JP2016132432A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】自動変速機の大型化やコストアップを抑制しつつ、変速動作時に回生トルクを高精度に最大限に制御して、従来よりも燃費を改善する。【解決手段】エンジン2と自動変速機5とモータ4とを有するハイブリッド車両用駆動装置9を制御対象とする制御装置1であって、自動変速機がシフトダウン変速動作を行う間に切断および接続される第1および第2摩擦要素の第1および第2指示油圧P1d、P2dを指示する油圧指示部と、第1および第2指示油圧に所定の遅延演算処理を施すことにより第1および第2実油圧相当値P1r、P2rを演算する実油圧演算部と、第1および第2実油圧相当値に基づいて第1および第2トルク容量Ta1、Ta2を演算するトルク容量演算部と、第1および第2トルク容量に基づき回生可能トルクTAを演算する回生可能トルク演算部と、回生可能トルクの範囲内で実際の回生トルクTQを設定する回生トルク設定部と、を有する。【選択図】図5
Description
本発明は、駆動源としてエンジンおよびモータを備えたハイブリッド車両用駆動装置を制御する制御装置に関し、より詳細には、モータにより回生発電を行うときの制御に関する。
駆動源としてエンジンおよびモータを備えたハイブリッド車両では、慣性走行中にモータによる回生発電を行って燃費を改善する技術が一般化されている。さらに、変速機の変速動作時であっても回生発電量を確保する技術が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1の車両の制御装置は、モータジェネレータと、自動変速機と、摩擦ブレーキと、回生トルクおよび制動トルクを制御する協調回生制御手段と、自動変速機の変速要求があるときに回生トルクを自動変速機の伝達可能トルク以下に制限する回生トルク制限手段と、を備えている。特許文献1の技術では、自動変速機の変速段が切り替わるときに、回生トルクを伝達可能トルク以下に制限している。
さらに、特許文献1には、自動変速機の変速動作時に解放される解放側締結要素および締結される締結側締結要素の締結容量に基づいて伝達可能トルクを推定することが開示されている。ここで、自動変速機の複数の締結要素は、油圧制御装置によって個別に制御されるのが一般的である。このため、特許文献1の実施形態において、油圧を検出する油圧センサの信号に基づいて各締結要素の締結容量を演算する旨が開示されている。また、この種の制御は複数のコントローラの協働によって行われる場合が多い。このため、特許文献1に例示されるように、各種の検出信号や制御信号は、コントローラ相互間でCAN通信線を経由して伝送されている。
ところで、特許文献1の技術では、独立して締結状態が変化し得る複数の締結要素に対応して、個別に油圧を検出する複数の油圧センサが必要になる。したがって、油圧制御装置に複数の油圧センサを設けるスペースが必要になって、自動変速機が大型化しあるいはコストアップにつながる。
油圧センサを用いない方法として、各締結要素の油圧制御機構に指示する指示油圧から締結容量を推定する方法が考えられる。しかしながら、この指示油圧と各締結要素に実際に作用する実油圧との間には、時間的な応答遅れが生じる。加えて、CAN通信線を経由する信号伝送では、伝送遅れも生じる。このため、締結容量の推定精度が低下し、伝達可能トルクを精度よく推定できない。仮に、伝達可能トルクを過小に推定すると、十分な回生発電量が得られず、燃費の改善効果が減少する。また仮に、伝達可能トルクを過大に推定すると、締結要素の伝達トルクが過大になって過負荷状態となり、焼損などの不具合のおそれが生じる。
本発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、自動変速機の大型化やコストアップを抑制しつつ、自動変速機の変速動作時に回生トルクを高精度に最大限に制御して、従来よりも燃費を改善するハイブリッド車両の制御装置を提供することを解決すべき課題とする。
上記課題を解決する本発明のハイブリッド車両の制御装置は、車両を駆動するエンジンと、前記エンジンに回転連結される入力軸、駆動輪に回転連結される出力軸、断続状態が個別に制御されることで前記入力軸と前記出力軸との回転比を複数の変速段に選択的に切り替える複数の摩擦要素、および前記複数の摩擦要素をそれぞれ独立して制御する複数の油圧制御機構を有する自動変速機と、前記入力軸に回転連結されたモータと、を有するハイブリッド車両用駆動装置を制御対象として、前記モータによる回生発電を制御するハイブリッド車両の制御装置であって、前記自動変速機が(n+1)段からn段にシフトダウン変速動作を行う間に、前記複数の摩擦要素のうちの前記(n+1)段で接続され前記n段で切断される第1摩擦要素を制御する前記複数の油圧制御機構のうちの第1油圧制御機構に前記第1摩擦要素を切断するための第1指示油圧を指示し、前記複数の摩擦要素のうちの前記(n+1)段で切断され前記n段で接続される第2摩擦要素を制御する前記複数の油圧制御機構のうちの第2油圧制御機構に前記第2摩擦要素を接続するための第2指示油圧を指示する油圧指示部と、前記第1および前記第2指示油圧に所定の遅延演算処理を施すことにより、前記第1および前記第2指示油圧よりも遅延して前記第1および前記第2摩擦要素にそれぞれ作用する第1および第2実油圧に相当する第1および第2実油圧相当値を演算する実油圧演算部と、前記第1および前記第2実油圧相当値に基づいて、前記第1および前記第2摩擦要素でそれぞれ伝達可能な第1および第2トルク容量を演算するトルク容量演算部と、前記シフトダウン変速動作を行う間に、前記第1摩擦要素の前記(n+1)段におけるトルク分担比および前記第1トルク容量に基づき、前記(n+1)段において前記駆動輪から前記モータへ支障なく伝達できる第1伝達可能トルクを演算し、前記第2摩擦要素の前記n段におけるトルク分担比および前記第2トルク容量に基づき、前記n段において前記駆動輪から前記モータへ支障なく伝達できる第2伝達可能トルクを演算し、前記第1伝達可能トルクおよび前記第2伝達可能トルクに基づいて前記モータで回生可能な回生可能トルクを演算する回生可能トルク演算部と、前記回生可能トルクの範囲内で前記モータに実際に入力される回生トルクを設定する回生トルク設定部と、を有する。
