JP2016110759A - 誘導加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱部の中央の過度の加熱を抑制することで金属パイプの破断を防止する誘導加熱装置を提供する。【解決手段】中間の加熱空間1aに配置された被加熱体6を誘導加熱電源から供給される電力によって加熱する加熱コイル1を具備した誘導加熱装置において、前記加熱コイルの軸と同一の軸を持ち、前記加熱コイルの内径よりも外径が小さく、前記加熱コイルの内部空間に、前記被加熱体を挟んで対称となる位置に配置され、前記加熱コイルと前記誘導加熱電源とから電気的に絶縁された補助コイル2を備える。【選択図】図1A
Description
本発明は、金属パイプ同士をロウ付けする誘導加熱装置に関するものである。
エアコンなどに用いられる熱交換器は、金属パイプ同士の接続にロウ付けが用いられる。
金属パイプのロウ付けは、以下のようにして実現する。すなわち、まず、金属パイプの接合部にロウ材を配置する。その後、接合部近傍の加熱部を、ロウ材融点以上に加熱する。その後、溶融したロウ材を、接合部全体に行き渡らせる。
ここで、ボイドなどの問題がなく、高品質なロウ付けを行うためには、ロウ材だけでなく、接合部近傍の金属パイプを含む加熱部全体の温度を制御する必要がある。このような条件を満たす工法として、高精度な温度制御が可能である誘導加熱技術を用いた、誘導加熱ロウ付けが挙げられる。
従来、金属パイプ同士を誘導加熱にてロウ付けする方法としては、中間に加熱空間を空けた平行型の加熱コイルを用いたものがある(例えば、特許文献1参照)。図5A、図5Bは、特許文献1に記載された従来の誘導加熱コイル部周辺を示す図である。
図5Aは、従来の誘導加熱コイル部の周辺の正面図であり、図5Bは、その側面図である。図5Aにおいて、加熱コイル101は、中間に加熱空間101aを空けた平行型のコイルである。加熱空間101aの中央には、被加熱体106が配置される。被加熱体106は、上部金属パイプ103と下部金属パイプ104と、そしてリングロウ105とで構成される。さらに、下部金属パイプ104は、フレア加工部104aと、フレア加工部104aを上端に有する直管部104bとで構成される。上部金属パイプ103と下部金属パイプ104とは、それぞれの円管の軸を共通とし、かつ上部金属パイプ103の下端と下部金属パイプ104のフレア加工部104aとが接するように配置され、この接する面が加熱部の中央となる。また、リングロウ105は、フレア加工部104aを台座として、上部金属パイプ103と下部金属パイプ104との加熱部の中央近傍に配置する。被加熱体106は、加熱部の中央の高さが加熱コイル101の中心軸の高さと一致するように配置する。また、加熱コイル101は、図5Bに示すように誘導加熱電源107と接続される。
図5A及び図5Bに示した構成を用いて誘導加熱ロウ付けを行う動作を説明する。まず、誘導加熱電源107より、加熱コイル101へと電力が供給される。加熱コイル101は、供給された電力に従って、被加熱体106の加熱部へと磁束を供給する。この磁束により誘導電流が誘起され、被加熱体106にジュール熱が発生することで、加熱部は加熱される。ここで、誘導電流は磁束の量に従って変化するため、磁束が多いほど、加熱部は強く加熱される。そのため、金属パイプのロウ付けでは、誘導加熱電源107からの出力電力を調整し、加熱部の温度をロウ材融点以上になるよう加熱コイル101から発生する磁束を制御することで、ロウ付けを実現する。
従来の加熱コイル101は、その中心軸近傍に磁束が集中するという特徴がある。このような加熱コイル101を用いて、加熱コイル101の中心軸の高さと一致するように加熱部の中央に配置した被加熱体106を加熱すると、被加熱体106の加熱部の端部よりも加熱部の中央が強く加熱される。そのため、加熱部全体をロウ材融点以上に加熱すると、加熱部の中央が金属パイプ材料の融点を超えるほどに過度に加熱され、金属パイプが破断するという課題が発生する。
