口29,30,33,39が設けられ、遊技球の入賞口29,30,33,39への入賞は、それぞれ入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aによって検出される。各入賞口29,30,33,39は、遊技媒体を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤6に設けられる入賞領域を構成している。なお、始動入賞口14や大入賞口も、遊技媒体を受け入れて入賞を許容する入賞領域を構成する。遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾ランプ25が設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cが設けられている。さらに、遊技領域7における各構造物(大入賞口等)の周囲には装飾LEDが設置されている。天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cおよび装飾用LEDは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
そして、この例では、左枠ランプ28bの近傍に、賞球払出中に点灯する賞球LED51が設けられ、天枠ランプ28aの近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れLED52が設けられている。上記のように、この実施の形態のパチンコ遊技機1には、発光体としてのランプやLEDが各所に設けられている。さらに、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(以下、「カードユニット」という。)50が、パチンコ遊技機1に隣接して設置されている。カードユニット50は、遊技用の記録媒体としてのプリペイドカードを受付け、受付けたプリペイドカードの記録情報を読取り、その記録情報により特定される遊技者所有のカード残額(残高ともいう)の使用に基づいて貸与遊技媒体としての貸し球を遊技者に貸与する(以下、貸し出しまたは球貸しともいう)ために用いられるカード処理装置である。このように貸与された貸し球により、パチンコ遊技機1での遊技球を用いた遊技が可能となる。カードユニット50には、プリペイドカードの処理に関する制御および貸し球の貸与に関する制御等の各種制御を行なうためのカードユニット制御用マイクロコンピュータが搭載されている。
カードユニット50には、たとえば、使用可能状態であるか否かを示す使用可表示ランプ、カードユニット50がいずれの側のパチンコ遊技機1に対応しているのかを示す連結台方向表示器、カードユニット50内にカードが投入されていることを示すカード投入表示ランプ、記録媒体としてのカードが挿入されるカード挿入口、およびカード挿入口の裏面に設けられているカードリーダライタの機構を点検する場合にカードユニット50を解放するためのカードユニット錠が設けられている。
遊技者の操作により打球発射装置(図3参照)から発射された遊技球は、打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が始動入賞口14に入り始動口スイッチ14aで検出されると、図柄の可変表示を開始できる状態であれば、特別図柄表示器8において特別図柄が可変表示(変動)を始める。図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、始動記憶数を1増やす。
特別図柄表示器8における特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄の組合せが大当り図柄(特定表示結果)であると、大当り遊技状態に移行する。すなわち、可変入賞球装置20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(たとえば10個)の遊技球が入賞するまで開放する。そして、可変入賞球装置20の開放中に遊技球がV入賞領域に入賞しVカウントスイッチ22で検出されると、継続権が発生し可変入賞球装置20の開放が再度行なわれる。継続権の発生は、所定回数(たとえば15ラウンド)許容される。
停止時の特別図柄表示器8における特別図柄が確率変動を伴う大当り図柄(確変図柄)の組合せである場合には、次に大当りとなる確率が高くなる。すなわち、確変状態(確率変動状態)という遊技者にとってさらに有利な状態となる。
遊技球がゲート32を通過すると、普通図柄表示器10において普通図柄が可変表示される状態になる。また、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置15が所定時間だけ開状態になる。さらに、確変状態では、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数が高められる。すなわち、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数は、普通図柄の停止図柄が当り図柄である場合や、特別図柄の停止図柄が確変図柄である場合等に高められ、遊技者にとって不利な状態から有利な状態に変化する。なお、開放回数が高められることは、閉状態から開状態になることも含む概念である。
次に、パチンコ遊技機1の裏面の構造について図3を参照して説明する。図3は、遊技機を裏面から見た背面図である。
外枠300の内側には、枠体である遊技枠200が開閉可能に取り付けられている。遊技枠200は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠201と、機構部品等が取り付けられる機構板202と、それらに取り付けられる種々の部品(後述する遊技盤6を除く。)とを含む構造体である。パチンコ遊技機1の裏面において、各種部品は、遊技枠200側または遊技盤6側に取付けられている。
図3に示すように、遊技機裏面側では、可変表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80を含む可変表示制御ユニット49、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31が設置されている。また、球払出制御を行なう払出制御用マイクロコンピュータ370(図10参照)等が搭載された払出制御基板37が設置されている。なお、演出制御用マイクロコンピュータは、遊技盤6に設けられている可変表示装置9を制御するとともに、ランプ制御基板に搭載されているランプ制御用マイクロコンピュータに、各種装飾LED、普通図柄始動記憶表示器41、装飾ランプ25、枠側に設けられている天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cを点灯制御させ、音声制御基板に搭載されている音制御用マイクロコンピュータに、スピーカ27からの音発生を制御させる。
なお、この実施の形態では、演出制御用マイクロコンピュータは、ランプ制御基板に搭載されているランプ制御用マイクロコンピュータおよび音声制御基板に搭載されている音制御用マイクロコンピュータに制御コマンドを送信し、ランプ制御用マイクロコンピュータおよび音制御用マイクロコンピュータが、演出制御用マイクロコンピュータからの制御コマンドにしたがって各種ランプ・LEDおよびスピーカ27を制御するが、ランプ制御基板および音声制御基板には、マイクロコンピュータが搭載されていない構成であってもよい。
さらに、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5Vを作成する電源回路が搭載された電源基板910や発射基板91が設けられている。電源基板910には、外部から視認可能に露出した露出部分がある。この露出部分には、パチンコ遊技機1における主基板31および各電気部品制御基板(ランプ制御基板、音声制御基板、演出制御基板80および払出制御基板37)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品(電力が供給されることによって動作する部品)への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチが設けられている。さらに、露出部分における電源スイッチの内側(基板内部側)には、交換可能なヒューズが設けられている。
なお、電気部品制御基板には、電気部品制御用マイクロコンピュータを含む電気部品制御手段が搭載されている。電気部品制御手段は、遊技制御用マイクロコンピュータからのコマンドとしての指令信号(制御信号)にしたがって遊技機に設けられている電気部品(遊技用装置:球払出装置97、可変表示装置9、ランプやLEDなどの発光体、スピーカ27等)を制御する。以下、主基板31を電気部品制御基板に含めて説明を行なうことがある。その場合には、電気部品制御基板に搭載される電気部品制御手段は、遊技制御用マイクロコンピュータと、遊技制御用マイクロコンピュータ等からの指令信号にしたがって遊技機に設けられている電気部品を制御する手段とのそれぞれを指す。また、主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板をサブ基板ということがある。
遊技機裏面において、上方には、各種情報を遊技機外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板160が設置されている。ターミナル基板160には、少なくとも、球切れ検出スイッチ167の出力を導入して外部出力するための球切れ用端子、賞球情報(賞球個数信号)を外部出力するための賞球用端子および球貸し情報(球貸し個数信号)を外部出力するための球貸し用端子が設けられている。また、中央付近には、主基板31からの各種情報を遊技機外部に出力するための各端子を備えた情報端子基板(情報出力基板)34が設置されている。
前述した操作ノブ5の裏面側には、遊技球を発射アームにより打撃して発射する打球発射装置90が設けられている。打球発射装置90は、発射アームを動作させる発射モータ94(図5参照)を含み、発射モータ94を駆動することによって発射アームを動作させて遊技球を遊技領域7に向けて発射する。
貯留タンク38に貯留された遊技球は誘導レール390を通り、カーブ樋を経て払出ケース40Aで覆われた球払出装置97に至る。球払出装置97の上部には、遊技媒体切れ検出手段としての球切れスイッチ187が設けられている。球切れスイッチ187が球切れを検出すると、球払出装置97の払出動作が停止する。球切れスイッチ187は遊技球通路内の遊技球の有無を検出するスイッチであるが、貯留タンク38内の補給球の不足を検出する球切れ検出スイッチ167も誘導レール390における上流部分(貯留タンク38に近接する部分)に設けられている。球切れ検出スイッチ167が遊技球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構から遊技機に対して遊技球の補給が行なわれる。
入賞に基づく景品としての遊技球(以下、賞球または景品球ともいう)や球貸し要求に基づく遊技球(以下、賞球または景品球ともいう)が多数払出されて打球供給皿3が満杯になると、遊技球は、余剰球通路を経て余剰球受皿4に導かれる。さらに遊技球が払出されると、感知レバー(図示せず)が貯留状態検出手段としての満タンスイッチ(図示せず)を押圧して、貯留状態検出手段としての満タンスイッチがオンする。その状態では、球払出装置97内の払出モータ400(図10参照)の回転が停止して球払出装置97の動作が停止する。なお、そのような場合において、打球発射装置90の駆動を停止するように制御してもよい。
この実施の形態では、電源基板910および払出制御基板37などが遊技枠200に設けられ、主基板31および演出制御基板80などが遊技盤6に設けられる。より具体的に、遊技盤6と遊技枠200とは、分離可能なように構成されている。このような分離可能な構成において、遊技盤6側には、主基板31および演出制御基板80などが取付けられており、遊技枠200側には、電源基板910および払出制御基板37などが取付けられている。
図4は、払出ケース40Aで覆われた球払出装置97を示す正面図(図4(A))および断面図(図4(B))である。前述した球切れスイッチ187と球払出装置97との間には、通路体が設置されている。球払出装置97は、通路体の下部に固定されている。通路体は、カーブ樋によって流下方向が左右方向に変換された2列の遊技球を流下させる球通路を有する。球通路の上流側には、球切れスイッチ187が設置されている。なお、実際には、それぞれの球通路に球切れスイッチ187が設置されている。球切れスイッチ187は、球通路内の遊技球の有無を検出するものであって、球切れスイッチ187が遊技球を検出しなくなると球払出装置97における払出モータ(図4において図示せず)の回転を停止して遊技球の払出が不動化される。また、球切れスイッチ187は、球通路に27〜28個の遊技球が存在することを検出できるような位置に係止片によって係止されている。
球払出装置97において、ステッピングモータによる払出モータ400(図10参照)がたとえばカム292を回転させることによって、賞球または球貸し要求に基づく遊技球を1個ずつ払出す。また、球払出装置97の下方には、たとえば近接スイッチによる払出個数カウントスイッチ301が設けられている。球払出装置97から1個の遊技球が落下する毎に、払出個数カウントスイッチ301がオンする。すなわち、払出個数カウントスイッチ301は、球払出装置97から実際に払出された遊技球を検出する。したがって、払出制御用マイクロコンピュータ370は、払出個数カウントスイッチ301の検出信号によって、実際に払出された遊技球の数を計数することができる。この例では、払出個数カウントスイッチ301は、払出された賞球および貸し球の両方を検出する。すなわち、賞球の払出しと貸し球の払出しが同一の検出手段によって検出される。よって、部品点数を減らすことができ、遊技機のコストを低減させることができる。
この実施の形態では、球払出装置97は、賞球払出と球貸しとを共に行なうように構成されている。しかし、賞球払出を行なう球払出装置と球貸しを行なう球払出装置が別個に設けられていてもよい。別個に設けられている場合には、賞球払出を行なう球払出装置と球貸しを行なう球払出装置とで払出手段が構成される。さらに、たとえば、カムまたはスプロケットの回転方向を変えて賞球払出と球貸しとを分けるように構成されていてもよいし、本実施の形態において例示する球払出装置97(モータによってカムを回転させる構成)以外のどのような構造の球払出装置を用いてもよい。
[主基板31の機能構成例]
図5は、主基板31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図5には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムにしたがってパチンコ遊技機1を制御する基本回路(遊技制御手段に相当)53と、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、Vカウントスイッチ22、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aからの信号を基本回路53に与える入力ドライバ回路58と、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21および大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイド21Aを基本回路53からの指令にしたがって駆動するソレノイド回路59とが搭載されている。
