JP2016120500A - 車体の溶接方法及び車体の溶接装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】少なくとも3枚の鋼板が重なり合い、そのうちの2枚の鋼板の間に隙間が存在する箇所をスポット溶接できるようにする。
【解決手段】3枚の鋼板122、128及び124Bが重なり合い、そのうちの2枚の鋼板122及び128の間に隙間130が存在するB部をスポット溶接するときに、隙間130に金属製の第1の板材210を挿入し、3枚の鋼板122、128及び124Bの両側からスポット溶接し、隙間130から第1の板材210を引き抜く。また、3枚の鋼板122、124A及び124Bが重なり合い、そのうちの2枚の鋼板122及び124Aの間に隙間132が存在するC部をスポット溶接するときに、隙間132に金属製の第2の板材220を挿入し、3枚の鋼板122、124A及び124Bの両側からスポット溶接し、隙間132から第2の板材220を引き抜く。
【選択図】図6
【解決手段】3枚の鋼板122、128及び124Bが重なり合い、そのうちの2枚の鋼板122及び128の間に隙間130が存在するB部をスポット溶接するときに、隙間130に金属製の第1の板材210を挿入し、3枚の鋼板122、128及び124Bの両側からスポット溶接し、隙間130から第1の板材210を引き抜く。また、3枚の鋼板122、124A及び124Bが重なり合い、そのうちの2枚の鋼板122及び124Aの間に隙間132が存在するC部をスポット溶接するときに、隙間132に金属製の第2の板材220を挿入し、3枚の鋼板122、124A及び124Bの両側からスポット溶接し、隙間132から第2の板材220を引き抜く。
【選択図】図6
Description
本発明は、車体の溶接方法及び車体の溶接装置に関する。
自動車のホワイトボディ(車体)は、特開平7−101367号公報(特許文献1)に記載されるように、スポット溶接、レーザ溶接などで複数の鋼板を溶接集成することで組み立てられている。
ところで、自動車のホワイトボディにおいては、車種が同一であっても、仕様違いによって、例えば、レインフォースメントなどの鋼板からなる補強材が取り付けられていたり省略されていたりする。ホワイトボディに補強材が取り付けられる場合、鋼板の接合箇所に間隔を隔てて補強材が配置されることがあり、鋼板と補強材との間に溶接ガンを挿入できないことから、そのままスポット溶接を行うことができない。この場合、鋼板の溶接工程と補強材の溶接工程とを分けることで対応可能であるが、近接箇所を2工程で溶接することから、例えば、ホワイトボディの組立効率が低下してしまう。
そこで、本発明は、少なくとも3枚の鋼板が重なり合い、そのうちの2枚の鋼板の間に隙間が存在する箇所をスポット溶接可能とした、車体の溶接方法及び車体の溶接装置を提供することを目的とする。
このため、本発明では、少なくとも3枚の鋼板が重なり合い、そのうちの2枚の鋼板の間に隙間が存在する箇所をスポット溶接するとき、隙間に金属製の板材を挿入し、板材を挿入した少なくとも3枚の鋼板の両面から溶接機でスポット溶接し、隙間から板材を引き抜く。
本発明によれば、少なくとも3枚の鋼板が重なり合い、そのうちの2枚の鋼板の間に隙間が存在する箇所をスポット溶接することができる。
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳述する。
図1は、キャブのホワイトボディの一例を示す。
図1は、キャブのホワイトボディの一例を示す。
トラックなどのキャブ100は、フロントボディ120、アンダーボディ140、リヤボディ160及びルーフパネル180の各サブアッセンブリを溶接集成し、次にこれらのサブアッセンブリを溶接集成して組み立てられる。ここで、キャブ100が、車体の一例として挙げられる。
フロントボディ120は、キャブ100の前部を構成するサブアッセンブリであって、例えば、フロントアウタパネル(図示せず)と、フロントインナパネル122と、左右のフロントピラー124と、インストルメントパネル(図示せず)と、を含んでいる。フロントアウタパネル、フロントインナパネル122、フロントピラー124及びインストルメントパネルは、例えば、薄板鋼板をプレス成形することで製造され、これらをスポット溶接などで溶接集成することで、フロントボディ120が組み立てられる。なお、フロントピラー124は、車体の強度を確保する重要部材であるため、後述するように、インナパネル124Aとアウタパネル124Bとを接合した閉塞断面を有している。また、フロントインナパネル122は、ファイアウォールパネルとも称される。