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、加熱部の中央の過度の加熱を抑制することで金属パイプの破断を防止する誘導加熱装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の1つの態様にかかる誘導加熱装置は、中間の加熱空間に配置された被加熱体を誘導加熱電源から供給される電力によって加熱する加熱コイルを具備した誘導加熱装置において、
前記加熱コイルの軸と同一の軸を持ち、前記加熱コイルの内径よりも外径が小さく、前記加熱コイルの内部空間に、前記被加熱体を挟んで対称となる位置に配置され、前記加熱コイルと前記誘導加熱電源とから電気的に絶縁された補助コイルを備える。
前記加熱コイルの軸と同一の軸を持ち、前記加熱コイルの内径よりも外径が小さく、前記加熱コイルの内部空間に、前記被加熱体を挟んで対称となる位置に配置され、前記加熱コイルと前記誘導加熱電源とから電気的に絶縁された補助コイルを備える。
以上のように、本発明の誘導加熱装置によれば、前記補助コイルを備えて加熱部の中央への磁束の量を低減することにより、加熱部の中央の過度の加熱を抑制することができて、金属パイプの破断を防止することができる。
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1Aは、本発明の実施の形態における誘導加熱装置の正面図であり、図1Bはその側面図である。図1A及び図1Bにおいて、加熱コイル1は、中間に加熱空間1aを空けた平行型の円形のコイルである。加熱空間1aの中央には、被加熱体6が配置される。被加熱体6は、上部金属パイプ3と、下部金属パイプ4と、そしてリングロウ5とで構成される。さらに、下部金属パイプ4は、フレア加工部4aと、フレア加工部4aを上端に有する直管部4bとで構成される。上部金属パイプ3と下部金属パイプ4とは、それぞれの円管の軸を共通とし、かつ上部金属パイプ3の下端と下部金属パイプ4のフレア加工部4aとが接するように配置され、この接する面が加熱部20の中央となる。また、リングロウ5は、フレア加工部4aを台座として、上部金属パイプ3と下部金属パイプ4との加熱部20の中央近傍に配置する。被加熱体6は、加熱部20の中央の高さが加熱コイル1の中心軸の高さと一致するように配置する。また、加熱コイル1は、図1Bに示すように誘導加熱電源7と接続される。
本発明の本実施の形態の特徴となる2個の補助コイル2は、それぞれ、自己短絡した1巻以上のコイルである。2個の補助コイル2は、加熱コイル1の軸と共通の軸を持つようにして、加熱コイル1の内部空間1bに被加熱体6を挟んで対称に配置される。一例として、図1Aでは、被加熱体6の両側の加熱コイル1の内部空間1bに、それぞれ、補助コイル2を配置する。この2個の補助コイル2は同一構造物であって、巻き数、コイル径、及びパイプ径が同じであって、互いに接続されていない。また、2個の補助コイル2は、被加熱体6の軸に対して対称な位置に配置されている。また、図1Bに示すように、各補助コイル2は、誘導加熱電源7とは接続されず、電気的に加熱コイル1及び誘導加熱電源7とは分離(絶縁)される。実際には、絶縁性の接着剤で加熱コイル1の内部空間1bに補助コイル2を固定するなどして、本コイル構造を実現する。
本コイル構造の加熱コイル1の動作は、誘導加熱電源7から加熱コイル1へと電力が供給され、その結果、加熱コイル1は、供給された電力に従って、被加熱体6の加熱部20へと磁束を供給する。この磁束により誘導電流が誘起され、被加熱体6にジュール熱が発生することで、加熱部20は加熱される。すなわち、加熱コイル1で発生した磁束によって被加熱体6の加熱部20が加熱される。
ここで、被加熱体6の両側に配置された各補助コイル2では、加熱コイル1が発生させた磁束によって、誘導電流がそれぞれ発生する。その結果、2個の補助コイル2は、加熱コイル1の磁束とは逆向きの磁束を発生させ、加熱コイル1が発生させた加熱部20の中央の磁束を打ち消すように作用する。これによって、被加熱体6の加熱部20の中央の加熱を抑制し、金属パイプの破断を防止する。さらに、2個の補助コイル2の作用について、図2A、図2B、及び図2Cを用いて詳細に説明する。
