JP2016117652A - 小児への投与に適した速崩壊錠とその簡便な製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】小児に対して、容易、確実、及び安全に投薬することが出来る適当な口腔内崩壊錠、及び、該口腔内崩壊錠における適切な有効成分量を容易に調整することができるその製造方法を提供すること。【解決手段】粉末状態の医薬組成物に予め調製した崩壊性添加剤配合物を加えて混合、打錠することを含む、小児用の口腔内速崩壊錠の製造方法、及び、口腔内崩壊時間が20秒以内であることを特徴とする小児用の口腔内速崩壊錠。【選択図】なし
Description
本発明は、小児への薬剤投与に適した、口腔内速崩壊錠とその簡便な製法等に関する。
小児への経口薬の投与は、小児が服薬を拒むために難しい。錠剤、散剤、液剤のいずれであっても、嚥下せずに吐き出される等によって、投薬に成功しないことが多い。このような場合に、服薬を強制することにより、次回以降の服薬をますます拒絶するという悪循環が起こる。
散剤や液剤は投薬の作業が難しく、一方、投薬の作業が比較的容易な錠剤は小児にとって嚥下が難しく、また誤嚥の危険性が高いため実用的とは言えない。有効成分量の調整が難しいことも、錠剤の欠点である。既存の製剤のうち、小児向けの有効成分量で規格が設定されているものはまだ少なく十分とは言えない。成人用の製剤を用い、有効成分量を調整するために錠剤を分割したり、すりつぶして粉末化して投薬する場合も多いのが実態である。
以上のように小児用の経口薬に関しては、従来、容易、確実、及び安全に投薬することが出来る適当な剤形がなく、更に、適切な有効成分量を調整することが困難である、という課題を抱えている。
主に成人を対象とした口腔内崩壊錠に関しては、従来、以下のような技術が知られている。
例えば、特許文献1には、マンニトール、キシリトール、無機賦形剤、崩壊剤及びカルメロースを水の存在下で均質に分散させたのち乾燥してなる崩壊性粒子組成物が記載されている。かかる組成物の特徴はマンニトール粒子中にキシリトールが固体分散してなる複合粒子を形成し、無機賦形剤、崩壊剤及びカルメロースがその複合粒子中に分散していることである。該崩壊性粒子組成物は、これらの各成分を水性媒体に分散させた分散液を噴霧造粒するか、又は、マンニトール等の担体に噴霧することによって製造される。
また、特許文献2には、有効成分および全体に対して10%(w/w)以上のカルボキシメチルセルロースを含有する口腔内崩壊錠が記載されている。該口腔内崩壊錠は各成分を混合した後に、打錠機で調製されている。
更に、特許文献3には、薬効成分であるロラタジンを含有する口腔内崩壊錠の製造方法が記載されている。該製造方法は2段階の造粒工程を行うことであって、第1造粒工程ではロラタジンと結合剤、賦形剤、崩壊剤等の少なくとも1種の添加剤を造粒し、第2造粒工程では、第1造粒工程で得られた造粒物を、第1造粒工程と同様の結合剤、賦形剤、崩壊剤等の少なくとも1種の添加剤と共に更に造粒することを特徴とする。崩壊剤の一例としてカルメロースが挙げられている。
更に、特許文献4には、口腔内崩壊錠剤の製造方法が記載されている。該製造方法は、賦形剤と薬物との混合物に、水溶性であるが親水性の崩壊成分の水懸濁液を噴霧し薬物を含む造粒物Aを得るステップと、賦形剤に同様な崩壊成分の水懸濁液を噴霧し薬物を含まない造粒物Bを得るステップ、及び、こうして得られた造粒物A及び造粒物Bを圧縮成形するステップを含む。
本発明が解決しようとする課題は、小児に対して、容易、確実、及び安全に投薬することが出来る適当な口腔内崩壊錠、及び、該口腔内崩壊錠における適切な有効成分量を容易に調整することができるその製造方法を提供することである。
本発明は、より具体的には以下の態様を提供するものである。
