JP2016104837A - 水性難燃化処理液及びそれを用いた難燃性木材 - Google Patents

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Abstract

【課題】難燃化対象物に付与することによって、該難燃化対象物を難燃性にし、有害ガスや刺激性ガスの発生を抑制でき、発煙を抑制できる水性難燃化処理液を提供すること、また、特にそれを用いて難燃化させた難燃性木材を提供することである。【解決手段】少なくとも、平均粒子径が0.1μm以上5μm以下である水酸化アルミニウム微粒子、スルファミン酸グアニジン、該水酸化アルミニウム微粒子の湿潤剤、及び、水を含有することを特徴とする水性難燃化処理液、並びに、該水性難燃化処理液を浸透させた後に乾燥させてなることを特徴とする難燃性木材。【選択図】なし

Description

本発明は、水性難燃化処理液、水性難燃化処理液を用いて難燃化させた難燃性木材、及び、水性難燃化処理液を用いて木材を難燃化する方法に関する。
従来、難燃剤としては、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、リン酸アンモニウム、スルファミン酸グアニジン、リン酸グアニジン等、数多く知られているが、低濃度で難燃効果を発揮できるものは、スルファミン酸グアニジン等の自己消化性を持つ素材に限られている。
また、スルファミン酸グアニジンは、燃焼すると窒素ガスやアンモニアガスのような不燃性ガスを発生して、難燃化対象物の周囲にバリアを形成させて炎をなくす効果があるため、難燃化処理液の成分として、以前から、繊維、紙、木材、壁紙、カーペット、カーテン等の不燃化に使用されて来た(特許文献1、2)。
しかしながら、このようなスルファミン酸グアニジンは、低濃度で(少量の配合で)難燃効果を発揮できると言われてはいるものの、燃焼性で見た場合、たとえその濃度(その配合量)を上げたとしても「防炎2」程度に過ぎない。
また、スルファミン酸グアニジンで難燃化した難燃化対象物を燃焼させると、二酸化硫黄等の硫化物、アンモニア等を含有する、刺激臭があり有害な煤煙を発生するといった問題点があった。また、ブルームが起き易く、長期的に持たないという問題点もあった。
そのため、普及率は低く、主に紙や繊維の難燃化に使用されるに留まり、特に木材の難燃化においては、主に、ホウ酸亜鉛、リン酸アンモニウム等が使用されており、スルファミン酸グアニジンは、少なくとも単独では殆ど使用されていない。
特許文献3には、スルファミン酸グアニジンに、更にクエン酸(金属塩)を含有させた難燃化処理液が開示されており、クエン酸(金属塩)が、窒素ガスが多い雰囲気下で炎に晒されたときに炭化皮膜を形成することで酸素を遮断し、また炭化収縮をするので溶融物が燃えながら滴下することを防止すると記載されている。
しかしながら、特許文献3に記載の難燃化処理液で難燃化を施した、布、木材等の難燃化対象物を燃焼させると、スルファミン酸グアニジン単独よりは難燃化されており激しく燃えることはないが、引火し焦げてしまい、十分な難燃性は得られなかった。
また、クエン酸(金属塩)の配合では、前記した、スルファミン酸グアニジンの欠点である「硫化物、アンモニア等を含有する刺激臭があり有害な煤煙」の発生といった問題点が十分には解決できず、極めて煤煙の量が多いままであり、スルファミン酸グアニジンに起因する発煙量を減少させられないものであった。また、難燃化対象物によっては、そこに、水酸化アルミニウム微粒子を含有する水性難燃化処理液が均等に浸透せず、表面層で分離する場合もあった。
一方、水酸化アルミニウムは、水酸化マグネシウムと並び、プラスチックやゴムの難燃剤として一般に使用されている。水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムは、それ自体が燃焼しない;加熱分解時に吸熱する;加熱分解して、熱容量が大きく、また蒸発熱の大きい水を発生させる;等のために、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアルキレン等のプラスチックやゴムに混練して汎用されている。
しかしながら、水酸化アルミニウムは水に不溶のため、木材等の既に物体(固体)となっている難燃化対象物に対しては、混練や注入ができないため、難燃化対象物の内部に、水酸化アルミニウムという難燃剤を存在させることができなかった。そのため、木材等の「難燃剤を混錬することのできない難燃化対象物」に対しては基本的に殆ど用いられない。
それを解決するものとして、特許文献4には、水に可溶のアルミン酸ナトリウムを水に溶解させ、該水溶液を木材に浸透させ、そこに二酸化炭素を接触させて、該木材の内部に水酸化アルミニウムを生成させた難燃化木材が開示されている。
しかしながら、この技術では、木材の内部に、ある程度の水酸化アルミニウムを存在させることはできるものの量的に十分ではなく、難燃化の工程数も多く、他の難燃剤と組み合わせたときの発煙抑制効果も低いものであった。
近年、難燃化への要求、特に木材の難燃化への要求は、ますます高くなってきており、かかる公知技術では、難燃化や、刺激臭があり有害な煤煙の発生抑制(発煙抑制)等が十分ではなく、また、難燃化対象物が木材の場合には、内部への浸透性も十分ではなく、更なる改善が求められていた。
特開平9−202882号公報 特開平9−255959号公報 国際公開第2009/008239号 特開2013−028042号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、難燃化対象物に付与することによって(処理を施すことによって)、該難燃化対象物を、難燃性にし、自己消火性にし、接炎時でも炎を取り去った時でも、有害ガスや刺激性ガスの発生を抑制でき、また発煙(煤煙発生)を抑制できる水性難燃化処理液を提供することにあり、特にそれを用いて難燃化させた難燃性木材、また、それを用いる木材を難燃化する方法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、水酸化アルミニウムを微粒子化させ、湿潤剤と共に水に分散させることによって、意外にも木材の内部にまで該水酸化アルミニウム微粒子を浸透させ得ることを見出した。
