JP2016109607A - 強震計、測定システムおよび損傷状態判定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】角速度センサを備えた強震計、その強震計を使用した建築構造物のねじれなどの測定システムおよび損傷状態判定方法を提供することを課題とする。【解決手段】建築構造物3の揺れとねじれを検知する強震計1であって、加速度センサと、角速度センサと、通信装置と、を備えてなり、前記加速度センサは、X軸方向とY軸方向とZ軸方向の加速度を測定する手段であり、前記角速度センサは、X軸とY軸とZ軸の角速度を測定する手段であり、前記通信装置は、前記加速度と前記角速度と前記ねじれ量のデータを送信する手段であることを特徴とする強震計。【選択図】図1
Description
本発明は、地震検知装置に関する。更に詳しくは、地震により建物が振動するのと同時にねじれを生じて損傷したことを検知するための検知装置およびそれを用いた測定システムに関する。
建築構造物は、外観形状や内部構造が自由に設計されるため、強度を保持するための構造物の密度が均一ではなく、地震などの地面の強振動(以下、地震と記す。)に対し、地面に接した下層部分と上層部分でねじれ振動が発生する。
従来、建築構造物の地震による損傷などの被害を検知する方法として、加速度センサが使用されてきた。多層階の建築構造物の場合、計測対象の各フロアにX軸、Y軸、およびZ軸の3軸方向に、加速度センサによる振動の計測・記録装置(以下、強震計と記す。)を設置し、それらの強震計で記録されたデータを解析する事によって、建築構造物の損傷状況を判定していた。加速度センサによる振動の計測装置としては、例えば、特許文献1に開示されているような技術がある。
この強震計を用いた従来の方法では、建築構造物の計測対象の各フロアに複数の強震計を設置し、それらの強震計のデータの相対的な比較から、ねじれの発生状況を計算する必要があった。そのため、1つのフロアに複数の強震計を設置することが必要となり、費用が嵩むことから普及の大きな阻害要因となっていた。
一方、ねじれを検知する技術としては、非特許文献1に開示されているような角速度センサを使用した計測方法がある。この技術によれば1つの角速度センサによって角速度を計測可能であり、且つ、複数の加速度センサから得たデータを演算してねじれを算出する必要もない。この角速度センサは、デジタルカメラなどの手振れ防止機構、ゲーム、スマートフォンなどに適用されているが、角速度センサを備えた強震計およびそのような強震計を使用した多層階の建築構造物の損傷状態を把握するための測定システムについても開示された例を見出す事ができなかった。
「民生用 3軸角速度(モーション)センサの開発」Panasonic Technical Journal Vol.58 No.1 Apr.2012,pp47〜52
本発明は上記の状況を鑑み、角速度センサを備えた強震計、その強震計を使用した建築構造物のねじれなどの測定システムおよび損傷状態判定方法を提供することを課題とする。
上記の課題を解決する手段として、請求項1に記載の発明は、建築構造物の揺れとねじれ量を検知する強震計であって、
加速度センサと、角速度センサと、通信装置と、を備えてなり、
前記加速度センサは、X軸方向とY軸方向とZ軸方向の加速度を測定する手段であり、
前記角速度センサは、X軸とY軸とZ軸の角速度を測定する手段であり、
前記通信装置は、前記加速度と前記角速度を送信する手段であることを特徴とする強震計である。
加速度センサと、角速度センサと、通信装置と、を備えてなり、
前記加速度センサは、X軸方向とY軸方向とZ軸方向の加速度を測定する手段であり、
前記角速度センサは、X軸とY軸とZ軸の角速度を測定する手段であり、
前記通信装置は、前記加速度と前記角速度を送信する手段であることを特徴とする強震計である。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の強震計を使用して、多層階からなる建築構造物の損傷状態を把握する測定システムであって、
前記建築構造物の測定対象のフロアに1台ずつ設置した強震計と、
各強震計で測定し送信したデータを受信して、前記建築構造物の損傷状態を画像として表示するためのコンピュータ装置と、を備えていることを特徴とする測定システムである。
前記建築構造物の測定対象のフロアに1台ずつ設置した強震計と、
