以下、本発明の残尿量測定支援システムを、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本実施形態の残尿量測定支援システム500(以下、本実施形態ともいう。)は、図1に示すように、排尿を検知するセンサー素子の取り付けられた着用物品100と、該センサー素子の状態変化をデータとして収集するデータ収集手段200と、収集されたデータに基づいて排尿があったことを検出する排尿検出手段306と、排尿検出手段306から供給されるデータに基づいて着用物品を着用している着用者の排尿量を計算する排尿量演算手段303を備えた情報処理手段300(図7参照)と、通知手段400とを具備し、着用者の残尿量を測定するタイミングを通知手段400を介して介護者に通知する残尿量測定支援システムである。本実施形態では、残尿量測定支援システム500は、好適には、複数の電極間のインピーダンス変化に基づいて排尿の広がりを検知するセンサー素子の取り付けられた着用物品100(図2参照)と、該センサー素子に電流を供給する電源を収容し該センサー素子からのインピーダンス変化をデータとして収集するデータ収集手段200(図6参照)と、データ収集手段200から送られたデータを取得するデータ取得手段301を有し、データ取得手段301から供給されるデータに基づいて、着用物品への一回排尿量または累積排尿量が、設定排尿量以上になった際に、通知手段400を作動させるための信号を通知手段400に発する(出力する)情報処理手段300とを具備する。本実施形態では、更に好適に、情報処理手段300は、データ取得手段301以外に、データ取得手段301から供給されるデータに基づいて排尿を検出する排尿検出手段306、排尿検出手段306から供給されるデータに基づいて着用物品100の着用者の排尿時刻を計算する排尿時刻演算手段302、排尿検出手段306から供給されるデータに基づいて着用者の排尿量を計算する排尿量演算手段303、並びに排尿時刻演算手段302及び排尿量演算手段303で計算された排尿時刻及び排尿量を蓄積する排尿データベース310などをその要素として備えるデータベース311、通知判断基準入力手段340及び通知判断手段330を有する(図7参照)。通知手段400は、介護者が携帯可能な末端機器401を含み、本実施形態では、末端機器401に着用者の残尿量を測定するタイミングを通知するのみならず、それを携帯する介護者に介護に関する情報を提示する。本実施形態の残尿量測定支援システム500は、着用者の残尿量を測定するタイミングを介護者に通知する残尿量測定支援システムである。
本実施形態の残尿量測定支援システム500を構成する着用物品100は、図2に示すように、縦長の吸収体104を有する吸収性本体105を備えた尿とりパッド110(吸収性物品)と、尿とりパッド110の非肌対向面側に配される使い捨ておむつ130と、使い捨ておむつ130と尿とりパッド110との間に配される別個独立した別シート120とを備えている。
図2に示すように、着用物品100は、腹側領域A、背側領域B及び股下領域Cに区分できる。ここで、腹側領域Aは着用時に着用者の腹側に位置する部位であり、背側領域Bは着用時に着用者の背側に位置する部位であり、股下領域Cは腹側領域Aと背側領域Bとの間に配される部位である。
図2と図3に示す「Y方向」は、腹側領域Aから背側領域Bへ、或いは背側領域Bから腹側領域Aへ延びる方向であり、尿とりパッド110、別シート120又は使い捨ておむつ130の長手方向と同じ方向でもある。また図2から図5に示す「X方向」は、Y方向に直交する方向であり、尿とりパッド110、別シート120又は使い捨ておむつ130の幅方向と同じ方向でもある。また図4と図5に示す「Z方向」は、尿とりパッド110、別シート120又は使い捨ておむつ130の厚みと同じ方向でもある。
また、本明細書において、「肌対向面」とは、例えば尿とりパッド110を構成する後述する表面シート102などの各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側に配される面であり、「非肌対向面」とは、例えば尿とりパッド110を構成する後述する表面シート102などの各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。
さらにまた、図に示す線CLは、尿とりパッド110、別シート120又は使い捨ておむつ130の長手方向(Y方向)に延びる中心線である。
本実施形態における着用物品100の尿とりパッド110は、肌対向面側に配された液透過性の表面シート102と、非肌対向面側に配された液難透過性の裏面シート103と、これら両シート102,103間に配された吸収体104とを有する縦長の吸収性本体105を備えている。尿とりパッド110について詳述すると、表面シート102、裏面シート103及び吸収体104は、図2〜図4に示すように、吸収性本体105の長手方向(Y方向)に長い長方形状を有している。表面シート102及び裏面シート103は、それぞれ、吸収体104の長手方向(Y方向)に沿う左右両側縁及び長手方向(Y方向)の前後両端縁から外方に延出している。表面シート102は、図2に示すように、その長手方向(Y方向)の寸法が、裏面シート103の長手方向(Y方向)の寸法と同じであるが、図4に示すように、その幅方向(X方向)の寸法が、裏面シート103の幅方向(X方向)の寸法より小さくなっている。表面シート102及び裏面シート103は、それぞれ、吸収体104の周縁から外方に延出した延出部において直接的に又は他の部材(尿とりパッド110においては後述する立体ギャザー106を形成するサイドシート161)を介在させ、接着剤又は熱融着等によって互いに接合されており、吸収体104を挟持・固定している。尚、吸収体104は、図4に示すように、パルプ繊維等の繊維の集合体に吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コア141を、1枚のコアラップシート142で被覆して形成されている。
また、本実施形態における着用物品100の尿とりパッド110では、図2,図4に示すように、吸収性本体105の肌対向面105u側において、吸収性本体105の長手方向(Y方向)に沿う両側部105s,105sそれぞれに配設固定された撥水性のサイドシート161を備え、サイドシート161の自由端部161fには、吸収性本体105の長手方向(Y方向)に伸長状態の立体ギャザー形成用の弾性部材162が配設固定されており、着用時には、立体ギャザー形成用の弾性部材162の収縮力によって、サイドシート161の自由端部161fが起立して立体ギャザー106を形成する。言い換えれば、吸収性本体105の長手方向(Y方向)に沿う両側部105s,105sそれぞれには、吸収性本体105の肌対向面105u側、即ち、表面シート102の肌対向面102uにおいて、Y方向に伸長状態で固定された弾性部材162を有するサイドシート161が、表面シート102の両側部それぞれに、吸収性本体105の長手方向(Y方向)の全長に亘って配され固定されており、これによって一対の立体ギャザー106,106が形成される。尚、尿とりパッド110の吸収性本体105の長手方向(Y方向)に沿う両側部105s,105sそれぞれに、レッグギャザー形成用のレッグ弾性部材(不図示)を長手方向(Y方向)に伸長状態に配し、該レッグ弾性部材(不図示)の収縮によりレッグギャザーが形成されるようにしてもよい。
本実施形態における着用物品100の別シート120は、図2〜図4に示すように、尿とりパッド110の裏面シート103よりも非肌対向面側に配され、尿とりパッド110及び使い捨ておむつ130とは別体の独立したシートである。別シート120は、本実施形態においては、長手方向(Y方向)に長い矩形状に形成されている。別シート120は、体液の広がりを検知する際には、少なくとも股下領域Cに亘って配されていることが好ましく、本実施形態における着用物品100においては、その外周縁が、尿とりパッド110の外周縁よりも狭く、かつ、尿とりパッド110の吸収体104の外周縁よりも狭く形成されている。詳述すると、別シート120は、長手方向(Y方向)においては、尿とりパッド110の吸収体104の長手方向(Y方向)の長さと略一致しており、幅方向(X方向)においては、尿とりパッド110の吸収体104の幅方向(X方向)の長さよりも短く形成されている。