アンダーボディ140は、キャブ100の下部(底部)を構成するサブアッセンブリであって、例えば、フロアボード142と、左右のサイドメンバ(図示せず)と、前後のクロスメンバ(図示せず)と、左右のサイドシル144と、を含んでいる。フロアボード142、サイドメンバ、クロスメンバ及びサイドシル144は、例えば、薄板鋼板をプレス成形することで製造され、これらをスポット溶接などで溶接集成することで、アンダーボディ140が組み立てられる。なお、サイドシル144は、車体の強度を確保する重要部材であるため、インナパネルとアウタパネルとを接合した閉塞断面を有している。
リヤボディ160は、キャブ100の後部を構成するサブアッセンブリであって、例えば、左右のセンタピラー162と、左右のリヤコーナパネル164と、バックパネル166と、左右のルーフレール168と、を含んでいる。センタピラー162、リヤコーナパネル164、バックパネル166及びルーフレール168は、例えば、薄板鋼板をプレス成形することで製造され、これらをスポット溶接などで溶接集成することで、リヤボディ160が組み立てられる。
ルーフパネル180は、キャブ100の上部(天井)を構成するサブアッセンブリであって、例えば、薄板鋼板をプレス成形することで製造される。
そして、フロントボディ120、アンダーボディ140、リヤボディ160及びルーフパネル180が、スポット溶接などで相互に溶接集成され、キャブ100が組み立てられる。その後、キャブ100の左右の開口に、予め別工程で組み立てられたドアパネル(図示せず)を組み付け、塗装前のホワイトボディが完成する。なお、キャブ100のフロントボディ120、アンダーボディ140、リヤボディ160及びルーフパネル180には、所要の強度を確保するために、図示しないレインフォースメント、ガセットなどの補強材が適宜取り付けられている。また、キャブ100のフロントボディ120、アンダーボディ140、リヤボディ160及びルーフパネル180には、各種の車載機器などを取り付けるためのブラケット(図示せず)も適宜取り付けられている。
キャブ100において、例えば、仕様違いなどによって、少なくとも3枚の鋼板が重なり合い、そのうちの2枚の鋼板の間に隙間ができてしまうことがある。その一例を挙げると、図2に示すように、フロントボディ120において、フロントガラス(図示せず)の左右の下方に位置する箇所(A部)が考えられる。A部では、図3に示すように、フロントピラー124のインナパネル124Aとアウタパネル125Bとの間に、ドアパネルを組み付けるドアヒンジの取付強度を高めるヒンジレインフォースメント126が介在し、インナパネル124Aの後面にフロントインナパネル122の左右端部が接合される。そして、車種違いなどによって、フロントインナパネル122の前面にフロントレインフォースメント128が取り付けられる場合、その左右端部がフロントピラー124のアウタパネル124Bの一端部に接合される必要があるため、図中のB部及びC部に、隙間130及び132が夫々できてしまう。
図中のB部は、車体の前方から後方にかけて、フロントピラー124のアウタパネル124B、フロントレインフォースメント128及びフロントインナパネル122がこの順番で重なり合い、そのうちのフロントレインフォースメント128とフロントインナパネル122との間に隙間130ができた様子を示している。また、図中のC部は、車体の前方から後方にかけて、フロントピラー124のアウタパネル124B、そのインナパネル124A及びフロントインナパネル122がこの順番で重なり合い、そのうちのフロントピラー124のインナパネル124Aとフロントインナパネル122との間に隙間132ができた様子を示している。
なお、2枚の鋼板の間に隙間ができる理由は、仕様違いなどに限らず、例えば、干渉を防ぐなど、他の理由も挙げられる。また、2枚の鋼板の間に隙間ができる箇所は、キャブ100のフロントボディ120に限らず、例えば、キャブ100のアンダーボディ140及びリヤボディ160、キャブ100以外の箇所など、他の箇所も挙げられる。
そこで、少なくとも3枚の鋼板が重なり合い、そのうちの2枚の鋼板の間に隙間が存在する箇所をスポット溶接するときには、2枚の鋼板の隙間に金属製の板材を挿入し、板材を挿入した少なくとも3枚の鋼板の両面から溶接機でスポット溶接し、その後、鋼板の隙間から板材を引き抜く。
