JP2016139846A - 時刻同期システム、マスタ装置およびスレーブ装置、並びに時刻同期方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】同期状態において品質の良い方の時刻を配信するマスタ装置を選択する時刻同期システムを提供する。【解決手段】基準クロックを有する複数のマスタ装置101_1、101_2と、複数のマスタ装置のいずれかの基準クロックに自装置のクロックを同期させるスレーブ装置102とを有する時刻同期システムにおいて、マスタ装置は、時刻の品質を示す情報を含む回線品質メッセージを生成するメッセージ生成部と、スレーブ装置に回線品質メッセージを送信する通信部と、を有する。スレーブ装置は、複数のマスタ装置からそれぞれ受信した複数の回線品質メッセージに含まれる時刻の品質を示す情報を比較して、複数のマスタ装置のうちから時刻の品質の高いマスタ装置を選択する選択部と、選択部が選択した当該マスタ装置の基準クロックに自装置のクロックを同期させる制御部と、を有する。【選択図】図6
Description
本発明は、時刻同期システム、マスタ装置およびスレーブ装置、並びに時刻同期方法に関する。
近年、複数の装置を有する通信システムにおいて、システム全体の時刻をより高い精度で同期させることがシステム構築の要件になってきている。隣接するN:M(N,Mは正の整数)の装置を有する通信システムは、例えばIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)1588規格に基づいて、装置間の時刻同期を実現している。IEEE1588規格は、Ethernet(登録商標)を用いる装置間の時刻を同期させる時刻同期プロトコル(PTP:Precision Time Protocol)を規定している(例えば、非特許文献1参照)。
IEEE1588 Std 1588−2008
時刻のマスタとなる装置(マスタ装置)と時刻のスレーブとなる装置(スレーブ装置)は、時刻の同期を取るために、IEEE1588規格で規定されている時刻同期メッセージを送受信する。また、IEEE1588規格は、マスタ装置の状態をスレーブ装置へ通知する回線品質メッセージをマスタ装置とスレーブ装置との間で送受信することを規定している。
ところが、IEEE1588規格で規定されている回線品質メッセージは、同期状態での時刻の精度を示す情報は含まれていない。このため、スレーブ側の通信装置は、同期状態において品質の悪い方の時刻を配信するマスタ装置を選択する可能性があるという問題が生じる。
本件開示の時刻同期システム、マスタ装置およびスレーブ装置、並びに時刻同期方法は、複数のマスタ装置から送信される回線品質メッセージに時刻品質情報を格納して、スレーブ装置側で複数のマスタ装置から受信する時刻品質情報のうち品質の高い方のマスタ装置を選択することにより、時刻同期の精度を向上する技術を提供することを目的とする。
一つの観点によれば、基準クロックを有する複数のマスタ装置と、複数のマスタ装置のいずれかの基準クロックに自装置のクロックを同期させるスレーブ装置とを有する時刻同期システムにおいて、マスタ装置は、時刻同期を図るためにスレーブ装置との間で送受信される時刻同期メッセージに基づいて、時刻の品質を示す情報を含む回線品質メッセージを生成するメッセージ生成部と、スレーブ装置に回線品質メッセージを送信する通信部と、を有し、スレーブ装置は、複数のマスタ装置からそれぞれ受信した複数の回線品質メッセージに含まれる時刻の品質を示す情報を比較して、複数のマスタ装置のうちから時刻の品質の高いマスタ装置を選択する選択部と、選択部が選択した当該マスタ装置の基準クロックに自装置のクロックを同期させる制御部と、を有することを特徴とする。
一つの観点によれば、基準クロックを有するマスタ装置において、基準クロックと時刻同期を図るスレーブ装置との間で送受信される時刻同期メッセージに基づいて、時刻の品質を示す情報を含む回線品質メッセージを生成するメッセージ生成部と、スレーブ装置との間で時刻同期メッセージを送受信するとともに、スレーブ装置に回線品質メッセージを送信する通信部と、スレーブ装置との間で送受信される時刻同期メッセージの送受信時刻に基づいて求めたオフセット値を蓄積し、蓄積されたオフセット値を統計処理して時刻の品質を示す情報を生成する制御部とを有することを特徴とする。
一つの観点によれば、複数のマスタ装置のいずれかの基準クロックと時刻同期を図るスレーブ装置において、複数のマスタ装置との間で時刻同期メッセージを送受信するとともに、複数のマスタ装置から回線品質メッセージを受信する通信部と、複数のマスタ装置からそれぞれ受信した複数の回線品質メッセージに含まれる時刻の品質を示す情報を比較し、複数のマスタ装置のうちから時刻の品質の高いマスタ装置を選択する選択部と、選択部が選択したマスタ装置との間で送受信される時刻同期メッセージに基づいて当該マスタ装置の基準クロックに自装置のクロックを同期させる制御部とを有することを特徴とする。
一つの観点によれば、基準クロックを有する複数のマスタ装置と、複数のマスタ装置のいずれかの基準クロックに自装置のクロックを同期させるスレーブ装置とを有する時刻同期システムにおける時刻同期方法であって、マスタ装置は、時刻同期を図るためにスレーブ装置との間で送受信される時刻同期メッセージに基づいて、時刻の品質を示す情報を含む回線品質メッセージを生成してスレーブ装置に送信し、スレーブ装置は、複数のマスタ装置からそれぞれ受信した複数の回線品質メッセージに含まれる時刻の品質を示す情報を比較して、複数のマスタ装置のうちから時刻の品質の高いマスタ装置を選択し、選択した当該マスタ装置の基準クロックに自装置のクロックを同期させることを特徴とする。
本件開示の時刻同期システム、マスタ装置およびスレーブ装置、並びに時刻同期方法は、複数のマスタ装置から送信される回線品質メッセージに時刻品質情報を格納して、スレーブ装置側で複数のマスタ装置から受信する時刻品質情報のうち品質の高い方のマスタ装置を選択することにより、時刻同期の精度を向上することができる。
以下、図面を用いて実施形態を説明する。
