JP2016136966A - ジペプチジルペプチダーゼ−iv阻害用飲食品組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れたジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害用飲食品組成物を提供すること。【解決手段】Met−Lys−Proからなるペプチドを有効成分として含有するジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害用飲食品組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害用飲食品組成物に関する。
ジペプチジルペプチダーゼ−IV(以下、「ジペプチジルペプチダーゼ−4」、「DPP−4」ともいう)は、N末端ジペプチダーゼ活性を有する多機能性の貫通膜型糖タンパク質である。これは、大部分の哺乳類の細胞上に存在し、肝臓、腎臓、小腸、唾液腺、血液細胞及び血漿等の種々の組織に存在していることから、生体内での幅広い役割が想定され、創薬のターゲットとして近年注目されている酵素である。
ジペプチジルペプチダーゼ−IVは、インクレチンのグルカゴン様ペプチド1(以下、「GLP−1」という)及びグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(以下、「GIP」という)の分解酵素であることが知られている。このGLP−1は、食後に放出されるものであり、インスリンの生合成及び分泌に対するグルコース誘導性の刺激、グルカゴン分泌抑制、遺伝子発現の調整、Β細胞に対する栄養性の効果、食物摂取の抑制、及び胃内容排出の緩徐化をはじめとする、多面的な作用を有する。そして、ジペプチジルペプチダーゼ−IVを阻害することで、インクレチンのGLP−1及びGIPの分解が抑制され、血中のこれらの濃度が上昇する。その結果、インスリン分泌が促進され、血糖値を低下させることが知られている。このインクレチンによるインスリンの分泌促進は、血糖値が高値であることが作動条件である。このため、2型糖尿病の中でもインスリン分泌低下による糖尿病において、ジペプチジルペプチダーゼ−IVを阻害することは、これまでのインスリン分泌促進剤で生じる低血糖症という副作用の危険性が少ないものと言える。
このように、ジペプチジルペプチダーゼ−IV活性を阻害する作用を有するジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤に関して、抗糖尿病剤としての利用が期待されている。しかしながら、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤は、インスリン分泌抑制剤、ブドウ糖吸収阻害剤及びインスリン抵抗性改善剤等と比べて未だ新しいジャンルの治療薬と言え、新たなジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害作用を有する物質を数多く見出すことが望まれている。さらに、糖尿病の治療の第一歩は食事療法と運動療法であり、それでも血糖値のコントロールが出来ない場合に、糖尿病治療用医薬品が用いられているのが現状である。このようなことから、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害活性を有する物質をサプリメントや食品添加物として提供することが可能であれば、広く血糖値の改善に資することができると考えられる。
例えば、特許文献1には、二環系ピリミジンが、糖尿病治療用又は予防用のジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤として使用されることが開示されている。
また、例えば、特許文献2には、カゼインを、pH及び温度を調整してアルカリ分解した後、さらにプロテアーゼ等の各種酵素を調整して酵素加水分解した加水分解物から、種々のペプチドを分離精製し、さらにその中からジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害作用のあるものを見出したことが開示されている。その他にも食品由来のジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害物質についての開示がある(例えば、特許文献3〜5参照)。
また、例えば、特許文献6の表2には、カゼイン又はホエイ加水分解物から1つのペプチドだけを単離した単離ペプチドである、IPI、LPL、KVLP、LPVPQK、VPLGTQ、VPYPQ、PLLQ、GPFP、LPVPQ、LPQYL、MPLW、YVPEPF、PQSVLS、PFP、LPVP、EMPFPK、LPLP、GPFPIIV、APFPE、HPIK及びAPFPEVFが記載され、これら単離ペプチドのジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害試験結果が開示されている。
特表2008−527011号公報 米国特許出願公開第2008/0075904号明細書 特開2011−144167号公報 特開2007−039424号公報 特開2008−280291号公報 国際公開2006/068480号パンフレット