また、湿潤剤の熱分解により生成する炭化物皮膜が、スルファミン酸グアニジンの分解により発生した、窒素ガス、アンモニアガス等の不燃性ガスを封じ込めるので、スルファミン酸グアニジンと湿潤剤との相乗効果があることを見出した。また、該炭化物皮膜は、難燃化対象物の周囲にバリアを作り酸素を遮断し炎を消滅させる。
更に、水酸化アルミニウムの熱分解で発生する水が、意外にもスルファミン酸グアニジンの熱分解で発生する発煙を抑制し、水酸化アルミニウムとスルファミン酸グアニジンとの相乗効果をも見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、少なくとも、平均粒子径が0.1μm以上5μm以下である水酸化アルミニウム微粒子、スルファミン酸グアニジン、該水酸化アルミニウム微粒子の湿潤剤、及び、水を含有することを特徴とする水性難燃化処理液を提供するものである。
また、本発明は、上記の水性難燃化処理液を浸透させた後に乾燥させてなることを特徴とする難燃性木材を提供するものである。
また、本発明は、上記の水性難燃化処理液を木材に浸透させる工程、及び、該木材から該水性難燃化処理液中の水を蒸発させる工程、を少なくとも有することを特徴とする木材を難燃化する方法を提供するものである。
本発明によれば、前記問題点を解消し、上記課題を解決し、以下の効果に優れた水性難燃化処理液とそれで処理した難燃性木材を提供することができる。
すなわち、
(1)スルファミン酸グアニジンの分解により発生した、窒素ガス、アンモニアガス等の不燃性ガスによって、難燃化対象物の周囲にバリアを作って酸素を遮断し、また該ガス自体が火炎を消滅させる効果がある。
(2)スルファミン酸グアニジンの分解により発生した、二酸化硫黄等の硫化物やアンモニアを含有する「刺激臭があり有害な煤煙」を、「水酸化アルミニウムの熱分解で発生した水」及び/又は「湿潤剤が分解して形成される炭化物皮膜」が封じ込める効果がある。
この「封じ込め効果」は、湿潤剤が炭化する際の発煙等の「接炎時の発煙」に対しても、また、炎を取り去った後の自己消火性発動時に発生する刺激臭があり有害な煤煙に対しても奏される。
(3)湿潤剤は、水酸化アルミニウム微粒子の凝集を防止して、水酸化アルミニウム微粒子を好適に水に分散させるだけでなく、炎に晒されると湿潤剤を構成する炭素原子に起因する二酸化炭素を放出し、更に熱分解されて生成する炭化物皮膜は、難燃化対象物を覆い、窒素ガス、アンモニアガス等の不燃性ガスを封じ込めて、不燃性ガスリッチの雰囲気下を現出させ難燃化を増強すると共に、上記「刺激臭があり有害な煤煙」を封じ込める効果もある。
すなわち、湿潤剤とスルファミン酸グアニジンとを併用すると、上記したような相乗効果を発揮する。
(4)湿潤剤の熱分解により生成する炭化物皮膜は、酸素を通さず、燃え難い膜であることから、難燃化対象物の燃焼が抑制されて良好に難燃化が達成される。
(5)難燃化対象物が、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂の場合、プラスチックやゴムの場合等は、炭化物皮膜の形成と同時に、難燃化対象物の収縮(炭化収縮)が起きるので、溶融物が燃えながら滴下することが起きない(滴下物着火が起きない)という効果がある。
(6)特定の湿潤剤では、同様に炭素原子を含み炭化物皮膜を生成させると言われているクエン酸(塩)より、上記(2)(3)(4)(5)の効果が大きく、特に、水酸化アルミニウム微粒子と併用したときに、上記(2)(3)(4)(5)の効果を相乗的に発揮させる。
(7)水酸化アルミニウムは、それ自体が燃焼しない;加熱分解時に吸熱する;加熱分解することによって、熱容量が大きく蒸発熱の大きい水を発生させる;と言った公知の効果と共に、本発明においては、水酸化アルミニウムから発生する水が、スルファミン酸グアニジンの熱分解に起因する刺激臭があり有害な煤煙を抑制する(発煙を抑制する)と言った効果があり、水酸化アルミニウムとスルファミン酸グアニジンとの相乗効果を奏する。
(8)水酸化アルミニウムは、水に溶解しないが、水酸化アルミニウム微粒子とすることによって、湿潤剤の存在下に水に良好に分散されるようになる。
更に、平均粒子径を0.1μm以上5μm以下に設定することによって、湿潤剤の存在下に好適に木材の内部にまで浸透させることができる。更には、従来は、プラスチックやゴムに混練して内部に存在させるしかなかった水酸化アルミニウムを、好適に多くの量を木材の内部にまで浸透させることができる。
(9)「湿潤剤によって水に分散された水酸化アルミニウム」及びスルファミン酸グアニジンを含有する本発明の水性難燃化処理液は、木材への浸透性が早く優れている。
(10)本発明の水性難燃化処理液で処理された木材は、一定時間接炎させた後に炎を取り去ったときには消火する性質である「自己消火性」を有している。
(11)本発明の水性難燃化処理液は、固形分濃度が低くても、通常の塗布量や浸透量で木材に十分な難燃性を付与できるので、通常の一般的浸透タイプの塗料と比較しても、水性難燃化処理液で処理した木材の質量増加が抑制される。
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
1.水性難燃化処理液
本発明の水性難燃化処理液は、少なくとも、「平均粒子径が0.1μm以上5μm以下である水酸化アルミニウム微粒子」、スルファミン酸グアニジン、「該水酸化アルミニウム微粒子の湿潤剤」、及び、水を含有することを特徴とする。
1−1.水酸化アルミニウム微粒子
「平均粒子径が0.1μm以上5μm以下である水酸化アルミニウム微粒子」における水酸化アルミニウムは、組成式として、Al(OH)、又は、Al・3HOで表される白色結晶である。本発明で用いられる水酸化アルミニウムは、例えば、ギブサイト(Gibbsite)又はヒドラジライト(Hydrargilite)と言われる鉱物を粉砕したものでもよく、合成したものでもよい。
該粉砕方法は、平均粒子径が0.1μm以上5μm以下にできれば特に限定はなく、公知の方法が用いられる。
該合成方法は、特に限定はないが、例えば、アルミニウム塩の水溶液にアンモニアを加えて合成する方法、アルミン酸塩水溶液に酸性化合物を加えて合成する方法等が好ましいものとして挙げられる。
本発明における水酸化アルミニウムは、平均粒子径が0.1μm以上5μm以下の微粒子である。ここで、「平均粒子径」は、レーザー回折散乱法によって測定した数平均粒子径である。測定装置としては、例えば、日機装社製、マクロトラックが用いられる。
