JP2016107448A - 樹脂製品の成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂と軟磁性粉を混合した樹脂材料を用い、樹脂製品を、成形用金型を用いて成形するときに、成形品にウェルド部が発生するのを抑制することができ、同時に、成形品の脱型も容易に行えるようにした樹脂製品の成形方法を提供する。【解決手段】樹脂と軟磁性粉とを混合した樹脂材料Fを用いて樹脂製品を成形する方法であって、樹脂材料Fよりも透磁率の低い材料からなる成形用の金型Bを用いる。金型Bは、金型全体を加熱するヒーターEと誘導加熱装置Gとを備える。誘導加熱装置Gは成形時に樹脂材料Fの流れが合流する個所に対応する金型部位に配置されており、金型内に樹脂材料を充填した後、誘導加熱装置Gによって樹脂材料Fの流れが合流する個所近傍の樹脂材料を金型温度以上であって樹脂の熱分解温度以下の温度に加熱する。【選択図】図1
Description
本発明は、樹脂と軟磁性粉とを混合した樹脂材料を用いて樹脂製品を成形する方法に関する。
リアクトル用コア材料として、樹脂と軟磁性粉とを混合した樹脂材料を用いることが提案されている(特許文献1など参照)。リアクトルコイルを覆うように樹脂コア材料を射出成形することで、リアクトルの形状自由度が大きくなる利点がある。しかし、軟磁性粉を混合した樹脂材料を射出成形する場合、含まれている軟磁性粉に起因して成形用金型内で樹脂材料が冷却されやすく、樹脂の流れの合流部でウェルド部が発生しやすくなる。ウェルド部が発生すると、その領域においてクラックが生じるなど、通常部分に比較して強度が低下する傾向にあり、好ましくない。
一般の合成樹脂製品において、ウェルド部の発生を抑制することのできる成形用金型が、特許文献2に記載されている。そこでは、スプルーから枝分かれした第1ランナと第2ランナが夫々キャビティに接続する構成を備え、第1ランナと第2ランナからの樹脂の流れが合流する箇所に対応する金型部位に、ウェルド部を加熱する電磁誘導加熱装置を設けるようにしている。
成形用金型を用いて、樹脂と軟磁性粉を混合した樹脂材料を用いて樹脂製品を成形するときに、特許文献2に記載されるように、樹脂材料が合流する箇所を加熱する電磁誘導加熱装置を備えた金型を用いることで、ウェルド部が形成されるのを抑制することができる。しかし、特許文献2に記載される金型の場合、電磁誘導加熱装置による誘導加熱によって金型全体も加熱されてしまうので、成形後の冷却がしにくくなり、成形品の脱型が困難となる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、樹脂と軟磁性粉を混合した樹脂材料を用い、樹脂製品を、成形用金型を用いて成形するときに、成形品にウェルド部が発生するのを抑制することができ、同時に、成形品の脱型も容易に行えるようにした樹脂製品の成形方法を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するための本発明による樹脂製品の成形方法は、樹脂と軟磁性粉とを混合した樹脂材料を用い金型内に溶融樹脂を射出して樹脂製品を成形する方法であって、成形用の金型として、前記樹脂材料よりも透磁率の低い材料からなり、金型全体を加熱するヒーターと、誘導加熱装置とを備え、前記誘導加熱装置は成形時に樹脂材料の流れが合流する個所に対応する金型部位に配置されている金型を用い、前記金型内に前記樹脂材料を充填する工程と、充填した後に、前記誘導加熱装置によって前記樹脂材料の流れが合流する個所近傍の樹脂材料を金型温度以上であって前記樹脂の熱分解温度以下の温度に加熱する工程と、を少なくとも有することを特徴とする。