本実施形態における着用物品100においては、電極が、該着用物品を構成する複数のシートの内の1枚のシート表面に、体液が広がったときに相互に絶縁された状態を維持する少なくとも2つの区画において導電材料が塗布されることで形成され、結果として少なくとも2つの電極を形成している。各電極は、該1枚のシートに、導電材料を塗布して形成されており、相互にシート表面に配された導線(導電体)を介して接続された電極群を構成している。本実施形態の着用物品100においては、別シート120が、着用物品を構成する複数のシートの内の「1枚のシート」に該当する。詳述すると、電極群ETの各々は、体液の広がりを検知する際には、少なくとも股下領域Cに亘っており、X方向に広く2個〜32個形成されていることが好ましく、2個〜8個形成されていることが更に好ましい。本実施形態の着用物品100においては、別シート120の肌対向面120uに、図3に示すように、股下領域Cの全域から腹側領域A及び背側領域Bの一部に至るまで、4個の電極群ET1〜ET4が形成されている。電極群ET1〜ET4それぞれには、複数の電極121が配され、複数の電極121相互を接続する導電体である導線122が配されている。このように各電極群は、複数の電極121による列が形成されており、該電極の列が複数列(本実施形態においては、4個の電極群ET1〜ET4に対応して4列)形成されることで、相互に絶縁された対となる電極とその間隙とで構成されるセンサー素子が別シート120の肌対向面120uの広い範囲で複数構成されている。尚、各センサー素子により、対となる電極間のインピーダンスの変化が検知される。センサー素子には、交流あるいは正か負一方の半波、矩形波、三角波等が印加されるので正確ではないが、以下では、便宜上、対となる電極の一方を正電極、他方を負電極と呼ぶ。
電極121は、図3に示すように、別シート120の長手方向(Y方向)に2個〜50個配されていることが好ましく、本実施形態における着用物品100においては、8個配されている。Y方向に隣り合う電極121は、正電極、負電極、正電極・・・の順、或いは負電極、正電極、負電極・・・の順に正電極と負電極とが交互に配置されていて、7つのセンサー素子を構成している。また、電極121は、別シート120の幅方向(X方向)に1個〜16個配されていることが好ましく、本実施形態における着用物品100においては、2個配されている。このように配置されていることにより本実施形態では、都合、14個のセンサー素子が構成されていることになる。X方向に隣り合う電極121は、正電極に対して負電極、負電極に対して正電極の関係で配置されていてもよいが、本実施形態における着用物品100においては、正電極に対して正電極、負電極に対して負電極の関係で配置されている。そして、正か負一方の半波、矩形波、三角波等が印加される場合には、一方の電極が接地されていてもよい。
詳述すると、本実施形態における着用物品100においては、4個の電極群ET1〜ET4それぞれに、4個の電極121が配されている。4個の電極群ET1〜ET4それぞれの複数の電極121は、同形の矩形状に形成されており、同じ大きさに形成されている。電極群ET1〜ET4は、別シート120の幅方向(X方向)に配されている。電極群ET1の4個の電極121aは、正電極であり、股下領域Cの全域から腹側領域A及び背側領域Bの一部に至るまで、別シート120の長手方向(Y方向)に、等間隔を開けて配置されている。そして、電極群ET1の4個の電極121aは、各電極121aよりも幅方向(X方向)外側に配された直線状の導線122aを介して接続されている。また、電極群ET2の4個の電極121bは、負電極であり、股下領域Cの全域から腹側領域A及び背側領域Bの一部に至るまで、別シート120の幅方向(X方向)においては、電極群ET1と同じ位置にて、長手方向(Y方向)においては、隣り合う電極群ET1の電極121a,121aどうしの間に配置されている。そして、電極群ET2の4個の電極121bは、各電極121bよりも幅方向(X方向)内側(中心線CL寄り)に配された直線状の導線122bを介して接続されている。
電極群ET3の4個の電極121cは、正電極であり、股下領域Cの全域から腹側領域A及び背側領域Bの一部に至るまで、別シート120の幅方向(X方向)においては、電極群ET1から間隔を空けて、長手方向(Y方向)に、等間隔を開けて配置されている。そして、電極群ET3の4個の電極121cは、各電極121cよりも幅方向(X方向)外側に配された直線状の導線122cを介して接続されている。また、電極群ET4の4個の電極121dは、負電極であり、股下領域Cの全域から腹側領域A及び背側領域Bの一部に至るまで、別シート120の幅方向(X方向)においては、電極群ET3と同じ位置にて、長手方向(Y方向)においては、隣り合う電極群ET3の電極121c,121cどうしの間に配置されている。そして、電極群ET4の4個の電極121dは、各電極121dよりも幅方向(X方向)内側(中心線CL寄り)に配された直線状の導線122dを介して接続されている。
尚、電極121aと電極121cを正電極、電極121bと電極121dを負電極としたが、電極121aと電極121cを負電極、電極121bと電極121dを正電極としてもよい。
電極群ET1の矩形状の電極121aは、Y方向の長さが1mm〜100mm程度であり、X方向の長さが3mm〜150mm程度である。他の電極群ET2〜4の電極121b〜121dについても同じである。
また、長手方向(Y方向)に隣り合う電極群ET1の電極121aと電極群ET2の電極121bとの間隔は1mm〜50mm程度である。
尚、各電極121の形状(デザイン)、大きさ、配置間隔は、上記実施形態に限定されるものではない。
電極群の各電極は、従来から着用物品に用いられている材質のシートに導電材料を塗布して形成されている。即ち、本実施形態における着用物品100においては、4個の電極群ET1〜ET4それぞれの電極が、別シート120の肌対向面120uに導電材料を塗布して形成されている。詳述すると、先ず、図3,図5に示すように、Y方向に延びる矩形状の別シート120の肌対向面120uにおける、全電極を形成する予定領域よりも広い領域に、絶縁性インクを印刷により塗布して、Y方向に長い矩形状の下部絶縁層125を形成する。絶縁性インクとしては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂等が挙げられる。
次に、下部絶縁層125の肌対向面に、導電材料からなるインクを印刷により塗布して、電極121及び導線122を形成する。即ち、電極群ET1の4個の電極121a、電極群ET2の4個の電極121b、電極群ET3の4個の電極121c、及び電極群ET4の4個の電極121d、並びに電極群ET1の導線122a、電極群ET2の導線122b、電極群ET3の導線122c、及び電極群ET4の導線122dを下部絶縁層125の外周縁の範囲内に印刷する。インクの導電材料としては、カーボン粉末を主成分とするもの、或いは銀や銅等の金属の粉末を配合したものが挙げられ、価格(安価であること)や金属ではないが故の金属探知機や防犯ゲート等の誤作動防止の観点からカーボン粉末を主成分とするものが好ましく用いられる。導電材料からなるインクとしては、カーボンナノチューブ、分散剤、バインダ、樹脂、硬化剤等を混ぜた混合物が挙げられる。尚、電極121の導電材料と導線122の導電材料とは同一であるのが好ましいが、異なっていてもよい。異なる場合は、導電材料からなるインクを印刷により塗布して電極121を形成した後、異なる導電材料からなるインクを印刷により塗布して導線122を形成したり、導電材料からなるインクを印刷により塗布して導線122を形成した後、異なる導電材料からなるインクを印刷により塗布して電極121を形成したりすることで形成できる。導電材料が同一の場合でも同様に形成することができる。
導電材料からなるインクを印刷により塗布して電極121を形成する際には、1回だけの印刷でもよいが、体液排出検出感度の観点から、複数回重ねて印刷してもよい。重ねて印刷する回数としては、1回〜10回が好ましい。
次いで、各導線122を覆うように、各導線122の肌対向面に、絶縁性インクを印刷により塗布して、上部絶縁層126を形成する。上部絶縁層126の絶縁性インクとしては、下部絶縁層125の絶縁性インクと同じインクを用いることができる。本実施形態における着用物品100においては、全電極121及び全導線122の非肌対向面に下部絶縁層125と、全導線122の肌対向面に上部絶縁層126とを配置している。
