以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
《中継システムの全体構成》
図1は、本発明の一実施の形態による中継システムにおいて、その全体の構成例を示す概略図である。図1に示す中継システムは、複数(ここでは4個)のカスタマ網12a〜12dと、カスタマ網12a〜12d間の中継を担う複数(ここでは2個)のPB網11a,11bと、PB網11a,11b間の中継を担うPBB網10と、を備える。PB網11aは、カスタマ網12a,12b間の中継を担い、PB網11bは、カスタマ網12c,12d間の中継を担う。PBB網10は、IEEE802.1ah(言い換えればPBB規格)に基づく中継が行われる中継網である。PB網11a,11bは、前述した拡張VLAN方式が適用される中継網である。
カスタマ網12a,12bとPB網11aとの間の境界部には、それぞれ、スイッチSWB1,SWB2が設置される。カスタマ網12aは、複数のカスタマ端末TMと、これらをスイッチSWB1に接続するネットワークNWc1と、を備える。カスタマ網12bは、複数のカスタマ端末TMと、これらをスイッチSWB2に接続するネットワークNWc2と、を備える。ネットワークNWc1,NWc2のそれぞれは、通信回線や図示しないスイッチ等によって構成される。スイッチSWB1は、カスタマ網12a内の複数のカスタマ端末TM間の中継を担うと共に、各カスタマ端末TMとPB網11aとの間の中継を担う。スイッチSWB2は、カスタマ網12b内の複数のカスタマ端末TM間の中継を担うと共に、各カスタマ端末TMとPB網11aとの間の中継を担う。
同様に、カスタマ網12c,12dとPB網11bとの間の境界部には、それぞれ、スイッチSWB3,SWB4が設置される。カスタマ網12c,12dは、それぞれ、複数のカスタマ端末TMと、ネットワークNWc3,NWc4と、を備える。スイッチSWB3,SWB4は、それぞれ、カスタマ網12c,12d内の複数のカスタマ端末TM間の中継を担うと共に、各カスタマ端末TMとPB網11bとの間の中継を担う。
PB網11aとPBB網10との間の境界部(言い換えればPBB網10の入口または出口)には、スイッチ装置(エッジスイッチ装置)SWE1が設置される。スイッチ装置SWE1は、単数または複数(この例ではn個)の下位リンク用ポートPd[1]〜Pd[n]と、単数または複数(この例では単数)の上位リンク用ポートPuと、を有する。PB網11aは、通信回線やスイッチ等によって構成されるネットワークNWb1を備える。
スイッチSWB1,SWB2は、ネットワークNWb1を介して、スイッチ装置SWE1の複数の下位リンク用ポートPd[1]〜Pd[n]のいずれかに適宜接続される。これにより、スイッチ装置SWE1は、自装置の下位リンクに存在する複数のスイッチSWB1,SWB2間の中継を担うと共に、各スイッチSWB1,SWB2とPBB網10との間の中継を担う。
スイッチ装置SWE1の場合と同様に、PB網11bとPBB網10との間の境界部には、スイッチ装置(エッジスイッチ装置)SWE2が設置される。スイッチ装置SWE2は、単数または複数の下位リンク用ポートPd[1]〜Pd[n]と、単数または複数の上位リンク用ポートPuと、を有する。PB網11bは、ネットワークNWb2を備える。スイッチSWB3,SWB4は、ネットワークNWb2を介して、スイッチ装置SWE2の複数の下位リンク用ポートPd[1]〜Pd[n]のいずれかに適宜接続される。これにより、スイッチ装置SWE2は、自装置の下位リンクに存在する複数のスイッチSWB3,SWB4間の中継を担うと共に、各スイッチSWB3,SWB4とPBB網10との間の中継を担う。
PBB網10は、通信回線やスイッチ等によって構成されるネットワーク(コア網)NWbbを備える。スイッチ装置SWE1,SWE2の上位リンク用ポートPuは、ネットワークNWbbに接続される。これにより、スイッチ装置SWE1,SWE2は、ネットワークNWbbを介して互いに接続される。
なお、ここでは、PB網11a(PB網11bも同様)の境界部には、2台のスイッチSWB1,SWB2が設置されているが、実際には、更に多くのスイッチが設置される。これに応じて、PB網11a(PB網11bも同様)には、2個のカスタマ網12a,12bに加えて、更に多くのカスタマ網が収容される。また、ここでは、PBB網10の入口または出口に設置されるエッジスイッチ装置として、2台のスイッチ装置SWE1,SWE2を例示しているが、実際には、更に多くのエッジスイッチ装置が設置される。
《中継システム内のフレーム構造(前提)》
図2は、図1の中継システムにおいて、前提となる各種フレームの構造例を示す概略図である。ここでは、カスタマ網12a内のカスタマ端末TMからカスタマ網12c内のカスタマ端末TMに向けて、PBB規格に基づく各種フレームを転送する場合を例とする。カスタマ網12a内のカスタマ端末TMのカスタマ用アドレス(MACアドレス)CMACは「CA1」であり、カスタマ網12c内のカスタマ端末TMのカスタマ用アドレスCMACは「CA2」であるものとする。また、スイッチ装置SWE1のカプセル化用アドレス(MACアドレス)BMACは「BA1」であり、スイッチ装置SWE2のカプセル化用アドレスBMACは「BA2」であるものとする。
図1および図2に示すように、まず、送信元のカスタマ端末TMは、カスタマ網12a内にフレームFL1を送信する。カスタマ網12a内のフレームFL1は、カスタマVLANタグ15、送信元のカスタマ用アドレスCMAC(CSA)および宛先のカスタマ用アドレスCMAC(CDA)を含んだ非カプセル化フレームである。ここでは、送信元のカスタマ用アドレスCSAは、MACアドレス「CA1」であり、宛先のカスタマ用アドレスCDAは、MACアドレス「CA2」である。カスタマVLANタグ15には、カスタマによって任意に設定されるカスタマVLAN識別子CVIDが含まれる。
次いで、図1に示すように、スイッチSWB1は、フレームFL1を受信し、PB網11a内にフレームFL2を送信する。フレームFL2は、拡張VLANフレームであり、図2に示すように、フレームFL1に対してサービスVLANタグ16が付加された非カプセル化フレームである。サービスVLAN(拡張VLAN)タグ16には、通信事業者等によって任意に設定されるサービスVLAN識別子SVIDが含まれる。PB網11a内でのブロードキャストドメインは、このサービスVLAN識別子SVIDによって定められる。スイッチSWB1は、この通信事業者等の設定に基づいて、フレームFL1に対してサービスVLANタグ16を付加する。なお、このようなサービスVLANタグ16を付与する機能を持つサービスVLANタグ付与装置は、スイッチSWB1に限定されず、OLT(Optical Line Termination)であってもよい。