なお、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、Vカウントスイッチ22、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a等のスイッチは、センサと称されているものでもよい。すなわち、遊技球を検出できる遊技媒体検出手段(この例では遊技球検出手段)であれば、その名称を問わない。入賞検出を行なう始動口スイッチ14a、Vカウントスイッチ22、カウントスイッチ23、および入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aの各スイッチは、入賞領域への遊技球の入賞を検出する入賞検出手段でもある。本実施の形態においては、入賞検出手段により入賞領域への遊技球の入賞が検出されたときに、払出条件が成立したものと判定される。なお、入賞検出手段は、複数の入賞口に別個に入賞したそれぞれの遊技球をまとめて検出するものであってもよい。また、ゲート32のような通過ゲートであっても、賞球の払出しが行なわれるものであれば、通過ゲートへ遊技球が進入することが入賞になり、通過ゲートに設けられているスイッチ(たとえばゲートスイッチ32a)が入賞検出手段になる。さらに、この実施の形態では、V入賞領域に入賞した遊技球はVカウントスイッチ22のみで検出されるので、大入賞口に入賞した遊技球数は、Vカウントスイッチ22による検出数とカウントスイッチ23による検出数との和になる。しかし、V入賞領域に入賞した遊技球が、Vカウントスイッチ22で検出されるとともにカウントスイッチ23でも検出されるようにしてもよい。その場合には、大入賞口に入賞した遊技球数は、カウントスイッチ23による検出数に相当する。
また、基本回路53から与えられるデータにしたがって、大当りの発生を示す大当り情報、特別図柄表示器8における図柄の可変表示開始に利用された始動入賞球の個数を示す有効始動情報、確率変動が生じたことを示す確変情報等の情報出力信号をホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64が搭載されている。
基本回路53は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段(変動データを記憶する遊技制御用記憶手段)としてのRAM55、およびプログラムにしたがって制御動作を行なうCPU56を有する遊技制御用マイクロコンピュータ560と、I/Oポート部57とを含む。この実施の形態では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータは、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、1チップマイクロコンピュータに内蔵されていてもよい。
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ560においてCPU56がROM54に格納されているプログラムにしたがって制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ560が実行する(または、処理を行なう)ということは、具体的には、遊技制御用マイクロコンピュータ560がプログラムにしたがって制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。また、遊技制御手段は、遊技制御用マイクロコンピュータ560を含む基本回路53で実現されている。
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板910において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグ等)と未払出賞球数を示すデータは、バックアップRAMに保存される。なお、遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータに基づいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、この実施の形態では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
基本回路53の入力ポートには、払出制御基板37から、クリア信号、電源断信号、および、リセット信号が入力される。クリア信号は、RAM55の内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示す信号である。電源断信号は、電源基板910からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す信号である。リセット信号は、遊技制御用マイクロコンピュータ560(CPU56)の遊技制御動作を許容する信号と、遊技制御用マイクロコンピュータ560(CPU56)の遊技制御動作を禁止する信号とに兼用される信号である。遊技制御動作を許容する信号は、ローレベル状態からハイレベル状態への立上りエッジの部分が遊技制御動作を開始させる起動信号としての性質を有する。また、遊技制御動作を禁止する信号は、ハイレベル状態からローレベル状態への立下がりエッジの部分が遊技制御動作を停止させる停止信号としての性質を有する。
前述した打球発射装置90においては、発射モータ94を駆動するための回路が搭載された発射基板91が設けられている。操作ノブ5は、弾発力を調節するものであり、遊技者が接触する部分であるタッチリングが組み付けられており、遊技者が操作ノブ(タッチリング)5に触れていることが、タッチセンサ(図6参照)で検出され、タッチセンサからの信号が発射基板91に伝達される。そして、遊技者による操作ノブ5の操作に応じて、発射基板91から発射モータ94に、発射モータ94を駆動するための駆動信号が出力される。発射モータ94は発射基板91からの駆動信号にしたがって駆動される。発射基板91では、発射モータ駆動回路は、タッチセンサ回路からの信号がオフ状態を示している場合には、発射モータ94の駆動を停止する。
なお、この実施の形態では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータ100で構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ560からの演出制御コマンドを受信し、飾り図柄を可変表示する可変表示装置9の表示制御を行なう。また、ランプ制御基板35に搭載されているランプ制御手段(ランプ制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、遊技盤6に設けられている普通図柄表示器10、普通図柄始動記憶表示器41および装飾ランプ25の表示制御を行なうとともに、枠側に設けられている天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cの表示制御を行なう。また、演出制御基板80には、ハンマ151の位置を検出するセンサ154,155の検出信号と、操作スイッチ81の操作に応じた操作信号とが入力される。さらに、ハンマ151を駆動するモータ150には、演出制御基板80から駆動信号が出力される。
また、この実施の形態で用いられている遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ソフトウェアで割込禁止に設定できないマスク不能割込(NMI)を発生させるために使用されるマスク不能割込端子(NMI端子)と、遊技制御用マイクロコンピュータ560の外部から割込(外部割込;ソフトウェアで割込禁止にできるマスク可能割込)を発生させるために使用される割込端子(INT端子)とを有する。しかし、この実施の形態では、マスク不能割込および外部割込を使用しない。そこで、NMI端子およびINT端子を、抵抗を介してVcc(+5V)にプルアップしておく。したがって、NMI端子およびINT端子の入力レベルは常にハイレベルになり、端子オープン状態に場合に比べて、ノイズ等によってNMI端子およびINT端子の入力レベルが立ち下がって割込発生状態になる可能性が低減する。
[メイン処理について]
次にパチンコ遊技機1の動作について説明する。図6および図7は、パチンコ遊技機1に対して電力供給が開始され遊技制御用マイクロコンピュータ560へのリセット信号がハイレベルになったことに応じて遊技制御用マイクロコンピュータ560が実行するメイン処理を示すフローチャートである。払出制御基板37からのリセット信号の入力レベルがハイレベル(オフ状態)になったとき、つまり、前述の起動信号が遊技制御用マイクロコンピュータ560に入力されたときに、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、プログラムの内容が正当か否かを確認するための処理であるセキュリティチェック処理を実行した後、ステップS1以降のメイン処理を開始する。メイン処理において、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、まず、所定の初期設定を行なう。
初期設定処理において、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、まず、割込禁止に設定する(ステップS1)。次に、割込モードを割込モード2に設定し(ステップS2)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップS3)。そして、内蔵デバイスレジスタの設定(初期化)を行なう(ステップS4)。
次いで、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、内蔵デバイス(内蔵周辺回路)であるCTC(カウンタ/タイマ)およびPIO(パラレル入出力ポート)の設定(初期化)(ステップS5)を行なった後、RAM55をアクセス可能状態に設定する(ステップS6)。
この実施の形態で用いられる遊技制御用マイクロコンピュータ560は、I/Oポート(PIO)およびタイマ/カウンタ回路(CTC)も内蔵している。また、CTCは、2本の外部クロック/タイマトリガ入力CLK/TRG2,3と2本のタイマ出力ZC/TO0,1を備えている。
この実施の形態で用いられている遊技制御用マイクロコンピュータ560には、マスク可能な割込のモードとして以下の3種類のモードが用意されている。なお、マスク可能な割込が発生すると、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、自動的に割込禁止状態に設定するとともに、プログラムカウンタの内容をスタックにセーブする。
割込モード0:割込要求を行なった内蔵デバイスがRST命令(1バイト)またはCALL命令(3バイト)を遊技制御用マイクロコンピュータ560の内部データバス上に送出する。よって、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、RST命令に対応したアドレスまたはCALL命令で指定されるアドレスの命令を実行する。リセット時に、遊技制御用マイクロコンピュータ560は自動的に割込モード0になる。よって、割込モード1または割込モード2に設定したい場合には、初期設定処理において、割込モード1または割込モード2に設定するための処理を行なう必要がある。
割込モード1:割込が受付けられると、常に0038(h)番地に飛ぶモードである。
割込モード2:遊技制御用マイクロコンピュータ560の特定レジスタ(Iレジスタ)の値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込ベクタ(1バイト:最下位ビット0)から合成されるアドレスが、割込番地を示すモードである。すなわち、割込番地は、上位アドレスが特定レジスタの値とされ下位アドレスが割込ベクタとされた2バイトで示されるアドレスである。したがって、任意の(飛び飛びではあるが)偶数番地に割込処理を設置することができる。各内蔵デバイスは割込要求を行なうときに割込ベクタを送出する機能を有している。
よって、割込モード2に設定されると、各内蔵デバイスからの割込要求を容易に処理することが可能になり、また、プログラムにおける任意の位置に割込処理を設置することが可能になる。さらに、割込モード1とは異なり、割込発生要因毎のそれぞれの割込処理を用意しておくことも容易である。上述したように、この実施の形態では、初期設定処理のステップS2において、遊技制御用マイクロコンピュータ560は割込モード2に設定される。
次いで、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、入力ポート1を介して入力されるクリアスイッチ921の出力信号の状態を1回だけ確認する(ステップS7)。その確認においてオンを検出した場合には、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、通常の初期化処理を実行する(ステップS10〜ステップS15)。クリアスイッチ921がオンである場合(押下されている場合)には、ハイレベルのクリア信号が出力されている。なお、入力ポート1では、クリア信号のオン状態はハイレベルである。また、たとえば、遊技店員は、クリアスイッチ921をオン状態にしながらパチンコ遊技機1に対する電力供給を開始する(たとえば電源スイッチ914をオンする)ことによって、容易に初期化処理を実行させることができる。すなわち、RAMクリア等を行なうことができる。
クリアスイッチ921がオンの状態でない場合には、パチンコ遊技機1への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(たとえばパリティデータの付加等の電力供給停止時処理)が行なわれたか否か確認する(ステップS8)。この実施の形態では、電力供給の停止が生じた場合には、バックアップRAM領域のデータを保護するための処理が行なわれている。そのような保護処理が行なわれていたことを確認した場合には、遊技制御用マイクロコンピュータ560はバックアップありと判定する。そのような保護処理が行なわれていないことを確認した場合には、遊技制御用マイクロコンピュータ560は初期化処理を実行する。
保護処理が行なわれていたか否かは、後述する電力供給停止時処理においてバックアップRAM領域に保存されるバックアップ監視タイマの値が、バックアップRAM領域のデータ保護処理を実行したことに応じた値(たとえば2)になっているか否かによって確認される。なお、そのような確認の仕方は一例であって、たとえば、電力供給停止時処理においてバックアップフラグ領域にデータ保護処理を実行したことを示すフラグをセットし、ステップS8において、そのフラグがセットされていることを確認したらバックアップありと判定してもよい。
