JP2016133518A - 光学素子及び光学素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】単一光源波長を透過する用途で用いられ、高い光利用効率を確保できる、外部環境に対して安定した光学素子及び光学素子の製造方法を提供する。
【解決手段】単一光源波長を持つ光源から出射した光束を透過する光学素子において、光学素子は、樹脂にガラスフィラーを混入してなる素材から形成されており、素材の成形によるピーク波長PK2の低下分を見込んで、予め単体の樹脂と、ガラスフィラーの光源波長に対する屈折率を適切に選定する。
【選択図】図5

Description

本発明は、例えば光通信等に好適に用いられる光学素子及び光学素子の製造方法に関する。
ルータ等のネットワーク装置、サーバ、大型コンピュータを含む様々な情報/信号処理装置において、情報/信号処理の大規模化、高速化が進んでいる。これらの装置においては、回路基板(ボード)におけるCPUおよびメモリ相互間、配線基板相互間、装置(ラック)相互間等における信号伝送は、従来から電気配線により行われてきた。しかし、伝送速度、伝送容量、消費電力、伝送路からの輻射、伝送路に対する電磁波の干渉等の観点における優位性から、上述の電気配線に代えて、光ファイバ等を伝送路として光により信号を伝送する、いわゆる光インタコネクションが実際に導入されはじめている。
このような光インタコネクションにおいては、電気信号を光信号に変換して光信号を送信する発光素子を含む光送信モジュール、および、光信号を受信し電気信号に変換する受光素子を含む光受信モジュール、あるいは、それらの両方の機能を有する光送受信モジュールが主要な光部品として用いられる。これらのモジュールを総称して、光モジュールという。
光モジュール間で、伝送チャネルを用いて並行して光信号を伝送することで、大容量の通信が可能になる。伝送チャネルとしては、光モジュール間で並行して光信号の送信/受信を行うために、光ファイバが用いられることが多い。よって、光ファイバと光モジュール間の光結合のため、一般的に光結合装置が用いられる。
ところで、光ファイバは基本的に可撓性を有するので、ある程度の曲げや弛みが許容されるが、一般的な光ファイバでは光の伝送効率を確保するために許容される曲げの最小径が規定されている。従って、設置スペースの制限等によって最小径以下の曲げが要求される場合には、光ファイバを切断した上で,切断された光ファイバ間で伝達される光束の光路を折り曲げて光結合を行う光結合装置を用いる方が、全体としてより効率的な収納につながることや光の伝送効率が高まることがある。このような光結合装置を用いるメリットは、光ファイバ同士に限らず、発光素子と光ファイバ或いは光ファイバと受光素子との間の光結合においても同様に生じうる。ここで、発光素子、光源、受光素子等を総称して、光素子という。
光素子間の光結合を行うために、光路を折り曲げる構造を持つ光コネクタが光結合装置に用いられることがある。このような光コネクタとしては、コネクタ内部で光軸を90°変更させるPT光コネクタ(JPCA−PE03−01−06Sで規格化)等が実用化されている。PT光コネクタは、多芯光ファイバテープ芯線などの多芯光ファイバと、フレキシブル配線基板上の光素子とを光結合する基板実装型の光コネクタである。
一方、近年において光通信情報量は増加の一途をたどっており、加えて情報の長距離・高速伝送が切望されている。ところが、従来から用いられているマルチモードファイバの場合、光ファイバのコア径として50μm・62.5μmのものが採用されており、光信号を複数のモードで伝送するため、信号の到達時間にズレが生じ、モード分散が発生するという問題がある。従って、モード分散によってデータ損失が発生するために、長距離・高速伝送は不向きとされている。
これに対し、シングルモードファイバはモードフィールド径9.2μmの極細径の光ファイバであり、光信号の伝播をひとつのモードにすることで、減衰を極力抑えることができるという利点がある。従ってマルチモードファイバのように多くのモードを使用する伝送方法と違い、信号の到達時間が単一であるため、モード損失の発生がなく、長距離・高速伝送に適していることから、シングルモードファイバが使用される機会が多くなってきた。
しかるに、シングルモードファイバを用いる際の課題の一つとして、そのモードフィールド径が9.2μmと小さいことから、光コネクタを用いて光ファイバと光素子とを光結合する際に、位置ずれの許容度が狭まり、すなわち組付の困難性が高まるということがある。特に問題となるのが、複数のコアを介して独立して情報を伝送できる多芯光ファイバと、複数の光素子とを単一の光コネクタを用いて光結合を行う場合である。このような用途に用いる光コネクタは、一般的に、個々の光ファイバと光素子とに光を伝播させるためのレンズ面を複数個有しているが、かかる光コネクタを樹脂から形成した場合、例えば環境温度変化による熱膨張によって、光ファイバの芯間距離と、レンズ面同士の間隔とにずれが生じ、これにより一部の光ファイバと光素子との間で光結合が行えなくなる恐れがある。その一方で、情報伝送時における光ロスを抑えるべく、光コネクタはある程度高い透明度(透過率)を確保する必要がなる。
かかる問題に対し、光コネクタの素材としてガラスを用いれば、高い透明度を有しつつ、光ファイバに対して熱膨張差が近づくので、光ファイバの芯間距離と、レンズ面同士の間隔とのずれを抑えることができる。ところが、ガラスは樹脂に比べて成形性が劣るため大量生産に不向きであり、コストの増大を招くという問題がある。
これに対し、特許文献1,2に示すように、樹脂にガラスフィラーを混入させることで、ガラスの特性に近づけた素材により光学素子を成形しようとする試みがある。
特開2006−312706号公報 特開2006−169324号公報
