JP2016132251A - 支持体付き多孔金属箔及び透過性金属箔の製造方法 - Google Patents

支持体付き多孔金属箔及び透過性金属箔の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】厚みが薄く、孔径が小さい微細孔を有し、導電性や電磁波遮蔽性と光やガスの透過性とを両立させた新規な透過性金属箔及びそれを提供しうる支持体付き多孔金属箔を製造する。
【解決手段】基材2と剥離層1とを有する支持体の剥離層1上に、絶縁性インクを印刷法によって印刷して絶縁性インクからなるドットパターン層3を形成し、次いで支持体にめっき処理を施して剥離層1上のドットパターン層3以外の部分に多孔金属箔層5を形成することによって支持体付き多孔金属箔5とし、次いで前記支持体付き多孔金属箔5において支持体の剥離層1から多孔金属箔層5を剥離して透過性金属箔5を得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、厚みが薄く微細孔を有する透過性金属箔及びそれを容易に提供しうる支持体付き多孔金属箔の製造方法に関する。
金属箔は導電材や電磁波遮蔽材などとして用途が拡大しており、新規用途として光透過性やガス透過性などの機能を有する、薄くて軽い多孔金属箔が求められている。
特に、銅箔に微細孔を設けて透過性を付与した透過性銅箔は、導電材料として電子部品への利用が広がっている。近年は、電子部品の小型化や軽量化が進んでおり、より小さく均一な性能を持つ透過性銅箔が求められている。
微細孔を有する金属箔は従来、様々な製法によるものが提供されてきている(特許文献1〜4)。これらのうち、主に金型やレーザーで金属箔に孔を開けたりパンチングやエッチング等の手法で孔を開けたりしたものがあるが、パンチングによる方法では比較的厚みが厚く孔径が大きくなる傾向にある。例えば、金属箔の厚みが20〜100μm程度のものでなければうまく加工ができない。また孔径についても、100μm以上の比較的大きなサイズの孔を開けるのが限界であった。
そのため、従来の多孔金属箔の製造方法では小型化した時に均一な性能を十分に満足することができていなかった。例えば0.01mm以下の面積内では、孔の有無の領域差が大きく、均一な透過性を発揮することは原理的に不可能である。
より厚みの薄い金属箔であって、より小さなサイズの孔が分布していることで透過性に偏りのないものが望まれる分野(例えば、リチウムイオン電池等の負極用電極板、シート状電極、各種フィルター、フレキシブル回路基板の電磁波遮蔽の分野など)において十分に満足のいく性能を有する多孔金属箔の製造方法は、未だ開発されていない。
特開2007−169766号公報 特開2007−277641号公報 特開2009−249643号公報 特開2012−026019号公報 特開2013−227637号公報
本発明は、厚みが薄く且つ微細孔を有し、導電性や電磁波遮蔽性と、光やガス、液体等の透過性とを合わせ持つ新規な透過性金属箔及びそれを容易に提供しうる支持体付き多孔金属箔を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、導電性を有する支持体表面に剥離層を形成したのち、該剥離層上に絶縁性インクでドットパターンを印刷し、その後めっきにより金属箔を形成して得られる支持体付き多孔金属箔から該多孔金属箔を剥離することにより、厚みが薄く微細孔を有する透過性金属箔が得られ、それによって上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下に示す支持体付き多孔金属箔の製造方法及び透過性金属箔の製造方法に関する。
(1)以下の工程を含む、支持体付き多孔金属箔の製造方法。
(a)基材と剥離層とを有する支持体の該剥離層上に、絶縁性インクを印刷法によって印刷し、絶縁性インクからなるドットパターン層を形成する工程
(b)前記支持体にめっき処理を施し、前記剥離層上のドットパターン層以外の部分に金属箔層を形成して支持体付き多孔金属箔を得る工程
(2)以下の工程を含む、透過性金属箔の製造方法。
(a)基材と剥離層とを有する支持体の該剥離層上に、絶縁性インクを印刷法によって印刷し、絶縁性インクからなるドットパターン層を形成する工程
(b)前記支持体にめっき処理を施し、前記剥離層上のドットパターン層以外の部分に金属箔層を形成して支持体付き多孔金属箔を得る工程
(c)前記支持体付き多孔金属箔における支持体から多孔金属箔を剥離して透過性金属箔を得る工程
(3)前記剥離層が、基材上に電気ニッケルすずめっき処理により形成されたニッケルすず薄膜層である、(1)又は(2)記載の製造方法。
(4)前記剥離層が表面抵抗0.3Ω/□以下の導電性を有する、(1)又は(2)記載の製造方法。
(5)前記絶縁性インクが溶剤とバインダー樹脂とを含む、(1)又は(2)記載の製造方法。
(6)前記印刷法がグラビアオフセット印刷法である、(1)又は(2)記載の製造方法。
(7)前記絶縁性インクが硬化性樹脂を含み、かつ前記工程(a)において絶縁性インクを印刷したのち、該絶縁性インクを硬化させることによって前記ドットパターン層を形成することを特徴とする、(1)又は(2)記載の製造方法。
(8)前記剥離層とドットパターン層との密着性が、JIS―K5600(塗料一般試験方法;引っかき硬度(鉛筆法))を用いた密着性評価におけるドット剥離条件として鉛筆硬度2H以上である、(1)又は(2)記載の製造方法。