図1は、時刻同期システム100の一例を示す。図1において、時刻同期システム100は、マスタ装置101_1、マスタ装置101_2、スレーブ装置102を有する。ここで、マスタ装置101_1およびマスタ装置101_2に共通する内容を説明する場合は、符号末尾の(_数字)を省略して、マスタ装置101と表記する。また、特定のマスタ装置101を指す場合は、符号末尾に(_数字)を付加して、例えばマスタ装置101_1のように表記する。
なお、図1は、マスタ装置101_1とマスタ装置101_2の二台のマスタ装置を有する例を示すが、三台以上のマスタ装置101を有してもよい。また、図1は、一台のスレーブ装置102の例を示すが、複数台のスレーブ装置102が接続されてもよい。
本実施形態に係る時刻同期システム100は、IEEE1588の規格に準拠し、マスタ装置101とスレーブ装置102との間で時刻同期メッセージおよび回線品質メッセージを送受信して、時刻の同期を図ることができる。
マスタ装置101およびスレーブ装置102は、時刻同期メッセージの送受信時刻からマスタ装置101とスレーブ装置102との間の伝送遅延時間Tdや時刻のズレTzなどを算出する。
また、マスタ装置101は、スレーブ装置102に回線品質メッセージを送信し、マスタ装置101の同期が取れているか否かや障害の有無など同期状態に関する情報をスレーブ装置102に通知する。しかし、回線品質メッセージに時刻精度に関する詳細な情報を含めることはIEEE1588に規定されておらず、スレーブ装置102は、同期状態におけるマスタ装置101の時刻の品質を知ることが難しかった。そこで、本実施形態に係る時刻同期システム100は、IEEE1588の規格とは別に、詳細な時刻の品質を示す情報(時刻品質情報と称す)を回線品質メッセージに含めてマスタ装置101からスレーブ装置102に送信する。これにより、スレーブ装置102は、複数台のマスタ装置のうちから時刻の品質が高いマスタ装置101を選択することができ、時刻の精度を向上することができる。なお、時刻品質情報については後で詳しく説明する。
図2は、イーサネット(登録商標)フレーム500およびPTPメッセージ501の一例を示す。図2において、イーサネットフレーム500は、Ethernet(登録商標) Header510、ユーザデータ511およびFCS(Frame Check Sequence)512の領域を有する。Ethernet Header510は、イーサネットフレーム500の送信先アドレス、送信元アドレス、パケット長などの情報が格納される領域である。ユーザデータ511は、コンテンツなどのユーザデータが格納される領域である。本実施形態では、ユーザデータ511の領域にPTPメッセージ501が格納される。FCS512は、イーサネットフレーム500の誤り検出用の情報が格納される領域である。
図2において、PTPメッセージ501は、例えば34ByteのPTP_Header520の領域と、可変長のBody521の領域と、オプション(option)522の領域とを有する。PTP Header520は、PTPメッセージ501の種類を示す情報が格納される領域である。Body521は、時刻情報や品質情報などが格納される領域である。なお、図2の例では、説明を簡略化して、PTPメッセージ501が直接、イーサネットフレーム500のユーザデータ511部分に格納される図を示した。実際には、PTPメッセージ501は、IP(Internet Protocol)やUDP(User Datagram Protocol)などのパケットに格納されてからイーサネットフレーム500に格納されてもよい。
図3は、本実施形態に係る時刻同期システム100で用いるメッセージの一例を示す。先に説明したように、IEEE1588の規格により、時刻同期メッセージおよび回線品質メッセージがマスタ装置101とスレーブ装置102との間で送受信される。ここで、時刻同期メッセージは、Syncメッセージ、Follow_Upメッセージ、Delay_ReqメッセージおよびDelay_Respメッセージの4つのメッセージを有する。そして、マスタ装置101とスレーブ装置102は、予め決められた周期でSyncメッセージなどを送受信する。回線品質メッセージは、例えばマスタ装置101の同期状態を示す情報を格納するAnnounceメッセージを有し、Syncメッセージとは異なる周期でマスタ装置101からスレーブ装置102に送信される。本実施形態に係る時刻同期システム100は、先に説明した時刻品質情報をAnnounceメッセージに格納して、マスタ装置101からスレーブ装置102に送信する。
図3(a)は、Syncメッセージ502の一例を示す。Syncメッセージ502は、PTP_Header520の領域にメッセージの種類を示すMessageType530の情報を格納し、Body521の領域に時刻情報を示すOriginTimestamp531の情報を格納する。ここで、PTP_Header520の領域には、MessageType530の情報以外にもTransportSpecific、MessageLength、VersionおよびSeaquenceIDなどの情報が格納されるが、本実施形態では詳しい説明を省略する。MessageType530については、例えば”0”がSyncメッセージ、”8”がFollow_Upメッセージ、”1”がDelay_Reqメッセージ、”9”がDelay_Respメッセージのようにメッセージの種類を示す符号が予め割り当てられている。OriginTimestamp531の領域には、Syncメッセージ502を送信するときの送信時刻の情報が格納される。なお、Syncメッセージ502の送信は、メッセージが生成された後で送信されるので、メッセージの生成からメッセージを送信するまでの時間を予測した送信時刻の予測値がOriginTimestamp531の領域に格納される。そして、マスタ装置101は、Syncメッセージに続いて送信するFollow_Upメッセージにより、Syncメッセージの送信時刻の実測値をスレーブ装置102に送信する。