平均粒子径は、0.2μm以上4μm以下が好ましく、0.3μm以上3μm以下がより好ましく、0.5μm以上2μm以下が特に好ましい。
平均粒径の下限が上記以上であると、二次凝集が抑制され、水への分散性や分散安定性が安定し、沈降しても再分散が可能である。また、一定含有量(質量)が分散された場合、水性難燃化処理液が増粘せず、従って水性難燃化処理液の木材への浸透速度が上がる。
一方、平均粒径の上限が上記以下であると、水酸化アルミニウム微粒子の沈降分離が起こり難くなる。また、本発明の水性難燃化処理液の、すなわち水酸化アルミニウム微粒子の木材への浸透速度が速くなり、木材への浸透量も多くできる。
水酸化アルミニウム微粒子の粒径分布は、特に限定はないが、シャープであることが好ましい。粒径分布の上限と下限は、横軸に粒子径、縦軸に頻度をとって、粒径分布の裾野を観察して、実質的に頻度が立ち上がる又は立ち下がる(粒径が大きい方側から見て立ち上がる)粒子径を測定する。
特に限定はないが、水酸化アルミニウム微粒子の粒径分布は、0.01μm〜30μmの範囲の一部の粒径分布が好ましく、0.03μm〜20μmの範囲の一部の粒径分布がより好ましく、0.1μm〜10μmの範囲の一部の粒径分布が特に好ましく、0.3μm〜5μmの範囲の一部の粒径分布が更に好ましい。
粗粉が多く存在すると、水酸化アルミニウム微粒子の分散性や、木材等への浸透性が悪化する。
本発明の水性難燃化処理液中の水酸化アルミニウム微粒子の含有量は、特に限定はないが、0.05質量%以上5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上2質量%以下がより好ましく、0.2質量%以上1質量%以下が特に好ましい。
水酸化アルミニウム微粒子の含有量の下限が上記以上であると、難燃化対象物に充分な量の水酸化アルミニウムを付与でき、前記した水酸化アルミニウムの効果が良好に発揮される。特に、水酸化アルミニウムが分解時に吸熱したり、水を発生させたりして、難燃化に寄与すると共に、水酸化アルミニウムから発生する水が、スルファミン酸グアニジンの熱分解で発生する煤煙を抑制する(発煙を抑制する)と言う効果が良好に発揮できる。
一方、水酸化アルミニウム微粒子の含有量の上限が上記以下であると、不必要に水性難燃化処理液中に含有されることがなく、粘度上昇も抑制される。
また、水酸化アルミニウム微粒子の含有量が上記範囲であると、スルファミン酸グアニジンとの前記した相乗効果が好適に得られる。
また、水酸化アルミニウム微粒子の含有量が決まると、その分散に必要な湿潤剤の含有量範囲も決まるので、前記した湿潤剤とスルファミン酸グアニジンとの相乗効果も得られ易くなる。
粒子径の調整方法は、特に限定はなく、結果的に平均粒子径が0.1μm以上5μm以下になればよく、粗粉や微粉を取り除く粒子の分級工程はあってもなくてもよい。
また、水酸化アルミニウム微粒子の水への分散方法は、特に限定はなく、水中で上記平均粒子径の微粒子を調製して、例えばそれをマスターバッチとして使用しても、粉末の水酸化アルミニウム微粒子を水に分散させて水性難燃化処理液としてもよい。
水酸化アルミニウムは、約200℃まで安定であるが、それ以上の温度では分解(組成式をAl(OH)と捉えず、Al・3HOと捉えると結晶水の脱水反応)が起こり、大きな吸熱を示して難燃化に資する。
また、熱容量が大きい水及び水蒸気並びに蒸発熱の大きい水が、直接難燃化に役立つと共に、スルファミン酸グアニジンから発生した硫化物、アンモニア、それらを含む煤煙等の周囲への拡散を抑制する。
水酸化アルミニウムは、水や有機溶媒に不溶なため、難燃化のためには、プラスチックの内部に練り込んだり、壁紙に塗布したりして使用されており、木材内部に浸透させて使用することは殆どなされていない。
ただ、特許文献4には、アルミン酸ナトリウムを水に溶解させた水溶液を木材に含浸させ、その後に二酸化炭素を接触させて、木材の内部に水酸化アルミニウムを生成させて、木材の内部に水酸化アルミニウムを存在させる難燃化方法が記載されている。しかし、この技術では、水酸化アルミニウムの量が十分でなく、難燃化のための工程数も多く、他の難燃剤と組み合わせたときの発煙抑制効果も低い。
本願発明は、平均粒子径が0.1μm以上5μm以下である水酸化アルミニウム微粒子であれば、湿潤剤の存在下、それらの相互作用によって、木材の内部に好適に水酸化アルミニウムを導入できること等を見出してなされたものでもある。
本発明の水性難燃化処理液は、木材の断面を水性難燃化処理液に浸漬させた場合、従来の水系自己消化性塗布剤に比べて、木材への浸透速度が約13倍速いことが確かめられている。
1−2.スルファミン酸グアニジン
本発明の水性難燃化処理液は、スルファミン酸グアニジンを必須成分として含有する。水中では(水性難燃化処理液中では)、多くはスルファミン酸陰イオンとグアニジン陽イオン(グアニジニウムイオン)として存在する。
本発明の水性難燃化処理液中におけるスルファミン酸グアニジンの含有量は、特に限定はないが、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上5質量%以下がより好ましく、1.5質量%以上3質量%以下が特に好ましい。
スルファミン酸グアニジンの含有量の下限が上記以上であると、スルファミン酸グアニジンの熱分解により発生した、窒素ガス、アンモニアガス等の不燃性ガスが、難燃化対象物の周囲にバリアを作って酸素を遮断し、また該ガス自体が火炎を消滅させる効果がある等、前記したスルファミン酸グアニジンの効果が良好に発揮される。
一方、スルファミン酸グアニジンの含有量の上限が上記以下であると、水酸化アルミニウム微粒子が凝集せず分散(安定)性が良好であり、その結果、例えば難燃化対象物が木材の場合、内部に水酸化アルミニウム微粒子が侵入する。また、難燃化対象物に塗布した場合、水酸化アルミニウム微粒子が難燃化対象物の表面で凝集し難い。
また、スルファミン酸グアニジンの熱分解に起因する、二酸化硫黄等の硫化物;アンモニア;等を含む煤煙が大量に発生しないので、「水酸化アルミニウムの熱分解で発生した水」及び/又は「湿潤剤が分解して形成される炭化物皮膜」が、それら煤煙を十分に封じ込めることが可能で、すなわち、水酸化アルミニウムや湿潤剤との併用効果が十分に発揮される。また、スルファミン酸グアニジンが無駄にならない。