また、各電極群は、電子機器に接続するための端子にそれぞれ接続されている。具体的には、電極群を有する別シート120の腹側領域Aにおいて、電極群ET1の電極121a、121a・・・を接続する導線122aと電極群ET3の電極121c、121c・・・を接続する導線122cとが端子123を介して連続している。すなわち、電極群ET1及び電極群ET3が端子123に接続されている。また、電極群を有する別シート120の腹側領域Aにおいて、電極群ET2の電極121b、121b・・・を接続する導線122bと電極群ET4の電極121d、121d・・・を接続する導線122dとは端子124を介して連続している。すなわち、電極群ET2及び電極群ET4が端子124に接続されている。端子123,124としては、金属製のコネクター又は導電性を有するスナップ、ファスナー、面ファスナー(マジックテープ(登録商標)等)、ねじ、フック、噛み込み式の留め具等の任意の協働する雌雄部材が挙げられ、本実施形態における着用物品100においては、金属製のスナップが用いられている。この金属製のスナップを介して、電極群を有する別シート120の腹側領域Aには、電子機器であるデータ収集手段200が固定されるようになる。端子123又は124が雌雄部材でない場合には導電性を有する端子をクリップ、ステープラ、ひも、カニカン、ヒキワ等の留め金、導電性接着剤、導電性両面着テープ、熱、導電性繊維・糸等を用いて結ぶ、引っ掛ける、縫い付ける等の方法により接続することもできる。端子の位置は腹側に限定されるものではなく、別シート120上になくてもよい。
インクを塗布する別シート120には、従来から着用物品に用いられている材質のものを用い、具体的には、スパンボンド,スパンレース,エアースルー等の不織布、織物,編み物等の布、プラスチック製のフィルム等が挙げられる。尚、別シート120として、スパンボンド不織布を用いる際には、その坪量が、好ましくは5g/m2以上100g/m2以下、更に好ましくは10g/m2以上80g/m2以下である。
インクを塗布する印刷としては、インクジェットプリント、ロータリープリント、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等が挙げられる。
以上のように、複数の電極群ET1〜ET4を有する別シート120は、インクを塗布して形成されているので、柔らかく形成されており、該シートのMD方向の曲げ剛性値が、好ましくは10g以上80g以下、更に好ましくは15g以上60g以下であり、該シートのCD方向の曲げ剛性値が、好ましくは5g以上60g以下、更に好ましくは10g以上40g以下である。曲げ剛性値は、ハンドロメーター、テーバーテスター、或いはKES曲げ試験機等によっても測定することができる。尚、MD方向とは、不織布等製造時の機械方向(流れ方向)、CD方向とは、不織布等製造時の機械方向に直交する方向を意味する。測定試料は、MD方向長さ17cm、CD方向8cmから9cmで測定した。
また、複数の電極群ET1〜ET4を有する別シート120は、原料の別シート120が通気性を有している場合には、その通気度が、好ましくは10μm/Pa・s以上1500m/kPa・s以下であり、更に好ましくは20μm/Pa・s以上800m/kPa・s以下である。
通気度は、カトーテック製AUTOMATIC AIR−PERMEABILITY TESTER KES−F8−AP1(通気性試験機)により通気抵抗を測定し、その逆数として求められる。通気性の小さいものは、ガレーデンソーメーターの測定値より求めても良い。
以上のようにインクを塗布して各々4個の電極121を有する4個の電極群ET1〜ET4が別シート120の肌対向面120uに形成されているので、複数のセンサー素子が別シート120の肌対向面120uに構成されるようになる。そして、各センサー素子により、電極群ET1の電極121a(正電極)と電極群ET2の電極121b(負電極)との間のインピーダンスの変化、電極群ET3の電極121c(正電極)と電極群ET4の電極121d(負電極)との間のインピーダンスの変化、電極群ET1の電極121a(正電極)と電極群ET4の電極121d(負電極)との間のインピーダンスの変化、及び電極群ET3の電極121c(正電極)と電極群ET2の電極121b(負電極)との間のインピーダンスの変化を測定し、該インピーダンスの変化に基づいて例えば尿等の体液の広がりを検知する。例えば尿等の体液の広がりは、別シート120に固定されたデータ収集手段200で収集されたデータを用いて情報処理手段300により算出される。データ収集手段200及び情報処理手段300については、後段において詳述する。
次に、尿とりパッド110の非肌対向面側に重ねて配される使い捨ておむつ130について詳述する。
使い捨ておむつ130は、図2に示すように、尿とりパッド110が取り付けられるおむつの表面シート132と、最も非肌対向面側に配されたおむつの裏面シート133と、これら両シート132,133間に配されたおむつの吸収体134とを有している。また、使い捨ておむつ130は、おむつの吸収体134の幅方向(X方向)外方に、レッグギャザー形成用のおむつレッグ弾性部材(不図示)を長手方向(Y方向)に伸長状態に配し、該おむつレッグ弾性部材(不図示)の収縮によりおむつのレッグギャザー135が形成されている。
おむつの吸収体134は、図2に示すように、例えば、使い捨ておむつ130の肌対向面(内側)に重ねて使用される尿とりパッド110よりも広く、腹側領域Aの左右両側縁及び背側領域Bの左右両側縁それぞれが股下領域Cの左右両側縁よりも幅方向(X方向)外方に延出している。そして、股下領域Cの左右両側縁が幅方向(X方向)内方に向かって円弧状に湾曲しており、全体として長手方向(Y方向)中央部が内方に括れた形状を有している。尚、おむつの吸収体134は、尿とりパッド110の吸収体104と同様に、パルプ繊維等の繊維の集合体に吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コアを、1枚のコアラップシートで被覆して形成されている。
おむつの表面シート132及びおむつの裏面シート133は、それぞれ、おむつの吸収体134の長手方向(Y方向)に沿う左右両側縁及び長手方向(Y方向)の前後両端縁から外方に延出しており、おむつの吸収体134の周縁から外方に延出した延出部において直接的に接着剤又は熱融着等によって互いに接合されており、おむつの吸収体134を挟持・固定している。
以上のように形成された使い捨ておむつ130は、図2に示すように、全体として長手方向(Y方向)中央部が内方に括れた形状を有している。使い捨ておむつ130は、いわゆる展開型のおむつであり、背側領域Bの左右両側縁部に二対のファスニングテープ136,136が設けられ、腹側領域Aの外表面(非肌対向面)に、該ファスニングテープ136,136を止着させるランディングテープ(不図示)が設けられている。
本実施形態における着用物品100の備える尿とりパッド110及び使い捨ておむつ130の形成材料について説明する。
尿とりパッド110の表面シート102及び使い捨ておむつ130のおむつの表面シート132、並びに尿とりパッド110の吸収体104及び使い捨ておむつ130のおむつの吸収体134としては、それぞれ、従来、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品に用いられるものを、特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート102及びおむつの表面シート132としては、親水性且つ液透過性の不織布や立体開孔フィルム等を用いることができる。また、吸収体104を構成する吸収性コア141及びおむつの吸収体134を構成する吸収性コアとしては、パルプ繊維等の繊維の集合体に吸収ポリマーの粒子を保持させたもの等を用いることができ、吸収体104を構成するコアラップシート142及びおむつの吸収体134を構成するコアラップシートとしては、親水性シート、例えば、透水性の薄紙(ティッシュペーパー)や透水性の不織布からなるコアラップシート等を用いることができる。尚、立体ギャザー106を構成する撥水性のサイドシート161としては、不織布、織物又は不織布とフィルムの積層シート等を用いることができる。