このように、従来よりジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤が開示されているものの、例えば特許文献1においては、有機合成化合物は複雑な合成過程を必要とし、安全性に関しては今後の検証が必要であり、いずれのジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤も検討すべき点があり、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害物質についての探究は十分ではないのが現状であった。
また、ペプチドは有益な生理活性作用を有する場合があることから、新規ペプチドの探索及びペプチドの様々な生理活性作用の探求が行われている。しかし、ペプチド中のアミノ酸が増減したりアミノ酸の一部が異なると生理活性作用が低下若しくは消失することがあり、また、カゼイン等の乳由来の蛋白質の加水分解物中であっても無数のペプチドが混在するため、目的とする生理活性作用を有する新規又は既知のペプチドを見出すことは困難である。
本発明は、優れたジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害用飲食品組成物を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、カゼインを特定の酵素で加水分解して得られたカゼイン加水分解物中に、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害作用を有するMet−Lys−Proで表される配列(配列番号1)を有するペプチド(以下、「ペプチドMKP」ともいう)を見出し、本発明を完成するに至った。しかも、このペプチドMKPは、食品由来の成分であったため、サプリメントや食品添加物として提供することも可能である。よって、本開示のペプチドMKPは、広く血糖値の改善に資することができると考えられ、さらにACE阻害作用も有するため、より付加価値のある有効な物質と言える。
すなわち、本発明は、Met−Lys−Proからなるペプチドを有効成分として含有するジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害用飲食品組成物である。
本発明は、本発明のペプチドMKPが優れたジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害作用を有することから、優れたジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害用飲食品組成物を提供することができる。
本開示のペプチドは、Met−Lys−Proで表されるアミノ酸配列(配列番号1)を有する。本開示において、Met(M)はL−メチオニン残基、Lys(K)はL−リシン残基、Pro(P)はL−プロリン残基を示す。
また、本開示のペプチドは、このペプチドの塩類であってもよい。当該塩類としては、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属類;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属類等が挙げられ、このうち適宜1種又は2種以上を使用すればよい。
本開示のペプチドMKPの製造方法については、例えば国際公開2003/044044号パンフレット等に記載されるような以下の方法が例示されるが、これに特に限定されない。
例えば、Met−Lys−Proで表されるアミノ酸配列(配列番号1)を含む蛋白質やペプチドを加水分解等にて分解し、得られた分解物から分離精製して得る方法;ペプチドの化学合成方法にてペプチドMKPを合成した後、得られた合成物からペプチドMKPを分離精製して得る方法;ペプチドMKP及びこれを含むペプチド等を生産する植物、動物や微生物から抽出し、得られた抽出物から分離精製する方法等が挙げられる。
本開示のペプチドMKPは、例えばカゼイン等の蛋白質を、適宜、酸アルカリや酵素等にて加水分解することで、製造することが可能である。
原料蛋白質を加水分解酵素で加水分解して前記ペプチドMKPを得る方法を例示する。
まず、原料蛋白質を酵素で加水分解する前に、蛋白質を水に溶解、分散又は懸濁させる。
前記原料蛋白質は、MKPを構造上に含む蛋白質であって、適宜加水分解酵素で消化したときに本開示のペプチドが生成可能なものであれば、特に限定されない。前記蛋白質として、例えば、動物由来や微生物由来のもの等が挙げられ、大量に入手可能なカゼインが好適である。
このとき、原料蛋白質の性状により処法は異なるが、原料蛋白質が可溶性の場合には、原料蛋白質を水又は温水に分散し、溶解すればよく、また、難溶性の場合には熱水に蛋白質を混合撹拌にてホモジナイズすればよい。
そして、前記蛋白質を含有する溶液に、アルカリ剤又は酸剤を添加し、pHを調整してもよい。このpHは使用する加水分解酵素の至適pH又はその付近に調整することが好ましい。