[態様1]口腔内崩壊時間が20秒以内であることを特徴とする小児用の口腔内速崩壊錠。
[態様2]粉末状態の医薬組成物に予め調製した崩壊性添加剤配合物を加えて混合、打錠することを含む、小児用の口腔内速崩壊錠の製造方法。
[態様3]粉末状態の医薬組成物が固形状医薬組成物をすりつぶして粉末化することによって得られるものである、態様2記載の製造方法。
[態様4]固形状の医薬組成物が成人用の錠剤又はハードカプセル剤の固体内容物である、態様3記載の製造方法。
[態様5]医薬組成物に含まれる有効成分を分離・抽出することなく、崩壊性添加剤配合物を加えて混合、打錠する、態様2ないし4のいずれか一つに記載の製造方法。
[態様6]態様2ないし5のいずれか一つに記載の製造方法によって得られる小児用の口腔内速崩壊錠であって、口腔内崩壊時間が20秒以内であることを特徴とする該口腔内速崩壊錠。
[態様1]口腔内崩壊時間が20秒以内であることを特徴とする小児用の口腔内速崩壊錠。
[態様2]粉末状態の医薬組成物に予め調製した崩壊性添加剤配合物を加えて混合、打錠することを含む、小児用の口腔内速崩壊錠の製造方法。
[態様3]粉末状態の医薬組成物が固形状医薬組成物をすりつぶして粉末化することによって得られるものである、態様2記載の製造方法。
[態様4]固形状の医薬組成物が成人用の錠剤又はハードカプセル剤の固体内容物である、態様3記載の製造方法。
[態様5]医薬組成物に含まれる有効成分を分離・抽出することなく、崩壊性添加剤配合物を加えて混合、打錠する、態様2ないし4のいずれか一つに記載の製造方法。
[態様6]態様2ないし5のいずれか一つに記載の製造方法によって得られる小児用の口腔内速崩壊錠であって、口腔内崩壊時間が20秒以内であることを特徴とする該口腔内速崩壊錠。
本発明の口腔内速崩壊錠は口腔内に投与すると極めて短時間内に崩壊が始まるために、誤嚥の危険性も低下し、吐き出されることがなくなる。その結果、小児が服薬に対して拒絶しなくなり、服薬に対する抵抗感が減る。
更に、本発明の口腔内崩壊錠の製造方法においては、従来の用錠剤を用いて投与対象となる小児に適切な投薬用量となるように、該口腔内崩壊錠に含まれる有効成分量を容易に調整することができる。
更に、本発明の口腔内崩壊錠の製造方法においては、従来の用錠剤を用いて投与対象となる小児に適切な投薬用量となるように、該口腔内崩壊錠に含まれる有効成分量を容易に調整することができる。
本発明に係る小児用の口腔内速崩壊錠は、口腔内崩壊時間が20秒、好ましくは15秒以内であることを特徴とする。その結果、 本発明の口腔内速崩壊錠は投与された小児の口腔内で直ちに湿潤して崩壊を開始し、かつ、味覚や舌触りに優れたものとなる。又、口腔内速崩壊錠の硬度は、通常、15N以上、好ましくは30N以上である。
医薬品の用量設定において、通常、「小児」とは7歳以上15歳未満程度を意味し、また「幼児」とは1歳以上7歳未満程度を意味することが多いが、本明細書において、「小児」とは、概ね1歳以上15歳未満程度を表す。当然ながら、投薬の可否と、投薬すべき有効成分の量は、薬剤の種類、年齢、体重、症状などを考慮して判断されるべきものである。
また、「口腔内崩壊時間」は本明細書において以下に記載する方法で測定されるものである。
本発明の口腔内速崩壊錠は、治療対象となる疾患及び症状等に応じて、有効成分として、当業者に公知の任意の薬効成分(化合物)が適当量含まれており、様々な用途を有する。この薬効成分としては、通常、成人用に用いられるもの、成人と小児に共通して用いられるもの、及び小児に対してのみ用いられるものも含まれる。
