JP2016138951A - レジスト剥離液とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハードベークされたレジスト膜は、ノボラック樹脂とDNQ化合物の重合が必要以上に進み、下地の金属膜に強固に固着する。そのため、Cu膜、Cu/Mo膜、Al膜上のレジスト膜を剥離できる共用レジスト剥離液では、ハードベークされたレジスト膜を剥離できない場合があった。【解決手段】環状アミンと、極性溶媒と、水と、防食剤を含み、各成分を調合後24時間以上経過させたことを特徴とするレジスト剥離液であって、特に環状アミンとしてピロリジン若しくはピロリジンの3位の位置に置換基が結合した化合物の少なくとも一方と、防食剤として還元水飴若しくは糖アルコールとポリエチレングリコールの混合液を用いたレジスト剥離液を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、液晶、有機EL等のディスプレイデバイスや半導体の製造時に用いるレジストを剥離するための剥離液であり、より詳しくはハードベークされたレジスト膜であっても、レジストを除去できさらに、アルミニウム膜および銅膜に対しても、実質的に腐食しないといえるレジスト剥離液に関する。
液晶や有機EL(Electro−Luminescence)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)では、大画面のものが求められている。一方でノートPC、タブレットPC、スマートフォン用として、小型高精細画面が求められている。大画面用としては、Cu配線若しくはCu/Mo積層配線(以後単に「Cu配線」とも呼ぶ。)を用いたTFT(Thin Film Transistor)が用いられている。また、小型高精細画面用としては、Al配線を用いたTFTが用いられている。なお、以下Cuは銅、Moはモリブデン、Alはアルミニウムとも呼ぶ。
パネル製造メーカの中には、1つの工場内で、Al配線を用いたTFTと、Cu配線を用いたTFTを生産している場合もある。Al配線を用いたTFTと、Cu配線を用いたTFTの両方を生産する場合、レジスト膜の剥離工程で、Al配線を用いる場合と、Cu配線を用いる場合とでレジスト剥離液を共用することができれば生産コストを削減できる。
水系のポジ型フォトレジスト用剥離液は、一般にアルカノールアミン、極性溶媒、水からなる組成であり、レジスト剥離装置内で40〜50℃程度に加熱されて使用される。
アルカノールアミンは求核作用によって、ポジ型フォトレジスト剥離液中のアルカリ不溶化剤であるDNQ(ジアゾナフトキノン)化合物のカルボニル基を極性溶媒および水に可溶化するために必須の成分とされている。アルカノールアミンは、窒素元素に結合している水素以外の置換基の数によって一級、二級、三級に分類される。このうち、級数が小さいほど塩基性が強く、求核性も強いことが知られている。
したがって、級数が小さなアルカノールアミンであるほど、アルカリ不溶化剤であるDNQ化合物を極性溶媒や水に可溶化する力が強く、強力なレジスト剥離性能を発揮する。
一方で、アルカノールアミンはCuに対してキレート作用があることが知られている。Cuに対するキレート作用は、Cuを可溶化するため、Cu膜を腐食することになる。Cuに対するキレート作用は、塩基性や求核性同様にアルカノールアミンの級数が小さいほど強い。したがって、級数が小さいアルカノールアミンほど、Cu膜を強く腐食する。
Al配線を用いた高精細用TFTの生産プロセスでは、半導体(アモルファスシリコン:以後「a−Si」ともいう。)のドライエッチング工程において、レジストがダメージを受けて変性し、レジストを剥離するのが困難になる場合がある。これは、ポジ型レジスト膜を構成するDNQ化合物とノボラック樹脂の重合が過剰に進むためと考えられる。
Al配線はアルカノールアミンによる腐食作用(キレート作用)を受けない。したがって、変性したレジストを剥離するため、強力な剥離性能を有する一級アルカノールアミンを使用するのが一般的である。
一方、Cu配線の場合は、一級若しくは二級のアルカノールアミンを用いると、Cu配線の腐食が許容できない程度に発生する場合が多い。したがって、三級アルカノールアミンを用いる剥離液が提案されている。三級アルカノールアミンはCuへのキレート作用が弱く、Cu膜の腐食を実用上問題のない範囲に抑えることができる。しかし、塩基性や求核性もキレート作用同様弱く、一級若しくは二級のアルカノールアミンを用いたレジスト剥離液と比較し、レジスト剥離力が弱いという欠点があった。
このような技術背景の下で、一級アルカノールアミンを用いたAl配線用レジスト剥離液と同等以上の剥離性能を有し、Cu配線、Al配線の両方に用いることができるレジスト剥離液組成物が求められている。
また特許文献1には、(1)式で示される化合物および溶剤を含むレジスト剥離液が開示されている。このレジスト剥離液もCu配線およびAl配線のレジスト剥離工程で共用できるとされている。
特許第5279921号公報
レジスト膜は、露光され、現像された後に、エッチング工程を経て、配線等を形成する場合に用いられる。ここでエッチング工程の前にはポストベークという工程を通過する。これはエッチングが行われる前に、レジスト膜をより硬くすることを目的に行われる。このポストベークで、レジスト膜を構成するノボラック樹脂とアルカリ不溶化剤であるDNQ化合物の重合はより進み、エッチング工程中に金属膜の表面からレジスト膜が剥離することを抑制する。
