JP2016104709A - シスチン誘導体を含有する非水性注射剤及びデポ形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】シスチン誘導体を用い、生体内等への投与後にデポを形成することができる注射剤を提供すること。【解決手段】有効成分と下記一般式で表わされるシスチン誘導体とを含有する非水性注射剤。(下記式中、R1は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、ニトロ基、ニトリル基、アミノ基、アルキルアミノ基又はハロゲン原子を表し、R2は、ヒドロキシ基又はアミノ基を表す。)【選択図】なし
Description
本発明は、非水性注射剤及びデポ形成方法に関する。
従来より知られているデポ形成用注射剤は、ポリ乳酸(PLA)等の高分子化合物が利用されている。
しかし、高分子化合物は、生体内で分解されるのに長期間を要する。
しかし、高分子化合物は、生体内で分解されるのに長期間を要する。
一方、後述の一般式で表されるシスチン誘導体は、高分子化合物よりも生分解性にも優れている。
非特許文献1及び2には、シスチン誘導体をハイドロゲル化して徐放性製剤として利用することが提案されている。
非特許文献1及び2には、シスチン誘導体をハイドロゲル化して徐放性製剤として利用することが提案されている。
メンガー(Fredric M.Menger)、外1名、「サブミリモル濃度で水を固定するアミノ酸誘導体のゲル骨格」(Anatomy of a Gel. Amino Acid Derivatives That Rigidify Water at Submillimolar Concentrations)、J Am. Chem. Soc.、アメリカ化学会(American Chemical Society)、11/10/2000、第122巻、p.11679−11691
フリッゲリ(Arianna Friggeri)、外2名、「低分子量ゲル化剤のハイドロゲルを用いるキノリン誘導体の捕捉及び放出」(Entrapment and release of quinoline derivatives using a hydrogel of a low molecular weight gelator)、ジャーナル・オブ・コントロールド・リリース(Journal of Controlled Release)、エルセヴィア B.V.(Elsevier B.V.)、2004年、第97巻、p.241−248
しかしながら、非特許文献1及び2に記載されたシスチン誘導体と薬物とを含む組成物は、生体内に投与する前に既にゲル状となっているので、注射剤に適用することはできない。
本発明は、シスチン誘導体を用い、生体内等に投与した後にデポを形成することができる注射剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、シスチン誘導体を含有する液体組成物は、注射剤として好適な流動性を有し、また、それを生体内等に投与すればデポを形成することを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1)有効成分と下記一般式で表わされるシスチン誘導体とを含有する非水性注射剤。
(上記式中、R1は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、ニトロ基、ニトリル基、アミノ基、アルキルアミノ基又はハロゲン原子を表し、R2は、ヒドロキシ基又はアミノ基を表す。)
(2)上記非水性注射剤の全体積に対し、上記有効成分の含有量は0.0001〜50%(w/v)、上記シスチン誘導体の含有量は0.1〜80%(w/w)である(1)記載の非水性注射剤。
(3)上記非水性注射剤は、体液、疑似体液又はリン酸緩衝液に接触してデポを形成するものである(1)又は(2)記載の非水性注射剤。
(4)上記非水性注射剤の全量に対し、20%(w/w)以上の極性有機溶媒を更に含有する(1)から(3)いずれか1項記載の非水性注射剤。
(5)上記非水性注射剤は、関節内投与用、硝子体内投与用、皮下投与用、筋肉内投与用、脊椎内投与用又は脳室内投与用である(1)から(4)いずれか1項記載の非水性注射剤。
(6)上記非水性注射剤は、関節、網脈絡膜又は網膜への上記有効成分の供給に用いられる(1)から(5)いずれか1項記載の非水性注射剤。