本発明のハイブリッド車両の制御装置によれば、自動変速機がシフトダウン変速動作を行う間に断続状態が変化する第1および第2摩擦要素を動作させる第1および第2指示油圧に遅延演算処理を施して第1および第2実油圧相当値を求め、さらに回生可能トルクを演算する。換言すると、指示油圧に対して摩擦要素に作用する実油圧が遅れる応答遅れを補正して、回生可能トルクを演算する。このため、従来技術で指示油圧から直接的に回生可能トルクを演算する技術と比較して、本発明では演算精度が向上する。したがって、モータに実際に入力される回生トルクを高精度に最大限に制御して、従来よりも燃費を改善できる。また、実油圧を検出する油圧センサは不要であるので、自動変速機の大型化やコストアップは生じない。
本発明の実施形態のハイブリッド車両の制御装置1について、図1〜図5を参考にして説明する。図1は、実施形態のハイブリッド車両の制御装置1、および制御対象となるハイブリッド車両用駆動装置9の構成を模式的に示したブロック図である。図1において、太線は各装置間でトルクを伝達する機械的な回転連結を示し、細線の矢印は制御および検出信号の流れを示している。まず、ハイブリッド車両用駆動装置9の構成について説明する。ハイブリッド車両用駆動装置9は、エンジン2、クラッチ3、モータ4、自動変速機5、および駆動輪7などで構成されている。
車両を駆動するエンジン2には、周知の一般的な方式・構造を有するもの、例えば、ガソリンを燃料として使用するガソリンエンジンや、軽油を燃料として使用するディーゼルエンジンなどを使用できる。エンジン2の出力軸21は、クラッチ3を介して自動変速機5の入力軸51に回転連結されている。エンジン2は、図略のスロットルバルブやエンジン回転数センサを有し、エンジン制御装置29により制御される。
クラッチ3は、エンジン2の出力軸21と自動変速機5の入力軸51とを、断続の切り替え可能に回転連結する。クラッチ3には、例えば、湿式多板摩擦クラッチを用いることができ、これに限定されない。クラッチ3のアクチュエータ31は、クラッチ制御装置39により制御される。
モータ4は、走行駆動源として機能し、車両を駆動する。また、モータ4は、ジェネレータとしても機能し、入力された回生トルクから回生電力を生成する回生発電を行う。モータ4には、巻線を有するステータ42を外周側に配置し、永久磁石を埋め込んだロータ41を軸心に配置した三相同期モータを用いることができる。ロータ41は、自動変速機5の入力軸51の外周に一体的に形成されて回転連結されている。ステータ42の巻線は、インバータ装置43に接続され、インバータ装置43は、バッテリ装置44に接続されている。
インバータ装置43は、駆動時には、直流交流変換機能によりバッテリ装置44を電源にしてモータ4を回転駆動する。インバータ装置43は、回生時には、交流直流変換機能によりモータ4で生成された回生電力を直流に変換して、バッテリ装置44を充電する。インバータ装置43は、モータ制御装置49により制御され、換言すれば、モータ4は、モータ制御装置49により制御される。
自動変速機5は、入力軸51と出力軸52との回転比を複数の変速段に選択的に切り替える。出力軸52は、駆動輪7に回転連結されている。自動変速機5の入力軸51と出力軸52との間には、各変速段に対応する複数のトルク伝達経路が構成されている。自動変速機5は、複数のトルク伝達経路のうちの1経路を選択するために、複数の摩擦要素を有する。後述する第1〜第3クラッチC1〜C3、および第1、第2ブレーキB1、B2が、この摩擦要素に該当する。
さらに、自動変速機5は、複数の摩擦要素を独立して制御する油圧制御装置6を有する。油圧制御装置6は、各摩擦要素の油圧を独立して制御する複数の油圧制御機構の集合体である。後述するように、油圧制御装置6は、第1油圧制御機構61および第2油圧制御機構62を含んでいる。さらに、油圧制御装置6には、動作油の油温Tを検出する油温センサ65が設けられている。油温センサ65は、検出した油温Tの情報を変速機制御装置59に出力する。油圧制御装置6は、変速機制御装置59により制御され、換言すれば、自動変速機5は、変速機制御装置59により制御される。
自動変速機5の入力軸51の入力回転数N1は、入力回転センサ58によって検出される。入力回転センサ58は、検出した入力回転数N1の情報を変速機制御装置59経由でCANバスライン18に出力する。入力回転数N1は、モータ4のロータ41の回転数であるモータ回転数に一致する。一方、出力軸52の出力回転数N2は、出力回転センサ57によって検出される。出力回転センサ57は、検出した出力回転数N2の情報を変速機制御装置59経由でCANバスライン18に出力する。ハイブリッド制御装置19は、CANバスライン18から取得した出力回転数N2の情報に基づいて、車両の車速Vを演算する。
図2は、自動変速機5の内部構成の一例を示したスケルトン図である。図示される一例で、自動変速機5は、トルクコンバータ54、3列のプラネタリギヤG1〜G3、3個の第1〜第3クラッチC1〜C3、および2個の第1、第2ブレーキB1、B2により構成されている。