図2Aは、被加熱体6の近傍における、加熱コイル1が発生させる磁束8の様子を示したものである。加熱コイル1が発生させる磁束8の磁束量の分布に着目すると、被加熱体6の加熱部20の中央にて磁束の量が多い。この結果、加熱コイル1単体での動作では、被加熱体6の加熱部20の中央に磁束が集中して、加熱部20の中央が周囲よりも強く加熱され、金属パイプの破断が引き起こされる。
図2Bは、被加熱体6の近傍における、2個の補助コイル2が発生させる磁束9の様子を示したものである。2個の補助コイル2は、被加熱体6の加熱部20の中央に、加熱コイル1が発生させる磁束と逆向きの磁束を発生させる。ここで、2個の補助コイル2が、加熱コイル1が発生させる磁束と逆向きの磁束を発生させるのは、誘導電流で発生する磁束は、誘起する磁束と逆向きとなるためである。
図2Cは、被加熱体6の近傍における、加熱コイル1と2個の補助コイル2とが発生させる磁束10を示したものである。加熱コイル1と2個の補助コイル2とが発生させる磁束10は、被加熱体6の加熱部20の中央で磁束が集中することなく、加熱部20の全体で均一な磁束分布となっている。これは、加熱部20の中央で磁束の量が多い加熱コイル1が発生させる磁束8と、その逆向きの成分を持つ2個の補助コイル2が発生させる磁束9とが重ね合わされているためである。
以上のように、2個の補助コイル2は、被加熱体6の加熱部20の近傍の磁束分布が均一となるように作用する。その結果、被加熱体6の加熱部20の中央を過度に加熱することがなくなり、パイプ破断を防止する効果が得られる。
このようなパイプ破断の問題が特に課題となるのは、被加熱体6の材料にアルミニウムを採用した場合である。これは、ロウ付け時に制御すべき温度範囲が、他の金属を被加熱体6の材料に用いたときに比べて、狭くなるためである。アルミニウムの融点は660℃であり、これは、一般的に金属パイプの材料に用いられる銅の融点1083℃よりも大幅に低い。ロウ材の融点は580℃であるため、パイプの破断なくロウ付けを行うには、被加熱体6の加熱部20を、580℃以上660℃以下の狭い範囲に温度を制御することが求められる。
このような理由から、アルミニウム材料の被加熱体6をパイプ破断がないように誘導加熱ロウ付けするためには、被加熱体6の構造を考慮して、加熱コイル1と2個の補助コイル2それぞれとの巻き数又は配置などのコイル構造を工夫する必要がある。
そこで、加熱コイル1と各補助コイル2とが満たすべき構造の条件を、シミュレーションを用いて導出する。以下では、コイル構造のパラメータについて説明したのち、実際のシミュレーション結果から得られる、パイプ破断がなくロウ付けを実現する各補助コイル2の構造の条件を説明する。
まず、コイル構造のパラメータについて、図3A、図3B、図3C、及び図3Dを用いて説明する。図3A及び図3Bは、加熱コイル1に関するパラメータを説明したものであり、図3C及び図3Dは、各補助コイル2に関するパラメータを説明したものである。
加熱コイル1のパラメータとしては、図3Aにおいて、加熱コイル1と被加熱体6との距離11と、加熱コイル1の巻き線のピッチ12とがある。加熱コイル1と被加熱体6との距離11は、加熱コイル1の巻き線と被加熱体6(上部金属パイプ3)の軸との最短距離と定義し、加熱コイル1のピッチ12は、加熱コイル1の巻き線同士のギャップの幅と定義する。また、図3Bに示すように、加熱コイル1のコイル径(コイル中心径)13もパラメータとなる。加熱コイル1のコイル径13は、加熱コイル1の金属パイプの中心軸で形成させる円の直径と定義する。また、図中には示されないが、加熱コイル1の巻き数もパラメータとして挙げられ、これは、平行に配置されたコイルの加熱空間1aの片側の巻き数と定義する。
各補助コイル2のパラメータとしては、図3Cにおいて、補助コイル2と被加熱体6との距離14と、補助コイル2の巻き線のピッチ15とがある。補助コイル2と被加熱体6との距離14は、補助コイル2の巻き線と被加熱体6(上部金属パイプ3)の軸との最短距離と定義し、補助コイル2のピッチ15は、補助コイル2の巻き線同士のギャップの幅と定義する。また、図3Dに示すように、補助コイル2のコイル径16もパラメータとなる。補助コイル2のコイル径16は、補助コイル2の金属パイプの中心軸で形成される円の直径と定義する。また、図中には示されないが、補助コイル2の巻き数もパラメータとして挙げられ、これは、平行に配置されたコイルの加熱空間1aの片側の巻き数と定義する。
