JP2016113732A - ポリペンタメチレンアジパミド繊維 - Google Patents

ポリペンタメチレンアジパミド繊維 Download PDF

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Abstract

【課題】高温熱処理時の耐黄変性に優れ、また、高温熱処理時の吸放湿特性低下が抑制でき、高温熱処理後も吸放湿特性に優れたポリペンタメチレンアジパミド繊維を提供する【解決手段】繊維製造時にヒンダードアミン系などの耐熱剤を0.01〜1.0質量%含有させ、熱によるアミノ末端基からの環化反応を抑制し、繊維製造時の高温下での分解で生成する水溶性成分を抑制することで、耐黄変性に優れ、吸放湿特性およびその保持率に優れた繊維が得られる。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリペンタメチレンアジパミド繊維に関するものである。さらに詳しくは、高温熱処理時の耐黄変性に優れ、また高温熱処理時の吸放湿特性の低下が抑制でき、高温熱処理後も吸放湿特性に優れたポリペンタメチレンアジパミド繊維に関するものである。
ポリカプラミドやポリヘキサメチレンアジパミドに代表されるようなポリアミド繊維は、力学特性、耐薬品性、耐熱性に優れていることから、衣料用途や産業資材用途などで幅広く利用されている。特に、ポリアミド繊維の有するしなやかさや肌触りの良さなどが好まれ、スポーツウェアのほか、特にインナー、レッグなど肌に直接触れる素材として好適である。しかし、着用時に肌から生じる汗などで、蒸れ感やべたつきなどを生じやすく、現状のポリカプラミドやポリヘキサメチレンアジパミドに代表されるポリアミド繊維よりもさらに吸放湿性の高い素材が求められている。
また、ポリアミド繊維は石油資源を原料としているものが多く、石油資源の枯渇や地球温暖化が問題視され、世界的な規模で環境問題に対する取り組みが行われている中で、石油資源に依存しない環境に配慮した原料を用いた製品の開発が求められている。そのような製品として、再生可能な植物由来の資源を一部または全部に原料とする繊維、フィルム等が提案されている。
これらの課題を解決する方法の一例として、例えば特許文献1には、ポリペンタメチレンアジパミド繊維が提案されている。
一方、ポリアミドの黄変防止技術は従来から検討がなされており、例えば特許文献2には、ポリヘキサメチレンアジパミド繊維にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加する技術が提案されている。
国際公開第2011/122272号パンフレット 特開平7−324223号公報
ポリペンタメチレンアジパミド繊維は、高い吸放湿特性を有しているが、ポリカプラミド繊維(ナイロン6繊維)やポリヘキサメチレンアジパミド繊維(ナイロン66繊維)と比較して、熱による酸化分解機構が多岐に存在し、分解物や生成物が多く発生し、繊維構造に変化が生じやすいため、特許文献1記載のポリペンタメチレンアジパミド繊維では高温熱処理時の黄変が顕著であり、特に白度を要求される衣料用途への使用が制限されるという問題があった。また、特許文献2記載のナイロン66繊維に用いている耐熱剤を添加し末端官能基量を規定する方法では、ポリペンタメチレンアジパミド繊維の黄変を十分に抑制できるものではなかった。さらに、ポリペンタメチレンアジパミド繊維の吸放湿特性は高温熱処理をすることにより低下し、インナーウェア用途として求められている吸放湿特性レベルを下回るという問題があることも判明した。
そこで本発明は、上記の問題点を解決しようとするものであり、高温熱処理時の耐黄変性に優れ、かつ高温熱処理後でも吸放湿特性に優れたポリペンタメチレンアジパミド繊維を提供することを課題としている。
上記課題は、下記の構成によって解決することができる。
(1)乾熱処理(190℃、5分間)前後の繊維中の水溶性成分の変化量(質量%)ΔMOが、ΔMO<0%であるポリペンタメチレンアジパミド繊維。
(2)乾熱処理前の繊維中の水溶性成分量MOがMO<2.6質量%未満である(1)記載のポリペンタメチレンアジパミド繊維。
高温熱処理時の耐黄変性に優れ、かつ高温熱処理時の吸放湿特性の低下が抑制でき、高温熱処理後も吸放湿特性に優れたポリペンタメチレンアジパミド繊維を提供することができる。
本発明に係る合成繊維の製造工程の一例を示す概略図