しかし、このポストベークの工程で、加熱温度が上がりすぎる(ハードベーク状態)と、レジスト膜中で生じるノボラック樹脂とDNQ化合物の重合が進みすぎ、従来のレジスト剥離液で剥離できなくなる場合が発生する。
この点、特許文献1はハードベークに対する検討がされており、160℃で5分というハードベークの条件でも、レジストが剥離できるとされている。したがって、ハードベークという製造中に起こり得る不測の事態に対しても特許文献1の剥離液は、レジストを剥離できるとされている。
しかしながら、(1)式の化合物は、試薬としても、工業原料としても、市販されていない特殊な化合物であるという課題があった。
本発明は上記の課題に鑑みて想到されたものであり、仮に製造工程上でハードベークという問題が発生したとしても、製造ラインを止めることなく、エッチング後のレジスト膜を剥離することができるCu配線およびAl配線での剥離工程で共用することのできるレジスト剥離液を提供するものである。
より具体的に本発明に係るレジスト剥離液は、
環状アミンと、極性溶媒と、水と、防食剤を含み、各成分を調合後24時間以上経過させたことを特徴とする。
本発明に係るレジスト剥離液は、Cu配線(Cu/Mo積層配線を含む)およびAl配線でのレジスト剥離工程で共用することができる。また、仮にレジスト膜にハードベークが施されたとしても、レジスト膜を剥離することができる。また、本発明に係るレジスト剥離液は、この様にハードベークされたレジスト膜を剥離できる一方、Cu膜、Cu膜の下地として配されるMo膜、またAl膜に対してもダメージを与えることがない。
したがって、アルミニウム膜上のレジスト膜であっても、銅膜上のレジスト膜であっても、1種類のレジスト剥離液で剥離することができる。つまり、レジスト膜の剥離工程ラインを複数種類用意する必要がなく、またレジスト剥離液も1種類の管理でよい。また、アッシングと言った工程も不要になる。その結果、工場での生産性およびコスト低減に高く寄与することができる。
Cu/Mo積層膜のテーパー角およびMoアンダーカットを説明する図である。
以下本発明に係るレジスト剥離液について説明する。なお、以下の説明は本発明に係るフォトレジスト剥離液の一実施形態を示すものであり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、以下の実施形態および実施例は改変されてもよい。
本発明に係るレジスト剥離液が剥離するレジスト膜は、ポジ型レジストを想定している。ポジ型レジストには、樹脂としてノボラック系の樹脂が含まれ、感光剤としてジアゾナフトキノン(DNQ)化合物が使用される。エッチングを行う場合、基板上にレジスト膜を形成し、パターンを介して露光を行う。
この露光によってDNQ化合物がインデンケテンに変わる。インデンケテンは水と会合すると、インデンカルボン酸に変わり、水に溶解する。ノボラック系の樹脂は、もともとアルカリ溶液に溶解する性質を有するが、DNQ化合物によって溶解点をプロテクトされている。DNQ化合物が露光によって変質し、水を含む現像液に溶けだすことで、ノボラック樹脂も溶け出す。このようにしてレジスト膜のパターニングが完成する。
レジスト膜によってパターンニングが完成した基板は、ポストベークを経てウエットエッチング若しくは、ドライエッチング処理が施される。ポストベークはレジスト膜中のノボラック樹脂とDNQ化合物の重合をある程度進めるために行われる。通常140℃で5分程度の加熱処理である。本明細書でハードベークとは、150℃で5分以上の加熱条件を言う。ノボラック樹脂とDNQ化合物は、ベーク温度が上昇すると、急速に重合が進み下地の金属膜に強固に固着し、溶解しにくくなる。本発明に係るレジスト剥離液は、このようなハードベークを経たレジスト膜をも対象とする。
本発明に係るレジスト剥離液は、環状アミンと、極性溶媒と、水と、添加剤を含む。また、添加剤は防食剤を含む。
環状アミンとしては五員環状アミンが望ましく、特にピロリジン若しくはピロリジンの3位の位置に置換基が結合したものが望ましい。例えば、3メチルピロリジン、(S)−3−エチルピロリジン、3−アミノピロリジン、3−アセトアミドピロリジン、3−(N−アセチル−N−エチルアミノ)ピロリジン、3−(N−アセチル−N−メチルアミノ)ピロリジン、(R)−3−ヒドロキシピロリジン、3−(エチルアミノ)ピロリジンは好適に用いられる。これらの環状アミンは、ハードベークされたレジスト膜の剥離に効果がある。また、ピロリジンは医農薬中間体、ガムなどの香料として一般に流通しており、入手が容易な化合物である。したがって、剥離液自体のコストを低下させることができる。
環状アミンの添加量は、後述する防食剤の種類で変わることがわかっている。防食剤として還元水飴を使った場合は、レジスト剥離液全量に対して、0.2質量%より多く、1.0質量%未満が好適な範囲である。より望ましくは0.5質量%以上、0.8質量%以下である。
また、糖アルコール単体とポリエチレングリコールの混合液を用いた場合は、レジスト剥離液全量に対して、環状アミンは0.2質量%より多く、0.8質量%未満が好適な範囲である。より望ましくは0.3質量%以上、0.7質量%以下である。環状アミンの量が多すぎると、銅膜およびモリブデン膜が腐食され、少なすぎるとハードベークを受けたレジスト膜が剥離できない。
なお、本明細書では、「0.3質量%以上、0.7質量%以下」との表記を「0.3質量%〜0.7質量%」若しくは「0.3〜0.7質量%」とも記載する場合がある。
