本発明の遊技機は、
遊技球を一時的に貯留するタンクと、該タンクからの遊技球を所定の条件を具備したときに賞球として払い出す払出し装置と、該払出し装置にタンクからの遊技球を案内するレールとを有する遊技機であって、
前記タンクまたは前記レールの少なくとも一方と前記払出し装置とを、抵抗率の異なる樹脂製の導電材を用いて形成したことを要旨とする。
ここで抵抗率とは、ある材料についての単位体積当たりの電気抵抗値をいう。抵抗率は比導電率の逆数として表わすことができる。
上記発明の遊技機によれば、球貸しや入賞の際における遊技球の流動によって発生した静電気は、遊技球が払出し装置に至るまでに確実に除去される。この結果、払出し装置の近傍に設けられた制御部品や各種制御基板の誤作動を確実に防止することができる。
タンクまたはレールに、払出し装置に用いられる導電材よりも小さな抵抗率の導電材を用いることも好適である。こうすれば、島からの供給に伴って遊技球に生じた静電気を遊技球の供給源に近い位置で除去することが可能となり、払出し装置の近傍に設けられた制御部品や各種制御基板の誤作動を防止する確実性をより高めることができる。この結果、タンクやレールの下方に制御部品や各種の制御基板を設けた場合であっても制御部品や制御基板の誤作動を防止することが可能となり、制御部品や制御基板の配置の自由度を高めることができる。
タンクおよびレールの双方を樹脂製の導電材を用いて形成し、レールに用いられる導電材よりも小さな抵抗率の導電材をタンクに用いる構成としてもよい。こうすれば、島から供給された遊技球がタンク内に貯留された遊技球に衝突することにより発生した静電気を、発生後速やかにタンク内において除去することができ、静電気発生量の多い地点において静電気を効率よく除去することができる。
レールを、複数のレール部品を連接することによって構成し、該複数のレール部品を、それぞれ抵抗率の異なる樹脂製の導電材を用いて形成することも可能である。こうすれば、レール上の静電気を、抵抗率の小さい導電材を用いたレール部品側でより積極的に除去することができる。例えば、タンク近傍に位置するレール部品を抵抗率の小さい導電材を用いて形成すれば、払出し装置から離れた位置において静電気が積極的に除去されるので、静電気を帯びた遊技球の払出し装置への進入を確実に防止することができる。
前記タンク,前記レール,前記レール部品,前記払出し装置という各パーツに用いられる導電材の抵抗率を、各パーツと遊技球との接触面積の大小、各パーツ内における遊技球同士の衝突頻度の多少、各パーツ内における制御部品の存否の少なくともいずれかに応じた値とすることも望ましい。こうすれば、各パーツに用いられる導電材の抵抗率は、球貸しや入賞の際における各パーツと遊技球との摩擦の大きさや各パーツ内における遊技球同士の衝突頻度の多さ、制御部品への影響度の大きさに応じた値となる。従って、各パーツにおける静電気発生量の多少や静電気除去の必要性の高さに対応して静電気を効果的に除去することができる。例えば、摩擦や衝突によって静電気が多く発生する地点に用いられるパーツに抵抗率の小さな導電材を用いれば、該パーツ内で発生した多量の静電気を該パーツから確実に除去することが可能となり、帯電状態の遊技球がより下流側のパーツに流動してしまうことを効果的に抑制することができる。
タンク,レールおよび払出し装置を連絡する連絡部と、遊技機の一部を開閉可能に軸支するヒンジ部とを備え、連絡部とヒンジ部とを電気的に接続する構成とすることも、球貸し時や入賞時における遊技球の流動によって発生した静電気を、タンク,レールおよび払出し装置から連絡部材を通じて遊技機外に確実に除去することができる点で好ましい。
また、払出し装置によって払い出された遊技球を貯め置く上皿と、該上皿の容量を越えて払い出された遊技球を貯め置く下皿とを備え、上皿および下皿を樹脂製の導電材を用いて形成しても差し支えない。
以上説明した本発明の構成および作用を一層明らかにするために、以下本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、本発明の特徴を、本発明の実施例であるパチンコ遊技機10を用いて示す説明図である。この図1では、遊技場の島に設置されたパチンコ遊技機10を後面から見たときの様子を示している。
図1に示すように、遊技場の島には、各パチンコ遊技機10のアウト口に進入した遊技球(以下、アウト球という)を回収して球搬送装置CEに搬送する搬送用レールCR、搬送用レールCRからのアウト球を搬送筒CTを介して上方の球供給装置SEに搬送する球搬送装置CE、搬送筒CTから搬送されたアウト球を遊技球Bとして供給用レールSRに送出する球供給装置SEが設けられている。球供給装置SEから供給用レールSRに送出された遊技球Bは、パチンコ遊技機10後面の最上部に取り付けられた球タンク72に供給される。
パチンコ遊技機10後面には、球タンク72に連接されたタンクレール73、タンクレール73に連接されたケースレール74、ケースレール74に連接された賞球/貸球払出しユニット75が取り付けられている。賞球/貸球払出しユニット75のストッパ75gは、球貸し時や役物への入賞時以外は閉じた状態となっている。このため、ストッパ75gの閉止状態において球タンク72に供給された遊技球Bは、ストッパ75gに当接した後、ケースレール74,タンクレール73,球タンク72に順次に溜まっていく。この後、球タンク72に所定量の遊技球Bが溜まったときに球供給装置SEから球タンク72への遊技球Bの供給が停止される。