特許文献1,2によれば、樹脂にガラスフィラーを混入させることで機械的強度を高め、更には屈折率をガラスに近づけることで樹脂の透明度を確保する技術が開示されている。しかしながら、上述した従来技術に開示された素材は、例えば、電気機器や電子機器の表示部のカバー、自動車や建材に用いる板ガラスの代替品のような、透明性及び強度の両方の物性が要求される成形品用途に用いられるものであり、光通信などに用いられる単一光源波長の光を透過することによって生じる課題について、従来技術では言及されていない。
本発明は、上記した問題に鑑みてなされたものであり、単一光源波長を透過する用途で用いられ、高い光利用効率を確保でき、外部環境に対して安定した光学素子及び光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の光学素子は、単一光源波長を持つ光源から出射した光束を透過する光学素子において、
前記光学素子は、樹脂にガラスフィラーを混入してなる素材から形成されており、前記光源波長における前記樹脂の屈折率をnPとし、前記光源波長における前記ガラスフィラーの屈折率をnGとしたときに、以下の式を満たすことを特徴とする。
0.002<nP−nG (1)
以下、本発明の原理について説明する。本発明者らの事前検討において、樹脂素材へガラスフィラーを混入することで、波長に対して透過率が変化するようになり、最も透過率が高くなる波長(ピーク波長という)が生じるものの、それは混入量にかかわらず不変であると想定されていた。一方、光通信などに用いる光学素子の場合、光源波長が予め決まっているので、全波長帯域で透過率を確保する必要はないといえる。よって、単一光源波長用の光学素子の設計において、例えば線膨張係数を調整するために、ガラスフィラーを適宜混入した樹脂素材を用いるという方針が決まった。ところが、樹脂素材へのガラスフィラーの混入量を変えることで、光学素子の透過特性が大きく変化するという事象が判明した。この事象について、具体的に説明する。以下、本明細書中で、特に規定することなく「屈折率」というときは、常温時の屈折率をいうものとする。
本発明者らは、ポリカーボネートの樹脂素材に混入するガラスフィラーの量を0wt%、10wt%、20wt%、30wt%と変えて、厚さ3mmの平行平板を成形して試験片とし、それぞれ波長を変えた透過光を透過させることで、波長毎の透過率を調べた。その結果を図1に示す。
事前検討によれば、ガラスフィラーを適宜混入した樹脂素材を用いた光学素子の設計仕様として、透過光の波長を589nmとし、その際の透過率を87%で混入量によらず一定と見積もっていたが、図1に示すように、ガラスフィラー混入量が増大することに応じて透過率が低下することが判明した。更に詳しく調査したところ、ピーク波長が、ガラスフィラー混入量に応じてシフトすることがわかった。より具体的には、ガラスフィラーの混入量が0wt%である場合、波長によらず透過率はほぼ一定であるのに対し、混入量を10wt%とすると、ピーク波長が516nmとなり、その際の透過率は63%であり、混入量を20wt%とすると、ピーク波長が505nmとなり、その際の透過率は49%であり、混入量を30wt%とすると、ピーク波長が494nmとなり、その際の透過率は51%であることが確認された。
本発明者らは、設計仕様と実際の樹脂素材との間で、特性の差異が生じた原因につき考察した。図2は、ガラスフィラーを混入した樹脂を拡大して見た模式図である。樹脂PL内には、多数のガラスフィラーGFの棒状体片が組み重なるようにして配置されている。ここで、ガラスフィラーを混入した樹脂の成形工程を考えると、まずガラスフィラーを混入した樹脂は300℃前後に加熱され、120℃前後に加熱された金型内に射出されて固化した後、20℃前後の室温に放置される。このように樹脂の置かれた温度環境に応じて冷却が進行するが、その際に、混入されたガラスフィラーの拘束によって、その周囲にある樹脂の収縮が妨げられ、樹脂密度に偏りが生じると推認される。具体的に、例えば樹脂成形品の内部ではガラスフィラーの拘束が強く粗になり、一方、樹脂成形品の表面に近い部位ではガラスフィラーの拘束が弱く密になると推認される。してみると、ガラスフィラー自体はほぼ変性していないので、樹脂に比べれば屈折率変化は小さいのに対して、樹脂は密度に応じて局所的に屈折率が変化すると考えられる。尚、事前検討では、場所によらず樹脂自体の屈折率は一定であるとしていた。
図3は、縦軸に屈折率をとり、横軸に波長をとって示す図である。樹脂PL及びガラスフィラーGFの本来の屈折率/波長特性は、(例えば光源波長±100nmなど)狭い波長域に限定することを条件に、図3に示すように、いずれも透過光の波長λが高くなるにつれて屈折率nが低くなるようなリニアな特性(PCd,GC)であるものとし、一般的にはそれらの傾きが異なっているので、設計仕様でのピーク波長は、樹脂PLの屈折率/波長特性ラインPCdと、ガラスフィラーGFの屈折率/波長特性ラインGCが交差する点PK1の位置であると仮定して、光学素子の設計を行っていた。ところが、実際には、ガラスフィラーGFを混入することで樹脂PLの屈折率が局所的に変化すると推認されるから、樹脂PLの屈折率/波長特性は、図3でハッチングに示すように所定の範囲でばらついた広い帯状の領域PCrとなると考えられる。よってピーク波長は、帯状の領域PCrの中で最も多く分布する密度量からなる屈折率特性PCcと、ガラスフィラーGFの屈折率/波長特性ラインGCが交差する点PK2の位置であると推認される。つまり、設計仕様のピーク波長PK1に対して、実際にガラスフィラーを混入した樹脂からなる成形品のピーク波長PK2は、短波長側にシフトすることとなり、このとき波長に応じた透過率のバラツキRλを持つといえる(図3参照)。
