JP2016107514A - 画像処理装置、画像処理方法および画像記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 記録する画像の色に応じて異なる程度にて発生するインク滴の着弾位置ずれに由来する色差の変動を抑制した記録を行う。【解決手段】 1次色の影響が強い画像を記録する際にはN個の吐出口列のうちのM(M≦N)個の吐出口列にドット記録用データを分配し、2次色または3次色の影響が強い画像を記録する際にはN個の吐出口列のうちのL(L<M)個の吐出口列にドット記録用データを分配する。【選択図】 図7
Description
発明は、画像処理装置、画像処理方法および画像記録装置に関する。
同じ色のインクを吐出するための複数の吐出口を所定方向に沿って配列した吐出口列を有する記録ヘッドを所定方向と交差する交差方向に走査させながら記録媒体にインクを吐出することにより記録媒体に画像を完成させる画像記録装置が従来より知られている。このような画像記録装置では、画質の低下を抑制するために記録媒体上の単位領域に対して複数回の走査を行う、いわゆるマルチパス記録方式が一般に用いられている。
一方、上述のような画像記録装置において、近年では同色のインクに対応する複数の吐出口列が前記交差方向に並んで配置された記録ヘッドを用い、記録媒体を記録ヘッドに対して前記交差方向に相対的に搬送させながらインクを吐出するように制御することが知られている。このような画像記録装置によれば、マルチパス記録方式を用いることなく、1回の走査にてマルチパス記録方式と同様の画質の低下を抑制する効果(以下、マルチパス効果とも称する)を奏する記録を行うことが可能となる。
ここで、上述のような記録ヘッドを用いる場合、記録媒体の搬送量が周期的に変動し、これに伴って異なる吐出口列から吐出されたインク滴の交差方向における着弾位置が周期的にずれてしまい、画質が低下する虞がある。なお、このインク滴の着弾位置のずれはインク滴間の着弾時間差が長いほど、すなわち吐出口列間の交差方向における距離が離れているほど大きなものとなる。これに対し、特許文献1には、インクを吐出する位置を示す2値データ(ドット記録用データ)を各吐出口列に分配し、各吐出口列からインクを吐出するために用いる記録データを生成する際に、複数(例えば4列)の吐出口列のうち近接する所定数(例えば隣接する2列)の吐出口列に対する分配率が他の吐出口列に対する分配率よりも高く設定することが開示されている。
しかしながら、特許文献1には1色のインクを吐出するための記録ヘッドに対応するドット記録用データの分配方法しか開示されていない。
ここで、それぞれ互いに異なる色のインクに対応する複数の記録ヘッドが前記交差方向に並んで配置された記録ヘッド群を用いてカラー画像を記録する場合、インクの着弾位置ずれに由来する色差の変動が記録する画像の色に応じて異なる程度で生じることがわかった。より詳細には、使用するインクの種類が多い画像を記録する場合において、使用するインクの種類が少ない画像を記録する場合よりも上述のインクの着弾位置ずれによる色差の変動が大きな程度で生じてしまう。
本発明は上記の課題を鑑みて為されたものであり、記録する画像の色に応じて異なる程度にて発生するインク滴の着弾位置ずれに由来する色差の変動を好適に抑制した記録画像を得ることを目的とするものである。
そこで、本発明は、第1の色のインクを吐出するための複数の吐出口がそれぞれ所定方向に配列されたN個の第1の吐出口列が前記所定方向と交差する交差方向に並んで配置された第1の記録ヘッドを少なくとも含む複数の記録ヘッドが前記交差方向に並んで配置された、前記第1の色のインクと前記第1の色と異なる第2の色のインクを少なくとも含む複数の色のインクを吐出するための記録ヘッド群と、記録媒体と、を前記交差方向に相対的に移動させながら、前記記録媒体上の複数の画素相当の画素領域のそれぞれに対するインクの吐出または非吐出を定める記録データにしたがってインクを吐出することによって前記記録媒体上に画像を記録するために、前記記録媒体上に記録する画像に対応する画像データを処理する画像処理装置であって、前記画像データに基づいて前記記録媒体上に記録する前記第1の色のインクのドットの位置を定める第1のドット記録用データを取得する第1の取得手段と、前記記録媒体上に吐出する前記第1の色のインクの吐出量と、前記第2の色のインクの吐出量と、に関する情報を取得する第2の取得手段と、前記第1の取得手段により取得された前記第1のドット記録用データを前記N個の第1の吐出口列に分配することにより前記第1の記録ヘッド用の第1の前記記録データを生成する分配手段と、を有し、前記分配手段は、(i)前記第2の取得手段によって取得された前記情報が示す前記第1の色のインクの吐出量が第1の量であり、前記第2の色のインクの吐出量が第2の量である場合、前記第1のドット記録用データを前記N個の第1の吐出口列のうちのM(M≦N)個の第1の吐出口列に分配し、且つ、前記M個の第1の吐出口列以外のN−M個の第1の吐出口列には分配せず、(ii)前記第2の取得手段によって取得された前記情報が示す前記第1の色のインクの吐出量が前記第1の量であり、前記第2の色のインクの吐出量が前記第2の量よりも多い第3の量である場合、前記第1のドット記録用データを前記N個の第1の吐出口列のうちのL(L<M)個の第1の吐出口列に分配し、且つ、前記L個の第1の吐出口列以外のN−L個の第1の吐出口列には分配しないことを特徴とする。
本発明に係る画像処理装置、画像処理方法および画像記録装置によれば、記録する画像の色に応じて異なる程度にて発生するインク滴の着弾位置ずれに由来する色差の変動を好適に抑制した記録画像を得ることが可能となる。
以下に図面を参照し、本発明の第1の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は本実施形態に係るインクジェット記録装置の内部構成を部分的に示す模式図である。
図1は本実施形態に係るインクジェット記録装置の内部構成を部分的に示す模式図である。
本実施形態のインクジェット記録装置(以下、プリンタ、画像記録装置とも称する)は、記録ヘッド101〜104を有する記録ヘッド群107を備えている。ここで、記録ヘッド101〜104は、それぞれブラックインク(Kインク)、シアンインク(Cインク)、マゼンタインク(Mインク)、イエローインク(Yインク)を吐出するためのものである。また、記録ヘッド101〜104は、それぞれのY方向(所定方向)における長さが記録媒体106のY方向における幅よりも長くなるように形成されている。なお、記録ヘッド101〜104はそれぞれX方向において約35mmの幅を有するように形成されている。本実施形態における記録ヘッド群107は、これらの記録ヘッド101〜104がX方向(交差方向)に互いに約5mmの間隔を空けながら並ぶことにより構成される。
