JP2016103889A - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】過負荷状態の場合にモータのコイルに印加される電圧を、電源電圧が変動しても、一定量低下させることが可能なモータ制御装置を提供する。【解決手段】PI演算部64Bでモータ52に印加する電圧のデューティ比を算出する。モータ52が過負荷状態の場合には、過負荷制御部62B内の除算回路62B1において、制限値出力部62B2が出力した所定の値である制限値を電源電圧値(+B)で除算して電源電圧に応じたデューティ比の減算量を算出する。インバータ回路40は、PI演算部64Bで算出したデューティ比から除算回路62B1が算出した減算量を減算して得たデューティ比に基づいてモータ52に印加する電圧を生成する。【選択図】図3

Description

本発明は、モータ制御装置に関する。
車両用エアコンのブロアモータ等に用いられるブラシレスDCモータ(以下、「モータ」と略記)の制御装置は、目標回転速度に対応したデューティ比の電圧をインバータ回路に生成させ、生成させた電圧をモータのコイルに印加させている。
モータの負荷が高くなると、インバータ回路の電流が大きくなる。モータ制御装置は、インバータ回路の電流が所定の閾値を超えた場合に、例えば、モータのコイルに印加する電圧のデューティ比を低下させて、モータの負荷を低下させる制御を行う。
特許文献1には、電流の指令値とインバータ回路の電流との偏差を解消するPI制御(Proportional Integral Controller)において、PI制御の出力値が上限である飽和レベルに達した場合に、PI制御の比例項をゼロに設定することにより、モータのコイルに印加する電圧のデューティ比を一定量減少させる交流機の制御装置の発明が開示されている。
特開平11−137000号公報
しかしながら、特許文献1に記載の交流機の制御装置のように、デューティ比を一定量減少させても、モータのコイルに印加される電圧が一定量で減少するわけではないという問題点があった。
モータのコイルに印加される電圧は、デューティ比と電源電圧との積として簡易的に算出される。また、一例として、20%であるデューティ比を電源電圧に関係なく一律に2%低下させる制御を行った場合、デューティ比と電源電圧との乗算により算出される電圧は、電源電圧の高低により次のように変化する。電源電圧が13Vの場合には、電圧は2.60Vから2.34Vに低下し、電圧の低下量は0.26Vである。電源電圧が11Vの場合には、電圧は2.20Vから1.98Vに低下し、電圧の低下量は0.22Vである。
従って、電源電圧に関係なく一律に低下させる制御を行った場合、コイルに印加される電圧が、電源電圧が高い場合には大きく低下し、電源電圧が低い場合には電源電圧が高い場合ほど低下しない。その結果、電源電圧が高い場合には、コイルに印加される電圧が低くなりすぎて、モータの回転速度が必要以上に低下し、回転が不安定になる等の問題が生じるおそれがあった。また、電源電圧が低い場合には、コイルに印加される電圧が低下し難いので、迅速にモータの負荷を低下させることが困難になるというおそれがあった。
本発明は上記に鑑みてなされたもので、過負荷状態の場合にモータのコイルに印加される電圧を、電源電圧が変動しても、一定量低下させることが可能なモータ制御装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1記載のモータ制御装置は、モータのコイルに印加する電圧のデューティ比を算出するデューティ比算出部と、前記モータが過負荷状態ではない通常時に前記デューティ比算出部が算出したデューティ比に基づいて前記モータのコイルに印加する通常時電圧を生成すると共に、前記モータが過負荷状態の場合に電源電圧が高くなるに従って大きくなる補正量に応じて前記デューティ比を補正することにより前記通常時電圧を低下させた過負荷電圧を生成する駆動回路と、を含んでいる。
モータのコイルに印加する電圧は、デューティ比に電源電圧を乗算して算出される。デューティ比から一定の負の値を加算した補正デューティ比に電源電圧を乗算して過負荷電圧を算出すると、電源電圧が高くなるに従って、算出した過負荷電圧の通常時電圧からの低下量が大きくなる。このモータ制御装置は、モータが過負荷状態の場合に電源電圧が高くなるに従って大きくなる負の補正量に応じてデューティ比を補正しているので、過負荷状態の場合にモータのコイルに印加する電圧を、電源電圧が変動しても、一定量低下させることができる。