例えば、胃酸分泌抑制作用をもつH2受容体拮抗剤のニザチジンは小児への投与の安全性が確立されていないとされているため、小児への投与に適した製剤の入手は難しい。しかし、もし何らかの事情により小児への投与が必要と判断された場合には、成人用の製剤を用いて、含まれる有効成分量を低減した口腔内速崩壊錠を調製することができる。同様に、アレルギー症状の緩和作用や睡眠改善作用をもつH1受容体拮抗剤のジフェンヒドラミン塩酸塩も副作用の懸念から小児への投与は推奨されておらず、従って小児への投与に適した製剤の入手は難しい。しかし、もし何らかの事情により小児への投与が必要と判断された場合には、成人用の製剤を用いて、有効成分量を低減した口腔内速崩壊錠を調製することができる。さらに、小児への投与が可能な剤形としてドライシロップ化されているH1受容体拮抗剤として、例えばエピナスチン塩酸塩があるが、粉末としての投薬、あるいは液剤化してからの投薬のいずれであっても、服薬を拒まれることがある。より投薬が簡便で服薬を拒まれにくい剤形として、口腔内速崩壊錠が必要と判断される場合には、同様に、成人用の製剤を用いて、有効成分量を低減した口腔内速崩壊錠を調製することができる。
更に、本発明の口腔内速崩壊錠には、かかる有効成分及び崩壊剤(崩壊性添加剤)成分に加えて、必要に応じて、賦形剤、流動化剤、界面活性剤、滑沢剤、酸味料、甘味料、矯味剤、香料、着色剤、安定化剤など医薬上許容されるその他の任意の成分を含むことが出来る。これら任意成分として、例えば、医薬品添加物辞典(薬事日報社)、日本薬局方に記載の該当成分を用いることができる。尚、これら各種の任意成分の種類に特に制限はない。又、本発明の所望の効果が奏される限り、崩壊剤成分、有効成分、及び、任意成分の配合割合に特に制限はなく、当業者が適宜決めることが出来る。このような口腔内崩壊錠剤は、打錠等の当業者に公知の任意の方法によって製剤化することが出来る。
本発明の口腔内速崩壊錠の製造方法に特に制限はないが、特に以下の方法で製造することが好ましい。
即ち、本発明の口腔内速崩壊錠は、粉末状態の医薬組成物に予め調製した崩壊性添加剤配合物を加えて混合、打錠することを含む方法で製造することが出来る。ここで、粉末状態の医薬組成物の由来及び調製方法に特に制約はないが、例えば、固形状医薬組成物をすりつぶして粉末化することによって得られ、該医薬組成物は、成人用の錠剤又はハードカプセル剤の固体内容物であることが好ましい。
粉末状態の医薬組成物と崩壊性添加剤配合物との混合(固体倍散)及び打錠は当業者に公知の任意の手段・方法で実施することが出来る。この際に、投与対象及び投与目的等に応じて、適切な投薬用量となるように、該口腔内崩壊錠に含まれる有効成分量を容易に調整することができる。又、医薬組成物に含まれる有効成分を分離・抽出する必要はない。
殆どの場合に、小児への投薬に適した有効成分量は成人に比べて少ないので、このような粉末状態の医薬組成物と崩壊性添加剤配合物との混合(固体倍散)操作によって本発明の口腔内速崩壊錠を簡便且つ実用的に製造できる。
該粉末状態の医薬組成物は速崩壊性を有するものではなく、崩壊性添加剤配合物と共に製剤化することによって、本発明の口腔内速崩壊錠に優れた成型性と崩壊性を付与される。
錠剤等の崩壊機構としては、「Wicking」、「Swelling」、「Deformation」及び「Repulsion」の4つが提唱されている。この中で、Wickingとは錠剤中に含まれる崩壊剤などの成分を介して水分が浸透する結果、錠剤に含まれる各粒子間の結合力が弱まって進行する崩壊機構である。このようなWickingを促進する効果が高い崩壊剤の代表例として酸型カルボキシメチルセルロースが知られている。又、Swellingとは、崩壊剤に水が浸透する結果、崩壊剤自体が膨潤して進行する崩壊機構である。
従って、該崩壊性添加剤配合物には以下の物質が含まれていることが好ましい。