記録媒体106は、搬送ローラ105(および他の不図示のローラ)が搬送モータ(不図示)の駆動力によって回転することにより、X方向に搬送(移動)される。このように、記録媒体106をX方向へと搬送(移動)することによって、記録ヘッド群107をX方向に走査させた場合と同じような効果を得ることができる。記録媒体106が搬送される間に、記録ヘッド101〜104それぞれに配列された複数の吐出口(以下、ノズルとも称する)から、後述する記録データに従ってインクの吐出動作が行われる。これにより、記録媒体106に対する1回の記録ヘッド群107のX方向への相対的な走査にて記録媒体106上に画像が形成される。
図2(a)は、本実施形態に係るブラックインクを吐出するための記録ヘッド101の詳細な構成を示す模式図である。記録ヘッド101は、後述する複数の吐出口列(以下、ノズル列とも称する)を有する18個の記録素子基板(チップ)201〜218が、1つの記録素子基板のY方向における一方の端部と1つの記録素子基板のY方向における他方の端部とがY方向に同じ位置となるように、Y方向に沿って千鳥状に配置されることにより構成される。これにより、記録ヘッド101のY方向における長さは記録媒体106のY方向における幅よりも長尺なものとなっている。なお、本実施形態に適用可能な記録ヘッドは図2(a)に示すような複数の記録素子基板をY方向に沿って配置したものに限られない。例えば、記録媒体106の幅以上の長さを有する吐出口列を持ったひとつの記録素子基板から構成された記録ヘッドであっても良い。
図2(b)は、本実施形態に係る図2(a)に示す記録素子基板201の詳細な構成を示す模式図である。記録素子基板201には、それぞれブラックインクを吐出する吐出口がY方向に1200dpiの解像度(1/1200インチの間隔)にて配列された、8(=N)個の吐出口列201a、201b、201c、201d、201e、201f、201g、201hがX方向に並んで配置されている。なお、以下では簡単のため、記録ヘッド101〜104内の同じ記録素子基板に配列された8つの吐出口列をそれぞれ吐出口列a、b、c、d、e、f、g、hとも記載する。また、X方向に互いに隣接(連続)する2つの吐出口列は約2.10mmだけ離間するように構成されている。したがって、吐出口列群201に配置された吐出口列201a〜201hのうち、X方向における両端部に配置された吐出口列201a、201hの間の距離は約14.70mmとなる。
なお、図2(b)には記録素子基板201のみを記載したが、他の記録素子基板202〜218についても同様の構成を有する。また、図2(a)、(b)には記録ヘッド群107内のブラックインクを吐出するための記録ヘッド101のみを記載したが、他のシアンインクを吐出するための記録ヘッド102、マゼンタインクを吐出するための記録ヘッド103、イエローインクを吐出するための記録ヘッド104も同様の構成を有する。
図3は、本発明の一実施形態に係る記録システムを示すブロック図である。同図に示すように、この記録システムは、図1に示したプリンタ100と、そのホスト装置としてのパーソナルコンピュータ(以下、ホストPCと称する)300を有して構成される。
ホストPC300は、以下の要素を有して構成される。CPU301は、記憶手段であるRAM302やHDD303に保持されているプログラムに従った処理を実行する。RAM302は、揮発性のメモリであり、プログラムやデータを一時的に保持する。HDD303は、不揮発性のメモリであり、同じくプログラムやデータを保持する。本実施形態では、データ転送I/F(インターフェース)304はプリンタ100との間におけるデータの送受信を制御する。このデータ送受信の接続方式としては、USB、IEEE1394、LAN等を用いることができる。キーボード・マウスI/F305は、キーボードやマウス等のHID(Human Interface Device)を制御するI/Fであり、ユーザーは、このI/Fを介して入力を行うことができる。ディスプレイI/F306は、ディスプレイ(不図示)における表示を制御する。
一方、プリンタ100は、以下の要素を有して構成される。CPU311は、RAM312やROM313に保持されているプログラムに従い、後述する各処理を実行する。RAM312は、揮発性のメモリであり、プログラムやデータを一時的に保持する。ROM313は不揮発性のメモリであり、後述する処理で使用するテーブルデータやプログラムを保持することができる。
データ転送I/F314は、PC300との間におけるデータの送受信を制御する。ヘッドコントローラ315は、図1に示したそれぞれの記録ヘッド101〜104に対して記録データを供給するとともに、記録ヘッドの吐出動作を制御(吐出制御)する。具体的には、ヘッドコントローラ315は、RAM312の所定のアドレスから制御パラメータと記録データを読み込む構成とすることができる。そして、CPU311が、制御パラメータと記録データをRAM312の上記所定のアドレスに書き込むと、ヘッドコントローラ315により処理が起動され、記録ヘッドからのインク吐出が行われる。
ここで、上述のように、記録媒体の搬送量のずれが周期的である場合、吐出口列間においてインクの着弾位置のずれが生じる場合がある。以下、簡単のためブラックインクを吐出するための記録ヘッド101内の記録素子基板201に配置された吐出口列201a〜201h間における搬送量ずれについて説明する。
図4(a)は記録媒体の搬送量の周期的な変動を模式的に示す図である。また、図4(b)は記録媒体のX方向における位置が0〜4mmの範囲である場合における図4(a)の拡大図である。また、図4(c)はX方向における記録媒体のそれぞれの位置でのX方向への搬送量ずれの値を示す表である。
なお、ここではそれぞれの吐出口列が記録媒体に対して最初にインクを吐出する際の記録媒体のX方向における位置を基準(0mm)として記載する。すなわち、X方向において最も上流側に位置する吐出口列201aに対して記録媒体のX方向における位置が0mmである場合、他の吐出口列201b〜201hは未だ記録媒体と対向する位置にはないことになる。また、吐出口列201bに対して記録媒体のX方向における位置が0mmである際には、吐出口列201aに対しての記録媒体のX方向における位置は1.05mmとなる。
まず、吐出口列201aからインクを吐出する場合における搬送量のずれついて以下に詳細に記載する。
吐出口列201aから記録媒体に対する記録を開始した際、すなわち記録媒体のX方向における位置が0mmの際には、吐出口列201aからはX方向への着弾位置ずれが生じることなくインクが吐出される(搬送量ずれ=0.0μm)。