前記アルカリ剤又は酸剤として、特に限定されず、食品又は医薬品に許容されるものを使用すればよい。アルカリ剤として、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カルシウム等の水酸化物;炭酸カリウム等の炭酸塩などが挙げられ、これらはアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩でもよい。また、酸剤として、例えば、塩酸、リン酸等の無機酸;クエン酸、酢酸、ギ酸等の有機酸などが挙げられる。これらのうち、適宜1種又は2種以上を使用すればよい。
また、前記蛋白質を含有する溶液を70〜90℃で15秒〜10分間程度加熱殺菌することが、雑菌汚染による変敗防止の点から望ましい。
次に、前記蛋白質を含有する溶液に、所定量の加水分解酵素を加え、温度10〜85℃程度で0.1〜48時間反応を行い、加水分解物を得る。
このとき、前記加水分解酵素を添加し後、当該溶液を、酵素の種類に応じて適当な温度、例えば30〜60℃、望ましくは45〜55℃に保持して、蛋白質の加水分解を開始するのが望ましい。
また、加水分解反応時間は、酵素反応の分解率をモニターしながら、好ましい分解率に達するまで反応を続ければよい。前記原料蛋白質の分解率は20〜30%が、本開示のペプチドを得るためには、望ましい。
前記加水分解酵素反応の停止は、例えば、加水分解液中の酵素の失活により行われ、常法による加熱失活処理により実施することができる。加熱失活処理の加熱温度と保持時間は、使用した酵素の熱安定性を考慮し、十分に失活できる条件を適宜設定することができるが、例えば、80〜130℃の温度範囲で30分間〜2秒間の保持時間で行うことができる。
前記加水分解酵素は、特に限定されないが、前記原料蛋白質を加水分解して本開示のペプチドを生成させ得る酵素であるのが好ましく、当該生成させ得る酵素として、具体的にはエンドペプチダーゼが好ましい。
前記エンドペプチダーゼとして、例えば、微生物由来や動物由来のものがあるが、具体的には、バチルス(Bacillus)属細菌由来のプロテアーゼ及び動物膵臓由来のプロテアーゼ等が挙げられる。前記プロテアーゼは市販されているものを利用することが可能である。市販品のプロテアーゼとして、例えば、ビオプラーゼsp−20(長瀬生化学工業社製)及びプロテアーゼN(天野エンザイム社製)等のバチルス属細菌由来のプロテアーゼ;PTN6.0S(ノボザイムズ・ジャパン社製)等の動物膵臓由来のプロテアーゼ等が好ましいものとして例示できる。
例えば、バチルス属細菌由来のプロテアーゼを使用する際には、蛋白質1g当たり100〜5000活性単位の割合で添加するのが望ましい。また、動物膵臓由来のプロテアーゼを使用する際には、蛋白質1g当たり3000〜8000活性単位の割合で添加するのが望ましい。
本開示において用いる加水分解酵素は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。2種以上の酵素を用いる場合には、それぞれの酵素反応は同時に又は別々に行ってもよい。
本開示において、ビオプラーゼsp−20、プロテアーゼN及びPTN6.0Sを併用するのが好ましく、これら3酵素を混合して使用することが特に好ましい。
なお、原料蛋白質の分解率の算出方法は、ケルダール法(日本食品工業学会編、「食品分析法」、第102頁、株式会社光琳、昭和59年)により試料の全窒素量を測定し、ホルモール滴定法(満田他編、「食品工学実験書」、上巻、第547ページ、養賢堂、1970年)により試料のホルモール態窒素量を測定し、これらの測定値から分解率を次式により算出する。
分解率(%)=(ホルモール態窒素量/全窒素量)×100
前記加水分解液物から、本開示のペプチドMKPを単離又は精製するのが好適である。
本開示のペプチドMKPの精製は、通常、オリゴペプチドの精製に用いられているのと同様の手法、例えばイオン交換クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー等の各種クロマトグラフィー、溶媒沈殿、塩析、2種の液相間での分配等の方法を適宜組み合わせることによって、行うことができる。
本開示のペプチドMKPの単離又は精製に際しては、目的物質を含む画分は、後述するジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害作用を指標として決定することができる。また、それらの画分の活性成分は質量分析法により同定することができる。
また、本開示のペプチドMKPは、化学合成によっても製造することができる。
本開示のペプチドMKPの化学合成は、オリゴペプチドの合成に通常用いられている液相法または固相法によって行うことができる。合成されたペプチドは必要に応じて脱保護され、未反応試薬や副生物等を除去して、本開示のペプチドMKPを単離することが可能である。
このようなペプチドの合成は、市販のペプチド合成装置を用いて行うことができる。目的とするペプチドが得られたことは、後述するジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害作用を指標として確認することができる。
本開示のペプチドMKPは、後記実施例に示すとおり、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害作用を有する。