本発明による成形方法では、成形用金型として、透磁率が樹脂と軟磁性粉を混合した樹脂材料の透磁率よりも低い材料で作られた金型を用いる。そのために、誘導加熱装置を作動させたときに、磁束は樹脂材料中の軟磁性粉により多く作用して、樹脂材料を成形用金型の温度以上に加熱する。その加熱により、樹脂材料の流れが合流する個所にウェルド部が形成されるのが抑制される。また、樹脂材料の加熱温度は樹脂の熱分解温度以下の温度であり、樹脂の熱分解は生じないので、分解ガスが樹脂合流部に溜まるような現象も生じない。
一方、成形用金型は、金型全体を加熱するヒーターによって、定法に従い加熱されるだけであり、誘導加熱装置による加熱の影響を受けないので、金型温度が設定温度を超えて上昇することはない。そのために、冷却工程で設定温度に加熱された金型により成形品は冷却され、成形品が十分に冷却されずに脱型がしにくくなることも回避できる。また、前記のように、樹脂の熱分解は生じないので、それによっても、分解ガスが樹脂合流部に溜まることで冷却が不十分になることを回避できる。
なお、本発明による樹脂製品の成形方法の好適な適用例として、樹脂と軟磁性粉を混合した樹脂材料がリアクトル用の樹脂コア材料であり、成形される樹脂製品がリアクトルコイルを前記樹脂コア材料で覆ったリアクトルである例を挙げることができるが、これに限らない。
本発明によれば、樹脂と軟磁性粉を混合した樹脂材料を用いて樹脂製品を成形用金型を用いて成形するときに、成形品にウェルド部が発生するのを抑制することができる。また、成形後の成形品の脱型も容易であり、歩留まりの向上と製造サイクルの迅速化も同時に図ることができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明による樹脂製品の成形方法を実施するのに用いる成形装置の一例を示している。成形装置Aは、この例では射出成形装置であり、成形用金型Bと、該成形用金型Bに成形用樹脂を供給するスクリューCとを備える。
成形用金型Bは、可動型10と固定型20とを有し、対向する面側にそれぞれ凹所11、21が形成されており、型締めすることで凹所11と21が合体した成形用キャビティDが形成される。固定型20の凹所21には凸部22が形成されており、該凸部22を挟むようにして、適数(図では2個)のゲート23、23が位置している。各ゲート23、23は、固定型20の凹所21とは反対側の面で、ランナ24に連通接続している。
固定型20の前記ランナ24に対向する部位に、スプルー25を備えた固定板26が設けられており、該スプルー25の入り口側に対向して、前記供給スクリューCが進退自在に配置されている。また、成形用金型Bには、成形時に金型全体を加熱するためのヒーターEが適所に取り付けられている。
成形時には、図示しない供給装置からスクリューCに溶融した成形用樹脂が供給され、供給された樹脂は、スプルー25を通って前記ランナ24に至り、そこから分流して2つのゲート23、23から成形用キャビティD内に射出される。2つのゲート23、23から射出注入された成形用樹脂は、成形用キャビティD内を流れていき、成形用キャビティD内の適所で合流する。
なお、図示の成形用金型Bでは、成形用キャビティD内における前記固定型20に形成した凸部22の先端部近傍において、成形用樹脂の流れが合流するものとして、以下、説明する。しかしながら、これは一例であって、合流部はこれに限らず、ゲート23、23の配置位置を変更するなどで適宜の位置に変化し、また意図的に適宜の位置に設定することができる。なお、この形態の成形用金型BおよびスクリューCを有する射出成形装置Aは従来知られたものであり、可動型10やスクリューCの移動手段、成形用樹脂の射出手段、型締め手段等についての説明は省略する。
本発明の成形方法で用いる成形用金型Bは、従来知られた成形用金型と比較して、(イ)成形に使用される樹脂材料が特定の樹脂材料に限定され、その樹脂材料との関係で成形用金型Bの材料が限定されること、および、(ロ)前記した2つのゲート23、23から注入された成形用樹脂が成形用キャビティD内で合流する箇所に対応する金型部位には誘導加熱装置Gが配置されていること、の2点において、従来の成形用金型と相違する。