その後、記録媒体のX方向への搬送が進むにつれて、吐出口列201aから吐出されるインク滴の着弾位置ずれは漸次的にX方向における正方向に大きくなり、記録媒体のX方向における位置が7mmに達した際にはX方向における正方向へ39.9μmの着弾位置ずれが生じる(搬送量ずれ=39.9μm)。これは、記録媒体への記録を開始してから記録媒体のX方向における位置が7mmとなるまで記録媒体を搬送する間においては搬送量が規定の量に比べて大となっているからであると考えられる。
更に記録媒体の搬送が進むと、吐出口列201aから吐出されるインク滴の着弾位置ずれはX方向における負方向へと大きくなり、記録媒体のX方向における位置が15mmに達した際にはX方向における負方向へ2.6μmの着弾位置ずれが生じる(搬送量ずれ=−2.6μm)。すなわち、記録媒体のX方向における位置が8mmとなってから15mmとなるまで記録媒体を搬送する間においては搬送量が規定の量に比べて小となっているためと考えられる。
このようにして記録媒体の搬送量の大と小が交互に繰り返し生じることによって、記録媒体の搬送量に周期的なずれが生じていると考えられる。このような搬送量の周期的な変動は種々の理由により発生する。例えば、搬送ローラの断面形状が楕円となるような搬送ローラの偏心が生じた場合、搬送ローラの回転位相に応じて上記のような搬送量が大となる領域と小となる領域が生じてしまう虞がある。
なお、本実施形態で用いるプリンタでは、約30mmの搬送量が行われる度に搬送量のずれがほぼ同程度となる。例えば、図4(a)〜(c)からわかるように、吐出口列201aからの吐出において記録媒体のX方向における位置が0mmの際には搬送量ずれは0.0μmとなり、その時点からしばらくの搬送においては搬送量ずれは正方向へと大きくなる。そして、吐出口列201aからの吐出において記録媒体のX方向における位置が30mmの際(不図示)に再び搬送量ずれが0.0μmとなり、その時点からしばらくの搬送で搬送量ずれは正方向へと大きくなる。言い換えると、搬送量の周期的なずれを図4(a)に示すような波として考えると、1波長の長さが約30mmとなる。これは、搬送量の周期的なずれが搬送ローラの偏心のみによって生じると考えた場合、搬送ローラのローラ周(円周)の半分が30mmに相当しているためだと考えられる。
ここで、吐出口列201aは図2(b)からわかるようにX方向において最も上流側に配置されているため、吐出口列201a〜201hの中で記録媒体に対して最初に記録が行われる。そのため、吐出口列201bから記録媒体に対して最初に記録を行うタイミングは、吐出口列201aから記録媒体に対して最初に記録を行うタイミングよりも僅かに後となる。したがって、吐出口列201bから記録媒体に対して記録を開始する(記録媒体のX方向における位置が0mmである)際には、X方向における正方向へのインクの着弾位置ずれが生じている(着弾位置ずれ=8.9mm)。
以下、吐出口列201bからインクを吐出する際には、吐出口列201aからインクを吐出する場合と記録媒体上の同じ位置に記録を行う場合であっても記録を行うタイミングがわずかに遅れる。そのため、記録媒体の位置が同じであっても、吐出口列201aから吐出されたインクと吐出口列201bから吐出されたインクの間で、異なる程度にてインクの着弾位置ずれが生じる。なお、吐出口列間の距離が長くなるほどインクの吐出タイミングの差が大きくなる。この結果、図4(a)に示すように吐出口列201a〜201hそれぞれにおいて搬送量の周期的な変動が互いにずれて生じることとなる。
このような吐出口列間のインクの着弾位置ずれが生じると、記録される画像において画質の低下が発生する虞がある。例えば、記録媒体のX方向における位置が13mmの領域においては、図4(c)からわかるように正方向に最大で吐出口列201aからの吐出において14.2μmのインクの着弾位置ずれが生じる。また、負方向に最大(正方向に最小)で吐出口列201hからの吐出において37.4μm(正方向に−37.4μm)のインクの着弾位置ずれが生じる。この結果、吐出口列間のインクの着弾位置ずれの差分は51.6(=14.2−(−37.4))μmとなる。
ここで、記録に使用する吐出口列を少なくし、且つ、X方向に互いに隣接(連続)する吐出口列のみを用いる場合、上記のインクの着弾位置ずれの差分を小さくすることができる。例えば、吐出口列201b、201c、201dのみを用いると、記録媒体のX方向における位置が13mmの領域においてはインクの着弾位置ずれ(記録媒体の搬送量のずれ)の正方向への最大は吐出口列201bからの吐出による5.5μmとなる。一方、インクの着弾位置ずれの負方向への最大(正方向に最小)は吐出口列201dからの吐出による12.2μm(正方向に−12,2μm)となる。これらの差分は17.7μm(=5.5μm−(−12.2)μm)まで小さくなる。これにより、画質の低下が目立たないように記録を行うことができる。
ここで、インク着弾位置ずれに起因する色ずれ(色差の変動)に関して実測値を用いて説明する。図5は、着弾位置ずれの程度とそれにより生じる色差の相関について説明するための図である。図5において縦軸は着弾位置のずれによる色ずれ、つまり、着弾位置ずれの程度に応じた色差ΔEを、また、横軸はインク着弾位置ずれの差分を示している。図5において、四角(□)印で単色の画像を記録した際の様子を、また、ひし形(◇)印で複数色の画像を記録した際の様子をそれぞれ図示している。
なお、図5は、図1に示したようなブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色を用いて記録を行う記録装置の場合について示している。ここでは600dpiの解像度に相当する記録媒体上の画素相当の画素領域に対して、21.3ngのインクを打ち込んだ場合を100%の記録デューティ(吐出量に関する情報)とした場合にシアンインクのみを20%(4.3ng/画素)の記録デューティ(シアンインクの吐出量が第1の量であり、イエローインクの吐出量が第2の量)にて吐出して形成した画像を単色(1次色)の画像における色ずれを評価するための試料として用いている。
また、シアンとイエローをそれぞれ20%の記録デューティ(シアンインクの吐出量が第1の量であり、イエローインクの吐出量が第2の量よりも多い第3の量)にて吐出して形成した画像を複数色(2次色)の画像における色ずれを評価するための試料として用いている。
ここで、図5からわかるように、複数色の画像を記録する際にインクの着弾位置ずれが生じた場合、単色の画像を記録する際に同程度のインクの着弾位置ずれが生じた場合よりも大きな色ずれが生じる。例えば、インクの着弾位置ずれの差分が10μm生じた際、単色の画像を記録する場合には色差ΔE=1.2であるのに対し、複数色の画像を記録する場合には色差ΔE=2.2となる。また、インクの着弾位置ずれの差分が20μm生じた際、単色の画像を記録する場合には色差ΔE=2.5であるのに対し、複数色の画像を記録する場合には色差ΔE=4.5となる。
