JP2016103834A - アンテナ装置 - Google Patents

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浩行 久保
宏充 伊藤
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宏充 伊藤
邦明 用水
Kuniaki Yosui
邦明 用水
展正 小山
Nobutada Koyama
展正 小山
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Abstract

【課題】通信相手との位置関係(特に角度関係)によらず、通信性能の劣化を抑え、広角度範囲で通信相手との通信が可能な通信端末装置を構成する。【解決手段】回路基板20の内層には平板状導体としてのグランド導体が設けられている。回路基板20の表面および裏面には、アンテナコイル21に接続される給電回路の他、移動体通信端末を構成するための様々な電子部品が搭載されている。アンテナコイル21は、磁性体コア8の第1主面MS1が回路基板20に対面する状態で搭載されている。アンテナコイル21は、コイル導体9のうち第1導体部分11が第2導体部分12よりもグランド導体GNDに近接した位置となるように配置されている。さらにアンテナコイル21は、コイル導体9の第1導体部分11が筐体200の長手方向の端部(通信端末装置を縦長方向に把持した状態で上端部となる部分)Eの近傍に位置するように配置されている。【選択図】図4

Description

本発明は、電磁界信号を介して外部機器と通信するRFID(Radio Frequency Identification)システム等で利用可能なアンテナ装置に関する。
近年、13.56MHz等のHF帯を利用したRFIDシステムは、FeliCa(フェリカ:登録商標)やNFC(Near Field Communication)として利用が広がっている。たとえば特許文献1にはRFIDシステム用のアンテナ装置が開示されている。
図1は特許文献1に示されている通信端末装置90のアンテナ装置部分の断面図である。このアンテナ装置は、コイル71の巻回領域の中心部を挟んで相対向する二つの位置の巻線間隔を異ならせた非対称形状のコイルを備え、巻線間隔の大きな側71aでは、ICカード1と対向する入力部94の面とは反対側に磁性体72を配置し、巻線間隔の小さな側71bでは、ICカードと対向する入力部94側の面に磁性体72を配置したものである。コイル71にはリーダ/ライタ回路50が接続されている。アンテナ装置は金属筐体97に形成されたアンテナ収納凹部97aに配置され、樹脂部材98で保護されている。このアンテナ装置による磁場分布は、コイル71の巻線間隔及び線幅が広くなる側71aで強調された非対称なものとなる。そのため、アンテナ装置の主面に垂直な方向には、良好な通信状態を確保できる。
特許第3975918号公報
通信端末装置をリーダライタなどの通信相手にかざす場合、通信端末装置側アンテナと相手側アンテナとの成す角度が必ずしも一定ではなく、その位置関係(角度関係)によっては、安定した通信ができないか通信不能になるおそれがある。このような傾向は、通信端末装置(リーダライタ)とICカード(ICタグ)との間で通信を行うRFIDシステムよりも、通信端末装置同士で通信を行うRFIDシステムで特に顕著に現れる。
特許文献1の通信端末装置では、図1に示したように、アンテナ装置が金属筐体97に形成されたアンテナ収納凹部97aに配置されるため、アンテナ装置の主面に垂直な方向から磁束を受ける状態では、良好な通信状態を確保できるものの、リーダライタ側アンテナと端末側アンテナとのなす角度が大きくなると、さらには各アンテナ間の距離が大きくなると、十分な通信特性を確保することが困難である。
本発明は上述の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、通信相手との位置関係(特に角度関係)によらず、通信性能の劣化を抑え、広角度範囲で通信相手との通信が可能なアンテナ装置を提供することにある。
本出願の第1の形態のアンテナ装置は、
第1主面および第2主面を有する磁性体コア、ならびに、単一の巻回軸を有する渦巻き状のコイル導体を1つのみ含んで構成されるアンテナコイルと、平面状導体と、前記アンテナコイルおよび前記平面状導体を収納または保持する筐体と、を有するアンテナ装置であって、