一方、スレーブ装置102は、マスタ装置101にDelay_Reqメッセージを送信するときに、Delay_Reqメッセージの送信時刻の予測値をDelay_Reqメッセージに含めてマスタ装置101に送信する。このとき、スレーブ装置102は、Delay_Reqメッセージの送信時刻の実測値を測定し、マスタ装置101は、Delay_Reqメッセージの受信時刻の実測値を測定する。さらに、マスタ装置101は、Delay_Reqメッセージの受信時刻の実測値をDelay_Respメッセージに格納してスレーブ装置102に送信する。なお、Follow_Upメッセージ、Delay_ReqメッセージおよびDelay_Respメッセージは、図3(a)に示したSyncメッセージと同様にPTP Header520の領域とBody521の領域を有する。Delay_ReqメッセージおよびDelay_Respメッセージにおいても、Syncメッセージと同様にメッセージの種類を示すMessageType530や時刻情報が所定の領域に格納される。
図3(b)は、IEEE1588の規格に準拠した回線品質メッセージ(Announceメッセージ503)の一例を示す。図3(b)において、Announceメッセージ503では、MessageType530の符号が”B”である。また、Announceメッセージ503は、Syncメッセージ502と同様に、送信時刻の情報を格納するOriginTimestamp531の領域を有する。さらに、Announceメッセージ503は、マスタ装置101の情報(同期状態を示す情報)を格納するAnnounce data532の領域を有する。ここで、本実施形態に係る時刻同期システム100では、時刻品質情報や装置情報がAnnounce data532の領域に格納される。
図3(c)は、本実施形態で用いるAnnounceメッセージ503’の一例を示す。なお、図3(b)のAnnounceメッセージ503と同符号の領域は、図3(b)と同一又は同様の領域である。Announceメッセージ503’は、Body521’のAnnounce data532’の領域に時刻品質情報541と装置情報542とを格納する。時刻品質情報541は、先に説明したように、詳細な時刻の品質を示す情報を有する。装置情報542は、マスタ装置101の識別情報を有し、例えばマスタ装置101のシリアル番号やMAC(Media Access Control)アドレスなど、マスタ装置101を特定するための情報が格納される。スレーブ装置102は、Announceメッセージ503’の装置情報542を参照することで、受信するAnnounceメッセージ503’がどのマスタ装置101から送信されたメッセージであるかを判別することができる。例えば図1において、マスタ装置101_1の装置情報542がID:001、マスタ装置101_2の装置情報542がID:002、であるとする。この場合、スレーブ装置102は、受信するAnnounceメッセージ503’の装置情報542がID:001の場合、マスタ装置101_1が送信したAnnounceメッセージ503’であると判別できる。同様に、スレーブ装置102は、受信するAnnounceメッセージ503’の装置情報542がID:002の場合、マスタ装置101_2が送信したAnnounceメッセージ503’であると判別できる。
図4は、本実施形態に係るマスタ装置101の一例を示す。図4において、マスタ装置101は、タイマA201、タイマB202、マスタクロック203、マスタ制御部204、時刻同期メッセージ生成部205、回線品質メッセージ生成部206、送信処理部207、受信処理部208およびメモリ209とを有する。
タイマA201は、時刻同期メッセージを送信するために予め設定された周期で起動され、マスタ制御部204に時刻同期メッセージを送信するタイミングを通知する。
タイマB202は、回線品質メッセージを送信するためにタイマA201とは異なる予め設定された周期で起動され、マスタ制御部204に回線品質メッセージを送信するタイミングを通知する。
マスタクロック203は、時刻同期システム100の中でスレーブ装置102のクロックよりも精度の高い基準クロックを出力する。
マスタ制御部204は、タイマA201またはタイマB202により周期的に起動される。例えばマスタ制御部204は、タイマA201により起動された場合に、マスタクロック203より取得した時刻情報を時刻同期メッセージ生成部205へ通知する。或いは、マスタ制御部204は、メッセージの生成を時刻同期メッセージ生成部205に指示するときにマスタクロック203の時刻を参照し、送信時刻の予測値を算出したり、送信時刻の実測値などを取得する。また、マスタ制御部204は、タイマB202により起動された場合に、マスタ装置101の時刻品質情報を回線品質メッセージ生成部206へ通知する。或いは、マスタ制御部204は、スレーブ装置102からメッセージを受信したときにマスタクロック203の時刻を参照し、受信時刻を取得する。
ここで、マスタ制御部204は、オフセット算出部251と、時刻品質情報算出部252とを有する。オフセット算出部251は、スレーブ装置102との間で送受信する時刻同期メッセージに基づいて、マスタ装置101とスレーブ装置102との間の伝送遅延時間Tdを求める。さらに、オフセット算出部251は、伝送遅延時間Tdを用いて、マスタ装置101のマスタクロック203と、スレーブ装置102のマスタクロック304との時刻のズレTzを算出する。また、時刻品質情報算出部252は、オフセット算出部251が算出した伝送遅延時間Tdまたは時刻のズレTzをオフセット値としてメモリ209に蓄積して統計的処理を施す。そして、マスタ装置101は、統計的処理の結果を時刻品質情報541とする。なお、伝送遅延時間Tdまたは時刻のズレTzの求め方については後述する。
時刻同期メッセージ生成部205は、Syncメッセージ、Follow_Upメッセージを生成して、送信処理部207からスレーブ装置102へ各メッセージを送信する。或いは、時刻同期メッセージ生成部205は、スレーブ装置102から受信するDelay_Reqメッセージに対する応答メッセージ(Delay_Respメッセージ)を生成する。