以上の点を鑑み、本実施形態では、記録する画像の色域を判定し、色域に応じてドット記録用データを分配する吐出口列の数を異ならせる。より詳細には、2次色または3次色の影響が最も強い色域である画像を記録する際には各吐出口列群に配置された8個(N個)の吐出口列のうち、X方向に互いに隣接(連続)するM(M≦N)個の吐出口列のみにドット記録用データを分配し、他のN−M個の吐出口列には分配しない。また、1次色の影響が最も強い色域である画像を記録する際には各吐出口列群に配置された8個(N個)の吐出口列のうち、X方向に互いに隣接(連続)するL(L<M)個の吐出口列のみにドット記録用データを分配し、他のN−L個の吐出口列には分配しない。
図6は本実施形態における画像処理の各工程を示したブロック図である。また、図7は図6に示すブロック図にしたがって実行される画像処理の過程を示すフローチャートである。
記録処理が開始されると、プリンタ100は画像入力部A01をおいて画像データを取得する(ステップB01)。なお、ここでは画像データは解像度600dpiでRGB各8bit256階調のカラー画像であるとして説明する。
次に、色変換処理部A02によって色変換処理を行い、画像データを600dpiでCMYK各色8bit256階調のインク色データへ変換する(ステップB02)。色変換処理とは、R、G、Bの各階調値の組み合わせで表現されている画像データを、記録に使用される各インク色の階調値によって表現されたデータに変換する処理である。上述したように、プリンタ100はC、M、Y、Kの4色のインクを用いて画像を記録する。そこで、本実施形態の色変換処理部A02ではR、G、Bで表された画像データをC、M、Y、Kの各色の階調値によって表現されたインク色データに変換する処理を行う。
次に、量子化処理部A03によってインク色データに量子化処理を行い、量子化データを生成する(ステップB03)。ここで、量子化処理は、8bit256階調の階調数を持つインク色データを、プリンタ100で記録可能な階調(本実施形態ではLevel0〜4の5値とする)へ、適切に階調数を低減させる処理である。一般的に量子化処理としては誤差拡散法やディザ法が用いられることが多いが、その形態は特に限定されるものではない。
次に、ドット記録位置決定部A04においてドットパターンを用い、量子化データの値に応じてドット記録位置を決定したドット記録用データを生成する(ステップB04)。本実施形態では、解像度が600dpiの5値の量子化データに対して解像度が1200dpiのドットパターンを適用することでドット記録用データを生成する。
図8は本実施形態で適用するドットパターンを示す図である。
例えば量子化データの値がLevel1の場合、ドットパターンC11、C12、C13、C14が順番に適用される。したがって、記録媒体上のある領域にLevel1の量子化データに対応する画像を記録する際には、600dpiの単位内に1つのドットのみが記録され、その単位内のドット記録位置は「左上(C11)」「左下(C12)」「右下(C13)」「右上(C14)」のローテーションを繰り返す。
また、例えば量子化データの値がLevel2である場合、ドットパターンC21、C22が順番に適用される。そのため、記録媒体上のある領域にLevel2の量子化データに対応する画像を記録する場合、600dpiの単位内に2つのドットが記録され、単位内におけるドット記録位置は「左上および右下(C21)」、「右上および左下(C22)」のローテーションを交互に繰り返す。
次に、色域判定部A12によってドット記録用データに対応する画像の色域を判定する。そして、その結果に基づいて吐出口列分配パターン記憶部A11より異なる分配パターンを読み出し、ドット記録用データを各吐出口列に分配し、各吐出口列用の記録データを生成する(ステップB06〜ステップB10)。
本実施形態における色域判定処理について以下に詳細に記載する。
図9は本実施形態におけるCPU301で行われる色域判定処理の各工程を示すフローチャートである。
まず、ステップB05にて色域判定処理が開始されると、ステップF01でドット記録用データの読み込みを行う。
次に、ステップF02にてドットカウント処理を実行する。ここで、図10に模式的に示すように、本実施形態では記録媒体をそれぞれ16画素×16画素の256個の画素から構成される複数の判定領域(分割領域)に論理的に分割し、それぞれの判定領域ごとにドットカウントを行う。具体的には、各判定領域においてシアンインクのドット記録用データによってドットの記録が定められた画素の数DCをカウントする。同様にして、各判定領域においてマゼンタインク、イエローインクそれぞれのドットの記録が定められた画素の数DM、DYをカウントする。したがって、1つの判定領域における1色のインク当たりのドットカウント値の最大値は16ドット×16ドットの256個となる。なお、本実施形態におけるドットカウント処理ではブラックインクに対してはドットカウントを行わない。
次に、ステップF03にてドットカウント値DC、DM、DYに基づいて1次色ドット数D1、2次色ドット数D2、3次色ドット数D3を下記の式にしたがってそれぞれ算出する。
D1=(DC,DM,DY)high−(DC,DM,DY)middle
D2=(DC,DM,DY)middle−(DC,DM,DY)low
D3=(DC,DM,DY)low
ここで、(DC,DM,DY)high、(DC,DM,DY)middle、(DC,DM,DY)lowはそれぞれDC、DM、DYのうちの最大の値、中間の値、最小の値を指す。
D1=(DC,DM,DY)high−(DC,DM,DY)middle
D2=(DC,DM,DY)middle−(DC,DM,DY)low
D3=(DC,DM,DY)low
ここで、(DC,DM,DY)high、(DC,DM,DY)middle、(DC,DM,DY)lowはそれぞれDC、DM、DYのうちの最大の値、中間の値、最小の値を指す。
例えば、ある判定領域にドットカウント処理を実行した結果、図11に示すようにドットカウント値DC、DM、DYが算出された場合、(DC,DM,DY)high=DM、(DC,DM,DY)middle=DC、(DC,DM,DY)low=DYとなる。したがって、図11の場合、D1=DM−DC、D2=DC−DY、D3=DYとなる。
次に、ステップF04にてD1、D2、D3のうち最大の値Dmaxを判定する。例えば、図11に示すようにドットカウント値DC、DM、DYが算出された場合、Dmax=D1と判定する。なお、D1、D2、D3で、最も大きい値が2つあるいは3つ存在した場合には、D3、D2、D1の順に優先するものとする。例えばD1=D2=D3であった場合にはDmax=D3とし、D1=D2>D3であった場合にはDmax=D2とする。