すなわち、本発明で用いる成形用金型Bは、樹脂と軟磁性粉を混合した樹脂材料Fを用いて樹脂製品を成形(射出成形)するためのものであり、成形用金型Bは前記樹脂材料Fよりも透磁率の低い材料によって作られている。そして、前記した合流部に対応する金型部位、図示の例では、固定型20の凹所21に形成した凸部22の先端近傍と、そこに対向する可動型10の部位には、誘導加熱装置Gが配置されている。
以下、図2も参照しながら、上記の成形用金型Bを用いて樹脂製品を射出成型するプロセスを説明する。説明にあたっては、「リアクトル」を樹脂製品の例とし、成形用樹脂材料としては、リアクトル用のコア材料である樹脂と軟磁性粉を混合した樹脂材料(以下、樹脂コア材料Fという)を用いる場合について説明する。
なお、本発明において、軟磁性粉としては、Fe、Co、Niなどの鉄族金属、鉄を主成分とする合金粉を用いることができる。特に、Fe−Si系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Al系合金、Fe−Co系合金、Fe−Cr系合金、Fe−Si−Al系合金や希土類金属、フェライトなどを好適に用いることができる。
樹脂コア材料F中の軟磁性粉の量としては、30体積%以上であることが望ましく、より好ましくは50体積%以上である。軟磁性粉の量が十分でないと、磁束を効率的に通すには不十分で、リアクトルとしての性能を損なう恐れがある。
一般的に、樹脂成形用の金型に使用される鋼材には、アズロールド鋼やプリハードン鋼などから用途に応じて選択されるが、本発明においては、前記したように、樹脂コア材料Fの透磁率よりも透磁率の小さいものを用いる。比較して透磁率が小さければ限定されるものではないが、比透磁率で1.04以下程度のものが好ましく、好適な例として、オーステナイト系のステンレスなどの非磁性鋼と呼ばれるものが挙げられる。具体的には、日立金属社製のHPM75、山陽特殊製鋼社製のQSD15などが挙げられる。
樹脂としては、特に限定されるものではないが、ポリアミド、ポリエステル、プリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メタクリル、ポリイミド樹脂、などの熱可塑性樹脂を用いることができる。
金型内を流れる樹脂コア材料Fを加熱する誘導加熱装置Gとしては、特に限定されるものではなく、従来知られたものを適宜用いることができる。なかでも、出力や周波数などを調整可能なものは特に好ましい。また、金型全体を加熱するための金型用ヒーターEは、誘導加熱装置G以外のヒーターであればよく、例えば電熱ヒーターやオイルヒーター等を例示できる。
成形にあたり、最初に型締めを行う(図2(A))。なお、この状態で、ヒーターEは常時ONとされており、成形用金型Bは全体が所要温度に加熱されている。型締めの時点で誘導加熱装置GもONとされる。型締め後、スクリューCを前進させて、その先端をスプルー25に当接させた状態とし(図2(B))、その状態で溶融した樹脂コア材料Fを射出する(図2(C1))。射出された樹脂コア材料Fは、2つのゲート23、23から成形キャビティD内に分流して流入し、2つの流れは固定型20の凹所21に形成した凸部22の先端近傍で合流する(図2(C2))。
樹脂コア材料Fは軟磁性粉が多く含まれているため、汎用のエンジニアリングプラスチック材料などと比較すると10倍程度以上の熱伝導率であり、金型内を流れる過程で効率よく冷却され、急激に流動性が変化してしまう。樹脂コア材料Fの流れのうち、特に表面部分が最も早く冷却されてしまうが、この冷却部分同士が金型内で合流すると、冷却されているために、樹脂コア材料同士のなじみが悪く、このままで処理を進めると、合流部にウェルド部W(図2(C2)参照)が発生しやすい。