一方、遊技中に球貸しや役物への入賞が生じた場合には、入賞を検知した払出制御基板86aからの指示に基づいてストッパ75gが開いた状態となり、この結果、遊技球Bは、図1に白抜きの矢印で示すように、賞球/貸球払出しユニット75に連接された鈴桶ベース77を通じてパチンコ遊技機10前面の上皿24に供給される。この上皿24への遊技球Bの供給に伴って、ケースレール74,タンクレール73,球タンク72に溜まっていた遊技球Bは、下流側の賞球/貸球払出しユニット75方向に流動する。この流動により球タンク72内の遊技球Bの貯留数が減少する。球供給装置SEは、こうした貯留数の減少を検知し、減少した分の遊技球Bを供給用レールSRを通じて球タンク72に補給する。払い出された賞球や貸球の数は、賞球/貸球払出しユニット75内に設けられた賞球/貸球センサ75eによって検知され、賞球/貸球センサ75eが所定数の払出しを検知したときに検知結果を受け取った払出制御基板86aがストッパ75gの閉成を指示する。
このように、球貸しや役物への入賞が生じた場合には、球タンク72,タンクレール73,ケースレール74,賞球/貸球払出しユニット75,鈴桶ベース77,上皿24内という各部を遊技球Bが流動し、かつ、球タンク72内に供給用レールSRからの遊技球Bが落下する。本発明は、各部における遊技球Bの流動態様や落下態様の相違による静電気発生量の差に着目して、各部の電気抵抗率を静電気発生量の多少に応じて異ならせ、これにより、各部において発生した静電気を確実に除去し、各部において発生した静電気が、遊技球Bの流動経路の近傍に設けられた賞球/貸球センサ75eや遊技球Bの流動経路の周辺に設けられた払出制御基板86aや主基板84a等の制御基板に及んでしまうこと(図1に黒色の太矢印で示す)を有効に防止することを特徴とするものである。
次に、本実施例のパチンコ遊技機10の全体構成について図2および図3を参照しつつ説明する。図2,図3は、それぞれパチンコ遊技機10の前面,後面を示している。図2に示すように、パチンコ遊技機10は、木製の外枠12と、この外枠12の外側側面にセットされるプリペイドカードユニット15を備える。
プリペイドカードユニット15は、貸球数の情報が記録されたプリペイドカードを挿入することにより所定数の遊技球Bを上皿24に供給する装置であり、AC100ボルトのカードユニット電源コード17(図3を参照)と、度数表示部16a,貸出ボタン16b,貸出ボタンランプおよび返却ボタン16cを有する案内ユニット16を備える。このプリペイドカードユニット15によって貸球がなされる仕組みについては後述する。
パチンコ遊技機10は、外枠12に内枠用ヒンジ13を介して開閉可能に軸着される内枠20を備える。この内枠20に装着される各部品について以下説明する。内枠20の枠内に形成された開口部には、予め描画シートが貼着された遊技板40が嵌め込まれており、この遊技板40はガラス枠22のガラス面で覆われている。ガラス枠22は、遊技状況に応じて点滅ないし点灯する表示ランプ23をガラス面の周囲に備える。このガラス枠22は、内枠20の一片側(図2では向かって左側)の内側面に装着されたガラス枠用ヒンジ21を介して開閉可能に軸着される。
ガラス枠22の下方には、貸球や賞球としての遊技球Bを貯留する上皿24が設けられている。この上皿24は、内枠20の一片側(図2では向かって左側)の内側面に上皿用ヒンジ(図示せず)を介して開閉可能に軸着されている。
なお、ガラス枠用ヒンジ21および上皿用ヒンジとは反対側(図2では向かって右側)の内枠20の端部には、ガラス枠22および上皿24を閉じたときにガラス枠22裏側の係合部および上皿用ヒンジ裏側の係合部に係合する係合金具29が装着されている。上記各係合部が係合金具29に係合することにより、ガラス枠22および上皿24は、図2に示すような閉じた状態に保たれる。ガラス枠22の係合部と係合金具29との係合状態は、鍵穴飾り27に設けられた錠28の解錠操作によって係合金具29の一部が移動することによって解除される。これにより、ガラス枠22はガラス枠用ヒンジ21を中心として回転可能となり、ガラス枠22を開くことができる。また、上皿24の係合部と係合金具29との係合状態は、ガラス枠22を開いた後に上皿24裏面と内枠20表面との間に指を入れ、係合金具29の一部を押圧移動させることによって解除される。これにより、上皿24は上皿用ヒンジを中心として回転可能となり、上皿24を開くことができる。
上皿24よりも下方の内枠20表面には、上皿24の容量を越えて払い出された遊技球Bを貯留する下皿25、発射ハンドル26aの回転操作によって上皿24から供給された遊技球Bを遊技領域に向けて発射する発射操作ユニット26等が取り付けられている。また、上皿24を開けたときに露出する内枠20表面には、発射ハンドル26aの回転操作により発射された遊技球を外レール51に案内する発射レール30が装着されている。