バックアップありと判定したら、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、バックアップRAM領域のデータチェック(この例ではパリティチェック)を行なう(ステップS9)。この実施の形態では、クリアデータ(00)をチェックサムデータエリアにセットし、チェックサム算出開始アドレスをポインタにセットする。また、チェックサムの対象となるデータ数に対応するチェックサム算出回数をセットする。そして、チェックサムデータエリアの内容とポインタが指すRAM領域の内容との排他的論理和を演算する。演算結果をチェックサムデータエリアにストアするとともに、ポインタの値を1増やし、チェックサム算出回数の値を1減算する。以上の処理が、チェックサム算出回数の値が0になるまで繰り返される。チェックサム算出回数の値が0になったら、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、チェックサムデータエリアの内容の各ビットの値を反転し、反転後のデータをチェックサムとする。
電力供給停止時処理において、上記の処理と同様の処理によってチェックサムが算出され、チェックサムはバックアップRAM領域に保存されている。ステップS9では、算出したチェックサムと保存されているチェックサムとを比較する。不測の停電等の電力供給停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されているはずであるから、チェック結果(比較結果)は正常(一致)になる。チェック結果が正常でないということは、バックアップRAM領域のデータが、電力供給停止時のデータとは異なっていることを意味する。そのような場合には、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すことができないので、電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理(ステップS10〜S14の処理)を実行する。
チェック結果が正常であれば、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、その内部状態と演出制御手段等の電気部品制御手段の制御状態を電力供給停止時の状態に戻すための遊技状態復旧処理を行なう。具体的には、ROM54に格納されているバックアップ時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS91)、バックアップ時設定テーブルの内容を順次作業領域(RAM55内の領域)に設定する(ステップS92)。作業領域はバックアップ電源によって電源バックアップされている。バックアップ時設定テーブルには、作業領域のうち初期化してもよい領域についての初期化データが設定されている。ステップS91およびS92の処理によって、作業領域のうち初期化してはならない部分については、保存されていた内容がそのまま残る。初期化してはならない部分とは、たとえば、電力供給停止前の遊技状態を示すデータ(特別図柄プロセスフラグなど)、出力ポートの出力状態が保存されている領域(出力ポートバッファ)、未払出賞球数を示すデータが設定されている部分などである。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ROM54に格納されているバックアップ時コマンド送信テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS93)、その内容にしたがって演出制御基板80に、電力供給が復旧した旨を示す制御コマンド(復旧コマンド)が送信されるように制御する(ステップS94)。そして、ステップS15に移行する。
初期化処理では、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、まず、RAMクリア処理を行なう(ステップS10)。なお、RAM55の全領域を初期化せず、所定のデータ(たとえば大当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)をそのままにしてもよい。たとえば、大当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータをそのままにした場合には、不正な手段によって初期化処理が実行される状態になったとしても、大当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値が大当り判定値に一致するタイミングを狙うことは困難である。また、ROM54に格納されている初期化時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS11)、初期化時設定テーブルの内容を順次作業領域に設定する(ステップS12)。
ステップS11およびS12の処理によって、たとえば、普通図柄判定用乱数カウンタ、普通図柄判定用バッファ、特別図柄バッファ、総賞球数格納バッファ、特別図柄プロセスフラグ、賞球中フラグ、球切れフラグ、払出停止フラグなど制御状態に応じて選択的に処理を行なうためのフラグに初期値が設定される。また、出力ポートバッファにおける接続確認信号を出力する出力ポートに対応するビットがセット(接続確認信号のオン状態に対応)される。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ROM54に格納されている初期化時コマンド送信テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS13)、その内容にしたがってサブ基板を初期化するための初期化コマンドをサブ基板に送信する処理を実行する(ステップS14)。初期化コマンドとして、可変表示装置9に表示される初期図柄を示すコマンド等がある。
そして、ステップS15において、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、所定時間(たとえば2ms)毎に定期的にタイマ割込がかかるように遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されているCTCのレジスタの設定を行なう。すなわち、初期値としてたとえば2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。この実施の形態では、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるとする。
初期化処理の実行(ステップS10〜S15)が完了すると、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、表示用乱数更新処理(ステップS17)および初期値用乱数更新処理(ステップS18)を繰り返し実行する。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理が実行されるときには割込禁止状態にして(ステップS16)、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態にする(ステップS19)。なお、表示用乱数とは、可変表示装置9に表示される図柄を決定するための乱数であり、表示用乱数更新処理とは、表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。また、初期値用乱数更新処理とは、初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。初期値用乱数とは、大当りとするか否かを決定するための乱数を発生するためのカウンタ(大当り決定用乱数発生カウンタ)等のカウント値の初期値を決定するための乱数である。後述する遊技制御処理(遊技制御用マイクロコンピュータ560が、パチンコ遊技機1に設けられている可変表示装置9、可変入賞球装置、球払出装置等の遊技用の装置を、自身で制御する処理、または他のマイクロコンピュータに制御させるために指令信号を送信する処理、遊技装置制御処理ともいう。)における判定用乱数更新処理において、大当り決定用乱数発生カウンタの値が1ずつ加算されるが、大当り決定用乱数発生カウンタの値が1周(大当り決定用乱数発生カウンタの取りうる値の最小値から最大値までの間の数値の個数分歩進したこと)すると、そのカウンタに初期値が設定される。
なお、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理が実行されるときに割込禁止状態にされるのは、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理が後述するタイマ割込処理でも実行されることから、タイマ割込処理における処理と競合してしまうのを避けるためである。すなわち、ステップS17,S18の処理中にタイマ割込が発生してタイマ割込処理中で表示用乱数や初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新してしまったのでは、カウント値の連続性が損なわれる場合がある。しかし、ステップS17,S18の処理中では割込禁止状態にしておけば、そのような不都合が生ずることはない。
[遊技制御処理について]
次に、遊技制御処理について説明する。図8は、タイマ割込処理を示すフローチャートである。メイン処理の実行中に、具体的には、ステップS16〜S19のループ処理の実行中における割込許可になっている期間において、タイマ割込が発生すると、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、タイマ割込の発生に応じて起動されるタイマ割込処理において遊技制御処理を実行する。タイマ割込処理において、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、まず、電源断信号が出力されたか否か(オン状態になったか否か)を検出する電源断処理(電源断検出処理)を実行する(ステップS21)。次いで、入力ドライバ回路58を介して、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23および入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a等のスイッチの検出信号を入力し、それらの状態判定を行なう(スイッチ処理:ステップS22)。具体的には、各スイッチの検出信号を入力する入力ポートの状態がオン状態であれば、各スイッチに対応して設けられているスイッチタイマの値を+1する。
次に、遊技制御に用いられる大当り判定用の乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行なう(ステップS23)。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、さらに、初期値用乱数および表示用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行なう(ステップS24,S25)。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特別図柄プロセス処理を行なう(ステップS26)。特別図柄プロセス制御では、遊技状態に応じてパチンコ遊技機1を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグにしたがって該当する処理が選び出されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。また、普通図柄プロセス処理を行なう(ステップS27)。普通図柄プロセス処理では、普通図柄表示器10の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグにしたがって該当する処理が選び出されて実行される。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。
次いで、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特別図柄の変動に同期する飾り図柄に関する演出制御コマンドをRAM55の所定の領域に設定して演出制御コマンドを送出する処理を行なう(特別図柄コマンド制御処理:ステップS28)。また、普通図柄に関する演出制御コマンドをRAM55の所定の領域に設定して演出制御コマンドを送出する処理を行なう(普通図柄コマンド制御処理:ステップS29)。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、たとえばホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報などのデータを出力する情報出力処理を行なう(ステップS30)。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a等の検出信号に基づく賞球個数の設定などを行なう賞球処理を実行する(ステップS31)。具体的には、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a等がオンしたことに基づく入賞検出に応じて、払出制御基板37に賞球個数を示す賞球個数信号(図9、図10参照)等の払出指令信号を出力する。払出制御基板37に搭載されている払出制御用マイクロコンピュータ370は、賞球個数を示す賞球個数信号の受信に応じて球払出装置97を駆動する。
そして、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、始動入賞記憶数の増減をチェックする記憶処理を実行する(ステップS32)。また、パチンコ遊技機1の制御状態をパチンコ遊技機1外部で確認できるようにするための試験信号を出力する処理である試験端子処理を実行する(ステップS33)。また、この実施の形態では、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域(出力ポートバッファ)が設けられているのであるが、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、出力ポート3のRAM領域におけるソレノイドに関する内容を出力ポートに出力する(ステップS34:ソレノイド出力処理)。その後、割込許可状態に設定し(ステップS35)、処理を終了する。
以上の制御によって、この実施の形態では、遊技制御処理は定期的(たとえば2ms毎)に起動されることになる。なお、この実施の形態では、タイマ割込処理で遊技制御処理が実行されているが、タイマ割込処理ではたとえば割込が発生したことを示すフラグのセットのみがなされ、遊技制御処理はメイン処理において実行されるようにしてもよい。また、ステップS1〜S34の処理が、遊技の進行を制御する遊技制御処理に相当する。
[主基板31と払出制御基板37とについて]