本発明のポリペンタメチレンアジパミド繊維は、アジピン酸と1,5−ペンタメチレンジアミンを主たる構成単位とするポリペンタメチレンアジパミド樹脂からなる繊維である。
本発明のポリペンタメチレンアジパミド繊維は、石油資源に依存しない、環境に配慮した原料としてバイオマス由来の1,5−ペンタメチレンジアミンを含んでいることが好ましい。
本発明に用いるポリペンタメチレンアジパミド樹脂の粘度は、硫酸相対粘度(98%、25℃)が2.0以上3.0以下のポリマーを使用することが好ましい。硫酸相対粘度の測定方法の詳細は実施例にて後述する。2.0以上であると、繊維としたときに十分な強度を得ることができ、3.0以下であると、紡糸時の溶融ポリマーの押出圧およびその経時の上昇速度を抑制でき、生産設備への過剰な負荷や口金の交換周期の延長が図れて生産性が確保できるため好ましい。
本発明に用いるポリペンタメチレンアジパミド樹脂には本発明の目的を逸脱しない範囲で、主成分の他に第2、第3成分を共重合または混合しても良い。共重合成分としては、例えば脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸から誘導される構造単位を含むことができ、共重合量は全カルボン酸量に対する共重合成分のカルボン酸量として10mol%以下が好ましく、さらに好ましくは5mol%以下である。
本発明者らは、ポリペンタメチレンアジパミド繊維の黄変の要因を検討した。ポリペンタメチレンアジパミドポリマーは、ポリカプラミドポリマーやポリヘキサメチレンアジパミドポリマーと異なり、熱によりカルボキシル末端基側からだけでなく、アミノ末端基側からも環化反応を生じ、この反応により水溶性成分が生成される。さらに、ポリマーの分解により生成したモノマーやオリゴマーなどの水溶性成分も生成される。本発明者らは、この水溶性成分が黄変の原因物質であることを突き止めた。ポリペンタメチレンアジパミド繊維の黄変は、水溶性成分が高温条件下で生成し変性することで顕著に発現するのである。
本発明のポリペンタメチレンアジパミド繊維は、乾熱処理前後の繊維中の水溶性成分の変化量(ΔMO)が、ΔMO<0質量%を満たすことが重要である。
乾熱処理(190℃、5分間)前後の繊維中の水溶性成分変化量(質量%)(ΔMO)の測定方法の詳細は実施例にて後述するが、乾熱処理前の繊維中の水溶性成分量(質量%)(MO)と190℃で5分間の乾熱処理後の水溶性成分量(MO)から、MO−MOで算出される値(質量%)であり、ポリペンタメチレンアジパミド繊維の乾熱処理時の水溶性成分の生成率を示している。すなわち、ΔMO<0質量%とすることにより、乾熱処理時のポリペンタメチレンアジパミド繊維中での低分子量成分が生成されていないことを示している。かかる範囲とすることにより、高温条件下で乾熱処理しても耐黄変性に優れ、吸放湿特性およびその保持率に優れた繊維とすることができる。より好ましくはΔMO<−0.2質量%であり、さらに好ましくはΔMO<−0.3質量%である。
また、本発明のポリペンタメチレンアジパミド繊維は、乾熱処理前の繊維中の水溶性成分量(MO)が2.6質量%未満であることが好ましい。かかる範囲とすることにより、布帛製造時に高温条件下で乾熱処理しても耐黄変性に優れ、吸放湿特性およびその保持率に優れた繊維とすることができる。より好ましくは2.4質量%以下である。
また、ポリアミド繊維の吸湿は、ポリアミドのアミド基への水分子の配位結合、ポリマー末端の官能基への水分子の結合などにより、水分子を繊維構造中へ取り込むことにより生じる。繊維中の分子鎖がランダムな状態で存在している非晶部が多いほど取り込める水分子が増えるため、非晶部の割合を多くすることで吸放湿特性を高くすることができる。結晶性ポリマーであるポリアミドの中で、ポリペンタメチレンアジパミドポリマーは、ポリカプラミドポリマーやポリヘキサメチレンアジパミドポリマーと異なり、非晶部の割合を多くすることが可能であるため、水分子を繊維構造中へ多く取り込むことができ、高い吸放湿特性を有する。本発明のポリペンタメチレンアジパミド繊維において、水溶性成分が吸放湿特性に影響を及ぼすメカニズムは、ポリペンタメチレンアジパミド分子鎖中のアミド基や分子鎖末端の官能基から水溶性成分が生成するため、水分子と結合するアミド基や分子鎖末端の官能基の量が減少し、吸放湿特性が低下するものと考える。
次に、上述したΔMO、MOを満足するための好ましい形態について説明する。