(2)上記非水性注射剤の全体積に対し、上記有効成分の含有量は0.0001〜50%(w/v)、上記シスチン誘導体の含有量は0.1〜80%(w/w)である(1)記載の非水性注射剤。
(3)上記非水性注射剤は、体液、疑似体液又はリン酸緩衝液に接触してデポを形成するものである(1)又は(2)記載の非水性注射剤。
(4)上記非水性注射剤の全量に対し、20%(w/w)以上の極性有機溶媒を更に含有する(1)から(3)いずれか1項記載の非水性注射剤。
(5)上記非水性注射剤は、関節内投与用、硝子体内投与用、皮下投与用、筋肉内投与用、脊椎内投与用又は脳室内投与用である(1)から(4)いずれか1項記載の非水性注射剤。
(6)上記非水性注射剤は、関節、網脈絡膜又は網膜への上記有効成分の供給に用いられる(1)から(5)いずれか1項記載の非水性注射剤。
(7)有効成分、上記一般式で表わされるシスチン誘導体、及び、液状組成物の全量に対し25%(w/w)超の極性有機溶媒を含有する液状組成物を体液、疑似体液又はリン酸緩衝液に接触させることを含む、デポ形成方法。
本発明によれば、高分子化合物ではなく、生分解性であるシスチン誘導体を基剤として用い、流動性のある液体として調製することができるので、注射剤に好適な組成物を提供することができる。また、本発明の非水性注射剤は、薬物等の有効成分の濃度を低濃度から高濃度まで自由に設定することができる。本発明の非水性注射剤は、生体内等に投与した後にデポを形成することができるので、長期に亘って有効成分を徐放することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
上記式中、R1は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、ニトロ基、ニトリル基、アミノ基、アルキルアミノ基又はハロゲン原子を表す。置換基としては、特に限定されないが、アルキル基、ハロゲン原子が好ましい。アルキル基及びアルコキシ基又はアルキルアミノ基におけるアルキル基としては、炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜3がより好ましく、炭素数1が更に好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素等が挙げられ、フッ素、塩素が好ましく、塩素がより好ましい。
R2は、ヒドロキシ基又はアミノ基を表す。
R2は、ヒドロキシ基又はアミノ基を表す。
本発明において、シスチン誘導体は、公知の方法により製造することができ、通常、シスチンと安息香酸のハロゲン化物、酸無水物、エステル等とを用いてアミド化することにより得ることができる。
本発明の非水性注射剤の全量に対するシスチン誘導体の含有量は、上限値として、80%(w/w)が好ましく、60%(w/w)がより好ましく、40%(w/w)が更に好ましく、30%(w/w)が更により好ましく、下限値として、0.1%(w/w)が好ましく、1%(w/w)がより好ましい。本発明において、シスチン誘導体は、後述の溶媒、特に極性有機溶媒を選択することにより、このように幅広い濃度で調製することができ、また、目的とする有効成分の徐放性に応じて適切な濃度に調整することができる。
有効成分は、本発明の非水性注射剤において主目的とする薬効等の効果を奏する成分であり、医薬品有効成分、動物薬等の薬物が好ましいが、薬物に限られず、色素等の薬効以外の効果を奏する成分であってもよい。
薬物は、非水性注射剤に求められる薬効に応じて適宜選択されてよく、具体的には、水に溶解する薬物であっても水に溶解しにくい薬物であってもよく、好ましい薬物としては、例えば、Tafetinib、SIM−817378、ACTB−1003、Chiauranib 、CT−53608 、Cinnamon、chim4G8−SDIE、CEP−5214、IMC−1C11、CEP−7055、3−[5−[2−[N−(2−Methoxyethyl)−N−methylamino]ethoxy]−1H−indol−2−yl]quinolin−2(1H)−one、hF4−3C5 、ZK−CDK、IMC−EB10、LS−104 、CYC−116 、OSI−930 、PF−337210、JNJ−26483327、SSR−106462、R−1530、PRS−050、TG−02、SC−71710、SB−1578、AMG−191、AMG−820、Sulfatinib、Lucitanib