(9)前記(b)工程におけるめっき処理が、電気めっき処理である、(1)又は(2)記載の製造方法。
(10)前記ドットパターン層の厚みが金属箔層の厚みより薄いことを特徴とする、(1)又は(2)記載の製造方法。
(11)前記透過性金属箔の厚みが0.5〜10μmである、(2)記載の製造方法。
(12)前記透過性金属箔が平均孔径5〜50μmの微細孔を有する、(2)記載の製造方法。
(13)前記透過性金属箔の開口率が5〜40%である、(2)記載の製造方法。
(14)前記透過性金属箔の光透過性が5〜40%である、(2)記載の製造方法。
本発明によれば、厚みが薄く(例えば10μm以下)、孔径が小さい(例えば50μm以下)微細孔を有する多孔金属箔が支持体上に形成されたものが得られ、このものは支持体と多孔金属箔との間に適度の剥離性を有するため、これから多孔金属箔を容易に剥離して透過性金属箔を得ることができる。得られる透過性金属箔は、厚みが薄く(例えば10μm以下)、孔径が小さい(例えば50μm以下)微細孔を有し、かつ導電性や電磁波遮蔽性と光やガスの透過性とを両立させた新規な金属箔である。
本発明の方法で製造される支持体付き多孔金属箔は、支持体の剥離層と多孔金属箔とが適度な剥離性を有し容易に剥離することができるため、上記のような透過性金属箔を得るのに利用しやすく使用性が極めて良好である。具体的には、当該支持体付き多孔金属箔における支持体の剥離層からそのまま多孔金属箔を剥離して透過性金属箔を単体として取得するという形で使用することができるとともに、当該支持体付き多孔金属箔の多孔金属箔側を所望の対象物に貼り付けた後に支持体を剥離するという形で使用することもできる。この場合、対象物に透過性金属箔を簡便に貼り合わせることができる。そのような対象物としては、例えば合成樹脂、ガラス、セラミックス等からなる物品が挙げられる。
本発明の透過性金属箔の製造工程を示す模式図である。 本発明の透過性金属箔の外観例である。 本発明の実施例1で用いたグラビア印刷版のドットパターンである。 本発明の実施例1で得られた透過性銅箔の外観である。 本発明の実施例2で得られた透過性銅箔の外観である。
1・・・基材
2・・・剥離層
3・・・ドットパターン層
4・・・めっき層(金属箔層)
5・・・透過性金属箔
本発明の支持体付き多孔金属箔の製造方法は、以下の工程(a)及び(b)を含む。
工程(a):基材と剥離層とを有する支持体の該剥離層上に、絶縁性インクを印刷法によって印刷し、絶縁性インクからなるドットパターン層を形成する工程
工程(b):前記支持体にめっき処理を施し、前記剥離層上のドットパターン層以外の部分に金属箔層を形成して支持体付き多孔金属箔を得る工程
本発明の透過性金属箔の製造方法は、上記工程(a)及び(b)に加えて以下の工程(c)を含む。
工程(c):前記支持体付き多孔金属箔における支持体から多孔金属箔を剥離して透過性金属箔を得る工程
図1に、本発明の支持体付き多孔金属箔の製造方法及びそれを用いた透過性金属箔の製造工程を示した。図1によれば、まず基材1上に剥離層2を形成して支持体とし、次いで剥離層2の上に絶縁性インクからなるドットパターン層3を形成し、その後支持体に対してめっき処理を行いドットパターン以外の部分にめっき層(金属箔層)4を形成する。これによって支持体付き多孔金属箔が得られる。
次いで、前記支持体付き多孔金属箔において支持体からめっき層4を剥離することによって、本発明の透過性金属箔5が得られる。
(1)支持体
i)剥離層
本発明で用いる支持体は、基材と剥離層とを有する。
前記剥離層上には、後述する工程(b)でめっき処理により金属箔が形成される。剥離層は、工程(b)で形成するめっき層が基材と結合することを防ぎ、めっき層を剥離可能にするという効果がある。剥離層の厚みは特に制限されないが、好ましくは0.05〜1μm程度、より好ましくは0.1〜0.5μm程度である。
剥離層には、有機系膜や無機系膜を用いることができる。
有機系膜を構成する化合物としては、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物、カルボン酸などが挙げられ、これらのなかから1種または2種以上を混合して用いられる。
具体的には、窒素含有有機化合物としては、置換基を有するトリアゾール化合物である1,2,3−ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、N’,N’−ビス(ベンゾトリアゾリルメチル)ユリア、1H−1,2,4−トリアゾールおよび3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール等が挙げられる。硫黄含有有機化合物としては、メルカプトベンゾチアゾール、チオシアヌル酸および2−ベンズイミダゾールチオール等が挙げられる。カルボン酸としては、特にモノカルボン酸を用いることが好ましく、なかでもオレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等を用いることが好ましい。
無機系膜としては、ニッケルやアルミニウムを主とする合金、ニッケルやアルミニウムの酸化物、硫化物などの無機化合物からなる膜が挙げられるが、電気ニッケルすずめっきで形成されるニッケルすず薄膜が好ましい。電気ニッケルすずめっきの方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。