各強震計で測定し送信したデータを受信して、前記建築構造物の損傷状態を画像として表示するためのコンピュータ装置と、を備えていることを特徴とする測定システムである。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の強震計を用いた建築構造物の損傷状態判定方法であって、
予め設定した時間スパン内で、予め設定した時間間隔で測定した角速度の測定値と、その時間スパンの1つ前の時間スパン内において算出した角速度の平均値と、前記角速度の測定値から前記角速度の平均値を差し引くことによって算出した角速度の修正値と、を記憶する工程と、
地震を検知するまでは、前記工程を繰り返し、地震を検知した後は、地震を検知しなくなるまで、予め設定した測定の時間間隔で測定した角速度と、その角速度の測定値から地震を検知する直前に記憶した角速度の平均値を差し引いた角速度の修正値と、を記憶する工程と、
地震を検知した後に記憶された角速度の修正値を、地震が検知された時刻から地震が検知されなくなった時刻まで積分することによって算出したねじれ量が、予め設定した値を超えた時に、前記建築構造物に損傷が発生したと判定することを特徴とする損傷状態判定方法である。
予め設定した時間スパン内で、予め設定した時間間隔で測定した角速度の測定値と、その時間スパンの1つ前の時間スパン内において算出した角速度の平均値と、前記角速度の測定値から前記角速度の平均値を差し引くことによって算出した角速度の修正値と、を記憶する工程と、
地震を検知するまでは、前記工程を繰り返し、地震を検知した後は、地震を検知しなくなるまで、予め設定した測定の時間間隔で測定した角速度と、その角速度の測定値から地震を検知する直前に記憶した角速度の平均値を差し引いた角速度の修正値と、を記憶する工程と、
地震を検知した後に記憶された角速度の修正値を、地震が検知された時刻から地震が検知されなくなった時刻まで積分することによって算出したねじれ量が、予め設定した値を超えた時に、前記建築構造物に損傷が発生したと判定することを特徴とする損傷状態判定方法である。
本発明の強震計およびそれを使用した建築構造物の損傷状態を判定する測定システムによれば、建築構造物のねじれが発生した事を、角速度の時間的な積分値を算出する事によって検知可能となり、そのことから建築構造物に損傷が発生したかどうかを判定することが可能となる。
本発明の強震計、それを使用した測定システムおよび建築構造物の損傷状態判定方法について図1〜5を使用して説明する。
<強震計>
本発明の強震計は、地震によって建築構造物が揺れると同時にねじれが生じることを検知する測定装置である。
<強震計>
本発明の強震計は、地震によって建築構造物が揺れると同時にねじれが生じることを検知する測定装置である。
本発明の強震計は、従来の強震計が備えていた加速度センサに加えて、角速度センサを備えていることが特徴である。角速度センサは、角速度を検出し、測定することができるデバイスである。
加速度センサは、三次元をX軸、Y軸、Z軸で表すと、それぞれX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の加速度を測定するデバイスである。その加速度データを演算装置にて積分することにより、速度データを得る事ができ、更にもう1回積分する事により、位置データを得ることができる。
角速度センサは、ある軸の周りに回転する物体の角速度を測定するデバイスである。振動式ジャイロセンサと静電容量式ジャイロセンサが知られている。3軸加速度センサと3軸角速度センサが一体となったものが市販されている。
角速度センサから得られた角速度データを積分することにより、角度のデータが得られる。これがねじれに相当する。地震が発生した期間に亘って角速度を積分した値が0またはある値以内である場合は、建築構造物にねじれが発生していないと考えて良い。ここで、ある値とは、角速度センサに発生するノイズや、電子回路を構成する電子素子特性のゆらぎなどによって、実際にはねじれが発生していない場合においても、ある有限の値の範囲で0の前後で指示値が変動する(図3参照)。そのような範囲での指示値を0と見なし、角速度の積分値がそのような値より大きくなった場合に、ねじれが発生したと判定することができる。