続いて、図1に示すように、スイッチ装置SWE1は、フレームFL2を受信し、PBB網10内にフレームFL3を送信する。フレームFL3は、PBBフレームであり、カプセル化フレームである。カプセル化フレームは、概略的には、PBB規格に基づき、非カプセル化フレームに、カプセル化用アドレスやバックボーンVLAN識別子BVID等が付加された構造を持つ。具体的には、フレームFL3は、図2に示すように、フレームFL2を、サービスインスタンス識別子ISID、バックボーンVLANタグ(Bタグ)18、送信元のカプセル化用アドレスBMAC(BSA)および宛先のカプセル化用アドレスBMAC(BDA)でカプセル化した構造を持つ。
サービスインスタンス識別子ISIDは、前述した送信元のカスタマ用アドレスCSAおよび宛先のカスタマ用アドレスCDAを含めてサービスインスタンスタグ(Iタグ)17内に含まれる。サービスインスタンス識別子ISIDは、カスタマを識別するための識別子であり、24ビットの領域を持つ。この24ビットの領域によって、12ビットのサービスVLAN識別子SVIDの更なる拡張が可能となる。サービスインスタンス識別子ISIDは、通信事業者等によって任意に設定される。代表的な設定方法としては、1個のサービスVLAN識別子SVIDを1個のサービスインスタンス識別子ISIDに対応付ける方法や、複数のサービスVLAN識別子SVIDを1個のサービスインスタンス識別子ISIDに対応付ける方法等が挙げられる。
バックボーンVLANタグ(Bタグ)18は、バックボーンVLAN識別子BVIDを含む。バックボーンVLAN識別子BVIDは、フレームの転送経路制御用の識別子であり、12ビットの領域を持つ。PBB網10内でのブロードキャストドメインは、このバックボーンVLAN識別子BVIDによって定められる。バックボーンVLAN識別子BVIDは、通信事業者等によって設定される。代表的な設定方法としては、複数のサービスインスタンス識別子ISIDを1個のバックボーンVLAN識別子BVIDに対応付ける方法等が挙げられる。
スイッチ装置SWE1は、図2のフレームFL3に示すように、自装置のMACアドレス「BA1」を送信元のカプセル化用アドレスBSAとし、ここではスイッチ装置SWE2のMACアドレス「BA2」を宛先のカプセル化用アドレスBDAとして、フレームFL2をカプセル化する。そして、スイッチ装置SWE1は、このカプセル化フレームとなるフレームFL3を、上位リンク用ポートPuからスイッチ装置SWE2に向けて送信する。
スイッチ装置SWE2は、フレーム(カプセル化フレーム)FL3を受信する。スイッチ装置SWE2は、フレームFL3の宛先のカプセル化用アドレスBDA「BA2」が自装置宛であるため、図1および図2に示すように、フレーム(カプセル化フレーム)FL3をフレーム(非カプセル化フレーム)FL2に変換する。そして、スイッチ装置SWE2は、当該フレームFL2を下位リンク用ポート(ここではPd[1])からPB網11bを介してスイッチSWB3に向けて送信する。
スイッチSWB3は、フレームFL2を受信し、フレームFL2からサービスVLANタグ16を取り除くことでフレームFL1に変換する。そして、スイッチSWB3は、フレームFL1を、カスタマ網12cを介して、カスタマ用アドレスCMAC「CA2」を持つカスタマ端末TMに向けて送信する。
なお、図1および図2の例では、スイッチ装置SWE1,SWE2は、それぞれ、PB網11a,11bとの間でフレームFL2の受信または送信を行ったが、場合によっては、カスタマ網12a,12cとの間でフレームFL1の受信または送信を行うことも可能である。すなわち、エッジスイッチ装置は、図2のフレームFL1をカプセル化することでフレームFL3を生成したり、フレームFL3をデカプセル化することでフレームFL1を生成することも可能である。また、ここでは、PBB規格に基づく構成を前提として説明を行ったが、EoE(Ethernet(登録商標)over Ethernet)規格に対しても同様に適用可能である。EoEフレームは、図2のPBBフレーム(フレームFL3)とはフォーマットが若干異なるが、実質的には図2のPBBフレームが持つ情報と同等の情報を持ち、中継システムも、図1の場合と同様にして構成される。
《カプセル化用アドレスの構造(本実施の形態)》
図2において、PBB規格に基づくと、カプセル化用アドレスBMACは、48ビットのビット領域を備え、バックボーンVLAN識別子BVIDは、12ビットのビット領域を備える。しかしながら、前述したように、12ビットのバックボーンVLAN識別子BVIDでは、収容するユーザ数が増えると、数が足りなくなるという問題がある。また、PBB網の境界に設置されるエッジスイッチ装置の数が増え、これに応じて必要とされるブロードキャストドメインの数が増大する場合も、12ビットのバックボーンVLAN識別子(BVID)では数が不足する恐れがある。
図3は、図1の中継システムにおいて、本実施の形態によるカプセル化用アドレスの構造例を示す概略図である。図3に示すように、カプセル化用アドレスBMACのビット領域は、新カプセル化用アドレスBMAC_Nが格納される第1ビット領域20と、拡張バックボーンVLAN識別子BVID_Eが格納される第2ビット領域21と、を備える。図3の例では、第1ビット領域20は、カプセル化用アドレスBMACのビット領域の中の上位5バイトで構成され、第2ビット領域21は、残りの下位1バイトで構成される。ただし、カプセル化用アドレスBMACのビット領域の中で、どの部分にどの程度のビット幅で第1ビット領域20および第2ビット領域21を設けるかは、適宜定めることが可能である。
ここで、PBB網10を管理する通信事業者等は、PBB網10に設置される各エッジスイッチ装置(図1のSWE1,SWE2等)のカプセル化用アドレスを自由に定めることが可能である。そこで、エッジスイッチ装置のそれぞれには、予め、図3に示したように、カプセル化用アドレスBMACよりも少ないビット数(例えば5バイト)で構成される新カプセル化用アドレスBMAC_Nが設定される。このように、カプセル化用アドレスのビット領域を本来よりも1バイト削減したとしても、5バイトのビット領域があれば、通常、ビット領域が不足するようなことはない。