請求項2記載のモータ制御装置は、請求項1記載のモータ制御装置において、前記補正量は前記電源電圧に反比例して大きくなる負の値であり、前記駆動回路は、前記モータが過負荷状態の場合に、前記デューティ比算出部が算出したデューティ比に前記補正量を加算して得たデューティ比に基づいて前記モータのコイルに印加する電圧を生成することにより、前記過負荷電圧を生成する。
過負荷電圧は、デューティ比算出部が算出したデューティ比に電源電圧に反比例する負の補正量を加算して得たデューティ比に電源電圧を乗算して得られる。デューティ比算出部が算出したデューティ比と電源電圧との積は通常時電圧に相当し、電源電圧に反比例する補正量と電源電圧との積は、電源電圧によらない負の定数となる。その結果、過負荷状態の場合にモータのコイルに印加する電圧は、通常時電圧から定数を減算して得た値に相当するので、電源電圧が変動しても、モータのコイルに印加する電圧を一定量低下させることができる。
請求項3記載のモータ制御装置は、請求項1又は2記載のモータ制御装置において、前記補正量は、所定量を前記電源電圧で除算した商である。
このモータ制御装置は、所定量を電源電圧で除算して電源電圧に反比例する補正量を算出することにより、過負荷状態の場合にモータのコイルに印加する電圧を、電源電圧が変動しても、一定量低下させることができる。
請求項4記載のモータ制御装置は、請求項1〜3のいずれか1記載のモータ制御装置において、前記デューティ比算出部は、上位の制御装置から入力された回転速度の指令値と前記モータの実回転速度との偏差を解消する制御に基づいてデューティ比を算出する。
このモータ制御装置によれば、回転速度の指令値とモータの実回転速度との偏差を解消するPI制御によってデューティ比を算出することができる。
請求項5記載のモータ制御装置は、請求項1〜4のいずれか1項記載載のモータ制御装置において、前記駆動回路の電流を検知する電流検知部と、前記電流検知部が検知した電流値が所定の閾値以上の場合に前記モータが過負荷状態であると判定する過負荷判定部と、をさらに含んでいる。
このモータ制御装置によれば、駆動回路の電流によってモータの過負荷状態を判定できる。
本発明の実施の形態に係るモータ制御装置を用いたモータユニットの構成を示す概略図である。 本発明の実施の形態に係るモータ制御装置の概略を示す図である。 本発明の実施の形態に係るモータ制御装置の機能ブロック図である。 本発明の実施の形態に係るモータ制御装置の除算回路の一例を示す概略図である。 本発明の実施の形態に係るモータ制御装置のPI演算処理の一例を示したフローチャートである。 (A)は、本発明の実施の形態に係るデューティ比の制限値と、電源電圧によらずデューティ比の制限値が一定の場合とを比較した概略図であり、(B)は、本発明の実施の形態に係る出力電圧の低下量と、電源電圧を考慮しない場合の出力電圧の低下量とを比較した概略図である。
図1は、本実施の形態に係るモータ制御装置20を用いたモータユニット10の構成を示す概略図である。図1の本実施の形態に係るモータユニット10は、一例として車載エアコンの送風に用いられる、いわゆるブロアモータのユニットである。
本実施の形態に係るモータユニット10は、ステータ14の外側にロータ12が設けられた、アウターロータ構造の三相モータに係るものである。ステータ14はコア部材に導線が巻かれた電磁石であって、U相、V相、W相の三相を構成している。ステータ14のU相、V相、W相の各々は、後述するモータ制御装置20の制御により、電磁石で発生する磁界の極性が切り替えられることにより、いわゆる回転磁界を発生する。
ロータ12の内側(図示せず)にはロータマグネットが設けられており、ロータマグネットは、ステータ14で生じた回転磁界に対応することにより、ロータ12を回転させる。ロータ12にはシャフト16が設けられており、ロータ12と一体になって回転する。図1には示していないが、本実施の形態ではシャフト16には、いわゆるシロッコファン等の多翼ファンが設けられ、当該多翼ファンがシャフト16と共に回転することにより、車載エアコンにおける送風が可能となる。