本発明の強震計は、図2に示したように、予め設定した測定の時間間隔11に従って、順次、角速度を測定し、記憶して行くが、図4に示したように、加速度センサが地震の揺れを検知すると、強震計の送信間隔である予め設定した時間スパン10に従ってコンピュータ装置に加速度データを送信する。その加速度データを受信したコンピュータ装置は、地震が検知された時刻20から地震が検知されなくなった時刻21までのデータを使用して、測定された加速度データを2回積分することにより、X方向、Y方向、Z方向の各方向の原点(地震を検知する直前の座標)からの変位を算出する。例えば、地震によって、強震計が固定された床はX−Y平面は変化しなかったが、Z方向にzだけ沈んだ(−z)場合は、座標系(X、Y、Z)において強震計の元の位置(原点)を(0、0、0)として、地震後の強震計の位置は(0、0、−z)に変位したとしてコンピュータ装置が検知する。
一方、強震計の角速度センサは、それぞれX軸、Y軸、Z軸の周りを回転する方向の角速度を測定する。測定された角速度データを加速度データと同様にしてコンピュータ装置に送信し、地震が検知された時刻20から地震が検知されなくなった時刻21までのデータを使用して、コンピュータ装置が1回積分を行うことにより、各軸における元の角度(地震を検知する直前の角度)から回転した角度として、ねじれた角度(ねじれ量)を算出する。例えば、地震によって、X軸の周りに45度傾き、Y軸とZ軸では変化がなかった場合は、強震計は、X軸の周りに45度回転したこと、またはねじれたことを検知する。X軸だけでなく、Y軸、Z軸の回転も加えることにより、より複雑なねじれを特定することができる。
また本発明の強震計は、予め設定した時間スパンが終了した時点で、加速度センサが測定した加速度および角速度センサが測定した角速度を強震計に備えられた通信装置によって、コンピュータ装置に送信するが、その時間スパンにおける加速度および角速度を積分
することによって算出した速度、変位、角度の他に、角速度の平均値などのデータを記憶する。
することによって算出した速度、変位、角度の他に、角速度の平均値などのデータを記憶する。
<強震計を使用した測定システム>
図1に示したように、本発明の測定システムは、本発明の強震計1を、多層階を有する建築構造物3の測定対象となるフロア4に1台設置し、設置した各強震計1をコンピュータ装置2と通信手段5によって通信可能とした測定システムである。
図1に示したように、本発明の測定システムは、本発明の強震計1を、多層階を有する建築構造物3の測定対象となるフロア4に1台設置し、設置した各強震計1をコンピュータ装置2と通信手段5によって通信可能とした測定システムである。
コンピュータ装置2は、地震によって生じる揺れや地震前の強震計1の位置からの変位などを、強震計1の加速度センサが測定するX方向、Y方向、Z方向の加速度とそれから算出される速度、変位のデータにより特定が可能であり、同時に元の位置からのX軸、Y軸、Z軸の周りの回転速度(角速度)および回転角度(ねじれ量)として、角速度センサが測定する角速度データとそれから算出される角度により、ねじれ量の特定が可能である。それらのデータを使用して、コンピュータ装置が建築構造物の変化した状態を表示し、そのことにより建築構造物の損傷状態を表示することが可能である。
本発明の測定システムは、各フロア4に設置する本発明の強震計1と、それらの強震計1が測定したデータを受信して、集計し、演算処理した結果の画像および建築構造物の元の状態からの変位や変位した時の速度、およびねじれとして表示することにより建築構造物全体の損傷状態を表現するための処理プログラムを含めたコンピュータ装置2によって構成されている。コンピュータ装置2には、予め当該建築構造物3の骨格を示す構造骨格図など元の建築構造物3を示す情報が記憶されており、例えば、その構造骨格図の中に配置されている測定対称の各フロア4に配置された強震計1が模式的に表示されるようになっている。予め設定した時間スパンが終了する毎に強震計から加速度センサや角速度センサが測定したデータがコンピュータ装置2に送信される(図2)。それらのデータを使用して、コンピュータ装置2が、建築構造物3の元の状態からの変位、揺れやねじれのデータを使用してコンピュータ装置2の画像表示部に画像として表示する。コンピュータ装置2としては市販のパーソナルコンピュータを使用することが可能である。
また、地震発生時に停電することが予想されるため、本発明の測定システムでは、強震計1とコンピュータ装置2は、10分程度の間、それらの装置が機能できるだけの無停電電源を備えることができる。