また、尿とりパッド110の裏面シート103及び使い捨ておむつ130のおむつの裏面シート133としては、液難透過性(撥水性を含む)の樹脂フィルム、或いは該樹脂フィルムに、各種製法による不織布(例えば、エアースルー不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布等)を積層したシート等を用いることができる。ここでいう液難透過性には、液不透過性を含む。液難透過性の裏面シートが吸収体104と電極との間にあるので、体液が広がったときも電極は相互に絶縁された状態を維持する。従来の直接体液と接することにより体液排出を検知する電極を有する電極群は、その性質上、尿とりパッドの裏面シートよりも肌対向面側の例えば吸収体内に配置せざるを得ず、該パッドごとに使い捨てる必要があったが、着用物品100の備える電極を有する別シート120は、電極が直接尿に接しなくても、電極からの電気力線は電極の面から吸収体の中を経由して他の電極に戻り、結果として体液による吸収体のインピーダンス変化を捉えることができるので、排尿を検知することができる。そのため電極を有する別シート120は、尿とりパッドの裏面シートよりも非肌対向面側に配することができ、体液で濡らし難く、衛生的に繰り返し使用が可能となる。
また、尿とりパッド110及び使い捨ておむつ130を構成する部材同士は、接着剤或いは熱融着等を利用して固定することができる。接着剤としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができ、例えば、ホットメルト接着剤を用いることができる。ホットメルト接着剤としては、例えばスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)等のブロックコポリマー系のホットメルト接着剤が挙げられる。熱融着としては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができ、例えば、高周波シール、超音波シールを用いることができる。
尿とりパッド110の立体ギャザー形成用の弾性部材162及び使い捨ておむつ130のレッグギャザー135形成用のおむつレッグ弾性部材(不図示)としては、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる糸状の伸縮性材料を用いることができる。
本実施形態の残尿量測定支援システム500を構成するデータ収集手段200は、センサー素子(電極121間)に電圧を印加するための電源回路を有し、該センサー素子のインピーダンス変化を電圧変化として収集する。具体的には、本実施形態におけるデータ収集手段200は、前記電源回路を駆動するための電池(不図示)を収容するハウジング201を有している。ハウジング201は、金属製のスナップである端子123,124を介して、図1に示すように、別シート120の非肌対向面における腹側領域Aに固定される。データ収集手段200は、端子123,124から取り外して再利用可能となっている。そして、データ収集手段200のハウジング201内には、図6に示すように、電極121に接続されそのインピーダンス変化を電圧変化に変えるインピーダンス検出回路202、加速度センサー203及びデータロガー204が備えられている。さらに、データを無線で送信する場合には無線機もハウジング201に収容されていてもよい。
インピーダンス検出回路202は、別シート120に形成された電極121の回路全体に、例えば400kHz〜700kHzの矩形波の電圧を、例えば電極121に直列に接続された素子を介して印加して電極121間の電圧を検出するなどの、周知の手法を用いて、センサー素子を構成する電極121間のインピーダンス変化を検知する。すなわち、インピーダンス検出回路202は、電極間のインピーダンス変化を電圧値に変換し、データロガー204に出力する。データロガー204は、その出力を単位時間毎に保存する。単位時間は、0.1〜60秒が好ましく、0.2〜20秒がさらに好ましい。
加速度センサー203は、使用者の変位によるX方向、Y方向、Z方向の加速度をそれぞれ検出(収集)し、データロガー204に出力する。データロガー204は、その出力を、インピーダンス変化と同様に、単位時間ごとに保存する。
データロガー204は、上述の如く、インピーダンス検出回路202及び加速度センサー203から収集したデータを保存する。データロガー204は、情報処理手段300からの要求に応じて、または、所定時間、例えば1分ごとに、保存しているデータを情報処理手段300に転送する。
本実施形態の残尿量測定支援システム500を構成する情報処理手段300は、図7に示すように、データ収集手段200から収集されたデータを取得するデータ取得手段301、データ取得手段301から供給されるデータに基づいて排尿があったことを検出する排尿検出手段306、排尿を検出する排尿検出手段306から供給されるデータに基づいて着用物品100の着用者の排尿時刻を計算する排尿時刻演算手段302、排尿検出手段306から供給されるデータに基づいて着用者の排尿量を計算する排尿量演算手段303、並びに排尿時刻演算手段302及び排尿量演算手段303で計算された該排尿時刻及び該排尿量を蓄積する排尿データベース310、通知判断手段330及び通知判断基準入力手段340を有している。具体的には、本実施形態における情報処理手段300は、例えば、汎用コンピューターシステムとして公知のものであって、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、表示装置、入力装置、出力装置等を有している。
表示装置は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode-Ray Tube)、ELディスプレイ(Electroluminescence display)等によって構成される。入力装置は、例えばキーボードやタッチパネル等によって構成される。出力装置は、例えば有線であるケーブル又は無線のLANシステムを介して後述する通知手段400に接続されている。尚、本実施形態においては、情報処理手段300と通知手段400とが無線で接続されている。
情報処理手段300は、本実施形態においては、図1に示すように、タブレット型のパーソナルコンピューターである。すなわち、表示装置としてLCDを、入力装置としてタッチパネルを備える。本実施形態における情報処理手段300は、図7に示すように、データ取得手段301、排尿検出手段306、排尿時刻演算手段302、排尿量演算手段303、及び排尿データベース310を含むデータベース311以外に、データベース311に蓄積されている結果を表示する表示手段320、通知判断基準入力手段340及びデータベース311に蓄積されたデータに基づいて着用者の残尿量を測定するタイミングを介護者に通知するか否かを判断する通知判断手段330を有している。また、情報処理手段300は、本実施形態においては、前記手段以外に、着用者の情報を入力する着用者情報入力手段304と、生活の状況を入力する生活情報入力手段305とを有している。
データ取得手段301は、所定時間ごとに、データ収集手段200のデータロガー204に保存されているデータを取得し、取得データベース317にそのデータを一旦保存する。そして、データ取得手段301は、取得したデータを、排尿検出手段306に供給し、排尿検出手段306が排尿を検出するとともに、検出した排尿時のデータである排尿データを排尿時刻演算手段302および排尿量演算手段303に供給する。排尿時刻演算手段302は供給された排尿データを用いて排尿時刻を計算し、その演算結果をデータベース311内の排尿時刻蓄積テーブル312に記憶する。また、排尿量演算手段303は供給された排尿データを用いて排尿量を演算し、その演算結果をデータベース311内の排尿量蓄積テーブル313に記憶する。本実施形態においては、データ収集手段200と情報処理手段300のデータ取得手段301とが無線で接続されている。
排尿時刻演算手段302は、排尿検出手段306から供給された排尿データに基づいて、体液排出時刻を計算する。排尿量演算手段303は、排尿検出手段306から供給される排尿データに基づいて、排尿量を計算する。着用者情報入力手段304より、着用者の性別、年齢、身長、体重、要介護度、着用者のベッド番号、部屋番号(病室番号)等の着用者情報が直接介護者により入力される。また、生活情報入力手段305より、着用者の生活情報が直接介護者により入力される。