ステータ14は、上ケース18を介して、モータ制御装置20に取り付けられる。モータ制御装置20は、モータ制御装置20の基板22と、基板22上の素子から生じる熱を放散するヒートシンク24とを備えている。ロータ12、ステータ14及びモータ制御装置20を含んで構成されるモータユニット10には、下ケース60が取り付けられる。
図2は、本実施の形態に係るモータ制御装置20の概略を示す図である。インバータ回路40は、モータ52のステータ14のコイルに供給する電力をスイッチングする。例えば、インバータFET44A,44DはU相のコイル14Uに、インバータFET44B,44EはV相のコイル14Vに、インバータFET44C,44FはW相のコイル14Wに、各々供給する電力のスイッチングを行う。
インバータFET44A,44B,44Cの各々のドレインは、ノイズ除去用のチョークコイル46を介して車載のバッテリ80の正極に接続されている。また、インバータFET44D,44E,44Fの各々のソースは、逆接防止FET48を介してバッテリ80の負極に接続されている。
本実施の形態では、シャフト16と同軸に設けられたロータマグネット12A又はセンサマグネットの磁界をホール素子12Bが検出する。マイコン32は、ホール素子12Bにより検出された磁界に基づいてロータ12の回転速度及び位置(回転位置)を検出し、ロータ12の回転速度及び回転位置に応じてインバータ回路40のスイッチングの制御を行う。
マイコン32には、エアコンのスイッチ操作に対応してエアコンを制御するエアコンECU82からのロータ12の回転速度に係る速度指令値を含む制御信号が入力される。また、マイコン32には、サーミスタ54Aと抵抗54Bとで構成された分圧回路54と、インバータ回路40とバッテリ80の負極との間に設けられた電流検出部56とが接続されている。
分圧回路54を構成するサーミスタ54Aは、回路の基板22の温度に応じて抵抗値が変化するので、分圧回路54が出力する信号の電圧は基板22の温度に応じて変化する。マイコン32は、分圧回路54から出力される信号の電圧の変化に基づいて、基板22の温度を算出する。
電流検出部56は、抵抗値が0.2mΩ〜数Ω程度のシャント抵抗56Aと、シャント抵抗56Aの両端の電位差を増幅してシャント抵抗56Aの電流に比例する電圧値を信号として出力するアンプ56Bとを含み、アンプ56Bが出力した信号は、マイコン32の温度保護制御部62に入力される。温度保護制御部62は、アンプ56Bが出力した信号に基づいて、インバータ回路40の電流を算出する。
本実施の形態では、サーミスタ54Aを含む分圧回路54からの信号、電流検出部56が出力した信号、及びホール素子12Bが出力した信号は、マイコン32内の温度保護制御部62に入力される。温度保護制御部62は、各々入力された信号に基づいて基板22の素子の温度、インバータ回路40の電流、及びロータ12の回転速度等を算出する。また、温度保護制御部62には、電源であるバッテリ80が接続されており、温度保護制御部62は、バッテリ80の電圧を電源電圧値として検知する。
エアコンECU82からの制御信号は、マイコン32内の速度制御部64に入力される。速度制御部64には、ホール素子12Bが出力した信号も入力される。速度制御部64は、エアコンECU82からの制御信号並びにホール素子12Bからの信号に基づくロータ12の回転速度及び回転位置に基づいて、インバータ回路40のスイッチングの制御に係るPWM(Pulse Width Modulation)制御のデューティ比を算出する。
速度制御部64が算出したデューティ比を示す信号は、PWM出力部66と温度保護制御部62とに入力される。温度保護制御部62は、基板22の素子の温度と、ロータ12の回転速度と、モータ52及びモータ制御装置20の回路の負荷と、に基づいて、速度制御部64が算出したデューティ比を補正して、速度制御部64にフィードバックする。モータ及び回路の負荷は、例えば、インバータ回路40の電流、電源電圧又はインバータ回路40が生成した電圧のデューティ比である。本実施の形態では、インバータ回路40が生成した電圧のデューティ比はPWM出力部66がインバータ回路40に生成させる電圧のデューティ比と同じである。図2に示したように、PWM出力部66がインバータ回路40に生成させる電圧のデューティ比を示す信号は、温度保護制御部62にも入力されている。
また、温度保護制御部62には、記憶装置であるメモリ68が接続されている。メモリ68は、モータ52及び回路が過負荷状態になった場合にデューティ比を制限するための制限値等を記憶している。