トルクコンバータ54の入力側は、クラッチ3を介してエンジン2の出力軸21に回転連結されている。トルクコンバータ54の出力側のトルコン出力軸55は、入力軸51に回転連結されている。入力軸51は、第1列のダブルピニオンプラネタリギヤG1のサンギヤS1に回転連結されている。また、入力軸51は、第1クラッチC1を経由して第2列のシングルピニオンプラネタリギヤG2のサンギヤS2、および第3列のシングルピニオンプラネタリギヤG3のサンギヤS3に回転連結されている。さらに、入力軸51は、第2クラッチC2を経由して第2列のシングルピニオンプラネタリギヤG2のプラネタリギヤP2を支承するキャリアCa2、および第3列のシングルピニオンプラネタリギヤG3のリングギヤR3に回転連結されている。以降の説明を簡易にするために、トルクコンバータ54は、ロックアップクラッチ56が接続された直結状態であるとする。すなわち、トルクコンバータ54への入力回転数が入力軸51の入力回転数N1に一致しているものとする。
第1列のダブルピニオンプラネタリギヤG1の内側プラネタリギヤP11を支承する内側キャリアCa11、および外側プラネタリギヤP12を支承する外側キャリアCa12は、ケース53に回転不能に結合されている。第1列のダブルピニオンプラネタリギヤG1のリングギヤR1は、第3クラッチC3を経由して第2列のシングルピニオンプラネタリギヤG2のリングギヤR2に回転連結されている。第2列のシングルピニオンプラネタリギヤG2のリングギヤR2は、第1ブレーキB1を経由してケース53に連結されている。第3列のシングルピニオンプラネタリギヤG3のリングギヤR3は、第2ブレーキB2を経由してケース53に連結されている。第3列のシングルピニオンプラネタリギヤG3のプラネタリギヤP3を支承するキャリアCa3は、出力軸52に回転連結されている。
第1〜第3クラッチC1〜C3、および第1、第2ブレーキB1、B2は、油圧制御装置6の複数の油圧制御機構61、62によって断続状態が個別に制御される摩擦要素である。
図3は、自動変速機5において、第1〜第3クラッチC1〜C3、および第1、第2ブレーキB1、B2が各変速段を構成するときの断続状態を表す一覧の図である。図示されるように、自動変速機5は、リバースレンジ(Rレンジ)、ニュートラルレンジ(Nレンジ)、および走行レンジを有する。走行レンジには、ニュートラルN、および1速〜6速の変速段が設けられている。図3において、○印の付された欄は接続状態を表し、空欄は切断状態を表す。したがって、例えば、3速において、第1、第3クラッチC1、C3が接続状態とされ、残りの第2クラッチC2、および第1、第2ブレーキB1、B2が切断状態とされる。
次に、実施形態のハイブリッド車両の制御装置1の構成について説明する。制御装置1は、物理的には、モータ4を制御するモータ制御装置49、自動変速機5を制御する変速機制御装置59、およびハイブリッド制御装置19の協働体として構成されている。モータ制御装置49とハイブリッド制御装置19との間、ならびに、変速機制御装置59とハイブリッド制御装置19との間では、CANバスライン18を経由するCAN通信によって信号伝送が行われる。
モータ制御装置49は、インバータ装置43の動作を制御することで、モータ4の駆動モードと回生モードの切り替え制御、ならびにモータ回転数の制御を行う。モータ制御装置49は、ハイブリッド制御装置19から駆動指令を受信すると、インバータ装置43を制御してバッテリ装置44からモータ4に交流の駆動電力を供給する。さらに、モータ制御装置49は、要求されたモータ回転数に合わせて駆動電圧の周波数および実効値を可変に制御する。また、モータ制御装置49は、ハイブリッド制御装置19から回生指令を受信すると、インバータ装置43を制御してモータ4で生成された回生電力によりバッテリ装置44を充電する。
変速機制御装置59は、複数の油圧制御機構61、62を個別に制御することによって各摩擦要素の油圧を個別に制御し、自動変速機5の変速動作を制御する。
ハイブリッド制御装置19は、車両の発進、走行、停止、および加減速を総括的に制御する。ハイブリッド制御装置19は、エンジン制御装置29、クラッチ制御装置39、モータ制御装置49、および変速機制御装置59の上位制御装置として機能する。ハイブリッド制御装置19は、前述した車速センサ18以外にも、図略のアクセルペダルセンサ、ブレーキペダルセンサなどから検出信号を取得する。ハイブリッド制御装置19は、アクセルペダルやブレーキペダルの操作量から必要とされる要求駆動力や要求制動力を演算し、所定の制御を行う。
実施形態のハイブリッド車両の制御装置1は、要求制動力が必要とされていて、かつ自動変速機5がシフトダウン変速動作を行う場合に機能する。制御装置1は、必要とされる要求制動力の範囲内で最大限の回生発電を行うことを目的としている。制御装置1は、機能的には油圧指示部、実油圧演算部、トルク容量演算部、回生可能トルク演算部、回生トルク設定部、および回生可能トルク補正部の各機能部で構成される。これらの機能部は、後述する制御装置1の演算処理フローの演算ステップにより実現されている。
油圧指示部、実油圧演算部、トルク容量演算部、回生可能トルク演算部、および回生可能トルク補正部の機能は、主に変速機制御装置59により分担される。また、回生トルク設定部の機能は、主にモータ制御装置49とハイブリッド制御装置19の協働によって分担される。なお、上記した機能分担に限定されず、制御装置1の機能の実現には様々な変形が可能である。
次に、制御装置1の機能について説明する。図4は、実施形態のハイブリッド車両の制御装置1の機能を示す演算処理フローの図である。制御装置1は、走行を制御するメインルーチンから移行するサブルーチンとして、この演算処理フローを一定時間間隔で実行する。図4のステップS1で、制御装置1は、変速段を(n+1)段からn段に切り替えるシフトダウン変速動作中であるか否かを判定する。シフトダウン変速動作中でないとき、制御装置1は、直ちに演算処理フローを終了して、制御をメインルーチンに戻す。
