JP2016140351A - 還元型コエンザイムq10の酸化を防止した飲食物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 還元型コエンザイムQ10が酸化されない安定な飲食物を提供すること。【解決手段】 還元型コエンザイムQ10を含有する飲食物に、アスコルビン酸を酸化する酵素とアスコルビン酸を添加する、あるいはグルコースを酸化する酵素とグルコースを添加して飲食物中で脱酸素を行うことで還元型コエンザイムQ10の酸化を防止することを特徴とした飲食物。
Description
本発明は、基質とその基質を酸化する酵素の反応によって飲食物中の酸素を消費することで還元型コエンザイムQ10の酸化を防止した飲食物に関する。
近年注目される機能性成分として、還元型コエンザイムQ10(還元型CoQ10、ユビキノールともいう)が知られている。還元型コエンザイムQ10は、生体内で抗酸化作用やATP産生に関与し、生命維持に必要不可欠な物質であり、健康食品や化粧品等に利用されている。しかし、還元型コエンザイムQ10は、酸素によって酸化体に酸化されやすく、還元型のまま安定な状態で飲食物に添加することが非常に困難であった。
還元型コエンザイムQ10の安定化法としてはこれまでいくつかの技術提案がなされている(特許文献1〜5)。しかし、どれも還元型コエンザイムQ10を含有する飲食物中で還元型コエンザイムQ10の酸化を防止する提案ではない。
従来の技術では、飲食物中の酸素を物理的に除去する方法以外に、還元型コエンザイムQ10が酸化されない安定な飲食物を提供する技術がなかった。
本発明は、還元型コエンザイムQ10を含有する飲食物に、アスコルビン酸を酸化する酵素とアスコルビン酸を添加する、あるいはグルコースを酸化する酵素とグルコースを添加して、これらによって飲食物中で脱酸素を行うことで還元型コエンザイムQ10の酸化を防止した飲食物を提供する。
アスコルビン酸を酸化する酵素を用いる飲食物中の脱酸素において、アスコルビン酸を十分に含有する飲食物にアスコルビン酸を酸化する酵素を添加するか、アスコルビン酸を含有しないか十分に含有しない飲食物には、アスコルビン酸を酸化する酵素とアスコルビン酸もしくはその塩またはイソアスコルビン酸もしくはその塩を添加する。これにより、飲食物中の酸素が消費され、還元型コエンザイムQ10の酸化が防止される。
本発明において、アスコルビン酸を酸化する酵素としてアスコルビン酸オキシダーゼを利用することができる。
アスコルビン酸を酸化するアスコルビン酸オキシダーゼは各種の植物に分布することが知られており、カボチャ(非特許文献1)、及びキュウリ(非特許文献2)から単離されており、本発明においてこれらを用いることができる。
微生物由来のアスコルビン酸オキシダーゼとしては糸状菌(特許文献6、7)、若しくは放線菌(特許文献8)由来のものが知られており、本発明においてこれらを用いることができる。
グルコースを酸化する酵素を用いる飲食物中の脱酸素において、グルコースを十分に含有する飲食物にグルコースを酸化する酵素を添加するか、グルコースを含有しないか十分に含有しない飲食物には、グルコースを酸化する酵素とグルコースを添加する。これにより、飲食物中の酸素が消費され、還元型コエンザイムQ10の酸化が防止される。
本発明において、グルコースを酸化する酵素としてグルコースオキシダーゼを利用することができる。
グルコースを酸化するグルコースオキシダーゼとして糸状菌(非特許文献3,4)由来のものが知られており、本発明においてこれらを用いることができる。
Men Hui Lee,Charles R.Dawson,Journal of Biological Chemistry,Volume 248,No.19,6596−6602,1973
T.Nakamura,N.Makino,Y.Ogura,Journal of Biological Chemistry,Volume 64,No.2,189−195,1968
Kiyoshi Kusai,Ichiro Sekuzu,Bunji Hagihara,Biochimica et Biophysica Acta,Volume 40,555−557,1960
John H.Pazur,Kjell Kleppe,Biochemistry,Volume 3,No.4,578−583,1964
本発明においては、本発明の酵素及び前記の既知の酵素の内、任意のものを使用することができる。使用する酵素の量は飲食物の種類等により異なるが、一般的に飲食物1g当たり0.00001〜0.001ユニット、好ましくは0.00001ユニット以上を添加すればよい。
アスコルビン酸オキシダーゼを用いるとき、飲食物に添加するアスコルビン酸またはその塩、あるいはイソアスコルビン酸またはその塩の量は飲食物によって異なるが、一般的に飲食物に対して0.01〜1.0重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%になるように添加すればよい。
グルコースオキシダーゼを用いるとき、飲食物に添加するグルコースの量は飲食物によって異なるが、一般的に飲食物に対して0.01〜1.0重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%になるように添加すればよい。
前述の酸素を除去する酵素反応で過酸化水素が発生し、過酸化水素を除去する場合にはカタラーゼを用いて過酸化水素を水に酸化すればよい。