まず、崩壊剤成分としてカルメロースと称される物質であり、医薬品添加剤として使用されている酸型カルボキシメチルセルロースを挙げることが出来る。酸型カルボキシメチルセルロースと同様に、例えばカルボキシメチルセルロースのカルシウム塩及びカルボキシメチルセルロースナトリウムの架橋物はいずれも水に不溶性であり錠剤等に崩壊剤として用いられる。一方、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩は水溶性であり結合剤等の目的で用いられる。尚、カルボキシメチルセルロースの塩がカルメロースと記載される場合もある。
更に、第二の崩壊剤成分として、酸型カルボキシメチルセルロース以外の当業者に公知の任意の崩壊剤を挙げることができる。しかしながら、上記に示したような異なる崩壊機構の複合的効果を得るために、Wicking以外の機構、例えば、Swellingを促進する効果に優れた崩壊剤を第二の崩壊剤成分として使用することが好ましい。このような崩壊剤の好適例としては、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルスターチ、及び、スターチ等を挙げることが出来る。尚、クロスポビドンは1−ビニルー2−ピロリドンの架橋重合物の通称であり、クロスカルメロースナトリウムはカルボキシメチルセルロースナトリウムの架橋物の通称である
この中でも、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、又はカルボキシメチルセルロースカルシウムから選択される一つ又は2つ以上の任意の組合わせが好ましい。
更に、第三の成分として、当業者に賦形剤として公知の任意の化合物が含まれる。その代表例として、マンニトール、エリスリトール、ソルビトール、D−グルチトール(マルチトール)、キシリトール、トレハロース、ラクトース及びマルトース等の糖又は糖アルコールを挙げることが出来る。更に、好適例として、マンニトール、エリスリトール、トレハロース、ソルビトール、及びD−グルチトール(マルチトール)を挙げることが出来る。賦形剤としてはこれらの中から適当に選択された2種類以上の化合物を用いることも出来る。
更に、上記の崩壊性添加剤配合物には、例えば、崩壊力、結合力及び錠剤の服用感等の諸特性を調整する目的で、当業者に公知の各種の任意成分を、上記の三つの成分による本発明の効果を損なわない範囲で、適宜、添加混合しても良い。このような成分の例として、流動化剤、無機賦形剤、甘味剤、香料及び、着色料等を挙げることが出来る。
上記の崩壊性添加剤配合物における各成分の配合量は各成分の種類、混合の対象となる医薬組成物中の有効成分の種類及び用途、最終製品である口腔内崩壊錠の用途等に応じて、当業者が適宜決めることが出来る。通常、崩壊性添加剤配合物全重量に対して、第一の崩壊剤成分は10〜50重量%、第二の崩壊剤成分は 1〜20重量%、及び、賦形剤は30〜89重量%の範囲である。
尚、上記の崩壊性添加剤配合物は以下のような物性を有していることが好ましい。
(1)平均粒子径:50〜200ミクロン、(2)水分:0.5〜3重量%。
(1)平均粒子径:50〜200ミクロン、(2)水分:0.5〜3重量%。
尚、これら物性値は以下の条件・方法で測定される。
平均粒子径:崩壊性添加剤配合物2gを、φ75mm自動振とう篩器(M−2型、筒井理化学器械株式会社)を用いて測定する。
水分:崩壊性添加剤配合物5gをハロゲン水分測定器(HB43型、メトラートレド株式会社)を用いて測定する。
平均粒子径:崩壊性添加剤配合物2gを、φ75mm自動振とう篩器(M−2型、筒井理化学器械株式会社)を用いて測定する。
水分:崩壊性添加剤配合物5gをハロゲン水分測定器(HB43型、メトラートレド株式会社)を用いて測定する。
従って、上記の崩壊性添加剤配合物の製造方法に特に制限はない。例えば、該三成分の中の任意の二成分を用いる第一湿式造粒工程と、第一湿式造粒工程で得られた造粒物と第一湿式造粒工程で用いられなかった残りの一成分を少なくとも用いる(又は、残りの一成分のみを用いる)第二湿式造粒工程を含む、方法によって製造することが出来る。