極性溶媒としては、水と親和性のある有機溶媒であればよい。また上記の環状アミンとの混合性が良好であればより好適である。
このような水溶性有機溶媒としては、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホン、テトラメチレンスルホン等のスルホン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシメチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン等のラクタム類;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジイソプロピル−2−イミダゾリジノン等のイミダゾリジノン類;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのジエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキルは炭素原子数1〜6の低級アルキル基)等の多価アルコール類、およびその誘導体が挙げられる。
これらの中で、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチレングリコールモノブチルエーテルの中から選ばれる少なくとも1種と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールの中から選ばれる少なくとも1種の混合液が好適に利用できる。中でも、ポジ型レジストに対しては、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG)と、プロピレングリコール(PG)との混合液を極性溶媒として利用すると、望ましい結果を得ることができる。
また、本発明に係るレジスト剥離液では、極性溶媒としてジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG)とプロピレングリコール(PG)の混合液が好適に利用できる。これらの極性溶媒は、レジスト膜を溶解し、また溶解しやすくする。特にプロピレングリコールはレジスト膜を膨潤させ、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG)は、レジスト膜を溶解する。したがって、少なくとも2液を含有する極性溶媒が効果的である。
極性溶媒はレジスト剥離液全量に対して50〜80質量%が好適である。
また、本発明に係るレジスト剥離液には、極性溶媒とは別に水を含有させる。水は、通常の純水を用いることができる。水は、レジスト剥離液全体に対して14.2質量%〜49.3質量%の割合となる。
レジスト剥離液において、環状アミンはレジスト膜を剥離するが、下地の金属薄膜をも腐食する。そこで防食剤を添加してこれを緩和する。防食剤としては、還元水飴が好適に利用できる。還元水飴とは、還元麦芽糖(マルチトール)が75%未満とソルビトールを50%未満含む糖アルコールをいうが、その他の糖アルコールを含んでいてもよい。
本発明における防食剤としての還元水飴は、単糖アルコール、二糖アルコール、三糖アルコール、四糖アルコール、五糖アルコールの混合物であり、単糖アルコールが37〜43質量%、二糖アルコールが26〜32質量%、三糖アルコールが15〜21質量%、四糖アルコールが6〜10質量%、五糖アルコールが4〜8質量%の組成のものが好ましい。
糖類は、その構造内にケトン基またはアルデヒド基の他にカルボニル基を含む。ハードベークされたレジストを剥離するには、環状アミンの強い腐食力を利用する。しかし、環状アミンは、カルボニル基とメイラード反応を起こして変性する。この環状アミンの変性によって、ハードベークされたレジスト膜を溶解できなくなる。
一方、糖類を還元するとこのカルボニル基の部分が水酸基に変わり、糖アルコールになる。糖アルコールであれば、環状アミンと同時に使用しても、環状アミンが変性を起こすことがない。糖アルコールの混合物である還元水飴も環状アミンを変性させることはない。
また、防食剤としては、糖アルコール単体とポリエチレングリコールの混合液であってもよい。単体の糖アルコールとしては、ソルビトール、キシリトール、スクロース、マンニトール、マルチトール、ラクチトール等が好適に利用できる。
これらの防食剤は、Al膜がレジスト剥離液中に溶解することを抑制し、Mo膜のアンダーカットを抑制する。
防食剤は、レジスト剥離液全量に対して0.5〜5質量%が好適である。より望ましくは0.5〜3質量%である。防食剤は、環状アミンによる金属膜の腐食防止剤としての役割がある。したがって、一定量は含有させるのが望ましい。しかし、レジスト膜の剥離に関してはあまり寄与しない。一方、糖アルコールを含んでいる防食剤の添加が過剰な場合は、レジスト剥離液を蒸留再生する際に、蒸留装置内で残留しスケーリングの原因となる。したがって、上記の範囲で含有させるのがよい。
以上のように、本発明に係るレジスト剥離液では、防食剤として少なくともソルビトールといった糖アルコールが含まれる。糖アルコールの沸点は他の極性溶媒や環状アミンと比較して高い場合が多い。
したがって、レジスト剥離液を使用後に蒸留処理をして各成分を再抽出しようとすると、糖アルコールは最後に残る。蒸留装置中で糖アルコールが固化すると、まず蒸留装置内の配管が詰まり、次にそれを起因として、さまざまな障害を蒸留装置に与える。そこで、本発明に係るレジスト剥離液は、蒸留処理を行った際に、他の極性溶媒の沸点よりも高い沸点を持つ高沸点溶媒を含んでいてもよい。