回線品質メッセージ生成部206は、Announceメッセージを生成して、送信処理部207へAnnounceメッセージの送信を依頼する。本実施形態では、マスタ制御部204の時刻品質情報算出部252が算出した時刻品質情報541をAnnounceメッセージに格納する。なお、回線品質メッセージ生成部206は、メッセージ生成部の一例である。
送信処理部207は、時刻同期メッセージ生成部205や回線品質メッセージ生成部206が生成したメッセージをスレーブ装置102に送信する。送信処理部207は、例えば時刻同期メッセージ生成部205が生成したSyncメッセージ、Follow_UpメッセージおよびDelay_Respメッセージをスレーブ装置102に送信する。或いは、送信処理部207は、回線品質メッセージ生成部206が生成したAnnounceメッセージをスレーブ装置102に送信する。
受信処理部208は、スレーブ装置102が送信するメッセージを受信してマスタ制御部204に出力する。受信処理部208は、例えばスレーブ装置102からDelay_Reqメッセージを受信する。Delay_Reqメッセージは、Syncメッセージの受信時刻の情報やDelay_Reqメッセージの送信時刻の情報を含む。
メモリ209は、マスタ装置101の動作に必要なパラメータなどを記憶する。本実施形態では、メモリ209は、オフセット算出部251が算出したオフセット値を蓄積する。
このように、本実施形態に係るマスタ装置101は、時刻品質情報541を算出して装置情報542と共にスレーブ装置102に送信する。
図5は、本実施形態に係るスレーブ装置102の一例を示す。図5において、スレーブ装置102は、受信処理部301、送信処理部302、スレーブ制御部303およびマスタクロック304とを有する。
受信処理部301は、マスタ装置101_1およびマスタ装置101_2がそれぞれ送信するメッセージを受信してスレーブ制御部303に出力する。受信処理部301は、例えばSyncメッセージ、Follow_Upメッセージ、Delay_RespメッセージおよびAnnounceメッセージをマスタ装置101から受信する。
送信処理部302は、スレーブ制御部303が生成したメッセージ(例えばDelay_Reqメッセージ)をマスタ装置101に送信する。
スレーブ制御部303は、スレーブ装置102全体の動作を制御する。例えば、スレーブ制御部303は、送信処理部302および受信処理部301を介して、マスタ装置101との間で時刻同期メッセージや回線品質メッセージを送受信する。スレーブ装置102は、マスタ装置101との間で送受信する時刻同期メッセージに基づいて、マスタクロック304の時刻設定を行う。また、スレーブ制御部303は、マスタ装置101_1およびマスタ装置101_2から受信する回線品質メッセージ(Announceメッセージ)に基づいて、マスタ装置101の状態を把握する。ここで、スレーブ装置102は、Announceメッセージに含まれるマスタ装置101_1とマスタ装置101_2とのそれぞれの時刻品質情報541を比較して、時刻の品質が高い方のマスタ装置101を選択する選択部351を有する。そして、スレーブ制御部303は、選択部351が選択したマスタ装置101の時刻にマスタクロック304を同期させる。
マスタクロック304は、マスタ装置101の時刻に同期したクロックを出力し、外部に接続される通信装置などに供給する。
このように、本実施形態に係るスレーブ装置102は、マスタ装置101_1またはマスタ装置101_2のうち、時刻の品質が高い方のマスタ装置101の時刻に同期したクロックを出力することができる。
図6は、本実施形態に係る時刻同期システム100の処理例を示す。なお、図6では、図1に示したマスタ装置101_1とスレーブ装置102との間で送受信されるメッセージを中心に説明するが、マスタ装置101_2についてもマスタ装置101_1と同様の処理を実行する。
図6において、マスタ装置101_1は、SyncメッセージとAnnounceメッセージとを異なる周期で別々に送受信する。例えば、Syncメッセージは、図4に示すタイマA201の周期で送信され、Announceメッセージは、図4に示すタイマB202の周期で送信される。
ステップS101において、マスタ装置101_1は、時刻t1にSyncメッセージをスレーブ装置102に送信する。ここで、マスタ装置101_1は、Syncメッセージの送信時刻t1の情報をタイムスタンプとしてSyncメッセージに付加してスレーブ装置102に送信する。なお、タイムスタンプの情報は、Syncメッセージの送信前にSyncメッセージに付加されるので、実測値t1を付加することは難しい。このため、Syncメッセージの生成から送信までの処理時間を予測した送信時刻の予測値t1'がSyncメッセージに付加される。一方、スレーブ装置102は、Syncメッセージの受信時刻t2を実測し、受信時刻t2を保持する。
ステップS102において、マスタ装置101_1は、Syncメッセージの送信時刻t1の実測値を含むFollow_Upメッセージを生成してスレーブ装置102に送信する。そして、スレーブ装置102は、Syncメッセージの実際の送信時刻t1を取得する。
ステップS103において、スレーブ装置102は、時刻t3にDelay_Reqメッセージをマスタ装置101_1に送信する。ここで、スレーブ装置102は、Delay_Reqメッセージの送信時刻t3を保持する。そして、マスタ装置101_1は、Delay_Reqメッセージを受信した時刻t4を実測する。ここで、スレーブ装置102は、Syncメッセージと同様に、Delay_Reqメッセージの送信時刻t3の予測値t3'の情報をタイムスタンプとしてDelay_Reqメッセージに付加する。さらに、スレーブ装置102は、Delay_ReqメッセージにSyncメッセージの受信時刻の実測値t2の情報を付加してマスタ装置101_1に送信する。これにより、マスタ装置101_1は、Syncメッセージの受信時刻の実測値t2と、Delay_Reqメッセージの送信時刻の予測値t3'とを取得する。なお、IEEE1588の規格では、Delay_Reqメッセージはt3の予測値t3'をタイムスタンプとして格納することが定められているが、Syncメッセージの受信時刻t2の情報をDelay_Reqメッセージに格納することは定められていない。本実施形態では、マスタ装置101_1がSyncメッセージの伝送遅延時間を求めるために、Delay_ReqメッセージによりSyncメッセージの受信時刻t2の情報を送信する。