また、成形品内部における屈折率分布が比較的大きい中に、ガラスフィラーGFが散りばめられているため、それぞれのガラスフィラーを透過する波長が異なることとなり、結果として、全体の透過率を下げる1つの要因となっていると推認される。
図4は、縦軸に透過率をとり、横軸に波長をとって、ガラスフィラーを混入した樹脂の特性を模式的に示した図であるが、ここではピーク波長PK2を中心としバラツキRλの範囲に分布している。図3に示したように、素材に入射する光束の設計波長(光源波長)OWに対してピーク波長PK2が、波長Δλだけ低下すると、図4の分布に従い透過率がΔTrだけ低下してしまうことが分かる。
以上の検討結果から、本発明者らは、樹脂と、混入するガラスフィラーのそれぞれの屈折率/波長特性を工夫することで、上述した問題を解消できることを見出した。すなわち、例えばより屈折率の低いガラスフィラーを用いることで、樹脂を変えずともピーク波長を調整できることに思い至ったのである。より具体的には、図3に示すように、より屈折率が低いガラスフィラーGFの屈折率/波長特性ラインGCkが、帯状の領域PCrのガラスフィラーと接している特性PCcと点PK3で交差するとしたときに、設計波長に対して横軸において重なるようにすれば、設計波長に対してピーク波長のずれを抑制できる。かかる場合、明らかであるが、樹脂単体での特性ラインPCdと、ガラスフィラーの特性ラインGCkは、設計波長OWよりも高波長側(所望の波長側)で交差することになる。あるいは逆にガラスフィラーを変えずとも、光源波長における屈折率がガラスフィラーよりもある程度高い樹脂を予め選ぶことにより、設計波長に対するピーク波長のずれを抑制できる。
つまり、素材の成形により生じる設計波長からのピーク波長PK2の低下分Δλ(図4)を見込んで、予め単体での樹脂と、それに混入するガラスフィラーとにおける光源波長に対する屈折率を適切に選定しておくことで、図5に示すように、光学素子を成形する素材の屈折率分布を所望の波長側(図5においては高波長側)にシフトさせ、それにより設計波長OWに対してピーク波長PK2を一致させることができるので、透過率の低下を抑制できるのである。尚、樹脂側の屈折率/波長特性を変えても良いし、双方の屈折率/波長特性を変えても良い。又、ピーク波長PK1,PK2とは完全に一致しなくても、その差が小さければ効果がある。
被写体光の透過やカラー画像の表示などを目的とした光学素子用途の場合には可視光領域の全波長域が必要となるため、ガラスフィラーと樹脂との屈折率が全波長域においてできるだけ同じになるような材料を選定することが考えられる。しかしながら、本発明においては単一光源を用いるため、被写体光の透過やカラー画像の表示などを目的とした光学素子用途のようにガラスフィラーと樹脂との屈折率が全波長域においてできるだけ同じにしなくて済み、従って、光源波長における樹脂の屈折率をnPとし、光源波長におけるガラスフィラーの屈折率をnGとしたときに、樹脂が予想より屈折率が下がることを見込んで、以下の式を満たすことで、上述した効果を得ることができるといえる。又、本発明の光学素子が用いられる使用温度範囲は、−20℃〜85℃の範囲であると好ましく、この範囲で(1)式を満たせば足りる。
0.002<nP−nG (1)
請求項2に記載の光学素子は、単一光源波長を持つ光源から出射した光束を透過する光学素子において、
前記光学素子は、樹脂にガラスフィラーを混入してなる素材から形成されており、前記光源波長における前記樹脂の屈折率をnPとし、前記光源波長における前記ガラスフィラーの屈折率をnGとしたときに、以下の式を満たすことを特徴とする。
0.002<nP−nG<0.006 (1)′
上述したように、波長変化に応じて樹脂はガラスフィラーに比べ屈折率が下がるから、光源波長における樹脂の屈折率をガラスの屈折率よりも高くする為に、(1)’式の下限を規定した。更にピーク波長のずれが、あまり大きくならないように、(1)’式で上限を規定した。これにより設計波長に対してピーク波長をより精度良く一致させることができるので、透過率の低下を抑制できる。
請求項3に記載の光学素子は、請求項1又は2に記載の発明において、前記素材の透過率は、前記光源波長の光を入射させたときに最も高くなることを特徴とする。
これにより、光学素子使用時における光の透過率を最大とすることができる。
請求項4に記載の光学素子は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記樹脂の透過率は、厚さ3mmの平行平板に成形した状態で、前記光源波長の光に対して50%以上であることを特徴とする。
本発明者らの検討結果によれば、前記樹脂の透過率を、厚さ3mmの平行平板に成形した状態で、前記光源波長の光に対して50%以上とすると、その両面に反射防止コートを施すことで、片面5%程度の透過率向上が期待できるから、トータルで透過率60%(内部吸収分40%)を確保できる。実際の光学素子は、光学素子内を通る光線経路の長さが1mm相当であることが多いので、内部吸収分は13%(40%/3mm)となり、すなわち製品透過率は87%を得られることとなって好ましい。
請求項5に記載の光学素子は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記樹脂は、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリオレフィン系樹脂、透明ポリアミド(PA)、ポリサルホン(PSU)/ポリフェニレンサルホン(PPSU)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のいずれかであることを特徴とする。
このような樹脂は透明性に優れ、ガラスフィラーとの相性も良いので、光学素子の素材として好適である。