また、本実施の形態では、図3に示すように、拡張バックボーンVLAN識別子BVID_EおよびバックボーンVLAN識別子BVIDの組合せで構成される新バックボーンVLAN識別子BVID_Nが設けられる。すなわち、12ビットのバックボーンVLAN識別子BVIDを、1バイトの拡張バックボーンVLAN識別子BVID_Eで拡張することで、20ビットの新バックボーンVLAN識別子BVID_Nが設けられる。このように、バックボーンVLAN識別子BVIDのビット幅を単純に広げるのではなく、カプセル化用アドレスBMACの一部を利用して広げることで、バックボーンVLAN識別子BVIDの拡張が、カプセル化フレームのヘッダ長を変えることなく実現される。
《中継システムの主要部の概略構成》
図4は、図1および図3の中継システムにおいて、その主要部の構成例を示す概略図である。図4には、PBB網の入口または出口に設置される複数(ここでは2台)のスイッチ装置(エッジスイッチ装置)SWE1,SWE2と、PBB網10(そのネットワークNWbb内)に設置される複数(ここでは2台)のスイッチ装置(コアスイッチ装置)SWC_E,SWC_CおよびネットワークNW1と、が示される。
スイッチ装置SWE1,SWE2のそれぞれは、図1等で説明したように、PBB網10の外部(例えばPB網)から受信した非カプセル化フレームをカプセル化フレームに変換してPBB網10へ中継し、PBB網10から受信したカプセル化フレームを非カプセル化フレームに変換してPBB網の外部へ中継する。一方、スイッチ装置SWC_E,SWC_Cのそれぞれは、カプセル化フレームを中継する。
スイッチ装置SWC_E,SWC_Cのそれぞれは、複数(ここでは3個)のポートP1〜P3を備える。スイッチ装置SWC_Eにおいて、ポートP1はスイッチ装置SWE1の上位リンク用ポートPuに接続され、ポートP2,P3はネットワークNW1にそれぞれ接続される。スイッチ装置SWC_Cにおいて、ポートP1はスイッチ装置SWE2の上位リンク用ポートPuに接続され、ポートP2,P3はネットワークNW1にそれぞれ接続される。ネットワークNW1は、通信回線やスイッチ装置(コアスイッチ装置)によって適宜構成される。また、図3で述べたように、スイッチ装置SWE1には、新カプセル化用アドレスBMAC_N「BA1a」が設定され、スイッチ装置SWE2には、新カプセル化用アドレスBMAC_N「BA2a」が設定される。
このような構成において、図4の例では、スイッチ装置SWE1,SWE2の上位リンク用ポートPuと、スイッチ装置SWC_E,SWC_CのポートP1〜P3とに同一のバックボーンVLAN識別子BVID「BV1」(言い換えればネットワークドメイン)が設定されている。ここで、例えば、バックボーンVLAN識別子BVIDに使用可能な値が残っていないような状態で、ネットワークドメインをさらに細分化したいような場合を想定する。
このような場合であっても、前述した拡張バックボーンVLAN識別子BVID_Eを用いることで、ネットワークドメインの細分化が実現できる。図4の例では、スイッチ装置SWE1,SWE2の上位リンク用ポートPuと、スイッチ装置SWC_E,SWC_CのポートP1,P2とに、拡張バックボーンVLAN識別子BVID_E「BVE1」が設定されている。また、スイッチ装置SWE1,SWE2の上位リンク用ポートPuと、スイッチ装置SWC_E,SWC_CのポートP1,P3とに、拡張バックボーンVLAN識別子BVID_E「BVE2」が設定されている。
このようにしてネットワークドメインの細分化を行うことで、例えば、スイッチ装置SWE1とスイッチ装置SWE2との間でカプセル化フレームを転送する際に、スイッチ装置SWC_E,SWC_CのポートP2を介する転送経路か、ポートP3を介する転送経路かを選択することができる。この場合、例えば、通信の負荷分散等が図れる。なお、拡張バックボーンVLAN識別子BVID_Eは、勿論、このように2台のスイッチ装置間で転送経路を選択する場合のほかに、様々な場合で用いられる。代表的には、各エッジスイッチ装置を適宜組み合わせてネットワークドメインを構築する際に、この組合せをより細かく定めることが可能になる。
また、図4には、スイッチ装置SWC_E,SWC_Eのそれぞれが備えるアドレステーブルの構造例が示されている。ここで、スイッチ装置SWC_Eは、拡張バックボーンVLAN識別子BVID_Eに対応した構成であり、拡張アドレステーブル(第2拡張アドレステーブル)FDB_CEを備える。一方、スイッチ装置SWC_Cは、拡張バックボーンVLAN識別子BVID_Eに非対応の構成であり、通常アドレステーブルFDB_CCを備える。
スイッチ装置SWC_Eの拡張アドレステーブルFDB_CEは、新カプセル化用アドレスBMAC_Nと、新バックボーンVLAN識別子BVID_N(拡張バックボーンVLAN識別子BVID_EおよびバックボーンVLAN識別子BVIDの組合せ)と、ポートと、の対応関係を保持する。具体的には、1個目のエントリは、新カプセル化用アドレスBMAC_N「BA1a」と、新バックボーンVLAN識別子BVID_N「BVE1+BV1」と、ポート識別子{P1}と、の対応関係を保持する。ここで、ポート識別子{P1}は、ポートP1の識別子を表し、同様にして、本明細書では、例えば{AA}は「AA」の識別子を表すものとする。
2個目のエントリは、新カプセル化用アドレスBMAC_N「BA1a」と、新バックボーンVLAN識別子BVID_N「BVE2+BV1」と、ポート識別子{P1}と、の対応関係を保持する。3個目のエントリは、新カプセル化用アドレスBMAC_N「BA2a」と、新バックボーンVLAN識別子BVID_N「BVE1+BV1」と、ポート識別子{P2}と、の対応関係を保持する。4個目のエントリは、新カプセル化用アドレスBMAC_N「BA2a」と、新バックボーンVLAN識別子BVID_N「BVE2+BV1」と、ポート識別子{P3}と、の対応関係を保持する。
一方、スイッチ装置SWC_Cの通常アドレステーブルFDB_CCは、カプセル化用アドレスBMACと、バックボーンVLAN識別子BVIDと、ポートと、の対応関係を保持する。具体的には、1個目のエントリは、カプセル化用アドレスBMAC「BA2a+BVE1」と、バックボーンVLAN識別子BVID「BV1」と、ポート識別子{P1}と、の対応関係を保持する。2個目のエントリは、カプセル化用アドレスBMAC「BA2a+BVE2」と、バックボーンVLAN識別子BVID「BV1」と、ポート識別子{P1}と、の対応関係を保持する。