入力される生活情報には、例えば、体温、血圧、脈拍等の体調についての情報、喜怒哀楽等の感情についての情報、トイレや尿とりパッド、おむつや布パンツ等への排便の有無、便の性状、量や排便時刻等の排便に関する情報、トイレでの排尿の有無、尿の性状、量や排尿時刻等の排尿に関する情報、おむつや尿とりパッド等への排尿の有無、天秤等で測定した尿とりパッドの重量、尿等を含んだ尿とりパッドの重量或いは尿の量、尿の性状等の情報、残尿についてその性状や量等についての情報、導尿の実施時刻、尿の量や性状等についての情報、布パンツ、おむつ、尿とりパッド等の交換の有無や交換時刻についての情報、アウター(尿とりパッドの外に履くもの)はおむつか布パンツか、おむつはテープ止めタイプかパンツタイプか、おむつや布パンツの大きさ等のアウターの種類についての情報、尿とりパッドの種類、尿とりパッドの大きさ等についての情報、尿とりパッド、おむつ、布パンツ等からの尿や便等の漏れの有無、漏れの多少等の尿や便等の漏れについての情報、入浴や足浴などの実施の有無、実施時刻・実施時期、入浴や足浴等にかけた時間などについての入浴情報、食事の時刻・時間、食事の量、食事の種類、水分量等の食事情報、飲料水等の飲み物の摂取時刻、量、種類等の飲み物の情報、飲水量や飲水時刻等の飲水についての情報、点滴の実施時刻、種類、点滴の量等の点滴情報、就床時刻、就寝時刻、入眠時刻、起床時刻、就床時間、睡眠時間などの睡眠情報、体の動き等の情報、リハビリ、レクリェーション等の運動や認知機能の維持・向上の活動について、その実施時刻・時間、種類などの活動状況、面会の時刻・時間、面会者等についての面会状況情報、環境の温度や湿度等についての情報、これらの生活情報の記録日時等についての情報、記録終了の日時、等が含まれる。
データベース311は、図7に示すように、着用者毎に排尿時刻演算手段302の演算結果である排尿時刻を格納する排尿時刻蓄積テーブル312、及び着用者毎に排尿量演算手段303の演算結果である排尿量、より詳細には一回排尿量及び累積排尿量を格納する排尿量蓄積テーブル313を備える排尿データベース310を有している。情報処理手段300の排尿量蓄積テーブル313は、着用物品100を取り替えた際に、排尿量がゼロにリセットされるようになっている。具体的には、排尿量蓄積テーブル313は、電極群を有する別シート120の端子123,124からデータ収集手段200を外すと、インピーダンス検出回路202による電極121間への電圧印加が切断されたことを検知して、排尿量の蓄積データ、すなわち一回排尿量及び累積排尿量がゼロにリセットされるようになっている。なお、排尿時刻蓄積テーブル312と排尿量蓄積テーブル313の情報のうち、排尿時刻と累積排尿量とは、ゼロにリセットされる前にデータベース311にある別のテーブル(排尿情報テーブル316)へ介護のための参考情報として保存され、後日の利用に供される。
また、データベース311は、図7に示すように、本実施形態においては、着用者情報入力手段304により入力された着用者情報を格納する着用者情報テーブル314を有し、生活情報入力手段305により入力された生活情報を格納する生活情報テーブル315を有している。
表示手段320は、図7に示すように、データベース311の排尿データベース310の排尿時刻蓄積テーブル312に蓄積されている排尿時刻、及びデータベース311の排尿データベース310の排尿量蓄積テーブル313に蓄積されている排尿量を表示する。また、表示手段320は、本実施形態においては、データベース311の着用者情報テーブル314に蓄積されている着用者情報と、データベース311の生活情報テーブル315に蓄積されている生活情報も表示する。
情報処理手段300の通知判断手段330は、データベース311の蓄積データから、着用物品内への一回排尿量または累積排尿量が、例えば10g以上700g以下に設定した設定排尿量以上になった際に、末端機器401への、通知を作動させるための信号を通知手段400に出力する。具体的には、通知判断手段330は、本実施形態においては、データベース311の排尿時刻蓄積テーブル312、排尿量蓄積テーブル313、着用者情報テーブル314及び生活情報テーブル315に蓄積されたデータに基づき着用者毎の排尿状態の監視を行うものである。すなわち、本実施形態の通知判断手段330は、排尿量蓄積テーブル313に蓄積された排尿量の蓄積データである累積排尿量を監視し、該一回排尿量または該累積排尿量が通知判断基準入力手段340で設定した設定排尿量以上になった際に、出力手段によって通知手段400に信号を出力する。尚、通知手段400に信号を出力したにもかかわらず、着用物品100を取り替えずに排尿量がゼロにリセットされていない場合、次の排尿時にも出力手段によって通知手段400に信号を出力する。
上述したように、設定排尿量は、一回排尿量および累積排尿量の何れに対する値も例えば10g以上700g以下に設定しているが、着用者の膀胱機能の判断の精度を更に向上させる観点から、一回排尿量に対する設定排尿量と累積排尿量に対する設定排尿量を異ならせることが好ましく、成人の一回排尿量、一日排尿量と一日に残尿量を測定したい回数から、一回排尿量については10g以上400g以下に、累積排尿量については80g以上700g以下に設定することが更に好ましい。
本実施形態の残尿量測定支援システム500を構成する通知手段400は、図1に示すように、例えば残尿量測定支援システム500が用いられる施設に固有のインフラを有するネットワークを用いて末端機器401を作動させることで介護者へ通知するものであり、本実施形態においては、好ましくは病院内の院内ナースコールシステムである。本実施形態の通知手段400は、着用物品100を着用した着用者の病室毎に設置されるスイッチ402、及び各スイッチ402と有線であるケーブルを介して接続された中継器403を有している。中継器403は、複数のスイッチ402の情報を集約するものである。そして、本実施形態の通知手段400は、中継器403に有線であるケーブルを介して接続された1個のナースコール親機(不図示)、及びナースコール親機と院内交換器404を介して接続された複数の介護者がそれぞれ携帯する末端機器401とを有している。ナースコール親機は、各病室外のナースステーション等に配置されており、院内交換器404を介して公衆ネットワークに接続されており、該院内交換器404を介して各末端機器401に接続可能となっている。また、ナースコール親機は、院内に設けられた無線のLANシステム等を介してプリンタ等のオフィス機器にも接続可能となっている。
本実施形態の通知手段400は、情報処理手段300の出力手段によって信号が出力されてスイッチ402が作動すると、中継器403を介してナースコール親機に情報が伝達され、ナースコール親機から院内交換器404を介して各末端機器401に、介護者へ通知するための信号が発せられるようになっている。また、本実施形態の通知手段400においては、各末端機器401を用いて音声通話及び文字データの送受信を行うことが可能となっている。このように文字データの送受信を行うことが可能となっているので、末端機器401の表示部411に、例えば着用者のベッド番号及び部屋番号(病室番号)が表示可能となっている。
本実施形態の残尿量測定支援システム500の情報処理手段300に実装され、上述した各手段を実現するためのコンピュータプログラムの一例について、以下、図8に示すフローチャートにより簡単に説明する。
残尿量測定支援システム500の情報処理手段300が起動されると、本体との通信確認ステップ(PS001)が行われる。その後、お知らせ機能作動判断ステップ(PS002)によりお知らせ機能の作動が要求されたかを確認する。
お知らせ機能の作動の要求があった場合は、通知判断基準入力手段340は、設定値は一回排尿量判断ステップ(PS3401)で設定値として一回排尿量が選択されたかを確認する。設定値として一回排尿量が選択された場合には、通知判断基準入力手段340は、設定値として一回排尿量入力ステップ(PS3402)により設定値として一回排尿量を入力する。設定値として一回排尿量が選択されなかった場合には、通知判断基準入力手段340は、設定値として累積排尿量入力ステップ(PS3403)により設定値として累積排尿量を入力する。その後、お知らせ機能ONステップ(PS3404)でお知らせ機能をONにする。すなわち、通知判断基準入力手段340が実行される。
その後、着用者情報入力ステップ(PS003)により例えばIDなどの着用者情報を入力する。
お知らせ機能動作が要求されていない場合には着用者情報入力ステップ(PS003)により例えばIDなどの着用者情報を入力する。
すなわち着用者情報入力手段304が実行され、着用者情報記録ステップ(PS004)が実行され、入力された情報がデータベース311の着用者情報テーブル314に記録される。
その後、測定スタート判断ステップ(PS005)で測定開始が要求されたことを判定し、開始された場合は着用者情報入力されている判断ステップ(PS006)で着用者情報が入力されていることを確認する。入力されていない場合は、着用者情報を入力して下さいを表示ステップ(PS007)で「着用者情報を入力して下さい」とのコメントを表示装置に表示し、着用者情報入力ステップ(PS003)へ戻る。