次に、主基板31と払出制御基板37との間で送受信される払出制御信号について説明する。図9は、遊技制御用マイクロコンピュータ560から払出制御用マイクロコンピュータ370に対して出力される制御信号の内容の一例を示す説明図である。この実施の形態では、払出制御等に関する各種の制御を行なうために、主基板31と払出制御基板37との間で複数種類の制御信号が送受信される。図9に示すように、接続確認信号は、主基板31の立ち上がり時(遊技制御用マイクロコンピュータ560が遊技制御処理を開始したとき)に出力され、払出制御基板37に対して主基板31が立ち上がったことを通知するための信号(主基板31の接続確認信号)である。また、接続確認信号は、賞球(遊技球)の払出が可能な状態であることを示す信号である。接続確認信号がオン状態であるということは、電力供給がなされ遊技制御用マイクロコンピュータ560において遊技の進行を制御可能な状態であることをいう。また、所定の接続確認信号オフ条件が成立することにより接続確認信号はオフ状態になる。ここで、接続確認信号オフ条件とは、電力供給が停止したことや、遊技停止エラー(図13(D)参照)が発生したことなどにより成立する条件である。つまり、接続確認信号がオフ状態であるということは、電力供給の停止や、遊技停止エラー(図13(D)参照)が発生し、遊技制御用マイクロコンピュータ560において遊技の進行が不能な状態であることをいう。
賞球REQ(リクエスト)信号は、賞球の払出要求時に出力状態(=オン状態)になる信号(すなわち賞球払出要求のトリガ信号)である。また、賞球REQ信号は、所定期間が経過すると、停止状態(オフ状態)になる。賞球個数信号は、払出要求を行なう遊技球の個数(0〜15個)を指定するために出力される信号(賞球個数コマンド)である。また、賞球個数信号から特定される数には、最大値(本実施形態では、15個)が定められている。
リセット信号は、払出制御用マイクロコンピュータ370が、電源監視回路(図示せず)からのリセット信号がオフ状態からオン状態となったことに基づいて、オフ状態からオン状態として遊技制御用マイクロコンピュータ560の遊技制御動作の停止を指示するための停止信号として用いられる。また、リセット信号は、払出制御用マイクロコンピュータ370が、電源監視回路からのリセット信号がオン状態からオフ状態となったことに基づいて、オン状態からオフ状態として遊技制御用マイクロコンピュータ560の遊技制御動作の開始を指示するための起動信号として用いられる。すなわち、リセット信号は、停止信号として遊技制御動作の停止指示を遊技制御用マイクロコンピュータ560に通知し、起動信号として遊技制御動作の開始指示を遊技制御用マイクロコンピュータ560に通知する。
図10は、主基板31と払出制御基板37との機能構成例を説明するためのブロック図である。図10に示すように、主基板31は、遊技制御用マイクロコンピュータ560の他に、出力回路67と入力回路68とを備える。また、払出制御基板37は、払出制御用マイクロコンピュータ370の他に、入力回路373A、出力回路373B、RAM380、ROM382、出力I/F374、タイマ375、払出モータ400を駆動させるモータドライバ376とを備える。球払出装置97は、払出モータ400とカム292とを含む(図4参照)。本実施形態では、払出モータ400はステッピングモータであるとする。
まず、主基板31と払出制御基板37との間での信号の送受信処理について説明する。図10に示すように、接続確認信号、賞球REQ信号および賞球個数信号は、遊技制御用マイクロコンピュータ560によって出力回路67を介して出力され、入力回路373Aを介して払出制御用マイクロコンピュータ370に入力される。また、電源断信号は、払出制御基板37に搭載された出力回路373Bを介して出力され、入力回路68を介して遊技制御用マイクロコンピュータ560に入力される。この電源断信号は、電源監視回路から払出制御基板37に入力される電源断信号に基づいて作成される信号であり、その電源断信号と区別するために電源断検出信号とも呼ばれる。また、リセット信号は、払出制御用マイクロコンピュータ370によって出力回路373Bを介して出力され、入力回路68を介して遊技制御用マイクロコンピュータ560に入力される。このリセット信号は、電源監視回路から払出制御基板37に入力されるリセット信号に基づいて作成される信号であり、そのリセット信号と区別するためにリセット確認信号とも呼ばれる(停止信号としては、停止確認信号とも呼ばれ、起動信号としては、起動指示信号とも呼ばれる)。
また、入賞検出スイッチが遊技球の入賞を検出すると、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、賞球REQ信号をオン状態にするとともに、賞球個数信号の出力状態を、入賞に応じて払出される賞球数に応じた状態にする。なお、具体的には、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、遊技球がパチンコ遊技機1に設けられている入賞領域に入賞したことが入賞検出スイッチの検出信号によって検知すると、予め決められた賞球数をバックアップRAMに形成されている総賞球数格納バッファの内容に加算する。そして、総賞球数格納バッファの内容が0でない値になったら、賞球REQ信号をオン状態にするとともに、賞球個数信号の出力状態を、入賞に応じて払出される賞球数に応じた状態にする。
また、この実施の形態では、始動口スイッチ14aで遊技球が検出されると4個の賞球払出を行ない、入賞口スイッチ33a,39a,29a,30aのいずれかで遊技球が検出されると7個の賞球払出を行ない、Vカウントスイッチ22またはカウントスイッチ23で遊技球が検出されると15個の賞球払出を行なう。
払出制御用マイクロコンピュータ370は、賞球REQ信号の受信を確認すると、賞球個数信号の受信状態を確認し、賞球個数信号が示す賞球数を賞球未払出個数カウンタに加算する。
遊技制御用マイクロコンピュータ560は、所定の賞球REQ信号出力時間の経過後に、賞球REQ信号をオフ状態にするとともに、賞球個数信号の出力状態をクリアしてオフ状態にする。すなわち、賞球個数信号が0個を示す状態(無効コマンドを出力する状態)にする。したがって、賞球個数信号は、賞球REQ信号がオフ状態であるときには無効コマンド出力状態になっているので、払出制御用マイクロコンピュータ370において、ノイズ等によって賞球REQ信号のオン状態が検出されたような場合でも、誤って賞球払出を実行してしまうようなことはない。なお、賞球REQ信号出力時間は、払出制御基板37側で賞球REQ信号の受信を確実に認識できる時間として予め定められた賞球REQ信号のオン状態を継続する時間である。
次に、払出制御基板37の各構成について説明する。払出制御用マイクロコンピュータ370は、出力I/F374経由で、モータドライバ376に対して、駆動信号、およびスタンバイ信号を送信可能である。ここで、駆動信号とは、モータドライバ376に払出モータ400を駆動させるための信号である。つまり、駆動信号は、モータドライバ376に、払出モータ400の励磁状態を切替させるための信号である。モータドライバ376は、ステッピングモータである払出モータ400に対する励磁状態を、駆動信号に応じた励磁状態とする。本実施形態では、駆動信号は、駆動信号Aおよび駆動信号B(図11参照)を含み、払出制御用マイクロコンピュータ370は、駆動信号Aのハイ状態およびロー状態と、駆動信号Bのハイ状態およびロー状態とを組合わせてモータドライバ376を制御する。
スタンバイ信号とは、モータドライバ376を駆動不可能状態、および駆動可能状態のいずれかに制御させるための信号である。駆動可能状態とは、モータドライバ376が、払出制御用マイクロコンピュータ370からの駆動信号に応じて払出モータ400を駆動することが許可された(可能な)状態である。駆動不可能状態とは、払出制御用マイクロコンピュータ370からの駆動信号を、モータドライバ376が受信したとしても、払出モータ400を駆動しない(駆動が許可されていない、または駆動不可能な)状態である。本実施形態では、払出制御用マイクロコンピュータ370からのスタンバイ信号の出力状態がハイ状態であるときには、モータドライバ376は、駆動可能状態となり、払出制御用マイクロコンピュータ370からのスタンバイ信号の出力状態がロー状態であるときには、モータドライバ376は、駆動不可能状態となる。
また、払出制御基板37に、払出モータ400とは別の部材(たとえば、LED)を制御させるための「別のドライバ」、および該別のドライバと払出制御用マイクロコンピュータ370とを接続するための「別の出力I/F」を搭載するようにしてもよい。この場合において、払出制御用マイクロコンピュータ370は、モータドライバ376(払出モータ400)を制御する場合には、出力I/F374にチップセレクタ信号を送信した上で、出力I/F374に駆動信号およびスタンバイ信号を送信する。また、払出制御用マイクロコンピュータ370が、別の部材を制御する場合には、該別の部材を制御するための別のドライバと接続されている別の出力I/Fに対してチップセレクタ信号を送信した上で、該別の部材を制御するための制御信号を該別の出力I/Fに対して送信する。
ROM382には、払出制御用のプログラム等が記憶されている。RAM380は、ワークメモリとして使用される。また、RAM380には、賞球個数信号毎に、該賞球個数信号に対応する賞球個数情報が格納される。たとえば、払出制御用マイクロコンピュータ370が、2つの賞球個数信号として、15個の賞球個数信号と、7個の賞球個数信号を受信したときには、15個を特定できる賞球個数情報と、7個を特定できる賞球個数情報とがRAM380に格納される。また、タイマ375は時間を計時する。たとえば、始動期間および停止期間(図12参照)を計時する。
次に、図10を用いて、払出モータ400について説明する。払出モータ400は、ロータ401と、該ロータ401の周囲に配置されたコイルL21と、コイルL22とを含む。コイルL21の両端の信号端子の相をそれぞれφ1相、φ2相とし、コイルL22の両端の信号端子をそれぞれφ3相、φ4相とする。払出モータ400は、バイポーラ型である。換言すれば、モータドライバ376と払出モータ400とは、バイポーラ駆動方式である。また、励磁方式は、2相励磁方式である。なお、励磁方式は、1相励磁方式でもよく、1−2相励磁方式としてもよく、他の励磁方式としてもよい。
次に、払出モータ400への励磁方式について説明する。図11は、払出モータ400への励磁方式を説明するための図である。図11(A)は、駆動信号Aの出力状態を示したものであり、図11(B)は、駆動信号Bの出力状態を示したものであり、図11(C)は、φ1相およびφ2相への通電状態を示したものであり、図11(D)は、φ3相およびφ4相への通電状態を示したものである。図11(A)、(B)において、「H」は「ハイ」を示し、「L」は「ロー」を示す。
励磁パターンは、パターンa〜パターンdからなる。図11に示すように、パターンaは、駆動信号Aがロー状態になり、駆動信号Bがハイ状態となることにより、φ1相からφ2相に通電され、かつφ4相からφ3相に通電されるパターンである。パターンbは、駆動信号Aがロー状態になり、駆動信号Bがロー状態となることにより、φ1相からφ2相に通電され、かつφ3相からφ4相に通電されるパターンである。パターンcは、駆動信号Aがハイ状態になり、駆動信号Bがロー状態となることにより、φ2相からφ1相に通電され、かつφ3相からφ4相に通電されるパターンである。パターンdは、駆動信号Aがハイ状態になり、駆動信号Bがハイ状態となることにより、φ2相からφ1相に通電され、かつφ4相からφ3相に通電されるパターンである。
ROM382には、パターンaからパターンdまでのデータが順次設定されている払出モータ励磁パターンテーブルが格納されている。払出制御用マイクロコンピュータ370は、該払出モータ励磁パターンテーブルで規定されているパターンa〜dをパターンa、パターンb、パターンc、パターンdの順序で読みだして、駆動信号Aおよび駆動信号Bの出力状態を切り替える。パターンa〜パターンdを1ステップとすると、本実施形態では、24ステップ分、払出モータ400が駆動されると、該駆動によりカム292が回転し、1個の遊技球が払出される。また、1個の遊技球が払出されるステップ数は他の値であってもよい。
払出制御用マイクロコンピュータ370は、パターンaによる励磁処理により払出モータ400の駆動を停止させる。つまり、払出制御用マイクロコンピュータ370は、駆動信号Aをロー状態とし、かつ駆動信号Bをハイ状態として、モータドライバ376によりφ2相およびφ3相に通電させることにより、払出モータ400の駆動を停止させる。なお、変形例として他のパターンb〜dのいずれかによる励磁処理により払出モータ400の駆動を停止させるようにしてもよい。
また、払出制御用マイクロコンピュータ370は、払出モータ400の駆動を開始させるときには、パターンaによる励磁処理により払出モータ400の駆動を開始させる。つまり、払出制御用マイクロコンピュータ370は、駆動信号Aをロー状態とし、かつ駆動信号Bをハイ状態として、モータドライバ376によりφ2相およびφ3相に通電させることにより、払出モータ400の駆動を開始させる。なお、変形例として他のパターンb〜dのいずれかによる励磁処理により払出モータ400の駆動を開始させるようにしてもよい。
[払出処理について]
次に、遊技球の払出処理について説明する。該払出処理は、払出制御用マイクロコンピュータ370により実行される処理である。また、該払出処理の実行タイミングについては、1回の払出処理が終了した後、所定期間(たとえば、2msec)経過後に次の払出処理を実行する。また、1回の払出処理が終了したタイミングで、次の払出処理を実行するようにしてもよい。
図12は、払出処理を示すフローチャートである。まず、S322においては、RAM380に1以上の賞球個数情報が格納されているか否かが判断される。S322において、Noと判断されると、払出処理は終了する。一方、S322において、Yesと判断されると、S324に進む。S324では、スタンバイ信号(図11参照)がハイ状態になる。これにより、モータドライバ376が駆動可能状態に制御される。S324の処理が終了するとS326に進む。S326では、払出制御用マイクロコンピュータ370は、タイマ375に始動期間を計測させる。また、払出制御用マイクロコンピュータ370が、始動期間を計測するようにしてもよい。
ここで、始動期間について説明する。モータドライバ376が駆動可能状態に制御された直後は、モータドライバ376が完全に昇圧しておらず、モータドライバ376から、各相φ1〜φ4に対して出力される電流が安定しないことから、適切に払出モータ400を駆動できない場合がある。このように、モータドライバ376が完全に昇圧していない状態で、該モータドライバが駆動信号を受信したとしても、各相φ1〜φ4に対して十分な通電を行なうことができず、払出モータ400を適切に駆動できない。
そこで、本実施形態では、モータドライバ376が駆動可能状態になった(スタンバイ信号がハイになった)時から、モータドライバ376が完全に昇圧する時までの時間である「始動期間」を設ける。S328において、始動期間の計測が開始された時から該始動期間が経過したか否かを判断し、始動期間が経過したと判断されると、S330において、1の賞球個数情報に基づいて駆動信号を出力する。該駆動信号の出力により、払出モータ400が駆動され、カム292が駆動(回転)することから遊技球の払出が行なわれる。