前記コイル導体は、前記磁性体コアの前記第1主面側に位置する第1導体部分と、前記磁性体コアの前記第2主面側に位置し、第1主面方向または第2主面方向からの平面視で前記第1導体部分とは異なる位置に配置された第2導体部分と、を有し、
前記アンテナコイルは、前記磁性体コアの前記第2主面側が前記筐体の外面側を向くように配置されていることを特徴とする。
本出願の第2の形態のアンテナ装置は、前記平面状導体は、グランド導体であることを特徴とする。
本出願の第3の形態のアンテナ装置は、前記第1主面方向または前記第2主面方向において、前記第2導体部分は、前記平面状導体よりも前記筐体側に位置することを特徴とする。
本発明のアンテナ装置は、通信相手との位置関係(特に角度関係)に大きく依存せず、広角度範囲で通信相手との通信が可能である。
図1は特許文献1に示されている通信端末装置のアンテナ装置部分の断面図である。 図2は第1の実施形態に係る通信端末装置が備えるアンテナコイルを示す図である。図2(A)はアンテナコイルの平面図、図2(B)は正面図である。 図3は、コイル導体9が形成されたフレキシブル基材10と磁性体コア8とを分離した状態での平面図である。 図4は第1の実施形態に係る通信端末装置およびそれが備えるアンテナ装置の構成を示す図である。図4(A)はアンテナ装置101の平面図、図4(B)はその正面図、図4(C)は通信端末装置201の概略断面図である。 図5は、図4(C)に示した角度θを変化させたときのアンテナコイルを通る磁束の様子を模式的に表した図である。図5(A)はθ=90°の場合であり、図5(B)はθ=0°の場合である。 図6は、図4(C)に示した角度θを変化させたときのアンテナコイルを通る磁束の様子を模式的に表した図である。図6(A)はθ=0°の場合であり、図6(B)はθ=0°の場合の磁束の様子を模式的に表した斜視図である。 図7は通信端末装置同士で通信を行う様子を示す図であり、図7(A)は通信端末装置同士で通信する状態の斜視図、図7(B)はその断面図である。 図8は通信端末装置同士で通信を行う他の様子を示す図であり、図8(A)は通信端末装置同士で通信する状態の斜視図、図8(B)はその断面図である。 図9は第2の実施形態に係るアンテナコイルの構成を示す図である。図9(A)は、コイル導体9が形成された状態でのフレキシブル基材10の平面図、図9(B)はコイル導体9の上層コイル導体部9Sの形状を示す図、図9(C)はコイル導体9の下層コイル導体部9Uの形状を示す図、そして、図9(D)は下層コイル導体部9Uと上層コイル導体部9Sとが重なった状態を示す図である。 図10(A)はアンテナコイル22の平面図、図10(B)はアンテナコイル22を備えたアンテナ装置の正面図である。 図11(A)は第3の実施形態に係る通信端末装置の主要部の断面図、図11(B)は第3の実施形態に係るアンテナコイルの正面図である。 図12(A)は第4の実施形態に係るアンテナコイル24の平面図、図12(B)は第4の実施形態に係るアンテナコイル24の正面図である。 図13(A)は第5の実施形態に係るアンテナコイルに備える磁性体コア8の平面図、図13(B)は第5の実施形態に係るアンテナコイル25の平面図である。 図14(A)は第6の実施形態に係るアンテナコイルに備える磁性体コア8の平面図、図14(B)は第6の実施形態に係るアンテナコイル26の平面図である。 図15は、第7の実施形態に係る通信端末装置の主要部の断面図である。 図16(A)は第8の実施形態に係る通信端末装置208の斜視図、図16(B)はその断面図である。 図17(A)は第9の実施形態に係る通信端末装置209の斜視図、図17(B)はその断面図である。 図18は第10の実施形態に係る通信端末装置の主要部の断面図である。 図19は磁性体コア8とコイル導体との位置関係を変化させたときの、リーダライタアンテナとの結合係数の変化を示す図である。 図20は第11の実施形態に係る通信端末装置に備えられるアンテナコイルの正面図である。 図21(A),図21(B),図21(C)は比較対照用のアンテナコイルの正面図である。
《第1の実施形態》