ジペプチジルペプチダーゼ−IVが、生体内の生理機能に関与している化合物を分解することで、種々の疾患や症状が生じる場合がある。このため、ジペプチジルペプチダーゼ−IVを阻害すると、ジペプチジルペプチダーゼ−IVによって分解されていた生体内の生理機能に関与している化合物の寿命が延びることを利用して、ジペプチジルペプチダーゼ−IVに起因する疾患や症状の予防、改善又は治療が可能となる。
前記生理機能に関与する化合物として、例えば、インクレチンのグルカゴン様ペプチド1(GLP−1)及びグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)が挙げられる。そして、このインクレチンのグルカゴン様ペプチド1の分解抑制によって、インスリンの生合成及び分泌に対するグルコース誘導性の刺激、グルカゴン分泌抑制、遺伝子発現の調整、Β細胞に対する栄養性の効果、食物摂取の抑制、及び胃内容排出の緩徐化などの各作用を奏することが可能である。これによって、上昇した血糖値の正常化、並びに空腹感及び体重の調整に寄与することが可能である。
また、ジペプチジルペプチダーゼ−IVの作用によって、血管の内皮細胞の機能が低下したり、血管の内皮細胞が障害されることが知られている。この血管の内皮細胞の機能低下や障害によって、血管の緊張増加による血管収縮、動脈硬化、血栓形成等の血管障害が生じ、これらの原因によって臓器の血流障害が生じ、臓器機能不全となり、糖尿病の合併症が誘発されることとなる。
近年、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害薬の投与による内皮細胞の機能改善効果が多数報告されている(例えば、参考文献1〜4参照〔参考文献1〕Endocrine Journal 2011, 58 (1), 69-73;〔参考文献2〕J Am Coll Cardiol. 2012, 59(3), 265-76;〔参考文献3〕Diabetes Care. 2011, 34(9), 2072-7;〔参考文献4〕Cardiovascular Diabetology 2011, 10(85) (http://www.cardiab.com/content/10/1/85))。
これらの効果は単に血糖値を下げることによる改善の他に、インクレチンによる血管の保護作用を介していると考えられている。高血糖により内皮細胞の傷害で血管のしなやかさが失われると、血圧が上昇し、上昇した血圧がさらに血管を傷めるという悪循環が、心臓・腎臓・脳といった臓器への悪影響となって現れる。この悪循環を断ち切るために、ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−4)阻害薬とアンジオテンシン変換酵素(ACE阻害薬)の併用も試みられており、ジペプチジルペプチダーゼ−IVの阻害剤は循環器系の治療においても、重要な役割を果たすものと考えられている。
すなわち、本開示のペプチドMKPは、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害作用を有するので、高血糖抑制作用、血糖低下作用、血管内皮機能低下抑制作用、血管内皮障害抑制作用、血管障害抑制作用、血管内皮細胞の保護作用及び食欲抑制作用等を示す。また、本開示のペプチドMKPは、食欲抑制及び血管内皮細胞の保護等も可能と考える。
さらに、本開示のペプチドMKPにより、ジペプチジルペプチダーゼ−IVを阻害することで、ジペプチジルペプチダーゼ−IVに起因する疾患や症状の予防、改善又は治療が可能と考えられる。よって、本開示のペプチドMKPは、ヒトを含む動物に摂取又は投与して、ジペプチジルペプチダーゼ−IVに起因する疾患や症状等の予防、改善及び/又は治療を図るための方法に使用することができる。
本開示のジペプチジルペプチダーゼ−IVに起因する各種疾患や症状として、例えば、高血糖症、糖尿病、糖尿病合併症、血管内皮障害、血管障害等が挙げられる。なお、ジペプチジルペプチダーゼ−IVに起因する各種疾患等は、ジペプチジルペプチダーゼ−IVが介在する各種疾患等であってもよい。
さらに、高血糖症、糖尿病及び高血糖状態によって引き起こされる種々の疾患として、例えば、糖尿病性の細小血管症(例えば、網膜症、腎症、神経障害等)及び大血管合併症(例えば、狭心症・心筋梗塞等の虚血性心疾患、脳梗塞、閉塞性動脈硬化、壊疽等)等が挙げられる。
なお、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤が前記種々の疾患の予防剤や治療剤として利用できることについては、前記の特許文献1〜5及び参考文献1〜4にも開示されているとおりであり、本開示のペプチドMKPについても、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害作用を有することから同様の疾患や症状に実施できることについては言うまでもない。
よって、本開示のペプチドMKPは、上述のような、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害、血糖低下、血管内皮障害抑制、及び抗糖尿病等のために使用してもよく、また、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤、血糖低下剤、血管内皮障害抑制剤及び抗糖尿病剤等の上述のような使用を目的とした各種製剤に使用することができ、これら各種製剤を製造するために使用することができる。