これらのコイル1,2のパラメータは、被加熱体6の加熱部20の中央の加熱抑制に効果を持つパラメータ(I)と、加熱部20の中央の加熱抑制に効果を持たないパラメータ(II)とに分類される。さらに、加熱部20の中央の加熱抑制に効果を持たないパラメータ(II)は、加熱コイル1の特性のみを決めるパラメータ(IIA)と、加熱特性への影響をほとんど持たないパラメータ(IIB)とに分けることができる。
まずは、加熱部20の中央の加熱抑制に効果を持たないパラメータ(II)を、それぞれ、説明する。
加熱部20の中央の加熱抑制に効果を持たないパラメータ(II)のうちの、加熱コイル1の特性のみを決めるパラメータ(IIA)は、具体的には、加熱コイル1と被加熱体6との距離11と、加熱コイル1のコイル径13と、そして加熱コイル1の巻き数とが挙げられる。
加熱コイル1と被加熱体6との距離11と、加熱コイル1の巻き数とは、加熱コイル1が被加熱体6の加熱部20に供給する磁束の量を決めるパラメータである。また、加熱コイル1のコイル径13も、加熱コイル1が被加熱体6の周辺に供給する磁束の範囲を決めるパラメータである。これらのパラメータは、あくまで加熱部20の範囲、及び供給する磁束の量を決めるパラメータであり、加熱部20の中央の加熱抑制には効果を持たない。
加熱部20の中央の加熱抑制に効果を持たないパラメータ(II)のうちの、加熱特性への影響をほとんど持たないパラメータ(IIB)は、具体的には、加熱コイル1のピッチ12と、補助コイル2と被加熱体6との距離14と、そして補助コイル2のピッチ15とが挙げられる。
加熱コイル1のピッチは、漏れ磁束の量を決めるパラメータである。漏れ磁束は加熱特性に影響を持つが、加熱コイル1のように中間部に加熱空間1aを持った構造では、中間部での漏れ磁束が支配的となる。そのため、加熱コイル1のピッチ12と補助コイル2のピッチ15とは、加熱特性にほぼ影響を与えない。
また、補助コイル2は加熱コイル1の内部空間1bに配置されるため、補助コイル2と被加熱体6との距離14は、加熱コイル1の内部空間1bでの補助コイル2の位置関係を表すことになる。このパラメータが加熱特性への影響を持たない理由は、以下のように説明することができる。なお、ここでは、補助コイル2が作用する加熱部20の中央の磁束分布のみに絞って説明を行う。被加熱体6の加熱部20の中央の磁束は、加熱コイル1の中間部の磁束分布によって決定される。一般に、コイル内部では、中心軸近傍の磁束は常に一定の値を取るため、加熱コイル1の中心軸近傍の磁束は、加熱コイル1のどの位置でも一定の値となる。そのため、加熱コイル1の内部空間1bのどの位置に補助コイル2を配置しても、中心軸近傍の磁束は常に一定の値を取り、被加熱体6の加熱部20の中央の磁束も一定となる。以上から、加熱コイル1の内部空間1bの補助コイル2の位置は、加熱部20の温度分布への影響を持たず、補助コイル2と被加熱体6との距離14は、加熱特性へ影響を持たない。
以上のパラメータ(IIA)及び(IIB)を除外することで、被加熱体6の加熱部20の中央の加熱抑制に効果を持つパラメータ(I)として、補助コイル2の巻き数と、補助コイル2のコイル径16とを抽出することができる。
補助コイル2の巻き数は、補助コイル2が発生させる磁束の量を決定するパラメータである。実際の加熱では、加熱する磁束の量に対して、抑制する磁束の量が重要となるため、加熱コイル1の巻き数と補助コイル2の巻き数との比率が重要となる。以下では、この比率のことを、「巻き数比」と呼ぶことにし、加熱コイル1の巻き数を1としたときの補助コイル2の巻き数である、と定義する。
補助コイル2のコイル径16は、補助コイル2の発生させる磁束の範囲に作用することから、加熱抑制をする範囲を決めるパラメータである。実際の加熱では、加熱する範囲に対する抑制範囲が重要となるため、加熱コイル1のコイル径13と補助コイル2のコイル径16との比率が、重要となる。以下では、この比率のことを、「コイル径比」と呼ぶことにし、加熱コイル1のコイル径を1としたときの補助コイル2のコイル径の値である、と定義する。