入力されていた場合は、お知らせ機能の排尿量設定値を切り替える判断ステップ(PS008)で設定値の切り替え要求があるかを確認し、要求があった場合は、お知らせOFF判断ステップ(PS009)でお知らせがOFFであるかを判定し、OFFでないすなわちONの場合は、お知らせOFFステップ(PS011)でお知らせをOFFにし、お知らせ機能を動作させる判断ステップ(PS010)でお知らせ機能を動作させる要求があったかを判定する。
お知らせ機能がOFFの場合は、お知らせ機能を作動させる判断ステップ(PS010)でお知らせ機能を作動させる要求があったかを判定する。
お知らせ機能を作動させる要求がされていない場合は、生活情報入力判断ステップ(PS012)で生活情報入力の要求があるかを判定する。
お知らせ機能を作動させる要求があった場合は、更に、通知判断基準入力手段340は、設定値は一回排尿量判断ステップ(PS3401)で設定値として一回排尿量が選択されたかを確認する。設定値として一回排尿量が選択された場合には、通知判断基準入力手段340は、設定値として一回排尿量入力ステップ(PS3402)により設定値として一回排尿量を入力する。設定値として一回排尿量が選択されなかった場合は、通知判断基準入力手段340は、設定値として累積排尿量入力ステップ(PS3403)により設定値として累積排尿量を入力する。
以上のように、測定中にお知らせ機能のON、OFFを切り替え、あるいは設定値を一回排尿量から累積排尿量、又は累積排尿量から一回排尿量に適宜切り替えることができる。
その後、お知らせ機能ONステップ(PS3404)でお知らせ機能をONし、生活情報入力判断ステップ(PS012)で生活情報入力の要求があるかを判定する。
以上と異なり、お知らせ機能の排尿量設定値を切り替える判断ステップ(PS008)でお知らせ機能の排尿量設定値を切り替えないと判定した場合は、直ちに、生活情報入力判断ステップ(PS012)で生活情報入力要求があるかを判定する。
生活情報入力判断ステップ(PS012)で生活情報入力の要求があると判断した場合には、例えば、残尿量判断ステップ(PS013)で残尿量入力の要求があったかを判定し、あった場合には、残尿量入力ステップ(PS305)により残尿量を入力し、残尿量記録ステップ(PS315)で残尿量を記録し、表示ステップ(PS320)で記録した残尿量を表示するとともに、飲水量判断ステップ(PS014)で飲水量入力の要求があったかを判定する。
すなわち、生活情報入力手段305が実行され、残尿量がデータベース311の生活情報テーブル315に記録され、表示手段320が実行され、飲水量判断ステップ(PS014)での判定が行われる。
残尿量の入力要求がない場合は、直ちに、次の項目例えば飲水量判断ステップ(PS014)で飲水量入力の要求があったかを判定する。
飲水量判断ステップ(PS014)で飲水量入力の要求があったかを判定し、要求があった場合には、飲水量入力ステップ(PS306)により飲水量を入力し、飲水量記録ステップ(PS316)で飲水量を記録し、表示ステップ(PS320)で入力した記録を表示するとともに、その次の項目を判定する。
すなわち、生活情報入力手段305が実行され、飲水量がデータベース311の生活情報テーブル315に記録される。
残尿量や飲水量の入力要求がない場合は、図示しない判断ステップにより次の項目の要求があったかを判定する。入力要求がなくなるまで、入力ステップ、記録ステップ、表示ステップが順に繰り返される。
最後に、入力要求された項目がないことが確認されたら、パッド交換判断ステップ(PS015)によりパッド交換が行われたかを確認する。
パッド交換が行われたと判定された場合には、交換時刻を記録ステップ(PS016)でその時刻を交換時刻として記録し、累積量クリアステップ(PS017)で記憶された累積排尿量をクリアし、測定スタート判断ステップ(PS005)で終了が要求されていないことを確認し、次のステップに進む。
終了が要求されたことが判定された場合には終了ステップ(PS020)で測定を終了する。
パッド交換が行われたと判定されない場合には、データ取得ステップ(PS018)でデータを取得する。すなわちデータ取得手段301が実行される。
取得データより排尿検出判断ステップ(PS019)で排尿の有無を検出する。すなわち排尿検出手段306が実行される。
排尿の検出がない場合は、測定スタート判断ステップ(PS005)で終了が要求されていないことを確認し、次のステップに進む。
終了が要求されたことが判定された場合には、終了ステップ(PS020)で測定を終了する。
排尿の検出があった場合には、排尿時刻演算ステップ(PS302)で排尿時刻を演算し、排尿時刻記録ステップ(PS312)により排尿時刻が記録され、表示ステップ(PS320)で表示するとともに、排尿量演算ステップ(PS303)で一回排尿量および累積排尿量を演算し、排尿量記録ステップ(PS313)により演算された排尿量を記録し、表示ステップ(PS320)で表示する。
すなわち、排尿時刻演算手段302が実行され、データベース311中の排尿データベース310中の排尿時刻蓄積テーブル312に排尿時刻が記録され、表示手段320に表示される。
次に、排尿量演算手段303が実行され、データベース311中の排尿データベース310中の排尿量蓄積テーブル313に排尿量が記録され、表示手段320に表示される。
次に、お知らせ要求判定ステップ(PS3301)でお知らせの要求があったかを判定する。お知らせの要求がされていない場合には、測定スタート判断ステップ(PS005)で終了が要求されていないことを確認し、次のステップに進む。
終了が要求されたことが判定された場合には、終了ステップ(PS020)で測定を終了する。
お知らせの要求があったと判定した場合には、排尿量設定値の設定は一回判断ステップ(PS3302)により設定値が一回排尿量か否かを判定する。すなわち、一回排尿量であった場合には設定値として一回排尿量入力ステップ(PS3402)で入力した設定値と排尿量記録ステップ(PS313)で記録された一回排尿量を引数として選択する一回排尿量選択ステップ(PS3303)を行い、累積排尿量であった場合は設定値として累積排尿量入力ステップ(PS3403)で入力した設定値と排尿量記録ステップ(PS313)で記録された累積排尿量を引数として選択する累積排尿量選択ステップ(PS3304)を行ってから、PS3400の設定量と比較ステップ(PS3305)を実行する。そして、排尿量が設定値以上の場合は通知手段起動ステップ(PS3306)を実行し、介護者へ通知する。
すなわち、通知判断手段330と通知手段400が実行される。
なお、本実施例では排尿量が設定値以上のときに通知手段起動ステップ(PS3306)を実行しているが、排尿量が設定値を超えたときに通知手段起動ステップ(PS3306)を実行してもよい。
つづいて、測定スタート判断ステップ(PS005)で終了が要求されていないことを確認し、次のステップに進む。
終了が要求されたことが判定された場合には終了ステップ(PS020)で測定を終了する。
設定値として一回排尿量入力ステップ(PS3402)で入力した設定値と排尿量記録ステップ(PS313)で記録された排尿量を比較し、排尿量が設定値より小さい場合は、つづいて、測定スタート判断ステップ(PS005)で終了が要求されていないことを確認し、次のステップに進む。
終了が要求されたことが判定された場合には終了ステップ(PS020)で測定を終了する。
このように、通知手段起動ステップ(PS3306)が実行された後でも測定は継続され、パッド交換判断ステップ(PS015)で尿とりパッドが交換されたと判定されない限り累積量はクリアされない。
一回排尿量は、排尿量演算ステップ(PS303)により、パッド交換判断ステップ(PS015)で尿とりパッドが交換されたと判定され、累積量クリアステップ(PS017)で累積量がクリア(累積排尿量をゼロに戻す)されるまでのあいだ、今回の累積排尿量から前回の累積排尿量を差し引いて求められる。
設定値は10g以上700g以下の範囲で設定することが好ましく、より好ましくは一回排尿量10g以上400g以下、累積排尿量80g以上700g以下に設定する。
次に、本実施形態の残尿量測定支援システム500を用いて、着用者の残尿量を測定するタイミングを介護者に通知する方法の一例を図9のフローチャートを参照しながら説明する。