hydrochloride、JNJ−28312141、Ilorasertib、PLX−5622、ARRY−382、TAS−115、Tanibirumab、Henatinib maleate、LY−2457546 、PLX−7486、FPA−008、NVP−AEE−788、cgi−1842、RAF−265、MK−2461、SG−00529、Rebastinib tosylate、Golvatinib tartrate、Roniciclib、BVT−II、X−82、XV−615、KD−020、Lestaurtinib、Delphinidin、Semaxanib、Vatalanib succinate、OSI−632、Telatinib、Alacizumab pegol、ATN−224、Tivozanib、XL−999、Icrucumab、Foretinib、Crenolanib besylate、R−406、Brivanib、Pegdinetanib、TG−100572、Olaratumab、Fostamatinib disodium、BMS−690514、AT−9283、MGCD−265、Quizartinib、ENMD−981693、Famitinib malate、Anlotinib、Tovetumab、PLX−3397、Fruquintinib、(−)−Epigallocatechin gallate、Midostaurin、NSC−706456、Orantinib、Cediranib、Dovitinib lactate、XL−647、Motesanib diphosphate、Linifanib、Brivanib alaninate、Cediranib maleate、Apatinib、Fedratinib、Pacritinib、Ramucirumab、Intedanib、Masitinib mesylate、Elemene、Dihydroartemisinin、WS−1442、Itraconazole、Leflunomide、Dihydroartemisinin、Imatinib mesylate、Sorafenib、Sunitinib malate、Dasatinib、Pazopanib hydrochloride、Vandetanib、Axitinib、Regorafenib、Cabozantinib S−malate、Ponatinib、2−[[[2−[(ヒドロキシアセチル)アミノ]−4−ピリジニル]メチル]チオ]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミド等のチロシンキナーゼ阻害剤、ハイドロコルチゾン、トリアムシノロン、フルオシノロン、デキサメタゾン等のステロイド、イソプロピルウノプロストン等のプロスタグランジン、シクロスポリン、タクロリムス等の免疫抑制剤、インドメタシン、ブルムフェナク等の非ステロイド性抗炎症剤、パゾパニブ、SU5416、バラチニブ、ラニビズマブ、ベバシズマブ等の血管新生阻害薬、ニカルジピン、ニトレンジピン等の循環改善薬、ビタミンE等の抗酸化剤、アセタゾラミド、ブリンゾラミド等の炭酸脱水酵素阻害剤、チモロール、プロスタグランジン誘導体等の眼圧下降薬、各種ビタミンA誘導体等のビジュアルサイクルモジュレーター、毛様体栄養因子(CNTF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)等の栄養因子や神経成長因子(NGF)、幹細胞増殖因子(HGF)のような各種成長因子、ペガプタニブのようなアプタマー、各種アンチセンス核酸、siRNAのような核酸医薬、ルセンティス等の抗体・ペプチド製剤、特開2006−96739、特開2011−37844、特開2005−232149、特開2006−273851、特開2006−306861、特開2008−266294等に記載のVEGF阻害剤、特開2007−230993、特開2008−074829、特開2008−143889、特開2008−143890、特開2008−143891、特開2009−007344、特開2009−084274等に記載のグルココルチコイド受容体結合活性を有する化合物、RU24858等の選択的グルココルチコイド受容体アゴニスト、フルオロウラシル等の抗癌剤、トファシチニブ等のヤヌスキナーゼ阻害剤、ルボキシスタウリンメシレート等のプロテインキナーゼ阻害剤、リマチル、サラゾスルファサラジン、メトトレキサート、レフルノミド、シオゾール、コルベット、ハイドロキシクロロキン等の抗リウマチ薬、(+)−3−アセチル−6−クロロ−2−[2−(3−(N−(2−エトキシエチル)−N−イソプロピルアミノ)プロポキシ)−5−メトキシフェニル]ベンゾチアゾリン−O,O’−ジアセチル−L−酒石酸塩、トラマドール等の鎮痛薬、IL−1ra(及びIL−1シグナル阻害剤)、グルコサミン、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤等その他軟骨保護作用を示す薬剤等が挙げられる。