第1の実施形態に係る通信端末装置は、例えば携帯電話端末のような移動体通信端末として用いられる。図2はその通信端末装置が備えるアンテナコイルを示す図である。このアンテナコイル21は、例えば13.56MHzのようなHF帯のRFIDシステム用のアンテナとして用いられる。図2(A)はアンテナコイルの平面図、図2(B)は正面図である。このアンテナコイル21は、第1主面MS1および第2主面MS2を有する磁性体コア8と、この磁性体コア8に巻回されたコイル導体9を備えている。コイル導体9は、磁性体コア8の第1主面MS1側に位置する第1導体部分11と、磁性体コア8の第2主面MS2側に位置し、主面MS1方向から平面視したとき第1導体部分11とは異なる位置(重ならない位置)に配置された第2導体部分12とを有している。
図2(A)に示すように、磁性体コア8はフェライト粉と樹脂材との混成体が矩形板形状に成形されたものである。コイル導体9は、銅、銀、アルミニウム等の金属薄膜がPET等のフレキシブル基材10の表面に矩形渦巻き状にパターン形成されたものである。このコイル導体9の一端には端子電極91が形成されていて、他端には端子電極92が形成されている。これらの端子電極91,92は図外の給電回路に接続される。
図3は、コイル導体9が形成されたフレキシブル基材10と磁性体コア8とを分離した状態での平面図である。この図3に示すように、フレキシブル基材10には、コイル導体9の巻回中心部に相当する位置に矩形状の開口部APが設けられている。磁性体コア8はこの開口部APに挿入されている。したがって、コイル導体9は、磁性体コア8の第1主面MS1側に位置する第1導体部分11、磁性体コア8の第2主面MS2側に位置する第2導体部分12をそれぞれ備えている。これらの磁性体コア8とコイル導体9とによってアンテナコイル21が構成されている。
図4は第1の実施形態に係る通信端末装置およびそれが備えるアンテナ装置の構成を示す図である。図4(A)はアンテナ装置101の平面図、図4(B)はその正面図である。また、図4(C)は通信端末機器201の概略断面図である。
図4(A)に示すように、回路基板20は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を基材とし、その内層に、平板状導体としてのグランド導体GNDが設けられている。また、図示しないが、回路基板20の表面および裏面には、アンテナコイル21に接続される給電回路の他、移動体通信端末を構成するための様々な電子部品が搭載されている。
また、図4(A)に示すように、アンテナコイル21は、磁性体コア8の第1主面MS1が回路基板20に対面する状態で、回路基板20に接合材を介して搭載されている。したがって、磁性体コア8の第1主面MS1はグランド導体GNDに対面している。すなわち、磁性体コア8の第1主面MS1または第2主面MS2方向から平面視した状態で、アンテナコイル21はグランド導体GNDと重なるように配置されている。ただし、コイル導体9とグランド導体GNDとは、間隔Gだけ離間して配置されている。このように内層にグランド導体GNDが形成された回路基板20を用いたことにより、コイル導体9とグランド導体GNDとの間隔Gを稼ぐことができ、後述するように磁束の方位角θ=0°での通信特性が高まる。
また、アンテナコイル21は、コイル導体9のうち第1導体部分11が第2導体部分12よりもグランド導体GNDに近接した位置となるように配置されている。
さらにアンテナコイル21は、コイル導体9の第1導体部分11が筐体200の長手方向の端部Eの近傍に位置するように配置されている。この筐体200の長手方向の端部は、通信端末装置を縦長となる向きに把持した状態で上端部となる部分である。
また、アンテナコイル21の磁性体コア8は、これを平面視したとき、グランド導体GNDの端部よりも磁性体コア8の端部が距離Tだけ突出するよう、構成・配置されている。この距離Tはたとえば1〜5mm(平均的な条件で3mm程度)である。この構造により、より磁束を拾いやすくなる。
この通信端末装置201では、筐体200の長手方向の端部(前記上端部)Eに強い磁場が発生し、図4(C)のA方向からB方向にかけて、幅広い角度で良好な指向性を有する。そのため、筐体200の長手方向の端部(前記上端部)Eを通信相手に向けて通信相手と無線通信を行うに際し、広角度範囲で通信相手との通信が可能である。