請求項6に記載の光学素子は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記ガラスフィラーの混入量は2〜40wt%であることを特徴とする。
前記ガラスフィラーの混入量を2wt%以上とすることで、線膨張係数を調整するのに十分な効果を得ることが出来、一方、前記ガラスフィラーの混入量を40wt%以下とすることで、射出ができなくなるなど成形性が悪くなるなど成形性が悪くなるような悪影響を回避できる。又、前記ガラスフィラーの混入量が多すぎても、線膨張係数の調整の効果が薄いという側面もある。
請求項7に記載の光学素子は、請求項1〜6に記載の発明において、前記ガラスフィラーはガラスファイバであることを特徴とする。
微細な棒状体であるガラスファイバは、樹脂に混入することにより線膨張係数を調整しやすいという効果がある。
請求項8に記載の光学素子は、請求項7に記載の発明において、前記ガラスファイバの形状は、断面がφ5〜50μmであり、長さが10〜500μmである棒状体であることを特徴とする。
これにより一般的なガラスファイバを利用することができる。
請求項9に記載の光学素子は、請求項1〜8のいずれかに記載の発明において、前記光源波長は、850±150nm、1310±150nm、1550±150nmのいずれかであることを特徴とする。
このような光源波長は光通信にて多用されるので、これに対応できることが好ましい。
請求項10に記載の光学素子は、請求項1〜9のいずれかに記載の発明において、前記光学素子は、光通信に用いられることを特徴とする。
請求項11に記載の光学素子の製造方法は、単一光源波長を持つ光源から出射した光束を透過し、且つ樹脂とガラスフィラーとを混入してなる素材から形成される光学素子の製造方法であって、
前記光源波長におけるサンプル樹脂の設計値としての屈折率と、前記サンプル樹脂とサンプルガラスフィラーとを混入した場合の前記光源波長における前記サンプル樹脂の屈折率との差分dを求める工程と、
前記光源波長において実際に成形に用いる樹脂と実際に成形に用いるガラスフィラーとの屈折率差γが以下の式を満たすような樹脂とガラスフィラーとを混入する混入工程と、
d−0.03≦γ≦d+0.03 (2)
前記混入した素材を金型に形成されたキャビティ内に注入する工程と、
前記金型内で前記混入した素材を冷却し光学素子を成形する工程と、
前記成形した光学素子を取り出す工程と、
を有することを特徴とする。
前記光源波長におけるサンプル樹脂の設計値としての屈折率と、前記サンプル樹脂とサンプルガラスフィラーとを混入した場合の前記光源波長における前記サンプル樹脂の屈折率との差分dを求め、前記光源波長において実際に成形に用いる樹脂と実際に成形に用いるガラスフィラーとの屈折率差γが式(2)を満たすような樹脂とガラスフィラーとを混入して光学素子の成形を行うことで、上述したように設計波長に対するピーク波長のずれを抑制できる。
尚、ガラスフィラーの屈折率はほとんど変わらないので、サンプル光学素子の屈折率≒ガラスフィラーの屈折率と近似するものとする。又、サンプル光学素子のピーク波長においては、サンプルガラスフィラーの屈折率とサンプル樹脂の屈折率は略等しい。サンプル樹脂とサンプルガラスフィラーとを混入させる割合と、屈折率差γが式(2)を満たすような樹脂とガラスフィラーとを混入させる割合とは同じであることが好ましいが、樹脂に対するガラスフィラーの混入割合が、wt%で比較してサンプル成形時の混入割合±10%の範囲であれば、ある程度の効果を得ることができる。サンプル成形工程と数値d、を求める工程は必ずしも実際の製造を要求されるものではなく,例えばシミュレーション上でもよい。
請求項12に記載の光学素子の製造方法は、請求項11に記載の発明において、前記サンプル樹脂と前記サンプルガラスフィラーとの混入は、互いに近い又は同じ屈折率を有する材料を混入させることを特徴とする。これにより本発明の効果が高まる。
請求項13に記載の光学素子の製造方法は、請求項11又は12に記載の発明において、前記サンプル樹脂と前記サンプルガラスフィラーとの混入は、前記サンプル樹脂と前記サンプルガラスフィラーとを所定の割合で混入し、
前記実際に成形に用いる樹脂と前記実際に成形に用いるガラスフィラーとの混入においても、前記所定の割合で混入することを特徴とする。これにより本発明の効果が高まる。尚、所定の割合とは、透過率や線膨張係数において要求性能を達成できる割合であればよい。通常は2〜40wt%のガラスフィラーを含有させる。
「単一光源波長」というときは、特定の目的に使用する光源波長が単一であることを意味し、例えば光通信等において、上り通信と下り通信とで同じ光学素子を用いる場合でも光源波長が異なる場合があり、かかる場合には、上り通信時の光源波長が単一であり、また下り通信時の光源波長が単一であるという意味である。
ガラスフィラーとしては、汎用的なEガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、石英ガラスなどを用いてもよく、例えば二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化カルシウム(CaO)、酸化チタン(TiO2)、酸化ホウ素(B23)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化バリウム(BaO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化リチウム(Li2O)、酸化ナトリウム(Na2O)、酸化カリウム(K2O)などから選択して、それぞれ比率を適宜調整したものを用いることができる。
本発明では、ガラスフィラーとして、ガラス繊維(ガラスファイバ)、ガラスパウダー、ガラスフレーク、ミルドファイバ又はガラスビーズなどを用いることができる。以下に述べる実施の形態及び実施例では、ガラスフィラーを代表してガラスファイバについて説明する。