ステップS104において、マスタ装置101_1は、Delay_Reqメッセージの受信時刻t4の実測値を含むDelay_Respメッセージを生成してスレーブ装置102に送信する。そして、スレーブ装置102は、Delay_Reqメッセージの受信時刻の実測値t4を取得する。
このようにして、スレーブ装置102は、Syncメッセージの送信時刻の実測値t1、Syncメッセージの受信時刻の実測値t2、Delay_Reqメッセージの送信時刻の実測値t3、Delay_Reqメッセージの受信時刻の実測値t4を取得できる。一方、マスタ装置101は、Syncメッセージの送信時刻の実測値t1、Syncメッセージの受信時刻の実測値t2、Delay_Reqメッセージの送信時刻の予測値t3'、Delay_Reqメッセージの受信時刻の実測値t4を取得できる。
次に、マスタ装置101は、取得した時刻情報を用いて、マスタ装置101とスレーブ装置102との間のオフセット値を算出する。
ステップS105において、マスタ装置101_1は、ステップS101からステップS104までの処理で取得した時刻情報に基づいて、オフセット値を求める。ここで、本実施形態では、伝送遅延時間Tdをオフセット値として説明するが、マスタ装置101のマスタクロック203とスレーブ装置102のマスタクロック304との時刻のズレTzをオフセット値としてもよい。そして、マスタ装置101_1は、算出したオフセット値をメモリ209に蓄積する。なお、オフセット値の求め方については後述する。
ステップS106において、マスタ装置101_1は、ステップS101からステップS105までの処理を実行する毎に算出され、メモリ209に蓄積されたオフセット値を統計処理する。本実施形態におけるマスタ装置101は、例えば、予め決められた期間におけるオフセット値の最小値と最大値との差分を最大位相差TPmとして求める統計処理を行う。或いは、マスタ装置101は、予め決められた期間におけるオフセット値の最大値を求める統計処理を行ってもよい。また、マスタ装置101は、予め決められた期間におけるオフセット値の平均値を求める統計処理を行ってもよい。
ステップS107において、マスタ装置101_1は、ステップS106で求めた統計処理の結果をスレーブ装置102に送信する。
以上説明したように、マスタ装置101_1は、スレーブ装置102との間で、ステップS101からステップS107までの処理を実行する。一方、マスタ装置101_2についても、マスタ装置101_1のステップS101からステップS105までと同様の処理を実行してオフセット値を求め、メモリ209に蓄積する。
ステップS106aにおいて、マスタ装置101_2は、マスタ装置101_1と同様に、マスタ装置101_2のメモリ209に蓄積されたオフセット値を統計処理する。
ステップS107aにおいて、マスタ装置101_2は、ステップS106で求めた統計処理の結果をAnnounceメッセージに格納してスレーブ装置102に送信する。
ステップS108において、スレーブ装置102は、マスタ装置101_1から送信される統計処理結果と、マスタ装置101_2から送信される統計処理結果とを比較して、時刻の品質が高い方のマスタ装置101を選択する。
ステップS109において、スレーブ装置102は、マスタクロック304の時刻をステップS108で選択したマスタ装置101の時刻に同期させる処理を行う。
このようにして、本実施形態に係るマスタ装置101は、Announceメッセージにより時刻品質情報541をスレーブ装置102に送信して、時刻の品質が高い方のマスタ装置101を選択する。そして、スレーブ装置102は、時刻の品質が高い方のマスタ装置101の時刻に同期させるので、時刻の精度を向上することができる。
[マスタ装置101におけるオフセット値の算出例]
次に、マスタ装置101におけるオフセット値の算出例について説明する。マスタ装置101のオフセット算出部251は、マスタ装置101とスレーブ装置102との間で送受信される時刻同期メッセージの送信時刻と受信時刻とに基づいて、マスタ装置101とスレーブ装置102との間の伝送遅延時間Tdを算出する。
[マスタ装置101におけるオフセット値の算出例]
次に、マスタ装置101におけるオフセット値の算出例について説明する。マスタ装置101のオフセット算出部251は、マスタ装置101とスレーブ装置102との間で送受信される時刻同期メッセージの送信時刻と受信時刻とに基づいて、マスタ装置101とスレーブ装置102との間の伝送遅延時間Tdを算出する。
ここで、マスタ装置101とスレーブ装置102との間には時刻のズレTzがあるので、時刻のズレTzを除去した伝送遅延時間Tdを求めるために、先ず、マスタ装置101からスレーブ装置102へメッセージを送信する場合の伝送遅延時間Td1を求める。伝送遅延時間Td1は、例えばSyncメッセージの場合、マスタ装置101の送信時刻t1とスレーブ装置102の受信時刻t2との差分に相当し、(式1)により求めることができる。
伝送遅延時間Td1 = 受信時刻t2 − 送信時刻t1 …(式1)
なお、送信時刻t1は、マスタ装置101のマスタクロック203で計測され、受信時刻t2は、スレーブ装置102のマスタクロック304で計測されるので、伝送遅延時間Td1は、マスタクロック203とマスタクロック304との時刻のズレTzを含む。そこで、オフセット算出部251は、例えばSyncメッセージと逆方向のスレーブ装置102からマスタ装置101へ送信されるDelay_Reqメッセージにより伝送遅延時間Td2を求める。伝送遅延時間Td2は、例えばDelay_Reqメッセージの場合、スレーブ装置102の送信時刻t3'とマスタ装置101の受信時刻t4との差分に相当し、(式2)により求めることができる。