また、強震計1は、加速度センサや角速度センサが測定したデータを演算処理せずに、コンピュータ装置に送信する場合を説明したが、これに限定する必要は無い。例えば、建築構造物3に設置する強震計1の数が多く、コンピュータ装置2の演算処理能力が不足する場合には、強震計1の中に積分処理などの演算処理能力を持たせても良い。そうする事によって、コンピュータ装置2は、強震計1から送信されたデータを演算処理する必要が無くなり、コンピュータ装置2の演算処理能力が不足する事態を回避することができる。また、強震計1には演算処理を持たせずに、コンピュータ装置2の演算処理能力を高くした方がコスト的に有利であれば、そのようにしても良い。
<建築構造物の損傷状態判定方法>
本発明の多層階からなる建築構造物の損傷状態を判定するための測定システムで使用する損傷状態判定方法について説明する。
本発明の多層階からなる建築構造物の損傷状態を判定するための測定システムで使用する損傷状態判定方法について説明する。
本発明の強震計が地震を検知していない場合の動作を説明する。
本発明の強震計は、図2に示したように、一定の測定の時間間隔11(例えば、0.1秒)で、X軸、Y軸、Z軸における角速度を測定し、コンピュータ装置に送信する。データの送信は、予め設定した時間スパン10(例えば、1.0秒)が終了する毎に、その時
点で送信をスタートする。通信の手段は、無線でも有線でも良い。同時に、X方向、Y方向、Z方向における加速度を測定し、コンピュータ装置に送信する。
本発明の強震計は、図2に示したように、一定の測定の時間間隔11(例えば、0.1秒)で、X軸、Y軸、Z軸における角速度を測定し、コンピュータ装置に送信する。データの送信は、予め設定した時間スパン10(例えば、1.0秒)が終了する毎に、その時
点で送信をスタートする。通信の手段は、無線でも有線でも良い。同時に、X方向、Y方向、Z方向における加速度を測定し、コンピュータ装置に送信する。
また、コンピュータ装置は、予め設定した前記時間スパン10において測定された角速度の平均値を算出し、個々の角速度の測定値と一緒に記憶する。この平均値を角速度のベースライン(基準値)として使用し、次の時間スパンにおいて測定される個々の角速度の値から、この平均値を差し引いた値を、角速度の測定値として記憶する。
この工程を続けて行くことによって、常に、1つ前の時間スパン10で測定した角速度から算出した平均値を用いて、当該時間スパン10で測定された個々の角速度の値からその平均値を差し引いた値を角速度の測定値として記憶する。1つ前の時間スパンで記憶した(角速度センサが測定した)生の測定データは、平均値を算出した後は不要となるので、常に次の生の測定データを上書きして行けばよい。これらの角速度のデータは、当該時間スパン10が終了するとコンピュータ装置に送信され、当該時間スパン10で積分されることにより角度のデータを算出し、コンピュータ装置が記憶する。この一連の工程を繰り返す。
また、地震による建物の損傷検出方法として、以下の手段もある。
地震被災前(建物の損傷がない状態)の測定結果から、建物の密度差等により発生するねじれを解析する。一方で、被災後(建物の損傷がある状態)の測定結果から、損傷の影響を受けた建物のねじれを解析する。それらの2つのねじれの差分を比較し、その差分がある閾値を超えていた場合に損傷有と判定する、という手段である。
また、地震による建物の損傷検出方法として、以下の手段もある。
地震被災前(建物の損傷がない状態)の測定結果から、建物の密度差等により発生するねじれを解析する。一方で、被災後(建物の損傷がある状態)の測定結果から、損傷の影響を受けた建物のねじれを解析する。それらの2つのねじれの差分を比較し、その差分がある閾値を超えていた場合に損傷有と判定する、という手段である。
次に、本発明の強震計が地震を検知した場合の動作について説明する(図2、4参照)。
本発明の強震計の加速度センサが地震を検知すると、地震が検知されなくなるまで、角速度データを測定し、コンピュータ装置に送信する。コンピュータ装置は、予め設定された時間スパン10の範囲で角速度データを積分し、ねじれ量を算出し記憶する。次の時間スパンにおいても、同様にしてねじれ量を算出し、記憶するのと同時に、累積のねじれ量を算出し、記憶する。その累積のねじれ量が、図5に示す様に、予め設定した値22に到達した時、建築構造物に損傷が発生したとコンピュータ装置が判定する。建築構造物に損傷が発生していない範囲では、建築構造物は地震などの外力により弾性変形し、ねじれることもあるが、その外力が無くなれば、また元に戻るため、ねじれ量は0になる。予め設定した値22より小さい累積ねじれ量の場合は、外力が無くなれば、ねじれ量は0に戻る。しかしながら、予め設定した値22を以上のねじれ量が測定された場合は、不可逆的なねじれ変化が起こったことを意味する。