3個目のエントリは、カプセル化用アドレスBMAC「BA1a+BVE1」と、バックボーンVLAN識別子BVID「BV1」と、ポート識別子{P2}と、の対応関係を保持する。4個目のエントリは、カプセル化用アドレスBMAC「BA1a+BVE2」と、バックボーンVLAN識別子BVID「BV1」と、ポート識別子{P3}と、の対応関係を保持する。
このように、本実施の形態の方式では、カプセル化用アドレスBMACの一部のビット領域を利用してバックボーンVLAN識別子BVIDを拡張しているため、拡張バックボーンVLAN識別子BVID_Eに対応したスイッチ装置SWC_Eに限らず、非対応のスイッチ装置SWC_Cであっても、PBB網10に設置することができる。そして、当該非対応のスイッチ装置SWC_Cであっても、スイッチ装置SWC_Eの場合と同様に、拡張バックボーンVLAN識別子BVID_Eに基づいて、転送経路を制御することができる。
これは、カプセル化用アドレスBMACの一部のビット領域に拡張バックボーンVLAN識別子BVID_Eを設けているため、通常アドレステーブルFDB_CCに示されるように、本来1台であるエッジスイッチ装置を、擬似的に、2台のエッジスイッチ装置に見せかけることができるためである。2台のエッジスイッチ装置に見せかけることで、各エッジスイッチ装置にそれぞれ異なるポートを対応付けることが可能になり、これによって、転送経路を制御することができる。
具体的には、例えば、新カプセル化用アドレスBMAC_N「BA1a」を持つスイッチ装置SWE1を、擬似的に、カプセル化用アドレスBMAC「BA1a+BVE1」を持つ装置と、カプセル化用アドレスBMAC「BA1a+BVE2」を持つ装置と、に見せかけることができる。そして、前者の装置にポートP2を対応付け、後者の装置にポートP3を対応付けることができる。
《中継システムの主要部の概略動作》
図5は、図4の中継システムにおいて、その概略的な動作例を示す説明図である。図5の例では、スイッチ装置SWE1の下位リンク用ポートPd[1],Pd[n]にそれぞれカスタマ端末TM11,TM12が接続され、スイッチ装置SWE2の下位リンク用ポートPd[1],Pd[n]にそれぞれカスタマ端末TM21,TM22が接続されている。
例えば、カスタマ端末TM11,TM12は、図1のカスタマ網12a,12bにそれぞれ設置され、カスタマ端末TM21,TM22は、図1のカスタマ網12c,12dにそれぞれ設置される。カスタマ端末TM11,TM12,TM21,TM22のカスタマ用アドレス(MACアドレス)CMACは、それぞれ、CA11,CA12,CA21,CA22であるものとする。このような構成において、カスタマ端末TM11からカスタマ端末TM21に向けてフレームFL10を転送する場合と、カスタマ端末TM12からカスタマ端末TM22に向けてフレームFL11を転送する場合を想定する。
まず、フレームFL10に関し、スイッチ装置(エッジスイッチ装置)SWE1は、カスタマ端末TM11からのフレーム(非カプセル化フレーム)FL10を下位リンク用ポートPd[1]で受信する。当該フレームFL10は、送信元のカスタマ用アドレスCSA「CA11」、宛先のカスタマ用アドレスCDA「CA21」およびサービスVLAN識別子SVID「SV1」を含んでいる。
スイッチ装置SWE1は、詳細は後述するが、アドレステーブルの学習および検索を経て、当該フレーム(非カプセル化フレーム)FL10を、カプセル化フレームに変換したのち上位リンク用ポートPuから送信する。当該フレーム(カプセル化フレーム)FL10は、送信元のカプセル化用アドレスBSA「BA1a+BVE1」、宛先のカプセル化用アドレスBDA「BA2a+BVE1」およびバックボーンVLAN識別子BVID「BV1」を含んでいる。
すなわち、図2および図3から判るように、送信元のカプセル化用アドレスBSAは、送信元の新カプセル化用アドレスBSA_N「BA1a」および拡張バックボーンVLAN識別子BVID_E「BVE1」で構成される。同様に、宛先のカプセル化用アドレスBDAは、宛先の新カプセル化用アドレスBDA_N「BA2a」および拡張バックボーンVLAN識別子BVID_E「BVE1」で構成される。
スイッチ装置(コアスイッチ装置)SWC_Eは、フレーム(カプセル化フレーム)FL10をポートP1で受信する。スイッチ装置SWC_Eは、当該フレームFL10の送信元の新カプセル化用アドレスBSA_N「BA1a」および新バックボーンVLAN識別子BVID_Nを、受信ポート識別子{P1}に対応付けて拡張アドレステーブルFDB_CE(図4の例では1個目のエントリ)に学習する。新バックボーンVLAN識別子BVID_Nは、拡張バックボーンVLAN識別子BVID_E「BVE1」およびバックボーンVLAN識別子BVID「BV1」の組合せで構成される。受信ポート識別子とは、フレームFL10を受信したポートP1のポート識別子を表す。
また、スイッチ装置SWC_Eは、当該フレームFL10の宛先の新カプセル化用アドレスBDA_N「BA2a」および新バックボーンVLAN識別子BVID_Nを検索キーとして拡張アドレステーブルFDB_CEを検索する。その結果、図4の拡張アドレステーブルFDB_CEにおける3個目のエントリがヒットし、スイッチ装置SWC_Eは、宛先ポート識別子{P2}を取得する。宛先ポート識別子とは、フレームを送信させるポートのポート識別子を表す。スイッチ装置SWC_Eは、宛先ポート識別子{P2}に基づき、フレームFL10をポートP2から送信する。
スイッチ装置(コアスイッチ装置)SWC_Cは、スイッチ装置SWC_Eから送信されたフレームFL10を、ネットワークNW1を介してポートP2で受信する。スイッチ装置SWC_Cは、当該フレームFL10の送信元のカプセル化用アドレスBSA「BA1a+BVE1」およびバックボーンVLAN識別子BVID「BV1」を、受信ポート識別子{P2}に対応付けて通常アドレステーブルFDB_CC(図4の例では3個目のエントリ)に学習する。
また、スイッチ装置SWC_Cは、当該フレームFL10の宛先のカプセル化用アドレスBDA「BA2a+BVE1」およびバックボーンVLAN識別子BVID「BV1」を検索キーとして通常アドレステーブルFDB_CCを検索する。その結果、図4の通常アドレステーブルFDB_CCにおける1個目のエントリがヒットし、スイッチ装置SWC_Cは、宛先ポート識別子{P1}を取得する。スイッチ装置SWC_Cは、宛先ポート識別子{P1}に基づき、フレームFL10をポートP1から送信する。