この高沸点溶媒は、極性溶媒として用いた成分よりも沸点が高い事が望ましい。また、高沸点溶媒は、糖アルコールおよびレジスト成分を溶解させることができるものが望ましい。さらに、水に容易に溶解できることが望ましい。したがって、ポリオール類の中で沸点が高いものが好適に利用できる。レジスト剥離液を蒸留再生する際に糖アルコールおよびレジスト成分は最後の残渣として残る。その際にこれらの残渣が固化するのを防止するためである。
例えば、好適に利用できる極性溶媒をプロピレングリコール(沸点188℃)と、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点230℃)とすると、沸点が230℃より高い溶媒を使用する。この場合具体的な高沸点溶媒としては、ポリオール類としては、グリセリン(沸点290℃)、ジエチレングリコール(沸点244℃)、1,5−ペンタンジオール(沸点242℃)、1,6−ヘキサンジオール(沸点250℃)、1,7−ヘプタンジオール(沸点258℃)、1,10−デカンジオール(沸点297℃)等が挙げられる。
また、ポリオール類の中のエーテル類としては、エチレングリコールモノフェニルエーテル(沸点245℃)、トリエチレングリコールモノメチル(沸点249℃)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点256℃)、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル(沸点261℃)、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(沸点264〜294℃)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(沸点275℃)、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点290〜310℃)等が挙げられる。
なお、本発明に係るレジスト剥離液は、各原料液を調合した後、24時間以上放置しておくのがよい。後述する実施例でも示すが、調合直後のレジスト剥離液では、金属膜の腐食を防止できない。しかし、24時間以上放置することで、金属膜の腐食の防止力が発現するようになる。
以下に本発明に係るレジスト剥離液の実施例および比較例を示す。レジスト剥離液は「レジスト剥離性」と「金属膜の腐食性」の2点について評価した。
<レジスト剥離性>
シリコン基板上に、シリコン熱酸化膜を100nm成膜し、シリコン熱酸化膜上にスパッタ法で銅膜を300nmの厚みに形成した。その銅膜上にポジ型レジスト液をスピンコートで塗布しレジスト膜を作製した。レジスト膜が乾燥した後、配線パターンのマスクを用いて露光した。そして現像液で、感光した部分のレジストを除去した。つまり、銅膜上に配線パターンのレジスト膜が残った部分と、銅膜が露出した部分がある状態である。
その後シリコン基板全体を150℃で10分のポストベークを行った。これは、ハードベークを再現する工程である。
次に、過水系の銅のエッチャントを用いて、露出した銅膜をエッチングし除去した。銅膜のエッチングが終了した後、残った銅のパターン上のレジスト膜をサンプルレジスト剥離液を用いて剥離した。レジスト膜の剥離のための時間は、40秒後、80秒後、120秒後の三段階で検討した。そして基板を洗浄し、銅膜上にレジスト膜が残留しているか否かを光学顕微鏡で干渉をかけながら観察した。銅膜上にレジスト膜の残りが確認された場合は、「×」(バツ)とし、レジスト膜の残りが確認されなかった場合は、「○」(マル)とした。なお、「○」(マル)は成功若しくは合格を意味し、「×」(バツ)は失敗若しくは不合格を意味する。以下の評価でも同じである。
<金属膜の腐食性>
金属膜の腐食性は以下のようにして評価した。まず、シリコン基板上にシリコン熱酸化膜を100nmの厚みに成膜し、シリコン熱酸化膜上にスパッタ法で銅膜を300nmの厚みで成膜し、Cu膜サンプルを作製した。これを「Cu gate」と呼ぶ。同様にシリコン基板上のシリコン熱酸化膜上に、モリブデン膜を20nmの厚みで成膜し、その上に続けて銅膜を300nmの厚みで成膜し、Cu/Moの積層膜サンプルを作製した。これを、「Cu/Mo gate」と呼ぶ。また、シリコン基板上のシリコン熱酸化膜上にアルミニウム膜を300nmの厚さで成膜し、Al膜サンプルを作製した。これを「Al gate」と呼ぶ。
これらの評価サンプル上に配線形状にパターニングしたレジストを形成し、腐食性評価用の基材とした。つまり、腐食性評価用基材は、シリコン基板上のシリコン熱酸化膜上に形成されたCu膜、Cu/Mo膜、Al膜のいずれかの層と、その上に配線形状に形成されたレジスト層からなる。
これらの腐食性評価用基材を銅膜用若しくは、アルミニウム膜用のエッチャントにジャストエッチングする時間の間浸漬させ、エッチングを行った。その後エッチング後の腐食性評価用基材をサンプルレジスト剥離液に6分間浸漬させ、レジスト膜を剥離した。サンプルレジスト剥離液に6分間浸漬させた腐食性評価用基材を洗浄し、乾燥させた後、配線部分を切断し、切断面を観察した。
なお、腐食性の評価では、レジスト膜にはハードベーク状態になるまでの熱処理は加えていない。また、ジャストエッチングの判断は、エッチング開始からシリコン熱酸化膜が目視で確認できた時点とした。