図5および図6は、図4(C)に示した角度θを変化させたときのアンテナコイルを通る磁束の様子を模式的に表した図である。図5および図6において磁束を破線で表している。
θ=90°のとき、図5(A)に示すように、磁束は磁性体コア8の外側の端部(グランド導体GNDの端部寄りの位置)から内側の端部へ抜ける。θ=45°のとき、図5(B)に示すように、磁束は磁性体コア8の外側の端部および第2主面MS2から入り、磁性体コア8の内側の端部へ抜ける。θ=90°のときもθ=45°のときもコイル導体の巻回中心部を磁束が通過する。
θ=0°のとき、図6(A)に示すように、磁性体コア8の第2主面MS2から磁性体コア8に入り、外側の端部へ抜ける磁束φeが生じる。また、斜視図である図6(B)に示すように、磁性体コア8の第2主面MS2から磁性体コア8に入り、グランド導体GNDの側方へ向かうように抜ける磁束φs1,φs2が生じる。このようにθ=0°のときもθ=90°、θ=45°と同じようにコイル導体の巻回中心部を磁束が通過する。
図7は通信端末装置同士で通信を行う様子を示す図であり、図7(A)は通信端末装置同士で通信する状態の斜視図、図7(B)はその断面図である。第1の通信端末装置201Aと第2の通信端末装置201Bのそれぞれの上端部Eを近接させた状態で通信を行う。この例では、二つの通信端末装置201A,201Bが鏡面対称の関係にあるものとすると、鏡面に対する筐体のなす角度がほぼ45°である。また、アンテナコイル21はグランド導体GNDより相手側アンテナに近い側に位置する。
図5(B)に示したように、アンテナコイル21のコイル導体は45°方向の磁束とも鎖交するので、図7のように、通信端末装置の上端部E同士を斜めに向かい合わせても通信端末装置同士で無線通信を行うことができる。
図8は通信端末装置同士で通信を行う他の様子を示す図であり、図8(A)は通信端末装置同士で通信する状態の斜視図、図8(B)はその断面図である。第1の通信端末装置201Aと第2の通信端末装置201Bのそれぞれの上端部Eを近接させた状態で通信を行う。この例では、二つの通信端末装置201A,201Bが鏡面対称の関係にあるものとすると、鏡面に対する筐体のなす角度がほぼ90°である。ここで、図8(A)においては、二つの通信端末装置201A、201Bの上端部Eが角度をもって対向するように描かれているが、これは作図上のもので、双方の上端部Eは平行状に対向している。
図5(A)に示したように、アンテナコイル21のコイル導体は90°方向の磁束とも鎖交するので、図8のように、通信端末装置の上端部E同士を真っ直ぐに向かい合わせても通信端末装置同士で無線通信を行うことができる。
このように、通信端末装置を通信相手側のアンテナ装置にかざす角度が広い範囲で、通信を行うことができる。
《第2の実施形態》
図9は第2の実施形態に係るアンテナコイルの構成を示す図である。
図9(A)は、コイル導体9が形成された状態でのフレキシブル基材10の平面図である。コイル導体9はフレキシブル基材10の上面に形成されている。
図9(B)はコイル導体9の上層コイル導体部9Sの形状を示す図である。図9(C)はコイル導体9の下層コイル導体部9Uの形状を示す図である。そして、図9(D)は下層コイル導体部9Uと上層コイル導体部9Sとが重なった状態を示す図である。
下層コイル導体部9U及び上層コイル導体部9Sはそれぞれほぼ矩形の渦巻き状であり、下層コイル導体部9Uと上層コイル導体部9Sとの間には絶縁層が介在している。但し、下層コイル導体部9Uの内側の端部と上層コイル導体部9Sの内側の端部とは導通して、両者は直列接続されている。このようにして前記コイル導体9はコイル導体開口部CWの周囲に渦巻き状に形成されている。
フレキシブル基材10には、上層コイル導体部9Sの外側の端部に連続する端子電極91が設けられている。また、下層コイル導体部9Uの外側の端部に導通する端子電極92が設けられている。
なお、下層コイル導体部9Uと上層コイル導体部9Sは、フレキシブル基材10の基材の片面に重ねて形成する代わりに、フレキシブル基材10の両面にそれぞれ形成してもよい。
図9(A)に示すように、フレキシブル基材10には前記コイル導体開口部CWに対応する位置に開口部APが形成されている。
図10(A)はアンテナコイル22の平面図、図10(B)はアンテナコイル22を備えたアンテナ装置の正面図である。