スイッチ装置(エッジスイッチ装置)SWE2は、スイッチ装置SWC_Cから送信されたフレーム(カプセル化フレーム)FL10を上位リンクポートPuで受信する。スイッチ装置SWE2は、詳細は後述するが、アドレステーブルの学習および検索を経て、当該フレーム(カプセル化フレーム)FL10を、非カプセル化フレームに変換したのち下位リンク用ポートPd[1]から送信する。その結果、当該フレーム(非カプセル化フレーム)FL10は、カスタマ端末TM21に到達する。
次に、フレームFL11に関し、スイッチ装置(エッジスイッチ装置)SWE1は、カスタマ端末TM12からのフレーム(非カプセル化フレーム)FL11を下位リンク用ポートPd[n]で受信する。当該フレームFL11は、送信元のカスタマ用アドレスCSA「CA12」、宛先のカスタマ用アドレスCDA「CA22」およびサービスVLAN識別子SVID「SV2」を含んでいる。
スイッチ装置SWE1は、アドレステーブルの学習および検索を経て、当該フレーム(非カプセル化フレーム)FL11を、カプセル化フレームに変換したのち上位リンク用ポートPuから送信する。当該フレーム(カプセル化フレーム)FL11は、送信元のカプセル化用アドレスBSA「BA1a+BVE2」、宛先のカプセル化用アドレスBDA「BA2a+BVE2」およびバックボーンVLAN識別子BVID「BV1」を含んでいる。
スイッチ装置(コアスイッチ装置)SWC_Eは、フレーム(カプセル化フレーム)FL11をポートP1で受信する。スイッチ装置SWC_Eは、当該フレームFL11の送信元の新カプセル化用アドレスBSA_N「BA1a」および新バックボーンVLAN識別子BVID_Nを、受信ポート識別子{P1}に対応付けて拡張アドレステーブルFDB_CE(図4の例では2個目のエントリ)に学習する。新バックボーンVLAN識別子BVID_Nは、拡張バックボーンVLAN識別子BVID_E「BVE2」およびバックボーンVLAN識別子BVID「BV1」の組合せで構成される。
また、スイッチ装置SWC_Eは、当該フレームFL11の宛先の新カプセル化用アドレスBDA_N「BA2a」および新バックボーンVLAN識別子BVID_Nを検索キーとして拡張アドレステーブルFDB_CEを検索する。その結果、図4の拡張アドレステーブルFDB_CEにおける4個目のエントリがヒットし、スイッチ装置SWC_Eは、宛先ポート識別子{P3}を取得する。スイッチ装置SWC_Eは、宛先ポート識別子{P3}に基づき、フレームFL11をポートP3から送信する。
スイッチ装置(コアスイッチ装置)SWC_Cは、スイッチ装置SWC_Eから送信されたフレームFL11を、ネットワークNW1を介してポートP3で受信する。スイッチ装置SWC_Cは、当該フレームFL11の送信元のカプセル化用アドレスBSA「BA1a+BVE2」およびバックボーンVLAN識別子BVID「BV1」を、受信ポート識別子{P3}に対応付けて通常アドレステーブルFDB_CC(図4の例では4個目のエントリ)に学習する。
また、スイッチ装置SWC_Cは、当該フレームFL11の宛先のカプセル化用アドレスBDA「BA2a+BVE2」およびバックボーンVLAN識別子BVID「BV1」を検索キーとして通常アドレステーブルFDB_CCを検索する。その結果、図4の通常アドレステーブルFDB_CCにおける2個目のエントリがヒットし、スイッチ装置SWC_Cは、宛先ポート識別子{P1}を取得する。スイッチ装置SWC_Cは、宛先ポート識別子{P1}に基づき、フレームFL11をポートP1から送信する。
スイッチ装置(エッジスイッチ装置)SWE2は、スイッチ装置SWC_Cから送信されたフレーム(カプセル化フレーム)FL11を上位リンクポートPuで受信する。スイッチ装置SWE2は、アドレステーブルの学習および検索を経て、当該フレーム(カプセル化フレーム)FL11を、非カプセル化フレームに変換したのち下位リンク用ポートPd[n]から送信する。その結果、当該フレーム(非カプセル化フレーム)FL11は、カスタマ端末TM22に到達する。
《エッジスイッチ装置の構成》
図6は、図4の中継システムにおいて、エッジスイッチ装置の主要部の構成例を示す概略図である。図7(a)、図7(b)、図7(c)および図7(d)は、それぞれ、図6における受信側VID変換テーブル、拡張アドレステーブル、送信側VID変換テーブルおよびマルチキャスト(MC)テーブルの構造例を示す概略図である。
図6に示すスイッチ装置(エッジスイッチ装置)SWEは、PBB網10の外部(例えばPB網)に接続される単数または複数(ここではn個)の下位リンク用ポートPd[1]〜Pd[n]と、PBB網10に接続される単数または複数(ここでは1個)の上位リンク用ポートPuと、各種処理部および各種テーブルと、を有する。以下、各種処理部および各種テーブルに関して説明する。
インタフェース部25は、受信バッファおよび送信バッファを備え、下位リンク用ポートPd[1]〜Pd[n]との間で非カプセル化フレームの送信または受信を行い、上位リンク用ポートPuとの間でカプセル化フレームの送信または受信を行う。また、インタフェース部25は、複数のポート(Pd[1]〜Pd[n],Pu)のいずれかでフレームを受信した場合に、当該フレームに受信ポート識別子を付加する。
VID割り当て部26は、受信側VID変換テーブル31に基づいて、受信したフレーム(非カプセル化フレームまたはカプセル化フレーム)に、内部VLAN識別子IVIDを割り当てる。受信側VID変換テーブル31の内容は、予め通信事業者等によって定められる。受信側VID変換テーブル31は、図7(a)に示されるように、受信ポート識別子およびサービスVLAN識別子SVIDの組合せを、内部VLAN識別子IVIDに対応付けて保持する。また、受信側VID変換テーブル31は、受信ポート識別子および新バックボーンVLAN識別子BVID_Nの組合せを、内部VLAN識別子IVIDに対応付けて保持する。
拡張アドレステーブル(第1拡張アドレステーブル)FDB_EEは、図7(b)に示されるように、下位リンク用ポートの先に存在するカスタマ用アドレスCMACと、内部VLAN識別子IVIDと、当該下位リンク用ポートと、の対応関係を保持する。また、拡張アドレステーブルFDB_EEは、上位リンク用ポートの先に存在するカスタマ用アドレスCMACと、内部VLAN識別子IVIDと、新カプセル化用アドレスBMAC_Nと、の対応関係を保持する。マルチキャスト(MC)テーブル33は、図7(d)に示されるように、内部VLAN識別子IVIDと、単数または複数のポート(上位リンク用ポートまたは下位リンク用ポート)との対応関係を保持する。