本発明は、還元型コエンザイムQ10を含有する飲食物に、アスコルビン酸を酸化する酵素とアスコルビン酸を添加する、あるいはグルコースを酸化する酵素とグルコースを添加して、必要に応じてカタラーゼを添加することで、飲食物中で脱酸素を行うことで還元型コエンザイムQ10の酸化を防止した飲食物を提供できる。酸素を除去する反応作用を有する、食品に使用することが認められている、基質とその基質を酸素を用いて酸化する酵素の組み合わせを用いれば同様に提供できる。
本発明を用いれば、還元型コエンザイムQ10の酸化を防止した飲食物を提供できる。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
以下の実施例に使用した還元型コエンザイムQ10水溶化粉末は還元型コエンザイムQ10(カネカ社製)が40%、デキストリンが40%、増粘剤が10%、乳化剤が10%の割合で構成されたものであるが、還元型コエンザイムQ10の水分散型製剤であれば粉末あるいは乳剤で適用することができる。
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
純水に還元型コエンザイムQ10水溶化粉末を溶解して250mg/100mlに調製した後に60ml容ガラス瓶に一杯のなるように詰めて密栓し、30℃で80日間保存した。調製後直後と保存後の溶存酸素と還元型コエンザイムQ10含量を測定した。
純水に還元型コエンザイムQ10水溶化粉末を溶解して250mg/100mlに調製した溶液に、それぞれアスコルビン酸ナトリウムを10mg、50mg、100mg、500mg、1000mg、また、それぞれキュウリ由来のアスコルビン酸オキシダーゼを0.0001ユニット、0.001ユニット、0.01ユニット、0.1ユニット溶解した後に60ml容ガラス瓶に一杯のなるように詰めて密栓し、30℃で80日間保存した。保存後の溶存酸素と還元型コエンザイムQ10含量を測定した。その結果、以下の表の通りとなった。
以上の結果より、アスコルビン酸オキシダーゼを0.00001ユニット/mL、アスコルビン酸ナトリウムを0.1mg/mL含有すれば十分に還元型コエンザイムQ10の酸化を防止できた。アスコルビン酸オキシダーゼが0.000001ユニット/mLの濃度でも概ね良好な結果であった。
純水に還元型コエンザイムQ10水溶化粉末を溶解して250mg/100mlに調製した溶液に放線菌由来のカタラーゼを0.01ユニット溶解後、それぞれグルコースを10mg、50mg、100mg、500mg、1000mg、また、それぞれ糸状菌由来のグルコースオキシダーゼを0.0001ユニット、0.001ユニット、0.01ユニット、0.1ユニット溶解した後に60ml容ガラス瓶に一杯のなるように詰めて密栓し、30℃で80日間保存した。保存後の溶存酸素と還元型コエンザイムQ10含量を測定した。その結果、以下の表の通りとなった。
以上の結果より、グルコースオキシダーゼを0.00001ユニット/mL、グルコースを0.1mg/mL含有すれば十分に還元型コエンザイムQ10の酸化を防止できた。グルコースオキシダーゼが0.000001ユニット/mLの濃度でも概ね良好な結果であった。
市販の清涼飲料水、使用されている原材料名は糖類(高果糖液糖、果糖)、はちみつ、塩化Na、ローヤルゼリー、海藻エキス、クエン酸、香料、クエン酸Na、アルギニン、塩化K、塩化Mg、乳酸Ca、酸化防止剤(ビタミンC)、甘味料(スクラロース)、イソロイシン、バリン、ロイシンを用いて実施例2と同様の検討を行った。その結果、以下の表の通りとなった。
以上の結果より、市販の清涼飲料水の中でもアスコルビン酸オキシダーゼを0.00001ユニット/mL、アスコルビン酸ナトリウムを0.1mg/mL含有すれば十分に還元型コエンザイムQ10の酸化を防止できた。アスコルビン酸オキシダーゼが0.000001ユニット/mLの濃度でも概ね良好な結果であった。
市販の清涼飲料水、使用されている原材料名は糖類(高果糖液糖、果糖)、はちみつ、塩化Na、ローヤルゼリー、海藻エキス、クエン酸、香料、クエン酸Na、アルギニン、塩化K、塩化Mg、乳酸Ca、酸化防止剤(ビタミンC)、甘味料(スクラロース)、イソロイシン、バリン、ロイシンを用いて実施例3と同様の検討を行った。その結果、以下の表の通りとなった。
以上の結果より、市販の清涼飲料水の中でもグルコースオキシダーゼを0.00001ユニット/mL、グルコースを0.1mg/mL含有すれば十分に還元型コエンザイムQ10の酸化を防止できた。グルコースオキシダーゼが0.000001ユニット/mLの濃度でも概ね良好な結果であった。
Claims (4)
- 還元型コエンザイムQ10を含有する飲食物にアスコルビン酸とアスコルビン酸を酸化する酵素を添加して脱酸素を行い、還元型コエンザイムQ10の酸化を防止した飲食物。
- 還元型コエンザイムQ10を含有する飲食物にグルコースとグルコースを酸化する酵素を添加して脱酸素を行い、還元型コエンザイムQ10の酸化を防止した飲食物。
- アスコルビン酸を酸化する酵素がアスコルビン酸オキシダーゼであることを特徴とする請求項1記載の飲食物。
- グルコースを酸化する酵素がグルコースオキシダーゼであることを特徴とする請求項2記載の飲食物。
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WO2020085155A1 (ja) * | 2018-10-26 | 2020-04-30 | サントリーホールディングス株式会社 | 還元型コエンザイムq10を含む経口用組成物、その製造方法、変色抑制方法及び変色抑制剤 |
JP2020180093A (ja) * | 2019-04-26 | 2020-11-05 | 株式会社ファンケル | 還元型コエンザイムq10を含む粉末組成物及び酸化防止剤 |
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