次に、ステップF05にてDmaxに基づいて色域を判定する。詳細には、Dmax=D1である場合、その判定領域を1次色の影響が最も強い判定領域であると決定する。また、Dmax=D2である場合にはその判定領域を2次色の影響が最も強い判定領域であると決定する。また、Dmax=D3である場合にはその判定領域を3次色の影響が最も強い判定領域であると決定する。図11に示すようにドットカウント値DC、DM、DYが算出された場合には、Dmax=D1であるため、その判定領域は1次色の影響が最も強い判定領域であると決定される。
次に、ステップF06では判定領域ごとに算出された色域をRAM302等に記憶する。その後、ステップF07にてステップF01で読み込んだドット記録用データの全てに対して色域が判定されたかを判別する。まだ判定処理が実行されていないドット記録用データがある場合、ステップP02へと戻り、同様の判定処理が実行される。全てのドット記録用データに対して判定処理が行われたと判別された場合、この色域判定処理を終了する。
なお、本実施形態では16画素×16画素から構成される判定領域ごとに色域判定処理を行う形態について記載したが、他の形態による実施も可能である。例えば、1画素ごとに色域判定処理を行う形態であっても良い。
図7に示すフローチャートに戻り、ステップB06以降の処理について説明する。
ステップB06では、それぞれの判定領域において上述した色域判定処理によって判定された色域が1次色の影響が最も強い色域であるか否かが判定される。1次色の影響が最も強いと判定された場合、ステップB09にて後述する第1の分配パターンを読み出し、ステップB10にて記録データを生成する。一方、1次色以外、すなわち2次色または3次色が最も強い色域であると判定された場合、ステップB07にて後述する第2の分配パターンを読み出し、ステップB08にて記録データを生成する。そして、ステップB11ではステップB08またはステップB10にて生成された記録データにしたがって記録が行われる。
図12(a1)は1次色の影響が強い場合に適用される第1の分配パターン01を示す模式図である。なお、図12(a1)の画素に相当する各格子内の分配パラメータa〜hは、それぞれの画素にインクの吐出を定める信号が入力された場合に8つの吐出口列のうちのどの吐出口列に該信号を分配するかを示している。例えば、吐出口列群201に対して第1の分配パターンD01を適用し、分配パターンD01内の画素91にインクの吐出を定める信号が入力された場合、該信号は吐出口列201aに分配される。同様に、吐出口列群201に対して第1の分配パターンD01を適用し、第1の分配パターンD01において画素92にインクの吐出を定める信号が入力された場合、該信号は吐出口列201hへと分配される。
また、図12(a2)は入力されるドット記録用データの一例であるドット記録用データD02を模式的に示す図である。また、図12(a2)において黒塗りで示した箇所がインクの吐出が定められている画素を、また、白抜けで示した箇所がインクの非吐出が定められている画素をそれぞれ示している。
更に、図12(a3)は図12(a2)に示すドット記録用データが入力された場合に図12(a1)に示す第1の分配パターンD01を用いて吐出口列a〜hに分配して生成される記録データD03a〜D03hを模式的に示す図である。
ここで、図12(a1)に示す第1の分配パターンD01には、分配パラメータa〜hがほぼ同じ数となるように配置されている。すなわち、ドット記録用データは吐出口列a〜hそれぞれに対してほぼ等しく約12.5(=100/8)%ずつ分配される。したがって、第1の分配パターン01を適用した場合、図12(c)に示すように、ドット記録用データD02は8つ(M個)の吐出口列a〜hに対してほぼ同量ずつ分配される。
図5を用いて説明したように、記録される画像にて1次色の影響が強い場合にはインク着弾位置ずれによる色差の変動は比較的生じにくい。したがって、本実施形態では1次色の影響が強い画像を記録する場合には比較的多くの数(M個)の吐出口列を用いて記録するような記録データD03a〜D03hを生成する。この記録データD03a〜D03hにしたがって記録を行うことにより、マルチパス効果を好適に奏した記録を行うことが可能となる。
一方、図12(b1)は2次色または3次色の影響が強い場合に適用される第2の分配パターン11を示す模式図である。また、図12(b2)は入力されるドット記録用データの一例であるドット記録用データD12を模式的に示す図である。なお、ここでは簡単のため、ドット記録用データD12として図12(b2)に示すドット記録用データD02と同じものを用いて説明する。更に、図12(b3)は図12(b2)に示すドット記録用データD12が入力された場合に図12(b1)に示す第2の分配パターンD11を用いて吐出口列a〜hに分配して生成される記録データD13a〜D13hを模式的に示す図である。
ここで、図12(b1)に示す第12の分配パターンD11には、分配パラメータa、bは配置されておらず、分配パラメータc〜dがほぼ同じ数となるように配置されている。すなわち、ドット記録用データD12の吐出口列a、bに対する分配率は0であり、且つ、吐出口列c〜hそれぞれに対する分配率は互いにほぼ等しく約17(=100/6)%である。したがって、分配パターンD11を適用した場合、図12(b3)に示すように、ドット記録用データD12は吐出口列a、bには分配されず、互いに隣接する6つ(L個)の吐出口列c〜hに対してほぼ同量ずつ分配される。
図5を用いて説明したように、記録される画像にて2次色または3次色の影響が強い場合にはインク着弾位置ずれによる色差の変動は比較的生じ易い。したがって、本実施形態では2次色または3次色の影響が強い画像を記録する場合には比較的少ない数(L個)の吐出口列を用いて記録するような記録データD13a〜D13hを生成する。ここのようにして生成された記録データD13a〜D13hにしたがって記録を行うことにより、上述のインクの着弾位置ずれに由来する色味の変動を抑制した記録を行うことが可能となる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、記録される画像の色域に応じて複数の分配パターンから1つの分配パターンを選択し、記録ヘッド101〜104内の各吐出口列に対して選択された同じ分配パターンを適用する形態について記載した。すなわち、記録ヘッド101〜104の全てにおいて、1次色の影響が強い場合にはM(M≦N)個の吐出口列のみにドット記録用データを分配し、当該M個の吐出口列以外のN−M個の吐出口列には分配せず、且つ、2次色または3次色の影響が強い場合にはL(L<M)個の吐出口列のみにドット記録用データを分配し、当該L個の吐出口列以外のN−L個の吐出口列には分配しない形態について記載した。
