JP2016101725A - 記録物の製造方法、記録物および記録物製造用用紙 - Google Patents

記録物の製造方法、記録物および記録物製造用用紙 Download PDF

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Abstract

【課題】接着剤のベタツキによる作業性の低下、位置合わせの困難性等の問題の発生を効果的に防止しつつ、用紙の画像が設けられた面とは反対側の面を貼り合わせた信頼性の高い記録物(フォトブック等)を生産性良く製造することができる記録物の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明の記録物の製造方法は、基材と、感圧式接着剤を含む材料で構成された接着剤層とを有する記録用紙の前記接着剤層が設けられた面とは反対側の面に、インクジェット法により画像を形成する画像形成工程と、前記画像が形成された前記記録用紙の前記接着剤層が設けられた面同士を向い合せて、前記記録用紙を重ね合わせた状態で加圧し、前記画像が形成された面とは反対側の面同士を接着する加圧工程とを有し、前記記録用紙は、互いに向かい合う部位に、それぞれ、選択的に前記接着剤層が設けられたものであることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、記録物の製造方法、記録物および記録物製造用用紙に関するものである。
近年、利用者の画像データをプリントし、フォトブックの製本を行うサービスがある(例えば、特許文献1参照)。
現在、フォトブックを製造するサービスでは、よりデザイン性に優れた高品質のフォトブックを製造することが望まれている。
例えば、フォトブックには、両面プリントした複数の印画物を一辺を揃えて重ね合わせ、当該一辺を綴じ代として綴じて作成するものがある。このようにして、軽量で多ページのフォトブックを製造することができる。しかし、この一辺を中央にしてフォトブックを左右に見開いた場合、見開き2ページはその綴じた一辺で視覚的に不連続となる。これにより、見開き一面のインパクトある表現が難しく、片面ずつのレイアウトに制限され、表現の制約があるという問題があった。
一方、フォトブックとしては、片面プリントした印画物を折り畳んで、印画しない裏面を貼り合わせて製造するものもある。このように製造したフォトブックは、広い綴じ代を設けなくて済む場合もあり、このとき見開き一面が視覚的に一枚の画像に近い印象を観察者に与えることができ、レイアウトの自由度が増す。しかしながら、従来において、このような方法を用いた場合、接着剤のベタツキによる作業性の低下、位置合わせの困難性等の問題があった。
また、ホットメルト接着剤を用いることにより、前記のような問題の軽減を図ることができるが、このような場合は以下のような問題がある。すなわち、フォトブックの厚みが比較的大きい場合、厚さ方向の中心部付近にまで十分な熱を与えることが困難であり、接着性(接合力)を十分に高いものとすることが困難となる。また、仮に、厚さ方向の中心部付近においても接着性(接合力)を高いものとすることができたとしても、表面付近に過剰な熱エネルギーを付与することとなるため、フォトブックの生産性に劣り、省エネルギーの観点からも好ましくない。また、熱エネルギーにより、画像に悪影響が及ぶ可能性があり、さらには、フォトブックの耐久性にも悪影響が及ぶ可能性がある。
また、従来においては、位置合わせを適切に行うことができずに接合した場合、その位置合わせ不良を発見するのは困難であり、不良品を顧客に引き渡してしまい、フォトブックの製造者の信頼性が低下する等の問題があった。また、顧客への引き渡前に、位置合わせ不良を生じたものを発見できたとしても、接着により得られた接合体全部を破棄し、再度、フォトブックの製造を行わなければならず、省資源、生産性等の観点からも好ましくなかった。
特開平09−43827号公報
本発明の目的は、接着剤のベタツキによる作業性の低下、位置合わせの困難性等の問題の発生を効果的に防止しつつ、用紙の画像が設けられた面とは反対側の面を貼り合わせた信頼性の高い記録物(フォトブック等)を生産性良く製造することができる記録物の製造方法を提供すること、位置合わせの困難性等の問題の発生が効果的に防止され、用紙の画像が設けられた面とは反対側の面を貼り合わせた信頼性の高い記録物(フォトブック等)を提供すること、また、接着剤のベタツキによる作業性の低下、位置合わせの困難性等の問題の発生を効果的に防止しつつ、用紙の画像が設けられた面とは反対側の面を貼り合わせた信頼性の高い記録物(フォトブック等)を生産性良く製造するのに用いることのできる記録物製造用用紙を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の記録物の製造方法は、基材と、感圧式接着剤を含む材料で構成された接着剤層とを有する記録用紙の前記接着剤層が設けられた面とは反対側の面に、インクジェット法により画像を形成する画像形成工程と、