切断面の観測は、SEM(Scanning Electron Microscope)(日立製:SU8020型)を用い、加速電圧1kV、30、000〜50、000倍の条件で行った。
切断面形状を図1に示す。図1(a)には、Cu GateおよびAl Gateの場合の切断面形状を示す。ジャストエッチングされた部分の切断面形状は、基板1に対してほぼ30°乃至60°の角度のテーパー角5が形成されている。膜部2は、Cu Gateの場合は、Cu膜であり、Al Gateの場合はAl膜である。
図1(b)にはCu/Mo Gateの場合を示す。Cu/Mo Gateの場合は、少なくとも上層のCu層2はテーパー角5を有している。下地のMo層3は、Cu層2のテーパー面6に沿ってエッチングされるのが望ましい。しかし、図1(b)に示すように、Cu層2よりエッチング残り7があってもよい。
腐食性の評価は、この断面形状の観察により、膜部2や膜部2の表面4若しくは下地のMo層3のいずれかに腐食が確認された場合は、「×」(バツ)と判断し、腐食が観測されなかった場合は「○」(マル)と判断した。
特にCu/Mo Gateの場合は、図1(c)に示すように、下地のMo層3とCu層2の間に腐食が発生する場合がある。つまり、銅層2とモリブデン層3の界面からMo溶解がスタートし、選択的にモリブデン層3が銅層2より早くエッチングされることがある。したがって、Mo層3とCu層2の間に隙間10を確認できた場合は、評価は×(バツ)とした。
<サンプルレジスト剥離液>
以下の要領でサンプルレジスト剥離液を調製した。サンプルレジスト剥離液は、環状アミンと極性溶媒と水と防食剤で構成されている。
(1)実施例1
環状アミンとしてピロリジン(PRL)を用いた。
ピロリジン(PRL) 0.8質量%
極性溶媒は、2種類を混合した。
プロピレングリコール(PG) 27.2質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG) 40.0質量%
水 30.0質量%
防食剤として、還元水飴を用いた
還元水飴 2.0質量%
以上を混合攪拌して24時間放置し、実施例1のサンプルレジスト剥離液とした。
なお、以下の実施例および比較例を通じて、還元水飴は、還元水飴全量に対して、単糖アルコールが40質量%、二糖アルコールが29質量%、三糖アルコールが18質量%、四糖アルコールが8質量%、五糖アルコールが5質量%のものを用いた。
(2)実施例2
実施例2は実施例1より環状アミンの量を減らした。
環状アミンとしてピロリジンを用いた。
ピロリジン(PRL) 0.5質量%
極性溶媒は、2種類を混合した。
プロピレングリコール(PG) 28.5質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG) 40.0質量%
水 30.0質量%
防食剤として、還元水飴を用いた
還元水飴 1.0質量%
以上を混合攪拌して24時間放置し、実施例2のサンプルレジスト剥離液とした。
(3)実施例3
実施例3は、環状アミンの種類を変えた。
環状アミンとして3−(エチルアミノ)ピロリジンを用いた。
3−(エチルアミノ)ピロリジン 0.8質量%
極性溶媒は、2種類を混合した。
プロピレングリコール(PG) 27.2質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG) 40.0質量%
水 30.0質量%
防食剤として、還元水飴を用いた
還元水飴 2.0質量%
以上を混合攪拌して24時間放置し、実施例3のサンプルレジスト剥離液とした。
なお、3−(エチルアミノ)ピロリジンは、下記(2)式で表される化合物である。
(4)実施例4
実施例4は防食剤の種類を変更した。
環状アミンとしてピロリジンを用いた。
ピロリジン(PRL) 0.5質量%
極性溶媒は、2種類を混合した。
プロピレングリコール(PG) 27.0質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG) 40.0質量%
水 30.0質量%
防食剤として、ソルビトール(Stol)とポリエチレングリコール(平均分子量6000)(PEG6000)を用いた。
ソルビトール(Stol) 1.5質量%
ポリエチレングリコール(PEG6000) 1.0質量%
以上を混合攪拌して24時間放置し、実施例4のサンプルレジスト剥離液とした。
以上の実施例1から4についてのサンプルレジスト剥離液組成および、「レジスト剥離性」と「金属膜の腐食性」についての結果を表1に示した。
(5)比較例1
比較例1は実施例1と同じ組成であるが、調合直後のサンプルレジスト剥離液である。
環状アミンとしてピロリジンを用いた。
ピロリジン(PRL) 0.8質量%
極性溶媒は、2種類を混合した。
プロピレングリコール(PG) 27.2質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG) 40.0質量%
水 30.0質量%
防食剤として、還元水飴を用いた
還元水飴 2.0質量%
以上を混合攪拌した直後のものを比較例1のサンプルレジスト剥離液とした。
(6)比較例2
比較例2は、実施例4(Stol+PEG6000)に対して、防食剤をソルビトールだけにした。
ピロリジン(PRL) 0.5質量%
極性溶媒は、2種類を混合した。
