JP2016132629A - 口蹄疫ウイルスと反応する抗体 - Google Patents

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Abstract

【課題】口蹄疫ウイルスの7つの血清型(O、A、C、Asia1、SAT1、SAT2およびSAT3)全てと反応する新規な抗体を提供する。
【解決手段】受託番号NITE P−01972で特定されるハイブリドーマによって産生される抗体。
【選択図】なし

Description

本発明は、口蹄疫ウイルスと反応する抗体に関する。より詳細には、口蹄疫ウイルスの7つの血清型(O、A、C、Asia1、SAT1、SAT2およびSAT3)全てと反応する抗体に関する。
口蹄疫ウイルス(foot and mouth disease virus:FMDV)は、家畜の伝染病の1つである。口蹄疫ウイルスは、鯨偶蹄目(例えばウシ、ブタ、シカ、ヒツジ、ヤギなど)に属する動物を主な宿主としており、日本ではその感染疾患が家畜伝染病予防法において家畜伝染病(旧法定伝染病)に指定されている。口蹄疫ウイルスは、周囲環境において容易に不活性化しないため伝播性が高く、感染した家畜の生産性を著しく低下させ、感染した幼獣において高い致死率を示す。特に高い伝播性に起因して、口蹄疫ウイルスに感染した家畜は、感染が確認され次第、日本内では家畜伝染病予防法に基づいて殺処分に処される。また、口蹄疫ウイルスに感染した家畜が発見された地域、国家には家畜の移動制限が加えられるため、口蹄疫ウイルスは、畜産業に非常な経済的打撃を与え得る病原体として、世界的に認識されている。
日本では口蹄疫ウイルスに感染した個体は、2000年までおよそ1世紀にわたって確認されていなかった。しかし、2000年および2010年に、口蹄疫ウイルスに感染した個体が確認された。このため、口蹄疫の流行に対する対処法を確立することの重要性が明らかに高まっている。上記対処法として最も重要なのは、感染の疑いのある家畜が、口蹄疫ウイルスに感染しているか否かを決定することである。
一般的な決定方法としては、RT−PCRによって口蹄疫ウイルスの遺伝子を検出する方法である。この方法では、遺伝子の増幅が認められれば、陽性(口蹄疫ウイルスに感染している)と決定されるが、迅速かつ正確に決定するという点では、単独にRT−PCRを利用する方法は好ましくない。そこで、他の抗原検出法(ELISAまたはイムノクロマトグラフィーなど)を利用(併用)して口蹄疫ウイルスの検出する方法が検討されている(例えば、本発明者らによる非特許文献1)。
口蹄疫ウイルスは、7つの血清型(O、A、C、Asia1、SAT1、SAT2およびSAT3)に分類される。非特許文献1には、7つ全ての血清型と反応する抗体が記載されている。
K. Morioka et al., Journal of Clinical Microbiology, Vol.47, No.11, p.3663-3668 (2009)
より高精度に口蹄疫の検出するために、抗口蹄疫ウイルス抗体のさらなる開発が望まれる。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、口蹄疫ウイルスの7つ全ての血清型を認識することができる抗口蹄疫ウイルス抗体を産生するハイブリドーマの作製に成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(8)を提供する。
(1)受託番号NITE P−01972で特定されるハイブリドーマによって産生される抗体。
(2)受託番号NITE P−01972で特定される抗体産生用ハイブリドーマ。
(3)上記(1)に記載の抗体を含む口蹄疫ウイルス検出キット。
(4)口蹄疫ウイルスの血清型O、A、C、Asia1、SAT1、SAT2およびSAT3の何れとも反応する、上記(1)に記載のモノクローナル抗体とは別の抗口蹄疫ウイルス抗体をさらに含む、上記(3)に記載の口蹄疫ウイルス検出キット。