第1の実施形態では、記録される画像の色域に応じて複数の分配パターンから1つの分配パターンを選択し、記録ヘッド101〜104内の各吐出口列に対して選択された同じ分配パターンを適用する形態について記載した。すなわち、記録ヘッド101〜104の全てにおいて、1次色の影響が強い場合にはM(M≦N)個の吐出口列のみにドット記録用データを分配し、当該M個の吐出口列以外のN−M個の吐出口列には分配せず、且つ、2次色または3次色の影響が強い場合にはL(L<M)個の吐出口列のみにドット記録用データを分配し、当該L個の吐出口列以外のN−L個の吐出口列には分配しない形態について記載した。
これに対し、本実施形態では記録ヘッドに応じて互いに異なる分配パターンを適用する形態について記載する。すなわち、本実施形態ではヘッド間でのずれの程度に応じて使用する吐出口列の数を異ならせる。より詳細には、本実施形態では、1次色の影響が強い場合、色ずれの程度が比較的小さいある記録ヘッドにおいてはM個の吐出口列のみにドット記録用データを分配し、N−M個の吐出口列には分配せず、且つ、色ずれの程度が比較的大きい他の記録ヘッドにおいてはK(K<M)個の吐出口列のみにドット記録用データを分配し、N−K個の吐出口列には分配しない。更に、本実施形態では、2次色または3次色の影響が強い場合、色ずれの程度が比較的小さいある記録ヘッドにおいてはL個の吐出口列のみにドット記録用データを分配し、N−L個の吐出口列には分配せず、且つ、色ずれの程度が比較的大きい他の記録ヘッドにおいてはJ(J<L)個の吐出口列のみにドット記録用データを分配し、N−J個の吐出口列には分配しない形態について記載する。
人間の視覚特性上、画像間の色差ΔEが2.0以下である場合にそれらの画像における色の違い(色ずれ)が感じられることが知られている。ここで、図5を参照すると、画像の色域が複数色(2次色、3次色)である場合、インクの着弾位置ずれの差分が10μm以下であれば色差ΔEが2.0μm以下となることがわかる。そのため、本実施形態では、記録ヘッドのそれぞれにおいて記録に用いる吐出口列間のインクの着弾位置ずれの差分が10μmとなるように、それぞれの色のインクに対応するドット記録用データを各吐出口列a〜hに分配する。なお、ここでは色差ΔE≦2.0となるようにドット記録用データを分配する形態について記載したが、他の形態による実施も可能である。色差Δ≦1.6となるようにドット記録用データを分配すればより好適に色ずれ(色差の変動)を抑制できる。また、色差ΔE≦0.8となるようにドット記録用データを分配することにより更に好適に色ずれを抑制できる。
図13は本実施形態におけるインクの着弾位置ずれと記録ヘッドの相対関係を模式的に示す図である。なお、図13内の記録素子基板201、221、222、223内のそれぞれ8つの吐出口列のうち、各吐出口が黒く塗りつぶされた吐出口列がドット記録用データを分配する吐出口列を示している。また、白抜けで示された吐出口列がドット記録用データを分配しない吐出口列を示している。
ここで、上述したように1つの記録ヘッドのX方向における幅は約35mmであり、記録ヘッド間のX方向における間隔は約5mmである。より詳細には、ブラックインクの記録ヘッド101は0〜35mmの範囲に配置されている。また、シアンインクの記録ヘッド102は40〜75mmの範囲に配置されている。また、マゼンタインク103の記録ヘッドは80〜115mmの範囲に配置されている。イエローインクの記録ヘッド104は120〜155mmの範囲に配置されている。
一方でインクの着弾位置ずれ(搬送量ずれ)は30mmごとに同じ傾向にて変動を繰り返す。したがって、例えばブラックインクを吐出するための記録ヘッド101のY方向に所定の位置にある記録素子基板201内に配置された吐出口列aと、シアンインクを吐出するための記録ヘッド102のY方向に当該所定の位置にある記録素子基板221内に配置された吐出口列aと、はそれぞれ異なる程度にてインクの着弾位置ずれが発生する。
これらの点を鑑み、本実施形態では、ヘッド間での着弾位置ずれがある程度均等になるように使用する吐出口列を制御する。詳細には、画像の色域が複数色(2次色または3次色)である場合、すべての記録ヘッドにおいてインク着弾位置ずれ(搬送量ずれ)がY方向に沿った正方向に10μmから20μmの範囲に収まるようにドット記録用データを分配する。これにより、着弾位置ずれの差分が10μm以内となるように記録を行うことが可能となる。
図13に模式的に示すように、ブラックインクの記録ヘッド101内の記録素子基板201に関して、吐出口列a、g、hからインクを吐出した場合にはインク着弾位置ずれが10μm未満となり得る。そこで、本実施形態ではブラックインクの記録ヘッド101内の記録素子基板201に関しては吐出口列b〜eのみにドット記録用データを分配する。
また、シアンインクの記録ヘッド102の記録素子基板201に関して、吐出口列b〜hからインクを吐出した場合にはインク着弾位置ずれが10μm未満となる虞がある。そこで、本実施形態ではシアンインクの記録ヘッド102内の記録素子基板221に関しては吐出口列aのみにドット記録用データを分配する。
また、マゼンタインクの記録ヘッド103の記録素子基板222に関して、吐出口列a〜eからインクを吐出した場合にはインク着弾位置ずれが10μm未満となる虞がある。そこで、本実施形態ではマゼンタインクの記録ヘッド103内の記録素子基板223に関しては吐出口列f〜hのみにドット記録用データを分配する。
また、イエローインクの記録ヘッド104の記録素子基板223に関して、吐出口列a、g、hからインクを吐出した場合にはインク着弾位置ずれが10μm未満となる虞がある。そこで、本実施形態ではマゼンタインクの記録ヘッド103内の記録素子基板223に関しては吐出口列b〜fのみにドット記録用データを分配する。このように、本実施形態ではイエローインクの記録ヘッド104内の記録素子基板223に配置された吐出口列a〜hと、ブラックインクの記録ヘッド101内の記録素子基板201に配置された吐出口列a〜hと、にはそれぞれ同じようにドット記録用データを分配する。したがって、イエローインクの記録ヘッドに関してはブラックインクの記録ヘッドと同様の処理を行うため、以下の説明では省略する。
図14(a)は2次色または3次色の影響が強い場合にブラックインクの記録ヘッド101内の記録素子基板201に配置された吐出口列a〜hに適用する第3の分配パターンD31を示す模式図である。
ここで、図14(a)に示す第3の分配パターンD31には、分配パラメータa、g、hは配置されておらず、分配パラメータb〜fがほぼ同じ数となるように配置されている。すなわち、ドット記録用データの吐出口列a、g、hに対する分配率は0%であり、且つ、互いに隣接する吐出口列b〜fそれぞれに対する分配率は互いにほぼ等しく約20(=100/5)%となる。この第3の分配パターンD31を適用することにより、ブラックインクの記録ヘッド用の記録データを生成する。