このように、モータドライバ376が駆動可能状態になった後、該モータドライバ376が完全に昇圧してから(始動期間が経過してから)、払出制御用マイクロコンピュータ370は駆動信号を出力する。したがって、モータドライバ376は、安定して、払出モータ400の駆動を開始できる。また、始動期間は、「4msec(ミリセック)」とするが、モータドライバ376や払出モータ400の性能などに応じて、他の値としてもよい。また、S330の1の賞球個数情報とは、RAM380に記憶されている賞球個数情報のうち最も古い情報である。
S332では、1の賞球個数情報から特定される賞球数だけ、遊技球が払出されたか否かが判断される。S332の判断は、払出個数カウントスイッチ301(図4参照)の検出信号によって、払出制御用マイクロコンピュータ370が、払出された遊技球の数を計数することにより実行される。S332でYesと判断されると、S334に進む。
S334では、駆動信号の出力は停止される。これにより、モータドライバ376による払出モータ400の駆動は停止される。S334の処理終了後、S336では、払出制御用マイクロコンピュータ370は、タイマ375に停止期間を計測させる。また、払出制御用マイクロコンピュータ370が停止期間を計測するようにしてもよい。
ここで、停止期間について説明する。モータドライバ376への駆動信号の出力が停止した直後に、駆動不可能状態(スタンバイ信号ロー)になったときには、モータドライバ376は、払出モータ400の駆動を安定して停止させることができない。何故ならば、図4にも示したように、カム292には、遊技球の重量による負荷がかかっている。また、遊技球が払出されている最中には払出モータ400は駆動するが、モータドライバ376への駆動信号の出力が停止した直後に、駆動不可能状態になったとしても、該駆動の慣性、および遊技球の重量による負荷により払出モータ400が駆動してしまう。その結果、カム292は回転してしまい、払出予定数以上に遊技球が払出されてしまう虞がある。
そこで、本実施形態では、モータドライバ376の駆動が停止した時から、駆動不可能状態になる時までの時間である「停止期間」を設ける。S338において、停止期間の計測が開始された時から該停止期間が経過したか否かを判断し、停止期間が経過して遊技球の動きが完全に停止したであろうと判断されると、S340において、スタンバイ信号(図11参照)をロー状態にする(モータドライバ376が駆動不可能状態になる)。したがって、モータドライバ376は、安定して、払出モータ400の駆動を停止でき、払出予定数以上に遊技球が払出されることを防止できる。停止期間は、「100msec(ミリセック)」とする。このように、停止期間は、始動期間(4msec)よりも長く設定されている。なお、停止期間は、モータドライバ376や払出モータ400の性能などに応じて、他の値としてもよい。S340の処理終了後、S342に進む。S342において、S330で駆動信号の出力の契機となった1の賞球個数情報は消去される。
また、RAM380に2以上の賞球個数情報が格納されている場合の払出処理について説明する。この場合には、2以上の賞球個数情報のうちの最も古い1の賞球個数情報に基づいてS322でYesと判断され、S342で該1個の賞球個数情報が消去される。次に、残りの賞球個数情報のうちの最も古い1の賞球個数情報に基づいてS322でYesと判断され、S342で該1個の賞球個数情報が消去される。このように、RAM380に2以上の賞球個数情報が格納されている場合については、該2以上の賞球個数情報それぞれについて、払出処理が実行される。
[遊技球の払出に関するタイミングチャート]
次に、遊技球の払出に関するタイミングチャートについて説明する。図13は、本実施形態の払出処理のタイミングチャートを説明するための図である。図13(A)はパチンコ遊技機への電源のONおよびOFFを示したものである。図13(B)は接続確認信号のONおよびOFFを示したものである。図13(C)は、賞球個数情報のRAM380への格納の状況を示したものである。ONは、賞球個数情報がRAM380に格納されたことを示し、OFFは、賞球個数情報がRAM380に格納されていないことを示す。
図13(D)は、遊技停止エラーの発生状況を示したものである。図13の例では、遊技停止エラーが発生しない場合を説明し、遊技停止エラーが発生する場合については、図14で説明する。
図13(E)は、モータ駆動の状況を示したものである。本実施形態では、モータ駆動の状況として、停止状態、スローアップ状態、回転状態とがある。図13(F)は、スタンバイ信号の出力状態(ハイまたはロー)を示したものである。
図13(A)に示すように、パチンコ遊技機1への電源がONされたとき、つまり、パチンコ遊技機1へ電力が供給されたとき(タイミングt1)には、デフォルトとして、スタンバイ信号はロー状態になる。「デフォルトとして、スタンバイ信号をロー状態にする手法」として、たとえば、パチンコ遊技機1へ電力が供給されたときの払出制御用マイクロコンピュータ370の初期制御を、スタンバイ信号をロー状態にする制御としてもよい。また、他の手法として、パチンコ遊技機1へ電力が供給されたときにスタンバイ信号をロー状態にさせるためのプルダウン抵抗を、払出制御基板37に設けるようにしてもよい。
図13(B)に示すように、電源ONされた後に、主基板31から出力される接続確認信号はオフ状態からオン状態になる(タイミングt2)。図13(C)に示すように、賞球個数情報がRAM380に格納されたときには(図12のS322、タイミングt3)、スタンバイ信号をハイ状態にする(S324、タイミングt3)とともに、始動期間の計測が開始される(S326、タイミングt3)。始動期間が経過すると(S328のYes、タイミングt4)、駆動信号を出力する(S330、タイミングt4)。
ここで、本実施形態では、払出モータ400を駆動させるときには、スローアップ制御を行なう。スローアップ制御とは、払出モータ400を滑らかに回転開始させるための制御である。払出制御用マイクロコンピュータ370は、スローアップ制御として、定速処理の場合よりも長い間隔で、かつ、徐々に定速処理制御の場合の時間間隔に近づくような時間間隔で、払出モータ励磁パターンテーブルの各パターンa〜dを読み出して駆動信号A、Bの出力状態を切り替える。スローアップ制御が終了すると(タイミングt5)、定速処理制御を行うことにより回転状態にさせる。スローアップ制御を行うことで、払出モータ400の能力を最大限に発揮させる(定速速度で駆動させる)スルー領域で払出モータ400を駆動させることができる。払出期間が終了すると(S332のYes、タイミングt7)、駆動信号の出力を停止して(S334)、停止期間の計測を開始する(S336)。停止期間が経過すると(S338のYes、タイミングt8)、スタンバイ信号をロー状態にする(S340)。また、タイミングt8以降は、スタンバイ信号をロー状態にすることにより、電力消費を低減でき、省エネを図ることができる。
次に、図14を用いて、遊技球の払出期間中に(遊技球を払出している途中に)、遊技停止エラーが発生した場合について説明する。遊技停止エラーとは、遊技の進行を停止させるエラーである。遊技停止エラーは、電波エラーを含む。以下に、電波エラーについて説明する。本実施形態のパチンコ遊技機は、該パチンコ遊技機に対して出力された所定の電波を検出可能な電波検出手段(図示せず)を備える。電波検出手段とは、たとえば、電波センサである。所定の電波とは、パチンコ遊技機に対して不正行為が行なわれる可能性がある電波である。電波検出手段は、該所定の電波を検出すると、該検出したことを特定する電波検出信号を遊技制御用マイクロコンピュータ560に対して送信する。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、該電波検出信号を受信すると、パチンコ遊技機に対して所定の電波が送信されたことによる電波エラーが発生したと判断する。
また、遊技停止エラーは、振動エラーを含む。以下に、振動エラーについて説明する。パチンコ遊技機は、該パチンコ遊技機に対して所定の力が加えられ、該パチンコ遊技機の振動などを検出可能な振動検出手段(図示せず)を備える。振動検出手段とは、たとえば、振動センサである。振動検出手段は、該パチンコ遊技機の振動を検出すると、該検出したことを特定する振動検出信号を遊技制御用マイクロコンピュータ560に対して送信する。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、該振動検出信号を受信すると、パチンコ遊技機が振動したことによる振動エラーが発生したと判断する。
このように、遊技停止エラーは、パチンコ遊技機1に対して、不正行為が行なわれたことにより発生し得るエラーである。遊技停止エラーは、振動エラーや電波エラーなどに限られず、他の要因により発生するエラーとしてもよい。たとえば、遊技停止エラーは、賞球エラー、磁気エラー、スイッチ異常エラー、不正入賞エラーなどのうち、少なくとも1つとしてもよい。賞球エラーとは、賞球個数の設定値と実際の払出数とで差異が生じるエラーである。磁気エラーとは、パチンコ遊技機が備える磁気検出手段(図示せず)が所定の磁気を検出したことにより生じるエラーである。スイッチ異常エラーは、入賞口に入った球を検出する場合に、検出原理の異なる2つのスイッチを通過した球数の差数が所定の閾値を超えたときに発生するエラーである。検出原理の異なる2つのスイッチとしては、たとえば、入賞口に入った球を近接スイッチのスイッチAと、フォトセンサのスイッチBとで検出する場合がある。不正入賞エラーとは、特別可変入賞球装置20が閉じている状態であるときに特別可変入賞球装置20の入賞玉を検出するカウントスイッチ23から検出信号が出力されることにより生じるエラーである。
遊技制御用マイクロコンピュータ560は、遊技停止エラーが発生したときには、遊技の進行を停止させる処理を実行する。ここで、「遊技の進行を停止させる処理」とは、たとえば、打球操作ハンドル5が操作されても遊技球を発射させない処理と、特別図柄を変動表示させない処理のうち、少なくとも1つを含む処理である。また、遊技停止エラーが発生することにより遊技の進行が停止されたときにおいて、パチンコ遊技機への電源を再投入(パチンコ遊技機の電源をオフし、さらにオンする)ことにより、遊技停止エラーは解除され、遊技の進行が可能となる。
図14は、タイミングt6で遊技停止エラーが発生した場合を説明するための図である。図14(D)に示すように、遊技球の払出期間(t4〜t7まで)に、遊技停止エラーが発生したときには、払出制御用マイクロコンピュータ370は、接続確認信号をオフ状態にする(図14(B)のタイミングt6参照)。しかしながら、本実施形態の払出制御用マイクロコンピュータ370は、接続確認信号がオフ状態にされたとしても、賞球個数信号から特定される遊技球の全てを払出すまで、払出モータ400を駆動する。払出制御用マイクロコンピュータ370は、該全ての遊技球を払出した後に、駆動信号の出力を停止させる(タイミングt7)。
つまり、たとえば、15個の遊技球を払出している途中に(たとえば、6個目の遊技球を払出した時に)遊技停止エラーが発生しても、該15個全ての遊技球を払出し(残り9個の遊技球を払出し)、該15個全ての遊技球が払出された後に、払出モータ400の駆動を停止させる。このように、遊技停止エラーが発生しても、賞球個数信号から特定される遊技球の全てが払出されることから、遊技者にとって不利となることを防止できる。
遊技停止エラーが発生したときには、店員などにより、パチンコ遊技機1への電源をオフにし(タイミングt9)、該電源をオンにすることにより(タイミングt10)、該遊技停止エラーが解除される(遊技の進行が可能となる)。なお、遊技停止エラーは、他の操作により、解除されるものとしてもよい。他の操作とは、たとえば、遊技停止エラー解除スイッチを操作しながら、電源再投入する操作である。
次に、前述した実施形態により得られる主な効果を説明する。
(1) 本実施形態によれば、モータドライバ376が駆動可能状態になった(スタンバイ信号がハイになった、S324)ときから、モータドライバ376を完全に昇圧させる始動期間が経過したときに(S328のYes)、駆動信号を出力する。したがって、払出制御用マイクロコンピュータ370は、モータドライバ376が完全に昇圧してから駆動信号を出力する。よって、モータドライバ376は、安定して、払出モータ400の駆動を開始できる。
また、RAM380に賞球個数情報が記憶されていない場合において、払出制御用マイクロコンピュータ370のエラー、またはノイズなどの影響などにより、誤って(意図せずに)、払出制御用マイクロコンピュータ370から、モータドライバ376に対して駆動信号が出力されることにより遊技球が払出される虞がある。本実施形態では、誤って、該駆動信号が出力されたとしても、モータドライバ376は駆動不可能状態になっていることから、誤って、払出モータ400の駆動が開始されることを防止できる。
(2) また、モータドライバ376の駆動が停止したときから、停止期間が経過したときに、モータドライバ376を駆動不可能状態にする(スタンバイ信号をロー状態にする)。したがって、モータドライバ376は、安定して、払出モータ400の駆動を停止できる。よって、遊技球が払出されている最中の払出モータ400の駆動の慣性、および遊技球の重量による負荷により払出モータ400が回転してしまうことなどを防止でき、払出予定数以上に遊技球が払出されることを防止できる。
また、遊技球の払出が終了して、スタンバイ信号がロー状態になった以降に(タイミングt8以降)、払出制御用マイクロコンピュータ370のエラー、またはノイズなどの影響などにより、誤って(意図せずに)、払出制御用マイクロコンピュータ370から、モータドライバ376に対して駆動信号が出力されてしまうことにより遊技球が払出されてしまう虞がある。本実施形態では、誤って、該駆動信号が出力されたとしても、モータドライバ376は駆動不可能状態になっていることから、払出モータ400が駆動されることを防止できる。
(3) また、払出モータ400は、ステッピングモータである。したがって、容易かつ多様に、カム292を制御することができる。また、回転軸の位置や速度情報などをフィードバックする回路が不要なため、球払出装置97の構造を簡素化でき、球払出装置97を小型化できる。
(4) また、ステッピングモータである払出モータ400は、バイポーラ型である。したがって、払出モータ400の構造を簡素化でき、省スペース化を図ることができる。また、ユニポーラ型と比較して、電圧の制御が容易であり、コイルに発生する電圧を低く抑えることができるので、電圧制御回路の耐圧を小さくできる。
(5) また、ステッピングモータである払出モータ400において、パターンa〜パターンdのうち、予め定められたパターンaによる励磁処理により払出モータ400の駆動を開始させる(図11参照)。したがって、安定して、払出モータ400の駆動を開始させることができる。
(6) また、ステッピングモータである払出モータ400において、パターンa〜パターンdのうち、予め定められたパターンaによる励磁処理により払出モータ400の駆動を終了させる(図11参照)。したがって、安定して、払出モータ400の駆動を終了させることができる。