上記の及び第二の造粒工程は水の存在下で各成分を分散させ乾燥することによって複合体を形成する方法、すなわち湿式造粒法で行われる。湿式造粒法の具体例としては、噴霧乾燥、転動造粒、撹拌造粒、及び流動層造粒などの噴霧法、凍結乾燥法、並びに、混練造粒等を挙げることができ、これらの当業者に公知の任意の方法で製造することができる。
酸型カルボキシメチルセルロース等の崩壊剤は親水性であるため、湿式造粒により、水の存在下にて撹拌などの物理的な力を加える操作を行うことによって、乾燥粉末時の凝集状態から、粒子がより分散した状態となる。水噴霧による分散化と乾燥を行う流動層造粒、噴霧乾燥、転動造粒、及び撹拌造粒などは、分散を最も容易に行うことができ、乾燥速度が速いので、これらの方法が好ましい。
この中で、流動層造粒法は粉体を温風で吹き上げながら、水又は結合剤を含む水溶液等を噴霧して行う造粒法であり、噴霧条件等の調節が容易であること等から、最も好ましい方法である。
なお、上記の崩壊性添加剤配合物に適宜含まれ得る、上記の三つの成分以外の当業者に公知の各種の任意成分は、第一及び/又は第二湿式造粒工程で適宜添加することが出来る。或いは、更に第三工程以降の湿式造粒工程を設けて、その段階で、これら任意成分を添加混合することも可能である。
更に、第一及び第二の各湿式造粒工程において、噴霧(スプレー)速度やエアー給気温度、排気温度、エアー給気量などの諸条件は、各成分の種類・量等に応じて当業者が適宜決めることが出来る。
流動層造粒法による第一湿式造粒工程及び第二湿式造粒工程のいずれにおいても、溶解槽や攪拌装置の設置などの装置上の制約、及び溶媒に添加成分を溶解・懸濁した際の添加成分の安定性の問題、更には崩壊性成分の機能を損なわない造粒条件とする為などの理由から、噴霧液には各三成分のいずれも含まれないことが好ましい。噴霧液の媒体としては、崩壊性添加剤配合物の特性に影響を及ぼさず、医薬品や食品に許容される溶媒であればよく、例えば水、エタノール、メタノール、アセトンなどが挙げられるが、特に水が好ましい。
尚、本明細書において引用された全ての先行技術文献の記載内容は、参照として本明細書に組み入れられる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
尚、以下の実施例において、本発明の口腔内速崩壊錠の硬度(N)は、デジタル硬度計(KHT-40N、株式会社藤原製作所)を用いて、それぞれ3回の測定を行い、それらの平均値を測定結果とした。
また、口腔内崩壊時間については、錠剤1錠を口腔内に含み、力を加えないように舌と上顎で挟んだ状態を保って、錠剤が完全に崩壊するまでの時間を測定した。成人男2名が2回ずつ実施し、それらの平均値を測定結果とした。
また、口腔内崩壊時間については、錠剤1錠を口腔内に含み、力を加えないように舌と上顎で挟んだ状態を保って、錠剤が完全に崩壊するまでの時間を測定した。成人男2名が2回ずつ実施し、それらの平均値を測定結果とした。
(速崩壊性を有しない既存錠剤から口腔内速崩壊錠を製造するために用いられる添加剤配合物を製造する方法)
カルメロース(NS−300、五徳薬品株式会社)100g、クロスポビドン(ポリプラスドンINF−10、ISPジャパン)20g、マンニトール(D−マンニトール、メルク株式会社)375gを流動層造粒機(LAB−1、株式会社パウレック)に投入し、精製水240gを噴霧することによって造粒し、平均粒子径約100μm、水分約1%の造粒物(崩壊性添加剤配合物)を得た。
カルメロース(NS−300、五徳薬品株式会社)100g、クロスポビドン(ポリプラスドンINF−10、ISPジャパン)20g、マンニトール(D−マンニトール、メルク株式会社)375gを流動層造粒機(LAB−1、株式会社パウレック)に投入し、精製水240gを噴霧することによって造粒し、平均粒子径約100μm、水分約1%の造粒物(崩壊性添加剤配合物)を得た。