(5)上記(1)に記載の抗体を用いる口蹄疫ウイルスの検出方法。
(6)被験体から採取した試料と、上記(1)に記載の抗体とを接触させて、当該試料中の抗原と、当該抗体とを抗原抗体反応させる工程;および抗原抗体反応物を検出する工程を含む、上記(5)に記載の検出方法。
(7)被験体から採取した試料と基材に固定された抗口蹄疫ウイルス一次抗体とを接触させて、当該試料中の抗原と当該一次抗体とを抗原抗体反応させる工程;上記抗原と標識に結合された抗口蹄疫ウイルス二次抗体とを接触させて、当該抗原と当該二次抗体とを抗原抗体反応させる工程;および上記標識を検出する工程を含み、上記一次抗体および上記二次抗体のうちの少なくとも一方が、上記(1)に記載の抗体である、上記(5)に記載の検出方法。
(8)上記一次抗体および上記二次抗体のうちの一方が、上記(1)に記載の抗体であり、上記一次抗体および上記二次抗体のうちのもう一方が、口蹄疫ウイルスの血清型O、A、C、Asia1、SAT1、SAT2およびSAT3の何れとも反応する、上記(1)に記載の抗体とは別の抗口蹄疫ウイルス抗体である、上記(7)に記載の検出方法。
本発明に係る抗体は、口蹄疫ウイルスのうち7つ全ての血清型と高感度で反応することができる。
本発明の実施例における間接サンドイッチELISAの結果を示す図である。 本発明の実施例におけるMSD−ELISAの結果を示す図である。 本発明の実施例におけるMSD−ELISAの結果を示す図である。 本発明の実施例におけるMSD−ELISAの結果を示す図である。
〔1.抗体〕
本発明に係る抗体は、受託番号NITE P−01972で特定されるハイブリドーマによって産生される抗体(「16D6」と名付けた)である。16D6抗体は、口蹄疫ウイルスの7つ全ての血清型(O、A、C、Asia1、SAT1、SAT2およびSAT3)を認識することができるモノクローナル抗体である。16D6抗体は、受託番号NITE P−01972で特定されるハイブリドーマを、例えば、10%胎児血清を含む培地中でまたは無血清培地中で、37℃、5% COの条件で培養し、産生された16D6抗体を公知の方法に従って回収・精製することによって、製造することができる。
〔2.ハイブリドーマ〕
本発明はまた、受託番号NITE P−01972で特定される抗体産生用ハイブリドーマも提供する。本発明に係るハイブリドーマは、ウシから分離された口蹄疫ウイルスA22/IRQ/24/64株(文献:ARROWSMITH, A. E. M. (1975). Variation among strains of type A foot-and-mouth disease virus in the Eastern Mediterranean region 1964-1972. Journal of Hygiene 75, 387-397)を抗原として、マウスに免疫し、免疫したマウスの脾臓細胞と、マウスのミエローマ細胞由来株とを融合させて作成されたハイブリドーマ(抗口蹄疫ウイルス hybridoma 16D6(受託番号NITE P−01972))である。ハイブリドーマ16D6は、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(千葉県木更津市かずさ鎌足2丁目5番地8 122号室)に寄託されている。
〔3.口蹄疫ウイルス検出キット〕
本発明はさらに、16D6抗体を含む口蹄疫ウイルス検出キットを提供する。本発明に係る口蹄疫ウイルス検出キットは、例えば、ELISA法、イムノクロマトグラフィー法、または免疫拡散測定法等を利用したキットであり得る。