一方、内枠20の後面には、図3に示すように、上皿24および発射操作ユニット26の取り付け位置に対応する位置に、発射モータや打球竿等からなる発射機構ユニット31が取り付けられる。また、内枠20の片側(図3では向かって右側)の側面には、後述する機構板70を軸受けするための金属製の受け金具33が螺着されている。なお、内枠20後面における開口部の左右には、嵌め込まれた遊技板40を内枠20の後側から支持する支持片32a,32bが軸着されている。この左右の支持片32a,32bを軸を中心に回転させた後に遊技板40を引き出すことにより、遊技板40を内枠20の後面から取り外すことができる。
次に、遊技板40について説明する。図2に示すように、遊技板40の表側には、発射操作ユニット26により発射された遊技球Bを遊技領域まで誘導する外レール51および内レール49、遊技領域に出た遊技球Bの内レール49側への戻りを防止するファール球止め50、返しゴム52、遊技領域において打球が流下する方向を変化させる多数の障害釘、遊技領域において打球が流下する速度や方向を変化させる風車47およびランプ風車48、遊技領域を流下する遊技球が進入可能な数個の普通入賞口43および一個の始動入賞口44、遊技球Bの普通図柄表示装置作動ゲート45の通過に伴って動作する普通図柄表示装置42、遊技球Bの始動入賞口44への進入に伴って図柄変動を開始する特別図柄表示装置41、特別図柄表示装置41によって特定図柄が表示されたときに開く大入賞口46、各入賞口43,44,46への入賞状況に応じて種々の形態で点灯ないし点滅する表示ランプ54等の各種部品が装着されている。また、遊技板40の中央下部には、遊技領域において入賞しなかった遊技球Bの入口であるアウト口53が形成されている。このような各部により、ガラス枠22越しの遊技板40上に遊技領域が形成される。
一方、遊技板40の裏側には、図3に示すように、特別図柄表示装置41として機能する液晶表示器56、表示ランプ23,54の表示形態を制御するランプ制御基板57、外部に出力する音声の内容を特別図柄表示装置41の動作状況に応じて制御する音声制御基板58が、電気配線と共に取り付けられている。なお、ランプ制御基板57および音声制御基板58は、金属製のランプ・音声基板用プレート59を介して遊技板40に取り付けられる。こうした液晶表示器56、ランプ制御基板57、音声制御基板58は、図示しない樹脂製のカバーによって覆われている。
次に、樹脂製の機構板70について説明する。図3に示すように、機構板70の側面の二箇所には金属製の機構板用ヒンジ71,79が螺着されている。この機構板用ヒンジ71,79を内枠20に装着された受け金具33にセットすることにより、機構板70は、遊技板40を挟んで開閉ないし係脱可能に装着される。
機構板70の略中央には矩形の開口部70aが形成されている。図3に示すように、機構板70を閉じた状態において、遊技板40裏側の液晶表示器56,ランプ制御基板57および音声制御基板58は上記開口部70a内に納まっている。
機構板70の裏側には、遊技場の球供給装置SEから供給される遊技球を一時的に貯留する球タンク72、球タンク72から賞球/貸球払出しユニット75までを連通するタンクレール73およびケースレール74が取り付けられている。図3に示すように、最上部に取り付けられた球タンク72の下部には二つの凸部72a,72bが形成されている。これらの凸部72a,72bはタンクレール73の上端と接触している。また、タンクレール73の末端はケースレール74の始端と接触した状態となっている。
ケースレール74の末端には、保護カバー76a,76b付きの賞球/貸球払出しユニット75および鈴桶カバー78付きの鈴桶ベース77が連接されている。これらのケースレール74,賞球/貸球払出しユニット75、鈴桶ベース77は、図3に示すように、機構板70の裏面に敷設された矩形の金属板90上に金属板90と接触した状態で設置されている。また、ケースレール74の始端と接するタンクレール73の末端も、金属板90上に金属板90と接触した状態で設置されている。この金属板90,ケースレール74,賞球/貸球払出しユニット75および鈴桶ベース77の機構板70への設置態様については後述する。
機構板70におけるケースレール74上方の領域には電源・外部端子ユニット80が装着されている。電源・外部端子ユニット80は、遊技場の島からAC24ボルトの電源をパチンコ遊技機10内に導入するための遊技機電源コード80b、操作により供給電源のオン/オフを行なう電源スイッチ80a、パチンコ遊技機10に発生した特定図柄の表示による大当たり回数等を外部に出力する遊技盤用外部端子板80c、球貸しや球切れ,賞球に関する情報を外部に出力する枠用外部端子板80dから構成されている。遊技機電源コード80bから導入されたAC24ボルトの電源は、電気配線を通じて後述する電源ユニット81に送られる。
開口部70aの下方には、電源基板81aを有する電源ユニット81および発射制御基板82aを有する発射制御ユニット82が、金属製の電源・発射制御基板用プレート83を介して機構板70の裏面に取り付けられている。また、機構板70の裏面には、電源ユニット81および発射制御ユニット82の上面の一部を覆うように、金属製の主基板用プレート85が螺着されており、この主基板用プレート85上に主基板84aを有する主制御ユニット84が取り付けられている。また、機構板70の裏面には、鈴桶カバー78の上面および電源ユニット81の上面の一部を覆うように、金属製の払出制御基板用プレート87が螺着されており、この払出制御基板用プレート87上に払出制御基板86aを有する払出制御ユニット86が取り付けられている。