(速崩壊性を有しないニザチジン含有錠剤から有効成分量を低減した口腔内速崩壊錠を製造する方法)
有効成分として1錠当たり75mgのニザチジン(H2受容体拮抗剤:胃酸分泌抑制作用)を含有する、成人用の既存錠剤(ゼリア新薬工業株式会社「アシノン錠75mg」、錠剤重量108mg、添加物として部分アルファー化デンプン,結晶セルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,クロスポビドン,ステアリン酸マグネシウム,ヒプロメロース,酸化チタン,カルナウバロウを含む)2錠を、軽質無水ケイ酸(アドソリダー、フロイント産業株式会社)10mgを加えてから乳鉢ですりつぶし、ニザチジン150mgを含有する粉末226mgを得た。ここへ実施例1の方法で得た造粒物1764mg、スクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)10mgを加え、ポリエチレン製の袋の中でよく混合した。この混合粉末を、簡易錠剤成形機(HANDTAB−100、市橋精機株式会社)を用いて、打錠圧縮力5kNおよび3kNにおいて打錠し、直径8.0mm、平面隅角、重量200mg、1錠当たりのニザチジン含有量15mgの口腔内速崩壊錠を得た。このニザチジン含有口腔内速崩壊錠は、打錠圧縮力が5kNおよび3kNの場合、錠剤厚みがそれぞれ3.56mmおよび3.85mm、錠剤硬度がそれぞれ30Nおよび16N、口腔内崩壊時間(成人男性)がそれぞれ15秒および13秒であった。尚、本実施例で得られた口腔内速崩壊錠に含まれるニザチジンの量は1錠あたり、成人の1回用量(例えば150mg)の1/10程度(15mg)にまで低減されているため、投薬される小児の、年齢、体重、症状を考慮した投薬量の設定が容易である。
有効成分として1錠当たり75mgのニザチジン(H2受容体拮抗剤:胃酸分泌抑制作用)を含有する、成人用の既存錠剤(ゼリア新薬工業株式会社「アシノン錠75mg」、錠剤重量108mg、添加物として部分アルファー化デンプン,結晶セルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,クロスポビドン,ステアリン酸マグネシウム,ヒプロメロース,酸化チタン,カルナウバロウを含む)2錠を、軽質無水ケイ酸(アドソリダー、フロイント産業株式会社)10mgを加えてから乳鉢ですりつぶし、ニザチジン150mgを含有する粉末226mgを得た。ここへ実施例1の方法で得た造粒物1764mg、スクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)10mgを加え、ポリエチレン製の袋の中でよく混合した。この混合粉末を、簡易錠剤成形機(HANDTAB−100、市橋精機株式会社)を用いて、打錠圧縮力5kNおよび3kNにおいて打錠し、直径8.0mm、平面隅角、重量200mg、1錠当たりのニザチジン含有量15mgの口腔内速崩壊錠を得た。このニザチジン含有口腔内速崩壊錠は、打錠圧縮力が5kNおよび3kNの場合、錠剤厚みがそれぞれ3.56mmおよび3.85mm、錠剤硬度がそれぞれ30Nおよび16N、口腔内崩壊時間(成人男性)がそれぞれ15秒および13秒であった。尚、本実施例で得られた口腔内速崩壊錠に含まれるニザチジンの量は1錠あたり、成人の1回用量(例えば150mg)の1/10程度(15mg)にまで低減されているため、投薬される小児の、年齢、体重、症状を考慮した投薬量の設定が容易である。
(速崩壊性を有しないジフェンヒドラミン塩酸塩含有錠剤から有効成分量を低減した口腔内速崩壊錠を製造する方法)