本発明の非水性注射剤は、後述の非水性液状組成物を用いることができ、また、溶解型としてのみならず、懸濁液、乳化液等として調製することができるので、水に溶解しにくい薬物であっても好適に使用することができる。
薬物その他の有効成分は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
薬物その他の有効成分は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の非水性注射剤の全体積に対する有効成分の含有量は、下限値として、0.0001%(w/v)が好ましく、0.05%(w/v)がより好ましく、0.5%(w/v)が更に好ましい。また、本発明の非水性注射剤は薬物の徐放性に優れるため、比較的少量の薬物でも優れた治療/予防効果を奏することができるため、上記薬物の含有量は、上限値として、50%(w/v)が好ましく、40%(w/v)がより好ましく、30%(w/v)が更に好ましく、20%(w/v)が更により好ましく、10%(w/v)が特に好ましい。本発明は、シスチン誘導体を基剤とするので、有効成分の濃度を低濃度から高濃度まで自由に設定することができる。
本発明の非水性注射剤としては、有効成分及びシスチン誘導体に加え、溶媒を含有するものが好ましい。溶媒としては、生体内に投与するものである場合、生理的に許容される溶媒が好ましい。溶媒としては、極性有機溶媒が好ましい。
極性有機溶媒としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、ポリエチレングリコール(ポリエチレングリコール400[PEG400]等)、エタノールが挙げられ、また、N,N−ジメチルホルムアミド、トリアセチン、トリプロピオニン等であってもよく、アセトン、アニソール、1−ブタノール、2−ブタノール、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、3−メチル−1−ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−メチル−1−プロパノール、1−ペンタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、酢酸プロピル等であってもよい。
これらの溶媒は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができ、例えば、ジメチルスルホキシドを単独で用いてもよく、ジメチルスルホキシドとベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、ポリエチレングリコール、エタノール等の他の溶媒とを組み合わせて用いてもよい。溶媒を2種以上用いる場合、各溶媒の混合比を選択することにより、有効成分の放出量、徐放特性を制御することができる。
本発明の非水性注射剤の全量に対する極性有機溶媒の含有量は、有効成分及びシスチン誘導体以外の全成分を極性有機溶媒とするものであってもよく、下限値としては、20%(w/w)が好ましく、生体内等への投与の前にデポを形成しない観点で、25%(w/w)がより好ましく、30%(w/w)が更に好ましく、40%(w/w)が更により好ましく、50%(w/w)が特に好ましい。
本発明の非水性注射剤において、シスチン誘導体100質量部に対する溶媒の含有量は、特に限定されないが、シスチン誘導体の溶解性の観点で、下限値として、100質量部が好ましく、200質量部がより好ましく、400質量部が更に好ましく、上限値として、4000質量部が好ましく、3500質量部がより好ましく、3000質量部が更に好ましい。