本発明に係る口蹄疫ウイルス検出キットは、口蹄疫ウイルスの血清型O、A、C、Asia1、SAT1、SAT2およびSAT3の何れとも反応する、16D6抗体とは別の抗口蹄疫ウイルス抗体をさらに含んでいてもよい。そのような抗口蹄疫ウイルス抗体は、モノクローナル抗体であり得る。そのような抗口蹄疫ウイルス抗体としては、例えば、非特許文献1に記載された1H5抗体等が挙げられる。後述の実施例に示されるとおり、16D6抗体を7つ全ての血清型と反応する他の抗口蹄疫ウイルス抗体と組み合わせて用いることによって、より高感度で口蹄疫ウイルスを検出することができる。なお、「反応する」とは、抗体が口蹄疫ウイルス(抗原)と抗原抗体反応することをいい、「結合する」または「認識する」と表現することもできる。
また、本発明に係る口蹄疫ウイルス検出キットは、口蹄疫ウイルスの血清型O、A、C、Asia1、SAT1、SAT2およびSAT3の何れかと特異的に反応する抗口蹄疫ウイルス抗体を含んでいてもよい。そのような抗口蹄疫ウイルス抗体は、モノクローナル抗体であり得る。そのような抗口蹄疫ウイルス抗体としては、例えば、非特許文献1に記載された16C6抗体(血清型A特異的)、70C4抗体(血清型O特異的)、および65H6抗体(血清型O特異的)、ならびに、特開2013−49645号に記載された12C7抗体(血清型Asia1特異的)、および13F1抗体(血清型C特異的)等が挙げられる。これらの抗体と反応性を比較することで、一度の検査で、被験体の検体中に含まれる口蹄疫ウイルスの血清型を判別することができる。
また、本発明に係る口蹄疫ウイルス検出キットは、口蹄疫ウイルスの血清型O、A、C、Asia1、SAT1、SAT2およびSAT3の何れか2つ以上と特異的に反応する抗口蹄疫ウイルス抗体を含んでいてもよい。
上述した16D6抗体以外の抗体のうちの複数が、本発明に係る口蹄疫ウイルス検出キットに含まれていてもよい。また、16D6抗体と16D6抗体以外の抗体とは、混合されて使用されてもよいし、混合されずに使用されてもよい。
また、16D6抗体および/または上述の16D6抗体以外の抗体は、標識に結合されていてもよい。標識としては、例えば、酵素、酵素基質、放射性同位元素、発光物質、蛍光物質、ビオチンおよび着色物質等が挙げられる。酵素の例としては、ペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼおよびグルコース−6−リン酸脱水素酵素等が挙げられる。これら酵素と抗体との結合は、マレイミド化合物およびN−ヒドロキシスクシンイミドエステル化合物等の架橋剤を用いる公知の方法により行うことができる。酵素基質としては、使用する酵素に応じて公知の物質を使用することができる。例えば、酵素としてペルオキシダーゼを使用する場合には、OPD(オルトフェニレンジアミン)およびTMB(テトラメチルベンジジン)等を、また酵素としてアルカリホスファターゼを用いる場合には、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)および5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスファターゼp−トルイジニル塩(BCIP)の混合基質等を用いることができる。
放射性同位元素としては、125I、Hまたは14C等の通常のラジオイムノアッセイで用いられているものが挙げられる。抗体への放射標識は公知の方法を用いて行うことができる。蛍光色素としては、フルオレセインイソチオシアネート、テトラメチルローダミンイソチオシアネートおよびフィコエリスリン等の通常の蛍光抗体法に用いられるものが挙げられる。また、発光物質としては、イソルミノール、アクリジンエステルおよびルシゲニン等が挙げられる。この際、標識の方法は、公知の方法を用いることができる。また、着色物質としては、例えば、着色ラテックス粒子および金コロイド等が挙げられる。
また、16D6抗体および/または上述の16D6抗体以外の抗体は、基材に固定されていてもよい。この場合、基材も口蹄疫ウイルス検出キットの構成要素である。基材としては、ニトロセルロースメンブレン、シリカメンブレン、ガラスフィルター、ポリスチレン粒子、ポリスチレンプレート、またはシリカ磁性粒子等の公知のものを使用することができる。一例において、本発明に係る口蹄疫ウイルス検出キットは、基材に固定された16D6抗体および標識された16D6抗体以外の抗体を含んでいる。他の一例において、本発明に係る口蹄疫ウイルス検出キットは、基材に固定された16D6抗体以外の抗体および標識された16D6抗体を含んでいる。