まず一つ目として、本発明のポリペンタメチレンアジパミド繊維に耐熱剤を含有させることが好ましい。
ポリペンタメチレンアジパミド繊維製造時に耐熱剤を添加し、繊維中に耐熱剤を含有させることで、熱による末端基、特にアミノ末端基側からの環化反応を抑制することができ、繊維製造時の高温条件によりポリペンタメチレンアジパミドポリマーの分解で生成する水溶性成分(モノマーやオリゴマー)を抑制することができる。さらに、布帛製造時に高温条件下で乾熱処理しても耐黄変性に優れ、吸放湿特性およびその保持率に優れた繊維とすることができる。
耐熱剤の種類としては、例えば、ヒンダードアミン系、アルキルラジカルを捕捉する1次系耐熱剤であるヒンダードフェノール系および/またはヒドロキシルアミン系、過酸化物を分解する2次系耐熱剤であるリン系および/またはイオウ系等が挙げられる。
ポリペンタメチレンアジパミドポリマーの熱によるアミノ末端基側からの環化反応は、ラジカルの生成、大気中の酸素との反応による過酸化物の生成の過程により生じるため、上記記載の1次系、2次系の耐熱剤を併用することが好ましい。さらに、1次系耐熱剤としてはヒンダードフェノール系、2次系耐熱剤としてはリン系を使用することがより好ましい。
本発明に用いられるヒンダードフェノール系耐熱剤は、例えば、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロイル〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1.3.2]ジオキサホスフェピン、2,2’−チオジエチルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]が挙げられる。
また、本発明に用いられるリン系耐熱剤は、例えば、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン 二亜リン酸エステル、3,9−ビス(オクタデシロイル)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトが挙げられる。
本発明のポリペンタメチレンアジパミド繊維の耐熱剤の添加量総量は、ポリペンタメチレンアジパミドポリマーに対して0.01〜1.0質量%であることが好ましい。かかる範囲とすることにより、紡糸工程での水溶性成分の析出を抑え、さらに、布帛製造時に高温条件下で乾熱処理しても耐黄変性に優れ、吸放湿特性およびその保持率に優れた繊維と得ることができる。好ましくは0.02〜0.2質量%である。
ポリマーに添加剤を含有させる方法としては、例えば、ポリマーを重合する際に添加する方法、溶融紡糸の溶融時に直接添加する方法、耐熱剤を添加したマスターチップをチップブレンドする方法等が挙げられるが、本発明におけるポリペンタメチレンアジパミド繊維への耐熱剤添加方法としては、チップへ直接添加しブレンドしたものを溶融紡糸する方法が好ましい。溶融紡糸時にチップへブレンドすることにより、重合時の熱や保管時の大気中の水分・酸素による耐熱剤の分解や改質を抑制し、ポリペンタメチレンアジパミド繊維の製造時やポリペンタメチレンアジパミド布帛製造時において十分な水溶性成分の生成抑制効果を得ることができる。
二つ目として、ΔMO、MOを満足するために、本発明のポリペンタメチレンアジパミド繊維の製造において、紡糸口金の直下を充満する水蒸気シールによって、紡糸口金面直下5mm以内の酸素濃度を1.5%未満とすることが好ましい。かかる範囲とすることで、繊維中の水溶性成分を抑制することができる。さらに、耐熱剤添加よりは効果が高くないものの、布帛製造時に高温条件下で乾熱処理しても耐黄変性に優れ、吸放湿特性およびその保持率を維持する効果が得られる。酸素濃度のより好ましい範囲は0.8%以下である。
紡糸口金直下の酸素濃度を制御する方法として、紡糸口金の直下に設けられた蒸気噴射装置から噴射される蒸気の温度が150〜300℃であることが好ましい。また、噴射される蒸気の噴出量が0.01〜0.04m/分であることが好ましい。かかる範囲とすることにより、紡糸工程での水溶性成分の析出を抑え、繊維中の水溶性成分が少なく、さらに、布帛製造時に高温条件下で乾熱処理しても耐黄変性に優れ、吸放湿特性およびその保持率に優れた繊維とすることができる。さらに好ましくは蒸気の温度は180〜250℃であり、噴射される蒸気噴出量は0.02〜0.03m/分である。