本発明の強震計の加速度センサが地震を検知すると、地震が検知されなくなるまで、角速度データを測定し、コンピュータ装置に送信する。コンピュータ装置は、予め設定された時間スパン10の範囲で角速度データを積分し、ねじれ量を算出し記憶する。次の時間スパンにおいても、同様にしてねじれ量を算出し、記憶するのと同時に、累積のねじれ量を算出し、記憶する。その累積のねじれ量が、図5に示す様に、予め設定した値22に到達した時、建築構造物に損傷が発生したとコンピュータ装置が判定する。建築構造物に損傷が発生していない範囲では、建築構造物は地震などの外力により弾性変形し、ねじれることもあるが、その外力が無くなれば、また元に戻るため、ねじれ量は0になる。予め設定した値22より小さい累積ねじれ量の場合は、外力が無くなれば、ねじれ量は0に戻る。しかしながら、予め設定した値22を以上のねじれ量が測定された場合は、不可逆的なねじれ変化が起こったことを意味する。
以上に説明したように、本発明の強震計を使用した測定システムとその損傷状態判定方法を使用することによって、多層階からなる建築構造物が、地震により損傷を受けたかどうかを判定することが可能である。従来の同種のシステムとは異なり、各フロアに1台の強震計で損傷を受けたかどうかを判定することが可能になることが、本発明の強震計を使用した測定システムの特徴である。
さらに建物の損傷検出以外にも、研究等の目的で日々の建物の密度差等により発生するねじれの測定等の目的にも使用できる。
さらに建物の損傷検出以外にも、研究等の目的で日々の建物の密度差等により発生するねじれの測定等の目的にも使用できる。
次に、本発明の実施例について説明する。
<実施例1>
本発明の強震計に使用する3軸加速度センサと3軸角速度センサとして、3軸ジャイロセンサと3軸加速度センサが一体となったAH−6120LR/AP−6110LR(セイコーエプソン(株)製)を使用し、市販のパーソナルコンピュータと測定データを送受
信可能な送受信装置を備えたものとして、本発明の建築構造物のねじれを測定し、損傷状態を判定することができる測定システムを構成した。
<実施例1>
本発明の強震計に使用する3軸加速度センサと3軸角速度センサとして、3軸ジャイロセンサと3軸加速度センサが一体となったAH−6120LR/AP−6110LR(セイコーエプソン(株)製)を使用し、市販のパーソナルコンピュータと測定データを送受
信可能な送受信装置を備えたものとして、本発明の建築構造物のねじれを測定し、損傷状態を判定することができる測定システムを構成した。
また、強震計とパーソナルコンピュータの双方の通信手段には、多層階の建築構造物を想定し、有線LANを使用した。
3軸加速度センサと3軸角速度センサの測定の時間間隔は、100msecとし、それらのセンサからパーソナルコンピュータに測定データを送信する時間スパンを1000msecとした。このことにより、強震計からは1秒間(1000msec)に10回の測定が行われ、6軸(X方向、Y方向、Z方向およびX軸、Y軸、Z軸)について各10個の測定データが、1秒毎にパーソナルコンピュータに送信された。
送信されたこれらのデータを使用し、パーソナルコンピュータは加速度センサのデータを時間スパンの1000secに亘り1回および2回積分することにより速度および変位データをそれぞれ算出した。一方、角速度センサのデータを同様に1回積分し、ねじれ量に相当する角度データを算出した。また、その時間スパンに於ける角速度の平均値を算出した。それらのデータを全てコンピュータ装置の記憶部に記憶した。
次に、その時間スパン内で測定された10個の各角速度データのそれぞれから、その時間スパンの1つ前の時間スパン内で測定された角速度データの平均値を差し引き、それを修正された角速度データとして記憶した。
10台の本発明の強震計を、同じフロアに置いた異なる10のテーブルに置き、60秒間放置した後、1つのテーブルを10秒間揺り動かした後、30度の角度に傾けて60秒間放置した。この間の10台の強震計からの130秒間の測定データ(6軸のデータ)は、パーソナルコンピュータに記録された。10秒間揺り動かした後、30度に傾けた1台のテーブルからの角速度のデータは、図4に示したグラフと同様のグラフが得られた。また、ねじれ量については、図5に示したグラフと同様のグラフが、テーブルを傾けた軸に対応する方向で得られた。