先ず、図2に示すように、尿とりパッド110と使い捨ておむつ130との間に、電極群ET1〜ET4を有する別シート120を、電極群ET1〜ET4側が尿とりパッド110に接するように配置して、図1に示すように、着用物品100を着用者に着用する(ステップS1)。このように配置されて使用されることにより、使い捨ておむつ130が電極群ET1〜ET4を有する別シート120及び尿とりパット110を押圧し、尿とりパット110が着用者に接触して、電極群ET1〜ET4を有する別シート120が、使い捨ておむつ130及び尿とりパット110の間で固定されるようになる。
次に、図1に示すように、端子123,124を介して別シート120の非肌対向面にデータ収集手段200を取り付ける(ステップS2)。次に、情報処理手段300の着用者情報入力手段304により、着用者の性別、年齢、身長、体重、着用者を識別・特定するためのID番号(文字との組み合わせも可)、着用者のベッド番号、部屋番号(病室番号)、部屋名(病室名)等の着用者情報を直接入力し、着用者情報を着用者情報テーブル314に格納する(ステップS3)。その後測定をスタートする(ステップS4)。次に、情報処理手段300の生活情報入力手段305により、着用者の生活情報を直接入力し、生活情報を生活情報テーブル315に格納する(ステップS5)。尚、ステップS3とステップS5は、着用者情報や生活情報に関する事項が発生したときに随時入力してもよい。
次に、着用物品100内の排尿情報をサンプリングする(ステップS6)。具体的には、着用物品100内に排尿があって、尿とりパッド110に体液が吸収されると、排出があった部位に対応する電極群ET1〜ET4を有する別シート120のセンサー素子のインピーダンスが大幅に変化する。即ち、排尿が多量で広い範囲に広がると、電極群ET1〜ET4におけるかなりの数のセンサー素子のインピーダンスが大幅に変化する。そして、データ収集手段200のインピーダンス検出回路202が、複数のセンサー素子のインピーダンスの変化の総量の電圧信号を出力し、情報処理手段300のデータ取得手段301によりデータを取得する。
次に、データ取得手段301から供給されるデータに基づいて排尿検出手段306で排尿を検出し(ステップ6−2)、排尿検出手段306から供給されるデータに基づいて、情報処理手段300の排尿時刻演算手段302により排尿時刻を計算し、演算結果を排尿時刻蓄積テーブル312に格納する(ステップS7)。次に、データ取得手段301から供給されるデータに基づいて排尿検出手段306で排尿を検出し(ステップ6−2)、排尿検出手段306から供給されるデータに基づいて、情報処理手段300の排尿量演算手段303により排尿量を計算し、演算結果を排尿量蓄積テーブル313に格納する(ステップS8)。次に、情報処理手段300の通知判断手段330は、排尿量蓄積テーブル313に格納された排尿量が設定排尿量以上になったか否かを確定する(ステップS9)。
ここで、排尿量が設定排尿量以上になった場合、情報処理手段300の出力手段によって通知手段400に信号を出力し、スイッチ402を作動させ、ナースコール親機(不図示)から各末端機器401に着用者の残尿量を測定するタイミングであることを通知するための信号を発する(ステップS10)。また、排尿量が設定排尿量になっていない場合、何も通知することなく、残尿量測定支援システム500は、着用物品100内の排尿情報を継続して収集し、排尿量蓄積テーブル313に格納された例えば累積排尿量が設定排尿量以上となるまでサンプリングする。また、着用物品100内の排尿情報を継続して収集し、各末端機器401により着用者の残尿量を測定するタイミングであることを通知したにもかかわらず、介護者が後述する着用物品100の交換(ステップS13)をせず、排尿量がゼロにリセットされていない場合、次の排尿時にも再び出力手段によって通知手段400に信号を出力して、各末端機器401に着用者の残尿量を測定するタイミングであることを通知する。
尚、本実施形態においては、情報処理手段300の表示手段320に、データベース311の排尿時刻蓄積テーブル312に蓄積されている排尿時刻、排尿量蓄積テーブル313に蓄積されている排尿量、着用者情報テーブル314に蓄積されている着用者情報、及び生活情報テーブル315に蓄積されている生活情報を入力または検出後、すみやかに表示する(ステップS11)。
次に、末端機器401により通知を受けた介護者は、速やかに着用者の残尿量を、例えば、カテーテルや超音波残尿測定専用器である膀胱内尿量測定装置(ユリケア株式会社のゆりりん(登録商標)USH−052やベラソンメディカル社製のBladder Scan TM BVI6100等)を用いて測定する。このとき残尿の性状などを確認してもよい(ステップS12)。そして、生活情報入力手段305により残尿情報を生活情報テーブル315に格納する(ステップS5’)。そして、データ収集手段200を端子123,124から取り外して再利用し、尿とりパッド110を新しいものに交換した着用物品100を再び着用者に着用させる(ステップS13)。尚、ステップS12とステップS13の順番は何れが先でもよい。情報処理手段300の排尿量蓄積テーブル313は、本実施形態においては、着用物品100を取り替えた際に、排尿量がゼロにリセットされる。以上のような評価を1時間〜7日の間継続または断続的に評価する。
医師は、データベース311に蓄積されており表示手段320により表示された排尿時刻及び排尿量、並びに測定して得られた残尿量の情報を、着用者の膀胱機能の評価に利用することができる。例えば膀胱が正常か、過活動膀胱であるか低活動膀胱であるか等を判断することができる。
以下、例を挙げて具体的に説明する。
図10は、情報処理手段300の表示手段320に表示される着用者aの排尿時刻及び排尿量の関係を示す表示の一例である排尿量対排尿時刻グラフである。縦軸は排尿量蓄積テーブル313に蓄積されている排尿量を示し、横軸は排尿時刻蓄積テーブル312に蓄積されている排尿時刻を示している。ここでは、図10に示すように、設定排尿量が通知判断基準入力手段340により一回排尿量150gに設定した。1日の内に排尿が4回ある着用者aに関しては、本システムを用いることにより、通知判断手段330により排尿毎に排尿量が設定排尿量以上であると判断され、排尿毎に末端機器401により着用者aの残尿量を測定するタイミングであることを通知することができる。
そして、着用者の残尿量を測定した結果、残尿量は平均8mlであった。図10に示す表示手段320により表示された排尿時刻及び排尿量、並びに測定して得られた残尿の情報を、医師は着用者aの膀胱機能の評価に利用することができる。
図11は、情報処理手段300の表示手段320に表示される着用者bの排尿量対排尿時刻グラフであり、設定排尿量を通知判断基準入力手段340により累積排尿量200gに設定した例である。本システムを用いることにより、着用者bに関しては、排尿量が設定排尿量以上になるまでに複数回排尿があることが分かる。そして、通知判断手段330により累積排尿量が設定排尿量以上になったことが判断されると、末端機器401により着用者bの残尿量を測定するタイミングであることが通知され、その通知毎に介護者が膀胱内尿量測定装置を用いて速やかに着用者の残尿量を測定することができる。着用者bの残尿量は平均66mlであった。図11に示す表示手段320により表示された排尿時刻及び排尿量、並びに測定して得られた残尿の情報を、医師は着用者bの膀胱機能の評価に利用することができる。
図12は、情報処理手段300の表示手段320に表示される着用者cの排尿量対排尿時刻グラフであり、設定排尿量を通知判断基準入力手段340により累積排尿量200gに設定した例である。本システムを用いることにより、着用者cに関しては、排尿量が設定排尿量以上になるまでに複数回排尿があることが分かる。そして、通知判断手段330により累積排尿量が設定排尿量を以上になったことを判断すると、末端機器401により着用者cの残尿量を測定するタイミングであることを通知し、その通知毎に介護者が膀胱内尿量測定装置を用いて速やかに着用者の残尿量を測定することができる。着用者cの残尿量は平均15mlであることが分かった。尚、図12は、17時15分の時点で残尿量の測定タイミングの通知をしているが、その時点で残尿量の測定をしてもしなくても着用物品100の交換ができないと、次の排尿時の18時42分の時点で再度、残尿量の測定タイミングの通知をすることを示している。図12に示す表示手段320により表示された排尿時刻及び排尿量、並びに測定して得られた残尿の情報を、医師は着用者cの膀胱機能の評価に利用することができる。