これらのパラメータが加熱に及ぼす影響を、シミュレーションを用いて評価する。シミュレーションには、Femtet2014(ムラタソフトウェア株式会社)の電磁場及び熱連成解析機能を使用した。
解析モデルは、図1A及び図1Bに示す構造と同等の加熱コイル1と補助コイル2とを作成し、被加熱体6については、形状を固定して、解析を行った。また、コイル構造についても、被加熱体6の加熱部20の中央の加熱抑制に効果を持たないパラメータについては、値を固定して、解析を行った。
被加熱体6については、上部金属パイプ3の長さを40mmとし、下部金属パイプ4の長さを40mmとした。ここでは簡単のため、フレア加工部4aとリングロウ5とは省略している。この被加熱体6における加熱部20は、上部金属パイプ3と下部金属パイプ4との接合部の前後(例えば図1Aでは上下)10mmの範囲と設定した。
また、コイル構造のパラメータについては、以下のように固定した。加熱コイル1と被加熱体6との距離11は2mm、加熱コイル1のコイル径13は20mm、加熱コイル1のピッチ12は1mm、補助コイル2と被加熱体6との距離14は2mm、そして補助コイル2のピッチ15は1mm、補助コイル2のパイプの直径は3mmである。
解析では、パイプ破損なくロウ付けができる条件を求めるため、コイル径比と巻き数比との2つのパラメータを振り、被加熱体6の加熱部20の最低温度がロウ材の融点580℃となったときの加熱部20の最高温度を調べる。このときの加熱部20の最高温度がパイプ材の融点660℃以下となるパラメータの範囲が、今回導出する条件となる。
図4は、前記に定義した加熱部20の最低温度がロウ材融点580℃となったときの、加熱部20の最高温度をシミュレーションした結果のグラフである。ここでは、コイル径比を変えながら、巻き数比(1/2、1/3、1/4)毎の最高温度をプロットしている。ここで、コイル径比0.33及び0.73は、それぞれ、コイル径比の取りうる最小値及び最大値である。コイル径比の最小値0.33は、パイプの直径を考慮して、補助コイル2を形成したときの最小のコイル径から決定される。また、コイル径比の最大値0.73は、加熱コイル1と接触しないように補助コイル2を形成したときの、最大のコイル径から決定される。また、グラフ中の横方向の破線は、パイプ材のアルミニウムの融点である660℃を示しており、この破線以下の値であれば、金属パイプが破損及び破断しないという条件を満たすことを意味する。
このグラフから、最高温度が660℃以下となるコイル径比は、巻き数比ごとに異なることが解る。巻き数比で比べると、巻き数比が1/4以下になると、最高温度660℃以下を可能とする条件がないことが解り、巻き数比1/3が最大となる。
また、グラフでは、巻き数比が1/2より大きい領域における値がプロットされていないが、これは、巻き数比が1/2を超えると、加熱部20の最低温度がロウ材融点580℃に到達しないためである。したがって、上部又は下部金属パイプ3,4を破断せずにロウ付けを実現する巻き数比は1/2以下となる。
以上をまとめると、コイル1,2の巻き数比の条件は、1/3と、1/2となる。
また、図4のグラフが示すように、コイル径比についても、巻き数比が1/3のときと1/2のときとに、それぞれ、最高温度が660℃以下を満たす条件が決められており、以下にその条件を示す。
コイル1,2の巻き数比が1/3のときには、コイル径比の定義を基に換言すると、加熱コイル1のコイル径を1としたとき、補助コイル2のコイル径が0.67以上となることが条件となる。
また、同様の考え方で、コイル1,2の巻き数比が1/2のときには、コイル径比の定義を基に換言すると、加熱コイル1のコイル径を1としたとき、補助コイル2のコイル径が0.6以上となることが条件となる。
また、グラフから読み取ると、上部又は下部金属パイプ3,4を破断せずにロウ付けを実現可能な条件を満たすコイル径比の最大値は0.73であるが、これは、加熱コイル1と補助コイル2とが接触しない条件のときのコイル径比の値である。従って、前記巻き数比の2条件に対する補助コイル2のコイル径の最大値の条件は、補助コイル2の外径が、加熱コイル1の内径未満であることである。