本発明で用いる成形用金型Bは、合流部に対応する箇所に対応する金型部位に誘導加熱装置Gを配置しており、誘導加熱装置Gは型締めの時点からONとされている。また、誘導加熱装置Gは、樹脂コア材料Fを、ヒーターEで加熱された金型温度以上であり、かつ樹脂コア材料Fが軟化もしくは溶融する温度以上であって、バインダ樹脂が熱分解する温度以下の温度に加熱するように制御されている。それにより、合流後、保圧環境におかれている間に、合流部において樹脂コア材料Fは一時的に再溶融し、それにより、ウェルド部Wは消失する(図2(D))。
そして、前記したように、本発明による成形用金型Bは、樹脂コア材料Fよりも透磁率が小さい材料、好ましくは非磁性の材料で構成されているので、誘導加熱装置Gによる加熱では、樹脂コア材料Fが選択的に効率よく加熱され、樹脂コア材料FのみをヒーターEで加熱されている金型の温度より高い温度に加熱することができる。また、誘導加熱装置Gによる樹脂コア材料Fの加熱温度は、バインダ樹脂が熱分解する温度以下に制御されるので、分解ガスが樹脂合流部に溜まることはなく、分解ガスに起因してウェルド部が発生したり、後の冷却工程時に冷却が不十分になったりすることもない。
保圧後、誘導加熱装置Gによる加熱を停止し、成形用金型BはヒーターEで設定温度に温度調節されている状態で(図2(E))、スクリューCを後退させ(図2(F))、型開きを行い(図2(G))、脱型することで所望の成形品(樹脂製品)Pを得ることができる(図2(H))。得られる成形品Pは、ウェルド部のない強度に優れたものとなる。
一方、成形用金型Bは、前記したように、樹脂コア材料Fに比較して、誘導加熱装置Gの加熱による温度上昇が小さいかまたは誘導加熱装置Gの加熱による影響を受けない。そのために、冷却工程において設定温度に設定温度に温度調節された金型により成形品は十分に冷却され、型開き時に、問題なく脱型できるようになる。
以下、実施例と比較例により本発明の優位性を説明する。
[実施例]
軟磁性粉としてFe/Si合金粉、樹脂(熱可塑性の樹脂材料)としてポリアミド樹脂からなる材料を樹脂コア材料Fとして用い、図2(A)〜(H)の工程フロー(成形機動作)に沿って成形を行い、成形品Pを得た。各工程での成形機動作を表1に、また、保圧時温度、冷却後温度、透磁率、形成結果を表2に示した。なお、表1および表2には、以下に記載する比較例1〜5についての成形機動作および保圧時温度、冷却後温度、透磁率、成形結果も示している。
[実施例]
軟磁性粉としてFe/Si合金粉、樹脂(熱可塑性の樹脂材料)としてポリアミド樹脂からなる材料を樹脂コア材料Fとして用い、図2(A)〜(H)の工程フロー(成形機動作)に沿って成形を行い、成形品Pを得た。各工程での成形機動作を表1に、また、保圧時温度、冷却後温度、透磁率、形成結果を表2に示した。なお、表1および表2には、以下に記載する比較例1〜5についての成形機動作および保圧時温度、冷却後温度、透磁率、成形結果も示している。
表1に示すように、金型ヒーターEは、(A)型締め工程から(H)脱型まで、常時ONとし、誘導加熱装置Gは(A)型締め工程から(D)保圧工程までをONとし、(E)冷却工程以降はOFFとした。それにより、保圧工程時での温度を、(樹脂の)熱分解温度>樹脂コア材料F温度>樹脂溶融温度>金型温度、に維持した。また、冷却後の温度は、樹脂溶融温度>樹脂コア材料F温度=金型温度、となった。成形結果に示すように、実施例では、成形品にウェルドはなく、脱型も容易であった。
[比較例1]
誘導加熱装置Gなし、すなわち誘導加熱装置Gを作動させずに、図2(A)〜(H)の処理を行った以外は、実施例と同じ条件で成形を行った。誘導加熱装置Gを作動させなかったので、(D)保圧工程時での温度は、熱分解温度>樹脂溶融温度>樹脂コア材料F温度=金型温度となり、(E)冷却工程後の温度は、樹脂溶融温度>樹脂コア材料F温度=金型温度、となった。誘導加熱装置Gを作動させなかったことで、樹脂コア材料Fは実施例と比較して誘導加熱装置Gによる加熱を受けず、結果、成形品にはウェルド部が存在していた。金型温度と冷却後の樹脂コア材料F温は等しく、脱型は容易であった。