速度制御部64は、温度保護制御部62による補正を、例えばPI制御等によって自身が算出したデューティ比にフィードバックし、当該フィードバックを行ったデューティ比を示す信号をPWM出力部66に出力する。PWM出力部66は、入力された信号が示すデューティ比の電圧を生成するようにインバータ回路40のスイッチングを制御する。
図3は、本実施の形態に係るモータ制御装置20の機能ブロック図である。速度制御部64に含まれる目標速度算出部64Aには、エアコンECU82から回転速度の指令信号であるSI信号が入力される。目標速度算出部64Aは、入力されたSI信号からモータ52の目標回転速度を算出する。
モータ52の実際の回転速度である実回転速度は、ホール素子12Bが検知したセンサマグネットまたはロータマグネット12Aの磁界に応じた信号から速度制御部64に含まれるモータ速度算出部64Cが算出する。モータ速度算出部64Cが算出した実回転速度は、目標速度算出部64Aが算出した目標回転速度と共に速度制御部64に含まれるPI演算部64Bに入力される。
PI演算部64Bは、目標速度算出部64Aが算出した目標回転速度とモータ速度算出部64Cが算出した実回転速度との偏差が解消されるように、ステータ14のコイルに印加する電圧のデューティ比をPI制御によって算出する。PI演算部64Bは、目標回転速度と実回転速度との偏差と目標回転速度における電圧と実回転速度における電圧との偏差との比例関係基づいてデューティ比を算出する偏差比例部64BPを含む。また、PI演算部64Bは、上記の比例関係のみでは残留偏差が生じる場合に、かかる残留偏差を偏差積分によって解消する偏差積分部64BIを含む。偏差積分部64BIが算出した結果は、偏差比例部64BPが算出した結果に加算されて、後述する過負荷制御部62Bに出力される。
3相インバータであるインバータ回路40は、バッテリ80から供給された電力をスイッチングしてモータ52のコイルに印加する電圧を生成する。インバータ回路40の電流は、電流検出部56によって検知される。電流検出部56は、検知した電流に比例する電圧値を信号として出力する。
電流検出部56が出力した信号は、温度保護制御部62に含まれる過負荷判定部62Aのコンパレータ62A1に入力される。また、コンパレータ62A1には、過負荷判定値出力部62A2が出力した過負荷判定値も入力される。コンパレータ62A1は、電流検出部56が出力した信号と過負荷判定値出力部62A2が出力した過負荷判定値とを比較し、電流検出部56が出力した信号が過負荷判定値以上の過負荷状態の場合には、所定の信号を温度保護制御部62内の過負荷制御部62Bに出力する。
なお、電流検出部56は、温度保護制御部62に関係する構成なので、図3では便宜上、電流検出部56は温度保護制御部62内の過負荷判定部62Aに含まれるものとして記載している。
温度保護制御部62内の過負荷制御部62Bは、過負荷状態の場合に、デューティ比を制限するための制限値を出力する制限値出力部62B2を含み、制限値出力部62B2が出力した制限値は、除算回路62B1に入力される。
除算回路62B1では、入力された制限値を、バッテリ80の電源電圧値(+B)で除算する除算処理が行われる。図4に除算回路62B1の一例を示す。図4に示した除算回路62B1は、反転増幅回路の一種であり、非反転入力端子(+)が接地され、反転入力端子(−)と出力端子とが電圧制御抵抗R2を介して接続されたオペアンプOP1を含む。オペアンプOP1の反転入力端子(−)には抵抗値がRである抵抗R1を介して制限値出力部62B2が接続され、制限値が電圧Vとして入力される。
電圧制御抵抗R2には電源電圧値(+B)が電圧Vとして印加され、電圧制御抵抗R2は、印加された電圧Vに応じて抵抗値Rを下記の式(1)のように変化させる。なお、式(1)中のKは、所定の定数である。

また、前述のように、除算回路62B1は反転増幅回路の一種なので、出力電圧Voutは、下記の式(2)によって算出される。

従って、除算回路62B1の出力電圧Voutは、式(1)、式(2)に基づく下記の式(3)によって算出される。