図14(b)は2次色または3次色の影響が強い場合にシアンインクの記録ヘッド102内の記録素子基板221に配置された吐出口列a〜hに適用する第4の分配パターンD41を示す模式図である。
ここで、図14(b)に示す第4の分配パターンD41には、分配パラメータb〜hは配置されておらず、分配パラメータaのみが配置されている。すなわち、ドット記録用データの吐出口列b〜hに対する分配率は0%であり、且つ、吐出口列aに対する分配率は100(=100/1)%となる。この第4の分配パターンD41を適用することにより、シアンインクの記録ヘッド用の記録データを生成する。
図14(c)は2次色または3次色の影響が強い場合にマゼンタインクの記録ヘッド103内の記録素子基板222に配置された吐出口列a〜hに適用する第5の分配パターンD51を示す模式図である。
ここで、図14(c)に示す第5の分配パターンD51には、分配パラメータa〜eは配置されておらず、分配パラメータf〜hがほぼ同じ数となるように配置されている。すなわち、ドット記録用データの吐出口列a〜eに対する分配率は0%であり、且つ、互いに隣接する吐出口列f〜hそれぞれに対する分配率は互いにほぼ等しく約33(=100/3)%となる。この第5の分配パターンD51を適用することにより、マゼンタインクの記録ヘッド用の記録データを生成する。
図14に示すような第3、第4、第5の分配パターンを用いることにより、記録ヘッド101〜104のそれぞれにおいてインクの着弾位置ずれの差分が10μm以下となるように記録を行うことができる。これにより、色差ΔEが2.0μm以下となるような画像を形成できるため、色差の変動がより小さくなるように記録することが可能となる。
なお、本実施形態では2次色または3次色の影響が強い場合についてのみ詳細に記載したが、1次色の影響が強い場合においても同様の処理を実行することにより色差の変動を抑制した記録を行うことができる。この場合、1次色は2次色、3次色よりも着弾位置ずれの影響は小さいため、使用する吐出口列をある程度多くすることができる。ある記録ヘッドにおいて1次色の影響が強い場合には、M個の吐出口列のみにドット記録用データを分配し、N−M個の吐出口列には分配せず、且つ、他の記録ヘッドにおいて1次色の影響が強い場合にはK(K<M)個の吐出口列のみにドット記録用データを分配し、N−K個の吐出口列には分配しないような形態であれば良い。
101〜104 記録ヘッド
106 記録媒体
201a〜201h 吐出口列
303 ROM
106 記録媒体
201a〜201h 吐出口列
303 ROM
Claims (12)
- 第1の色のインクを吐出するための複数の吐出口がそれぞれ所定方向に配列されたN個の第1の吐出口列が前記所定方向と交差する交差方向に並んで配置された第1の記録ヘッドを少なくとも含む複数の記録ヘッドが前記交差方向に並んで配置された、前記第1の色のインクと前記第1の色と異なる第2の色のインクを少なくとも含む複数の色のインクを吐出するための記録ヘッド群と、記録媒体と、を前記交差方向に相対的に移動させながら、前記記録媒体上の複数の画素相当の画素領域のそれぞれに対するインクの吐出または非吐出を定める記録データにしたがってインクを吐出することによって前記記録媒体上に画像を記録するために、前記記録媒体上に記録する画像に対応する画像データを処理する画像処理装置であって、
前記画像データに基づいて前記記録媒体上に記録する前記第1の色のインクのドットの位置を定める第1のドット記録用データを取得する第1の取得手段と、
前記記録媒体上に吐出する前記第1の色のインクの吐出量と、前記第2の色のインクの吐出量と、に関する情報を取得する第2の取得手段と、
前記第1の取得手段により取得された前記第1のドット記録用データを前記N個の第1の吐出口列に分配することにより前記第1の記録ヘッド用の第1の前記記録データを生成する分配手段と、を有し、
前記分配手段は、(i)前記第2の取得手段によって取得された前記情報が示す前記第1の色のインクの吐出量が第1の量であり、前記第2の色のインクの吐出量が第2の量である場合、前記第1のドット記録用データを前記N個の第1の吐出口列のうちのM(M≦N)個の第1の吐出口列に分配し、且つ、前記M個の第1の吐出口列以外のN−M個の第1の吐出口列には分配せず、(ii)前記第2の取得手段によって取得された前記情報が示す前記第1の色のインクの吐出量が前記第1の量であり、前記第2の色のインクの吐出量が前記第2の量よりも多い第3の量である場合、前記第1のドット記録用データを前記N個の第1の吐出口列のうちのL(L<M)個の第1の吐出口列に分配し、且つ、前記L個の第1の吐出口列以外のN−L個の第1の吐出口列には分配しないことを特徴とする画像処理装置。 - 前記M個の第1の吐出口列は、前記交差方向に互いに連続して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 前記L個の第1の吐出口列は、前記交差方向に互いに連続して配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
- 前記分配手段は、前記第2の取得手段によって取得された前記情報が示す前記第1の色のインクの吐出量が前記第1の量より少ない第4の量であり、前記第2の色のインクの吐出量が前記第3の量である場合、前記第1のドット記録用データを前記N個の第1の吐出口列のうちの前記M個の第1の吐出口列に分配し、且つ、前記M個の第1の吐出口列以外のN−M個の第1の吐出口列には分配しないことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
- 前記複数の記録ヘッドは、前記第2の色のインクを吐出するための複数の吐出口がそれぞれ前記所定方向に配列されたN個の第2の吐出口列が前記交差方向に並んで配置された第2の記録ヘッドを更に含み、
前記第1の取得手段は、前記画像データに基づいて前記記録媒体上に記録する前記第2の色のインクのドットの位置を定める第2のドット記録用データを更に取得し、
前記分配手段は、前記第2の取得手段によって取得された前記情報が示す前記第1の色のインクの吐出量が前記第1の量であり、前記第2の色のインクの吐出量が前記第2の量である場合、前記第2のドット記録用データを前記N個の第2の吐出口列のうちのK(K<M)個の第2の吐出口列に分配し、且つ、前記K個の第2の吐出口列以外のN−K個の第2の吐出口列には分配しないことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像処理装置。 - 前記K個の第2の吐出口列は、前記交差方向に互いに連続して配置されていることを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