ii)基材
本発明で用いられる基材としては、片面に形成する剥離層とその上にめっき処理により形成する金属箔層との剥離性を確保するために、表面粗さがRa=0.5μm以下のものを用いることが望ましい。基材表面の粗さが大きすぎると、基材上に形成した剥離層表面の凹凸も大きくなる傾向があり、この凹凸を有する剥離層表面にめっき処理を行って金属箔層を形成しようとすると、凹凸にめっき金属が入り込むため、アンカー効果により金属箔層と剥離層との密着性が高くなり過ぎ、その結果、剥離層からの金属箔層の剥離性が低下するおそれがある。
表面粗さの下限は特に限定されないが、Ra=0.005μm以上であることが好ましい。
また、本発明で用いられる基材の上に剥離層として電気ニッケルすずめっき処理によりニッケルすず薄膜層を形成する場合、前記基材はその少なくとも片面が導電性を有するものであることが好ましい。より好ましくは、表面抵抗が0.3Ω/□以下の基材が好ましい。導電性が低いと電気ニッケルすずめっき処理が十分に行えず、剥離層としてニッケルすず薄膜層を形成することが困難となる場合がある。表面抵抗の下限は特に限定されないが、0.001Ω/□以上であることが好ましい。
このような条件を備える基材としては、金属薄膜(以下、「基材用金属薄膜」という)、樹脂フィルム等に金属を積層した金属積層体(以下、「基材用金属積層体」という)などが挙げられる。
基材用金属薄膜に使用される金属としては、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、ステンレスなどが挙げられる。これらのうちで特に好ましいものは銅である。なお、アルミニウムを用いる場合はアルミニウム薄膜がめっき液に溶けないようにジンケート処理等の公知の前処理をすることが好ましい。
基材用金属薄膜の厚みは特に制限されないが、好ましくは18〜500μm程度である。なお、基材として単体金属からなる基材用金属薄膜を用い、剥離層として合金又は金属化合物(酸化物、硫化物など)を用いる場合、基材用金属薄膜の表面部分のみを酸化してこの酸化被膜を剥離層として用いることもできる。その一例としては、基材用金属薄膜として金属アルミニウムを用い、その表面部分のみを酸化してこの酸化被膜を剥離層として用いることなどが挙げられる。
本発明の基材用金属積層体は、樹脂フィルム等の積層用ベースフィルムの少なくとも片面に金属が積層された各種フィルムである。金属としては銅、アルミニウムなどが挙げられる。積層用ベースフィルムとしてはPET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリイミド、PEN(ポリエチレンナフタレート)などが挙げられる。積層用ベースフィルムの厚みは特に制限されないが、好ましくは25〜125μm程度である。積層される金属層の厚みは特に制限されないが、好ましくは0.05〜20μm程度である。
積層の条件は特に限定されず、金属薄膜と積層用ベースフィルムとを貼り合せる方法や、樹脂フィルム表面へ金属めっきや金属蒸着などにより金属層を形成する方法など、従来公知の方法で行うことができる。また、市販の蒸着フィルムを用いることもできる。
(2)絶縁性インク
本発明では、上記支持体の剥離層上に絶縁性インクを印刷法によって印刷し、絶縁性インクからなるマスキング用のドットパターン層を形成する(工程(a))。
本発明で用いられる絶縁性インクは、剥離層に密着し、後述するめっき処理工程(工程(b))において用いられるめっき液に対する薬剤耐性があり、かつ導電性のないものであれば特に限定されない。
絶縁性インクを印刷後にドットパターン層を形成する方法としては、パターン状に印刷された絶縁性インクを硬化させることが好ましい。硬化方法としては熱硬化及び紫外線硬化のいずれであってもよい。したがって、本発明の絶縁性インクは熱硬化型であっても、紫外線硬化型であってもよい。
絶縁性インクは通常、溶剤、バインダー樹脂、着色成分、添加剤等が必要に応じて適宜配合されている。
バインダー樹脂としては、エポキシ系、ポリエステル系、アクリル系、イソシアネート系などの樹脂を用いることができる。バインダー樹脂は熱硬化型であってもよく、紫外線硬化型であってもよい。
熱硬化型のバインダー樹脂としてはエポキシ樹脂、カルボン酸アクリルポリマー等が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。具体的には、エポキシ樹脂としては「EPICLON 850」(エポキシ当量188)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては「EPICLON N-665」(エポキシ当量202〜212)、「EPICLON N-680」(エポキシ当量206〜216)、「EPICLON N-695」(エポキシ当量209〜219)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては「EPICLON N-775」(エポキシ当量184〜194)(いずれも商品名、DIC株式会社製)などが挙げられる
カルボン酸アクリルポリマーとしては、「JONCRYL 682」(分子量1700、固形分酸価240mgKOH/g)、「JONCRYL 683」(分子量8000、固形分酸価165mgKOH/g)(いずれも商品名、BASFジャパン株式会社製)、「ARUFON UC-3000」(分子量10000、固形分酸価74mgKOH/g)、「ARUFON UC-3900」(分子量4600、固形分酸価108mgKOH/g)(いずれも商品名、東亜合成株式会社製)などが挙げられる。