また、高血糖値状態が続くと、血管の内皮細胞の機能が低下し、血管内皮障害が生じやすいが、さらにその血管に強い負荷を与えるような高血圧は血管障害を引き起こす危険性を高めることで知られている。血管内皮細胞からは、血管平滑筋を弛緩させる因子(NOやPGI2)が産生されている。そして、高血糖により血管内皮細胞の機能が低下するとそれらの遊離能力も低下する。結果として、糖尿病患者は高血圧を併発する。さらに、高い血圧が血管内皮細胞に負荷をかける悪循環に陥る。
このため、糖尿病のヒト又はその予備群(この予備群とは、糖尿病には至っていないが、高血糖値状態のヒトをいう)のヒトは、高血圧に留意する必要性があり、糖尿病で高血圧のヒトは、血糖低下薬と血圧降下薬を処方されることが多く、薬の組み合わせによる副作用の懸念もある。
ところが、本開示のペプチドMKPは、後記実施例の参考例1に示すように、アンジオテンシン変換酵素(以下、「ACE」ともいう)阻害作用及びブラジキニン不活性化作用も有し、血圧降下作用も示し、現在食品由来で得られるペプチドの中では最強のACE阻害活性を有している(例えば、国際公開2003/044044号パンフレット参照)。
よって、本開示のペプチドMKPは、血糖低下作用及び血圧降下作用の2つの効能を併せ持つ非常に有益な化合物と言える。これにより、薬剤の使用量も減らすことが可能となるので、副作用の低減が期待できる。すなわち、本開示のペプチドMKPは、血管改善、血管内皮障害抑制及び糖尿病の予防、改善又は治療に非常に有効なものと言え、特に高血糖状態によって引き起こされる血管内皮障害の予防、改善又は治療に有効である。
本開示の血管内皮障害の具体的な疾患及び症状として、例えば、糖尿病性の血管障害などが挙げられる。
従って、本開示のペプチドMKPは、ヒトを含む動物に摂取又は投与して、上述の、高血糖症、糖尿病(特に2型糖尿病)及び糖尿病合併症(例えば、糖尿病性の血管内皮障害や腎症、高血圧等)、血管内皮障害、血管障害等の予防、改善及び/又は治療を図るための方法に使用することができる。
また、本開示のペプチドMKPを有効成分として含有する上述の各種製剤は、ヒトを含む動物に摂取又は投与して、上述の、高血糖症、糖尿病(特に2型糖尿病)及び糖尿病合併症(例えば、糖尿病性の血管内皮障害や腎症、高血圧等)、血管内皮障害、血管障害等の予防、改善及び/又は治療を図るための方法に使用することができる。
また、本開示のペプチドMKP及びこれを有効成分として含有する上述の各種製剤は、上述のような、高血糖症、糖尿病、血管障害等の予防、改善及び/又は治療のためのヒト若しくは動物用の医薬品、医薬部外品、皮膚外用剤、化粧品及び食品等の有効成分としてこれらに配合して使用可能である。
医薬品に配合する場合、経口投与剤や非経口投与剤などとすることができる。また、食品に配合する場合には、上述のジペプチジルペプチダーゼ−IVに起因する各種疾患や症状及び高血糖状態によって引き起こされる各種疾患や症状などの予防、改善又は治療、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害、血糖低下等の生理機能をコンセプトとする機能性食品、病者用食品、特定保健用食品などに応用できる。
本開示のペプチドMKP及びこれを有効成分として含有する上述の各種製剤は、経口投与及び非経口投与の何れでもよいが、経口投与が望ましい。非経口投与として、静注、直腸投与、吸入等が挙げられる。経口投与の剤形として、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、シロップ剤、顆粒剤、酸剤、軟膏等が挙げられる。
製剤化に際しては、乳清蛋白加水分解物やペプチドMKPの他に、通常製剤化に用いられている賦形剤、pH調整剤、着色剤、矯味剤等の成分を用いることができる。また、公知の又は将来的に見出されるDPP−4阻害作用を有する薬、抗糖尿病薬、血糖低下薬、血圧降下薬、ACE阻害薬などを併用することも可能である。
また、本開示のペプチドを有効成分として食品中に含有させ、本開示のペプチドMKP及びこれを有効成分として含有する上述の各種製剤の一態様として、ジペプチジルペプチダーゼ−IV作用を有する食品として加工することも可能である。
このような食品として、液状、ペースト状、固体、粉末等の形態を問わず、錠菓、流動食、飼料(ペット用を含む)等のほか、例えば、小麦粉製品、即席食品、農産加工品、水産加工品、畜産加工品、乳・乳製品、油脂類、基礎調味料、複合調味料・食品類、冷凍食品、飲料、これら以外の市販品等が挙げられる。
例えば、前記小麦粉製品として、パン、マカロニ、スパゲッティ、めん類、ケーキミックス、から揚げ粉、パン粉等が挙げられる。前記即席食品類として、即席めん、カップめん、レトルト・調理食品、調理缶詰め、電子レンジ食品、即席スープ・シチュー、即席みそ汁・吸い物、スープ缶詰め、フリーズ・ドライ食品、その他の即席食品等が挙げられる。
例えば、前記農産加工品として、農産缶詰め、果実缶詰め、ジャム・マーマレード類、漬物、煮豆類、農産乾物類、シリアル(穀物加工品)等が挙げられる。前記水産加工品として、水産缶詰め、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品、水産珍味類、つくだ煮類等が挙げられる。前記畜産加工品として、畜産缶詰め・ペースト類、畜肉ハム・ソーセージ等が挙げられる。