シフトダウン変速動作中のとき、制御装置1は、演算処理フローの実行をステップS2に進め、以下ステップS9までの一連の演算処理フローを実行する。ステップS2で、制御装置1は、油圧制御装置6の第1油圧制御機構61に第1指示油圧P1dを指示し、第2油圧制御機構62に第2指示油圧P2dを指示する(油圧指示部)。
ここで、第1油圧制御機構61は、(n+1)段で接続されn段で切断される第1摩擦要素を制御する機構である。第1指示油圧P1dは、第1摩擦要素を切断動作するための指令値である。第1指示油圧P1dの初期値は、第1摩擦要素の接続状態に相当する最大油圧P1maxであり、終期値は、第1摩擦要素の切断状態に相当する最小油圧P1minとなる。
また、第2油圧制御機構62は、(n+1)段で切断されn段で接続される第2摩擦要素を制御する機構である。第2指示油圧P2dは、第2摩擦要素を接続動作するための指令値である。第2指示油圧P2dの初期値は、第2摩擦要素の切断状態に相当する最小油圧P2minであり、終期値は、第2摩擦要素の接続状態に相当する最大油圧P2maxとなる。
各摩擦要素は、最大油圧P1max、P2maxで完全な接続状態になり、最小油圧P1min、P2minで完全な切断状態になる低圧時切断タイプに構成されている。これに限定されず、各摩擦要素は、高い油圧で切断状態になり、低い油圧で接続状態になる低圧時接続タイプに構成されていてもよい。第1指示油圧P1dおよび第2指示油圧P2dの時間的な変化は、制御目標として別途設定されている。
ステップS3で、制御装置1は、第1指示油圧P1dおよび第2指示油圧P2dの時間的な変化に所定の遅延演算処理を施すことにより、第1実油圧相当値P1rおよび第2実油圧相当値P2rを演算する(実油圧演算部)。遅延関数f1、f2を用いて表現すれば、制御装置1は、次の(式1)、(式2)の演算を行う。
P1r=f1(P1d) …………………………………………………(式1)
P2r=f2(P2d) …………………………………………………(式2)
P1r=f1(P1d) …………………………………………………(式1)
P2r=f2(P2d) …………………………………………………(式2)
ここで、第1および第2指示油圧P1d、P2dに対して第1および第2摩擦要素に実際に作用する実油圧は時間的に遅れて発生する。したがって、この応答遅れを遅延関数f1、f2により補償することで、実油圧に相当する第1実油圧相当値P1rおよび第2実油圧相当値P2rを演算できる。本実施形態では、遅延関数f1、f2としてディジタル演算方式のローパスフィルタ処理を用いる。
さらに、第1および第2指示油圧P1d、P2dに対する実油圧の応答遅れは、動作油の油温Tによって変化する粘度に大きく左右される。このため、ローパスフィルタ処理のフィルタ特性を表す遅延関数f1、f2は、油温Tに応じて可変に設定されるものとする。つまり、遅延関数f1、f2は、パラメータに温度Tを含んで表現される。定性的には、油温Tが低下して粘度が増加すると応答遅れが増加し、逆に油温Tが上昇して粘度が減少すると応答遅れが減少する特性を、遅延関数f1、f2に盛り込む。
また、油温Tが同じでも切断動作と接続動作とで油圧の変化率が異なる場合を考慮すると、2個の遅延関数f1、f2は、互いに異なっていてもよい。さらに、指示油圧に対する実油圧の応答遅れの特性は、摩擦要素の性状、動作油の種類、および油圧制御装置6の性能などに依存する。したがって、ローパスフィルタ処理の具体的なフィルタ特性(遅延関数f1、f2)は、実験やシミュレーションにより予め求めておくことが好ましい。
ステップS4で、制御装置1は、第1および第2実油圧相当値P1r、P2rに基づいて、第1および第2摩擦要素でそれぞれ伝達可能な第1および第2トルク容量Tc1、Tc2を演算する(トルク容量演算部)。具体的には、次の(式3)による。
Tc=n×μi×Pj×S×R ……………………………………………(式3)
ただし、Tc:Tc1またはTc2(Nm)
n :摩擦要素の摩擦面の数
μi:摩擦面の摩擦係数
Pj:P1rまたはP2r(N/m2 )
S :摩擦面の有効面積(m2 )
R :摩擦面の有効半径(m)
Tc=n×μi×Pj×S×R ……………………………………………(式3)
ただし、Tc:Tc1またはTc2(Nm)
n :摩擦要素の摩擦面の数
μi:摩擦面の摩擦係数
Pj:P1rまたはP2r(N/m2 )
S :摩擦面の有効面積(m2 )
R :摩擦面の有効半径(m)
さらに摩擦面が円環形状であるとき、摩擦面の有効半径Rは、次の(式4)による。
R=(2/3)×(Ro3−Ri3 )/(Ro2 −Ri2 ) ………(式4)
ただし、Ro:摩擦面の外半径(m)
Ri:摩擦面の内半径(m)
R=(2/3)×(Ro3−Ri3 )/(Ro2 −Ri2 ) ………(式4)
ただし、Ro:摩擦面の外半径(m)
Ri:摩擦面の内半径(m)
ステップS5で、制御装置1は、第1摩擦要素の(n+1)段におけるトルク分担比D1(n+1)および第1トルク容量Tc1に基づき、(n+1)段において駆動輪7からモータ4へ支障なく伝達できる第1伝達可能トルクTa1を演算する。また、制御装置1は、第2摩擦要素のn段におけるトルク分担比D2(n)および第2トルク容量Tc2に基づき、n段において駆動輪7からモータ4へ支障なく伝達できる第2伝達可能トルクTa2を演算する。具体的には、次の(式5)、(式6)による。
Ta1=Tc1/D1(n+1)………………………………………………(式5)
Ta2=Tc2/D2(n)……………………………………………………(式6)
Ta1=Tc1/D1(n+1)………………………………………………(式5)
Ta2=Tc2/D2(n)……………………………………………………(式6)