ガラスファイバは、従来公知のガラス長繊維の紡糸方法を用いて得ることができる。例えば、溶融炉でガラス原料を連続的にガラス化してフォアハースに導き、フォアハースの底部にブッシングを取り付けて紡糸するダイレクトメルト(DM)法、又は、溶融したガラスをマーブル、カレット、棒状に加工してから再溶融して紡糸する再溶融法等の各種の方法を用いてガラスを繊維化することができる。
ガラスファイバの径は特に限定されないが、φ5〜50μmのものが好ましく用いられる。Φ5μmよりも細い場合には、ガラスファイバと樹脂との接触面積が増大して乱反射の原因となり、成形品の透明性が低下する場合がある。φ50μmよりも太い場合には、射出成形時の充填圧力が高くなり、ひいては金型への転写不足に繋がる場合がある。更に好ましくは、φ10〜φ45μmである。
尚、ガラスフィラーとしては、光源波長よりも大きなサイズの粒子が、全体の90%以上(好ましくは95%以上)であることが重要である。これまでも、例えば直径が30nm以下の粒子を混入した樹脂素材を用いて光学素子を成形する試みはあったが、この樹脂素材中では粒子が凝集しやすいという問題や、粒子の表面積が増大して樹脂素材が固くなりがちで成形が困難という問題や、更には粒子の表面積が増大して親水性が高まり、成形した光学素子の吸水率が増大して光学特性が変化するという問題があった。一方、ガラスフィラーを光源波長より大きな粒子とすることで、かかる課題を解消できる。
ここで「光学素子」としては、例えばレンズ、プリズム、回折格子素子(回折レンズ、回折プリズム、回折板)、光学フィルター(空間ローパスフィルター、波長バンドパスフィルター、波長ローパスフィルター、波長ハイパスフィルター等々)、偏光フィルター(検光子、旋光子、偏光分離プリズム等々)、位相フィルター(位相板、ホログラム等々)があげられるが、以上に限られることはない。
本発明によれば、単一光源波長を透過する用途で用いられ、高い光利用効率を確保でき、外部環境に対して安定した光学素子及び光学素子の製造方法を提供することができる。
ガラスファイバの混入量を変更した樹脂において、透過光のピーク波長がずれ透過率が低下傾向にあることを示す図である。 ガラスファイバを混入した樹脂を拡大して見た模式図である。 ガラスファイバの混入量を変更した樹脂において、透過光のピーク波長がずれ透過率が低下する原因を説明するための図である。 ガラスファイバの混入量を変更した樹脂において、温度変化により透過光のピーク波長がずれ透過率が低下傾向にあることを示す図である。 本発明の原理を説明するための図である。 本実施の形態にかかる光結合装置100を分解した状態で示す斜視図である。 光結合装置100の1つの光軸に沿った断面図である。 光結合装置100に用いる光路変更素子120の斜視図である。 光路変更素子120の拡大断面図である。 光路変更素子を、ガラスファイバを混入した樹脂により成形する工程を示す図である。 実施例に対応して、ピーク波長ずれを抑えるために必要なガラスファイバの屈折率を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図6は、本実施の形態である光学素子としての光路変更素子を有する光結合装置100を分解した状態で示す斜視図である。図7は、光結合装置100の光軸に沿った断面図である。図8は、光結合装置100に用いる光路変更素子120の斜視図である。図9は、光路変更素子120の拡大断面図である。以下に示す構成は概略図であり、形状や寸法等は実際と異なるものがある。
図6、7に示すように、光結合装置100は、光モジュール110と、光路変更素子120と、光コネクタ130とから構成されている。光モジュール110は、ここでは光を送信する機能を有し、大容量サーバ等の背面に複数枚積層されて差し込まれる基板に設置可能なものである。基板自体を光モジュール110としても良い。光モジュール110は、矩形状であって上面が平面である台板111上に、複数の発光素子であるVCSELタイプの半導体レーザ112を1列に配置してなる。半導体レーザ112の光源波長は、850nm、1310nm、1550nmのいずれかである。台板111上において、半導体レーザ112の並び方向両端近傍には、円筒状のピン113が配置されている。尚、半導体レーザ112の周囲に、光路変更素子120を位置決めするための凹凸等を形成しても良い。光モジュール110のNAは0.1〜0.6である。
光コネクタ130は、樹脂で形成される本体部131を備え、光ファイバ132に連結され、これを保持する機能を有している。
光ファイバ132として、例えば、全石英型のマルチモード型光ファイバ、あるいはシングルモード型光ファイバ等を用いることができる。光ファイバ132の形態としては、例えば、単心光ファイバを用いても良いが、ここでは複数本の光ファイバを有する多芯光ファイバテープ(リボン)が用いられている。
本体部131は、厚めの矩形板状に成形され、図6で上方から見て一辺が矩形状に切り欠かれて凹部131aを形成している。本体部131の凹部131aと反対側には、図7に示すように、光ファイバ132を挿入する挿入孔131bが形成されている。挿入孔131bは、光ファイバ132の被覆としての保護部132aを収容可能なように幅広の矩形形状断面を持つ。挿入孔131bの底面から凹部131aに向かって、複数の細い貫通孔131cが形成されている。貫通孔131cには、光ファイバ132の被覆を除去されたファイバ素線132bの先端部が挿通されている。
貫通孔131cが露出した凹部131aの底面131dは、本体部131の下面131eに対して直交している。又、図6に示すように、凹部131aを挟むようにしてその両側に、ピン113と同径である円形開口131fが一対形成されている。