フレキシブル基材10の開口部APには磁性体コア8が挿通されている。このことによってアンテナコイル22が構成される。このアンテナコイル22が回路基板20に近接配置または直接実装されることによってアンテナ装置が構成される。アンテナコイル22は、図9(A)に示した端子電極91,92の形成面が回路基板20に対向するように配置され、回路基板20上の電極に端子電極91,92が接続される。
なお、図9に示したコイル導体9の下層コイル導体部9Uと上層コイル導体部9Sは、これらを平面視したときに、下層コイル導体部9Uと上層コイル導体部9Sの主要部同士が重ならないように配置されている。そのため、コイル導体9の各導体間の浮遊容量を低減し、所望の特性を有するアンテナコイルを構成できる。
《第3の実施形態》
第3の実施形態では、通信端末装置の筐体内へのアンテナコイルの配置と電気的接続の例を示す。
図11(A)は通信端末装置の主要部の断面図、図11(B)はアンテナコイルの正面図である。フレキシブル基材10の上面にコイル導体9a、下面にコイル導体9bがそれぞれ形成されている。これらのパターンは第2の実施形態で図9に示したものと同様である。図9に示した例ではフレキシブル基材の片面に2層のコイル導体を形成したが、図11の例ではフレキシブル基材の両面に形成されていて、所定箇所でビア電極を介して接続されている。
図11(A)に示すように、アンテナコイル23は通信端末装置の筐体200の内面に貼り付けられている。また、このアンテナコイル23は、筐体200の長手方向の端部の近傍に位置する第1導体部分11が回路基板20側となるように配置されている。
筐体200は、回路基板20の平面と平行な面で分離可能な上下の筐体で構成されている。アンテナコイル23が取り付けられた上側筐体が下側筐体に被せられた状態で、回路基板20に立てられているコンタクトピン31がコイル導体の端子電極91に接触する。このことによって、回路基板20に設けられた給電回路とアンテナコイル23とが電気的に接続される。このような構成であると、コイル導体とグランド導体GNDとの間隔Gをより大きくとることができる。そのため、特に、図6に示したようにθ=0°方向の指向性を改善することができる。
《第4の実施形態》
第4の実施形態では、コイル導体の端子電極の形成位置の例を示す。
図12(A)はアンテナコイル24の平面図、図12(B)は正面図である。図2に示したアンテナコイル21とはコイル導体の端子電極の位置が異なる。図12の例では、給電回路への接続端子となる端子電極91,92は、平面視で磁性体コア8とは重ならない位置に配置されている。そのため、この端子電極91,92にコンタクトピンが接触した状態でコンタクトピンが磁束の透過および形成に対して悪影響を殆ど与えない。また、端子電極91,92のいずれも、平面視で磁性体コアの一方の側部に寄せられている(磁性体コア8を跨がない)ことが好ましい。
《第5の実施形態》
図13(A)は第5の実施形態に係るアンテナコイルに備える磁性体コア8の平面図、図13(B)は第5の実施形態に係るアンテナコイル25の平面図である。
第1の実施形態で図3に示したアンテナコイル21と異なるのは、磁性体コア8の一方端が他の部分より太く(幅広に)形成されていることである。
このような形状の磁性体コア8を用いることにより、磁性体コア8を通る磁束が強くなり、通信相手のアンテナとの磁界結合を強めることができ、通信可能最長距離が長くなるなど、通信性能が向上する。ここで、図13(B)においては、磁性体コア8の太い部分を第1の導体部分11に近接させてアンテナコイル25を構成したが、磁性体コア8の太い部分を第2の導体部分12に近接させてアンテナコイルを形成してもよい。磁性体コア8の太くする部分(幅広にする部分)は、第1の導体部分11に近接する部分、あるいは、第2の導体部分12に近接する部分のいずれかに限定されるものではない。このように、磁性体コア8の一方端を他の部分より太くすることによって、集磁効果が高まり、通信性能がより向上する。また、グランド導体の端部側となる磁性体コアの端部を太くすることにより、グランド導体の端部付近の磁気抵抗が低くなって集磁効果が高まる。