紫外線硬化型のバインダー樹脂としては、アクリロイル基やメタクリロイル基などの二重結合を含むモノマーやオリゴマーを用いることが出来る。具体例としては、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ノニルフェノールEO変性アクリレートなどの単官能アクリレート、ビスフェノールAEO変性ジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレートなどの二官能アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールEO変性プロパントリアクリレート、ジペンタエリストールヘキサアクリレートなどが挙げられる。
インクの固形分濃度として、バインダー成分は10%〜100%の範囲とすることができる。
溶剤としては特に限定されないが、水;ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;石油ナフサ;メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;エチルアセテート、イソプロピルアセテート、ブチルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA;ブチルカルビトールアセテート)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(DPMA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコール−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル等のグリコールエステル類;グリコールエーテル類;グリコールエステルエーテル類;ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
着色成分としては、無機系、有機系を問わず、従来インクに使用されてきた公知の顔料や染料を用いることができる。
その他、各種添加剤を必要に応じて加えることができる。かかる各種添加剤の具体例としては、表面調整剤、消泡剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、硬化促進剤等が挙げられる。
表面調整剤としては、例えばシリコーン系表面調整剤としてBYK−300、BYK−301、BYK−306等(いずれも商品名、ビックケミージャパン(株)製)、アクリル系表面調整剤として、BYK−350、BYK−352、BYK−354等(いずれも商品名、ビックケミージャパン(株)製)が挙げられる。
消泡剤としては、BYK−051、BYK−052、BYK−053等(いずれも商品名、ビックケミージャパン(株)製)が挙げられる。
レベリング剤としては、BYKETOL−OK、BYKETOL−SPECIAL等(いずれも商品名、ビックケミージャパン(株)製)が挙げられる。
レオロジーコントロール剤としては、BYK−405、BYK−410等(いずれも商品名、ビックケミージャパン(株)製)が挙げられる。
溶剤や各種添加剤は、例えば絶縁性インクの粘度や印刷性等を調整するために適宜用いることができる。
特に、絶縁性インクに硬化促進剤を加えることが好ましい。絶縁性インクに硬化促進剤を加えることにより、より孔径の小さな透過性金属箔を得ることができる。これは、印刷後に速やかにインクが硬化し、硬化促進剤を加えない場合に比べて、インクの流動によるドットの滲みや広がりが抑制され、よりドット径の小さい繊細なドットパターンが得られ、さらにこの上にめっき処理を施すことにより孔径の小さな多孔金属層が得られることによるものと思われる。
硬化促進剤はバインダー樹脂に対応して選択する必要がある。具体的には、エポキシ樹脂に対しては、イミダゾール化合物、アミン化合物などが好ましく用いられる。イミダゾール化合物としては、「SIZ」、「2MZ−H」、「2MZ−OK」等の四国化成工業(株)製キュアゾールシリーズ(いずれも商品名)が挙げられる。アミン化合物としては、「PN−23」、「PN−H」、「PN−31」等の味の素ファインテクノ(株)製アミキュアシリーズ(いずれも商品名)が挙げられる。
イソシアネート系バインダー樹脂に対しては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ジアザビシクロウンデセン等のアミン類、トリブチル錫ジラウレートなどが挙げられる。
紫外線硬化型樹脂に対しては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASF製、商品名;イルガキュア184)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASF製、商品名;イルガキュア907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(BASF製、商品名;イルガキュア369)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキシド(BASF製、商品名;ルシリンTPO)等の光重合開始剤、ジエチルチオキサントン等の増感剤が挙げられる。