伝送遅延時間Td2 = 受信時刻t4 − 送信時刻t3' …(式2)
なお、送信時刻t3'は、スレーブ装置102のマスタクロック304を基準にしてDelay_Reqメッセージの送信時刻を予測した予測値である。一方、受信時刻t4は、マスタ装置101のマスタクロック203を基準にして計測される実測値であるので、伝送遅延時間Td2は、マスタクロック203とマスタクロック304との時刻のズレTzを含む。
伝送遅延時間Td1 = 受信時刻t2 − 送信時刻t1 …(式1)
なお、送信時刻t1は、マスタ装置101のマスタクロック203で計測され、受信時刻t2は、スレーブ装置102のマスタクロック304で計測されるので、伝送遅延時間Td1は、マスタクロック203とマスタクロック304との時刻のズレTzを含む。そこで、オフセット算出部251は、例えばSyncメッセージと逆方向のスレーブ装置102からマスタ装置101へ送信されるDelay_Reqメッセージにより伝送遅延時間Td2を求める。伝送遅延時間Td2は、例えばDelay_Reqメッセージの場合、スレーブ装置102の送信時刻t3'とマスタ装置101の受信時刻t4との差分に相当し、(式2)により求めることができる。
伝送遅延時間Td2 = 受信時刻t4 − 送信時刻t3' …(式2)
なお、送信時刻t3'は、スレーブ装置102のマスタクロック304を基準にしてDelay_Reqメッセージの送信時刻を予測した予測値である。一方、受信時刻t4は、マスタ装置101のマスタクロック203を基準にして計測される実測値であるので、伝送遅延時間Td2は、マスタクロック203とマスタクロック304との時刻のズレTzを含む。
ここで、伝送遅延時間Td1に含まれる時刻のズレTzと、伝送遅延時間Td2に含まれる時刻のズレTzとは、負号が逆である。従って、時刻のズレTzにばらつきが無い場合、伝送遅延時間Td1と伝送遅延時間Td2との平均値を求めることにより、マスタクロック203とマスタクロック304との時刻のズレTzが相殺された伝送遅延時間Tdを求めることができる。
伝送遅延時間Td = (伝送遅延時間Td1 + 伝送遅延時間Td2) / 2 …(式3)
このようにして、マスタ装置101は、伝送遅延時間Tdをオフセット値として求めることができる。なお、本実施形態では、オフセット値として伝送遅延時間Tdを用いる例を説明したが、マスタクロック203とマスタクロック304との間の時刻のズレTzをオフセット値として求めてもよい。
[スレーブ装置102における時刻調整例]
次に、ステップS109において、スレーブ装置102がマスタクロック304の時刻をステップS108で選択したマスタ装置101の時刻に同期させる処理について詳しく説明する。スレーブ装置102は、ステップS104までの処理により、Syncメッセージの送信時刻の実測値t1および受信時刻の実測値t2と、Delay_Reqメッセージの送信時刻の実測値t3および受信時刻の実測値t4とを取得している。従って、スレーブ装置102は、マスタ装置101で説明した(式1)と同様に、Syncメッセージの伝送遅延時間Td1を求めることができる。また、スレーブ装置102は、マスタ装置101で説明した(式2)と同様に、Delay_Reqメッセージの伝送遅延時間Td2を求めることができる。但し、スレーブ装置102は、Delay_Reqメッセージの送信時刻の実測値t3を取得できるので、マスタ装置101の(式2)において、予測値t3'の代わりに実測値t3を用いて、伝送遅延時間Td2を算出する。ここで、伝送遅延時間Td1および伝送遅延時間Td2は、マスタクロック203とマスタクロック304との時刻のズレTzを含むので、マスタ装置101の(式3)により、時刻のズレTzが相殺された伝送遅延時間Tdを求めることができる。
伝送遅延時間Td = (伝送遅延時間Td1 + 伝送遅延時間Td2) / 2 …(式3)
このようにして、マスタ装置101は、伝送遅延時間Tdをオフセット値として求めることができる。なお、本実施形態では、オフセット値として伝送遅延時間Tdを用いる例を説明したが、マスタクロック203とマスタクロック304との間の時刻のズレTzをオフセット値として求めてもよい。
[スレーブ装置102における時刻調整例]
次に、ステップS109において、スレーブ装置102がマスタクロック304の時刻をステップS108で選択したマスタ装置101の時刻に同期させる処理について詳しく説明する。スレーブ装置102は、ステップS104までの処理により、Syncメッセージの送信時刻の実測値t1および受信時刻の実測値t2と、Delay_Reqメッセージの送信時刻の実測値t3および受信時刻の実測値t4とを取得している。従って、スレーブ装置102は、マスタ装置101で説明した(式1)と同様に、Syncメッセージの伝送遅延時間Td1を求めることができる。また、スレーブ装置102は、マスタ装置101で説明した(式2)と同様に、Delay_Reqメッセージの伝送遅延時間Td2を求めることができる。但し、スレーブ装置102は、Delay_Reqメッセージの送信時刻の実測値t3を取得できるので、マスタ装置101の(式2)において、予測値t3'の代わりに実測値t3を用いて、伝送遅延時間Td2を算出する。ここで、伝送遅延時間Td1および伝送遅延時間Td2は、マスタクロック203とマスタクロック304との時刻のズレTzを含むので、マスタ装置101の(式3)により、時刻のズレTzが相殺された伝送遅延時間Tdを求めることができる。
ここで、マスタクロック203とマスタクロック304との間の時刻のズレTzの算出例について説明する。時刻のズレTzは、例えばSyncメッセージを利用する場合、Syncメッセージの送信時刻t1と受信時刻t2と伝送遅延時間Tdとを用いて求めることができる。マスタクロック203とマスタクロック304との時刻のズレTzが零の場合、(式4)の関係が成立する。
受信時刻t2 = 送信時刻t1 + 伝送遅延時間Td …(式4)