なお、図13に示したアンテナコイル25では、磁性体コア8の一方の端部の全体が広く(太く)形成されているが、この部分は外側程広い台形状であってもよい。また、磁性体コア8の中央から両端部にかけて共に幅が広くなる蝶形状であってもよい。
《第6の実施形態》
図14(A)は第6の実施形態に係るアンテナコイルに備える磁性体コア8の平面図、図14(B)は第6の実施形態に係るアンテナコイル26の平面図である。このアンテナコイル26は、コイル導体が形成されたフレキシブル基材10と矩形板形状の磁性体コア8とを備えている。図13(B)に示されているアンテナコイル25と異なるのは、磁性体コア8の構造である。
図14(A)に示されている磁性体コア8は、予め、碁盤目状に切り込み線を入れた平板状のフェライトの両面をフィルムでラミネートしたものを切り込み線でブレイクして小片化したものである。図14(B)中の破線で区切られた部分は、焼結磁性体の小片を表している。このような構成により、磁性体シート1全体は柔軟性をもつことになる。そのため、この磁性体シート1を備えたアンテナコイルは支持台の面に沿って容易に配置できる。また、例えば携帯端末の筐体の内面に沿って設けることができる。したがって種々の形状の筐体内に容易に組み込める。
なお、図14(B)においては、磁性体コア8の太い部分を第1の導体部分11に近接させてアンテナコイル22を構成したが、第5の実施形態で述べたとおり、磁性体コア8の太くする部分(幅広にする部分)は、第1の導体部分11に近接する部分、あるいは、第2の導体部分12に近接する部分のいずれかに限定されるものではない。このように、磁性体コア8の一方端を他の部分より太くすることによって、集磁効果が高まり、通信性能がより向上する。
《第7の実施形態》
図15は、第7の実施形態に係る通信端末装置の主要部の断面図である。この例では、アンテナコイル27が筐体200の内側の曲面に貼付されている。特に、図14に示したように、フレキシブルな磁性体コアを用い、さらに、フレキシブル基材上に設けられたフレキシブルなコイル導体を用いた場合、アンテナコイル27には柔軟性があるので、筐体200内の単一平面に限らずに、筐体の曲面に沿って設けることができる。そのため、種々の形状の筐体内に容易に組み込める。また、アンテナコイル27を筐体200の内面に貼付することで、アンテナコイル27と回路基板20におけるグランド導体GNDとの距離を離すことができ、磁束の通過領域が増えるため、より良好な通信状態を確保できるようになる。
《第8の実施形態》
第8の実施形態では、クラムシェル型の通信端末装置に適用した例を示す。
図16(A)は通信端末装置208の斜視図、図16(B)はその断面図である。通信端末装置208の筐体はトップ側筐体200Aとボトム側筐体200Bとで構成されている。この場合、アンテナコイル21はトップ側筐体200Aの上端部E付近に配置する。トップ側筐体200Aには液晶表示パネル41が収められている。この液晶表示パネル41の背面にはシールド板41Sが貼付されているので、このシールド板41Sが本発明に係る平面状導体に相当する。ボトム側筐体200Bにはキー入力部42および回路基板20を備えている。
このような構造であれば、トップ側筐体200Aとボトム側筐体200Bとを折りたたんだとき、アンテナコイル21がボトム側筐体200Bのグランド導体GNDとトップ側筐体200Aのシールド板との間に挟まれないので、折りたたんだ状態であっても、アンテナコイル21を利用して無線通信できる。
《第9の実施形態》
第9の実施形態では、スライド型の通信端末装置に適用した例を示す。
図17(A)は通信端末装置209の斜視図、図17(B)はその断面図である。通信端末装置209の筐体はトップ側筐体200Aとボトム側筐体200Bとで構成されている。この場合、アンテナコイル21はトップ側筐体200Aの上端部E付近に配置する。トップ側筐体200Aには液晶表示パネル41が収められている。この液晶表示パネル41の背面にはシールド板が貼付されているので、このシールド板が本発明に係る平面状導体に相当する。ボトム側筐体200Bにはキー入力部42および回路基板20を備えている。
トップ側筐体200Aを収納したときにアンテナコイル21と重なる部分が非グランド領域となるように、ボトム側筐体200B内の回路基板20のグランド導体をパターニングしておく。このような構造であれば、トップ側筐体200Aを収納したときであっても、アンテナコイルを利用して無線通信できる。