本発明に係る口蹄疫ウイルス検出キットは、標識を検出するための試薬をさらに含んでいてもよい。また、本発明に係る口蹄疫ウイルス検出キットは、ELISA法、イムノクロマトグラフィー法、およびウエスタンブロット法等の免疫反応を行うために必要な部材(二次抗体、発色試薬、ブロッキング試薬等)、プレート(96ウェルプレート等)およびチューブ等が含まれていてもよい。また、16D6抗体を検出するための二次抗体および二次抗体に結合させた標識酵素の基質等を備えていてもよい。
また、本発明に係る検出キットを構成する成分を格納するための1つ以上の容器(例えば、バイアル、管、アンプルおよびビンなど)を備えていてもよい。また、本発明に係る検出キットにおいて使用する検出方法について詳細が記載された使用説明書をさらに備えていてもよい。当該検出方法としては、後述する〔4.口蹄疫ウイルスの検出方法〕で説明される検出方法が挙げられる。
〔4.口蹄疫ウイルスの検出方法〕
本発明はさらに、16D6抗体を用いる口蹄疫ウイルスの検出方法を提供する。被験体としては、ウシ、ブタ、シカ、ヒツジ、ヤギ、スイギュウ、イノシシ、およびカモシカ等が挙げられる。被験体から採取した試料としては、血液、水疱液、糞、尿、咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液、鼻腔吸引液、水疱上皮乳剤、病変部拭い液、種々の組織・器官などが挙げられる。本発明に係る検出方法を用いて、試料中の口蹄疫ウイルスを検出することで、この試料が由来する被験体が口蹄疫ウイルスによる感染症に罹患しているか否かを迅速、容易かつ確実に診断できる。
本発明に係る検出方法は、例えば、ELISA法(例えば、サンドイッチELISA法等)、イムノクロマトグラフィー法、または免疫拡散測定法等に基づくことができる。
本発明に係る検出方法の一態様は、被験体から採取した試料と、16D6抗体とを接触させて、当該試料中の抗原と、16D6抗体とを抗原抗体反応させる工程;および抗原抗体反応物を検出する工程を含む。
抗原抗体反応させる工程では、試料と抗体とをインキュベートすればよい。抗原抗体反応物を検出する工程は、例えば、予め標識された上記抗体を検出する等の公知の方法を用いて行うことができる。
本発明に係る検出方法の一態様では、サンドイッチELISA法を用いたものであり、被験体から採取した試料と基材に固定された抗口蹄疫ウイルス一次抗体とを接触させて、当該試料中の抗原と当該一次抗体とを抗原抗体反応させる工程;上記抗原と標識に結合された抗口蹄疫ウイルス二次抗体とを接触させて、当該抗原と当該二次抗体とを抗原抗体反応させる工程;および上記標識を検出する工程を含み、上記一次抗体および上記二次抗体のうちの少なくとも一方が、16D6抗体である。
本発明に係る検出方法では、一次抗体および二次抗体の両方が16D6抗体を使用して調製されることもできるが、一次抗体および二次抗体のうちの一方が、16D6抗体を使用して調製され、他方が口蹄疫ウイルスの7つの血清型の何れとも反応する、16D6抗体とは別の抗口蹄疫ウイルス抗体を使用して調製されることもできる。このような16D6抗体とは別の抗口蹄疫ウイルス抗体として、例えば、上述した1H5抗体が挙げられる。16D6抗体と1H5抗体との組合せにより、口蹄疫ウイルスの検出感度を一層向上させることができる。さらに、基材に固定した一次抗体として16D6抗体を用い、二次抗体として1H5抗体を用いることが好ましい。口蹄疫ウイルスの検出感度をより一層向上させることができる。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。