本発明の非水性注射剤は、生体内等への投与によりデポを形成することができる点で、含有する溶媒の実質的に全てが上述の極性有機溶媒であることが好ましく、水を含有しないことがより好ましい。本発明の非水性注射剤は、非水性液状組成物として調製することが好ましい。本明細書において、「非水性液状組成物」とは、実質的に水を含有しない液状組成物を意味し、不純物程度の痕跡量の水を含有する液状組成物であってもよいが、水を全く含有しない液状組成物であることが好ましい。
本発明の非水性注射剤は、非水性液状組成物として調製することにより、シスチン誘導体の分子が分子間で水素結合を形成することなくばらばらで自由に動き回れる状態で極性有機溶媒に存在しており、これを生体内等に投与すると、極性有機溶媒が体液等に含有される水に抜ける際にシスチン誘導体が繊維状のデポを形成してハイドロゲルを形成するものと思われる。
本発明の非水性注射剤は、上記成分に加え、浸透圧調整剤、緩衝剤等を含んでもよい。
本発明の非水性注射剤は、澄明な製剤として調製することができる。非水性注射剤としては溶液であってもよいが、溶解型に限定されず、懸濁液、乳化液等であってもよい。
本発明の非水性注射剤は、適宜方法により製造することができ、特に限定されないが、例えば、シスチン誘導体に溶媒を加え、必要に応じて加温しながらシスチン誘導体を溶解、懸濁又は乳化し、有効成分を加え、均一に分散、懸濁又は溶解させて非水性注射剤を調製することができる。有効成分の懸濁は、固体の有効成分を十分粉砕したうえでシスチン誘導体及び溶媒に均一に分散させることにより、また、液状の有効成分を乳化することにより、行うことができる。乳化方法としては、界面化学的乳化方法、機械的乳化方法、膜乳化方法等が挙げられる。
本発明の非水性注射剤は、特に限定されないが、デポを形成することができる。デポを形成し、有効成分の徐放性を発揮することができる。本発明でデポが形成される条件は、体液(涙液、硝子体液等)、疑似体液又はリン酸緩衝液等への接触であってよく、各種条件に応じた処方及び投与方法を採用すればよい。本明細書において、体液、疑似体液又はリン酸緩衝液等に接触することとなる非水性注射剤の投与を「生体内等への投与」、「生体内等に投与した」等と総称することがある。例えば体液(涙液、硝子体液等)への接触でデポを形成する非水性注射剤は、体内へ注射投与すればよい。また、細胞株、人工皮膚等の各種試験片のほか、疑似体液又はリン酸緩衝液等の各種試験液等の試験対象に投与することもできる。これらの生体内等への投与により、各投与箇所においてデポが形成され、薬物が徐放されることになる。本発明の非水性注射剤は、局所投与に好適である。
本発明の非水性注射剤は、特に限定されないが、例えば、関節内投与用、硝子体内投与用、皮下投与用、筋肉内投与用、脊椎内投与用、脳室内投与用等に用いることができる。
本発明の非水性注射剤は、投与部位近傍でデポを形成することができるので、例えば硝子体内に投与すれば眼内の患部(例えば網脈絡膜、網膜)へ、また、関節内に投与すれば関節へと、薬物を効果的かつ持続的に供給することができる。
本発明の非水性注射剤は、例えば硝子体内に投与する場合、後眼部疾患の治療/予防に好適に使用することができる。後眼部疾患としては、種々の原因による炎症、ウイルスや細菌の感染症、網膜脈絡膜の血管新生、血管透過性亢進に起因する疾患、網膜脈絡膜の腫瘍性疾患、網膜膜脈絡膜の遺伝性疾患、緑内障に起因する視神経障害が挙げられる。更に具体的には、眼内炎、ぶどう膜炎、サイトメガロウイルス網膜炎、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症、網膜静脈閉塞症、網膜動脈閉塞症、網膜剥離、中心性漿液性網脈絡膜症、網膜芽細胞腫、網膜色素変性症、黄斑ジストロフィー、コロイデレミア、色盲、先天網膜分離症、緑内障に伴う視野狭窄、視野欠損等が挙げられる。ただし、本発明の非水性注射剤は、薬物や投与方法に応じ、種々の疾患の治療/予防に使用されてよい。
有効成分、シスチン誘導体及び溶媒を含有する液状組成物を体液、疑似体液又はリン酸緩衝液に接触させることを含む、デポを形成する方法もまた、本発明の一つである。溶媒としては、液状組成物の全量に対し25%(w/w)超の極性有機溶媒であることが好ましく、上述した極性有機溶媒の好ましい含有量及び例示を適用することができる。液状組成物としては、非水性液状組成物が好ましく、上述の非水性注射剤として用いることができる。
(1)製剤例1
N,N’−ジベンゾイル−L−シスチンジアミド 40mg及びトリアムシノロンアセトニド 10mgに、ジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」とする。)1000mgを加え、加温しながら溶解し、1%トリアムシノロンアセトニド含有N,N’−ジベンゾイル−L−シスチンジアミド製剤を調製した。