有効成分として1錠当たり25mgのジフェンヒドラミン塩酸塩(H1受容体拮抗剤)を含有する、成人用の既存錠剤(エスエス製薬株式会社「ドリエル」、錠剤重量265mg、添加物としてクロスカルメロースナトリウム、無水ケイ酸、セルロース、乳糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、マクロゴール、ステアリン酸マグネシウム、タルク、酸化チタンを含む)3錠を乳鉢ですりつぶし、ジフェンヒドラミン塩酸塩75mgを含有する粉末795mgを得た。ここへ実施例1の方法で得た造粒物2190mg、スクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)15mgを加え、ポリエチレン製の袋の中でよく混合した。この混合粉末を、簡易錠剤成形機(HANDTAB−100、市橋精機株式会社)を用いて、打錠圧縮力5kNにおいて打錠し、直径8.0mm、平面隅角、重量200mg、1錠当たりのジフェンヒドラミン塩酸塩含有量5mgの口腔内速崩壊錠を得た。このジフェンヒドラミン塩酸塩含有口腔内速崩壊錠は、錠剤厚みが3.27mm、錠剤硬度が28N、口腔内崩壊時間(成人男性)が17秒であった。尚、本実施例で得られた口腔内速崩壊錠に含まれるジフェンヒドラミン塩酸塩は1錠あたり、成人の1回用量(例えば50mg)の1/10程度(5mg)にまで低減されているので、投薬される小児の年齢、体重、症状を考慮した投薬量の設定が容易である。
有効成分として1錠当たり25mgのジフェンヒドラミン塩酸塩(H1受容体拮抗剤)を含有する、成人用の既存錠剤(エスエス製薬株式会社「ドリエル」、錠剤重量265mg、添加物としてクロスカルメロースナトリウム、無水ケイ酸、セルロース、乳糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、マクロゴール、ステアリン酸マグネシウム、タルク、酸化チタンを含む)3錠を乳鉢ですりつぶし、ジフェンヒドラミン塩酸塩75mgを含有する粉末795mgを得た。ここへ実施例1の方法で得た造粒物2190mg、スクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)15mgを加え、ポリエチレン製の袋の中でよく混合した。この混合粉末を、簡易錠剤成形機(HANDTAB−100、市橋精機株式会社)を用いて、打錠圧縮力5kNにおいて打錠し、直径8.0mm、平面隅角、重量200mg、1錠当たりのジフェンヒドラミン塩酸塩含有量5mgの口腔内速崩壊錠を得た。このジフェンヒドラミン塩酸塩含有口腔内速崩壊錠は、錠剤厚みが3.27mm、錠剤硬度が28N、口腔内崩壊時間(成人男性)が17秒であった。尚、本実施例で得られた口腔内速崩壊錠に含まれるジフェンヒドラミン塩酸塩は1錠あたり、成人の1回用量(例えば50mg)の1/10程度(5mg)にまで低減されているので、投薬される小児の年齢、体重、症状を考慮した投薬量の設定が容易である。
(速崩壊性を有しないエピナスチン塩酸塩含有錠剤から有効成分量を低減した口腔内速崩壊錠を製造する方法)
有効成分として1錠当たり10mgのエピナスチン塩酸塩(H1受容体拮抗剤)を含有する、成人用の既存錠剤(エスエス製薬株式会社「アレジオン10」、錠剤重量88mg、添加物として無水ケイ酸、乳糖、ヒプロメロース、ポビドン、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、マクロゴール、シリコーン樹脂、ステアリン酸Mg、タルク、酸化チタン、トウモロコシデンプンを含む)1錠を乳鉢ですりつぶし、エピナスチン塩酸塩10mgを含有する粉末88mgを得た。ここへ実施例1の方法で得た造粒物712mg、スクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)8mgを加え、ポリエチレン製の袋の中でよく混合した。