前記したかかる構成によれば、被加熱体6の加熱部20の近傍の磁束分布が均一となるように2個の補助コイル2が作用し、加熱部20の中央を過度に加熱することがなくなり、パイプ破断を防止する効果が得られる。
なお、前記様々な実施の形態又は変形例のうちの任意の実施の形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施の形態同士の組み合わせ又は実施例同士の組み合わせ又は実施の形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施の形態又は実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。
本発明の誘導加熱装置は、加熱部の中央への過度の加熱を抑制することで金属パイプの破断を防止する効果を有し、エアコンなどに用いられる熱交換器の金属パイプのロウ付け用途に適用できる。また、本発明の誘導加熱装置は、金属パイプの焼入れ等の金属パイプ加熱用途にも適用できる。
1 加熱コイル
1a 加熱空間
1b 加熱コイルの内部空間
2 補助コイル
3 上部金属パイプ
4 下部金属パイプ
4a フレア加工部
4b 直管部
5 リングロウ
6 被加熱体
7 誘導加熱電源
8 加熱コイルが発生させる磁束
9 補助コイルが発生させる磁束
10 加熱コイルと補助コイルが発生させる磁束
11 加熱コイルと被加熱体との距離
12 加熱コイルのピッチ
13 加熱コイルのコイル径
14 補助コイルと被加熱体との距離
15 補助コイルのピッチ
16 補助コイルのコイル径
20 被加熱体の加熱部
1a 加熱空間
1b 加熱コイルの内部空間
2 補助コイル
3 上部金属パイプ
4 下部金属パイプ
4a フレア加工部
4b 直管部
5 リングロウ
6 被加熱体
7 誘導加熱電源
8 加熱コイルが発生させる磁束
9 補助コイルが発生させる磁束
10 加熱コイルと補助コイルが発生させる磁束
11 加熱コイルと被加熱体との距離
12 加熱コイルのピッチ
13 加熱コイルのコイル径
14 補助コイルと被加熱体との距離
15 補助コイルのピッチ
16 補助コイルのコイル径
20 被加熱体の加熱部
Claims (3)
- 中間の加熱空間に配置された被加熱体を誘導加熱電源から供給される電力によって加熱する加熱コイルを具備した誘導加熱装置において、
前記加熱コイルの軸と同一の軸を持ち、前記加熱コイルの内径よりも外径が小さく、前記加熱コイルの内部空間に、前記被加熱体を挟んで対称となる位置に配置され、前記加熱コイルと前記誘導加熱電源とから電気的に絶縁された補助コイルを備える誘導加熱装置。 - 前記補助コイルは、前記加熱コイルの巻き数を1としたときの前記補助コイルの巻き数が1/3である関係を示し、かつ前記加熱コイルのコイル径を1としたときの前記補助コイルのコイル径が0.67以上となるコイルであり、前記補助コイルの外径が前記加熱コイルの内径未満となる、請求項1に記載の誘導加熱装置。
- 前記補助コイルは、前記加熱コイルの巻き数を1としたときの前記補助コイルの巻き数が1/2である関係を示し、かつ前記加熱コイルのコイル径を1としたときの前記補助コイルのコイル径が0.6以上となるコイルであり、前記補助コイルの外径が前記加熱コイルの内径未満となる、請求項1に記載の誘導加熱装置。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN107538095A (zh) * | 2017-08-28 | 2018-01-05 | 中国电器科学研究院有限公司 | 一种感应钎焊设备和铜管快速感应钎焊工艺方法 |
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2014
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CN107538095A (zh) * | 2017-08-28 | 2018-01-05 | 中国电器科学研究院有限公司 | 一种感应钎焊设备和铜管快速感应钎焊工艺方法 |
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