〔モノクローナル抗体の作製〕
口蹄疫ウイルスA22/IRQ/24/64株をIB−RS−2細胞に接種し、一晩回転培養した。回収した培養液を1500Gで10分間遠心した後、上清を回収した。上清を飽和硫酸アンモニウム溶液と等量混和し、一晩4℃で撹拌することによってウイルスを析出させた。析出させたウイルスを、5000Gで30分間遠沈し、上清を除去してから適量のPBSに懸濁した。再び5000Gで30分間遠心し、上清を除去し、1mLのPBSに懸濁した。スクロース密度勾配(15〜45%)ウイルスの懸濁液を添加し、20000rpmで2時間遠心を行い、目的のバンドを回収することによって、146Sの完全粒子を精製した。
8〜12週齢のメスのBALB/cマウスの腹腔内に、上述のように精製した口蹄疫ウイルスA22/IRQ/24/64株の完全粒子を接種した。初回免疫ではフロイントコンプリートアジュバント(ヤトロン社製)と精製したウイルス液との等量混合物、追加接種ではフロイントインコンプリートアジュバント(ヤトロン社製)と精製したウイルス液との等量混合物を、連結針を用いてミセル化させた。最終免疫後にマウスの脾臓細胞とマウスミエローマ細胞P3U1とをポリエチレングリコール4000(メルク社製)を用いて融合させ、HAT培地(0.1mMのヒポキサンチン、0.4μMのアミノプテリン、16μMのチミジン、および20%FCSを含有するRPMI−1640培地(ニッスイ))を用いて96ウェルプレートにおいて培養した。2週間後からはHT選択培地(0.1mMのヒポキサンチン、16μMのチミジン、および20%FCSを含有するRPMI−1640培地(ニッスイ))を用いて培養した。
上述のように培養することによって、ハイブリドーマのコロニーを形成させ、ELISAおよび口蹄疫ウイルス感染細胞を用いた免疫染色によって目的のモノクローナル抗体を産生しているハイブリドーマをスクリーニングした。スクリーニングの詳細は以下の通りである。
ELISAでは、ウサギ抗口蹄疫ウイルス抗体を、固相に吸着させ、A22/IRQ/24/64株の完全粒子と反応させた。次いで、ウイルスを取り除いてからハイブリドーマの培養上清を加えて反応させた。そして、培養上清を取り除いてからHRP標識したマウス抗IgG抗体を加えて反応させた。標識抗体を捨ててから発色基質と反応させて、吸光度を測定した。
口蹄疫ウイルス感染細胞を用いた免疫染色では、複数のウェルを有しているプレートにIB−SR−2細胞を播種した後に口蹄疫ウイルスを血清型に分けて接種した。感染後の適当な時間(感染細胞がはがれない程度)に培養液を捨て、冷却したアセトンを用いて感染細胞を固定した。スクリーニングの各タイムポイントにおいて使用するまで、各プレートを−80℃に保存しておいた。つまり、スクリーニング対象のハイブリドーマの1つに対して7種類の血清型に必要な分だけ感染細胞を準備した。保存しておいたプレートにスクリーニングするハイブリドーマの培養上清を加えてインキュベートした。上清を捨ててからHRP標識した抗マウスIgG抗体を加えて反応させた。標識抗体を捨ててから発色基質と反応させ、顕微鏡下において抗体の有無を判定した。
培養上清に抗体が存在しているハイブリドーマをELISAによって特定し、さらに、ELISAによるスクリーニングの結果が非特異的な反応ではないことを確認するために、口蹄疫ウイルス感染細胞を用いた免疫染色によって再度スクリーニングした。
スクリーニングによって選択したハイブリドーマを、標準的な方法に従ってクローニングすることによって、目的のモノクローナル抗体を安定して産生している1種類のハイブリドーマを確立した。このハイブリドーマを抗口蹄疫ウイルス hybridoma 16D6と名づけた。また、このハイブリドーマを独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センターに寄託した(受託番号NITE P−01972)。このハイブリドーマによって産生されているモノクローナル抗体(7種類全ての血清型の口蹄疫ウイルスと反応するモノクローナル抗体)を、16D6と名づけた。