中継処理部(第1中継処理部)27は、インタフェース部25およびVID割り当て部26を介してフレームを受信した場合に、受信したフレームの送信元の情報を拡張アドレステーブルFDB_EEに学習する。具体的には、中継処理部27は、非カプセル化フレームを受信した場合、送信元のカスタマ用アドレスCSA、内部VLAN識別子IVIDおよび受信ポート識別子を学習し、カプセル化フレームを受信した場合、さらに、送信元の新カプセル化用アドレスBSA_Nも学習する。
また、中継処理部27は、インタフェース部25等を介してフレームを受信した場合に、受信したフレームの宛先の情報を用いて拡張アドレステーブルFDB_EEを検索することで、宛先ポートや、これに加えて宛先の新カプセル化用アドレスBDA_Nを定める。具体的には、中継処理部27は、非カプセル化フレームを受信した場合や、宛先の新カプセル化用アドレスBDA_Nが自装置の新カプセル化用アドレスBMAC_Nであるカプセル化フレームを受信した場合、宛先のカスタマ用アドレスCDAおよび内部VLAN識別子IVIDを検索キーとして拡張アドレステーブルFDB_EEを検索する。
ここで、中継処理部27は、拡張アドレステーブルFDB_EEの検索結果がヒットの場合、宛先ポート識別子や、当該宛先ポート識別子が上位リンク用ポートの場合には、加えて宛先の新カプセル化用アドレスBDA_Nも取得する。一方、中継処理部27は、拡張アドレステーブルFDB_EEの検索結果がミスヒットの場合には、内部VLAN識別子IVIDを検索キーとしてマルチキャストテーブル33を検索し、単数または複数の宛先ポート識別子を取得する。なお、中継処理部27は、宛先の新カプセル化用アドレスBDA_Nが他装置宛てであるカプセル化フレームを受信した場合には、例えば、宛先の新カプセル化用アドレスBDA_Nおよび内部VLAN識別子IVIDを検索キーとして拡張アドレステーブルFDB_EEを検索する。
そして、中継処理部27は、処理対象のフレームを、宛先ポート識別子と受信ポート識別子との組合せに応じて、それぞれ異なる処理部を介して宛先ポートへ中継する。具体的には、中継処理部27は、受信ポート識別子および宛先ポート識別子が共に下位リンク用ポートや上位リンク用ポートの場合、フレームを中継実行部30へ送信する。また、中継処理部27は、受信ポート識別子が下位リンク用ポートであり、宛先ポート識別子が上位リンク用ポートである場合、フレームをカプセル化実行部28へ送信し、受信ポート識別子が上位リンク用ポートであり、宛先ポート識別子が下位リンク用ポートである場合、フレームをデカプセル化実行部29へ送信する。
カプセル化実行部28は、所定の規則に基づいて定められる新バックボーンVLAN識別子BVID_Nと、中継処理部27によって定められる宛先の新カプセル化用アドレスBDA_Nと、に基づいて非カプセル化フレームをカプセル化フレームに変換する。図6の例では、新バックボーンVLAN識別子BVID_Nは、送信側VID変換テーブル32に基づいて定められる。送信側VID変換テーブル32の内容は、予め通信事業者等によって定められる。
送信側VID変換テーブル32は、図7(c)に示されるように、宛先ポート識別子(上位リンク用ポート)および内部VLAN識別子IVIDの組合せを、サービスインスタンス識別子ISIDおよび新バックボーンVLAN識別子BVID_Nに対応付けて保持する。また、送信側VID変換テーブル32は、宛先ポート識別子(下位リンク用ポート)および内部VLAN識別子IVIDの組合せを、サービスVLAN識別子SVIDに対応付けて保持する。カプセル化実行部28は、送信側VID変換テーブル32に基づいて、サービスインスタンス識別子ISIDおよび新バックボーンVLAN識別子BVID_Nを含んだカプセル化フレームを生成し、中継実行部30へ送信する。
このように、図6の例では、例えば、非カプセル化フレームをカプセル化フレームに変換する場合、概略的には次のような方式で新バックボーンVLAN識別子BVID_Nが定められる。まず、受信側VID変換テーブル31に基づいて、非カプセルフレームに内部VLAN識別子IVIDが割り当てられる。次いで、当該内部VLAN識別子IVIDを用いて送信側VID変換テーブル32が参照され、その結果、新バックボーンVLAN識別子BVID_Nが定められる。ただし、新バックボーンVLAN識別子BVID_Nの決定方式は、エッジスイッチ装置の各種構成に応じて様々な方式が考えられ、特に、図6の方式に限定されるものではない。すなわち、新バックボーンVLAN識別子BVID_Nは、何らかの規則に基づいて適宜定められればよい。
デカプセル化実行部29は、受信したカプセル化フレームを非カプセル化フレームに変換する。この際に、デカプセル化実行部29は、送信側VID変換テーブル32に基づいて、サービスVLAN識別子SVIDを定める。そして、デカプセル化実行部29は、サービスVLAN識別子SVIDを含んだ非カプセル化フレームを生成し、中継実行部30へ送信する。
中継実行部30は、前述した各処理部からのフレーム(非カプセル化フレームまたはカプセル化フレーム)を、インタフェース部25内の所定の送信バッファへ送信する。この所定の送信バッファは、中継処理部27によって当該フレームに付加される宛先ポート識別子に対応するバッファである。また、中継実行部30は、フレームに付加されている不要な情報(例えば、受信ポート識別子や宛先ポート識別子等)を削除する。インタフェース部25内の送信バッファは、中継実行部30からのフレームを受けて、対応するポート(すなわち宛先ポート識別子が表す下位リンク用ポートまたは上位リンク用ポート)へフレームを送信する。
《エッジスイッチ装置の動作》
ここで、図5に示したように、スイッチ装置SWE1がフレーム(非カプセル化フレーム)FL10を受信した場合と、スイッチ装置SWE2がフレーム(カプセル化フレーム)FL10を受信した場合とを例に、図6のエッジスイッチ装置の動作例を説明する。前述した図7(a)、図7(b)、図7(c)および図7(d)には、図5のスイッチ装置SWE1が備える各テーブルの具体的な保持内容の一例が示されている。
まず、スイッチ装置SWE1がフレーム(非カプセル化フレーム)FL10を受信した場合について説明する。インタフェース部25は、受信したフレームFL10に受信ポート識別子{Pd[1]}を付加し、それをVID割り当て部26へ送信する。VID割り当て部26は、受信ポート識別子{Pd[1]}および当該フレームのサービスVLAN識別子SVID「SV1」を検索キーとして図7(a)の受信側VID変換テーブル31を検索し、内部VLAN識別子IVID「IV1」を取得する。そして、VID割り当て部26は、当該フレームFL10に内部VLAN識別子IVID「IV1」を付加し、それを中継処理部27へ送信する。