(7) また、払出モータ400の駆動を開始させる励磁処理のパターンと、払出モータ400の駆動を終了させる励磁処理のパターンとは同一である(本実施形態では、図11に示すように、双方ともパターンaである)。したがって、払出モータ400の駆動を停止した後、該停止された状態で該払出モータ400の駆動を開始できる。よって、払出モータ400の駆動処理において無駄を省くことができる。
(8) また、払出制御用マイクロコンピュータ370(モータドライバ376)は、払出モータ400を駆動するときには、スローアップ制御を行なう(図13(F)、図14(F)のタイミングt4〜t5の期間参照)。したがって、払出制御用マイクロコンピュータ370(モータドライバ376)は、払出モータ400を瞬時に駆動させることができる。
(9) また、パチンコ遊技機1への電源がONされたとき(タイミングt1)から、デフォルトとして、スタンバイ信号はロー状態になる(モータドライバ376は駆動不可能状態になる)。したがって、モータドライバ376での消費エネルギーを削減できる(省エネを図る)とともに、誤って、払出モータ400が駆動されることを防止できる。
(10) また、払出モータ400により駆動される部材は、カム292である(図10参照)。したがって、球払出装置97は、安定して遊技球の払出を開始させたり、遊技球の払出を終了させることができる。
(11) また、図14で説明したように、所定数(たとえば、15個)の遊技球を払出している途中に、接続確認信号オフ条件が成立することにより接続確認信号がオフ状態になったとしても、該所定量の遊技球全てが払出された後に、払出モータ400の駆動は停止される。したがって、所定数の遊技球を払出している途中に、接続確認信号がオフ状態になったとしても、必ず、所定数の遊技球は払出されることから、遊技者にとって不利となることを防止できる。
(12) また、(11)で説明した接続確認信号オフ条件とは、遊技停止エラーが発生したことにより成立する条件である。また、遊技停止エラーは、パチンコ遊技機1に対して不正行為が行なわれたことにより発生し得るエラーである。したがって、不正行為が行なわれた場合、遊技を進行させることができなくなるため、更なる不正行為を抑制できる。また、遊技停止エラーを発生させるような不正行為を抑制できる。
(13) また、RAM380に2以上の賞球個数情報が格納されている場合であっても、2以上の賞球個数情報それぞれについて、払出処理(図12参照)が実行される。したがって、RAM380に1のみの賞球個数情報が格納されている場合であっても、RAM380に2以上の賞球個数情報が格納されている場合であっても、払出処理を共通化でき、払出制御用マイクロコンピュータ370の処理負担を軽減できる。
(14) また、払出制御用マイクロコンピュータ370は、モータドライバ376に対するスタンバイ信号をハイ状態にすることにより、該モータドライバ376を駆動可能状態にする。したがって、払出制御用マイクロコンピュータ370は、直接的に、モータドライバ376を駆動可能状態にできるので、安定してモータドライバ376を制御することができる。
(15) また、停止期間(100msec)は、始動期間(4msec)よりも長く設定されている。このように、停止期間を長く設定することにより、遊技球が払出されている最中の払出モータ400の駆動の慣性が存在し、かつ遊技球の重量による負荷が払出モータ400にかかっていたとしても、安定して、払出モータ400の駆動を停止させることができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態で説明した技術思想を適用したスロットマシンである。このスロットマシンは、一般に、外周部に識別情報としての複数種類の図柄が描かれた複数(通常は3つ)のリールを有する可変表示装置を備えており、各リールは、遊技者がスタートレバーを操作することにより回転を開始し、また、遊技者が各リールに対応して設けられた停止ボタンを操作することにより、その操作タイミングから予め定められた最大遅延時間の範囲内で回転を停止する。そして、全てのリールの回転を停止したときに導出された表示結果に従って入賞が発生する。
入賞となる役の種類としては、小役、特別役、再遊技役といった種類がある。ここで、小役の入賞では、小役の種類毎に定められた数のメダルが払出されるという利益を遊技者が得ることができる。特別役の入賞では、次のゲームからレギュラーボーナスやビッグボーナスといった遊技者にとって有利な遊技状態へ移行されるという利益を遊技者が得ることができる。再遊技役の入賞では、賭数の設定に新たなメダルを消費することなく次のゲームを行なうことができるという利益を得ることができる。
本実施形態のスロットマシンは、主に、遊技の進行を制御する遊技制御部と、演出の進行を制御する演出制御部と、メダルを払出すホッパーと、ホッパー制御部とを備える。ホッパーは、メダルが載置可能な円盤形状のメダル排出ディスクと、ホッパーモータを含む。ホッパー制御部は、CPUと、ホッパーモータを制御するモータドライバを備える。
次に、メダル払出の一連の流れを簡単に説明する。所定のメダル払出条件が成立したときに、遊技制御部のCPUは、該所定のメダル払出条件の成立により払出されるメダルの枚数を特定できるメダル枚数信号をホッパー制御回路に送信する。所定のメダル払出条件とは、メダルが払出される役(たとえば、小役)が入賞したことや、クレジット数に相当するメダルを払出させる(精算する)操作が行なわれることなどにより成立する条件である。
該メダル枚数信号を受信したホッパー制御部のCPUは、モータドライバに対して駆動信号を送信することにより、該モータドライバにホッパーモータを駆動させる。ホッパーモータは、メダル排出ディスクを回転させることにより、該メダル排出ディスクに載置されたメダルを払出させる。
本実施形態と第1実施形態とを比較すると、本実施形態の「遊技制御部のCPU」が、第1実施形態の「遊技制御用マイクロコンピュータ560」に相当し、本実施形態の「ホッパー制御部のCPU」が、第1実施形態の「払出制御用マイクロコンピュータ370」に相当し、本実施形態の「ホッパー制御回路のモータドライバ」が、第1実施形態の「モータドライバ376」に相当し、本実施形態の「ホッパーモータ」が、第1実施形態の「払出モータ400」に相当し、本実施形態の「メダル排出ディスク」が、第1実施形態の「カム292」に相当する。
さらに、図12の払出処理について、S322は、「所定のメダル払出条件が成立したか」という判断ステップに代替され、S330は、「駆動信号出力」に代替され、S342は、省略される。図13、図14においては、図13(B)、図14(B)は省略され、図13(C)、図14(C)のONは「メダル払出条件の成立」を示す。
本実施形態のスロットマシンは、前述の構成のほか以下の構成を備え、さらに以下の効果を奏する。
(1) 本実施形態によれば、モータドライバが駆動可能状態になった(スタンバイ信号がハイになった、S324)ときから、モータドライバを完全に昇圧させる始動期間が経過したときに(S328のYes)、駆動信号を出力する。したがって、ホッパー制御回路のモータドライバは、モータドライバが完全に昇圧してから駆動信号を出力する。よって、モータドライバは、安定して、ホッパーモータの駆動を開始できる。
また、メダル払出条件が成立していない場合において、ホッパー制御回路のモータドライバのエラー、またはノイズなどの影響などにより、誤って(意図せずに)、ホッパー制御回路のCPUから、モータドライバに対して駆動信号が出力されることによりメダルが払出される虞がある。本実施形態では、誤って、該駆動信号が出力されたとしても、モータドライバは駆動不可能状態になっていることから、ホッパーモータが誤って駆動されることを防止できる。
(2) また、モータドライバの駆動が停止したときから、停止期間が経過したときに、モータドライバを駆動不可能状態にする(スタンバイ信号をロー状態にする)。したがって、モータドライバは、安定して、ホッパーモータの駆動を停止できる。よって、メダルが払出されている最中のホッパーモータの駆動の慣性によりホッパーモータが回転してしまうことなどを防止でき、払出予定数以上にメダルが払出されることを防止できる。
また、メダルの払出が終了して、スタンバイ信号がロー状態になった以降に(タイミングt8以降)、ホッパー制御回路のモータドライバのエラー、またはノイズなどの影響などにより、誤って(意図せずに)、ホッパー制御回路のモータドライバから、モータドライバに対して駆動信号が出力されてしまうことによりメダルが払出されてしまう虞がある。本実施形態では、誤って、該駆動信号が出力されたとしても、モータドライバは駆動不可能状態になっていることから、ホッパーモータが駆動されることを防止できる。
(3) また、ホッパーモータは、ステッピングモータである。したがって、容易かつ多様に、メダル排出ディスクを制御することができる。また、回転軸の位置や速度情報をフィードバックする回路が不要なため、ホッパーの構造を簡素化でき、ホッパーを小型化できる。
(4) また、ステッピングモータであるホッパーモータは、バイポーラ型である。したがって、ユニポーラ型と比較して、ホッパーモータの構造を簡素化でき、省スペース化を図ることができる。また、ユニポーラ型と比較して、電圧の制御が容易であり、コイルに発生する電圧を低く抑えることができるので、線圧制御回路の耐圧を小さくできる。
(5) また、ステッピングモータであるホッパーモータにおいて、パターンa〜パターンdのうち、予め定められたパターンaによる励磁処理によりホッパーモータの駆動を開始させる(図11参照)。したがって、安定して、ホッパーモータの駆動を開始させることができる。
(6) また、ステッピングモータであるホッパーモータにおいて、パターンa〜パターンdのうち、予め定められたパターンaによる励磁処理によりホッパーモータの駆動を終了させる(図11参照)。したがって、安定して、ホッパーモータの駆動を終了させることができる。
(7) また、ホッパーモータの駆動を開始させる励磁処理のパターンと、ホッパーモータの駆動を終了させる励磁処理のパターンとは同一である(本実施形態では、図11に示すように、双方ともパターンaである)。したがって、ホッパーモータの駆動を停止した後、該停止された状態で該ホッパーモータの駆動を開始できる。よって、ホッパーモータの駆動処理において無駄を省くことができる。
(8) また、モータドライバは、ホッパーモータを駆動するときには、スローアップ制御を行なう(図13(F)、図14(F)のタイミングt4〜t5の期間参照)。したがって、モータドライバは、ホッパーモータを瞬時に駆動させることができる。
(9) また、スロットマシンへの電源がONされたとき(タイミングt1)から、所定時間(たとえば、10秒間)は、スタンバイ信号はロー状態になる(モータドライバは駆動不可能状態になる)。したがって、モータドライバでの消費エネルギーを削減できる(省エネを図る)とともに、誤って、ホッパーモータが駆動されることを防止できる。
(10) また、ホッパーモータにより駆動される部材は、メダル排出ディスクである(図10参照)。したがって、ホッパーは、安定してメダルの払出を開始させたり、メダルの払出を終了させることができる。
(11) また、図14で説明したように、所定数(たとえば、15個)のメダルを払出している途中に、パチンコ遊技機1に対して不正行為が行なわれたことにより発生し得る遊技停止エラーが発生したとしても、該所定量のメダル全てが払出された後に、ホッパーモータの駆動は停止される。したがって、所定数のメダルを払出している途中に、遊技停止エラーが発生しても、必ず、所定数のメダルは払出されることから、遊技者にとって不利となることを防止できる。また、不正行為が行なわれた場合、遊技を進行させることができなくなるため、更なる不正行為を抑制できる。また、遊技停止エラーを発生させるような不正行為を抑制できる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1実施形態で説明した技術思想を適用した遊技用装置である。ここで、遊技用装置とは、パチンコ遊技機やスロットマシンなどに対応して設けられる装置である。本実施形態の遊技用装置とは、パチンコ遊技機に対応して設けられた玉貸出装置であるとする。所定の貸出条件が成立したときに、所定量の遊技球を貸し出す。所定の貸出条件とは、たとえば、遊技者などにより貸出ボタンが操作されることにより成立する条件である。
本実施形態の玉貸出装置は、主に、メイン制御基板と、玉排出制御基板と、玉排出装置とを備える。メイン制御基板には、CPU(以下、メインCPUという。)が搭載されており、玉排出制御基板には、CPU(以下、玉排出CPUという。)と、モータドライバとが搭載されており、玉排出装置には、玉排出モータと、カムとを含む。
次に、遊技球貸出の一連の流れを簡単に説明する。所定の貸出条件が成立したときに、メインCPUは、遊技球の個数を特定できる遊技球個数信号を玉排出制御基板に送信する。玉排出CPUが、遊技球個数信号を受信すると、モータドライバに対して駆動信号を送信することにより、該モータドライバに玉排出モータを駆動させる。玉排出モータは、カムを駆動させることにより、遊技球を排出させる。
本実施形態と第1実施形態とを比較すると、本実施形態の「メインCPU」が、第1実施形態の「遊技制御用マイクロコンピュータ560」に相当し、本実施形態の「玉排出CPU」が、第1実施形態の「払出制御用マイクロコンピュータ370」に相当し、本実施形態の「玉排出制御基板のモータドライバ」が、第1実施形態の「モータドライバ376」に相当し、本実施形態の「玉排出モータ」が、第1実施形態の「払出モータ400」に相当し、本実施形態の「玉排出装置のカム」が、第1実施形態の「カム292」に相当する。
さらに、図12の払出処理について、S322は、「所定の貸出条件が成立したか」という判断ステップに代替され、S330は、「駆動信号出力」に代替され、S342は、省略される。図13、図14においては、図13(B)、図14(B)は省略され、図13(C)、図14(C)のONは「所定の貸出条件の成立」を示す。
本実施形態の玉貸出装置は、前述の構成のほか以下の構成を備え、さらに以下の効果を奏する。
(1) 本実施形態によれば、玉排出制御基板のモータドライバが駆動可能状態になった(スタンバイ信号がハイになった、S324)ときから、玉排出制御基板のモータドライバを完全に昇圧させる始動期間が経過したときに(S328のYes)、駆動信号を出力する。したがって、玉排出CPUは、玉排出制御基板のモータドライバが完全に昇圧してから駆動信号を出力する。よって、玉排出制御基板のモータドライバは、安定して、玉排出モータの駆動を開始できる。
また、所定の貸出条件が成立していないときにおいて、玉排出CPUのエラー、またはノイズなどの影響などにより、誤って(意図せずに)、玉排出CPUから、玉排出制御基板のモータドライバに対して駆動信号が出力されることにより遊技球が排出される虞がある。本実施形態では、誤って、該駆動信号が出力されたとしても、玉排出制御基板のモータドライバは駆動不可能状態になっていることから、玉排出モータが誤って駆動されることを防止できる。