- 前記複数の記録ヘッドは、前記第2の色のインクを吐出するための複数の吐出口がそれぞれ前記所定方向に配列されたN個の第2の吐出口列が前記交差方向に並んで配置された第2の記録ヘッドを更に含み、
前記第1の取得手段は、前記第1の取得手段によって取得された前記画像データに基づいて前記記録媒体上に記録する前記第2の色のインクのドットの位置を定める第2のドット記録用データを更に取得し、
前記分配手段は、前記第2の取得手段によって取得された前記情報が示す前記第1の色のインクの吐出量が前記第1の量であり、前記第2の色のインクの吐出量が前記第3の量である場合、前記第1のドット記録用データを前記N個の第2の吐出口列のうちのJ(J<L)個の第2の吐出口列に分配し、且つ、前記J個の第2の吐出口列以外のN−J個の第2の吐出口列には分配しないことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の画像処理装置。 - 前記J個の第2の吐出口列は、前記交差方向に互いに連続して配置されていることを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
- 前記第2の取得手段は、前記第1の取得手段によって取得された前記第1、第2のドット記録用データに基づいて、前記記録媒体上に記録される前記第1、第2の色のインクのドットの数に関する情報を前記第1、第2の色のインクの吐出量に関する情報として取得することを特徴とする請求項5から8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
- 前記第2の取得手段は、前記記録媒体を複数に分割してなる分割領域ごとに前記第1、第2の色のインクのドットの数に関する情報を取得し、
前記分配手段は、前記分割領域ごとに前記第1、第2のドット記録用データを前記N個の第1、第2の吐出口列に分配することを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。 - 第1の色のインクを吐出するための複数の吐出口がそれぞれ所定方向に配列されたN個の第1の吐出口列が前記所定方向と交差する交差方向に並んで配置された第1の記録ヘッドを少なくとも含む複数の記録ヘッドが前記交差方向に並んで配置された、前記第1の色のインクと前記第1の色と異なる第2の色のインクを少なくとも含む複数の色のインクを吐出するための記録ヘッド群と、記録媒体と、を前記交差方向に相対的に移動させながら、前記記録媒体上の複数の画素相当の画素領域のそれぞれに対するインクの吐出または非吐出を定める記録データにしたがってインクを吐出することによって前記記録媒体上に画像を記録するために、前記記録媒体上に記録する画像に対応する画像データを処理する画像処理方法であって、
前記画像データに基づいて前記記録媒体上に記録する前記第1の色のインクのドットの位置を定める第1のドット記録用データを取得する第1の取得工程と、
前記記録媒体上に吐出する前記第1の色のインクの吐出量と、前記第2の色のインクの吐出量と、に関する情報を取得する第2の取得工程と、
前記第1の取得工程により取得された前記第1のドット記録用データを前記N個の第1の吐出口列に分配することにより前記第1の記録ヘッド用の第1の前記記録データを生成する分配工程と、を有し、
前記分配工程は、(i)前記第2の取得工程によって取得された前記情報が示す前記第1の色のインクの吐出量が第1の量であり、前記第2の色のインクの吐出量が第2の量である場合、前記第1のドット記録用データを前記N個の第1の吐出口列のうちのM(M≦N)個の第1の吐出口列に分配し、且つ、前記M個の第1の吐出口列以外のN−M個の第1の吐出口列には分配せず、(ii)前記第2の取得工程によって取得された前記情報が示す前記第1の色のインクの吐出量が前記第1の量であり、前記第2の色のインクの吐出量が前記第2の量よりも多い第3の量である場合、前記第1のドット記録用データを前記N個の第1の吐出口列のうちのL(L<M)個の第1の吐出口列に分配し、且つ、前記L個の第1の吐出口列以外のN−L個の第1の吐出口列には分配しないことを特徴とする画像処理方法。 - 画像を記録する画像記録装置であって、
第1の色のインクを吐出するための複数の吐出口がそれぞれ所定方向に配列されたN個の第1の吐出口列が前記所定方向と交差する交差方向に並んで配置された第1の記録ヘッドを少なくとも含む複数の記録ヘッドが前記交差方向に並んで配置された、前記第1の色のインクと前記第1の色と異なる第2の色のインクを少なくとも含む複数の色のインクを吐出するための記録ヘッド群と、
記録媒体上に記録する画像に対応する画像データに基づいて前記記録媒体上に記録する前記第1の色のインクのドットの位置を定める第1のドット記録用データを取得する第1の取得手段と、
前記記録媒体上に吐出する前記第1の色のインクの吐出量と、前記第2の色のインクの吐出量と、に関する情報を取得する第2の取得手段と、
前記第1の取得手段により取得された前記第1のドット記録用データを前記N個の第1の吐出口列に分配することにより、前記記録媒体上の複数の画素相当の画素領域のそれぞれに対する前記第1の色のインクの吐出または非吐出を定める前記第1の記録ヘッド用の第1の記録データを生成する分配手段と、
前記記録ヘッド群と前記記録媒体とを前記交差方向に相対的に移動させながら、前記分配手段によって生成された前記第1の記録データにしたがってインクを吐出するように制御する制御手段と、を有し、
前記分配手段は、(i)前記第2の取得手段によって取得された前記情報が示す前記第1の色のインクの吐出量が第1の量であり、前記第2の色のインクの吐出量が第2の量である場合、前記第1のドット記録用データを前記N個の第1の吐出口列のうちのM(M≦N)個の第1の吐出口列に分配し、且つ、前記M個の第1の吐出口列以外のN−M個の第1の吐出口列には分配せず、(ii)前記第2の取得手段によって取得された前記情報が示す前記第1の色のインクの吐出量が前記第1の量であり、前記第2の色のインクの吐出量が前記第2の量よりも多い第3の量である場合、前記第1のドット記録用データを前記N個の第1の吐出口列のうちのL(L<M)個の第1の吐出口列に分配し、且つ、前記L個の第1の吐出口列以外のN−L個の第1の吐出口列には分配しないことを特徴とする画像記録装置。
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JP2021109397A (ja) * | 2020-01-14 | 2021-08-02 | セイコーエプソン株式会社 | 液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置 |
-
2014
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