外部端子ユニット80と電気配線を介して接続された電源ユニット81は、遊技機電源コード80bから送られてきた交流電流を直流電流に変換して、液晶表示器56、ランプ制御基板57、音声制御基板58、発射制御ユニット82、主制御ユニット84および払出制御ユニット86等の各制御パーツに供給する。発射制御ユニット82は発射機構ユニット31の発射動作を制御する。主制御ユニット84は、特別図柄表示装置41や普通図柄表示装置42における図柄の表示動作等の遊技に伴う動作を制御する。払出制御ユニット86は、賞球/貸球払出しユニット75による払出し動作を制御する。
図3に二点鎖線で示すように、機構板70の表側には、遊技球Bを誘導する各種の通路が設けられている。一つは、賞球や貸球として払い出される遊技球Bを上皿24に導く通路である案内路70bである。また、案内路70bから分岐し、上皿24の容量を越えて払い出された遊技球Bを下皿25に導く通路である分岐路70c、アウト口53に進入した遊技球Bをアウト球として機外へ排出する通路であるアウト球排出通路70dも設けられている。
金属板90,ケースレール74,賞球/貸球払出しユニット75および鈴桶ベース77が機構板70に取り付けられる様子を図4に示す。図4に示すように、機構板70には、賞球や貸球として払い出された遊技球Bを上皿24に案内する案内路70bが、機構板70を幅方向に貫通することによって設けられている。この案内路70bよりもやや上方に金属板90が取り付けられる。
図4に示すように、金属板90の側端部には折曲部90a,90bが形成されており、この折曲部90a,90bは、それぞれ機構板用ヒンジ71,79に螺着されている。これにより、金属板90は、折曲部90a,90bを介して機構板用ヒンジ71,79と導通可能な状態となる。
金属板90の下方位置に取り付けられる鈴桶ベース77内には、賞球ないし貸球として払い出された遊技球Bの通路77aが形成されており、この通路77aの中央にはベル77cが装着されている。また、鈴桶ベース77が取り付けられたときに案内路70bと対向する位置には、通路77a内の遊技球Bを外部に排出するための出口77bが形成されている。
鈴桶ベース77の通路77aの上方には賞球/貸球払出しユニット75が装着される。賞球/貸球払出しユニット75の装着位置よりも下方の鈴桶ベース77は鈴桶カバー78によって覆われている。
賞球/貸球払出しユニット75は、その内部に、モータ75a,75bを動力源として開閉するニ個のストッパ(図示せず)を備える。このストッパが閉成状態となることによりケースレール74からの遊技球Bの流下が塞き止められる。なお、賞球/貸球払出しユニット75の上面には、モータ75a,75bをそれぞれ覆うようにニ個の保護カバー76a,76bが装着される。
賞球/貸球払出しユニット75の底部には、各ストッパの位置から連通された賞球排出口75c,貸球排出口75dが形成されている。また、賞球/貸球払出しユニット75内の賞球排出口75c,貸球排出口75dの近傍には、賞球排出口75c,貸球排出口75dから排出された賞球,貸球としての遊技球Bの数を検知する賞球/貸球センサ(図示せず)が埋め込まれている。
図4におけるケースレール74は、上下にニ分割された組み合わせ前の状態を表わしている。金属板90の上方位置に取り付けられるケースレール74内には、タンクレール73から流れてきた遊技球Bが進入する進入口74a、進入口74aから進入した遊技球Bを賞球用通路74cと貸球用通路74dとに分岐する分岐壁74b、分岐された遊技球Bの出口である賞球用遊技球通過口74e,貸球用遊技球通過口74fが形成されている。
以上説明した球タンク72、タンクレール73、ケースレール74、賞球/貸球払出しユニット75、鈴桶ベース77、鈴桶カバー78および案内路70bによって、賞球や貸球としての遊技球Bの上皿24への払出し通路が形成される。即ち、パチンコ遊技機10では、入賞や球貸しのない場合には、賞球/貸球払出しユニット75内のニ個のストッパが閉止した状態となる。このため、遊技球Bの流下がニ個のストッパによって塞き止められ、球タンク72、タンクレール73およびケースレール74内は遊技球Bが貯留した状態となる。
一方、遊技中に普通入賞口43または大入賞口46に遊技球Bが進入した場合には、この遊技球Bの進入を検知した払出制御ユニット86が賞球排出口75c側のストッパの開成を指示する。この結果、ケースレール74の賞球用通路74cに貯まっていた遊技球Bは、賞球用遊技球通過口74eから賞球/貸球払出しユニット75内の賞球排出口75cを通じて鈴桶ベース77の通路77aに進入する。通路77aに進入した遊技球Bは、ベル77cに衝突してベル77cを鳴らしながら出口77bに向けて流下し、出口77bから案内路70bに排出される。これにより、賞球としての所定数の遊技球Bが案内路70bを通ってパチンコ遊技機10前面側の上皿24に払い出される。