(2) また、玉排出制御基板のモータドライバの駆動が停止したときから、停止期間が経過したときに、玉排出制御基板のモータドライバを駆動不可能状態にする(スタンバイ信号をロー状態にする)。したがって、玉排出制御基板のモータドライバは、安定して、玉排出モータの駆動を停止できる。よって、遊技球が払出されている最中の玉排出モータの駆動の慣性、および遊技球の重量による負荷により払出モータ400が回転してしまうことなどを防止でき、貸出予定数以上に遊技球が払出されることを防止できる。
また、遊技球の払出が終了して、スタンバイ信号がロー状態になった以降に(タイミングt8以降)、玉排出CPUのエラー、またはノイズなどの影響などにより、誤って(意図せずに)、玉排出CPUから、玉排出制御基板のモータドライバに対して駆動信号が出力されてしまうことにより遊技球が払出されてしまう虞がある。本実施形態では、誤って、該駆動信号が出力されたとしても、玉排出制御基板のモータドライバは駆動不可能状態になっていることから、玉排出モータが駆動されることを防止できる。
(3) また、玉排出モータは、ステッピングモータである。したがって、容易かつ多様に、玉排出装置のカムを制御することができる。また、回転軸の位置や速度情報をフィードバックする回路が不要なため、球払出装置97の構造を簡素化でき、球払出装置97を小型化できる。
(4) また、ステッピングモータである玉排出モータは、バイポーラ型である。したがって、玉排出モータの構造を簡素化でき、省スペース化を図ることができる。また、ユニポーラ型と比較して、電圧の制御が容易であり、コイルに発生する電圧を低く抑えることができるので、線圧制御回路の耐圧を小さくできる。
(5) また、ステッピングモータである玉排出モータにおいて、パターンa〜パターンdのうち、予め定められたパターンaによる励磁処理により玉排出モータの駆動を開始させる(図11参照)。したがって、安定して、玉排出モータの駆動を開始させることができる。
(6) また、ステッピングモータである玉排出モータにおいて、パターンa〜パターンdのうち、予め定められたパターンaによる励磁処理により玉排出モータの駆動を終了させる(図11参照)。したがって、安定して、玉排出モータの駆動を終了させることができる。
(7) また、玉排出モータの駆動を開始させる励磁処理のパターンと、玉排出モータの駆動を終了させる励磁処理のパターンとは同一である(本実施形態では、図11に示すように、双方ともパターンaである)。したがって、玉排出モータの駆動を停止した後、該停止された状態で該玉排出モータの駆動を開始できる。よって、玉排出モータの駆動処理において無駄を省くことができる。
(8) また、玉排出CPU(玉排出制御基板のモータドライバ)は、玉排出モータを駆動するときには、スローアップ制御を行なう(図13(F)、図14(F)のタイミングt4〜t5の期間参照)。したがって、玉排出CPU(玉排出制御基板のモータドライバ)は、玉排出モータを瞬時に駆動させることができる。
(9) また、パチンコ遊技機1への電源がONされたとき(タイミングt1)から、所定時間(たとえば、10秒間)は、スタンバイ信号はロー状態になる(玉排出制御基板のモータドライバは駆動不可能状態になる)。したがって、玉排出制御基板のモータドライバでの消費エネルギーを削減できる(省エネを図る)とともに、誤って、玉排出モータが駆動されることを防止できる。
(10) また、玉排出モータにより駆動される部材は、玉排出装置のカムである(図10参照)。したがって、球払出装置97は、安定して遊技球の貸出を開始させたり、遊技球の貸出を終了させることができる。
また、本実施形態の遊技用装置の変形例として、スロットマシンに対応して設けられるメダル貸出装置としてもよい。
[変形例]
以上、本発明の実施形態を図面により説明してきたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。本発明は、上記の実施形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な変形例などについて説明する。また、前述した本実施形態で説明した技術事項、および、以下の変形例で説明する技術事項のうち少なくとも2つを組み合わせて実施するようにしてもよく、前述した本実施形態で説明した技術事項を以下の変形例で説明する技術事項に置換して実施するようにしてもよく、当該置換したものに対して、以下の変形例で説明する技術事項をさらに組み合わせて実施するようにしてもよい。以下では、「パチンコ遊技機」の変形例について説明するが、同様の思想をスロットマシンおよび遊技用装置にも適用できる。
[モータドライバについて]
(1) 本実施形態では、モータドライバ376を駆動可能状態にする処理は、スタンバイ信号をハイ状態にする処理であり(つまり、スタンバイ信号を継続して出力する処理であり)、モータドライバ376を駆動不可能状態にする処理は、スタンバイ信号をロー状態にする処理であるとして説明した。しかしながら、モータドライバ376を駆動可能状態にする処理およびモータドライバ376を駆動不可能状態にする処理はこれらの処理に限られない。
たとえば、払出制御用マイクロコンピュータ370は、駆動不可能状態であるモータドライバ376に対して、可動信号を短期間(たとえば、10msec)送信する(1パルスの信号を送信する)ことにより、モータドライバ376を駆動可能状態にするようにしてもよい。また、払出制御用マイクロコンピュータ370は、駆動可能状態であるモータドライバ376に対して、待機信号を短期間(たとえば、10msec)送信する(1パルスの信号を送信する)ことにより、モータドライバ376を駆動不可能状態にするようにしてもよい。
たとえば、払出制御用マイクロコンピュータ370と、モータドライバ376との間に特定回路を設ける。払出制御用マイクロコンピュータ370は、1パルスの可動信号を特定回路に送信することにより、該特定回路は、モータドライバ376に対するスタンバイ信号をハイ状態にする。一方、払出制御用マイクロコンピュータ370は、1パルスの待機信号を特定回路に送信することにより、該特定回路は、モータドライバ376に対するスタンバイ信号をロー状態にする。
このような構成によれば、モータドライバ376を駆動可能状態および駆動不可能状態のいずれかに制御させる場合における払出制御用マイクロコンピュータ370の信号出力負担を軽減できる。
また、本実施形態では、駆動可能状態に制御する場合には、スタンバイ信号を「ハイ状態」にし、駆動不可能状態に制御する場合には、スタンバイ信号を「ロー状態」にするとして説明した。しかしながら、駆動可能状態に制御する場合には、特定の信号を「ロー状態」にし、駆動不可能状態に制御する場合には、該特定の信号を「ハイ状態」にするようにしてもよい。
(2) また、モータドライバ376および払出モータ400の制御の手法は以下のようにしてもよい。また、以下の構成を採用する場合には、ステッピングモータである払出モータ400をユニポーラ型にすることが好ましい。ユニポーラ型のステッピングモータでは、ロータ401の周囲に配置されたコイル(たとえば、図10に示すコイルL21、コイルL22)の両端の信号端子の他に、該コイルの中央にセンタータップが設けられる。また、払出モータ400として、ユニポーラ型のステッピングモータを用いる場合には、モータドライバに対してスタンバイ信号を出力する必要はなく、モータドライバに対して駆動信号を出力することにより、該モータドライバはφ1相〜φ4相に対して通電することができる。
たとえば、払出モータ400に電力を供給する電源基板と、電源基板から払出モータ400のセンタータップへの電力供給のオンまたはオフを切替えるスイッチとを備えるようにしてもよい。本変形例では、該スイッチをハイサイドスイッチとするが他のスイッチとしてもよい。また、払出制御用マイクロコンピュータ370は、ハイサイドスイッチに対してオン信号を送信することにより、ハイサイドスイッチがオン状態になることで、電源基板から払出モータ400への電力供給が行われる。また、払出制御用マイクロコンピュータ370は、ハイサイドスイッチに対してオフ信号を送信することにより、ハイサイドスイッチがオフ状態になることで、電源基板から払出モータ400への電力供給が停止する。また、払出制御用マイクロコンピュータ370は、駆動信号を送信せずに、モータドライバ376経由で、φ1〜φ4を励磁するための相信号を払出モータ400に送信する。
電源基板から払出モータ400へ電源供給されているときには、モータドライバ376は、駆動可能状態となり、電源基板から払出モータ400へ電源供給されていないときには、モータドライバ376は、駆動不可能状態となる。
このような構成の場合の払出処理(図12参照)は、S324の「スタンバイ信号ハイ」の処理が「電源基板から払出モータ400への電源供給」の処理となり、S340の「スタンバイ信号ロー」の処理が「電源基板から払出モータ400への電源供給の停止」の処理となる。
払出制御用マイクロコンピュータ370は、ハイサイドスイッチに対してオン信号を送信した直後は、ハイサイドスイッチは完全に昇圧しておらず、ハイサイドスイッチから、払出モータ400に対して出力される電圧が安定しないことから、適切に駆動可能状態にできない場合がある。そこで、S326で説明したように、始動期間が経過した後に(ハイサイドスイッチが完全に昇圧した後に)、払出制御用マイクロコンピュータ370は駆動信号をモータドライバ376に対して出力する。したがって、モータドライバ376は、安定して、駆動可能状態に制御することができ、払出モータ400の駆動を開始できる。
また、モータドライバ376への駆動信号の出力が停止した直後に、電源基板から払出モータ400への電源供給が停止したときには、モータドライバ376は、払出モータ400の駆動を安定して停止させることができない。何故ならば、図4にも示したように、カム292には、遊技球の重量による負荷がかかっており、遊技球が払出されている最中の払出モータ400の駆動の慣性、および遊技球の重量による負荷により払出モータ400が回転する場合があり、払出予定数以上に遊技球が払出される場合がある。そこで、S338で説明したように、駆動信号の出力が終了した時から停止期間が経過した後に、電源基板から払出モータ400への電源供給を停止する。したがって、モータドライバ376は、安定して、払出モータ400の駆動を停止できる。
このような構成によれば、駆動可能状態および駆動不可能状態のいずれかへの制御は、払出制御用マイクロコンピュータ370による払出モータ400への電源供給のオンまたはオフにより実現されることから、払出制御用マイクロコンピュータ370は、モータドライバ376への制御を直接的に実行する必要はない。また、モータドライバ376も駆動不可能状態および駆動可能状態に切り替えられる機能を有する必要がない。したがって、払出制御用マイクロコンピュータ370、およびモータドライバ376の処理負担を軽減できる。また、払出制御用マイクロコンピュータ370から出力I/F374に接続されているスタンバイ信号の信号線(図10参照)、および出力I/F374からモータドライバ376に接続されているスタンバイ信号の信号線は不要となる。
(3) 本実施形態では、「モータドライバ376を駆動可能状態に制御させてから、始動期間が経過した後に駆動信号の出力を開始する」処理A(図12のS324〜S330)と、「駆動信号の出力を停止してから、停止期間が経過した後にモータドライバ376を駆動不可能状態に制御させる」処理B(図12のS334〜S340)との双方の処理を実行するとして説明した。しかしながら、払出制御用マイクロコンピュータ370は、処理Aおよび処理Bのうちいずれか一方を実行するようなものでもよい。
モータドライバの中には、駆動可能状態に制御されたと同時に、完全に昇圧するモータドライバM1がある。このようなモータドライバM1は、「処理Aを行なわずに処理Bを行なう実施形態」に適用することが好ましい。このような実施形態によれば、処理Aを実行しなくてもよい(つまり、S322でYesと判断されたときに、S330で示す駆動信号を出力する)ことから、払出制御用マイクロコンピュータ370の処理負担を軽減できる。
また、モータドライバの中には、払出制御用マイクロコンピュータ370による制御ではなく、該モータドライバ自身で自動的に駆動可能状態に制御された時から始動期間を計測し、該始動期間を計測した時に完全に昇圧するモータドライバM2がある。このようなモータドライバM2は、駆動可能状態に制御された時と同時に完全に昇圧しないことから、モータドライバM2が停止状態であるときには該モータドライバM2に電力を供給する必要がなく、モータドライバM1と比較して、消費エネルギーを削減できる(省エネを図ることができる)。このようなモータドライバM1は、「処理Aを行なわずに処理Bを行なう実施形態」に適用することが好ましい。このような実施形態によれば、払出制御用マイクロコンピュータ370は、処理Aを行なわずとも、処理Aおよび処理Bを実行したものと同様の効果を奏することができ、払出制御用マイクロコンピュータ370の処理負担を軽減できる。
また、モータドライバの中には、モータドライバM2で説明した省エネの観点から、駆動可能状態に制御されても、始動期間が経過するまでは、完全に昇圧しないモータドライバM3がある。このようなモータドライバM3は、駆動可能状態に制御された時と同時に完全に昇圧しないことから、モータドライバM1と比較して、消費エネルギーを削減できる(省エネを図ることができる)。また、このようなモータドライバM3は、モータドライバM2のような開始期間を計測する機能を有さないことから、該モータドライバM2よりも構成を簡素化できる。このようなモータドライバM3を用いる場合には、処理Aおよび処理Bの双方を実行することが好ましい。これにより、本実施形態と同様の効果を奏する。
また、払出制御用マイクロコンピュータ370は、処理Aを実行するが処理Bを実行しないようにしてもよい。たとえば、払出制御用マイクロコンピュータ370からの駆動信号の出力が停止されたと同時に、払出モータ400の駆動を停止させることができ、かつ駆動不可能状態に制御されるモータドライバM4を用いる場合には、払出制御用マイクロコンピュータ370は、処理Aを実行するが処理Bを実行しないようにしてもよい。
(4) 本実施形態では、払出モータ400を駆動するときには、スローアップ制御を実行するとして説明した。しかしながら、該スローアップ制御は実行しないようにしてもよい。また、払出モータ400の駆動を停止させるときには、スローダウン制御を実行するようにしてもよい。スローダウン制御を実行することにより、払出モータ400を滑らかに回転停止させることができる。
(5) 本実施形態では、始動期間は、モータドライバが完全に昇圧するまでの期間であるとして説明した。しかしながら、始動期間は、以下のよう定めてもよい。モータドライバは、各相φ1〜φ4に対応するトランジスタを備えており、全てのトランジスタがオン状態になったときには、各相φ1〜φ4に通電することができ、適切に払出モータ400を駆動でき、各相φ1〜φ4のうちの少なくとも1つがオン状態になっていない場合には、該オンになっていないトランジスタに対応する相に通電できないことから、適切に、払出モータ400を駆動できない。モータドライバによっては、スタンバイ信号をハイ状態にした直後において、完全に昇圧するものの、全てのトランジスタがオン状態にならないモータドライバM5がある。そこで、このようなモータドライバM5については、始動期間を、「全てのトランジスタがオン状態になる期間」としてもよい。このように始動期間を設けることにより、モータドライバM5を用いたとしても、適切に払出モータ400を駆動できる。