前記画像が形成された前記記録用紙の前記接着剤層が設けられた面同士を向い合せて、前記記録用紙を重ね合わせた状態で加圧し、前記画像が形成された面とは反対側の面同士を接着する加圧工程とを有し、
前記記録用紙は、互いに向かい合う部位に、それぞれ、選択的に前記接着剤層が設けられたものであることを特徴とする記録物の製造方法。
これにより、接着剤のベタツキによる作業性の低下、位置合わせの困難性等の問題の発生を効果的に防止しつつ、用紙の画像が設けられた面とは反対側の面を貼り合わせた信頼性の高い記録物(フォトブック等)を生産性良く製造することができる記録物の製造方法を提供することができる。
本発明の記録物の製造方法では、前記接着剤層は、ポリイソプレンを含む材料で構成されたものであることが好ましい。
これにより、接着剤層のベタツキを抑えつつ、加圧により、より高い接着強度を得ることができる。また、記録物の厚さが比較的大きいもの(接着すべき層が多数層積み重ねられたもの)であっても、より容易に、全体に加える圧力の均等性を高くすることができるため、各部位での接着強度のばらつきをより効果的に抑制することができる。また、対向する記録物製造用用紙の接着剤層が設けられた部位同士を接着した場合の接着力と、対向する記録物製造用用紙のうち一方のみに接着剤層が設けられており他方には接着剤層が設けられていない場合の接着力(すなわち、位置ずれが生じた場合の接着力)との差をより大きくすることができるため、位置ずれを生じたもの(不良品)の識別がより容易なものとなり、最終的な記録物の信頼性を特に高いものとすることができる。また、接着に際して加熱が不要であるため、省エネルギーの観点からも好ましい。また、接着剤層は、より好適なグリップ力を有することとなり、記録用紙の搬送性をより良好なものとすることができ、記録物製造装置の搬送ローラーの空回り等をより確実に防止することができ、所望の画像を目的の部位により確実に形成することができる。また、記録物製造装置内で、基材に由来する紙粉の発生をより確実に防止することができ、記録物製造装置のメンテナンスがより容易となり、紙粉によるトラブルの発生をより効果的に防止することができ、記録物の生産性をより優れたものとすることができる。また、ポリイソプレンは、柔軟性の高い材料であるため、記録用紙の弾性が必要以上に大きくなることが防止され、取り扱いのし易さを保持することができるとともに、記録用紙の撓みによる接着剤層の割れ等を確実に防止することができ、記録用紙、および、これを用いて製造される記録物の信頼性、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、ポリイソプレンを含むことにより、記録物の製造時においては、加圧により十分な接着強度を容易に得ることができる一方で、記録用紙の保存時等に、記録用紙を重ねて保存した場合や、ロール状の記録用紙を巻き取った状態においては、不本意な接着(ブロッキング)が発生することがより確実に防止される。また、接着剤として一般的に用いられる酢酸ビニル系やアクリル系の樹脂のような特有の臭いを発することもない。
本発明の記録物の製造方法では、前記ポリイソプレンの重量平均分子量が10万以上50万以下であることが好ましい。
これにより、加熱することなく40℃以下の室温下での加圧のみで、優れた接着性が得られる。また、対向する記録物製造用用紙の接着剤層が設けられた部位同士を接着した場合の接着力と、対向する記録物製造用用紙のうち一方のみに接着剤層が設けられており他方には接着剤層が設けられていない場合の接着力(すなわち、位置ずれが生じた場合の接着力)との差をさらに大きくすることができるため、位置ずれを生じたもの(不良品)の識別がさらに容易なものとなり、最終的な記録物の信頼性をさらに高いものとすることができる。
本発明の記録物の製造方法では、前記接着剤層は、前記ポリイソプレンに加え、水溶性樹脂を含む材料で構成されたものであることが好ましい。