硬化促進剤の絶縁性インクに対する配合割合は特に制限されず、適宜調整することができる。
本発明で用いられる絶縁性インクは、剥離層との密着性が高いドットパターン層を形成しうるものが好ましい。絶縁性インクからなるドットパターン層と剥離層との密着性が低いと、透過性金属箔を得るために多孔金属箔を支持体から剥離する際に、ドットパターン層も同時に脱落し、多孔金属箔の孔が埋まった状態となって透過性金属箔が得られない場合がある。
本発明では、ドットパターン層と剥離層との密着性の評価を、JIS―K5600(塗料一般試験方法;引っかき硬度(鉛筆法))を応用した方法によって行っている。具体的には、絶縁性インクにより形成されたドットパターンの一部(ドット)を一定の硬さの鉛筆の芯で引っかいたときにドットが剥がれるか否かを、鉛筆の硬さを変えて測定する。ドットと基材との密着性が低いと、鉛筆の硬度が低い(柔らかい)場合でもドットが剥がれるが、密着性が高いと鉛筆の硬度が高い(硬い)場合でもドットが剥がれない。すなわち、ドットが剥がれるときの鉛筆硬度と密着性との間に一定の相関関係が存在することを利用したものである。ドットが剥がれるときの鉛筆硬度が高いと、ドットパターン層と剥離層との密着性が高い、と評価することができる。
本発明におけるドットパターン層と剥離層との密着性は、このJIS―K5600による引っかき硬度(鉛筆法)を応用したドットパターン層と剥離層との密着性評価において、ドットが剥がれる条件(ドット剥離条件)が鉛筆硬度2H以上となるような密着性を有することが好ましい。そして、剥離層との間に鉛筆硬度2H以上となるような高い密着性を有するドットパターン層を形成しうる絶縁性インクを用いることが好ましい。
絶縁性インクは、後述するめっき処理工程(工程(b))において用いられるめっき液に対する薬剤耐性を有することが好ましい。
特にめっき処理として電気めっき処理を行う場合、絶縁性インクは電気めっき液に対する高い薬剤耐性を有することが好ましい。電気めっき液に対する薬剤耐性が低いと、電気めっき加工中にドットパターン層が脱落し、孔の無い金属箔となって透過性金属箔が得られない場合がある。すなわち、本発明で用いられる絶縁性インクとしては、電気めっき処理後においても剥離層との間で高い密着性を保持できるドットパターン層を形成しうる程度の薬剤耐性を有するものが好ましい。
このような薬剤耐性の目安としては、剥離層上に形成した絶縁性インクからなるドットパターン層を、めっき液を想定した液に一定時間浸漬した後、JIS―K5600(引っかき硬度(鉛筆法))を用いた本発明の密着性評価におけるドット剥離条件として鉛筆硬度2H以上を有することが好ましい。例えば硬化性樹脂を含む絶縁性インクを用いてドットパターン層を形成したのち電気銅めっき処理を行う場合、硬化させた絶縁性インクからなるドットパターン層を、めっき液を想定した50ml/L濃度の硫酸に25℃で3分間浸漬後、JIS―K5600(引っかき硬度(鉛筆法))を用いた本発明の密着性評価を行った場合にドット剥離条件として鉛筆硬度2H以上を有することが好ましい。
絶縁性インクは体積抵抗率が10Ω・cm以上であることが好ましい。体積抵抗率が10Ω・cm未満であると、電気めっき処理の際に絶縁性インクからなるドットパターン層の表面にもめっき金属が析出して孔が埋まってしまうため、透過性金属箔が得られない場合がある。同様の理由で、絶縁性インクに用いる着色成分には、金属微粒子等の導電性成分を含まないことが好ましい。
(3)絶縁性インクの印刷
絶縁性インクを剥離層上に印刷するときの印刷方法としては、グラビア印刷、スクリーン印刷、フォトリソグラフィー、グラビアオフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷など、既知の方法を適用することができる。中でも、微細パターンに対応可能で連続印刷ができ、産業的な利便性が高いという点で、グラビアオフセット印刷が好ましい。
剥離層上に形成された絶縁性インクからなるドットパターン層には次工程のめっき処理で金属が析出しないため、該ドット部分が多孔金属箔の孔となり、最終的に形成される透過性金属箔の孔となる。
剥離層上に形成される絶縁性インクからなるドットパターン層の厚みは、絶縁性が確保でき、且つ後工程で形成する金属箔の厚みよりも薄いことが好ましい。より好ましくは、ドットパターン層の厚みは0.1μm〜2μmである。
ドットパターン層の厚みが0.1μmよりも薄いと、絶縁性が十分でないことから該ドットパターン層上にもめっき金属が析出する場合があり、多孔金属箔の孔を十分に形成できなくなるおそれがある。一方、ドットパターン層の厚みが多孔金属箔よりも厚い場合は、多孔金属箔を剥離して透過性金属箔を得ようとする際に、剥離前の状態において最表面にドットパターン層が露出している状態となり多孔金属箔はドットパターン層より低い位置に形成された状態となることから、多孔金属箔を支持体から剥離することが困難になる場合がある。
ドットパターン層の厚みは、例えばスクリーン印刷の場合は、版の乳剤の厚みとインクの粘度を最適化することによって調整できる。グラビア印刷およびグラビアオフセット印刷の場合は、グラビア版の凹部の彫刻の深さとインクの粘度を最適化することによって調整できる。インクジェット印刷の場合は、インクジェットノズルから吐出するインクの液滴の大きさと吐出回数を制御することによって調整することができる。