プロピレングリコール(PG) 28.0質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG) 40.0質量%
水 30.0質量%
防食剤として、ソルビトールを用いた
ソルビトール(Stol) 1.5質量%
以上を混合攪拌して24時間放置し、比較例2のサンプルレジスト剥離液とした。
(7)比較例3
比較例3は、実施例4(Stol+PEG6000)に対して、防食剤をポリエチレングリコールだけにして、量も増やした。
ピロリジン(PRL) 0.5質量%
極性溶媒は、2種類を混合した。
プロピレングリコール(PG) 27.5質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG) 40.0質量%
水 30.0質量%
防食剤として、ポリエチレングリコールを用いた
ポリエチレングリコール(PEG6000) 2.0質量%
以上を混合攪拌して24時間放置し、比較例3のサンプルレジスト剥離液とした。
(8)比較例4
比較例4は実施例4(PRL=0.5質量%)に対して、環状アミンの量を増やした。
環状アミンとしてピロリジンを用いた。
ピロリジン(PRL) 0.8質量%
極性溶媒は、2種類を混合した。
プロピレングリコール(PG) 26.7質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG) 40.0質量%
水 30.0質量%
防食剤として、ソルビトール(Stol)とポリエチレングリコール(平均分子量6000)(PEG6000)を用いた。
ソルビトール(Stol) 1.5質量%
ポリエチレングリコール(PEG6000) 1.0質量%
以上を混合攪拌して24時間放置し、比較例4のサンプルレジスト剥離液とした。
(9)比較例5
比較例5は、実施例2(PRL=0.5質量%)に対して、環状アミンの量をさらに減らした。
環状アミンとしてピロリジンを用いた。
ピロリジン(PRL) 0.2質量%
極性溶媒は、2種類を混合した。
プロピレングリコール(PG) 28.8質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG) 40.0質量%
水 30.0質量%
防食剤として、還元水飴を用いた
還元水飴 1.0質量%
以上を混合攪拌して24時間放置し、比較例5のサンプルレジスト剥離液とした。
(10)比較例6
比較例6は、実施例1(PRL=0.8質量%)に対して、環状アミンの量をさらに増やした。
ピロリジン(PRL) 1.0質量%
極性溶媒は、2種類を混合した。
プロピレングリコール(PG) 27.0質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG) 40.0質量%
水 30.0質量%
防食剤として、還元水飴を用いた
還元水飴 2.0質量%
以上を混合攪拌して24時間放置し、比較例6のサンプルレジスト剥離液とした。
(11)比較例7
比較例7は、実施例1(還元水飴)に対して、防食剤を(還元していない)水飴にした。
ピロリジン(PRL) 0.8質量%
極性溶媒は、2種類を混合した。
プロピレングリコール(PG) 27.2質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG) 40.0質量%
水 30.0質量%
防食剤として、還元していない水飴を用いた
水飴 2.0質量%
以上を混合攪拌して24時間放置し、比較例7のサンプルレジスト剥離液とした。
以上の比較例1から7についてのサンプルレジスト剥離液組成および、「レジスト剥離性」と「金属膜の腐食性」についての結果を表2に示した。
次に、添加剤の五員環状アミンの剥離効果を確認するために、以下の比較例を行った。
(12)比較例8
五員環状アミンは2−メチルピロリジンを用いた。
2−メチルピロリジン 2.0質量%
極性溶媒は、2種類を混合した。
プロピレングリコール(PG) 28.0質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG) 40.0質量%
水 30.0質量%
なお、2−メチルピロリジンは、ピロリジンの2位の位置にメチル基が結合している。
以上を混合攪拌して比較例8のサンプルレジスト剥離液とした。
(13)比較例9
五員環状アミンは1−メチルピロリジンを用いた。
1−メチルピロリジン 2.0質量%
極性溶媒は、2種類を混合した。
プロピレングリコール(PG) 28.0質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG) 40.0質量%
水 30.0質量%
なお、1−メチルピロリジンは、ピロリジンの1位の位置(窒素の位置)にメチル基が結合している。
以上を混合攪拌して比較例9のサンプルレジスト剥離液とした。
以上の比較例8と9についてのサンプルレジスト剥離液組成および、「レジスト剥離性」についての結果を表3に示した。
レジスト剥離液は、レジスト剥離工程で大量に使用される。したがって、一度使用したレジスト剥離液は、蒸留処理を行い、各成分に分け、再利用できるのが望ましい。すでに説明したように、再利用を容易に行うためには、蒸留処理で残渣として最後まで残る糖アルコールを溶解する高沸点溶媒が添加されているのが望ましい。
一方、このような高沸点溶媒の添加がハードベークされたレジストの剥離能を低下させたり、防食剤の効果を減じるような影響があると、レジスト剥離液として利用できない。そこで、以下のような実施例によって、本発明に係るレジスト剥離液の組成では、高沸点溶媒の利用が可能なことを確認した。