かかる溶接方法を実現するため、車体の溶接装置は、溶接ガン及び溶接電源を備えた溶接機と、鋼板の隙間に挿入する金属製の板材を備えた治具200と、を有している。
治具200は、図4に示すように、金属製の第1の板材210と、金属製の第2の板材220と、第1の板材210及び第2の板材220の基端部を連結する連結材230と、連結材230に対して第1の板材210及び第2の板材220の基端部を着脱可能に固定するボルトなどの固定具240と、を含んでいる。
治具200は、図4に示すように、金属製の第1の板材210と、金属製の第2の板材220と、第1の板材210及び第2の板材220の基端部を連結する連結材230と、連結材230に対して第1の板材210及び第2の板材220の基端部を着脱可能に固定するボルトなどの固定具240と、を含んでいる。
第1の板材210は、フロントレインフォースメント128とフロントインナパネル122との間に位置する隙間130に着脱可能に挿入され、スポット溶接時に、フロントレインフォースメント128とフロントインナパネル122との間に溶接電流が流れるようにする。第2の板材220は、フロントピラー124のインナパネル124Aとフロントインナパネル122との間に位置する隙間132に着脱可能に挿入され、スポット溶接時に、インナパネル124Aとフロントインナパネル122との間に溶接電流が流れるようにする。このため、第1の板材210及び第2の板材220は、スポット溶接時に熱が発生しないようにすべく、例えば、電気電導率が良好な銅又は銅合金から形成されている。また、第1の板材210の両面は、スポット溶接箇所における、フロントレインフォースメント128及びフロントインナパネル122の内面に倣った形状を有し、電気抵抗の増大による溶接熱の発生を抑制している。第2の板材220の両面は、スポット溶接箇所における、フロントピラー124のインナパネル124A及びフロントインナパネル122の内面に倣った形状を有し、電気抵抗の増大による溶接熱の発生を抑制している。
連結材230は、スポット溶接時に、第1の板材210の溶接電流が第2の板材220に流れないようにすべく、例えば、絶縁体の一例として挙げられるセラミックスなどで形成されている。なお、連結材230の形状、連結材230に対する第1の板材210及び第2の板材220の取付間隔などは、溶接箇所に応じて適宜変更することができる。
第1の板材210及び第2の板材220は、連結材230によって連結されていなくてもよい。この場合には、作業者などは、隙間130に第1の板材210を挿入すると共に、隙間132に第2の板材220を挿入すればよい。ここで、第1の板材210及び第2の板材220の少なくとも一方が、金属製の板材の一例として挙げられる。
そして、図3のB部及びC部を溶接するとき、作業者などは、図5に示すように、フロントレインフォースメント128とフロントインナパネル122との間に位置する隙間130、フロントピラー124のインナパネル124Aとフロントインナパネル122との間に位置する隙間132に、治具200の第1の板材210及び第2の板材220を挿入する。このとき、治具200の第1の板材210及び第2の板材220は、連結材230を介して連結されているので、作業者などは、1回の作業で2箇所に第1の板材210及び第2の板材220を挿入することができ、例えば、作業時間を短縮することができる。
次に、作業者などは、図6において実線で示すように、フロントピラー124のアウタパネル124Bの前面とフロントインナパネル122の後面とを溶接ガン300で挟み込み、溶接機を作動させてスポット溶接を行う。このとき、フロントピラー124のアウタパネル124Bとフロントレインフォースメント128との接触点は、電気抵抗が大きくなっていることから、溶接電流によって発熱して接合される。一方、フロントレインフォースメント128とフロントインナパネル122とは、金属製の第1の板材210を介して電気的に接続されているので、溶接電流が流れても発熱せず接合されない。従って、フロントピラー124のアウタパネル124B、フロントレインフォースメント128及びフロントインナパネル122が重なり合い、そのうちのフロントレインフォースメント128及びフロントインナパネル122の間に隙間130が存在する箇所をスポット溶接することができる。