スルファミン酸グアニジンは、単独では、硫化物やアンモニアを含む発煙以外にも、ブルームが起き易く、長期的にはもたないことから、難燃剤として普及率は低いが、本発明の水性難燃化処理液の成分として用いれば、それらが解消された上で、スルファミン酸グアニジンの性能が発揮される。
1−3.湿潤剤
本発明の水性難燃化処理液は、湿潤剤を必須成分として含有する。本発明における湿潤剤とは、湿潤作用を有し、(1)水酸化アルミニウム微粒子の水への分散性を向上させる物質、及び/又は、(2)水性難燃化処理液の木材への浸透性を向上させる物質である。
更に、本発明における湿潤剤は、(3)炎に晒されると炭化物皮膜を形成して難燃性を向上させる物質であることが好ましい。「湿潤作用」とは、「水酸化アルミニウム微粒子や布、木材等の難燃化対象物」と、水との間の結合を増強させる作用を言う。
湿潤剤は、上記(1)(2)では、水酸化アルミニウム微粒子及び/又は木材に対する湿潤作用を有する。
本発明における湿潤剤は、(1)又は(2)の性質を有するものであるが、(3)の性質を有するものであることが好ましい。(3)の性質を有することによって、該炭化物皮膜が難燃化対象物を覆い、スルファミン酸グアニジンから発生する「窒素ガス、アンモニアガス等の不燃性ガス」を封じ込めて難燃化を増強すると共に、スルファミン酸グアニジンから発生する発煙を抑制する。
従って、本発明における湿潤剤は、炭素原子を有する有機物であることが好ましく、界面活性剤であることがより好ましく、アニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤又は「それらの併用」であることが特に好ましい。
また、本発明における湿潤剤は、カルボキシル基(若しくはカルボン酸塩)及び/又は水酸基を有しているものであることが好ましく、カルボキシル基(若しくはカルボン酸塩)を有している場合は、1分子中にそれらを2個以上有しているものであることがより好ましく、3個以上有しているものであることが特に好ましく、5個以上有しているものであることが更に好ましく、10個以上有しているものであることが最も好ましい。
湿潤剤は、具体的には、低分子量カルボン酸ポリマーのカルボキシル基の少なくとも一部が塩になっている構造を有するもの、又は、(ポリ)アルキレングリコールのモノ若しくはジアルキルエーテル構造を有するもの、又は、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル構造を有するものが好ましい。
1−3−1.低分子量カルボン酸ポリマーの一部が塩になった構造を有する湿潤剤
「低分子量カルボン酸ポリマーのカルボキシル基の少なくとも一部が塩になっている構造を有するもの」は、アニオン性界面活性剤に含まれるものがある。
低分子量カルボン酸ポリマーとしては、特に限定はないが、アクリル酸又はメタクリル酸の重合体若しくは共重合体(以下、「(メタ)アクリル酸(共)重合体」と略記することがある)、無水マレイン酸の重合体若しくは共重合体又は重合後に無水マレイン酸が開環したもの(以下、「(無水)マレイン酸(共)重合体」と略記することがある)等のビニル系重合体が好ましい。
上記「低分子量カルボン酸ポリマーのカルボキシル基の少なくとも一部が塩になっている構造を有するもの」における「塩」については、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;NH 塩;モノアルキルアンモニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアンモニウム塩等のアルキルアンモニウム塩;モノアルキロールアミン、ジアルキロールアミン、トリアルキロールアミン等のアルキロールアミンの窒素に水素が結合した構造を有するアンモニウム塩;等が挙げられる。
上記「アルキルアンモニウム塩」のアルキル基の炭素数は、1個以上8個以下が好ましく、1個以上6個以下が特に好ましい。
また、上記「アルキロールアミン」の炭素数は、1個以上8個以下が好ましく、2個以上6個以下が特に好ましい。炭素数2個のアルキロールアミンであるエタノールアミンが更に好ましい。
この範囲であれば、湿潤剤自身が水に溶解し易くなり、水酸化アルミニウム微粒子を水に分散させ易くなり、水酸化アルミニウム微粒子が分散した水性難燃化処理液を木材に浸透させ易くなる。
カルボキシル基の少なくとも一部が塩になっている構造を有するものの「少なくとも一部」とは、該低分子量カルボン酸ポリマーが水に可溶になる範囲であれば特に限定はないが、20モル%以上100モル%以下が塩になっているものが好ましく、30モル%以上95モル%以下が塩になっているものがより好ましく、40モル%以上90モル%以下が塩になっているものが特に好ましい。
この範囲であれば、湿潤剤自身が水に溶解し易くなり、水酸化アルミニウム微粒子を水に分散させ易くなり、水酸化アルミニウム微粒子が分散した水性難燃化処理液を木材に浸透させ易くなる。
(メタ)アクリル酸(共)重合体、(無水)マレイン酸(共)重合体等における「カルボキシル基を含有する重合成分以外の共重合成分」としては特に限定はないが、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸(ポリ)エチレングリコールエステル;(メタ)アクリル酸(ポリ)プロピレングリコールエステル;スチレン;アクリロニトリル;アクリルアミド;酢酸ビニル等が挙げられる。また、(メタ)アクリル酸(共)重合体の末端には連鎖移動剤が結合していてもよい。
(メタ)アクリル酸(共)重合体、(無水)マレイン酸(共)重合体等における「カルボキシル基を含有する重合成分」の重合割合は、特に限定はないが、20モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、80モル%以上が特に好ましい。上限は特に限定はなく100モル%以下である。
「低分子量カルボン酸ポリマーのカルボキシル基の少なくとも一部が塩になっている構造を有するもの」における「低分子量」とは、平均ビニル系繰り返し単位数として、3量体以上300量体以下が好ましく、5量体以上100量体以下がより好ましく、10量体以上30量体以下が特に好ましい。
分子量は、数平均分子量で、200以上30000以下が好ましく、400以上10000以下がより好ましく、1000以上3000以下が特に好ましい。