N,N’−ジベンゾイル−L−シスチンジアミド 40mg及びトリアムシノロンアセトニド 10mgに、ジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」とする。)1000mgを加え、加温しながら溶解し、1%トリアムシノロンアセトニド含有N,N’−ジベンゾイル−L−シスチンジアミド製剤を調製した。
in vitroにおける薬物放出特性試験
製剤例1で得た製剤100μLを10mLの10mMリン酸緩衝液(pH7.4)(ダルベッコPBS;シグマ アルドリッチ社製)に投入し、37℃でインキュベートした。この製剤は、リン酸緩衝液に投入後、デポを形成した。経時的にリン酸緩衝液を回収し、高速液体クロマトグラフィーを用いてリン酸緩衝液中の薬物濃度を測定した。
製剤例1で得た製剤のin vitroにおける薬物放出特性を図1に示す。
製剤例1で得た製剤100μLを10mLの10mMリン酸緩衝液(pH7.4)(ダルベッコPBS;シグマ アルドリッチ社製)に投入し、37℃でインキュベートした。この製剤は、リン酸緩衝液に投入後、デポを形成した。経時的にリン酸緩衝液を回収し、高速液体クロマトグラフィーを用いてリン酸緩衝液中の薬物濃度を測定した。
製剤例1で得た製剤のin vitroにおける薬物放出特性を図1に示す。
図1から、製剤例1で得た製剤は徐放性を示すことがわかった。
(2)製剤例2
N,N’−ジベンゾイル−L−シスチンジアミド 100mg及びトリアムシノロンアセトニド 5mgに、DMSO 500mgを加え、加温しながら溶解し、0.8%トリアムシノロンアセトニド含有N,N’−ジベンゾイル−L−シスチンジアミド製剤を調製した。
N,N’−ジベンゾイル−L−シスチンジアミド 100mg及びトリアムシノロンアセトニド 5mgに、DMSO 500mgを加え、加温しながら溶解し、0.8%トリアムシノロンアセトニド含有N,N’−ジベンゾイル−L−シスチンジアミド製剤を調製した。
in vitroにおける薬物放出特性試験
製剤例2で得た製剤100μLを10mLの10mMリン酸緩衝液(pH7.4)(ダルベッコPBS)に投入し、37℃でインキュベートした。この製剤は、リン酸緩衝液に投入後、デポを形成した。経時的にリン酸緩衝液を回収し、高速液体クロマトグラフィーを用いてリン酸緩衝液中の薬物濃度を測定した。
製剤例2で得た製剤のin vitroにおける薬物放出特性を図2に示す。
製剤例2で得た製剤100μLを10mLの10mMリン酸緩衝液(pH7.4)(ダルベッコPBS)に投入し、37℃でインキュベートした。この製剤は、リン酸緩衝液に投入後、デポを形成した。経時的にリン酸緩衝液を回収し、高速液体クロマトグラフィーを用いてリン酸緩衝液中の薬物濃度を測定した。
製剤例2で得た製剤のin vitroにおける薬物放出特性を図2に示す。
図2から、製剤例2で得た製剤は徐放性を示すことがわかった。
(3)製剤例3
N,N’−ジベンゾイル−L−シスチンジアミド 40mg及び(+)−3−アセチル−6−クロロ−2−[2−(3−(N−(2−エトキシエチル)−N−イソプロピルアミノ)プロポキシ)−5−メトキシフェニル]ベンゾチアゾリン−O,O’−ジアセチル−L−酒石酸塩(以下「化合物Aとする)30mgに、DMSO 1000mgを加え、加温しながら溶解し、3%化合物A含有N,N’−ジベンゾイル−L−シスチンジアミド製剤を調製した。
N,N’−ジベンゾイル−L−シスチンジアミド 40mg及び(+)−3−アセチル−6−クロロ−2−[2−(3−(N−(2−エトキシエチル)−N−イソプロピルアミノ)プロポキシ)−5−メトキシフェニル]ベンゾチアゾリン−O,O’−ジアセチル−L−酒石酸塩(以下「化合物Aとする)30mgに、DMSO 1000mgを加え、加温しながら溶解し、3%化合物A含有N,N’−ジベンゾイル−L−シスチンジアミド製剤を調製した。
in vitroにおける薬物放出特性試験
製剤例3で得た製剤100μLを10mLの10mMリン酸緩衝液(pH7.4)(ダルベッコPBS)に投入し、37℃でインキュベートした。この製剤は、リン酸緩衝液に投入後、デポを形成した。経時的にリン酸緩衝液を回収し、高速液体クロマトグラフィーを用いてリン酸緩衝液中の薬物濃度を測定した。