本発明のポリペンタメチレンアジパミド繊維は、単糸1本からなるモノフィラメントでも、複数の単糸からなるマルチフィラメントであってもよい。布帛にした際の触感がやわらかくなることから、衣料用途とする場合には、好ましくは複数の単糸からなるマルチフィラメントとするとよい。
また、本発明のポリペンタメチレンアジパミド繊維の断面形状は、丸断面だけでなく、扁平、Y型、T型、中空型、田型、井型など多種多様な断面形状を採用することができる。
本発明のポリペンタメチレンアジパミド繊維の製造方法の一例を、図1にしたがって具体的に説明する。
溶融されたポリペンタメチレンアジパミドポリマーをギヤポンプにて計量・輸送し、紡糸口金1から吐出させ、紡糸口金の直下に設けられた紡糸口金面に向けて蒸気が噴射されている蒸気噴出装置2と、蒸気噴射装置2の下流側に設けられ、かつ冷却風が吹き流れている冷却装置3を通過させて糸条を室温まで冷却固化し、給油装置4で給油するとともに集束し、交絡ノズル装置5で交絡し、引き取りローラー6、延伸ローラー7を通過し、その際引き取りローラー6と延伸ローラー7の周速度の比に従って延伸する。さらに、糸条を延伸ローラー7の加熱により熱セットし、ワインダー(巻取装置)8で巻き取る。
本発明のポリペンタメチレンアジパミド繊維は、上述した製造方法のみによらず、引き取りローラー6と延伸ローラー7間で延伸をしない高配向未延伸糸としてもよく、また、未延伸糸を得てから延伸する二段階工程で製造してもよい。
本発明のポリペンタメチレンアジパミド繊維の製造において、ポリペンタメチレンアジパミドへ耐熱剤を添加したブレンドチップの水分率を0.01〜0.15質量%に調整することが好ましい。かかる範囲とすることにより、紡糸工程での水溶性成分の析出を抑え、繊維中の水溶性成分が少なく、さらに、布帛製造時に高温条件下で乾熱処理しても耐黄変性に優れ、吸放湿特性およびその保持率に優れた繊維とすることができる。さらに好ましくは0.05〜0.12質量%である。
なお、本発明のポリペンタメチレンアジパミド繊維の繊度は、いずれの繊度でも良く、適宜設定すれば良いが、衣料用途とする場合には、布帛にした際の触感から120dtex以下とすることが好ましい。また、強度は衣料用として布帛を作製する際に他の繊維と合わせて使用するなどの対応を取ることにより、どのような強度であっても問題なく使用できるが、あえて好ましい範囲を設定するのであれば2.0cN/dtex以上であればよく、より好ましくは3.0cN/dtexである。なお、本発明のようにΔMOを抑制することにより、強伸度積(=強度×(伸度+100)/100)についても低下を抑制できる。どのような強伸度積であっても使用することはできるが、好ましくは4.0cN/dtex以上であればよい。
本発明を実施例で詳細に説明する。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。
A.硫酸相対粘度
試料0.25gを濃度98wt%の硫酸100mlに対して1gになるように溶解し、オストワルド型粘度計を用いて25℃での流下時間(T1)を測定した。引き続き、濃度98wt%の硫酸のみの流下時間(T2)を測定した。T2に対するT1の比、すなわちT1/T2を硫酸相対粘度とした。
B.融点(Tm)
パーキンエルマー社製の示差走査型熱量計DSC−7型を用い、試料ポリマー20mgを、1stRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から270℃まで昇温し、270℃の温度で5分間保持した後、降温速度20℃/分で270℃から20℃まで降温し、20℃の温度で1分間保持した後、さらに2ndRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から270℃まで昇温したときに観測される吸熱ピークの温度を融点とした。
C.筒編作製条件
22ゲージの筒編み機により、編み密度56本/インチ(2.54cm)にて筒編み地を作製する。この時、試料の繊度が78dtex以下である場合は、総繊度が78dtex以上となるよう、筒編み機への給糸時に試料を合糸して筒編み地を作製する。例えば、44dtexの試料であれば、2本合糸し、総繊度88dtexとして筒編み地を作製する。
D.乾熱処理条件
前記C項記載の筒編み地を作製し、この筒編み地の状態で以下に示す条件にて精錬を行った後、1日風乾させ、熱風乾燥機内に無張力状態で静置し、190℃、5分間の乾熱処理をする。