図8、9において、光路変更素子120は,後述するようにしてガラスファイバを所定量混入した樹脂により一体的に形成されている。光路変更素子120は、細長い三角プリズム状の形状を有し、第1面121と、第2面122と、第3面123と、を有している。第1面121と第3面123とは直交している。なお、光路変更素子120の光軸方向(OA1、OA2方向)の大きさは、10mm以下であることが小型化の観点で好ましい。又、光ファイバを曲げた際の最小径よりも小型にすることができるという観点から、その大きさを5mm以下にすることが更に好ましい。但し、光学素子内を通る光線経路の長さは1mm程度であることが好ましく。光線経路の長さを1mmより小さくする場合には透過率の低い材料を使うことも可能となるため好ましく、逆に光線経路の長さを1mmよりも大きくする場合には透過率の高い材料を用いることで光路偏光素子として十分な透過率を確保することができる。
第1面121は平面であって、光モジュール110の半導体レーザ112から出射した光束を入射する機能を有する。第2面122は、複数個一列に並べて設けた反射面122aと、反射面122aの周囲に形成された平面状の繋ぎ面122bと、繋ぎ面122bの周囲を囲むようにして第2面122の外周に形成された矩形枠状の突出部122cとを有する。繋ぎ面122bと突出部122cとの間には斜面122dが形成されていると好ましい。第3面123は平面であって、反射面122aから反射した光束を透過する機能を有する。
反射面122aは,繋ぎ面122bから突出してなる同一形状をそれぞれ有し、具体的には正面から見て楕円形状であって、円錐状の発散光束が入射したときに光軸を90°折り曲げて円錐状の収束光束を反射できるようなアナモフィックな自由曲面を有する。図8の例においては、一方向が楕円形状であるトロイダル面(広義のアナモフィック面)となっている。これにより、収差をほぼなくすことができる。反射面122aの並び間隔は、光モジュール110の半導体レーザ112の並び間隔、及び貫通孔131c内に挿通されたファイバ素線132bの並び間隔に等しくなっている。反射面122aの並び方向は、1つの反射面122aの2つの光軸を含む面に直交する方向である。なお、反射面122aの外周縁における接平面と光軸とのなす角度(鋭角)は通常75度以下となる。突出部122cと反射面122aとの距離は、結合効率に影響を与えないという観点から0.05mm以上であることが好ましい。
突出部122cの繋ぎ面122bからの高さは全周において一様であり、反射面122aの突出量よりも大きくなっている。従って、図9に示すように、突出部122cの全周(ここでは平面部)に接するような仮想平面VPを規定したとき、仮想平面VPは反射面122aに接することはない。又、仮想平面VPは反射面122aの任意の点(この例では光軸上の点PTであるが、少なくとも反射面122aの外周縁より内側の点であれば足りる)における接平面に平行となっている。
図9において、1つの反射面122aにおける、光モジュール110側の光軸をOA1とし、光コネクタ130側の光軸をOA2とすると、光軸OA1,OA2は反射面122a上で直交している。第1面121から反射面122aまでの光軸OA1に沿った距離(又は第3面123から反射面122aまでの光軸に沿った距離)をAとし、反射面122aの光軸OA1上の点PTから仮想平面VPまでの距離をBとしたときに、以下の式を満たす。なお、距離Aは通常0.0625mm以上2.9mm以下となる。
B/A<1.0 (2)
光路変更素子120は、仮想平面VPに重なるようにして、平行平板状のカバー部材125を、突出部122cの全周に接着している。カバー部材125は遮光性の部材であると、光路変更素子120の劣化を抑制でき、外部からの光がレンズ内部に侵入することを防げるため、好ましい。カバー部材125を設けることで反射面122aとの間に隙間が生じ、カバー部材125が反射面122aを傷つけたり、また反射面122aに反射膜が成膜されているような場合にも、それを傷つける恐れがない。加えて、仮想平面VPに重なるようにしてカバー部材125を設けることができるため、光結合装置100を設けた基板を積層するような場合にも積層方向の小型化に貢献することができる。更に、カバー部材125により反射面122aを密閉空間に封止することで、異物の付着等、反射面122aを外部環境の悪影響から保護することができる。また、反射面122aと仮想平面VPとの隙間を樹脂により封止して異物の付着や結露の防止を行っても良い。カバー部材125または樹脂による封止は必ず行わなければならないわけではないが、上述の理由で、カバー部材125または樹脂による封止を行うことが好ましい。図9に示すように、カバー部材125は、光路変更素子120に取り付けたときに、光路変更素子120より外側に突出しない形状であると、光結合装置100を小型化できるので好ましい。
(光路変更素子の成形)
図10は、光路変更素子の樹脂による成形工程を示す図である。図10(a)に示すように、第1型MD1は、斜面MD1a、MD1bからなるV溝状の転写面を有する。一方、第2型MD2は、光学面転写面MD2aと、繋ぎ面転写面MD2bと、突出部転写面MD2cとを有する。尚、第2型MD2の端面では,点線で示すように突出部転写面MD2cが局所的に拡大している。第1型MD1と第2型MD2は型締めした状態で、紙面垂直方向の両端がゲートを除き閉じている。
ここでは、樹脂に対してガラスファイバ2〜40wt%を混入してなる素材を用いて光路変更素子を成形する。細長い棒状のガラスファイバを破砕し、2〜40wt%の割合で樹脂材料と混ぜ、混ぜた材料を射出成形機にいれて射出成形を行う。光源波長における樹脂の屈折率をnPとし、光源波長におけるガラスファイバの屈折率をnGとしたときに、以下の式を満たすように、樹脂にガラスファイバを混入して樹脂素材とする。また、wt%とは重量%のことを意味する。