式(3)に示したように、除算回路62B1は反転増幅回路の一種なので、式(3)で電圧Vとして示された制限値は、電源電圧値(+B)である電圧Vで除算されると共に、符号が反転する。例えば、制限値出力部62B2が出力した制限値が30で、電源電圧値(+B)が12Vで、式(3)に含まれるK/Rが1の場合、除算回路62B1は、−2.5を出力する。また、制限値が−30で、電源電圧値(+B)が12Vで、式(3)に含まれるK/Rが1の場合、除算回路62B1は、2.5を出力する。
除算回路62B1が出力した信号は、コンパレータ62A1が出力した信号と共にANDゲート62B3に入力される。ANDゲート62B3は、コンパレータ62A1から過負荷状態であることを示す所定の信号が入力され、かつ除算回路62B1から電源電圧値で除算された制限値の信号が入力された場合に、除算回路62B1が出力した信号を出力する。除算回路62B1が出力した信号が負の値であれば、当該信号をPI演算部64Bが出力したデューティ比に加算し、除算回路62B1が出力した信号が正の値であれば、当該信号をPI演算部64Bが出力したデューティ比から減算して、デューティ比を制限する。
過負荷制御部62Bで制限されたデューティ比は、PWM出力部66に含まれるプリドライバ66Aを介してインバータ回路40に出力され、インバータ回路40は当該デューティ比に基づいて電圧を生成し、モータ52のコイルに印加する。
図5は、本実施の形態に係るモータ制御装置20のPI演算処理の一例を示したフローチャートである。ステップ500では、PI演算部64Bにおいて、目標速度算出部64Aが算出した目標回転速度とモータ速度算出部64Cが算出した実回転速度との偏差を解消するPI演算が実行される。ステップ502では、ステップ500での演算結果に基づいてモータ52のコイルに印加する電圧のデューティ比である出力Dutyを算出する。
ステップ504では、電流検出部56が検知した電流が過負荷判定値以上であるか否かを判定し、肯定判定の場合には、手順をステップ506に移行させ、否定判定の場合には、処理をリターンする。
ステップ506では、除算回路62B1において、制限値(例えば30%)を電源電圧値(+B)で除算して、デューティ比制限値Xを算出する。ステップ508では、出力Dutyからデューティ比制限値Xを減算してデューティ比を決定し、処理をリターンする。なお、除算回路62B1が図4に示したような反転増幅回路の一種であれば、制限値の符号は反転するので、制限値が正の値の場合には、算出されたデューティ比制限値Xを出力Dutyに加算する処理によってデューティ比を決定する。
図6(A)は、本実施の形態に係るデューティ比の制限値と、電源電圧によらずデューティ比の制限値が一定の場合とを比較した概略図である。本実施の形態に係るデューティ比の制限値90は、電源電圧値で除算されるので、電源電圧が低い場合には制限値の絶対値が大きく、電源電圧が高い場合には制限値の絶対値が小さくなる。図6(A)では、本実施の形態に係るデューティ比の制限値90は、図4に示した除算回路の出力結果なので負の値になっており、電源電圧が高くなるに従って電源電圧に反比例して大きくなる。また、電源電圧によらす一定の制限値92は、図6(A)では、略−2.3となっている。
図6(B)は、本実施の形態に係る出力電圧の低下量と、電源電圧を考慮しない場合の出力電圧の低下量とを比較した概略図である。図6の出力電圧とは、インバータ回路40が生成し、モータ52のコイルに印加する電圧である。本実施の形態では出力電圧の低下量94は、電源電圧が変化しても一定であるが、電源電圧を考慮しない場合の出力電圧の低下量96は、電源電圧が大きくなるに従って絶対値が大きくなっている。
図6(B)に示したように、本実施の形態では、過負荷状態の場合にモータ52のコイルに印加される電圧を、電源電圧が変動しても、一定量低下させることが可能となっている。なお、本実施の形態では、上述のように、所定の制限値を電源電圧値(+B)で除算して、デューティ比制限値Xを算出しているが、予め電源電圧に反比例するデューティ比制限値Xをメモリ68に記憶しておき、デューティ比の算出に用いてもよい。
PI演算部64Bで算出された出力DutyをD、電源電圧をVbat、制限値出力部62B2が出力する制限値をX、出力電圧をVとすると、過負荷時の出力電圧(過負荷電圧)Vは、DからXとVbatとの商を減算して得たデューティ比に電源電圧を乗算して得られるので、下記の式(4)が成り立つ。式(4)では、出力DutyであるD及び制限値であるXは、百分率で表記されている場合を想定しているので、D及びXは、各々100で除算されている。