一般的に、第p摩擦要素の変速段q段におけるトルク分担比Dp(q)は、自動変速機5がq段に維持されていて入力軸51に入力されるトルクを1としたときに第p摩擦要素が分担する(受け持つ)トルクの大きさを表している。したがって、上の(式5)および(式6)は、第1および第2トルク容量Tc1、Tc2をそれぞれトルク分担比D1(n+1)、D2(n)で除算して入力軸51におけるトルク値に換算することを意味している。
これは、モータ4に支障なく入力されるトルク値を演算することに相当する。換言すると、(n+1)段で駆動輪7からモータ4に伝達されるトルクを入力軸51で第1伝達可能トルクTa1以下とすれば、第1摩擦要素が分担するトルクは第1トルク容量Tc1以下になり、支障が生じない。逆に言えば、駆動輪7からモータ4に伝達されるトルクが入力軸51で第1伝達可能トルクTa1を超過すると、第1摩擦要素が過負荷となって、焼損などの支障のおそれが生じる。
さらに、ステップS6で、制御装置1は、第1伝達可能トルクTa1および第2伝達可能トルクTa2に基づいて、モータ4で回生可能な回生可能トルクTAを演算する。具体的に、制御装置1は、シフトダウン変速動作の途中で入力軸51が増速されるイナーシャ相が開始される以前には、第1伝達可能トルクTa1に基づいて回生可能トルクTAを演算する。また、回生可能トルク演算部は、イナーシャ相の間には回生可能トルクTAをゼロに設定する。さらに、制御装置1は、イナーシャ相が終了した以降には、第2伝達可能トルクTa2に基づいて回生可能トルクTAを演算する。回生可能トルク演算部は、ステップ5およびステップS6により実現されている。
ステップS7で、制御装置1は、通信による伝送遅れを加味して回生可能トルクTAを補正する(回生可能トルク補正部)。具体的に、制御装置1は、変速機制御装置59からハイブリッド制御装置19への信号伝送、および、ハイブリッド制御装置19からモータ制御装置49への信号伝送の2回分のCAN通信による伝送遅れ時間tsを加味する。
ステップS8で、制御装置1の変速機制御装置59は、CAN通信を介して補正後の回生可能トルクTAをハイブリッド制御装置19に伝送する。さらに、ハイブリッド制御装置19は、CAN通信を介して補正後の回生可能トルクTAをモータ制御装置49に伝送する。
ステップS9で、制御装置1のモータ制御装置49は、受け取った回生可能トルクTAの範囲内でモータ4に実際に入力される回生トルクTQを設定する(回生トルク設定部)。これにより、モータ制御装置49は、回生トルクTQの大きさに適合するようにインバータ装置43を制御して回生発電を行う。制御装置1は、ステップS9の実行を終了すると、制御をメインルーチンに戻す。
次に、実施形態のハイブリッド車両の制御装置1の作用について例示説明する。図5は、実施形態のハイブリッド車両の制御装置1の作用を例示説明するタイムチャートの図である。図5は、図1に示されたハイブリッド車両用駆動装置9の自動変速機5が走行レンジの3速段から2速段にシフトダウン変速動作する場合を例示している。
3速段から2速段へのシフトダウン変速動作では、図3に示されるように、第3クラッチC3が接続状態から切断状態へと切断動作され、第1ブレーキB1が切断状態から接続状態へと接続動作される。したがって、第3クラッチC3は、本発明の第1摩擦要素に該当し、第1ブレーキB1は、本発明の第2摩擦要素に該当する。また、油圧制御装置6のうち第3クラッチC3の油圧を制御する部位が第1油圧制御機構61に該当し、第1ブレーキB1の油圧を制御する部位が第2油圧制御機構62に該当する。その他の第1、第2クラッチC1、C2、および第2ブレーキB2は、当該のシフトダウン変速動作で断続状態が変化せず、第1および第2摩擦要素に該当しない。
図5に示されたグラフは、上から順番に、1)自動変速機5の変速段の指令値、2)自動変速機5の入力回転数N1、3)第1摩擦要素(第3クラッチC3)の第1指示油圧P1dおよび第1実油圧相当値P1r、4)第2摩擦要素(第1ブレーキB1)の第2指示油圧P2dおよび第2実油圧相当値P2r、5)第1および第2伝達可能トルクTa1、Ta2、6)補正後の回生可能トルクTA、ならびに7)モータ4に入力される回生トルクTQを示している。
また、3)および4)のグラフで、第1および第2指示油圧P1d、P2dは破線で示され、第1および第2実油圧相当値P1r、P2rは実線で示されている。5)〜7)のグラフで、トルク値0(Nm)のレベルが点線で示されている。なお、モータ4は、出力トルクを正値で表すので、6)のグラフの回生可能トルクTA、および7)のグラフの回生トルクTQは、負値で表される。さらに、図中の(a)は変速動作中の時間帯、(c)はイナーシャ相の時間帯、(b)は変速動作中であってイナーシャ相が開始される以前の時間帯、(d)は変速動作中であってイナーシャ相が終了した以降の時間帯をそれぞれ示している。
図5の時刻t1以前において、車両は自動変速機5の3速段で走行中である。このとき、第1摩擦要素は最大油圧P1maxに維持されて接続され、第2摩擦要素は最小油圧P2minに維持されて切断されている。また、モータ4には回生トルクTQ0が入力され回生発電が行われている。回生トルクTQ0の大きさは、3速段での第1摩擦要素の完全な接続状態における第1伝達可能トルクTa0および回生可能トルクTA0に基づいて設定されている。回生発電によって生じる制動力により、車速Vおよび入力回転数N1は徐々に低下している。
変速機制御装置59は、時刻t1においてシフトダウン変速動作の必要性を判定すると、変速段の指令値を3速段から2速段に切り替える。変速動作の必要性は、例えば、出力回転数N2を横軸としエンジン2のスロットル開度を縦軸とするグラフ上に設定される変速線を用いて判定できる。これにより、自動変速機5は、シフトダウン変速動作を開始する。