[精錬]
・精錬剤:ノイゲンSS(第一製薬工業株式会社製)
0.1g/l
・温度×時間:45℃×15分 。
E.乾熱処理前水溶性成分量(質量%)(MO
前記C項記載の筒編み地3.0gをノルマルヘキサン100%の溶液に10分間浸漬させて脱油処理し、2時間風乾させた後、40℃で5時間真空乾燥させた後の試料の質量をWとする。次いで、試料を100℃の沸騰水中にて4時間処理し、105℃で2時間常圧にて乾燥させ後、続いて35℃で6時間真空乾燥させた。乾燥後の試料の質量をWとして、以下(1)式にて算出したものを水溶性成分量MOとする。
MO(質量%)=(W−W)/W×100・・・(1) 。
F.乾熱処理後水溶性成分量(質量%)(MO
前記D項の方法にて乾熱処理した後の筒編み地3.0gを、40℃で5時間真空乾燥させ、乾燥後の試料の質量をWとする。次いで、試料を100℃の沸騰水中にて4時間処理し、105℃で2時間常圧にて乾燥させ後、続いて35℃で6時間真空乾燥させた。乾燥後の試料の質量をWとして、以下(2)式にて算出したものを水溶性成分量MOとする。
MO(質量%)=(W−W)/W×100・・・(2) 。
G.黄色度(YI)
乾熱処理前および乾熱処理後の筒編み地にて、得られた筒編みの状態で、日本電色工業製カラーメーターΣ80により、同測定器所定の方法にて3刺激値X、Y、Zを測定し、以下(3)式によりYIを求める。
YI=100×[1.28X−1.06Z]/Y・・・(3) 。
H.吸放湿特性(ΔMR)
前記C項記載の試料を秤量瓶に1〜2g程度量り取り、110℃で2時間乾燥させた後に質量を測定し、この質量をwとする。次いで温度20℃、相対湿度65%にて24時間保持させた後に質量を測定し、この質量をw65%とする。続いて温度30℃、相対湿度90%にて24時間保持させた後に質量を測定し、この質量をw90%とする。以下(4)〜(6)式にて算出されるものをΔMRとする。
MR=[(w65%−w)/w]×100・・・(4)
MR=[(w90%−w)/w]×100・・・(5)
ΔMR=MR−MR・・・(6) 。
I.乾熱処理時ΔMR変化率
乾熱処理前の前記C項記載の試料のΔMRをΔMR、乾熱処理後の前記C項記載の試料のΔMRをΔMRとする。ΔMR変化率は以下(7)式にて算出する。
ΔMR変化率=ΔMR−ΔMR・・・(7) 。
J.繊度(dtex)
試料繊維を枠周1.125mの検尺機にて200回巻カセを作成し、熱風乾燥機にて乾燥後(105±2℃×60分)、天秤にてカセ重量を量り公定水分率を乗じた値から繊度を算出した。測定は4回行い、平均値を繊度とした。また、得られた繊度をフィラメント数で割り返した値を単糸繊度とした。
K.強度および伸度
試料を、オリエンテック(株)社製テンシロン(TENSILON)UCT−100でJIS L1013(化学繊維フィラメント糸試験方法、2010年)に示される定速伸長条件で測定した。伸度は、引張強さ−伸び曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。また、強度は、最大強力を繊度で割り返した値を強度とした。測定は10回行い、平均値を強度および伸度とした。
L.沸騰水収縮率
繊維を周長1.125mのかせ取り機で20回巻き取ってかせ試料を作り、0.09cN/dtex荷重下で初長Lを求めた。次いで、無荷重下にて100℃の沸騰水中で30分間処理した後、風乾する。次いで0.09cN/dtex荷重下で処理後の長さLBを求め以下(8)式にて算出する。
沸騰水収縮率(%)=[(L−L)/L]×100・・・(8) 。
M.酸素濃度
新コスモス電機社製の酸素濃度計XP3180Eを用いて、検知管の先端を紡糸口金面につけて、紡糸口金面中心位置、紡糸口金面を4等配した際の最外吐出孔位置、紡糸口金面中心と紡糸口金面の最外吐出孔の中間位置を測定し、これらの数平均値を酸素濃度(%)とした。
N.チップ水分率
三菱化学アナリテック社製の水分気化装置VA−200型を用い、試料チップ1gを230℃、30分間、窒素気流下で加熱し、チップから発生した水を三菱化学アナリテック社製の微量水分測定装置CA−200型を用いて、電量滴定にて求めた。
O.耐黄変性
前記C項記載の筒編み地を前記D項記載の190℃、5分間乾熱処理をした後の筒編み地のYIによって以下の三段階で評価する。
◎:乾熱後YI<10
○:乾熱後YI<14
×:乾熱後YI≧14 。