上記重合割合や分子量の範囲であれば、湿潤剤自身が水に溶解し易くなり、水酸化アルミニウム微粒子を水に分散させ易くなり、水酸化アルミニウム微粒子が分散した水性難燃化処理液を木材に浸透させ易くなる。また、カルボキシル基に主に起因して、湿潤剤が分解して炭化物皮膜を形成し易くなり、前記本発明のスルファミン酸グアニジンとの相乗効果を発揮する。
1−3−2.(ポリ)アルキレングリコールのアルキルエーテル構造を有する湿潤剤
上記「(ポリ)アルキレングリコールのモノ若しくはジアルキルエーテル構造を有する湿潤剤」の(ポリ)アルキレングリコールとしては、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、又は、(ポリ)エチレンプロピレングリコールが挙げられる。ここで、「(ポリ)エチレンプロピレングリコール」とは、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(オキシエチレンとオキシプロピレンが共重合したもの)を言う。
すなわち、上記「(ポリ)アルキレングリコールのモノ若しくはジアルキルエーテル構造を有する湿潤剤」としては、「(ポリ)エチレングリコールのモノ若しくはジアルキルエーテル構造を有する湿潤剤」又は「(ポリ)プロレングリコールのモノ若しくはジアルキルエーテル構造を有する湿潤剤」又は「(ポリ)エチレンプロレングリコールのモノ若しくはジアルキルエーテル構造を有する湿潤剤」が好ましいものとして挙げられる。
(ポリ)アルキレングリコールの重合度は、水酸化アルミニウム微粒子を好適に水に分散させ、木材に浸透させるものであれば特に限定はないが、2以上1000以下が好ましく、3以上400以下がより好ましく、4以上200以下が特に好ましく、5以上100以下が更に好ましい。
上記「(ポリ)アルキレングリコールのモノ若しくはジアルキルエーテル構造を有する湿潤剤」の「アルキル」の炭素数は、特に限定はないが、1個以上20個以下が好ましく、2個以上16個以下がより好ましく、3個以上12個以下が特に好ましく、6個以上10個以下が更に好ましい。
具体的には、例えば、メチル基;エチル基;イソプロピル基、n−プロピル基等のプロピル基;tertブチル基、secブチル基、イソブチル基、n−ブチル基等のブチル基;ヘキシル基;2−エチルヘキシル基、n−オクチル基等のオクチル基;デシル基;ドデシル基;ステアリル基;等が挙げられる。
モノアルキルエーテル構造を有するものでも、ジアルキルエーテル構造を有するものでもよいが、水酸基を有する(水酸基を残した)モノアルキルエーテル構造を有するものが特に好ましい。
上記基や構造であれば、湿潤剤自身が水に溶解し易くなり、水酸化アルミニウム微粒子を水に分散させ易くなり、水酸化アルミニウム微粒子が分散した水性難燃化処理液を木材に浸透させ易くなる。また、湿潤剤が熱分解して炭化物皮膜を形成し易くなり、前記した本発明のスルファミン酸グアニジンとの相乗効果を発揮する。また、燃焼後に黄色く変色することがなく、前記「低分子量カルボン酸ポリマーの一部が塩になった構造を有する湿潤剤」が含有された水性難燃化処理液で難燃化した木材が燃焼後に黄色く変色することを低減化することができる。
1−3−3.(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル構造を有する湿潤剤
(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルのグリセリンの縮合度は、特に限定はないが、1以上8以下が好ましく、2以上6以下が特に好ましい。
また、脂肪酸の有する炭素数の好ましい範囲は、前記した「(ポリ)アルキレングリコールのモノ若しくはジアルキルエーテル構造を有する湿潤剤」の「アルキル」の炭素数の好ましい範囲と同様である。
エステル化度は、特に限定はないが、水酸基を有する(水酸基を残した)脂肪酸エステル構造を有するものが好ましい。
HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)は、特に限定はないが、13以上が好ましく、14以上19以下がより好ましく、15以上18以下が特に好ましい。
上記構造であれば、湿潤剤自身が水に溶解し易くなり、水酸化アルミニウム微粒子を水に分散させ易くなる。また、前記した本発明のスルファミン酸グアニジンとの相乗効果を発揮し易い。
1−3−4.湿潤剤の含有量
本発明の水性難燃化処理液中の湿潤剤の含有量は、特に限定はないが、2質量%以上30質量%以下が好ましく、4質量%以上20質量%以下がより好ましく、6質量%以上12質量%以下が特に好ましい。複数種類の湿潤剤を併用する場合、上記「湿潤剤の含有量」とは、それらの合計含有量のことを言う。
湿潤剤の含有量の下限が上記以上であると、充分な量の水酸化アルミニウムを分散させることができ、分散安定性が良好となり、前記した水酸化アルミニウムの効果を良好に発揮させることができ、また木材内部への水性難燃化処理液の浸透性、ひいてはそこに分散されている水酸化アルミニウムの浸透性が良好となる。また、難燃化対象物に塗布した場合、水酸化アルミニウム微粒子が難燃化対象物の表面で凝集し難くなる。
また、湿潤剤が形成する炭化物皮膜が、スルファミン酸グアニジンの熱分解で発生する煤煙を好適に抑制する(発煙を抑制する)ので、前記した「湿潤剤とスルファミン酸グアニジンとの相乗効果」も得られ易くなる。
一方、湿潤剤の含有量の上限が上記以下であると、不必要に水性難燃化処理液中に含有されることがなく、粘度を上昇させずに木材への浸透性が向上する。
1−3−5.湿潤剤の効果
前記した湿潤剤のうちでも、低分子量カルボン酸ポリマーのカルボキシル基の少なくとも一部がアンモニウム塩になっている構造を有する湿潤剤、及び/又は、(ポリ)アルキレングリコールのモノ若しくはジアルキルエーテル構造を有する湿潤剤が特に好ましい。
特に、(ポリ)アルキレングリコールのモノ若しくはジアルキルエーテル構造を有する湿潤剤は、水酸化アルミニウム微粒子が分散した水性難燃化処理液の木材に対する浸透性が特に優れている。
また、低分子量カルボン酸ポリマーのカルボキシル基の少なくとも一部がアンモニウム塩になっている構造を有する湿潤剤は、1分子中に多数のカルボキシル基を有しており、炭化物皮膜の形成に特に優れている。
従って、低分子量カルボン酸ポリマーのカルボキシル基の少なくとも一部がアンモニウム塩になっている構造を有する湿潤剤と、(ポリ)アルキレングリコールのモノ若しくはジアルキルエーテル構造を有する湿潤剤との併用が特に好ましい。