0.002<nP−nG (1)
但し、以下の式を満たすとより好ましい。
0.002<nP−nG<0.006 (1)′
樹脂の透過率は、厚さ3mmの平行平板に成形した状態で、光源波長において50%以上であると好ましい。尚、ガラスファイバの形状は、断面がφ5〜50μmであり、長さが10〜500μmである棒状体であると好ましい。
図10(a)に示すように、第1型MD1の下面と第2型MD2の上面を密着するように型締めし、不図示のゲートから溶融した樹脂素材を、第1型MD1と第2型MD2のキャビティ内へと流し込む。このとき、ゲートの位置は、第1型MD1又は第2型MD2の端面(図10にて一部点線で示す紙面垂直方向の端面)内のいずれかにあることが望ましい。
第1型MD1の斜面MD1aにより、光路変更素子120の第1面121が転写成形され、斜面MD1bにより第3面123が転写成形される。一方、第2型MD2の型上の光学面MD2aにより、光路変更素子120の反射面122aが転写成形され、繋ぎ面転写面MD2bにより繋ぎ面122bが転写形成され、突出部転写面MD2cにより突出部122cが転写成形される。突出部転写面MD2cは、型上の光学面MD2aから離間しているので、突出部転写面MD2cによる突出部122c成形時の悪影響が、光学面転写面MD2aにより成形される反射面122aに及ぶ恐れが少なく、反射面122aの形状を精度良く維持できる。
樹脂素材の固化後、図10(b)に示すように、第1型MD1と第2型MD2を型開きすることで、成形された光路変更素子120を取り出すことができる。本実施の形態によれば、光路変更素子120の第1面121と第3面123が平面であるので、単一の第1型MD1を用いても容易に離型が可能となる。
次に、別の実施の形態にかかる光学素子の製造方法を説明する。まず、光源波長におけるサンプル樹脂の設計値としての屈折率と、このサンプル樹脂とサンプルガラスフィラーとを混入した場合の光源波長におけるサンプル樹脂の屈折率との差分dを求める。次いで、光源波長において実際に成形に用いる樹脂と、実際に成形に用いるガラスフィラーとの屈折率差γが式(2)を満たすような樹脂とガラスフィラーとを混入して素材とする。
d−0.03≦γ≦d+0.03 (2)
更に、混入した素材を金型に形成されたキャビティ内に注入し、この金型内で混入した素材を冷却し光学素子を成形し、その後に成形した光学素子を取り出すものである。
ここで、サンプル樹脂とサンプルガラスフィラーとの混入は、互いに近い又は同じ屈折率を有する材料を混入させると好ましい。更に、サンプル樹脂とサンプルガラスフィラーとの混入は、前記サンプル樹脂と前記サンプルガラスフィラーとを所定の割合で混入し、実際に成形に用いる樹脂と実際に成形に用いるガラスフィラーとの混入においても、所定の割合で混入すると好ましい。尚、(2)式の数値dにつては、ガラスフィラーの屈折率特性は成形の前後でほぼ変わらないため、サンプル光学素子のピーク波長におけるサンプル樹脂の屈折率と、ピーク波長におけるサンプルガラスフィラーの屈折率との差分と近似して数値dを算出しても良い。
以下、上述した実施の形態に用いることができる実施例を説明する。
本発明者らは、光源波長を587nmとしたときに、屈折率nP=1.583であるサンプル樹脂としてのPC(ポリカーボネート)材に、屈折率nG=1.581であるサンプルガラスフィラーとしてのHOYA株式会社製のガラスファイバ(製品名E−FL5)を、混入量を変えつつ混入して、比較例2を作製した。その混入量と、ピーク波長、ピーク波長ずれ量、ピーク波長におけるサンプルガラスフィラーの屈折率nG、ピーク波長におけるサンプル樹脂の屈折率nG、光源波長を587nmとしたときの(nP−nG)との関係とを表1に示す。但し、混入量0wt%の場合は、PC材そのものである。表1より、例えば、30wt%の場合には、設計値と成形品における樹脂の屈折率のずれ量は0.04であることがわかる。これは以下の理由による。即ち、ガラスファイバの屈折率特性は成形品前後でほとんど変わっていないため、ピーク波長(494nm)におけるnG(1.591)が成形品における樹脂の屈折率と近似でき、ピーク波長における設計値としての樹脂の屈折率特性は1.591であるため、設計値と成形品とで0.04の差が生じていることが分かるためである。樹脂の含有量や材料の種類によってこの数値は若干変化し得るが、式(1)の範囲内(特に式(1)′の範囲内)であれば、ピーク波長ずれ量を抑制できるという効果を少なくとも得ることができる。
更に、同じサンプル樹脂としてのPC材に、屈折率nG=1.583であるサンプルガラスフィラーとしてのガラスファイバを混入させて、比較例1を作製した。又、同じサンプル樹脂としてのPC材に、屈折率nG=1.579であるサンプルガラスフィラーとしてのガラスファイバを混入させて、実施例1を作製した。これら比較例と実施例を、表2にまとめて示す。尚、表2に示す比較例と実施例では、ガラスファイバの混入量を30wt%としている。
光の利用効率を高めるためには、光源波長(587nm)に対して光学素子のピーク波長を一致させることが望ましい。これに対し比較例1の場合、サンプルガラスフィラーの屈折率は光源波長587nmで1.583であり、サンプル樹脂の屈折率と等しいから、nP−nG=0となるが、ピーク波長のずれ量は186nmとなって、大きくなりすぎる。この理由は、ガラスフィラーの屈折率は波長変化に対してその変化量が少ないのに対し、樹脂の屈折率は波長変化に対してその変化量が比較的大きくなるからであると推認される。つまり、光源波長でnP−nG=0であれば、波長の変化に従って両者の屈折率が大きく異なってしまうことが問題となる。そこで、光源波長時におけるnP−nGの値を正の値にすることで、かかる問題を解消できる。但し、正の値であっても適正な範囲でなくては十分な効果が得られない。例えば比較例2の場合、光源波長587nmでnP−nG=0.002であるが、このときのピーク波長のずれ量は93nmとなって、若干大きいといえる。