これにより、接着剤層による接着性を特に優れたものとすることができ、記録物においてより高い接着強度を得ることができる。また、記録物の製造において、より低い圧力で十分な接着強度を得ることができるため、記録物の製造装置の小型化、簡略化を図ることができる。
本発明の記録物の製造方法では、前記接着剤層は、前記水溶性樹脂として、ポリビニルアルコールを含むものであることが好ましい。
これにより、接着剤層による接着性をさらに向上させることができる。
本発明の記録物の製造方法では、前記接着剤層中における前記ポリイソプレンの含有率をX[重量%]、前記接着剤層中における前記ポリビニルアルコールの含有率をX[重量%]とした場合、3≦X/X≦19の関係を満足することが好ましい。
これにより、接着剤層による接着性をさらに優れたものとすることができる。また、対向する記録物製造用用紙の接着剤層が設けられた部位同士を接着した場合の接着力と、対向する記録物製造用用紙のうち一方のみに接着剤層が設けられており他方には接着剤層が設けられていない場合の接着力(すなわち、位置ずれが生じた場合の接着力)との差をさらに大きくすることができるため、位置ずれを生じたもの(不良品)の識別がさらに容易なものとなり、最終的な記録物の信頼性をさらに高いものとすることができる。
本発明の記録物の製造方法では、前記接着剤層の厚さは、1μm以上10μm以下であることが好ましい。
これにより、最終的に得られる記録物における接着強度、記録物の耐久性を特に優れたものとすることができる。また、対向する記録物製造用用紙の接着剤層が設けられた部位同士を接着した場合の接着力と、対向する記録物製造用用紙のうち一方のみに接着剤層が設けられており他方には接着剤層が設けられていない場合の接着力(すなわち、位置ずれが生じた場合の接着力)との差をさらに大きくすることができるため、位置ずれを生じたもの(不良品)の識別がさらに容易なものとなり、最終的な記録物の信頼性をさらに高いものとすることができる。
本発明の記録物の製造方法では、前記記録物製造用用紙を平面視した際における、接着に寄与する前記接着剤層の被覆率が40%以上90%以下であることが好ましい。
これにより、最終的に得られる記録物における接着強度、記録物の耐久性を十分に優れたものとしつつ、対向する記録物製造用用紙の接着剤層が設けられた部位同士を接着した場合の接着力と、対向する記録物製造用用紙のうち一方のみに接着剤層が設けられており他方には接着剤層が設けられていない場合の接着力(すなわち、位置ずれが生じた場合の接着力)との差をさらに大きくすることができるため、位置ずれを生じたもの(不良品)の識別がさらに容易なものとなり、最終的な記録物の信頼性をさらに高いものとすることができる。
本発明の記録物の製造方法では、前記接着剤層が設けられた面同士を向い合せて、前記記録用紙を重ね合わせた状態で、前記接着剤層は、外周部に設けられたものであることが好ましい。
これにより、最終的に得られる記録物の信頼性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の記録物の製造方法では、前記接着剤層が設けられた面同士を向い合せて、前記記録用紙を重ね合わせた状態での外周部を除く部位において、前記接着剤層は、複数の平行な線状に設けられたものであることが好ましい。
これにより、最終的に得られる記録物における接着強度、記録物の耐久性を十分に優れたものとしつつ、記録物の製造時における接着の位置ずれをより好適に識別することができるため、最終的に得られる記録物の信頼性を特に優れたものとすることができる。
本発明の記録物の製造方法では、前記接着剤層が設けられた面同士を向い合せて、前記記録用紙を重ね合わせた状態での外周部を除く部位において、前記接着剤層は、点状に設けられたものであることが好ましい。
これにより、最終的に得られる記録物における接着強度、記録物の耐久性を十分に優れたものとしつつ、記録物の製造時における接着の位置ずれをより好適に識別することができるため、最終的に得られる記録物の信頼性を特に優れたものとすることができる。
本発明の記録物の製造方法では、前記接着剤層の幅は、3mm以上50mm以下であることが好ましい。
これにより、最終的に得られる記録物における接着強度、記録物の耐久性を十分に優れたものとしつつ、記録物の製造時における接着の位置ずれをより好適に識別することができるため、最終的に得られる記録物の信頼性を特に優れたものとすることができる。
本発明の記録物の製造方法では、前記加圧工程での加圧圧力は、3kgf/cm以上30kgf/cm以下であることが好ましい。
これにより、記録物製造装置の大型化を防止しつつ、より優れた生産性で、接着強度の大きい記録物をより確実に製造することができる。