誘導加熱装置Gなし、すなわち誘導加熱装置Gを作動させずに、図2(A)〜(H)の処理を行った以外は、実施例と同じ条件で成形を行った。誘導加熱装置Gを作動させなかったので、(D)保圧工程時での温度は、熱分解温度>樹脂溶融温度>樹脂コア材料F温度=金型温度となり、(E)冷却工程後の温度は、樹脂溶融温度>樹脂コア材料F温度=金型温度、となった。誘導加熱装置Gを作動させなかったことで、樹脂コア材料Fは実施例と比較して誘導加熱装置Gによる加熱を受けず、結果、成形品にはウェルド部が存在していた。金型温度と冷却後の樹脂コア材料F温は等しく、脱型は容易であった。
[比較例2]
金型構成材として透磁率が樹脂コア材料の透磁率よりも大きい材を用いた以外は、実施例と同じにして成形を行った。その結果、(D)保圧工程時での温度は、熱分解温度>樹脂コア材料F温度=金型温度>樹脂溶融温度となり、(E)冷却工程後の温度も、熱分解温度>樹脂コア材料F温度=金型温度>樹脂溶融温度となった。
金型構成材として透磁率が樹脂コア材料の透磁率よりも大きい材を用いた以外は、実施例と同じにして成形を行った。その結果、(D)保圧工程時での温度は、熱分解温度>樹脂コア材料F温度=金型温度>樹脂溶融温度となり、(E)冷却工程後の温度も、熱分解温度>樹脂コア材料F温度=金型温度>樹脂溶融温度となった。
樹脂コア材料よりも金型構成材の方が透磁率が大きいので、誘導加熱装置Gにて樹脂コア材料を加熱すると金型材料も加熱されて、金型温度が上昇してしまった。結果、冷却工程で樹脂コア材料が十分に冷却されず冷却不足となり、脱型時に金型に貼り付く、あるいは脱型時に成形品が折れるなどが起こり、脱型がうまくいかなかった。また、樹脂の溶融温度は高温であり、そうした温度に頻度が多く、または長くさらされることは、金型の寿命を短くする要因ともなった。成形品は、誘導加熱装置Gにて樹脂コア材料が十分に加熱されたことにより、ウェルド部は存在しなかった。
[比較例3]
誘導加熱装置Gによって樹脂コア材料Fをその熱分解温度を超える温度にまで加熱した以外は実施例と同様にして成形を行った。すなわち、(D)保圧工程での温度は、樹脂コア材料F温度>熱分解温度>樹脂溶融温度>金型温度であり、(E)冷却工程後の温度は、樹脂溶融温度>樹脂コア材料F温度=金型温度、であった。樹脂コア材料Fの熱分解温度を超えて加熱してしまったため材料が分解してしまい、分解ガスが樹脂の合流部に溜まり、成形品にはウェルド部が発生した。また、冷却が十分に行えず、脱型がうまくいかなかった。
誘導加熱装置Gによって樹脂コア材料Fをその熱分解温度を超える温度にまで加熱した以外は実施例と同様にして成形を行った。すなわち、(D)保圧工程での温度は、樹脂コア材料F温度>熱分解温度>樹脂溶融温度>金型温度であり、(E)冷却工程後の温度は、樹脂溶融温度>樹脂コア材料F温度=金型温度、であった。樹脂コア材料Fの熱分解温度を超えて加熱してしまったため材料が分解してしまい、分解ガスが樹脂の合流部に溜まり、成形品にはウェルド部が発生した。また、冷却が十分に行えず、脱型がうまくいかなかった。
[比較例4]
誘導加熱装置Gを使用せずに、金型ヒーターEのみを用いて、樹脂コア材料Fを熱分解温度よりは低く樹脂溶融温度よりは高い温度に加熱した。それ以外は実施例と同様にして成形を行った。すなわち、(D)保圧工程での温度は、熱分解温度>樹脂コア材料F温度=金型温度>樹脂溶融温度であり、(E)冷却工程後の温度も、熱分解温度>樹脂コア材料F温度=金型温度>樹脂溶融温度であった。この場合も、成形品にウェルド部が発生しなかったが、金型温度が高いために冷却がうまくいかず脱型が困難であった。強制的に金型を冷却することで脱型が容易となると推測できるが、その場合、金型に大きな冷熱衝撃を加えることとなり、金型の寿命が低下するので、実際的な処理法とは言えない。