これに対し、実施例1においては、光源波長587nmでnP−nG=0.004であるから、ピーク波長のずれをゼロとすることができる。以上より、光源波長587nmにおいて屈折率nP=1.583であるサンプル樹脂に、屈折率nG=1.579のサンプルガラスファイバを混入すると、図11に示すように、理論上ピーク波長ずれがゼロとなることがわかった。このとき、屈折率変化量は0.004である。
本発明は、明細書に記載の実施例に限定されるものではなく、他の実施例・変形例を含むことは、本明細書に記載された実施例や思想から本分野の当業者にとって明らかである。例えば、本発明の光学素子は、光通信に限らず、小型のプロジェクタのコリメータ等や光ピックアップ装置にも用いることができる。
100 光結合装置
110 光モジュール
111 台板
112 半導体レーザ
113 ピン
120 光路変更素子
121 第1面
122 第2面
123 第3面
125 カバー部材
130 光コネクタ
131 本体部
131a 凹部
131b 挿入孔
131c 貫通孔
131d 底面
131e 下面
131f 円形開口
132 光ファイバ
132a 保護部
132b ファイバ素線

Claims (13)

  1. 単一光源波長を持つ光源から出射した光束を透過する光学素子において、
    前記光学素子は、樹脂にガラスフィラーを混入してなる素材から形成されており、前記光源波長における前記樹脂の屈折率をnPとし、前記光源波長における前記ガラスフィラーの屈折率をnGとしたときに、以下の式を満たすことを特徴とする光学素子。
    0.002<nP−nG (1)
  2. 単一光源波長を持つ光源から出射した光束を透過する光学素子において、
    前記光学素子は、樹脂にガラスフィラーを混入してなる素材から形成されており、前記光源波長における前記樹脂の屈折率をnPとし、前記光源波長における前記ガラスフィラーの屈折率をnGとしたときに、以下の式を満たすことを特徴とする光学素子。
    0.002<nP−nG<0.006 (1)′
  3. 前記素材の透過率は、前記光源波長の光を入射させたときに最も高くなることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子。
  4. 前記樹脂の透過率は、厚さ3mmの平行平板に成形した状態で、前記光源波長の光に対して50%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学素子。
  5. 前記樹脂は、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリオレフィン系樹脂、透明ポリアミド(PA)、ポリサルホン(PSU)/ポリフェニレンサルホン(PPSU)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学素子。
  6. 前記ガラスフィラーの混入量は2〜40wt%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学素子。
  7. 前記ガラスフィラーはガラスファイバであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学素子。
  8. 前記ガラスファイバの形状は、断面がφ5〜50μmであり、長さが10〜500μmである棒状体であることを特徴とする請求項7に記載の光学素子。
  9. 前記光源波長は、850±150nm、1310±150nm、1550±150nmのいずれかであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光学素子。
  10. 前記光学素子は、光通信に用いられる光学面がアレイ状に並んだ光学素子であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光学素子。
  11. 単一光源波長を持つ光源から出射した光束を透過し、且つ樹脂とガラスフィラーとを混入してなる素材から形成される光学素子の製造方法であって、
    前記光源波長におけるサンプル樹脂の設計値としての屈折率と、前記サンプル樹脂とサンプルガラスフィラーとを混入した場合の前記光源波長における前記サンプル樹脂の屈折率との差分dを求める工程と、
    前記光源波長において実際に成形に用いる樹脂と実際に成形に用いるガラスフィラーとの屈折率差γが以下の式を満たすような樹脂とガラスフィラーとを混入する混入工程と、
    d−0.03≦γ≦d+0.03 (2)
    前記混入した素材を金型に形成されたキャビティ内に注入する工程と、
    前記金型内で前記混入した素材を冷却し光学素子を成形する工程と、
    前記成形した光学素子を取り出す工程と、
    を有することを特徴とする光学素子の製造方法。
  12. 前記サンプル樹脂と前記サンプルガラスフィラーとの混入は、互いに近い又は同じ屈折率を有する材料を混入させることを特徴とする請求項11に記載の光学素子の製造方法。
  13. 前記サンプル樹脂と前記サンプルガラスフィラーとの混入は、前記サンプル樹脂と前記サンプルガラスフィラーとを所定の割合で混入し、
    前記実際に成形に用いる樹脂と前記実際に成形に用いるガラスフィラーとの混入においても、前記所定の割合で混入することを特徴とする請求項11又は12に記載の光学素子の製造方法。
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