本発明における湿潤剤に代えて、1分子中にカルボキシル基を3個持つクエン酸(塩)を加えた場合(例えば、特許文献3)、炎に晒すとクエン酸(塩)に起因した炭化物皮膜が形成され、スルファミン酸グアニジンとの相乗作用はあるが、発生する二酸化硫黄等の硫化物やアンモニアを含有する煤煙発生の抑制効果は十分ではなく、水酸化アルミニウム微粒子を分散させる性質もない。
クエン酸(塩)は、難燃化対象物がプラスチックの場合には、炭化物皮膜の形成と同時にプラスチックの収縮(炭化収縮)を起こさせるので、プラスチックの溶融物が燃えながら滴下することを防止できる(滴下物着火が起きないようにできる)。
しかし、難燃化対象物が木材の場合には、難燃化対象物の溶融物はなく滴下物着火はないので、滴下物着火の抑制効果の向上を、(1)水酸化アルミニウム微粒子の水への分散性向上、(2)水性難燃化処理液の木材への浸透性向上、(3)炭化物皮膜を形成して難燃性を向上、等に振り向けることができた。その結果、本発明における湿潤剤は、クエン酸(塩)等のような「1分子中にカルボキシル基を複数有するもの」より、水酸化アルミニウムやスルファミン酸グアニジンとの優れた相乗作用を発揮する。
1−4.水
本発明の水性難燃化処理液の溶解媒体・分散媒体は水である。本発明における前記成分は、何れも水に可溶か易分散が可能である。
水は、特に限定はないが、精製された水を使用することが好ましい。水中の不純物が燃焼に与える影響が不確定であり、着色しないように、できるだけ不純物が少ない水が好ましい。そのため、工業用水が好ましい。また、医療用より工業用の方が安価であるため、工業用水を使用することが好ましい。
1−5.その他成分
本発明の水性難燃化処理液には、前記した成分の他に「その他成分」を含有させることができる。その他成分としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン化合物;ホウ酸亜鉛、ホウ酸等のホウ酸化合物;水酸化マグネシウム等のアルミニウム以外の水酸化物;リン酸アンモニウム、リン酸グアニジン等のリン酸化合物、界面活性剤;等が挙げられる。
また、前記した好適な湿潤剤において、分子量、塩構造(塩の種類)、共重合化合物、共重合比、平均粒子径等の好ましい範囲を外れる湿潤剤・分散剤も、本発明の効果を奏する範囲であれば、含有させることもできる。
中でも、吸熱分解し難燃化に寄与するので、ホウ酸亜鉛を「その他成分」として追加することも好ましい。
1−6.各成分の含有比
本発明の水性難燃化処理液全体に対する各成分の含有割合(質量%)は前記した通りであるが、水酸化アルミニウム微粒子1質量部に対する各成分の好ましい含有割合は以下の通りである。
水酸化アルミニウム微粒子:1質量部
スルファミン酸グアニジン:1質量部〜15質量部
湿潤剤:5質量部〜100質量部
更にまた、水酸化アルミニウム微粒子1質量部に対する各成分の特に好ましい含有割合は以下の通りである。
水酸化アルミニウム微粒子:1質量部
スルファミン酸グアニジン:3質量部〜6質量部
湿潤剤:10質量部〜50質量部
水酸化アルミニウム微粒子に対するスルファミン酸グアニジンの含有割合が上記範囲であれば、スルファミン酸グアニジンから出る発煙を水酸化アルミニウムが好適に抑制する等の水酸化アルミニウムとスルファミン酸グアニジンの相乗効果を奏し易い。また、スルファミン酸グアニジンが、水酸化アルミニウム微粒子の分散(安定)性を阻害し難いため、水酸化アルミニウム微粒子の浸透性が阻害されず、また難燃化対象物の表面での凝集が起こり難い。
水酸化アルミニウム微粒子に対する湿潤剤の含有割合が上記範囲であれば、水酸化アルミニウム微粒子を湿潤剤が好適に水に分散させられると共に、木材に浸透させられる。また、難燃化対象物の表面での水酸化アルミニウム微粒子の凝集を抑制できる。
また、水酸化アルミニウムから発生する水と、湿潤剤に炎が接して形成される炭化物皮膜とが好適に難燃化に寄与する。
水性難燃化処理液全体に対する、水酸化アルミニウム微粒子と、スルファミン酸グアニジンと、湿潤剤との合計量(以下、「成分合計質量」と略記する)の割合は、適度な粘度と木材への適度な浸透性と良好な作業性を有すれば特に限定はないが、水性難燃化処理液100質量部に対して、成分合計質量が、好ましくは、2質量部〜30質量部であり、より好ましくは、5質量部〜20質量部であり、特に好ましくは、7質量部〜15質量部である。
「成分合計質量」含有量の下限が上記以上であると、前記した本発明の効果を奏し易く、「成分合計質量」含有量の上限が上記以下であると、水性難燃化処理液の粘度が低く押させられて木材への浸透性が上がる。また、難燃化処理をしても不必要に難燃化対象物の質量を増加させずに、充分難燃性を確保した上で難燃化処理前と質量変化(質量増加)の少ない難燃性木材を提供できる。
1−7.水性難燃化処理液の製造方法
本発明の水性難燃化処理液の製造方法は、特に限定はなく公知の方法が適用できるが、具体的には、例えば以下の製造方法が挙げられる。
すなわち、「予め最終的な平均粒子径が0.1μm以上5μm以下となるように粒径調整された水酸化アルミニウム微粒子」、「1種又は2種以上の湿潤剤」、及び、要すれば「その他成分」を、適量の水に添加してミキサーで初期混合する。その際、湿潤剤は予め水で希釈して水溶液の形で添加してもよいし、水酸化アルミニウム微粒子も水分散液の形で添加してもよい。
次いで、水酸化アルミニウム微粒子を均等に分散又は解砕させるために、ビーズミル等を用いたペイントシェーカーで処理する。処理時間の経過毎に、双溝型グラインドメーター等の測定装置を用いて粒子径を簡易測定し、5μm以下になったことを確認して分散処理を終了する。処理中の液温は、室温(例えば15℃)から50℃の範囲とする。
得られた分散液にスルファミン酸グアニジンを加え、要すれば水を加えて濃度や粘度を調製して本発明の水性難燃化処理液を得る。その際、要すれば「その他成分」を添加してもよい。
1−8.水性難燃化処理液の使用方法及び難燃性木材
本発明の水性難燃化処理液は、難燃化対象物又はその原料に対して、塗布、含浸、水を留去しながら混練、注入等をして使用する。
難燃化対象物は、特に限定はなく、木材、繊維、紙、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、プラスチック、ゴム、接着剤、塗料等が挙げられるが、木材に対して使用する(難燃化対象物が木材である)ことが、本発明の前記した効果を奏し易いので好ましい。