P.ΔMR低下抑制効果
乾熱処理時ΔMR変化率によって以下の三段階で評価する。
◎:乾熱時ΔMR変化率<0.5
○:乾熱時ΔMR変化率<1
×:乾熱時ΔMR変化率≧1 。
Q.吸放湿特性保持率
乾熱処理後のΔMR(ΔMR)によって以下の三段階で評価する。
◎:乾熱処理後ΔMR>3.5
○:乾熱処理後ΔMR>3.0
×:乾熱処理後ΔMR≦3.0 。
R.総合評価
耐黄変性、ΔMR低下抑制効果、吸放湿特性保持率の三項目の評価を行い、◎、○、×の数により、以下の三段階で評価する。
◎:三項目すべて◎、もしくは三項目中二項目が◎で一項目が○
○:三項目中一項目が◎で二項目が○、もしくは三項目すべて○
×:三項目中一項目でも× 。
(実施例1)
ポリペンタメチレンアジパミド100%のチップ(硫酸相対粘度2.60、融点:256℃)を水分率0.1質量%に調整した。ポリペンタメチレンアジパミドチップに対し3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロイル〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンを0.01質量%、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン 二亜リン酸エステルを0.01質量%ずつチップへ直接添加し、ブレンドした後、図1に示す工程で製糸した。紡糸温度280℃、吐出孔径0.25mm、孔長0.5mmの丸孔を68ホール有する紡糸口金1から紡出、2糸条取りした。紡糸口金1の直下に設けられた蒸気噴出装置2から、190℃の水蒸気を噴出量0.02m/分噴出し、冷却装置3で糸条に冷風を吹き付けて冷却固化し、給油装置4により給油した後、交絡ノズル装置5で交絡を付与し、引き取りローラー6の周速度(引取速度)を1604m/min(設定値)で引き取った。続いて、引き取りローラー6にて引き取った糸条を、表面温度155℃の延伸ローラー7で引き取ることにより、ローラー間で延伸倍率2.65倍にて延伸し、巻取速度を4000m/min(設定値)としたワインダー8で巻き取り、44dtex−34フィラメントのポリペンタメチレンアジパミドマルチフィラメントを得た。
得られたポリペンタメチレンアジパミドマルチフィラメントについて、繊度、強伸度、沸騰水収縮率、乾熱処理前後のYI値・△MRを評価した。結果を表1に示す。
(実施例2)
ポリペンタメチレンアジパミド(硫酸相対粘度2.60、融点:256℃)を用い、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロイル〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンを0.1重量%、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン 二亜リン酸エステルを0.1重量%添加し、蒸気噴出装置2から温度220℃、噴出量0.028m/分の水蒸気に変更した以外は、実施例1と同様の条件にてポリペンタメチレンアジパミドマルチフィラメントを得た。得られたポリペンタメチレンアジパミドマルチフィラメントについて評価した結果を表1に示す。
(実施例3)
ポリペンタメチレンアジパミド(硫酸相対粘度2.60、融点:256℃)を用い、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロイル〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンを0.01重量%、3,9−ビス(オクタデシロイル)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンを0.01重量%添加した以外は、実施例1と同様の条件にてポリペンタメチレンアジパミドマルチフィラメントを得た。得られたポリペンタメチレンアジパミドマルチフィラメントについて評価した結果を表1に示す。
(実施例4)
ポリペンタメチレンアジパミド(硫酸相対粘度2.60、融点:256℃)を用い、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロイル〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンを0.008重量%、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン 二亜リン酸エステルを0.008重量%添加した以外は、実施例1と同様の条件にてポリペンタメチレンアジパミドマルチフィラメントを得た。得られたポリペンタメチレンアジパミドマルチフィラメントについて評価した結果を表1に示す。