(14)実施例5
実施例5は、実施例2(PRL=0.5質量%)に対して極性溶媒にグリセリンをさらに含有させた。
環状アミンとしては、ピロリジンを用いた。
ピロリジン(PRL) 0.5質量%
極性溶媒は、3種類を混合した。
プロピレングリコール(PG) 26.5質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG) 40.0質量%
グリセリン 2.0質量%
水 30.0質量%
防食剤として、還元水飴を用いた
還元水飴 1.0質量%
以上を混合攪拌して24時間放置し、実施例5のサンプルレジスト剥離液とした。
(15)実施例6
実施例6は、実施例1(PRL=0.8質量%)に対して極性溶媒にグリセリンをさらに含有させた。
環状アミンとしては、ピロリジンを用いた。
ピロリジン(PRL) 0.8質量%
極性溶媒は、3種類を混合した。
プロピレングリコール(PG) 25.2質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG) 40.0質量%
グリセリン 2.0質量%
水 30.0質量%
防食剤として、還元水飴を用いた
還元水飴 2.0質量%
以上を混合攪拌して24時間放置し、実施例6のサンプルレジスト剥離液とした。
(16)実施例7
実施例7は、実施例3(3−(エチルアミノ)ピロリジン)に対して極性溶媒にグリセリンをさらに含有させた。
環状アミンとしては、3−(エチルアミノ)ピロリジンを用いた。
3−(エチルアミノ)ピロリジン 0.8質量%
極性溶媒は、3種類を混合した。
プロピレングリコール(PG) 25.2質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG) 40.0質量%
グリセリン 2.0質量%
水 30.0質量%
防食剤として、還元水飴を用いた
還元水飴 2.0質量%
以上を混合攪拌して24時間放置し、実施例7のサンプルレジスト剥離液とした。
以上の実施例5から7についてのサンプルレジスト剥離液組成および、「レジスト剥離性」と「金属膜の腐食性」についての結果を表4に示した。
表1から表4において、各%は、レジスト剥離液全量に対しての質量%をあらわす。また、PGはプロピレングリコール、BDGはジエチレングリコールモノブチルエーテルをあらわす。
実施例1(表1)と比較例1(表2)は組成としては、全く同じである。実施例1は調合後24時間放置したのに対して、比較例1は調合直後のサンプルレジスト剥離液である。比較例1はハードベークされたレジスト膜を120秒で剥離することができた。これは実施例1と同じ特性であった。しかし、比較例1では、Moのアンダーカットが認められた。一方、実施例1ではMoのアンダーカットは認められなかった。
このように、本発明に係るレジスト剥離液では、全原料を調合した後、24時間以上放置(熟成)することで、金属膜に対する防食機能が発現する。
次に実施例1(表1)と比較例7(表2)を参照する。これらは共にピロリジンを0.8質量%含む組成であり、極性溶媒および水の割合も同じである。また防食剤の比率(2.0質量%)も同じである。しかし、防食剤が実施例1は還元水飴であるのに対して、比較例7はただの水飴であった。
しかし、この組成の違いで、評価結果は大きく変わった。具体的には、実施例1ではハードベークしたレジストを剥離し、またMoアンダーカットを含む金属膜へのダメージも観測されなかった。一方、比較例7では、ハードベークしたレジストを剥離できなかった。さらに、Moアンダーカットが発生した。
次に実施例1および2(表1)と比較例5、6(表2)を参照する。これらのサンプルは共にピロリジンを用い、また防食剤として還元水飴を使用している。しかし、これらはピロリジンの含有量が異なる。
比較例5は、ピロリジンの量が0.2質量%である。比較例5のピロリジンの量は、実施例2の0.5質量%より少ない。その結果、比較例5は、ハードベークされたレジストを剥離することができなかった。なお、比較例5はMoアンダーカットを含む金属膜へのダメージもなかった。
一方、比較例6はピロリジンの量が1.0質量%と多い組成である。その結果、ハードベークされたレジストを剥離すことができた。しかし、Moアンダーカットを含む金属膜へのダメージは多く、明らかにピロリジンが多すぎたと考えられた。以上の結果より、ピロリジンの含有量は、0.2質量%より多く1.0質量%未満が好ましい。さらに0.5質量%以上0.8質量%以下であるのが好ましい。
次に実施例4(表1)と比較例2、3、4(表2)を参照する。これらは、防食剤として、ソルビトール若しくはポリエチレングリコールを含むものである。比較例2および3を参照する。これらは、ソルビトールを単独で使用する場合(比較例2)と、ポリエチレングリコールを単独で使用する場合(比較例3)である。いずれの場合も、ハードベークしたレジストを剥離することはできた。しかし、Moアンダーカットが生じてしまった。
次に比較例4を参照する。比較例4は実施例4同様にソルビトールおよびポリエチレングリコールをそれぞれ1.5質量%および1.0質量%含む。しかし、比較例4はハードベークされたレジストを剥離することはできたが、Moアンダーカットが生じた。比較例4はピロリジンが0.8質量%であった。
これらの比較より、防食剤としてソルビトールおよびポリエチレングリコールを用いる場合は、2つを併用し、ピロリジンは0.8質量%未満でなければならないことがわかる。