本発明の水性難燃化処理液を木材に対して使用するときは、本発明の水性難燃化処理液を木材に塗布しても、木材を本発明の水性難燃化処理液に浸漬してもよい。本発明の水性難燃化処理液を木材に浸透させた後に乾燥させて、該木材を難燃化させる。
本発明の他の態様は、前記の水性難燃化処理液を木材に浸透させる工程、及び、該木材から該水性難燃化処理液中の水を蒸発させる工程、を少なくとも有することを特徴とする木材を難燃化する方法である。
本発明の水性難燃化処理液は、木材の断面をそこに浸漬させた場合、従来の水系自己消化性塗布剤に比べて木材への浸透速度が約10倍速い。
本発明の水性難燃化処理液を用いて処理した木材は、水酸化アルミニウムの作用によって、燃焼時と消火時で発生する発煙が押さえられ(炭酸泡に変化すると考えられる)、自己消火性を有しており、僅かな引火もしないレベルに仕上がることを確認している。
本発明の他の態様は、前記の水性難燃化処理液を浸透させた後に乾燥させてなることを特徴とする難燃性木材である。
本発明の難燃性木材は、UL94規格の等級がV−0を達成できる。好ましい態様は、UL94規格の等級がV−0又はV−1である上記の難燃性木材であり、特に好ましい態様は、UL94規格の等級がV−0である上記の難燃性木材である。
また、本発明の難燃性木材は、難燃性木材中の水酸化アルミニウムによって耐候性が悪化することもない。
1−9.作用・原理
水酸化アルミニウム微粒子が湿潤剤の存在下に、例えば木材等の内部にまで浸透して、前記した水酸化アルミニウムの難燃化効果や発煙防止効果を好適に発揮するようにできた作用・原理は明確ではなく、本発明は、特に以下の作用・原理の範囲のものに限定されるものではないが、以下のように考えられる。
すなわち、湿潤剤が水酸化アルミニウム微粒子の表面に配向し、立体障害で分散性を向上させ、余った湿潤剤の官能基の作用で水酸化アルミニウム微粒子が水分子間に入り、木材等の隙間に浸透して行ったと考えられる。
そして、接炎時に、木材等の内部にまで浸透した水酸化アルミニウム微粒子から発生した水が、温度を下げたり、スルファミン酸グアニジン等からの発煙を抑制したりして、難燃化に寄与したと考えられる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
<水性難燃化処理液の調製>
水性難燃化処理液の全ての成分を、アズワン社製のスーパーミキサー(自転公転型)を用いて30秒攪拌して初期混合をした。
各水性難燃化処理液の成分の種類と含有量を表1に示す。各水性難燃化処理液の全ての成分の仕込み量の合計は50gとした。その際、成分は予め水溶液になっているものもあったが、表1の数値は、水溶液中の有効成分の質量部である。
この液をRed Devil社製のペイントコンディショナーで、分散メディアとしてビーズを用いて(ビーズミルで)、30分〜60分シェイクし、水酸化アルミニウム微粒子の凝集体を解砕して均等に分散させた。
良好に分散しているか否かの確認は、双溝型グラインドメーターで読み取って、分散粒度の条件としては5μm以下とし、そこに達した段階でシェイクを終了して水性難燃化処理液を得た。
なお、室内温度は28℃であり、液の温度は、シェイク開始時は28℃、シェイク終了時は43℃であった。
得られた水性難燃化処理液は50gであり、水を含め成分のロスは殆どなかった。
各水性難燃化処理液について、同一成分組成で上記と同様の調製を4回行い、50gの同組成の各水性難燃化処理液を4配合(ロット)作った。浸透試験、燃焼試験等、全ての評価は、1種の水性難燃化処理液毎に4配合(ロット)で行いそれら4点の平均をとって判定した。
Figure 2016104837
表1中、「水酸化アルミニウム微粒子A」は、数平均粒子径が1.2μmであり、粒径が0.3μm〜4μmの範囲に分布しているものである。
「湿潤剤1」は、数平均分子量が2000のメタクリル酸の重合体の、トリエタノールアミンの窒素に水素が結合した構造を有するアンモニウム塩である。
「湿潤剤2」は、重合度が40の「エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(オキシエチレンとオキシプロピレンが共重合したもの)」の片末端が、2エチルヘキシルエーテル構造となったものである。
「湿潤剤3」は、ポリグリセリンの脂肪酸エステルである。
「ホウ酸亜鉛」は、無水物を用いた。
「クエン酸ナトリウム」は、「クエン酸三ナトリウム」を用いた。
水は、(株)山栄製の工業用精製水を用いた。
表1の数値は質量部を示す。前記した通り、各水性難燃化処理液の全ての成分の仕込み量の合計は50gであるが、表1の数値は全て質量部に換算してある。
表1は、全ての配合の水性難燃化処理液で、各成分の合計量が115.0質量部になっている。
<測定方法>
(1)水性難燃化処理液中の水酸化アルミニウム微粒子の平均粒子径と分散性
日機装(株)製のマイクロトラック(レーザー回折散乱法を利用)によって、常法に従い粒径分布を測定し、数平均粒子径を求めた。
<<判定基準>>
○:数平均粒子径が5μm以下であり、分散性が良好で、木材への浸透性は極めて良好である。
×:数平均粒子径が5μm以下であるが、分散性と木材への浸透性が不良である。
××:数平均粒子径が5μmより大きく、分散性と木材への浸透性が極めて不良である。
(2)水性難燃化処理液の木材への浸透性
水性難燃化処理液が約50g入ったカップへ、上から吊るした加工スギ材(幅30mm×厚み10mm×長さ150mm)を、縦に液中へ50mm浸漬した。3分後に取り上げ、50mmから上に液の浸透している長さを測定した。
<<判定基準>>
◎:浸透長さが20mm以上であり、浸透性が極めて良好である。
○:浸透長さが10mm以上20mm未満であり、浸透性が良好である。
△:浸透長さが7mm以上10mm未満であり、浸透性がやや良好である。
×:浸透長さが7mm未満であり、浸透性が不良である。
(3)燃焼性(難燃性)
上記の水性難燃化処理液を浸透させた木材を、乾燥オーブン(内温80℃)に3時間入れて水分を揮発させた。
得られた乾燥した木材を、水性難燃化処理液を浸透させた側を下にして縦にして吊り下げ、トーチで炙った(接炎させた)。炎からの距離は、酸化炎が当たるところまで近づけた。
10秒間接炎させて、炎から離し、燃焼状況を目視で観察した。
<<判定基準>>
○:炎から離すと着火しておらず燃えない。