《第10の実施形態》
第10の実施形態では、アンテナコイルのコイル導体に対する磁性体コアの近接位置と結合係数との関係を示す。
図18は第10の実施形態に係る通信端末装置の主要部の断面図である。フレキシブル基材10の上面にコイル導体9a、下面にコイル導体9bがそれぞれ形成されている。
図18に示すように、アンテナコイル23は通信端末装置の筐体200の内面に貼り付けられている。また、このアンテナコイル23は、筐体200の長手方向の端部の近傍に位置する第2導体部分12が筐体200の外面側(通信相手側であり、図18の向きでは上面側)を向くように配置されている。
筐体200は、回路基板20の平面と平行な面で分離可能な上下の筐体で構成されている。アンテナコイル23が取り付けられた上側筐体が下側筐体に被せられた状態で、回路基板20に立てられているコンタクトピン31がコイル導体の端子電極91に接触する。このことによって、回路基板20に設けられた給電回路とアンテナコイル23とが電気的に接続される。
第3の実施形態で図11に示したアンテナコイル23と異なるのは、アンテナコイルのコイル導体に対する磁性体コアの近接位置である。ここでコイル導体の第1導体部分11が磁性体コア8に近接する部分の長さをA、コイル導体の第2導体部分12が磁性体コア8に近接する部分の長さをBで表すと、A<Bの関係となるように構成されている。また、コイル導体の第1導体部分11が磁性体コア8に近接する部分の長さAは、第1導体部分11の幅Cよりも小さくなるように構成されている。
この構成によれば、アンテナコイルに対して鎖交しない無効な磁束φiが小さくなり、それに伴って有効に鎖交する磁束φaが大きくなる。そのため、リーダライタアンテナ等の通信相手のアンテナとの結合係数が高まる。
図19は磁性体コア8とコイル導体との位置関係を変化させたときの、リーダライタアンテナとの結合係数の変化を示す図である。この測定結果を得た条件は次のとおりである。
[磁性体コア8]
長さ寸法 15mm
幅寸法 16mm
[コイル導体]
外形寸法 15×20mm
第1導体部分11の幅C 2mm
第2導体部分12の幅B 2mm
[グランド電極との関係]
磁性体コア8とグランド電極GNDとの間隔 3mm
[リーダライタアンテナとの関係]
リーダライタアンテナとの間隔 17mm
図19の横軸「磁性体コアシフト量X」とは、コイル導体の第1導体部分11が磁性体コア8に近接する部分の長さAを第2導体部分12が磁性体コア8に近接する部分の長さBから差し引いた寸法のことである。
この条件では図19に表れているように、磁性体コアシフト量Xが2〜7.5mmの範囲で高い結合係数が得られる。ここで磁性体コアシフト量X=7.5mmは、磁性体コア8がコイル導体の第2導体部分12にのみ近接している状態に相当する。したがって、一般的には磁性体コアのシフト量は、0を超えて、磁性体コア8がコイル導体の第2導体部分12にのみ近接する状態までの範囲に定めることが有効であるといえる。
コイル導体の第1導体部分11が磁性体コア8に近接する部分の長さAと、コイル導体の第2導体部分12が磁性体コア8に近接する部分の長さBとの関係で表すと、A<Bの関係にすることが好ましいと言える。
《第11の実施形態》
図20は第11の実施形態に係る通信端末装置に備えられるアンテナコイルの正面図である。このアンテナコイルは、第1主面MS1および第2主面MS2を有する磁性体コア8と、渦巻き状パターンのコイル導体が形成されたフレキシブル基材10を備えている。前記コイル導体は、磁性体コア8の第1主面MS1側に位置する第1導体部分11と、磁性体コア8の第2主面MS2側に位置し、第1主面MS1方向からまたは第2主面MS2方向から平面視したとき第1導体部分11とは異なる位置(重ならない位置)に配置された第2導体部分12とを有している。
図21(A),図21(B),図21(C)は比較対照用のアンテナコイルの正面図である。図21(A)は階段状に屈折した磁性体コア8を用い、フレキシブル基材10は平坦にしたものである。図21(B)は平坦な磁性体コア8と階段状に屈折させたフレキシブル基材10を備えたものである。図21(C)は平坦な磁性体コア8とスロープ状に屈折させたフレキシブル基材10を備えたものである。