中継処理部27は、当該フレームFL10の送信元のカスタマ用アドレスCSA「CA11」および内部VLAN識別子IVID「IV1」を、受信ポート識別子{Pd[1]}に対応付けて図7(b)の拡張アドレステーブルFDB_EEに学習する。また、中継処理部27は、当該フレームFL10の宛先のカスタマ用アドレスCDA「CA21」および内部VLAN識別子IVID「IV1」を検索キーとして、拡張アドレステーブルFDB_EEを検索し、宛先の新カプセル化用アドレスBDA_N「BA2a」および宛先ポート識別子{Pu}を取得する。中継処理部27は、下位リンク用ポートPd[1]から上位リンク用ポートPuへの中継であるため、当該フレームFL10をカプセル化実行部28へ送信する。
カプセル化実行部28は、宛先ポート識別子{Pu}および内部VLAN識別子IVID「IV1」を検索キーとして、図7(c)の送信側VID変換テーブル32を検索する。その結果、カプセル化実行部28は、拡張バックボーンVLAN識別子BVID_E「BVE1」およびバックボーンVLAN識別子BVID「BV1」の組合せで構成される新バックボーンVLAN識別子BVID_Nと、サービスインスタンス識別子ISID「IS1」とを取得する。
これにより、カプセル化実行部28は、例えば、図8のようにして、カプセル化フレームを生成する。図8は、図6におけるカプセル化実行部の動作例を示す説明図である。図8に示すように、カプセル化実行部28は、送信元のカプセル化用アドレスBSAの第1ビット領域20(図3参照)に、自装置の新カプセル化用アドレスBA1aを格納し、宛先のカプセル化用アドレスBDAの第1ビット領域20に、中継処理部27によって定められる宛先の新カプセル化用アドレスBA2aを格納する。
また、カプセル化実行部28は、送信元のカプセル化用アドレスBSAの第2ビット領域21に、新バックボーンVLAN識別子BVID_Nの中の拡張バックボーンVLAN識別子BVID_E「BVE1」を格納する。さらに、カプセル化実行部28は、バックボーンVLAN識別子BVIDのビット領域に新バックボーンVLAN識別子BVID_Nの中のバックボーンVLAN識別子BVID「BV1」を格納し、サービスインスタンス識別子ISIDのビット領域にサービスインスタンス識別子ISID「IS1」を格納する。
なお、図8(および図5)の例では、カプセル化実行部28は、さらに、宛先のカプセル化用アドレスBDAの第2ビット領域21にも、新バックボーンVLAN識別子BVID_Nの中の拡張バックボーンVLAN識別子BVID_E「BVE1」を格納している。仮に、図5において、ネットワーク(コア網)NWbb内のスイッチ装置(コアスイッチ装置)が全て拡張対応のスイッチ装置SWC_Eで構成される場合、当該宛先のカプセル化用アドレスBDAの第2ビット領域21に格納する内容は、特に限定されない。一方、ネットワーク(コア網)NWbb内に、拡張非対応のスイッチ装置SWC_Cが含まれる場合、当該装置に通常アドレステーブルFDB_CCを用いた宛先検索を正常に行わせるため、宛先のカプセル化用アドレスBDAにも拡張バックボーンVLAN識別子BVID_E「BVE1」を格納する必要がある。
カプセル化実行部28は、図8のようにして生成したフレーム(カプセル化フレーム)FL10を中継実行部30へ送信する。中継実行部30は、宛先ポート識別子{Pu}に基づいて、当該フレームFL10を、インタフェース部25を介して上位リンク用ポートPuへ送信する。
次に、スイッチ装置SWE2がフレーム(カプセル化フレーム)FL10を受信した場合について説明する。インタフェース部25は、受信したフレームFL10に受信ポート識別子{Pu}を付加し、それをVID割り当て部26へ送信する。VID割り当て部26は、受信ポート識別子{Pu}および当該フレームのサービスインスタンス識別子ISID「IS1」を検索キーとして受信側VID変換テーブル31を検索し、内部VLAN識別子IVID(例えば「IV1」)を取得する。そして、VID割り当て部26は、当該フレームFL10に内部VLAN識別子IVID(「IV1」)を付加し、それを中継処理部27へ送信する。
中継処理部27は、当該フレームFL10の送信元のカスタマ用アドレスCSA「CA11」および内部VLAN識別子IVID(「IV1」)を、送信元の新カプセル化用アドレスBSA_N「BA1a」および受信ポート識別子{Pu}に対応付けて拡張アドレステーブルFDB_EEに学習する。また、中継処理部27は、受信したカプセル化フレームFL10の宛先の新カプセル化用アドレスBDA_N「BA2a」が自装置の新カプセル化用アドレスBMAC_N「BA2a」であるため、当該フレームをデカプセル化の対象フレームとして認識する。なお、中継処理部27は、仮に、受信したカプセル化フレームFL10の宛先の新カプセル化用アドレスBDA_Nが自装置の新カプセル化用アドレスBMAC_N「BA2a」ではない場合、当該フレームをデカプセル化の非対象フレームとして認識する。
中継処理部27は、受信したカプセル化フレームFL10がデカプセル化の対象フレームであるため、当該フレームFL10の宛先のカスタマ用アドレスCDA「CA21」および内部VLAN識別子IVID(「IV1」)を検索キーとして、拡張アドレステーブルFDB_EEを検索する。その結果、中継処理部27は、宛先ポート識別子{Pd[1]}を取得する。中継処理部27は、当該カプセル化フレームFL10に宛先ポート識別子{Pd[1]}を付加し、それをデカプセル化実行部29へ送信する。なお、中継処理部27は、受信したカプセル化フレームがデカプセル化の非対象フレームである場合、当該フレームのデカプセル化実行部29への送信は行わない。
デカプセル化実行部29は、宛先ポート識別子{Pd[1]}および内部VLAN識別子IVID(「IV1」)を検索キーとして、送信側VID変換テーブル32を検索し、サービスVLAN識別子SVID「SV1」を取得する。これにより、デカプセル化実行部29は、当該サービスVLAN識別子SVID「SV1」を含むフレーム(非カプセル化フレーム)FL10を生成し、それを中継実行部30へ送信する。中継実行部30は、宛先ポート識別子{Pd[1]}に基づいて、当該フレームFL10を、インタフェース部25を介して下位リンク用ポートPd[1]へ送信する。