グラビアオフセット印刷の一例では、まず所望のドットパターンを有するグラビア印刷版に絶縁性インクを充填し、続いてグラビア印刷版とブランケットとを接触させてブランケットに絶縁性インクを受理させる。次いで、ブランケットと前記剥離層とを接触させて、剥離層に絶縁性インクを転写することにより、剥離層上に絶縁性インクからなるドットパターン層が形成される。
絶縁性インクを印刷後、形成されたドットパターン層を硬化させる。熱硬化型の絶縁性インクを用いる場合、生産コスト等の産業的な観点から、温度は低く加熱時間(乾燥時間)は短い方が好ましい。好ましくは50〜150℃にて、5〜60分間で硬化させる。
紫外線硬化型の絶縁性インクを用いる場合、波長が200nm〜400nmのUV光を、インクの硬化に必要な積算光量になるように照射すれば良い。
硬化後の絶縁性インクからなるドットパターン層と剥離層との密着性は、JIS―K5600(塗料一般試験方法;引っかき硬度(鉛筆法))を応用した密着性評価で、ドット剥離条件が鉛筆硬度2H以上となるような密着性を有することが好ましい。
(4)めっき処理
本発明では、剥離層上に絶縁性インクからなるドットパターン層を形成したのち、前記支持体にめっき処理を施し、剥離層上のドットパターン層以外の部分に金属箔層(多孔金属箔)を形成する(工程(b))。金属箔層を構成する金属としては、銅、ニッケル、すず、亜鉛、クロム、銀、金が挙げられる。特に好ましくは銅が用いられる。
めっき処理としては、電気めっき、無電解めっき等が挙げられる。
めっき処理の例として、以下に電気銅めっき処理について説明する。
電気銅めっき処理としては、硫酸銅めっき浴を使用する方法など従来公知の方法を適宜用いることができる。めっき処理の条件も従来公知のものを採用することができる。
剥離層上に形成される銅箔の厚みは、公知の技術に基づき、電流密度や反応時間を変えることで調整することができる。
このようにして剥離層上のドットパターン層以外の部分に形成された金属箔層(多孔金属箔)の厚みは、剥離層上に形成される絶縁性インクからなるドットパターン層の厚みよりも厚いことが好ましい。好ましくは、多孔金属箔の厚みは0.5〜10μmである。
多孔金属箔の厚みが厚すぎると金属箔が硬くなりすぎて剥離性が低下したり、孔が埋まって多孔性でなくなる虞が生じたりする場合がある。一方、多孔金属箔の厚みが薄すぎると強度が不十分となる場合がある。
支持体上に形成される金属箔層(多孔金属箔)の厚みがドットパターン層の厚みよりも薄い場合、多孔金属箔を剥離して透過性金属箔を得ようとする際に剥離前の状態において最表面にドットパターン層が露出している状態となり、多孔金属箔はドットパターン層より低い位置に形成された状態となることから、多孔金属箔を支持体から剥離することが困難になる場合がある。
本発明において工程(b)のめっき処理として電気銅めっき処理を採用し、これにより支持体の剥離層上に多孔銅箔を形成する場合、多孔銅箔の厚みが上記条件を満たす範囲になるような電気銅めっき処理の好ましい条件としては、例えば電流密度;0.2〜5A/dm、反応時間;0.5分〜30分等が挙げられる。
本発明におけるドットパターン層と剥離層との密着性は、電気めっき処理後においても同様に、JIS―K5600による引っかき硬度(鉛筆法)を応用した密着性評価において、ドット剥離条件として鉛筆硬度2H以上を有することが好ましい。このようなドットパターン層と剥離層との間で高い密着性を保つ一方で、多孔金属箔と剥離層との間で適度な剥離性を持たせることにより、透過性金属箔を得る上で極めて使用性に優れた支持体付き多孔金属箔となる。
(5)透過性金属箔の製造
本発明においては、上述した工程(a)及び工程(b)において支持体上に多孔金属箔を形成し、支持体付き多孔金属箔を得るが、このようにして得られる支持体付き多孔金属箔は、次いで該支持体から多孔金属箔を剥離することにより、本発明の透過性金属箔を得ることができる(工程(c))。
上述した工程(a)及び工程(b)を含む方法で製造された支持体付き多孔金属箔は、支持体の剥離層と金属箔層とが適度な密着性(剥離性)を有し、容易に剥離することができるという特徴を有する。
本発明の透明性金属箔は、好ましい厚みが0.5〜10μm、より好ましくは1〜5μmであり、従来の多孔金属箔と比べて厚みを極めて薄くすることができる。
本発明の透過性金属箔に形成される孔の平均孔径は、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜30μmである。また、開口率(評価面積中の孔の面積/評価面積)は、好ましくは5〜40%である。
本発明の透過性金属箔は全ての孔が厚み方向に貫通しており、光又はガスの透過性が良好である。好ましくは、可視光領域(600nm)の光の透過率が5〜40%、紫外領域(350nm)の光の透過率が5〜40%である。なお、孔の開いていない通常の薄膜金属箔の透過率は0%である。
また、本発明の透過性金属箔の孔部以外の銅箔部分の粗さは、好ましくは剥離面でRa=0.1〜0.5μm、表面でRa=0.1〜1μm程度である。粗面で表面積が大きいことから、実使用時に本発明の透過性金属箔を他の基材と貼り合せたり、透過性金属箔上に樹脂を塗工したりする際に、基材や樹脂との密着性に優れている。
また、本発明の透過性金属箔の表面抵抗は、好ましくは0.001〜0.3Ω/□程度であり、導電性に優れている。