例えば、前記乳・乳製品として、加工乳、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料類、チーズ、アイスクリーム類、調製粉乳類、クリーム、その他の乳製品等が挙げられる。前記油脂類として、バター、マーガリン類、植物油等が挙げられる。
例えば、前記基礎調味料として、しょうゆ、みそ、ソース類、トマト加工調味料、みりん類、食酢類等が挙げられ、前記複合調味料・食品類として、調理ミックス、カレーの素類、たれ類、ドレッシング類、めんつゆ類、スパイス類、その他の複合調味料等が挙げられる。
例えば、前記冷凍食品として、素材冷凍食品、半調理冷凍食品、調理済冷凍食品等が挙げられる。
例えば、前記菓子類として、キャラメル、キャンディー、チューインガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、米菓子、豆菓子、デザート菓子、その他の菓子等が挙げられる。
例えば、前記飲料類として、炭酸飲料、天然果汁、果汁飲料、果汁入り清涼飲料、果肉飲料、果粒入り果実飲料、野菜系飲料、豆乳、豆乳飲料、コーヒー飲料、お茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、スポーツ飲料、栄養飲料、アルコール飲料、その他の嗜好飲料等が挙げられる。
例えば、上記以外の市販食品として、ベビーフード、ふりかけ、お茶潰けのり等が挙げられる。
本開示のジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤等において、本開示のペプチドMKPの配合量は、製剤の最終組成物に対し、少なくとも0.001質量%であることが好ましい。
本開示のペプチドMKPの投与量は、年齢、症状等により異なるが、通常、0.001〜3000mg/日、好ましくは0.01〜30mg/日であり、1日1回から3回に分けて投与してもよい。
以下に、具体的な実施例等を説明するが、本発明(本開示)はこれに限定されるものではない。
製造例1:カゼインの酵素分解によるMKPペプチドの製造
<1>カゼインの酵素分解
市販のカゼイン(ニュージーランドデーリーボード製)100gに水900gを加え、よく分散させ、水酸化ナトリウムを添加して溶液のpHを7.0に調整し、カゼインを完全に溶解し、濃度約10%のカゼイン水溶液を調製した。該カゼイン水溶液を85℃で10分間加熱殺菌し、50℃に温度調整し、水酸化ナトリウムを添加してpHを9.5に調整した後、ビオプラーゼsp−20(長瀬生化学工業社製)100,800活性単位(蛋白質1g当り1,200活性単位)、プロテアーゼN(天野エンザイム社製)168,000活性単位(蛋白質1g当り2,000活性単位)、及びPTN6.0S(ノボザイムズ・ジャパン社製)588,000活性単位(蛋白質1g当り7,000活性単位)を添加して、加水分解反応を開始した。カゼインの分解率が24.1%に達した時点で、80℃で6分間加熱して酵素を失活させて酵素反応を停止し、10℃に冷却した。この加水分解液を分画分子量3,000の限外ろ過膜(旭化成社製)で限外ろ過し、濃縮後凍結乾燥し、凍結乾燥品85gを得た。
<2>HPLCによるペプチドの分離
逆相HPLCで上記カゼイン加水分解物の分離を行った。このHPLC条件は下記HPLC条件1に示した。
〔HPLC条件1〕
カラム :カプセルパックC18(UG120、5μm) 20mmI.D.×250mm(資生堂)
検 出 :UV 215nm
流 速 :16ml/分
溶離液A:0.05% TFAを含む1%アセトニトリル水溶液
溶離液B:0.05% TFAを含む25%アセトニトリル水溶液
溶離液Aの割合100%から、40分後に溶離液Bの割合100%になるような直線グラジエント条件で、加水分解物を分離した。溶出画分について、後述する方法でジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害能を測定したところ、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害能を持つペプチドは、リテンションタイム22分に溶出された。さらに、このペプチドを精製するため、さらにHPLCで精製した。
このときの条件を下記HPLC条件2に示した。
〔HPLC条件2〕
カラム :カプセルパックC18(UG300、5μm) 2.0mmI.D.×250mm(資生堂)
検 出 :UV 215nm
流 速 :0.2ml/分
溶離液A:0.05% TFAを含む1%アセトニトリル水溶液
溶離液B:0.05% TFAを含む10%アセトニトリル水溶液
溶離液Aの割合100%から15分後に溶離液Bの割合100%になるような直線グラジエント条件で、リテンションタイム13分のピークに強いジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害能が認められた。
上記活性ピークの化合物を、Applied Biosystem社のプロテイン・シーケンサー(Model−473A)で同定した。その結果、Met−Lys−Proという構造をもつことがわかった。更に、サーモクエスト社製質量分析計LCQにより、分子量(M)は、374.2、m/z=375.2(MH+)をプリカーサーイオンとするMS/MS分析により、m/z=260,215,129等のプロダクトイオンが検出された。