第1摩擦要素の第1指示油圧P1dは、変速動作を開始した時刻t1の直後に最大油圧P1maxから急峻に減少制御され、その後は徐々に減少制御される。実油圧演算部により(式1)を用いて演算された第1実油圧相当値P1rは、第1指示油圧P1dに対し遅延して追随変化する。そして、第1実油圧相当値P1rが最大油圧P1maxと最小油圧P1minの中間程度まで減少した時刻t3に、イナーシャ相が始まる。
一方、第2摩擦要素の第2指示油圧P2dは、時刻t1の直後に最小油圧P2minから急峻に増加制御されて時刻t2までプリチャージが行われる。時刻t2の後、第2指示油圧P2dは一旦減少制御されて、イナーシャ相が始まる。実油圧演算部により(式2)を用いて演算された第2実油圧相当値P2rは、第2指示油圧P2dに対し遅延して追随変化する。
時刻t3から時刻t4までのイナーシャ相の(c)の時間帯の途中までに、第1指示油圧P1dは、最小油圧P1minまで減少制御される。第1実油圧相当値P1rは、イナーシャ相の終了時の時刻t4に最小油圧P1min付近まで減少する。イナーシャ相の(c)の時間帯の間に、第2指示油圧P2dは、最小油圧P2minと最大油圧P2maxの中間程度まで増加制御される。イナーシャ相において、駆動輪7から入力軸51へトルクを伝達する経路が、3速段から2速段に架け替えられて、入力軸51の入力回転数N1が増速される。
イナーシャ相の終了時の時刻t4以降、第1指示油圧P1dおよび第1実油圧相当値P1rは、最小油圧P1minに維持される。一方、第2指示油圧P2dは、時刻t4以降に最大油圧P2maxまで増加制御され、第2実油圧相当値P2rも遅延して最大油圧P2maxに達する。第2実油圧相当値P2rが最大油圧P2maxに達する少し手前の時刻t5に、第2摩擦要素が完全に接続されて2速段が成立し、シフトダウン変速動作が終了する。
制御装置1は、上記したシフトダウン変速動作の間(時刻t1〜時刻t5)において、図4に示された演算処理フローを実行して回生発電を行う。時刻t1から時刻t3までのイナーシャ相が開始される以前の(b)の時間帯において、制御装置1のトルク容量演算部は、(式3)を用い、第1実油圧相当値P1rに基づいて第1トルク容量Tc1を演算する。さらに、制御装置1の回生可能トルク演算部は、(式5)を用いて第1伝達可能トルクTa1を演算する。第1伝達可能トルクTa1の大きさは、3速段で走行中のときの第1伝達可能トルクTa0と殆ど変らない。
時刻t3から時刻t4までのイナーシャ相の(c)の時間帯において、トルク容量演算部および回生可能トルク演算部は、演算式を用いず、小さな伝達可能トルクTaXを設定する。時刻t4から時刻t5までのイナーシャ相が終了した以降の(d)の時間帯において、トルク容量演算部は、(式3)を用い、第2実油圧相当値P2rに基づいて第2トルク容量Tc2を演算する。さらに、回生可能トルク演算部は、(式6)を用いて第2伝達可能トルクTa2を演算する。第2伝達可能トルクTa2の大きさは、時刻t4以降に伝達可能トルクTaXから徐々に増加し、時刻t5の時点では2速段で走行するときの大きさに概ね一致する。
回生可能トルク演算部は、時刻t1から時刻t3までの第1伝達可能トルクTa1および時刻t4から時刻t5までの第伝達可能トルクTa2の符号を反転して、第1および第2回生可能トルクTA1、TA2とする。また、回生可能トルク演算部は、時刻t3から時刻t4までの伝達可能トルクTaXの時間帯に対応して、イナーシャ時回生可能トルクTAX=0に設定する。さらに、制御装置1の回生可能トルク補正部は、第1回生可能トルクTA1、イナーシャ時回生可能トルクTAX、および第2回生可能トルクTA2を結んで得られる回生可能トルクTAのグラフを、伝送遅れ時間tsだけ前方にシフト補正する。これにより、図5の6)補正後の回生可能トルクTAのグラフが得られる。
制御装置1の変速機制御装置59は、CAN通信を介してこの補正後の回生可能トルクTAを送出する。すると、回生トルク設定部に相当するモータ制御装置49が受け取る回生可能トルクTAは、前方へのシフト補正とCAN通信によって発生する伝送遅れとが相殺されて、時間軸上のずれが無くなる。続いて、回生トルク設定部は、受け取った回生可能トルクTAの範囲内で回生トルクTQを設定する。これにより、例えば、図5の7)に示される回生トルクTQが設定される。
図5の7)の例で、時刻t1から時刻t3までの第1回生トルクTQ1の大きさは、第1伝達可能トルクTa1に一致し、時刻t4から時刻t5までの第2回生トルクTQ2の大きさは、第2伝達可能トルクTa2に一致している。つまり、第1および第2摩擦要素が過負荷にならない限度で、回生トルクTQが最大限に設定されている。また、バッテリ装置44が満充電に近い充電状態の場合、制御装置1は、回生可能トルクTAよりも小さい回生トルクTQを設定してもよい。回生トルクTQの大きさが要求制動力に満たない場合、制御装置1は制動力の不足分を油圧ブレーキ装置で発生する。なお、制御装置1は、要求制動力を超える回生トルクTQを設定することは無い。
さらに、上述した3速段から2速段へのシフトダウン変速動作以外でも、同様の作用が発生する。例えば、5速段から4速段への変速動作では、図3が参照されて第3クラッチC3が第1摩擦要素とされ、第1クラッチC1が第2摩擦要素とされる。同様に、4速段から3速段への変速動作では、第2クラッチC2が第1摩擦要素とされ、第3クラッチC3が第2摩擦要素とされる。さらに、2速段から1速段への変速動作では、第1ブレーキB1が第1摩擦要素とされ、第2ブレーキB2が第2摩擦要素とされる。