この混合粉末を、簡易錠剤成形機(HANDTAB−100、市橋精機株式会社)を用いて、打錠圧縮力7kNにおいて打錠し、直径8.0mm、平面隅角、重量200mg、1錠当たりのエピナスチン塩酸塩含有量2.5mgの口腔内速崩壊錠を得た。このエピナスチン塩酸塩含有口腔内速崩壊錠は、錠剤厚みが3.37mm、錠剤硬度が30N、口腔内崩壊時間(成人男性)が11秒であった。尚、本実施例で得られた口腔内速崩壊錠に含まれるエピナスチン塩酸塩の量は1錠あたり、小児の1日標準服用量上限(10mg)の1/4(2.5mg)にまで低減されているため、投薬される小児の、年齢、体重、症状を考慮した投薬量の設定が容易である。
有効成分として1錠当たり10mgのエピナスチン塩酸塩(H1受容体拮抗剤)を含有する、成人用の既存錠剤(エスエス製薬株式会社「アレジオン10」、錠剤重量88mg、添加物として無水ケイ酸、乳糖、ヒプロメロース、ポビドン、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、マクロゴール、シリコーン樹脂、ステアリン酸Mg、タルク、酸化チタン、トウモロコシデンプンを含む)1錠を乳鉢ですりつぶし、エピナスチン塩酸塩10mgを含有する粉末88mgを得た。ここへ実施例1の方法で得た造粒物712mg、スクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)8mgを加え、ポリエチレン製の袋の中でよく混合した。この混合粉末を、簡易錠剤成形機(HANDTAB−100、市橋精機株式会社)を用いて、打錠圧縮力7kNにおいて打錠し、直径8.0mm、平面隅角、重量200mg、1錠当たりのエピナスチン塩酸塩含有量2.5mgの口腔内速崩壊錠を得た。このエピナスチン塩酸塩含有口腔内速崩壊錠は、錠剤厚みが3.37mm、錠剤硬度が30N、口腔内崩壊時間(成人男性)が11秒であった。尚、本実施例で得られた口腔内速崩壊錠に含まれるエピナスチン塩酸塩の量は1錠あたり、小児の1日標準服用量上限(10mg)の1/4(2.5mg)にまで低減されているため、投薬される小児の、年齢、体重、症状を考慮した投薬量の設定が容易である。
本発明によって、小児への投与を容易、確実、かつ安全に行うことが出来、且つ、有効成分量が適切に調整された口腔内速崩壊錠、及び、入手容易で既存の速崩壊性を有しない成人用錠剤から該口腔内崩壊錠を簡便に製造する実用的な製法が提供される。
上記の第一及び第二の造粒工程は水の存在下で各成分を分散させ乾燥することによって複合体を形成する方法、すなわち湿式造粒法で行われる。湿式造粒法の具体例としては、噴霧乾燥、転動造粒、撹拌造粒、及び流動層造粒などの噴霧法、凍結乾燥法、並びに、混練造粒等を挙げることができ、これらの当業者に公知の任意の方法で製造することができる。
Claims (6)
- 口腔内崩壊時間が20秒以内であることを特徴とする小児用の口腔内速崩壊錠。
- 粉末状態の医薬組成物に予め調製した崩壊性添加剤配合物を加えて混合、打錠することを含む、小児用の口腔内速崩壊錠の製造方法。
- 粉末状態の医薬組成物が固形状医薬組成物をすりつぶして粉末化することによって得られるものである、請求項2記載の製造方法。
- 固形状の医薬組成物が成人用の錠剤又はハードカプセル剤の固体内容物である、請求項3記載の製造方法。
- 医薬組成物に含まれる有効成分を分離・抽出することなく、崩壊性添加剤配合物を加えて混合、打錠する、請求項2ないし4のいずれか一つに記載の製造方法。
- 請求項2ないし5のいずれか一つに記載の製造方法によって得られる小児用の口腔内速崩壊錠であって、口腔内崩壊時間が20秒以内であることを特徴とする該口腔内速崩壊錠。
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