こうして、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害能を有するペプチドの構造は、H−Met−Lys−Pro−OHであることが明らかとなった。尚、上記凍結乾燥品85g中に、トリペプチドMet−Lys−Proは、42.5mg含まれていた。
製造例2:MKPペプチドの化学合成
ペプチドシンセサイザー(Model 433A型、アプライドバイオシステムズ社)を使用し、Fmoc−L−Met(アプライドバイオシステムズ社)、Fmoc−Lys(Boc)(アプライドバイオシステムズ社)、Fmoc−Pro−TrtA−PEG Resin(渡辺化学工業(株))を原料に用いて、固相合成法によりトリペプチドMet−Lys−Proを合成した。操作はアプライドバイオシステムズ社のマニュアルに従って行った後、脱保護した。このペプチドは、上記HPLC条件1で精製した。得られたトリペプチドは、質量分析により分子量(M)は374.2と測定され、m/z=375.2(MH+)をプリカーサーイオンとするMS/MS分析により、H−Met−Lys−Pro−OHであることが明らかとなった。
試験例1:各ペプチドのジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害活性確認試験
表1に示す、製造例1で得たトリペプチドMet−Lys−Pro(MKP:配列番号1)のDPP−4阻害活性確認試験を行った。また、トリペプチドVal−Pro−Pro(以下「VPP」とする:配列番号2)、トリペプチドIle−Pro−Pro(以下「IPP」とする:配列番号3)、ジペプチドLeu−Tyr(以下「LY」とする:配列番号4)のDPP−4阻害活性確認試験を行った。なお、VPP、IPP及びLYは、上述の製造例2:MKPペプチド化学合成に準じて、調製したものである。
参考例1:各ペプチドのアンジオテンシン変換酵素阻害活性確認試験
また、表1に示すトリペプチドMKP、トリペプチドVPP、トリペプチドIPP及びジペプチドLYのACE阻害活性確認試験を行った。
Figure 2016136966
<ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害活性の測定方法>
ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−4)阻害の測定は、カトウらの方法「Kato, T. et al. Biochem. Med. 19, p351, 1978」に準じて行った。
具体的には、酵素(DPP-4)は Recombinant Human DPPIV/CD26 (R&D Systems, Inc.)、基質はH-Gly-Pro-AMC(Biomol GmbH)を用いて、酵素反応を行なった。
96穴マイクロプレート(nunc 137101)の各ウエルに、水又は各濃度の試験物質の水溶液または、HPLCの分画フラクションを添加し、Tris−HCl(0.25M,pH8.0)を20μl添加して全量を80μlに調製した。撹拌の後プレートを37℃のインキュベーターで約10分程度温め、DPP−4溶液10μlと、基質溶液10μlを添加し(全液量100μl)、撹拌して反応を開始した。酵素の代わりに水を添加したウエルをコントロールとした。
酵素反応の測定はマイクロプレートリーダー(SH-9000,コロナ電気(株))を用い、庫内温度を37℃に保った条件下で測定した(5分間隔、ex360nm/em460nm)。
蛍光強度の経時的な増加が直線的な期間(反応開始から30分以内)の蛍光強度の値から、下式により阻害活性を算出した陽性対象としてVildagliptin(JS Research Chemicals Trading 社)を用いた。
阻害率(%)=100%−[(Y−b)/(X−a)]×100%
X:水+酵素+基質
Y:試験物質+酵素+基質
a:水+基質
b:試験物質+基質
<IC50の濃度の求め方>
試験物質の濃度を段階的に希釈し(10〜2000μg/ml)、その阻害率を求めた。その結果を基に試験物質の添加濃度の対数(log10)と阻害率の間の関係式を求めた。
そしてこの関係式から酵素の阻害率が50%になる濃度を逆算することで、IC50を算出した。
<アンジオテンシン変換酵素阻害活性の測定方法>
アンジオテンシン変換酵素阻害(ACE阻害)の測定は、カッシュマンらの方法〔D.W. Cushman, H.S. Cheung, Biochemical Pharmacology, Vol 20(7), p1637-1648, 1971〕に準じて行った。
試料を0.1Mホウ酸緩衝液(0.3M NaClを含む、pH8.3)に溶解し、試験管に0.08ml入れた後、0.1Mホウ酸緩衝液(0.3M NaClを含む、pH8.3)で5mMに調整した酵素基質(ヒプリルヒスチジルロイシン、シグマ社製)0.2mlを添加し、37℃で3分間保温した。次いで、蒸留水を添加して0.1U/mlになるように調整したウサギ肺のアンジオテンシン変換酵素(シグマ社製)0.02mlを添加し、37℃で30分間反応させた。