このような本発明の透過性金属箔は、導電性及び電磁波遮蔽性と、光やガスの透過性とを合わせ持つため、電子部品、各種フィルターや触媒、電極、電磁波シールド材、アンテナ等に利用することができる。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により何らの制限を受けるものではない。各種物性の測定方法は以下の通りである。
<各種物性の測定>
(1)90度ピール剥離強度;
JIS規格C5016の導体の引きはがし強さの測定方法に準じて、本発明の透過性金属箔を剥離層から剥離する際の引き剥がし強度を測定した。引き剥がし速度は50mm/分、サンプル幅は10mmで、株式会社今田製作所製の測定機(SL−2001)を使用した。
(2)透過性金属箔の外観形状の観察
レーザー顕微鏡とマイクロスコープにより透過性金属箔の外観形状(孔サイズ、表面粗さ)を観察した。使用した機器は以下の通りである。
レーザー顕微鏡(オリンパス社製、商品名;OLS3000)
マイクロスコープ(キーエンス社製、商品名;VHX−600)
(3)透過性金属箔の開口率
透過性金属箔の開口率(評価面積中の孔の面積/評価面積)は、マイクロスコープ(キーエンス社製、商品名;VHX−600)を用い、画像を取得し画像解析ソフトで孔の面積を解析する方法で測定した。
(4)透過性金属箔の表面抵抗
抵抗率計(商品名;ロレスタ、三菱化学アナリテック社製)を用い、測定用プローブを透過性金属箔の表面に押し当てて、抵抗値を測定した。
<実施例1>
(1)支持体の作製
基材として電解銅箔(ILJIN Materials社製、厚み35μm)を用い、その光沢面(表面抵抗率;0.01Ω/□以下、表面粗さ;Ra=0.3μm)に剥離層を形成し、支持体とした。
剥離層の形成は、表1の条件で電気ニッケルすずめっきを施すことによって行った。このとき剥離層として形成されたニッケルすずめっき層の厚みは0.1μmであった。
Figure 2016132251
(2)ドットパターン層の形成
前記剥離層の上に、以下に示す方法で絶縁性インクをグラビアオフセット印刷によって印刷し、ドットパターン層(厚み;1μm)を形成した。
グラビアオフセット印刷で使用した絶縁性インクは、表2の組成に調製した。この絶縁性インクの体積抵抗率は10Ω・cm以上であった。
Figure 2016132251
JONCRYL 682;カルボン酸アクリルポリマー商品(BASFジャパン株式会社製)
DPMA;ジプロピレングリコール(モノ)メチルエーテルアセテート
EPICLON N-695;エポキシ樹脂商品(DIC株式会社製)
次に、上記絶縁性インクをグラビア印刷版に充填し、続いてこのグラビア印刷版とブランケット(住友ゴム工業製、シリコーンゴム厚300μm)を接触させて、ブランケットに絶縁性インクを受理させた。図3に、本実施例1で用いたグラビア印刷版のドットパターン(孔径;14.6μm、孔深度;4.3μm、ドット部彫刻面積;34.7%)を示す。
次いで、ブランケットと前述の剥離層とを接触させて、剥離層に絶縁性インクを転写した。印刷後、150℃で60分間保持し、絶縁性インクを硬化させた。
硬化後のドットパターン層の密着性をJIS―K5600(塗料一般試験方法;引っかき硬度(鉛筆法))によって評価した結果、インクが剥がれる条件が6H以上であった。また、このドットパターン層の厚みは1μmであった。
(3)支持体付き多孔銅箔の形成
ドットパターン層を形成した後、前記支持体を下記表3に示す条件で電気銅めっきに供し、剥離層上のドットパターン層以外の部分に銅箔(厚み;2μm)を形成した。この銅箔はドット部分に相当する部分に孔が開いた多孔銅箔であり、これによって支持体付き多孔銅箔が得られた。
Figure 2016132251
(4)透過性銅箔の外観評価
前述の方法によって得られた支持体付き多孔銅箔において、支持体の剥離層から多孔銅箔を剥離し、透過性銅箔を得た。得られた透過性銅箔の厚みは2μmであった。
多孔銅箔を支持体から剥離する際の90°ピール剥離強度は0.01N/mm以下であり、軽く剥離することができ、剥離性は良好であった。
次にレーザー顕微鏡とマイクロスコープにより透過性銅箔の外観形状を観察した。図4に実施例1の透過性銅箔の外観を示す。ドット状に白く見える部分が孔部である。形成された孔径の平均サイズは約10μmであった。また、開口率(評価面積中の孔の面積/評価面積)は26%であった。全ての孔は銅箔を厚み方向に貫通しており、光が透過した。
透過性銅箔の孔部以外の銅箔部分の粗さは、剥離面でRa=0.3μm、表面でRa=0.3μmであった。また表面抵抗を抵抗率計(商品名;ロレスタ、三菱化学アナリテック社製)で測定したところ、0.05Ω/□以下であり、導電性に優れていた。
(5)透過性銅箔の透過率評価
分光光度計(製造元;島津製作所、商品名UV−2450)にて可視光領域(600nm)および、紫外領域(350nm)の光の透過率を測定した。孔の開いていない通常の薄膜銅箔の透過率が0%であるのに対し、本発明の透過性銅箔の透過率は、600nmで13%、350nmでは16%であった。
<実施例2>
(1)ドットパターン層の形成
表4に示した組成で調整した絶縁性インクを用いてドットパターン層を形成した他は、実施例1と同様にして透過性銅箔を製造した。なお、ここで使用した絶縁性インクの体積抵抗率は10Ω・cm以上であった。
硬化後のドットパターン層の密着性をJIS―K5600(塗料一般試験方法;引っかき硬度(鉛筆法))によって評価した結果、インクが剥がれる条件が6H以上であった。また、このドットパターン層の厚みは、平均1.1μmであった。