実施例3は環状アミンの種類を3−(エチルアミノ)ピロリジンにした場合である。実施例3のサンプル剥離液は、ハードベークしたレジストを剥離することができ、さらにMoアンダーカットを含む金属膜へのダメージも少ないレジスト剥離液であった。そこで、ピロリジンおよび3−(エチルアミノ)ピロリジン以外の五員環状アミンで利用できるものについて検討した。
表3は、五員環状アミンの種類の検討を示す。比較例8は、2−メチルピロリジンを用いた例であり、比較例9は、1−メチルピロリジンを用いた例である。どちらも、ハードベークしたレジスト剥離液を剥離することができるか否かだけを検討した。したがって、Moアンダーカット等の金属膜のダメージについては検討していない。
実施例で用いたピロリジンは、ハードベークされたレジスト膜を120秒で剥離することができた(実施例1乃至4参照)。一方、1位の位置と2位の位置にメチル基が結合した1−メチルピロリジン(比較例9)と2−メチルピロリジン(比較例8)は、120秒かけてもハードベークされたレジスト膜を剥離することができなかった。以上のことより、ピロリジンの1位の位置および2位の位置に置換基が結合したピロリジンは、ハードベークされたレジスト膜を実用的な範囲で剥離することができないと結論される。
一方、実施例3が示す、3−(エチルアミノ)ピロリジンのように、3位の位置に置換基が付いたピロリジン、および実施例1、2,4に示した置換基が結合していない通常のピロリジンは、ハードベークされたレジスト膜を剥離することができた。以上のことより、ピロリジン若しくは3位の位置に置換基がついたピロリジンは本発明のレジスト剥離液の成分として利用することができる。
次に実施例5〜7を参照する。これらのサンプル剥離液は、極性溶媒として用いたプロピレングリコールおよびジエチレングリコールモノブチルエーテルよりも沸点の高いグリセリンを含有している。すでに説明したように、糖アルコール成分以外の成分より沸点の高い溶媒を含むことで、レジスト剥離液を蒸留処理したときも、糖アルコールが固化するのを防止することができる。
また、実施例5〜7を参照して、これらの実施例は、いずれもハードベークしたレジストを剥離することができ、またMoアンダーカットを含め、金属膜へのダメージがない。つまり、高沸点溶媒であるグリセリンを含ませても、本発明に係るレジスト剥離液の性能は維持された。
以上のように、本発明に係るレジスト剥離液は、環状アミンと、極性溶媒と、水と、防食剤を含むことで、Cu膜、Cu/Mo膜、Al膜のレジスト剥離工程で共通に使用することができる。さらに、レジスト膜がハードベークされていてもこれを剥離させることができる。
本発明のレジスト剥離液は、ポジ型レジストを用いた場合のレジスト剥離液として好適に利用することができる。これは、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELなどFPDの製造一般に好適に利用することができる。
1 基板
2 膜部
3 Mo層(下地層)
4 (膜部2の)表面
5 テーパー角
6 テーパー面
7 エッチング残り
10 隙間

Claims (10)

  1. 環状アミンと、極性溶媒と、水と、防食剤を含み、各成分を調合後24時間以上経過させたことを特徴とするレジスト剥離液。
  2. 前記環状アミンは、五員環状アミンであることを特徴とする請求項1に記載されたレジスト剥離液。
  3. 前記五員環状アミンはピロリジンもしくはピロリジンの3位に置換基があるものであることを特徴とする請求項2に記載されたレジスト剥離液。
  4. 前記ピロリジンの3位に置換基があるものは3−(エチルアミノ)ピロリジンであることを特徴とする請求項3に記載されたレジスト剥離液。
  5. 前記環状アミンが全量に対して0.2質量%より多く、1.0質量%未満含有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載されたレジスト剥離液。
  6. 前記防食剤は、還元水飴であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1の請求項に記載されたレジスト剥離液。
  7. 前記防食剤はソルビトールとポリエチレングリコールの混合液であり、前記環状アミンが全量に対して0.2質量%より多く、0.8質量%未満含有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1の請求項に記載されたレジスト剥離液。
  8. 前記環状アミンは、0.2質量%より多く、1.0質量%未満であり、
    前記極性溶媒は、50〜80質量%であり、
    前記水は10〜50質量%であり、
    前記防食剤は、0.5〜5質量%であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1の請求項に記載されたレジスト剥離液。
  9. さらにグリセリンを含有することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1の請求項に記載されたレジスト剥離液。
  10. 前記グリセリンは、前記レジスト剥離液全量に対して、0.5〜5質量%であることを特徴とする請求項9に記載されたレジスト剥離液。
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