また、プリペイドカードユニット15にプリペイドカードが挿入された後に案内ユニット16の貸出ボタン16bが押された場合には、貸球数の情報を検知した払出制御ユニット86が貸球排出口75d側のストッパの開成を指示する。この結果、ケースレール74の貸球用通路74dに貯まっていた遊技球Bは、貸球用遊技球通過口74fから賞球/貸球払出しユニット75内の貸球排出口75dを通じて鈴桶ベース77の通路77aに進入する。通路77aに進入した遊技球Bは、ベル77cに衝突してベル77cを鳴らしながら出口77bに向けて流下し、出口77bから案内路70bに排出される。これにより、貸球としての所定数の遊技球Bが案内路70bを通ってパチンコ遊技機10前面側の上皿24に払い出される。
このような賞球や貸球の払出しに伴い、ケースレール74,タンクレール73,球タンク72に貯まっていた遊技球Bが、順次に賞球/貸球払出しユニット75に向かうように移動する。賞球や貸球の払出しにより、球タンク72への貯留数が一定数以下であることが検出された場合には、この検出結果を受け取った枠用外部端子板80dからの指示に基づき、遊技場の球供給装置SEから球タンク72に遊技球Bが補給される。
なお、払い出された賞球や貸球の数は、賞球/貸球払出しユニット75内に設けられた賞球/貸球センサ(図示せず)によって検知される。賞球/貸球センサは所定数の払出しを検知したときに検知結果を払出制御ユニット86に送出し、検知結果を受け取った払出制御ユニット86は、賞球排出口75c側ないし貸球排出口75d側のストッパの閉成を指示する。ストッパの閉成により、賞球用遊技球通過口74eないし貸球用遊技球通過口74fからの遊技球Bの流下が停止される。この結果、球タンク72、タンクレール73およびケースレール74内は、入賞ないし球貸し発生前と同様の遊技球Bが貯留した状態に戻る。
賞球や貸球の払出し通路を構成する各部品の成形材料およびその特性を図5に示す。図5に示すように、本実施例では、球タンク72、タンクレール73、ケースレール74、賞球/貸球払出しユニット75および鈴桶ベース77を、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)製若しくはPC(ポリカーボネート)製の導電材によって形成するとともに、保護カバー76a,76bをABS製の絶縁材、鈴桶カバー78をABS製の帯電防止材によって形成する。なお、本実施例では、単位体積当たりの電気抵抗値(以下、表面抵抗値という)が106 Ω以下のものを導電材、表面抵抗値が106 Ωを越えるものを帯電防止材として区別している。
球タンク72は、表面抵抗値が100 ΩのABS製の導電材Aを用いて成形されている。球タンク72内においては、賞球や貸球の払出しに伴う球供給装置SEからの遊技球Bの補給の際に、補給された遊技球Bが球タンク72内に貯まっている遊技球Bに衝突する頻度が多く、しかも、タンク内部と遊技球Bとの接触面積も大きいため、静電気の発生量が特に多いと考えられる。加えて、球タンク72は、賞球/貸球センサを備えた賞球/貸球払出しユニット75よりも上流側に設置されるため、帯電状態のままで遊技球Bを流下させてしまうと賞球/貸球センサの動作に悪影響を及ぼすおそれがある。このため、本実施例では、球タンク72に表面抵抗値の小さい導電材Aを用いている。
タンクレール73は、球タンク72と同様の導電材Aを用いて成形されている。タンクレール73内においては、レール内部と遊技球Bとの接触面積が大きいことに加え、球タンク72内に遊技球Bが貯まっていない状態で球供給装置SEから球タンク72に遊技球Bの補給がなされ、補給された遊技球Bがタンクレール73内に貯まっている遊技球Bに衝突する場合があり得るため、静電気の発生量が多いと考えられる。加えて、タンクレール73は、球タンク72と同様に、賞球/貸球センサを備えた賞球/貸球払出しユニット75よりも上流側に設置される。このため、本実施例では、タンクレール73にも表面抵抗値の小さい導電材Aを用いている。
ケースレール74は、内部における遊技球Bとの接触面積がタンクレール73よりも小さいことを考慮し、比較的大きな表面抵抗値(103.8 Ω)のABS製の導電材Cを用いて成形される。また、帯電防止材や絶縁材ではなく導電材Cを用いたのは、万一、タンクレール73から帯電状態の遊技球Bが流下してきた場合に、この遊技球Bがそのまま賞球/貸球払出しユニット75内に進入することを防止し、静電気が賞球/貸球センサに作用してしまうことを未然に回避するためである。
賞球/貸球払出しユニット75は、賞球/貸球センサが埋め込まれている部分を含めて、導電材Aと導電材Cの中間程度の表面抵抗値(102 Ω)のPC製の導電材Bを用いて成形される。賞球/貸球払出しユニット75内における遊技球B同士の衝突頻度や遊技球Bとの接触面積は、ケースレール74とほぼ同等であり、賞球/貸球払出しユニット75内における静電気発生量はケースレール74内とほぼ同等と考えられる。一方、賞球/貸球払出しユニット75内には賞球/貸球センサという賞球や貸球の払出し数を制御する部品が存在するため、万一、帯電状態の遊技球Bが賞球/貸球払出しユニット75内に進入した場合に、この遊技球Bの静電気が賞球/貸球センサに作用してしまうことを確実に防止する必要がある。このため、本実施例では、賞球/貸球払出しユニット75に、ケースレール74よりも表面抵抗値の小さいい導電材Bを用いている。