図21(A)の構造では磁性体コア8が階段状に屈折していることにより、破線の矢印で磁束を示すように、漏れ磁束が多く、アンテナコイルのコイル導体を有効に鎖交する磁束の磁束密度が低い。また、全体の厚みが厚い。図21(B)の構造では、磁性体コア8の面方向に沿った向きの磁束との結合係数が高いが、コイル導体が鋭角に曲がっているため、コイル導体の全長が長く、抵抗値が高く、Q値が低い。図21(C)の構造では、図21(B)に比べればコイル導体の全長が短いが抵抗値が高くQ値が低い。
これらに対して、図20に示したアンテナコイルによれば、磁性体コア8が鋭角に屈折していないので漏れ磁束が少なく有効な磁束を導くことができる。また、コイル導体の全長が短く、抵抗値が低い。さらに、磁性体コア8とコイル導体の開口面とが90度に近い角度で交差するので効率がよい。すなわちコイルの開口面に対して磁束が90度に近い角度で鎖交することで実効的な開口面が大きく見えて大きな起電力を発生させることができる。
図20に示したアンテナコイルによれば、アンテナコイルと磁束との成す角度が広角度に亘って高い利得が得られるが、特に45度方向の利得について高い特性が得られる。
《他の実施形態》
なお、以上に示した幾つかの実施形態では、アンテナコイルを平面状導体に対向して配置するようにしたが、平面状導体は必須ではない。また、アンテナコイルは平面状導体とは対向しない位置に配置されていてもよい。
以上に示した各実施形態では、回路基板のグランド電極または液晶表示パネルの背面に配置されるシールド板を平面状導体の例として示したが、筐体の内面に形成されている導体膜や導体箔、さらには電池パックを平面導体として扱い、アンテナ装置を構成することもできる。また、平面状導体は矩形状の導体に限らず、様々な平面形状であってもよい。また、平面状導体は単層に限らず、複数層で構成されていてもよい。さらに、平面状導体はその主要部が平面状であればよく、他の部分に曲げ部分があってもよい。
また、通信端末装置の筐体がスイーベル型であっても同様に適用できる。
また、各実施形態では内層にグランド導体が形成された回路基板を用いた例を示したが、表面にグランド導体が形成された回路基板を備えたものにも同様に適用できる。
また、以上に示した幾つかの実施形態では、筐体の内部にアンテナコイルを配置したが、アンテナコイルを筐体の外面に配置(筐体の外面でアンテナコイルを保持)してもよい。この場合はアンテナコイルの入出力端子を筐体内に引き込むように構成すればよい。
AP…開口部
CW…コイル導体開口部
E…筐体の上端部(長手方向の端部)
GND…グランド導体(平面状導体)
MS1…磁性体コアの第1主面
MS2…磁性体コアの第2主面
8…磁性体コア
9…コイル導体
9a,9b…コイル導体
9S…上層コイル導体部
9U…下層コイル導体部
10…フレキシブル基材
11…第1導体部分
12…第2導体部分
20…回路基板
21〜27…アンテナコイル
31…コンタクトピン
41…液晶表示パネル
42…キー入力部
101…アンテナ装置
200…筐体
200A…トップ側筐体
200B…ボトム側筐体
201,208,209…通信端末装置
201A…第1の通信端末装置
201B…第2の通信端末装置

Claims (3)

  1. 第1主面および第2主面を有する磁性体コア、ならびに、単一の巻回軸を有する渦巻き状のコイル導体を1つのみ含んで構成されるアンテナコイルと、平面状導体と、前記アンテナコイルおよび前記平面状導体を収納または保持する筐体と、を有するアンテナ装置であって、
    前記コイル導体は、前記磁性体コアの前記第1主面側に位置する第1導体部分と、前記磁性体コアの前記第2主面側に位置し、第1主面方向または第2主面方向からの平面視で前記第1導体部分とは異なる位置に配置された第2導体部分と、を有し、
    前記アンテナコイルは、前記磁性体コアの前記第2主面側が前記筐体の外面側を向くように配置されている、アンテナ装置。
  2. 前記平面状導体は、グランド導体である、請求項1に記載のアンテナ装置。
  3. 前記第1主面方向または前記第2主面方向において、前記第2導体部分は、前記平面状導体よりも前記筐体側に位置する、請求項1または2に記載のアンテナ装置。
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