しかし、マスタクロック203とマスタクロック304との時刻のズレTzが零ではない場合、Syncメッセージの送信時刻t1に伝送遅延時間Tdを加算して求めた受信時刻t2aは、実測値の受信時刻t2と一致しない。例えば、マスタクロック203とマスタクロック304との時刻のズレTzが0秒で伝送遅延時間Tdが2秒の場合、送信時刻t1と受信時刻t2との時間差は2秒である。ところが、マスタクロック203がマスタクロック304よりも1秒進んでいる場合、且つ伝送遅延時間Tdが2秒の場合、Syncメッセージの送信時刻t1と受信時刻t2との時間差は3秒となる。逆に、マスタクロック203がマスタクロック304よりも1秒遅れている場合、且つ伝送遅延時間Tdが2秒の場合、Syncメッセージの送信時刻t1と受信時刻t2との時間差は1秒となる。
受信時刻t2 = 送信時刻t1 + 伝送遅延時間Td …(式4)
しかし、マスタクロック203とマスタクロック304との時刻のズレTzが零ではない場合、Syncメッセージの送信時刻t1に伝送遅延時間Tdを加算して求めた受信時刻t2aは、実測値の受信時刻t2と一致しない。例えば、マスタクロック203とマスタクロック304との時刻のズレTzが0秒で伝送遅延時間Tdが2秒の場合、送信時刻t1と受信時刻t2との時間差は2秒である。ところが、マスタクロック203がマスタクロック304よりも1秒進んでいる場合、且つ伝送遅延時間Tdが2秒の場合、Syncメッセージの送信時刻t1と受信時刻t2との時間差は3秒となる。逆に、マスタクロック203がマスタクロック304よりも1秒遅れている場合、且つ伝送遅延時間Tdが2秒の場合、Syncメッセージの送信時刻t1と受信時刻t2との時間差は1秒となる。
つまり、マスタクロック203とマスタクロック304との時刻のズレTzは、例えば(式5)により求めることができる。なお、(式5)では、受信時刻により時刻のズレTzを算出する例を示したが、送信時刻を用いてもよい。
時刻のズレTz = 受信時刻t2 − 受信時刻t2a …(式5)
ここで、時刻のズレTzが負の場合は、マスタクロック203よりもマスタクロック304の方が進んでおり、時刻のズレTzが正の場合は、マスタクロック203よりもマスタクロック304の方が遅れている。
時刻のズレTz = 受信時刻t2 − 受信時刻t2a …(式5)
ここで、時刻のズレTzが負の場合は、マスタクロック203よりもマスタクロック304の方が進んでおり、時刻のズレTzが正の場合は、マスタクロック203よりもマスタクロック304の方が遅れている。
このようにして、スレーブ装置102は、ステップS108で選択したマスタ装置101に対する時刻のズレTzを求めることができる。そして、スレーブ装置102は、時刻のズレTzだけ自装置のマスタクロック304の時刻を調整する。
このようにして、本実施形態に係る時刻同期システム100では、Announceメッセージにより時刻品質情報541をマスタ装置101がスレーブ装置102に送信する。そして、スレーブ装置102は、時刻の品質が高い方のマスタ装置101を選択し、当該マスタ装置101の時刻にスレーブ装置102の時刻を同期させることができる。
[オフセット値の統計処理の一例]
図7は、オフセット値の統計処理の一例を示す。図7において、横軸は時間tを示し、縦軸はオフセット値を示す。図7(a)は、時刻T1から時刻T13までの各時刻におけるオフセット値を黒丸印で示してある。例えば時刻T1から時刻T13までの間で算出されるオフセット値の最小値は、時刻T6のオフセット値である。同様に、時刻T1から時刻T13までの間で算出されるオフセット値の最大値は、時刻T10のオフセット値である。そして、最小のオフセット値と最大のオフセット値との差分を最大位相差TPmとして定義する。図7(a)の例では、オフセット値の最小値は時刻T6のオフセット値Of6であり、オフセット値の最大値は時刻T10のオフセット値Of10である。この場合の最大位相差TPmは(Of10−Of6)により算出される。ここで、最大位相差TPmは、例えば0から500nsec程度であり、オフセット値を演算する周期は、例えば62.5msec程度である。
[オフセット値の統計処理の一例]
図7は、オフセット値の統計処理の一例を示す。図7において、横軸は時間tを示し、縦軸はオフセット値を示す。図7(a)は、時刻T1から時刻T13までの各時刻におけるオフセット値を黒丸印で示してある。例えば時刻T1から時刻T13までの間で算出されるオフセット値の最小値は、時刻T6のオフセット値である。同様に、時刻T1から時刻T13までの間で算出されるオフセット値の最大値は、時刻T10のオフセット値である。そして、最小のオフセット値と最大のオフセット値との差分を最大位相差TPmとして定義する。図7(a)の例では、オフセット値の最小値は時刻T6のオフセット値Of6であり、オフセット値の最大値は時刻T10のオフセット値Of10である。この場合の最大位相差TPmは(Of10−Of6)により算出される。ここで、最大位相差TPmは、例えば0から500nsec程度であり、オフセット値を演算する周期は、例えば62.5msec程度である。
図7(b)は、図7(a)と同様に、時刻T1から時刻T13までの各時刻におけるオフセット値を黒丸印で示してある。図7(a)の例では、例えば時刻T1から時刻T13までの間で算出されるオフセット値の最小値および最大値を求めたが、図7(b)は、予め設定された期間においてオフセット値の最小値および最大値を求める例を示している。例えば図7(b)において、時刻T1から時刻T7までの期間のオフセット値の最小値および最大値を求め、最大位相差TP1を算出する。時刻T1から時刻T7までの期間において、時刻T6のオフセット値Of6が最小値で、時刻T7のオフセット値Of7が最大値であり、最大位相差TP1は(Of7-Of6)により算出できる。同様に、次の時刻T2から時刻T8までの期間において、時刻T6のオフセット値Of6が最小値で、時刻T7のオフセット値Of7が最大値であり、最大位相差TP2は、(Of7-Of6)により算出できる。このようにして、マスタ装置101は、オフセット値が求まる毎に、時刻をシフトしながら、各時刻における最大位相差を算出して、スレーブ装置102に通知することができる。これにより、図6で説明したように、スレーブ装置102は、複数のマスタ装置101から受信するAnnounceメッセージにより通知される最大位相差を比較して、最大位相差が最小のマスタ装置101を選択することができる。このようにして、本実施形態に係る時刻同期システム100は、Announceメッセージにより、時刻品質情報541を送信しない場合に比べて、精度の高い時刻同期を図ることができる。