鈴桶ベース77は、賞球/貸球センサを備えた賞球/貸球払出しユニット75の下流側に設置されるため賞球/貸球センサの誤動作への影響が小さいことを考慮し、比較的大きな表面抵抗値の導電材Cを用いて成形される。また、帯電防止材や絶縁材ではなく導電材Cを用いたのは、賞球や貸球としての遊技球Bを鈴桶ベース77内で静電気を除去した上で上皿24に払い出すためである。
一方、賞球/貸球払出しユニット75に装着される保護カバー76a,76b、鈴桶ベース77に装着される鈴桶カバー78は、大きな表面抵抗値を有するABS製の絶縁材A(1016Ω)、帯電防止材A(1011Ω)を用いて成形される。保護カバー76a,76bおよび鈴桶カバー78は、機構板70の裏側から見える部分であることを考慮し、導電材よりも材料の色の種類が多い絶縁材や帯電防止材を採用したものである。また、互いに組み合わされる鈴桶ベース77,鈴桶カバー78を表面抵抗値が異なる材料(導電材C,帯電防止材A)で成形したことにより、鈴桶ベース77および鈴桶カバー78内を流下する遊技球Bに帯電した静電気は、表面抵抗値の小さい鈴桶ベース77側に積極的に引きつけられる。
図5に示すように、上皿24は、パチンコ遊技機10の前面に張り出す張出部が大きな表面抵抗値の帯電防止材Aを用いて成形され、賞球ないし貸球としての遊技球Bを貯め置く皿部が小さな表面抵抗値の導電材Aを用いて成形される。また、下皿25は、パチンコ遊技機10の前面に張り出す張出部が大きな表面抵抗値の帯電防止材Aを用いて成形され、上皿24の容量を越えて払い出された遊技球Bを貯め置く皿部が小さな表面抵抗値の導電材Aを用いて成形される。
以上のような材料を用いて構成された賞球や貸球の払出し通路において、遊技球Bに帯電した静電気が除去される様子を図6および図7を参照しつつ説明する。図6は、機構板70の裏側正面を略記して示す説明図である。図7は、球貸し開始から球貸し終了までの静電気除去量を機構板70の各領域ごとに示すグラフである。なお、図6では、電源・外部端子ユニット80,電源ユニット81,発射制御ユニット82,主制御ユニット84,払出制御ユニット86および鈴桶カバー78を取り外した状態の機構板70を示している。
図6に示すように、機構板70における賞球や貸球の払出し通路は、通路の表面抵抗値の大きさに対応して、通路上流側から以下のように区分される。表面抵抗値が100 Ωの導電材Aからなる領域P(球タンク72からタンクレール73までの領域)、表面抵抗値が103.8 Ωの導電材Cからなる領域Q(ケースレール74領域)、表面抵抗値が102 Ωの導電材Bからなる領域R(賞球/貸球払出しユニット75領域)、および表面抵抗値が103.8 Ωの導電材Cからなる領域S(鈴桶ベース77領域)である。
入賞や球貸し前のパチンコ遊技機10では、領域P,領域Qおよび領域Rに遊技球Bが貯留している。各領域P〜Rに貯留された遊技球Bが静電気を帯びている場合、この静電気は以下のように機外へ除去される。まず、領域Pでは、球タンク72内の遊技球Bの静電気は球タンク72から凸部72a,タンクレール73を介して金属板90に流出し、タンクレール73内の遊技球Bの静電気はタンクレール73から金属板90に流出する。こうして金属板90に流出した静電気は、折曲部90a,90bを通じて機構板用ヒンジ71,79に流出され、機外へ除去される。
同様に、領域Qにおけるケースレール74内の遊技球Bの静電気は、それぞれケースレール74から金属板90に流出され、折曲部90a,90bを通じた機構板用ヒンジ71,79への流出により機外へ除去される。また、領域Rにおける賞球/貸球払出しユニット75内の遊技球Bの静電気は、賞球/貸球払出しユニット75から鈴桶ベース77を介して金属板90に流出され、折曲部90a,90bを通じた機構板用ヒンジ71,79への流出により機外へ除去される。
一方、入賞や球貸しが生じた場合には、賞球や貸球の払出しの開始によって各領域P〜Sにおいて遊技球Bが流下するとともに、球供給装置SEから球タンク72内ないしタンクレール73内に遊技球Bが落下する。所定数の遊技球Bを払い出したとき賞球や貸球の払出しが終了し、各領域P〜Rにおける遊技球Bの貯留状態は入賞や球貸し前とほぼ同様の状態に戻る。こうした賞球や貸球の払出しの開始から終了までの間に領域P〜Rにおいて生じた静電気は、上記と同様の経路で、金属板90から機構板用ヒンジ71,79に流出され、機外へ除去される。また、領域Sにおいて生じた鈴桶ベース77内の遊技球Bの静電気は、鈴桶ベース77から金属板90に流出され、折曲部90a,90bを通じた機構板用ヒンジ71,79への流出により機外へ除去される。
こうした賞球や貸球の払出しの開始から終了までにおける各領域P〜Sでの静電気の除去量を、貸球の払出しの場合を例として図7に示した。図7に示すように、領域Pでは、表面抵抗値が小さい(100 Ω)ことから単位時間当たりの静電気除去量が多くなる。このため、領域Pでは、球貸し開始から球貸し終了までの間に値e3分の静電気が除去されている。