(実施例5)
ポリペンタメチレンアジパミド(硫酸相対粘度2.60、融点:256℃)を用い、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1.3.2]ジオキサホスフェピンを0.015重量%、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン 二亜リン酸エステルを0.015重量%添加し、蒸気噴出装置2から温度170℃、噴出量0.014m/分の水蒸気に変更した以外は、実施例1と同様の条件にてポリペンタメチレンアジパミドマルチフィラメントを得た。得られたポリペンタメチレンアジパミドマルチフィラメントについて評価した結果を表1に示す。
(比較例1)
ポリペンタメチレンアジパミドチップ(硫酸相対粘度2.60、融点:256℃)に対し、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロイル〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンおよびテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン 二亜リン酸エステルを添加しないこと以外は、実施例1と同様の条件にてポリペンタメチレンアジパミドマルチフィラメントを得た。得られたポリペンタメチレンアジパミドマルチフィラメントについて評価した結果を表1に示す。
(比較例2)
ポリペンタメチレンアジパミド(硫酸相対粘度2.60、融点:256℃)を用い、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロイル〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンを0.002重量%、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン 二亜リン酸エステルを0.002重量%添加した以外は、実施例1と同様の条件にてポリペンタメチレンアジパミドマルチフィラメントを得た。得られたポリペンタメチレンアジパミドマルチフィラメントについて評価した結果を表1に示す。
(比較例3)
ポリペンタメチレンアジパミド(硫酸相対粘度2.60、融点:256℃)を用い、蒸気噴出装置2から温度130℃、噴出量0.009m/分の水蒸気に変更した以外は、実施例1と同様の条件にてポリペンタメチレンアジパミドマルチフィラメントを得た。得られたポリペンタメチレンアジパミドマルチフィラメントについて評価した結果を表1に示す。
表1の結果から判るように、実施例1〜5においては、耐熱剤添加量、紡糸口金の直下の酸素濃度が適正であるため、紡糸時の水溶性成分の生成および乾熱処理時の水溶性成分の生成を抑制できているため、高温熱処理時の耐黄変性に優れ、また、高温熱処理時の吸放湿特性の低下を抑制したポリペンタメチレンアジパミド繊維が得られている。
一方で、比較例1、2のポリペンタメチレンアジパミド繊維は適正な量の耐熱剤が添加されておらず、水溶性成分の生成抑制効果が乏しくなり、高温熱処理時の耐黄変性、吸放湿特性低下抑制効果が乏しい。比較例3のポリペンタメチレンアジパミド繊維は耐熱剤を添加しているものの、紡糸口金面下の酸素濃度が高く、紡糸時の水溶性成分の生成を抑制することができていないため、高温熱処理時の耐黄変性、吸放湿特性低下抑制効果が乏しい。
1:紡糸口金
2:蒸気噴出装置
3:冷却装置
4:給油装置
5:交絡ノズル装置
6:引き取りローラー
7:延伸ローラー
8:ワインダー(巻取装置)

Claims (2)

  1. 乾熱処理(190℃、5分間)前後の繊維中の水溶性成分の変化量(質量%)ΔMOが、ΔMO<0質量%であるポリペンタメチレンアジパミド繊維。
  2. 乾熱処理前の繊維中の水溶性成分量MOが2.6質量%未満である請求項1記載のポリペンタメチレンアジパミド繊維。
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