製剤例3で得た製剤のin vitroにおける薬物放出特性を図3に示す。
製剤例3で得た製剤100μLを10mLの10mMリン酸緩衝液(pH7.4)(ダルベッコPBS)に投入し、37℃でインキュベートした。この製剤は、リン酸緩衝液に投入後、デポを形成した。経時的にリン酸緩衝液を回収し、高速液体クロマトグラフィーを用いてリン酸緩衝液中の薬物濃度を測定した。
製剤例3で得た製剤のin vitroにおける薬物放出特性を図3に示す。
図3から、製剤例3で得た製剤は徐放性を示すことがわかった。
(4)製剤例4〜7
製剤例4
N,N’−ジベンゾイル−L−シスチンジアミド 400mgに、DMSO 2000mgを加え、加温しながら溶解した。メスフラスコにメチレンブルー5mgを入れ、このN,N’−ジベンゾイル−L−シスチンジアミド溶液を加え1mLにメスアップし、0.5%メチレンブルー含有N,N’−ジベンゾイル−L−シスチンジアミド製剤を調製した。
製剤例4
N,N’−ジベンゾイル−L−シスチンジアミド 400mgに、DMSO 2000mgを加え、加温しながら溶解した。メスフラスコにメチレンブルー5mgを入れ、このN,N’−ジベンゾイル−L−シスチンジアミド溶液を加え1mLにメスアップし、0.5%メチレンブルー含有N,N’−ジベンゾイル−L−シスチンジアミド製剤を調製した。
製剤例5
トリアムシノロンアセトニド10mgに代えてチモロールマレイン酸塩10mgを用いること以外は製剤例1と同様の操作をして、1%チモロールマレイン酸塩含有N,N’−ジベンゾイル−L−シスチンジアミド製剤を調製した。
トリアムシノロンアセトニド10mgに代えてチモロールマレイン酸塩10mgを用いること以外は製剤例1と同様の操作をして、1%チモロールマレイン酸塩含有N,N’−ジベンゾイル−L−シスチンジアミド製剤を調製した。
製剤例6
製剤例1のトリアムシノロンアセトニド10mgに代えてインドメタシン10mgを用いること以外は製剤例1と同様の操作をして、1%インドメタシン含有N,N’−ジベンゾイル−L−シスチンジアミド製剤を調製した。
製剤例1のトリアムシノロンアセトニド10mgに代えてインドメタシン10mgを用いること以外は製剤例1と同様の操作をして、1%インドメタシン含有N,N’−ジベンゾイル−L−シスチンジアミド製剤を調製した。
製剤例7
N,N’−ジベンゾイル−L−シスチン 150mg及びチモロールマレイン酸塩 7.5mgに、DMSO 750mgを加え、加温しながら溶解し、0.8%チモロールマレイン酸塩含有N,N’−ジベンゾイル−L−シスチン製剤を調製した。
N,N’−ジベンゾイル−L−シスチン 150mg及びチモロールマレイン酸塩 7.5mgに、DMSO 750mgを加え、加温しながら溶解し、0.8%チモロールマレイン酸塩含有N,N’−ジベンゾイル−L−シスチン製剤を調製した。
in vitroにおけるデポ形成試験
製剤例4〜7で得た各製剤100μLを10mLの10mMリン酸緩衝液(pH7.4)(ダルベッコPBS)に投入したところ、どの製剤もデポを形成した。
製剤例4〜7で得た各製剤100μLを10mLの10mMリン酸緩衝液(pH7.4)(ダルベッコPBS)に投入したところ、どの製剤もデポを形成した。
Claims (7)
- 前記非水性注射剤の全体積に対し、前記有効成分の含有量は0.0001〜50%(w/v)、前記シスチン誘導体の含有量は0.1〜80%(w/w)である請求項1記載の非水性注射剤。
- 前記非水性注射剤は、体液、疑似体液又はリン酸緩衝液に接触してデポを形成するものである請求項1又は2記載の非水性注射剤。
- 前記非水性注射剤の全量に対し、20%(w/w)以上の極性有機溶媒を更に含有する請求項1から3いずれか1項記載の非水性注射剤。
- 前記非水性注射剤は、関節内投与用、硝子体内投与用、皮下投与用、筋肉内投与用、脊椎内投与用又は脳室内投与用である請求項1から4いずれか1項記載の非水性注射剤。
- 前記非水性注射剤は、関節、網脈絡膜又は網膜への前記有効成分の供給に用いられる請求項1から5いずれか1項記載の非水性注射剤。
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2014
- 2014-12-01 JP JP2014243318A patent/JP2016104709A/ja active Pending
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