実施形態のハイブリッド車両の制御装置1は、車両を駆動するエンジン2と、エンジン2にクラッチ3を介して回転連結される入力軸51、駆動輪7に回転連結される出力軸52、断続状態が個別に制御されることで入力軸51と出力軸52との回転比を複数の変速段に選択的に切り替える複数の摩擦要素(第1〜第3クラッチC1〜C3、第1、第2ブレーキB1、B2)、および複数の摩擦要素をそれぞれ独立して制御する複数の油圧制御機構61、62を有する自動変速機と、入力軸51に回転連結されたモータ4と、を有するハイブリッド車両用駆動装置9を制御対象として、モータ4による回生発電を制御するハイブリッド車両の制御装置1であって、クラッチ3が切断された状態で自動変速機5が(n+1)段からn段にシフトダウン変速動作を行う間に、複数の摩擦要素のうちの(n+1)段で接続されn段で切断される第1摩擦要素を制御する前数の油圧制御機構のうちの第1油圧制御機構61に前記第1摩擦要素を切断するための第1指示油圧P1dを指示し、複数の摩擦要素のうちの(n+1)段で切断されn段で接続される第2摩擦要素を制御する複数の油圧制御機構のうちの第2油圧制御機構62に第2摩擦要素を接続するための第2指示油圧P2dを指示する油圧指示部(ステップS2)と、第1および第2指示油圧P1d、P2dに所定の遅延演算処理を施すことにより、第1および第2指示油圧P1d、P2dよりも遅延して第1および第2摩擦要素にそれぞれ作用する第1および第2実油圧に相当する第1および第2実油圧相当値P1r、P2rを演算する実油圧演算部(ステップS3)と、第1および第2実油圧相当値P1r、P2rに基づいて、第1および第2摩擦要素でそれぞれ伝達可能な第1および第2トルク容量Tc1、Tc2を演算するトルク容量演算部(ステップS4)と、シフトダウン変速動作を行う間に、第1摩擦要素の(n+1)段におけるトルク分担比D1(n+1)および第1トルク容量Tc1に基づき、(n+1)段において駆動輪7からモータ4へ支障なく伝達できる第1伝達可能トルクTa1を演算し、第2摩擦要素のn段におけるトルク分担比D2(n)および第2トルク容量Tc2に基づき、n段において駆動輪7からモータ4へ支障なく伝達できる第2伝達可能トルクTa2を演算し、第1伝達可能トルクTa1および第2伝達可能トルクTa2に基づいてモータ4で回生可能な回生可能トルクTAを演算する回生可能トルク演算部(ステップS5およびステップS6)と、回生可能トルクTAの範囲内でモータ4に実際に入力される回生トルクTQを設定する回生トルク設定部(ステップS9)と、を有する。
これによれば、自動変速機5がシフトダウン変速動作を行う間に断続状態が変化する第1および第2摩擦要素を動作させる第1および第2指示油圧P1d、P2dに遅延演算処理を施して第1および第2実油圧相当値P1r、P2rを求め、さらに回生可能トルクTAを演算する。換言すると、第1および第2指示油圧P1d、P2dに対して第1および第2摩擦要素に作用する実油圧が遅れる応答遅れを補正して、回生可能トルクTAを演算する。このため、従来技術で指示油圧から直接的に回生可能トルクを演算する技術と比較して、本発明では演算精度が向上する。したがって、モータ4に実際に入力される回生トルクTQを高精度に最大限に制御して、従来よりも燃費を改善できる。また、実油圧を検出する油圧センサは不要であるので、自動変速機5の大型化やコストアップは生じない。
さらに、実施形態のハイブリッド車両の制御装置1において、実油圧演算部が施す遅延演算処理は、ローパスフィルタ処理である。これによれば、第1および第2指示油圧P1d、P2dに対する実油圧の応答遅れをローパスフィルタ処理によって演算するので、簡易な演算により第1および第2実油圧相当値P1r、P2rを求めることができる。
さらに、実施形態のハイブリッド車両の制御装置1において、ローパスフィルタ処理におけるフィルタ特性は、第1および第2油圧制御機構61、62の動作油の油温Tに応じて可変に設定される。これによれば、第1および第2指示油圧P1d、P2dに対する実油圧の応答遅れ時間が油温Tに依存する現象をフィルタ特性の可変設定によって近似できるので、第1および第2実油圧相当値P1r、P2rの演算精度がさらに一層向上し、確実に燃費を改善できる。
さらに、実施形態のハイブリッド車両の制御装置1において、回生トルク設定部は、シフトダウン変速動作の途中で入力軸51が増速されるイナーシャ相が開始される以前には第1伝達可能トルクTa1に基づいて回生可能トルクTA1を演算し、イナーシャ相の間にはイナーシャ時回生可能トルクTAX=0に設定し、イナーシャ相が終了した以降には第2伝達可能トルクTa2に基づいて回生可能トルクTA2を演算する。これによれば、イナーシャ相の時間帯にシフトダウン変速動作が安定するので変速動作時間が長引かず、かつ、イナーシャ相の前後の時間帯には最大限の回生発電を行って燃費の改善効果が顕著になる。
さらに、実施形態のハイブリッド車両の制御装置1は、自動変速機5を制御し、かつ回生可能トルクTAを演算し通信を介して送出する変速機制御装置59、ならびに、モータ4を制御し、かつ通信を介して受け取った回生可能トルクTAの範囲内で回生トルクTQを設定するモータ制御装置49を含んで構成され、通信による伝送遅れ時間tsを加味して回生可能トルクTAを補正する回生可能トルク補正部(ステップS7)をさらに有する。これによれば、通信による伝送遅れを補償して時間軸上でずれの生じない回生可能トルクTAを伝送でき、回生トルクTQの設定がさらに一層高精度となる。
なお、第1および第2実油圧相当値P1r、P2rを演算した以降の回生可能トルクTAを求める演算では、実施形態で説明した以外にも様々な演算方法を適用できる。さらになお、クラッチ3は、必須の構成要件ではなく省略することもできる。また、本発明は、自動変速機5が(n+1)段から(n−1)段以下への飛びシフトダウン変速動作を行う場合にも応用できる。本発明は、その他にも様々な応用や変形などが可能である。
1:ハイブリッド車両の制御装置 19:ハイブリッド制御装置
2:エンジン 3:クラッチ