また、始動期間をモータドライバによっては、スタンバイ信号をハイ状態にした直後において、完全に昇圧せず、かつ全てのトランジスタがオン状態にならないモータドライバM6がある。そこで、このようなモータドライバM6については、始動期間を、「全てのトランジスタがオン状態になり、かつ完全に昇圧する期間」としてもよい。このように始動期間を設けることにより、モータドライバM6を用いたとしても、適切に払出モータ400を駆動できる。
また、「スタンバイ信号がハイ状態になった直後は、全てのトランジスタが完全にオン状態にならない」や、「スタンバイ信号がハイ状態になった直後は、完全に昇圧しない」といった要因とは異なる要因で、スタンバイ信号がハイ状態になった直後は、各相を通電できないモータドライバを用いる場合には、始動期間は「該異なる要因が解消する期間」としてもよい。
[エラーについて]
(1) 本実施形態では、図14(D)で説明したように、たとえば、15個の遊技球を払出している途中に(たとえば、6個目の遊技球を払出した時に)遊技停止エラーが発生しても、該15個全ての遊技球を払出し(残り9個の遊技球を払出し)、該15個全ての遊技球が払出された後に、払出モータ400の駆動を停止させる、として説明した。しかしながら、遊技球の払出途中に特定のエラーの発生を検知した場合には、該特定のエラーの発生を検知した時点で、遊技球の払出を終了させるようにしてもよい。ここで、特定のエラーとは、悪質な不正行為(いわゆるゴト行為)が行なわれることにより発生し得るエラーである。たとえば、特定のエラーとは、不正行為が行なわれる電波の検出や、不正行為が行なわれる磁気の検出により生じるエラーである。このように、遊技球の払出途中に特定のエラーの発生を検知した場合には、該特定のエラーの発生を検知した時点で、遊技球の払出を終了させるようにすることで、特定のエラーを発生させるような不正行為を抑制できる。
(2) また、遊技球の払出途中に特定のエラーの発生を検知した場合には、該特定のエラーの発生を検知した時点で、遊技球の払出を終了させる構成において、払出されていない遊技球を特定できる情報をRAMに格納させるようにしてもよい。そして、発生した特定のエラーを解除するための解除操作が行なわれた後に、該RAMに格納された情報から特定される遊技球を払出すようにしてもよい。ここで、解除操作とは、たとえば、エラー解除スイッチを押下しながら、パチンコ遊技機への電源を再投入する操作である。
たとえば、15個の遊技球を払出している途中に(たとえば、6個目の遊技球を払出した時に)特定のエラーが発生したときにおいて、該特定のエラーが発生した時点で、遊技球の払出を終了させる。払出されていない遊技球(残り9個の遊技球)を特定できる情報をRAMに格納させる。発生した特定のエラーを解除するための解除操作が行なわれた後に、該RAMに格納された情報から特定される遊技球(9個の遊技球)を払出すようにしてもよい。
このような構成によれば、遊技者が不正行為をしていないにもかかわらず、他の要因(たとえば、電波検出手段からの検出信号にノイズが生じたことにより要因)により、遊技制御用マイクロコンピュータ560が、特定のエラーが発生したと誤検出したとしても、該特定のエラーの解除操作が行なわれた後には、全ての遊技球は払出されることから、遊技者にとって不利となることを防止できる。
[本願発明の他の適用について]
(1) 第1実施形態〜第3実施形態では、遊技用価値(遊技球やメダル)の払出処理に、本願発明の技術思想を適用した例を説明した。該技術思想は、駆動源(モータ)を使用する実施形態であれば、如何なる実施形態に用いてもよい。
たとえば、パチンコ遊技機、スロットマシン、これらの遊技機に対応する遊技用装置において、モータ駆動により可動する可動物(たとえば、役物)の制御について、該技術思想を適用するようにしてもよい。まず、パチンコ遊技機およびスロットマシンについて説明する。パチンコ遊技機、スロットマシンそれぞれの可動物は、たとえば、遊技者にとって有利な特典が付与されたときに、可動する。ここで、パチンコ遊技機の有利な特典とは、たとえば、「遊技者にとって有利な状態(たとえば、大当たり状態や確変状態など)に制御されること」であり、スロットマシンの有利な特典とは、たとえば、「ボーナス状態に制御されること」や、「ATゲーム数が付与されること」などである。ATゲーム数とは、「所定の役が当選したときに、該所定の役が当選したことを特定できる情報を報知するナビ演出」を実行するゲーム数である。
次に、パチンコ遊技機の可動物、スロットマシンの可動物それぞれの制御手法について説明する。まず、パチンコ遊技機の可動物の制御処理について説明する。該制御処理は、図12のS322が、「所定の可動物可動条件が成立したか?」という判断処理に代替される。ここで、「所定の可動物可動条件」とは、パチンコ遊技機の可動物が可動する条件である。大当たり状態に制御されたときに可動物が可動するパチンコ遊技機であれば、「所定の可動物可動条件」とは、大当たり状態に制御されたことにより成立する条件である。また、S330が、「可動物を駆動するための駆動信号出力」という処理に代替され、S332が「可動物の可動期間終了?」という判断処理に代替され、S342が省略される。また、図13(C)、図14(C)が、「所定の可動物可動条件成立」に代替される。
次に、スロットマシンの可動物の制御処理について説明する。該制御処理は、図12のS322が、「所定の可動物可動条件が成立したか?」という判断処理に代替される。ここで、「所定の可動物可動条件」とは、スロットマシンの可動物が可動する条件である。たとえば、ボーナス状態に制御されたときに可動物が可動するスロットマシンであれば、「所定の可動物可動条件」とは、ボーナス状態に制御されたことにより成立する条件である。また、S330が、「可動物を駆動するための駆動信号出力」という処理に代替され、S332が「可動物の可動期間終了?」という判断処理に代替され、S342が省略される。また、図13(C)、図14(C)が、「所定の可動物可動条件成立」に代替される。
次に遊技用装置について説明する。遊技用装置とは、パチンコ遊技機やスロットマシンの上部に設置されているデータ表示装置である。パチンコ遊技機の遊技用装置とは、たとえば、大当たり回数や確変回数などのデータが表示されるデータ表示装置である。また、スロットマシンの遊技用装置とは、たとえば、ビッグボーナス回数、レギュラーボーナス回数、付与されたATゲーム数のデータが表示されるデータ表示装置である。
パチンコ遊技機に対応する遊技用装置の可動物とは、たとえば、「確変中」という文字が記載されたプレートである。該プレートは、たとえば、確変中ではないときには、該プレートは遊技者や遊技店の店員などに視認されないように、該プレートは隠蔽されており、確変に制御されたときには、該プレートは駆動され、該プレートは遊技者や遊技店の店員などに視認されるように、該プレートは露出する。
また、スロットマシンに対応する遊技用装置の可動物とは、たとえば、「ボーナス中」という文字が記載されたプレートである。該プレートは、たとえば、ボーナス中ではないときには、該プレートは遊技者や遊技店の店員などに視認されないように、該プレートは隠蔽されており、ボーナス状態に制御されたときには、該プレートは駆動され、該プレートは遊技者や遊技店の店員などに視認されるように、該プレートは露出する。
次に、遊技用装置の可動物の制御処理について説明する。該制御処理は、図12のS322が、「所定の可動物可動条件が成立したか?」という判断処理に代替される。ここで、「所定の可動物可動条件」とは、遊技用装置の可動物が可動する条件である。たとえば、遊技用装置がパチンコ遊技機の上部に設置されている装置であり、かつ該パチンコ遊技機において確変状態に制御されたときに可動物(確変中と記載されたプレート)が可動する遊技用装置であれば、「所定の可動物可動条件」とは、確変状態に制御されたことにより成立する条件である。また、S330が、「可動物を駆動するための駆動信号出力」という処理に代替され、S332が「可動物の可動期間終了?」という判断処理に代替され、S342が省略される。また、図13(C)、図14(C)が、「所定の可動物可動条件成立」に代替される。
また、遊技用装置は、遊技機に対応している遊技用装置に限られず、たとえば、該遊技機が設置された遊技場において用いられる遊技用装置としてもよい。たとえば、該遊技用装置とは、遊技場に所定台数、設置されている遊技球やメダルを貸出す装置である。
(2) また、本願発明の技術思想は、スロットマシンのリール制御にも適用できる。該リール制御処理は、図12のS322が、「所定のリール回転開始条件が成立したか?」という判断処理に代替される。ここで、「所定のリール回転開始条件」とは、リールの回転が開始する条件である。たとえば、スロットマシンに対して、賭数が適切に設定されている状態で、スタートスイッチが操作されることにより成立する条件である。また、S330が、「リールを駆動するための駆動信号出力」という処理に代替され、S332が「第3停止?」という判断処理に代替され、S342が省略される。ここで、第3停止とは、スロットマシンが3つのリールを備え、3つのリールのうちの2つのリールが停止された状態で、残り1つのリールを停止させるためのストップスイッチが操作されることである。また、図13(C)、図14(C)が、「所定のリール回転開始条件成立」に代替され、図13(F)、図14(F)の「払出期間」が、「回転期間」に代替される。回転期間とは、「3つのリールのうち少なくとも1つのリールが回転している期間」である。
(3) また、本願発明の技術思想は、遊技用装置としての揚送装置に対しても適用できる。揚送装置は、遊技領域から回収された遊技球を打球発射位置まで揚送するものである。ここで、「遊技領域から回収された遊技機」とは、「入賞口やアウト口により回収された遊技球」をいう。揚送装置は、ステッピングモータとしての揚送モータにより回転する揚送用スクリューが内蔵されており、この揚送用スクリューが回転することによりパチンコ玉が揚送される。
次に、揚送モータの制御処理について説明する。該制御処理は、図12のS322が、「所定のモータ駆動開始条件が成立したか?」という判断処理に代替される。ここで、「所定のモータ駆動開始条件」とは、揚送モータの駆動が開始される条件であり、たとえば、揚送装置に対応するパチンコ遊技機において遊技球が発射されたことにより成立する条件である。また、S330が、「揚送モータを駆動するための駆動信号出力」という処理に代替され、S332が「揚送期間終了?」という判断処理に代替され、S342が省略される。また、図13(C)、図14(C)が、「所定のモータ駆動開始条件」に代替され、図13(F)、図14(F)の「払出期間」が、「所定のモータ駆動開始条件」に代替される。
また、本変形例では、パチンコ遊技の遊技球を揚送する揚送装置について説明したが、スロットマシンにおいて、メダルを揚送する揚送装置に本願発明の技術思想を適用するようにしてもよい。
[払出制御基板の払出処理について]
本実施形態の払出制御基板の払出処理(図12参照)は、賞球個数情報が2以上、RAM380に記憶されているときには、該2以上の賞球個数情報ごとに、該払出処理を実行するとして説明した。しかしながら、2以上の賞球個数情報がRAM380に記憶されているときには、該2以上の賞球個数情報についてまとめて、該払出処理を実行するようにしてもよい。具体的には、図12のS332の「遊技球払出終了?」の判断処理は、「2以上の賞球個数情報それぞれから特定される遊技球の合計数の遊技球」の払出が終了したか否かを判断する処理となる。また、図13(F)、図14(F)の「払出期間」については「2以上の賞球個数情報それぞれから特定される遊技球の合計数の遊技球」が払出される期間となる。
たとえば、2以上の賞球個数情報がRAM380に記憶されているときの例として、7個の賞球個数情報と15個の賞球個数情報(つまり、2つの賞球個数情報)がRAM380に記憶されている場合について説明する。この場合には、図12のS332の処理については、22個の遊技球の払出が終了したか否かを判断する処理となる。また、図13(F)、図14(F)の「払出期間」については22個の遊技球が払出される期間となる。
本変形例の構成によれば、2以上の賞球個数情報がRAM380に記憶されているときでも、「スタンバイ信号をハイ状態にする処理、払出モータ400を駆動する処理、スタンバイ信号をロー状態にする処理」を1回にまとめることができるので、本実施形態の構成よりも、払出制御用マイクロコンピュータ370の処理を軽減できる。
[モータについて]
(1) 本実施形態の払出モータ400は、ステッピングモータであるとして説明した。しかしながら、払出モータ400は他のモータであってもよい。他のモータとは、たとえば、DCモータ、ブラシレスDCモータ、交流モータ、スイッチドレラクタンスモータ、超音波モータなどである。
(2) また、本実施形態の払出モータ400は、バイポーラ型であるとして説明した。しかしながら、払出モータ400はユニポーラ型としてもよい。このような構成によれば、モータドライバ376の回路構成を簡単にすることができる。
[その他]
(1) 本実施の形態として、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出す遊技機を説明したが、遊技媒体が封入され、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出すことなく遊技点(得点)を加算する封入式の遊技機を採用してもよい。封入式の遊技機には、遊技媒体の一例となる複数の玉を遊技機内で循環させる循環経路が形成されているとともに、遊技点を記憶する記憶部が設けられており、玉貸操作に応じて遊技点が記憶部に加算され、玉の発射操作に応じて遊技点が記憶部から減算され、入賞の発生に応じて遊技点が記憶部に加算される。また、遊技機は、発射装置および玉払出装置を備えた遊技枠に遊技球が打ち込まれる遊技領域を形成する遊技盤を取り付けた構成としたが、これに限らず、発射装置は玉払出装置などの基本的な機能を共通化し、遊技の特長的構成である遊技盤のみを流通させるようにしてもよい。この場合、遊技の特長的構成であるところの遊技盤を遊技機と称する。
また、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を例に挙げて説明したが、本実施の形態はスロットマシンに適用することも可能である。この場合、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出すスロットマシンを採用してもよく、あるいは、遊技媒体が封入され、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出すことなく遊技点(得点)を加算する封入式のスロットマシンを採用してもよい。基盤とドラムとが流通可能で、筺体が共通なもので基盤のみあるいは基盤とドラムとを遊技機と称する。
(2) なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。