式(4)を整理すると、下記の式(5)が得られる。

式(5)の(D・Vbat)/100の項は、過負荷状態でない通常時にインバータ回路40が出力する出力電圧(通常時電圧)を示している。従って、式(5)によれば、本実施の形態では、X/100の項が過負荷状態における出力電圧の低下量となる。X/100は、電源電圧Vbatによらず一定なので、本実施の形態では、過負荷状態の場合にモータのコイルに印加される電圧を、電源電圧が変動しても、一定量低下させることが可能となる。
また、出力DutyであるD及び制限値であるXが百分率ではなく、小数で表記されている場合には、式(5)右辺の1/100は不要となる。その場合、出力DutyであるDと電源電圧Vbatとの積が通常時にインバータ回路40が出力する出力電圧を示す。また、過負荷状態の場合の出力電圧Vは、通常時にインバータ回路40が出力する出力電圧から所定量である制限値Xを減算して得た値に相当する。制限値Xは電源電圧Vbatによらず一定なので、過負荷状態の場合にモータのコイルに印加される電圧を、電源電圧が変動しても、一定量低下させることが可能となる。
インバータ回路が生成する電圧を制御するにはデューティ比を変更するが、デューティ比から所定の値を減算しただけでは、電源電圧が変動した場合、インバータ回路が生成する電圧の低下量が一定とならない。しかしながら、本実施の形態によれば、式(5)に示したように、過負荷状態でインバータ回路が生成する電圧を、電源電圧によらず一定量低下させることが可能となる。
10…モータユニット、12…ロータ、12A…ロータマグネット、12B…ホール素子、14…ステータ、14U,14V,14W…コイル、16…シャフト、18…上ケース、20…モータ制御装置、22…基板、24…ヒートシンク、32…マイコン、40…インバータ回路、44A,44B,44C,44D,44E,44F…インバータFET、46…チョークコイル、48…逆接防止FET、52…モータ、54…分圧回路、54A…サーミスタ、54B…抵抗、56…電流検出部、56A…シャント抵抗、56B…アンプ、60…下ケース、62…温度保護制御部、62A…過負荷判定部、62A1…コンパレータ、62A2…過負荷判定値出力部、62B…過負荷制御部、62B1…除算回路、62B2…制限値出力部、62B3…ANDゲート、64…速度制御部、64A…目標速度算出部、64B…PI演算部、64BI…偏差積分部、64BP…偏差比例部、64C…モータ速度算出部、66…PWM出力部、66A…プリドライバ、68…メモリ、80…バッテリ、82…エアコンECU、90,92…制限値、94,96…低下量、OP1…オペアンプ、R1…抵抗、R2…電圧制御抵抗

Claims (5)

  1. モータのコイルに印加する電圧のデューティ比を算出するデューティ比算出部と、
    前記モータが過負荷状態ではない通常時に前記デューティ比算出部が算出したデューティ比に基づいて前記モータのコイルに印加する通常時電圧を生成すると共に、前記モータが過負荷状態の場合に電源電圧が高くなるに従って大きくなる補正量に応じて前記デューティ比を補正することにより前記通常時電圧を低下させた過負荷電圧を生成する駆動回路と、
    を含むモータ制御装置。
  2. 前記補正量は前記電源電圧に反比例して大きくなる負の値であり、
    前記駆動回路は、前記モータが過負荷状態の場合に、前記デューティ比算出部が算出したデューティ比に前記補正量を加算して得たデューティ比に基づいて前記モータのコイルに印加する電圧を生成することにより、前記過負荷電圧を生成する請求項1記載のモータ制御装置。
  3. 前記補正量は、所定量を前記電源電圧で除算した商である請求項1又は2記載のモータ制御装置。
  4. 前記デューティ比算出部は、上位の制御装置から入力された回転速度の指令値と前記モータの実回転速度との偏差を解消する制御に基づいてデューティ比を算出する請求項1〜3のいずれか1記載のモータ制御装置。
  5. 前記駆動回路の電流を検知する電流検知部と、
    前記電流検知部が検知した電流値が所定の閾値以上の場合に前記モータが過負荷状態であると判定する過負荷判定部と、をさらに含む請求項1〜4のいずれか1項記載のモータ制御装置。
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