×:炎から離すと着火していて燃えた。
(4)発煙性
上記燃焼性の試験で接炎中の発煙量、炭化する際に発生する発煙量、炎から離したときの発煙量を目視で確認した。
<<判定方法>>
○:発煙量が少ない。
△:発煙量がやや多いが合格レベル。
×:発煙量が多く不合格レベル。
(5)変色性
上記燃焼性の試験をした木材を目視で観察した。黄色又は白色になったものを変色とした。変色はない方が良いが、黄色又は白色に変色しても大きな問題点ではない。
<結果>
表1に評価結果をまとめて記載する。
平均粒子径が1.2μmの水酸化アルミニウム微粒子、スルファミン酸グアニジン、湿潤剤を全て含有する水性難燃化処理液(配合No.1〜8)は、水酸化アルミニウム微粒子の分散性、木材への浸透性、燃焼性(難燃性)及び発煙性(煤煙量)が全て合格レベルであった。
一方、水酸化アルミニウム微粒子、スルファミン酸グアニジン、湿潤剤の何れか1成分を欠く水性難燃化処理液(配合No.9〜15)は、水酸化アルミニウム微粒子の分散性、木材への浸透性、燃焼性(難燃性)又は発煙性(煤煙量)の何れかが不合格レベルであった。
詳しくは、水酸化アルミニウム微粒子を含有しない水性難燃化処理液(配合No.9、10)は、何れも燃焼性(難燃性)と発煙性が共に極めて悪く不合格であった。また、不整な炎が出た。
また、スルファミン酸グアニジンを含有しない水性難燃化処理液(配合No.11、12)は、何れも燃焼性(難燃性)が極めて悪く不合格であった。
また、湿潤剤を含有しない水性難燃化処理液(配合No.13〜15)は、何れも水酸化アルミニウム微粒子の分散性と木材への浸透性が共に極めて悪く不合格であった。湿潤剤は、燃焼性や発煙性の向上にも効果を奏した(配合No.1〜8)。
クエン酸ナトリウムにも燃焼性(難燃性)を向上させる効果はあったが、分散性や浸透性を向上させる効果はなかった(配合No.14、15)。また、燃えはしないが発煙性を悪化させた。
湿潤剤1は、燃焼後に難燃化対象物を黄色く変色させるが、水酸化アルミニウム微粒子とスルファミン酸グアニジンの含有を前提にして、分散性、浸透性、炭化物皮膜形成(燃焼性、発煙性に影響)共に向上させた(配合No.1、4〜6、8)。
湿潤剤2は、水性難燃化処理液の木材への浸透性、従って水酸化アルミニウム微粒子の木材への浸透性を向上させた(配合No.2、4、5、10、12)。
ただし、湿潤剤3は、浸透性を若干悪くする傾向が見られた(配合No.3、7)。
湿潤剤1と湿潤剤2を併用した水性難燃化処理液は、何れも木材への浸透性が共に極めて良好であった(配合No.4、5、8、10、12)。
ホウ酸亜鉛を含有したものは、合格レベルであるが発煙性が悪化した(配合No.8)。
なお、水性難燃化処理液中の水酸化アルミニウム微粒子の平均粒子径は、何れも1.2μmであった。
実施例2
実施例1の配合No.1〜8、11〜15で使用した、数平均粒子径が1.2μmであり、粒径が0.3μm〜4μmの範囲に分布している「水酸化アルミニウム微粒子A」に代えて、以下の「水酸化アルミニウム微粒子B、C」を使用した以外は、配合No.4と同一の組成で、水性難燃化処理液(配合No.21、22)を調製し、実施例1と同様に評価した。
配合No. 水酸化アルミニウム微粒子 数平均粒子径 粒径分布
4 A 1.2μm 0.3μm〜 4μm
21 B 4.0μm 0.5μm〜13μm
22 C 7.0μm 0.7μm〜40μm
配合No.21は、表1に示した配合No.4の評価結果と同様の評価結果を示した。
一方、配合No.22は、配合No.4と比較して、水性難燃化処理液中の水酸化アルミニウム微粒子Cの数平均粒子径が7μmであることに起因して、分散性が「××」と極めて不良であった。また、前記した水酸化アルミニウム微粒子含有の効果を好適には示さなかった。
本発明の必須3成分を含有する水性難燃化処理液は、難燃性、有害ガスや刺激性ガスの発生を抑制でき、発煙を抑制できるため、建築材料分野をはじめ、難燃性が要求されている産業分野に広く利用されるものである。

Claims (10)

  1. 少なくとも、平均粒子径が0.1μm以上5μm以下である水酸化アルミニウム微粒子、スルファミン酸グアニジン、該水酸化アルミニウム微粒子の湿潤剤、及び、水を含有することを特徴とする水性難燃化処理液。
  2. 上記水酸化アルミニウム微粒子の湿潤剤が、低分子量カルボン酸ポリマーのカルボキシル基の少なくとも一部がアンモニウム塩になっている構造を有する湿潤剤、又は、(ポリ)アルキレングリコールのモノ若しくはジアルキルエーテル構造を有する湿潤剤である請求項1に記載の水性難燃化処理液。
  3. 上記低分子量カルボン酸ポリマーが、(メタ)アクリル酸(共)重合体、又は、(無水)マレイン酸(共)重合体である請求項2に記載の水性難燃化処理液。
  4. 上記アンモニウム塩が、アルキロールアミンの窒素に水素が結合した構造を有するアンモニウム塩である請求項2又は請求項3に記載の水性難燃化処理液。
  5. 上記(ポリ)アルキレングリコールが、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、又は、(ポリ)エチレンプロピレングリコールである請求項2ないし請求項4の何れかの請求項に記載の水性難燃化処理液。
  6. 上記モノ若しくはジアルキルエーテル構造のアルキル基が、炭素数が3個以上12個以下のアルキル基である請求項2ないし請求項5の何れかの請求項に記載の水性難燃化処理液。
  7. 木材に浸透させた後に乾燥させて、該木材を難燃化させるためのものである請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の水性難燃化処理液。
  8. 請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載の水性難燃化処理液を浸透させた後に乾燥させてなることを特徴とする難燃性木材。
  9. UL94規格の等級がV−0である請求項8に記載の難燃性木材。
  10. 請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載の水性難燃化処理液を木材に浸透させる工程、及び、該木材から該水性難燃化処理液中の水を蒸発させる工程、を少なくとも有することを特徴とする木材を難燃化する方法。
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