一方、領域Q,Sでは、表面抵抗値が大きく(103.8 Ω)、しかも、より上流側の領域Pで単位時間当たりに多量の静電気が除去されることから、単位時間当たりの静電気除去量は少なくなる。このため、領域Qでは、球貸し開始から球貸し終了までの間に、値e3よりも少ない値e1分の静電気が除去される。
また、領域Rでは、領域Q,Sと同様に、より上流側の領域Pで単位時間当たりに多量の静電気が除去されることから、単位時間当たりの静電気除去量は領域Pよりも少なくなる。他方、領域Rにおける表面抵抗値は領域Q,Sよりも小さい(102 Ω )ため、単位時間当たりの静電気除去量は領域Q,Sよりも多くなる。このため、領域Rでは、球貸し開始から球貸し終了までの間に、値e3よりも少なく値e1よりも多い値e2分の静電気が除去される。
以上のように、賞球や貸球の払出し通路を構成する各部品に表面抵抗値の異なる導電材AないしCを用いることにより、パチンコ遊技機10内で発生した静電気は迅速に機外に除去される。この結果、賞球や貸球の払出しの際にパチンコ遊技機10内に帯電する静電気は、従来よりも大きく低減される。なお、上記のパチンコ遊技機10では、上記した賞球や貸球の払出し通路を構成する各部品の材質変更に加えて、各種の制御基板が敷設される電源・発射制御基板用プレート83、主基板用プレート85、払出制御基板用プレート87およびランプ・音声基板用プレート59という各プレートを相互に連絡する構成や、発射レール30,内レール49,外レール51等に帯電した静電気を機外に除去する構成を採用する。このようなパチンコ遊技機10において遊技中の帯電状態を測定した結果を図8(B)のグラフに示した。
図8は、賞球や貸球の払出しの前後においてパチンコ遊技機に生じる電位差を表わすグラフである。このグラフは、電源ラインにおける電位差の変化をデータとして採取したものであり、縦軸は電位差を示し、横軸は経過時間を示す。また、図8(A)は従来のパチンコ遊技機の測定結果を、図8(B)は本実施例のパチンコ遊技機10の場合の測定結果を、それぞれ表わしている。図8に示すように、賞球や貸球の払出しがなされる前においては、電源ラインにおける電位差は5ボルト前後で安定している。
図8(A)と図8(B)とを比較してわかるように、従来のパチンコ遊技機においては、賞球や貸球の払出しがなされる際に、最大で11ボルト,最小で−2ボルトの電位差が生じ、電位差が変化する幅W2は13ボルトとなる。これに対し、本実施例のパチンコ遊技機10では、賞球や貸球の払出しがなされる際に、最大で6ボルト,最小で4ボルトの電位差が生じ、電位差が変化する幅W1は2ボルトとなる。このように、本実施例のパチンコ遊技機10では、賞球や貸球の払出し時において電源ラインの電位差が変化する幅は、±1ボルト程度に止まり、従来のパチンコ遊技機の1/6程度にまで低減される。以上より、本実施例のパチンコ遊技機10では、従来品と比べて、賞球や貸球の払出しの際にパチンコ遊技機10内に静電気が帯電しにくくなっていることがわかる。
また、図8(A)および図8(B)に示すように、本実施例のパチンコ遊技機10では、払出し終了後において、従来のパチンコ遊技機よりも早期に電位差が払出し前の状態に戻る(本実施例のパチンコ遊技機10の場合は払出し終了時から時間t1経過後、従来のパチンコ遊技機の場合は払出し終了時から時間t2経過後)。以上より、本実施例のパチンコ遊技機10では、従来品と比べて、賞球や貸球の払出しの開始に伴って発生した静電気が発生後速やかに機外へ除去されることがわかる。
以上説明した本実施例のパチンコ遊技機10では、球タンク72,タンクレール73,ケースレール74と賞球/貸球払出しユニット75とを、表面抵抗値の異なる樹脂製導電材を用いて形成し、遊技球Bに帯電された静電気を、球タンク72,タンクレール73,ケースレール74,賞球/貸球払出しユニット75から金属板90を介して機外に除去する。従って、賞球/貸球払出しユニット75に至る遊技球Bの流路で発生した静電気を、表面抵抗値の差に応じて効果的に除去することができる。この結果、賞球/貸球払出しユニット75内に設けられた賞球/貸球センサ75e,75fや賞球/貸球払出しユニット75の近傍に設けられた払出制御基板や主基板等の各種制御基板の誤作動を確実に防止することができる。
また、本実施例のパチンコ遊技機10では、球タンク72,タンクレール73レールに、賞球/貸球払出しユニット75よりも小さな表面抵抗値の導電材Aを用いる。このため、球貸しや入賞の際における遊技球Bの流動によって発生した静電気は、賞球/貸球払出しユニット75よりも上流側の球タンク72やタンクレール73において積極的に除去される。従って、遊技球Bに帯電された静電気を、遊技球Bが賞球/貸球払出しユニット75に至る前に確実に除去することが可能となる。
特に、賞球や貸球の払出しの際には、球タンク72内での遊技球B同士の衝突や、流下する遊技球Bと球タンク72,タンクレール73との摩擦により、球タンク72およびタンクレール73内に多量の静電気が発生する。本実施例のパチンコ遊技機10によれば、このように発生した多量の静電気を発生箇所から即座に機外へ除去することが可能となり、賞球/貸球センサ75e,75fや各種制御基板の誤作動を防止する確実性をより高めることができる。