続いて、作業者などは、図6において破線で示すように、フロントピラー124のアウタパネル124Bの前面とフロントインナパネル122の後面とを溶接ガン300で挟み込み、溶接機を作動させてスポット溶接を行う。このとき、フロントピラー124のアウタパネル124Bとインナパネル124Aとの接触点は、電気抵抗が大きくなっていることから、溶接電流によって発熱して接合される。一方、フロントピラー124のインナパネル124Aとフロントインナパネル122とは、金属製の第2の板材220を介して電気的に接続されているので、溶接電流が流れても発熱せず接合されない。従って、フロントピラー124のアウタパネル124B、そのインナパネル124A及びフロントインナパネル122が重なり合い、そのうちのインナパネル124A及びフロントインナパネル122の間に隙間132が存在する箇所をスポット溶接することができる。
その後、作業者などは、図7に示すように、B部の隙間130及びC部の隙間132から治具200を引き抜き、溶接作業を終了させる。このとき、治具200の第1の板材210及び第2の板材220は、連結材230を介して連結されているので、作業者などは、1回の作業で2箇所の隙間130及び132から第1の板材210及び第2の板材220を引き抜くことができ、例えば、作業時間を短縮することができる。
第1の板材210及び第2の板材220の挿入及び引き抜き、並びに、溶接箇所のスポット溶接は、作業者などによらず、例えば、自動化された溶接ラインにおいてロボットなどが自動的に行うこともできる。また、溶接箇所は、3枚の鋼板が重なっている箇所に限らず、4枚以上の鋼板が重なっている箇所とすることもできる。
100 キャブ(車体)
122 フロントインナパネル
124 フロントピラー
124A インナパネル
124B アウタパネル
128 フロントレインフォースメント
130 隙間
132 隙間
210 第1の板材
220 第2の板材
300 溶接ガン(溶接機)
122 フロントインナパネル
124 フロントピラー
124A インナパネル
124B アウタパネル
128 フロントレインフォースメント
130 隙間
132 隙間
210 第1の板材
220 第2の板材
300 溶接ガン(溶接機)
Claims (4)
- 少なくとも3枚の鋼板が重なり合い、そのうちの2枚の鋼板の間に隙間が存在する箇所をスポット溶接する車体の溶接方法であって、
前記隙間に金属製の板材を挿入し、
前記板材を挿入した少なくとも3枚の鋼板の両面からスポット溶接し、
前記隙間から前記板材を引き抜く、
ことを特徴とする車体の溶接方法。 - 前記板材の両面は、前記隙間を形成する鋼板の内面に倣った形状をなしている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車体の溶接方法。 - 前記板材は、銅又は銅合金からなる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車体の溶接方法。 - 少なくとも3枚の鋼板が重なり合い、そのうちの2枚の鋼板の間に隙間が存在する箇所をスポット溶接する車体の溶接装置であって、
前記隙間に対して着脱可能に挿入される金属製の板材と、
前記板材を挿入した少なくとも3枚の鋼板の両面からスポット溶接する溶接機と、
を有することを特徴とする車体の溶接装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014259990A JP2016120500A (ja) | 2014-12-24 | 2014-12-24 | 車体の溶接方法及び車体の溶接装置 |
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Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006075887A (ja) * | 2004-09-13 | 2006-03-23 | Nissan Motor Co Ltd | 液圧成形用重ね合わせ板材の製造方法 |
JP2008302425A (ja) * | 2007-06-07 | 2008-12-18 | Yoshitaka Aoyama | 中空鋼板部品の溶接装置と溶接方法 |
-
2014
- 2014-12-24 JP JP2014259990A patent/JP2016120500A/ja active Pending
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