《コアスイッチ装置(拡張対応)の構成および動作》
図9(a)は、図4の中継システムにおけるコアスイッチ装置(拡張対応)の主要部の構成例を示す概略図であり、図9(b)は、図9(a)における拡張マルチキャストテーブルの構造例を示す概略図である。図9(a)に示すスイッチ装置(コアスイッチ装置)SWC_Eは、複数のポートP1,P2,P3,…と、インタフェース部35と、中継処理部36と、拡張アドレステーブルFDB_CEと、拡張マルチキャスト(MC)テーブル38と、中継実行部37と、を備える。
インタフェース部35は、受信バッファおよび送信バッファを備え、複数のポートP1,P2,P3,…との間でカプセル化フレームの送信または受信を行う。また、インタフェース部35は、複数のポートP1,P2,P3,…のいずれかでカプセル化フレームを受信した場合に、当該フレームに受信ポート識別子を付加する。拡張アドレステーブル(第2拡張アドレステーブル)FDB_CEは、図4に示したような構造を備える。
拡張マルチキャストテーブル(第2拡張マルチキャストテーブル)38は、図9(b)に示すように、新バックボーンVLAN識別子BVID_Nと、単数または複数のポートと、の対応関係を保持する。図9(b)の例では、拡張マルチキャストテーブル38は、新バックボーンVLAN識別子BVID_N「BVE1+BV1」と、複数のポート識別子{P1},{P2},…との対応関係を保持し、新バックボーンVLAN識別子BVID_N「BVE2+BV1」と、複数のポート識別子{P1},{P3},…との対応関係を保持する。
中継処理部(第2中継処理部)36は、図5で述べたように、ポートP1,P2,P3,…でカプセル化フレームを受信した場合に、拡張アドレステーブルFDB_CEの学習および検索を行う。ここで、中継処理部36は、拡張アドレステーブルFDB_CEの検索結果がヒットの場合、フレームに当該検索結果に基づく宛先ポート識別子を付加し、それを中継実行部37へ送信する。一方、中継処理部36は、拡張アドレステーブルFDB_CEの検索結果がミスヒットの場合、拡張マルチキャストテーブル38に基づいて、当該カプセル化フレームの新バックボーンVLAN識別子BVID_Nに対応する単数または複数のポートを宛先ポートに定める。そして、中継処理部36は、宛先ポートの数だけフレームをコピーし、各フレームに宛先ポート識別子を付加し、それを中継実行部37へ送信する。
中継実行部37は、中継処理部36からのフレームを、インタフェース部35内の所定の送信バッファへ送信する。この所定の送信バッファは、フレームに付加されている宛先ポート識別子に対応するバッファである。また、この際に、中継実行部37は、フレームに付加されている不要な情報(受信ポート識別子、宛先ポート識別子等)を削除する。インタフェース部35内の送信バッファは、中継実行部37からのフレームを受けて、対応するポート(すなわち宛先ポート識別子が表すポート)へフレームを送信する。
《コアスイッチ装置(拡張非対応)の構成および動作》
図10(a)は、図4の中継システムにおけるコアスイッチ装置(拡張非対応)の主要部の構成例を示す概略図であり、図10(b)は、図10(a)における通常マルチキャストテーブルの構造例を示す概略図である。図10(a)に示すスイッチ装置(コアスイッチ装置)SWC_Cは、複数のポートP1,P2,P3,…と、インタフェース部35と、中継処理部40と、通常アドレステーブルFDB_CCと、通常マルチキャスト(MC)テーブル41と、中継実行部37と、を備える。
すなわち、図10(a)のスイッチ装置SWC_Cは、図9(a)の構成例と比較して、通常アドレステーブルFDB_CCおよび通常マルチキャストテーブル41を備える点と、これに伴い、中継処理部40の処理内容が若干変わる点と、が異なっている。通常アドレステーブルFDB_CCは、図4に示したような構造を備える。通常マルチキャストテーブル41は、図10(b)に示すように、バックボーンVLAN識別子BVIDと、単数または複数のポートと、の対応関係を保持する。図10(b)の例では、通常マルチキャストテーブル41は、バックボーンVLAN識別子BVID「BV1」と、複数のポート識別子{P1},{P2},{P3},…との対応関係を保持する。
中継処理部(第3中継処理部)40は、図5で述べたように、ポートP1,P2,P3,…でカプセル化フレームを受信した場合に、通常アドレステーブルFDB_CCの学習および検索を行う。ここで、中継処理部40は、通常アドレステーブルFDB_CCの検索結果がヒットの場合、フレームに当該検索結果に基づく宛先ポート識別子を付加し、それを中継実行部37へ送信する。一方、中継処理部40は、通常アドレステーブルFDB_CCの検索結果がミスヒットの場合、通常マルチキャストテーブル41に基づいて、当該カプセル化フレームのバックボーンVLAN識別子BVIDに対応する単数または複数のポートを宛先ポートに定める。そして、中継処理部40は、宛先ポートの数だけフレームをコピーし、各フレームに宛先ポート識別子を付加し、それを中継実行部37へ送信する。
《本実施の形態の主要な効果》
以上のように、本実施の形態の方式では、各スイッチ装置(エッジスイッチ装置およびコアスイッチ装置)は、48ビットのカプセル化用アドレスBMACの一部のビット領域(図3の第2ビット領域21)をバックボーンVLAN識別子BVIDに属するビット領域と識別して、カプセル化フレームを中継する。また、エッジスイッチ装置には、48ビットのカプセル化用アドレスBMACから当該一部のビット領域(第2ビット領域21)を除いたビット領域(第1ビット領域20)で構成されるMACアドレスが設定される。
このような方式を用いる結果、PBB網においてバックボーンVLAN識別子BVIDの拡張が実現でき、PBB網に収容するユーザの数を増大させることや、フレームの転送経路を十分に制御することや、または、ネットワークドメインの細分化を行うこと等が可能になる。さらに、バックボーンVLAN識別子BVIDの拡張に際しては、コアスイッチ装置の変更が必須ではなく、コア網に既存のコアスイッチ装置が含まれてもよい。その結果、バックボーンVLAN識別子BVIDの拡張を、容易に、または低コストで実現可能になる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、前述した実施の形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。