なお、16D6抗体について、他のウイルスとの交差反応性を調べるために、豚水胞病ウイルス(swine vesicular disease virus;SVDV)のJI株およびUKG 27/72株を用いたところ、交差反応性は認められなかった(口蹄疫ウイルスの全ての型においてOD>0.5のときに、SVDVでは何れもOD<0.01であった)。
CellTram/vario(エッペンドルフ社)を用いたマニピュレーション法により、クローニングしたモノクローナル抗体産生ハイブリドーマは、BriClone Hybridoma Cloning Medium(キューイーディーバイオサイエンス社)を用いて培養した。
〔モノクローナル抗体の性能比較のための間接サンドイッチELISA〕
モノクローナル抗体16D6の性能を確かめるために、間接サンドイッチELISAを行った。比較として、7種類全ての血清型の口蹄疫ウイルスと反応する既知のモノクローナル抗体1H5を用いた。1H5抗体については、非特許文献1を参照すればよい。
捕捉抗体として各血清型の抗口蹄疫ウイルスウサギ抗体を0.05Mの炭酸バッファー(pH9.6)で×800に希釈し、50μLずつ96ウェルプレート(Immulon II HB Thermo)に4℃で一晩固相化した。300μL/wellの0.002M PBSで3回洗浄した後、口蹄疫ウイルス(抗原)を含むサンプルを50μLずつウェルに加え、100rpmで振とうしながら37℃で1時間反応させた。このとき、陰性検体として0.01MのPBS(pH7.4)に0.05%(v/v)のTween20を加えたA液を使用した。同様に洗浄した後、A液に5%のスキムミルクを加えB液とし、37℃で30分間ブロッキングした。B液を捨てた後、洗浄せずに、A液で1μg〜0.000064μgの5倍階段希釈を行ったモノクローナル抗体1H5および16D6をそれぞれ加えた。37℃で1時間反応させた後、B液で×3000に希釈したペルオキシダーゼ標識抗マウスイムノグロブリンヤギ抗体を50μLずつ加え、室温で45分間反応させた。8回洗浄した後、発色基質TMBを50μLずつ加え、暗所にて室温で15分間反応させた。50μLの1.25M 硫酸で反応を停止させ、ELISAプレートリーダーを用いて450nmの波長を測定した。
なお、血清型OとしてO/JPN/2000株、血清型AとしてA/IRN/1/2011株およびA22/IRQ/24/64株、血清型Asia1としてAsia1 Shamir(ISR 3/89)株、血清型CとしてC/PHI/7/84株、血清型SAT1としてSAT1/KEN/117/2009株、血清型SAT2としてSAT2/SAU/6/2000株、血清型SAT3としてSAT3/ZIM/3/83株を用いた。
結果を図3に示す。図3に示すように、16D6抗体では8種類の株のうち7種類の株において1H5抗体よりも反応性が高かった。特に、1H5抗体では反応性が比較的低いA/IRN/1/2011株、SAT1/KEN/117/2009株、SAT2/SAU/6/2000株、およびSAT3/ZIM/3/83株において、顕著に反応性が高くなっている。このように、16D6抗体は1H5抗体と比較して非常に優れた反応性を示すことがわかった。
〔モノクローナル抗体を用いた口蹄疫ウイルス抗原検出ELISA〕
(抗体の精製)
使用するモノクローナル抗体をプロテインGアフィニティーカラム(MAb Trap Kit;GE Healthcare 17-1128-01)にかけて、アッセイに使用するためのIgG分画のみを精製した。
(抗体懸濁液における緩衝液の置換)
抗体の精製によって得られたIgG分画を含んでいる抗体懸濁液における緩衝液を、Amicon ultra Centrifugal filter units(Millipore社、商品コード:UFC805024)を用いて0.01MのPBSに置換した。