Figure 2016132251
JONCRYL 682;カルボン酸アクリルポリマー商品(BASFジャパン株式会社製)
DPMA;ジプロピレングリコール(モノ)メチルエーテルアセテート
EPICLON N-695;エポキシ樹脂商品(DIC株式会社製)
硬化促進剤;イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤(四国化成工業(株)製)
(2)電気銅めっき処理
めっき条件の反応時間を120secとした以外は実施例1と同様にして、電気銅めっき処理を実施した。
(3)透過性銅箔の外観評価
前述の方法によって得られた支持体付き多孔銅箔において、支持体の剥離層から多孔銅箔を剥離し、透過性銅箔を得た。得られた透過性銅箔の厚みは1.5μmであった。
多孔銅箔を支持体から剥離する際の90°ピール剥離強度は、0.01N/mm以下であった。軽く剥離することができ、剥離性は良好であった。次にレーザー顕微鏡とマイクロスコープにより透過性銅箔の外観形状を観察した。図5に実施例2の透過性銅箔の外観を示す。ドット状に白く見える部分が孔部である。
インクに硬化促進剤を加えたことで、実施例1よりも孔径の小さな孔を有する透過性銅箔が得られた。形成された孔の平均孔径は約8μmであった。また、開口率(評価面積中の孔の面積/評価面積)は10.0%であった。全ての孔は銅箔を厚み方向に貫通しており、光が透過した。
透過性銅箔の孔部以外の銅箔部分の粗さは、剥離面でRa=0.3μm、表面でRa=0.5μmであった。また、得られた透過性銅箔の表面抵抗を抵抗率計(商品名;ロレスタ、三菱化学アナリテック社製)で測定したところ、0.05Ω/□以下であり、導電性に優れていた。
本発明の方法で製造される透過性金属箔は、孔径の小さい孔を均一に有する多孔金属箔であり、好ましい厚みが0.5〜8μmと極めて薄く、好ましい平均孔径は5〜50μmである。また、好ましい開口率は5〜40%である。このように一定面積内に多くの孔を存在させることができ、均一な透過性を発揮することができる。
このような本発明の透過性金属箔は、導電性及び電磁波遮蔽性と、光やガスの透過性とを合わせ持つため、電子部品、各種フィルターや触媒、電極、アンテナ、電磁波シールド材等に利用することができる。
本発明の方法で製造される支持体付き多孔金属箔は、上記のような透過性金属箔を使用時に適度な剥離性で容易に剥離することができるものである。このため、使用性が極めて良好である。通常は、支持体から金属箔を剥離するのは金属箔を所望の対象物に貼り付けた後に行う。所望の対象物としては、例えば合成樹脂、ガラス、セラミックス等からなる物品が挙げられる。

Claims (14)

  1. 以下の工程を含む、支持体付き多孔金属箔の製造方法。
    (a)基材と剥離層とを有する支持体の該剥離層上に、絶縁性インクを印刷法によって印刷し、絶縁性インクからなるドットパターン層を形成する工程
    (b)前記支持体にめっき処理を施し、前記剥離層上のドットパターン層以外の部分に金属箔層を形成して支持体付き多孔金属箔を得る工程
  2. 以下の工程を含む、透過性金属箔の製造方法。
    (a)基材と剥離層とを有する支持体の該剥離層上に、絶縁性インクを印刷法によって印刷し、絶縁性インクからなるドットパターン層を形成する工程
    (b)前記支持体にめっき処理を施し、前記剥離層上のドットパターン層以外の部分に金属箔層を形成して支持体付き多孔金属箔を得る工程
    (c)前記支持体付き多孔金属箔における支持体から多孔金属箔を剥離して透過性金属箔を得る工程
  3. 前記剥離層が、基材上に電気ニッケルすずめっき処理により形成されたニッケルすず薄膜層である、請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 前記剥離層が表面抵抗0.3Ω/□以下の導電性を有する、請求項1又は2記載の製造方法。
  5. 前記絶縁性インクが溶剤とバインダー樹脂とを含む、請求項1又は2記載の製造方法。
  6. 前記印刷法がグラビアオフセット印刷法である、請求項1又は2記載の製造方法。
  7. 前記絶縁性インクが硬化性樹脂を含み、かつ前記工程(a)において絶縁性インクを印刷したのち、該絶縁性インクを硬化させることによって前記ドットパターン層を形成することを特徴とする、請求項1又は2記載の製造方法。
  8. 前記剥離層とドットパターン層との密着性が、JIS―K5600(塗料一般試験方法;引っかき硬度(鉛筆法))を用いた密着性評価におけるドット剥離条件として鉛筆硬度2H以上である、請求項1又は2記載の製造方法。
  9. 前記(b)工程におけるめっき処理が、電気めっき処理である、請求項1又は2記載の製造方法。
  10. 前記ドットパターン層の厚みが金属箔層の厚みより薄いことを特徴とする、請求項1又は2記載の製造方法。
  11. 前記透過性金属箔の厚みが0.5〜10μmである、請求項2記載の製造方法。
  12. 前記透過性金属箔が平均孔径5〜50μmの微細孔を有する、請求項2記載の製造方法。
  13. 前記透過性金属箔の開口率が5〜40%である、請求項2記載の製造方法。
  14. 前記透過性金属箔の光透過性が5〜40%である、請求項2記載の製造方法。
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