ここで、上記の説明では、オフセット値の最小値および最大値から求めた最大位相差を時刻品質情報541としたが、時刻品質情報541は、予め設定された期間におけるオフセット値の最大値であってもよい。或いは、時刻品質情報541は、予め設定された期間におけるオフセット値の平均値であってもよい。さらに、時刻品質情報541は、予め設定された閾値以上のオフセット値の頻度であってもよい。また、時刻品質情報541は、最大位相差、最大値、平均値および頻度などの複数の情報の組み合わせであってもよい。いずれの場合であっても、スレーブ装置102は、マスタ装置101から送信される時刻品質情報541を比較して、時刻の品質が良い方のマスタ装置101を選択し、選択したマスタ装置101のマスタクロック203に自装置のマスタクロック304を同期させる。
このようにして、本実施形態に係る時刻同期システム100は、複数のマスタ装置101から送信される回線品質メッセージに時刻品質情報541を格納してスレーブ装置102に送信する。そして、スレーブ装置102は、複数のマスタ装置101から受信する複数の時刻品質情報541のうち、時刻の品質が最も高いマスタ装置101を選択することにより、時刻同期の精度を向上することができる。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。
100・・・時刻同期システム;101・・・マスタ装置;102・・・スレーブ装置;201・・・タイマA;202・・・タイマB;203・・・マスタクロック;204・・・マスタ制御部;205・・・時刻同期メッセージ生成部;206・・・回線品質メッセージ生成部;207・・・送信処理部;208・・・受信処理部;251・・・オフセット算出部;252・・・時刻品質情報算出部;301・・・受信処理部;302・・・送信処理部;303・・・スレーブ制御部;304・・・マスタクロック;351・・・選択部
Claims (6)
- 基準クロックを有する複数のマスタ装置と、複数の前記マスタ装置のいずれかの前記基準クロックに自装置のクロックを同期させるスレーブ装置とを有する時刻同期システムにおいて、
前記マスタ装置は、
時刻同期を図るために前記スレーブ装置との間で送受信される時刻同期メッセージに基づいて、時刻の品質を示す情報を含む回線品質メッセージを生成するメッセージ生成部と、
前記スレーブ装置に前記回線品質メッセージを送信する通信部と、を有し、
前記スレーブ装置は、
複数の前記マスタ装置からそれぞれ受信した複数の前記回線品質メッセージに含まれる前記時刻の品質を示す情報を比較して、複数の前記マスタ装置のうちから前記時刻の品質の高いマスタ装置を選択する選択部と、
前記選択部が選択した当該マスタ装置の前記基準クロックに自装置の前記クロックを同期させる制御部と、を有する
ことを特徴とする時刻同期システム。 - 請求項1に記載の時刻同期システムにおいて、
前記マスタ装置は、
前記スレーブ装置との間で送受信される前記時刻同期メッセージの送受信時刻に基づいて求めたオフセット値を蓄積し、蓄積された前記オフセット値を統計処理して前記時刻の品質を示す情報を生成する制御部をさらに有する
ことを特徴とする時刻同期システム。 - 基準クロックを有するマスタ装置において、
前記基準クロックと時刻同期を図るスレーブ装置との間で送受信される時刻同期メッセージに基づいて、時刻の品質を示す情報を含む回線品質メッセージを生成するメッセージ生成部と、
前記スレーブ装置との間で前記時刻同期メッセージを送受信するとともに、前記スレーブ装置に前記回線品質メッセージを送信する通信部と、
前記スレーブ装置との間で送受信される前記時刻同期メッセージの送受信時刻に基づいて求めたオフセット値を蓄積し、蓄積された前記オフセット値を統計処理して前記時刻の品質を示す情報を生成する制御部と
を有することを特徴とするマスタ装置。 - 複数のマスタ装置のいずれかの基準クロックと時刻同期を図るスレーブ装置において、
複数の前記マスタ装置との間で時刻同期メッセージを送受信するとともに、複数の前記マスタ装置から回線品質メッセージを受信する通信部と、
複数の前記マスタ装置からそれぞれ受信した複数の前記回線品質メッセージに含まれる時刻の品質を示す情報を比較し、複数の前記マスタ装置のうちから前記時刻の品質の高いマスタ装置を選択する選択部と、
前記選択部が選択したマスタ装置との間で送受信される時刻同期メッセージに基づいて当該マスタ装置の前記基準クロックに自装置のクロックを同期させる制御部と
を有することを特徴とするスレーブ装置。 - 基準クロックを有する複数のマスタ装置と、複数の前記マスタ装置のいずれかの前記基準クロックに自装置のクロックを同期させるスレーブ装置とを有する時刻同期システムにおける時刻同期方法であって、
前記マスタ装置は、時刻同期を図るために前記スレーブ装置との間で送受信される時刻同期メッセージに基づいて、時刻の品質を示す情報を含む回線品質メッセージを生成して前記スレーブ装置に送信し、
前記スレーブ装置は、複数の前記マスタ装置からそれぞれ受信した複数の前記回線品質メッセージに含まれる前記時刻の品質を示す情報を比較して、複数の前記マスタ装置のうちから前記時刻の品質の高いマスタ装置を選択し、選択した当該マスタ装置の前記基準クロックに自装置の前記クロックを同期させる
ことを特徴とする時刻同期方法。 - 請求項5に記載の時刻同期方法において、
前記マスタ装置は、前記スレーブ装置との間で送受信される前記時刻同期メッセージの送受信時刻に基づいて求めたオフセット値を蓄積し、蓄積された前記オフセット値を統計処理して前記時刻の品質を示す情報を生成する
ことを特徴とする時刻同期方法。
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