図13は、情報処理手段300の表示手段320に表示される着用者dの排尿量対排尿時刻グラフであり、設定排尿量を通知判断基準入力手段340により測定開始時には一回排尿量10gに設定し、測定中に、累積排尿量200gに設定値を切り替える場合の例である。
本システムを用いることにより、着用者dに関しては、試験開始当初の一回排尿量10gの設定で測定している間におおよそ1時間毎に排尿があることが分かり、測定開始後、設定値を累積排尿量200gに切り替えた後は排尿量が設定排尿量以上になるまでに複数回排尿があることが分かる。そして、通知判断手段330により累積排尿量が設定排尿量以上になったことを判断すると、末端機器401により着用者dの残尿量を測定するタイミングであることを通知し、その通知毎に介護者が膀胱内尿量測定装置を用いて速やかに着用者の残尿量を測定することができる。着用者dの残尿量は平均8mlであることが分かった。尚、図13は、測定開始時には設定値を小さくし、着用者の排尿量や排尿間隔の概要を把握し、おおよその一回排尿量や排尿間隔から本システムの利用者が希望する残尿量測定回数に調整するため、測定中に設定値を大きくすることができる例を示したものである。図13では、一回排尿量10gで着用者dの一回排尿量と排尿間隔の概要を確認し、残尿量を3回測定後、設定値を累積排尿量200gと切り替えることで、切り替え後の通知を測定時間帯に偏りなく実行することができるとともに、通知回数を一回排尿量10gでは27回のところを4回に減らすことができる。
図13に示す表示手段320により表示された排尿時刻及び排尿量、並びに測定して得られた残尿の情報を、医師は着用者dの膀胱機能の評価に利用することができる。
図13に示す例では、測定開始時には設定値を一回排尿量で小さい値(10g)としていたのを、測定中に、累積排尿量で大きい値(200g)に切り替えたが、測定開始時に累積排尿量で大きい値(200g)を設定し、測定中、一回排尿量で小さい値(10g)に切り替えることもできるし、同じ設定値でも測定開始時には一回排尿量で設定し、測定中、累積排尿量に切り替えることも、測定開始時には累積排尿量で、測定中、一回排尿量に切り替えることもできる。設定値を一回排尿量で設定するか累積排尿量で設定するか、設定値の数値、及び測定中に設定値を切り替えるかどうかについては、着用者の状況により適宜実行することができる。
以上のように構成されたセンサー素子の取り付けられた着用物品100と、データ収集手段200と、情報処理手段300と、通知手段400とを具備する本実施形態の残尿量測定支援システム500によれば、着用者の残尿量を測定するタイミングを介護者に通知することができ、介護者の負担が軽減する。特に、本実施形態の残尿量測定支援システム500は病院内で使用されているので、介護者である看護師等の負担が軽減する。また、本実施形態の残尿量測定支援システム500によれば、例えば排尿量が10g以上700g以下に設定した設定排尿量以上になった際に通知して、残尿量を測定しているので、排尿後すみやかに残尿量を測定することができ、着用者の膀胱機能の判断の精度が向上する。さらに、排尿の確認のためにおむつを開ける必要がなくなるため、おむつや尿とりパッド内の排尿の有無、多少にかかわらずおむつを開けられていた被介護者の負担やおむつを開けていた介護者の負担が軽減する。
また、本実施形態の着用物品100は、電極121及び導線122が別シート120に印刷によりインクを塗布して形成されているので、電極121及び導線122の形状、デザイン等を、検出したい尿量に応じて自由に設計変更することができる。
本発明の残尿量測定支援システムは、上述の実施形態の残尿量測定支援システム500に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、上述した本実施形態の残尿量測定支援システム500は、着用物品100に取り付けられたセンサー素子が、複数の電極間のインピーダンス変化に基づいて排尿の広がりを検知するセンサー素子であるが、排尿の広がりを検知するための電極の配置は、実施の形態に限られるものではなく、大きさや数などを種々工夫することができる。また、インピーダンス変化に基づかず、他の方法で排尿を検知するセンサー素子であってもよい。
また、上述した本実施形態の残尿量測定支援システム500は、図7に示すように、情報処理手段300が、データ取得手段301、排尿検出手段306、排尿時刻演算手段302、排尿量演算手段303、排尿時刻及び排尿量を蓄積するデータベース311、通知判断基準入力手段340並びに通知判断基準330を備えているが、少なくともデータ取得手段301、排尿検出手段306、排尿量演算手段303、通知判断基準入力手段340並びに通知判断基準330を備えていればよい。
また、上述した本実施形態の残尿量測定支援システム500を構成する着用物品100は、図2に示すように、尿とりパッド110と使い捨ておむつ130との間に、電極群ET1〜ET4を有する別シート120を配置して使用されているが、使い捨ておむつ130に換えて、ブリーフ、ショーツ、ガードル、紙パンツ、リハビリパンツ等の下着等、尿とりパッド110と別シート120を人体に固定できるものを用いてもよい。
また、上述した本実施形態の残尿量測定支援システム500を構成する着用物品100は、成人用又は乳幼児の着用物品であってもよい。また、上述した本実施形態の残尿量測定支援システム500を構成する着用物品100においては、別シート120が矩形状に形成されているが、別シート120の形状は、矩形状に限定されるものではない。また、上述した本実施形態の残尿量測定支援システム500を構成する着用物品100においては、別シート120の肌対向面120uに電極群が形成されているが、別シート120の非肌対向面に形成されていてもよい。
また、上述した本実施形態の残尿量測定支援システム500を構成する着用物品100においては、導線122が、導電材料からなるインクを印刷により塗布して形成されているが、導電性糸を電極に接続するように、すなわち導電性糸122aは電極121aと、導電性糸122bは電極121bと、導電性糸122cは電極121cと、導電性糸122dは電極121dと接続するように別シート120に縫い付けたり貼り付けたりする等して形成されていてもよい。導電性糸としては、電気を通す金属或いは炭素の粒子を混ぜて作られた合成繊維、繊維表面に金属或いは炭素を被覆した繊維、ステンレス等の金属繊維等が挙げられる。具体的に導電性糸には、株式会社ケンエー社製の商品名「スーパーα繊維」,「ステンレス繊維」,「サンダーロン・ダイナ繊維」、Statex Productions & Vertriebs GmbHのConductive Sewing Thread等が用いられる。
また、電極を形成した更に別のシートを別シートに配置することで、電極を形成した別シートとしてもよいし、更には、一面全体に粘着部が配されたシートに、導電性繊維シートを粘着部を介して導電性糸と電気的に接続された状態となるように固定させたものを用いてもよい。また、おむつ内の1枚のシート表面に電極を配した構成としてもよい。また、電極は銅箔でもよい。シートは従来より、着用物品に用いられている材質のものを用いており、具体的には、スパンボンド、スパンレース。エアースルーなどの不織布、織物、編み物などの布、プラスチック製のフィルムなどが例として挙げられる。これらに粘着剤を塗布し、電極を形成した別のシートを貼り付けることもできる。また、別シートが尿とりパッドと別である場合には繰り返し使用することができるが、粘着剤や覆い等により別シートと尿とりパッドを一体にすることもでき、その場合には尿とりパッドを取り換える毎に使い捨てにすることもできる。
さらに、この残尿量測定支援システムは単独で使用するだけでなく、排尿支援システムや排泄支援システム、おむつ外しのための情報提供システム等に組み込まれていてもよい。
また、上述した本実施形態の残尿量測定支援システム500を構成する通知手段400は、院内ナースコールシステムであるが、通知手段は院内ナースコールシステムに限定されるものではなく、残尿量測定支援システム500が用いられる施設に固有のインフラを有するネットワークを用いて、あるいはそのような固有のネットワークを用いなくとも、介護者に通知するものであればよい。通知手段は、例えば介護者が携帯可能な末端機器のみから構成され、通知手段を作動させるための信号が、情報処理手段300から、無線で直接末端機器に送られる構成としてもよい。また、通知手段は、介護者が携帯可能な末端機器を含んでいる必要は必ずしも無く、例えば被介護者のベッドやベッドの周囲に設けられたナースコール機器等の、携帯式でない末端機器を介して介護に関する情報を通知することもできる。