誘導加熱装置Gを使用せずに、金型ヒーターEのみを用いて、樹脂コア材料Fを熱分解温度よりは低く樹脂溶融温度よりは高い温度に加熱した。それ以外は実施例と同様にして成形を行った。すなわち、(D)保圧工程での温度は、熱分解温度>樹脂コア材料F温度=金型温度>樹脂溶融温度であり、(E)冷却工程後の温度も、熱分解温度>樹脂コア材料F温度=金型温度>樹脂溶融温度であった。この場合も、成形品にウェルド部が発生しなかったが、金型温度が高いために冷却がうまくいかず脱型が困難であった。強制的に金型を冷却することで脱型が容易となると推測できるが、その場合、金型に大きな冷熱衝撃を加えることとなり、金型の寿命が低下するので、実際的な処理法とは言えない。
[比較例5]
誘導加熱装置Gを(H)脱型工程まで継続して作動させた以外は実施例と同様にして成形を行った。それにより、(D)保圧工程での温度は、熱分解温度>樹脂コア材料F温度>樹脂溶融温度>金型温度、であったが、(E)冷却工程後の温度は、樹脂コア材料F温度>樹脂溶融温度>金型温度、となった。成形品にウェルド部は発生しなかったが、誘導加熱装置Gを冷却工程以降も作動させたことで、合流部近傍の樹脂コア材料が金型によって冷却されず、脱型がうまくいかなかった。
誘導加熱装置Gを(H)脱型工程まで継続して作動させた以外は実施例と同様にして成形を行った。それにより、(D)保圧工程での温度は、熱分解温度>樹脂コア材料F温度>樹脂溶融温度>金型温度、であったが、(E)冷却工程後の温度は、樹脂コア材料F温度>樹脂溶融温度>金型温度、となった。成形品にウェルド部は発生しなかったが、誘導加熱装置Gを冷却工程以降も作動させたことで、合流部近傍の樹脂コア材料が金型によって冷却されず、脱型がうまくいかなかった。
[評価]
上記の実施例と比較例との対比から、本発明による樹脂製品の成形方法の優位性が示される。
上記の実施例と比較例との対比から、本発明による樹脂製品の成形方法の優位性が示される。
A…本発明による樹脂製品の成形方法を実施するのに用いる射出成形装置、
B…成形用金型、
C…成形用金型に成形用樹脂を供給するスクリュー、
D…成形用キャビティ、
E…金型用ヒーター、
F…樹脂と軟磁性粉を混合した樹脂材料(樹脂コア材料)、
G…誘導加熱装置。
B…成形用金型、
C…成形用金型に成形用樹脂を供給するスクリュー、
D…成形用キャビティ、
E…金型用ヒーター、
F…樹脂と軟磁性粉を混合した樹脂材料(樹脂コア材料)、
G…誘導加熱装置。
Claims (1)
- 樹脂と軟磁性粉とを混合した樹脂材料を用い金型内に溶融樹脂を射出して樹脂製品を成形する方法であって、
成形用の金型として、前記樹脂材料よりも透磁率の低い材料からなり、金型全体を加熱するヒーターと、誘導加熱装置とを備え、前記誘導加熱装置は成形時に樹脂材料の流れが合流する個所に対応する金型部位に配置されている金型を用い、
前記金型内に前記樹脂材料を充填する工程と、
充填した後に、前記誘導加熱装置によって前記樹脂材料の流れが合流する個所近傍の樹脂材料を金型温度以上であって前記樹脂の熱分解温度以下の温度に加熱する工程と、
を少なくとも有することを特徴とする樹脂製品の成形方法。
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JP2014245284A JP2016107448A (ja) | 2014-12-03 | 2014-12-03 | 樹脂製品の成形方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115195012A (zh) * | 2022-07-18 | 2022-10-18 | 广东省恩齐尼迩特种塑料股份有限公司 | 一种具有磁性的peek工件的制作方法 |
-
2014
- 2014-12-03 JP JP2014245284A patent/JP2016107448A/ja active Pending
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