4:モータ 41:ロータ 42:ステータ 43:インバータ装置
44:バッテリ装置 49:モータ制御装置
5:自動変速機 51:入力軸 52:出力軸 59:変速機制御装置
G1:第1列のダブルピニオンプラネタリギヤ
G2:第2列のシングルピニオンプラネタリギヤ
G3:第3列のシングルピニオンプラネタリギヤ
C1〜C3:第1〜第3クラッチ(摩擦要素)
B1、B2:第1、第2ブレーキ(摩擦要素)
6:油圧制御装置
61、62:第1および第2油圧制御機構 65:油温センサ
7:駆動輪 9:ハイブリッド車両用駆動装置
P1d、P2d:第1および第2指示油圧
P1r、P2r:第1および第2実油圧相当値
Ta1、Ta2:第1および第2伝達可能トルク
TA:回生可能トルク TA1、TA2:第1および第2回生可能トルク
TAX:イナーシャ時回生可能トルク(=0)
TQ:回生トルク TQ1、TQ2:第1および第2回生トルク
2:エンジン 3:クラッチ
4:モータ 41:ロータ 42:ステータ 43:インバータ装置
44:バッテリ装置 49:モータ制御装置
5:自動変速機 51:入力軸 52:出力軸 59:変速機制御装置
G1:第1列のダブルピニオンプラネタリギヤ
G2:第2列のシングルピニオンプラネタリギヤ
G3:第3列のシングルピニオンプラネタリギヤ
C1〜C3:第1〜第3クラッチ(摩擦要素)
B1、B2:第1、第2ブレーキ(摩擦要素)
6:油圧制御装置
61、62:第1および第2油圧制御機構 65:油温センサ
7:駆動輪 9:ハイブリッド車両用駆動装置
P1d、P2d:第1および第2指示油圧
P1r、P2r:第1および第2実油圧相当値
Ta1、Ta2:第1および第2伝達可能トルク
TA:回生可能トルク TA1、TA2:第1および第2回生可能トルク
TAX:イナーシャ時回生可能トルク(=0)
TQ:回生トルク TQ1、TQ2:第1および第2回生トルク
Claims (5)
- 車両を駆動するエンジンと、
前記エンジンに回転連結される入力軸、駆動輪に回転連結される出力軸、断続状態が個別に制御されることで前記入力軸と前記出力軸との回転比を複数の変速段に選択的に切り替える複数の摩擦要素、および前記複数の摩擦要素をそれぞれ独立して制御する複数の油圧制御機構を有する自動変速機と、
前記入力軸に回転連結されたモータと、を有するハイブリッド車両用駆動装置を制御対象として、前記モータによる回生発電を制御するハイブリッド車両の制御装置であって、
前記自動変速機が(n+1)段からn段にシフトダウン変速動作を行う間に、前記複数の摩擦要素のうちの前記(n+1)段で接続され前記n段で切断される第1摩擦要素を制御する前記複数の油圧制御機構のうちの第1油圧制御機構に前記第1摩擦要素を切断するための第1指示油圧を指示し、前記複数の摩擦要素のうちの前記(n+1)段で切断され前記n段で接続される第2摩擦要素を制御する前記複数の油圧制御機構のうちの第2油圧制御機構に前記第2摩擦要素を接続するための第2指示油圧を指示する油圧指示部と、
前記第1および前記第2指示油圧に所定の遅延演算処理を施すことにより、前記第1および前記第2指示油圧よりも遅延して前記第1および前記第2摩擦要素にそれぞれ作用する第1および第2実油圧に相当する第1および第2実油圧相当値を演算する実油圧演算部と、
前記第1および前記第2実油圧相当値に基づいて、前記第1および前記第2摩擦要素でそれぞれ伝達可能な第1および第2トルク容量を演算するトルク容量演算部と、
前記シフトダウン変速動作を行う間に、前記第1摩擦要素の前記(n+1)段におけるトルク分担比および前記第1トルク容量に基づき、前記(n+1)段において前記駆動輪から前記モータへ支障なく伝達できる第1伝達可能トルクを演算し、前記第2摩擦要素の前記n段におけるトルク分担比および前記第2トルク容量に基づき、前記n段において前記駆動輪から前記モータへ支障なく伝達できる第2伝達可能トルクを演算し、前記第1伝達可能トルクおよび前記第2伝達可能トルクに基づいて前記モータで回生可能な回生可能トルクを演算する回生可能トルク演算部と、
前記回生可能トルクの範囲内で前記モータに実際に入力される回生トルクを設定する回生トルク設定部と、を有するハイブリッド車両の制御装置。 - 前記実油圧演算部が施す前記遅延演算処理は、ローパスフィルタ処理である請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記ローパスフィルタ処理におけるフィルタ特性は、前記第1および前記第2油圧制御機構の動作油の油温に応じて可変に設定される請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記回生可能トルク演算部は、前記シフトダウン変速動作の途中で前記入力軸が増速されるイナーシャ相が開始される以前には前記第1伝達可能トルクに基づいて前記回生可能トルクを演算し、前記イナーシャ相の間には前記回生可能トルクをゼロに設定し、前記イナーシャ相が終了した以降には前記第2伝達可能トルクに基づいて前記回生可能トルクを演算する請求項1〜3のいずれか一項に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記自動変速機を制御し、かつ前記回生可能トルクを演算し通信を介して送出する変速機制御装置、ならびに、前記モータを制御し、かつ通信を介して受け取った前記回生可能トルクの範囲内で前記回生トルクを設定するモータ制御装置を含んで構成され、
前記通信による伝送遅れを加味して前記回生可能トルクを補正する回生可能トルク補正部をさらに有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のハイブリッド車両の制御装置。
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