(ペルオキシダーゼ標識のモノクローナル抗体の作製)
Peroxidase Labeling Kit-SH(同仁化学社、商品コード:LK09)用いて、各抗原に対する抗原検出用のモノクローナル抗体(16D6または1H5)にペルオキシダーゼ標識をした。
(MSD(monoclonal antibody based sandwich direct)−ELISA法)
捕捉抗体としてのモノクローナル抗体(16D6または1H5)を0.05Mの炭酸バッファー(pH9.6)で0.2μg/50μLに希釈し、96ウェルプレート(Immulon II HB Thermo)の各ウェルに50μLずつ分注し、4℃で一晩固相化した。洗浄液(0.002MのPBS、300μL/well)で4回洗浄した後、口蹄疫ウイルス抗原を含むサンプルを50μLずつウェルに加え、100rpmで振とうしながら37℃で1時間反応させた。このとき、陰性検体として0.01MのPBS(pH7.4)に0.05%(v/v)のTween20を加えたA液を使用した。固相化後の洗浄と同様に洗浄した後、B液(A液に8%のスキムミルクを加えた溶液)を用いて、室温で20分間ブロッキングした。B液を捨てた後、洗浄せずに、B液で500倍に希釈したペルオキシダーゼ標識モノクローナル抗体を50μLずつウェルに加え、37℃で45分間反応させた。上記洗浄液で8回洗浄した後、50mLの0.05Mのリン酸クエン酸バッファー(pH5.0)に30mgのOPDおよび3%(w/v)の過酸化水素を加えた発色基質を50μLずつウェルに加え、暗所にて室温で15分間反応させた。50μLの1.25Mの硫酸で反応を停止させ、ELISAプレートリーダーを用いて492nmおよび690nmの波長を測定した。
結果を図2〜4に示す。図2〜4に示すように、16D6抗体と1H5抗体とを組み合わせた場合、より高い反応性がみられた。特に、捕捉抗体として1H5抗体を用い、抗原検出抗体として16D6抗体を用いた場合、さらに高い反応性がみられた。
本発明は、口蹄疫ウイルスの検出に利用することができる。
NITE P−01972

Claims (8)

  1. 受託番号NITE P−01972で特定されるハイブリドーマによって産生される抗体。
  2. 受託番号NITE P−01972で特定される抗体産生用ハイブリドーマ。
  3. 請求項1に記載の抗体を含む口蹄疫ウイルス検出キット。
  4. 口蹄疫ウイルスの血清型O、A、C、Asia1、SAT1、SAT2およびSAT3の何れとも反応する、請求項1に記載の抗体とは別の抗口蹄疫ウイルス抗体をさらに含む、請求項3に記載の口蹄疫ウイルス検出キット。
  5. 請求項1に記載の抗体を用いる口蹄疫ウイルスの検出方法。
  6. 被験体から採取した試料と、請求項1に記載の抗体とを接触させて、当該試料中の抗原と、当該抗体とを抗原抗体反応させる工程;および
    抗原抗体反応物を検出する工程を含む、請求項5に記載の検出方法。
  7. 被験体から採取した試料と基材に固定された抗口蹄疫ウイルス一次抗体とを接触させて、当該試料中の抗原と当該一次抗体とを抗原抗体反応させる工程;
    上記抗原と標識に結合された抗口蹄疫ウイルス二次抗体とを接触させて、当該抗原と当該二次抗体とを抗原抗体反応させる工程;および
    上記標識を検出する工程を含み、
    上記一次抗体および上記二次抗体のうちの少なくとも一方が、請求項1に記載の抗体である、請求項5に記載の検出方法。
  8. 上記一次抗体および上記二次抗体のうちの一方が、請求項1に記載の抗体であり、
    上記一次抗体および上記二次抗体のうちのもう一方が、口蹄疫ウイルスの血清型O、A、C、Asia1、SAT1、SAT2およびSAT3の何れとも反応する、請求項1または2に記載の抗体とは別の抗口蹄疫ウイルス抗体である、請求項7に記載の検出方法。
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