また、本実施例のパチンコ遊技機10では、球タンク72と賞球/貸球払出しユニット75とをつなぐレールを、タンクレール73とケースレール74という複数の部品を連接することによって構成し、タンクレール73,ケースレール74を、それぞれ表面抵抗値の異なる樹脂製導電材を用いて形成する。従って、レール上の静電気を、より表面抵抗値の小さい導電材を用いた部品側でより積極的に除去することができる。本実施例では、より上流側に配置されるタンクレール73に、ケースレール74よりも表面抵抗値の小さい導電材を用いているので、遊技球Bに帯電した静電気は、賞球/貸球払出しユニット75のより上流側に位置するタンクレール73において積極的に除去される。従って、静電気を帯びた遊技球Bの賞球/貸球払出しユニット75への進入を確実に防止することができる。
また、本実施例では、球タンク72,タンクレール73,ケースレール74,賞球/貸球払出しユニット75という各パーツに用いられる導電材の表面抵抗値を、各パーツと遊技球との接触面積の大小、各パーツ内における遊技球同士の衝突頻度の多少、各パーツ内における制御部品(賞球/貸球センサ)の存否の少なくともいずれかに応じた値とする。こうすれば、各パーツに用いられる導電材の表面抵抗値は、球貸しや入賞の際における各パーツと遊技球との摩擦の大きさや各パーツ内における遊技球同士の衝突頻度の多さ、制御部品への影響度の大きさに応じた値となる。従って、各パーツにおける静電気発生量の多少や静電気除去の必要性の高さに対応して静電気を効果的に除去することができる。例えば、摩擦や衝突によって静電気が多く発生する地点に用いられる球タンク72やタンクレール73に表面抵抗値の小さな導電材Aを用いているので、球タンク72,タンクレール73内で発生した多量の静電気を球タンク72,タンクレール73から確実に除去することが可能となり、帯電状態の遊技球Bがより下流側のケースレール74,賞球/貸球払出しユニット75に流動してしまうことを効果的に抑制することができる。
更に、本実施例では、球タンク72,タンクレール73,ケースレール74および賞球/貸球払出しユニット75を電気的に連絡する連絡部として金属板90を備え、該金属板90の折曲部90a,90bを機構板用ヒンジ71,79と電気的に接続する。従って、球貸し時や入賞時における遊技球Bの流動によって発生した静電気を、球タンク72,タンクレール73,ケースレール74および賞球/貸球払出しユニット75および鈴桶ベース77から金属板90を通じて機外に確実に除去することができる。
また、本実施例では、球タンク72,タンクレール73,ケースレール74および賞球/貸球払出しユニット75および鈴桶ベース77に導電材を用いるとともに、鈴桶ベース77の出口77bから賞球や貸球が供給される上皿24および下皿25を樹脂製の導電材Aを用いて形成する。従って、賞球や貸球が上皿24や下皿25に供給された後においても、上皿24内や下皿25内において遊技球Bに帯電した静電気を除去することができる。
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は、こうした実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる態様で実施可能である。
例えば、上記実施例では、球タンク72およびタンクレール73に同じ表面抵抗値の導電材Aを用いたが、球タンク72,タンクレール73に異なる表面抵抗値の導電材を用いる構成としても差し支えない。例えば、球タンク72に、タンクレール73に用いられる導電材よりも小さな表面抵抗値の導電材を用い、球タンク72に表面抵抗値100 Ωの導電材、タンクレール73に表面抵抗値101 Ωの導電材、賞球/貸球払出しユニット75に表面抵抗値102 Ωの導電材を用いる構成を考えることができる。この構成においても、球タンク72およびタンクレール73の表面抵抗値は貸球払出しユニット75よりも小さくなるので、遊技球Bに帯電された静電気を貸球払出しユニット75よりも上流側で確実に除去することが可能となる。また、球タンク72内での遊技球B同士の衝突により発生した静電気を、発生後速やかに球タンク72から金属板90を通じて除去することが可能となり、静電気発生量の特に多い地点から静電気を効率よく除去することができる。
上記実施例では、タンクレール73,ケースレール74,鈴桶ベース77を金属板90上に設置する構成としたが、金属板90の面積を球タンク72が装着される範囲まで拡大し、金属板90上に球タンク72を設置する構成としても差し支えない。また、賞球/貸球払出しユニット75を、鈴桶ベース77内に設置することなく、金属板90上に設置する構成とすることも可能である。
また、上記実施例では、球タンク72およびタンクレール73の双方に導電材を用いたが、球タンク72またはタンクレール73のいずれか一方のみに導電材を用いる構成としてもよい。例えば、タンクレール73の方に導電材を用いた場合には、球タンク72内で発生した静電気は導電性のあるタンクレール73側に引き寄せられ、金属板90を通じて機外に除去される。従って、遊技球Bに帯電された静電気を、賞球/貸球払出しユニット75よりも上流側で積極的に除去することができる。