その後、1N塩酸0.25mlを添加して反応を終了した後、1.7mlの酢酸エチルを加え、20秒間激しく撹件し、3000rpmで10分間遠心分離して、酢酸エチル層を1.4ml採取した。得られた酢酸エチル層を加熱して溶媒を除去した後、蒸留水を1.0ml添加し、抽出したヒプリル酸の吸収(228nmの吸光度)を測定して、これを酵素活性とした。
次の式から、阻害活性を求め、IC50[アンジオテンシン変換酵素の活性を50%阻害するために必要な試料濃度(μg/ml、又はμM)]を決定した。
阻害率=(A−B)/(A−C)×100%
A:試料(ペプチド)を含まない場合の酵素活性(228nmの吸光度)
B:試料添加の場合の酵素活性(228nmの吸光度)
C:酵素および試料を添加しない場合の酵素活性(228nmの吸光度)
本発明のペプチドMKPは、カゼイン加水分解物から単離することが可能なものであるので、安全性が高く、医薬品、食品、皮膚外用剤及び機能性食品等の幅広い分野に利用することが可能である。
また、本技術は、以下の構成をとることも可能である。
〔1〕Met−Lys−Proからなるペプチドを有効成分として含有するジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤、血糖低下剤、抗糖尿病剤、血管内皮障害抑制剤又は血管改善剤。
〔2〕ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤、血糖低下剤、抗糖尿病剤、血管内皮障害抑制剤又は血管改善剤の製造のための、Met−Lys−Proからなるペプチドの使用。
〔3〕ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害用食品、血糖低下用食品、抗糖尿病用食品、血管内皮障害抑制用食品又は血管改善用食品の製造のための、Met−Lys−Proからなるペプチドの使用。
〔4〕Met−Lys−Proからなるペプチドの、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤、血糖低下剤、抗糖尿病剤、血管内皮障害抑制剤又は血管改善剤への使用。
〔5〕Met−Lys−Proからなるペプチドの、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害用食品、血糖低下用食品、抗糖尿病用食品、血管内皮障害抑制用食品又は血管改善用食品への使用。
〔6〕ジペプチジルペプチダーゼ−IVに起因する疾患、高血糖状態に起因する疾患、糖尿病又は血管内皮障害若しくは血管障害に起因する疾患の、予防、改善又は治療のための、Met−Lys−Proからなるペプチド。
〔7〕Met−Lys−Proからなるペプチドを有効成分として、ジペプチジルペプチダーゼ−IVに起因する疾患、高血糖状態に起因する疾患、糖尿病又は血管内皮障害若しくは血管障害に起因する疾患の、予防、改善又は治療方法。
〔8〕ジペプチジルペプチダーゼ−IVに起因する疾患、高血糖状態に起因する疾患、糖尿病又は血管内皮障害若しくは血管障害に起因する疾患の、予防、改善又は治療における使用のための、Met−Lys−Proからなるペプチド。
〔9〕ジペプチジルペプチダーゼ−IVに起因する疾患、高血糖状態に起因する疾患、糖尿病又は血管内皮障害若しくは血管障害に起因する疾患の、予防、改善又は治療のための、Met−Lys−Proからなるペプチドの使用。
〔10〕前記ジペプチジルペプチダーゼ−IVに起因する疾患及び/又は症状が、高血糖症、糖尿病、糖尿病合併症、血管内皮障害及び血管障害から選ばれるものであるのが好適である。
〔11〕カゼインを加水分解して得られるMet−Lys−Proからなるペプチド及びその製造方法。
〔12〕カゼインを以下の工程にて分離精製して得られるMet−Lys−Proからなるペプチド及びその製造方法。
(a)加水分解酵素(好適にはエンドペプチダーゼ)にて行うこと。好適には10〜85℃、0.1〜48時間の条件下にて行う。
(b)その加水分解分解物を、クロマトグラフィーにて分離精製すること。好適にはイオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー等から選ばれる1種又は2種のものを使用。

Claims (4)

  1. Met−Lys−Proからなるペプチドを有効成分として含有するジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害用飲食品組成物。
  2. 血糖低下、抗糖尿病、血管内皮障害抑制又は血管改善に用いられる、請求項1に記載のジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害用飲食品組成物。
  3. Met−Lys−Proからなるペプチドを使用することを含むジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害用飲食品組成物の製造方法。
  4. ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害用飲食品組成物が、血糖低下、抗糖尿病、血管内皮障害抑制又は血管改善に用いられる、請求項3に記載の製造方法。
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