図5で示した予め設定した値を、3度に設定していたため、パーソナルコンピュータは建築構造物が損傷を受けたと判定した。10台の強震計は、10階建ての建物を想定したものであり、各テーブルは、10階建ての各フロアに相当する。揺り動かした後、30度に傾けて放置したテーブルは、10階のフロアに想定していたため、パーソナルコンピュータの表示装置は、10階のフロアがある軸の周りに30度傾いた建築構造物の骨格像を表示した。
<比較例>
次に、比較例について説明する。
実施例1と異なるのは、強震計に使用したセンサが、加速度センサだけとした。同じAH−6120LR/AP−6110LR(セイコーエプソン(株)製)を使用したが、パーソナルコンピュータで受信するデータは、加速度データだけにした。
その結果、ねじれに関する情報を得ることができなかった。
次に、比較例について説明する。
実施例1と異なるのは、強震計に使用したセンサが、加速度センサだけとした。同じAH−6120LR/AP−6110LR(セイコーエプソン(株)製)を使用したが、パーソナルコンピュータで受信するデータは、加速度データだけにした。
その結果、ねじれに関する情報を得ることができなかった。
1・・・強震計
2・・・コンピュータ装置
3・・・建築構造物
4・・・フロア
5・・・通信手段
10・・・時間スパン
11・・・測定の時間間隔
20・・・地震発生時刻
21・・・地震終了時刻
22・・・予め設定した値
2・・・コンピュータ装置
3・・・建築構造物
4・・・フロア
5・・・通信手段
10・・・時間スパン
11・・・測定の時間間隔
20・・・地震発生時刻
21・・・地震終了時刻
22・・・予め設定した値
Claims (3)
- 建築構造物の揺れとねじれ量を検知する強震計であって、
加速度センサと、角速度センサと、通信装置と、を備えてなり、
前記加速度センサは、X軸方向とY軸方向とZ軸方向の加速度を測定する手段であり、
前記角速度センサは、X軸とY軸とZ軸の角速度を測定する手段であり、
前記通信装置は、前記加速度と前記角速度を送信する手段であることを特徴とする強震計。 - 請求項1に記載の強震計を使用して、多層階からなる建築構造物の損傷状態を把握する測定システムであって、
前記建築構造物の測定対象のフロアに1台ずつ設置した強震計と、
各強震計で測定し送信したデータを受信して、前記建築構造物の損傷状態を画像として表示するためのコンピュータ装置と、を備えていることを特徴とする測定システム。 - 請求項1に記載の強震計を用いた建築構造物の損傷状態判定方法であって、
予め設定した時間スパン内で、予め設定した時間間隔で測定した角速度の測定値と、その時間スパンの1つ前の時間スパン内において算出した角速度の平均値と、前記角速度の測定値から前記角速度の平均値を差し引くことによって算出した角速度の修正値と、を記憶する工程と、
地震を検知するまでは、前記工程を繰り返し、地震を検知した後は、地震を検知しなくなるまで、予め設定した測定の時間間隔で測定した角速度と、その角速度の測定値から地震を検知する直前に記憶した角速度の平均値を差し引いた角速度の修正値と、を記憶する工程と、
地震を検知した後に記憶された角速度の修正値を、地震が検知された時刻から地震が検知されなくなった時刻まで積分することによって算出したねじれ量が、予め設定した値を超えた時に、前記建築構造物に損傷が発生したと判定することを特徴とする損傷状態判定方法。
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JP2018146237A (ja) * | 2017-03-01 | 2018-09-20 | 大成建設株式会社 | 建物の振動測定方法 |
JP2019020261A (ja) * | 2017-07-18 | 2019-02-07 | 大成建設株式会社 | 建物の任意箇所の地震応答を推定する方法 |
JP2021009563A (ja) * | 2019-07-01 | 2021-01-28 | 株式会社奥村組 | 防音建屋の設計支援方法及び設計支援装置 |
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2014
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