本発明の記録物は、本発明の方法を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、位置合わせの困難性等の問題の発生が効果的に防止され、用紙の画像が設けられた面とは反対側の面を貼り合わせた信頼性の高い記録物(フォトブック等)を提供することができる。
本発明の記録物製造用用紙は、インクジェット法により形成された画像を有する用紙の前記画像が設けられた面とは反対側の面を貼り合わせた記録物の製造に用いられる記録物製造用用紙であって、
基材と、
感圧式接着剤を含む材料で構成された接着剤層とを有し、
記録物製造用用紙の前記接着剤層が設けられた面同士を向い合せて、記録物製造用用紙を貼り合せる状態において、記録物製造用用紙は、互いに向かい合う部位に、それぞれ、選択的に前記接着剤層が設けられたものであることを特徴とする。
これにより、接着剤のベタツキによる作業性の低下、位置合わせの困難性等の問題の発生を効果的に防止しつつ、用紙の画像が設けられた面とは反対側の面を貼り合わせた信頼性の高い記録物(フォトブック等)を生産性良く製造するのに用いることのできる記録物製造用用紙を提供することができる。
本発明の記録物製造用用紙の好適な実施形態を示す断面図である。 本発明の記録物製造用用紙の好適な実施形態を示す平面図である。 本発明の記録物製造用用紙の好適な実施形態を示す平面図である。 本発明の記録物製造用用紙の好適な実施形態を示す平面図である。 本発明の記録物の製造方法の好適な実施形態を示す工程図である。 本実施形態における記録物製造装置のブロック図である。 本実施形態における記録物製造装置の側面図である。 本実施形態におけるクリーサーの説明図である。 本発明の記録物の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、添付した図面を参照しつつ説明する。
≪記録物製造用用紙≫
まず、本発明の記録物製造用用紙について説明する。
図1は、本発明の記録物製造用用紙の好適な実施形態を示す断面図、図2、図3、図4は、本発明の記録物製造用用紙の好適な実施形態を示す平面図である。本明細書で参照する図面は、一部を強調して示した模式図であり、実際の寸法等を反映するものではない。
本発明の記録物製造用用紙は、インクジェット法により形成された画像を有する用紙の前記画像が設けられた面とは反対側の面を貼り合わせた記録物の製造に用いられるものである。
本発明において、前記画像は、インクジェット法により形成されたものである。これにより、適用する用紙(記録媒体)の大きさの範囲をより広いものとすることができ、例えば、長尺の用紙(ロール紙等)を好適に用いることができる、見開きページで継ぎ目のない画像を好適に形成することができ、最終的に得られる記録物において、画像のダイナミック感、高級感を特に優れたものとすることができる。また、画像形成のための装置として比較的小型のものを用いることができる。さらに、超光沢、セミグロス、マット調等、様々な種類の記録媒体(基材)に好適に適用することができるため、オフセット印刷やレーザープリンターでは不可能である、所謂ファインアートと呼ばれる分野にも使用可能な多様な質感の作品集を作成することも可能である。
図1に示すように、本実施形態の記録物製造用用紙(記録用紙)S10は、基材S1と、接着剤層S2とを有している。
基材S1は、感圧式接着剤を含む材料で構成された接着剤層S2を保持する機能を有するものである。
基材S1としては、例えば、普通紙、コート紙、写真用紙、オフセット印刷本紙等の各種紙、プラスチックフィルム、金属箔、布等が挙げられる。
また、基材S1としては、ロール紙を用いてもよい。これにより、ロール状の記録物製造用用紙S10を巻き取った状態(接着剤層S2が設けられた面と、その反対側の面が接触した状態。特に、比較的高い圧力で絞めつけられた状態。)で保存した場合であっても、接着剤層S2とそれに対向する基材S1との間で不本意な接着(ブロッキング)が発生することを確実に防止されるとともに、必要時(記録物S100の製造時)には、加圧により十分な接着強度を容易に得ることができる。すなわち、基材S1がロール紙である場合に、本発明の効果がより顕著に発揮される。また、基材S1がロール紙である場合、ロール状の記録物製造用用紙S10を巻き取った状態で、適度なグリップ力が得られるため、記録物製造用用紙S10の巻き取り状態が不本意に緩んでしまうことが効果的に防止され、記録物製造用用紙S10の保存を好適に行うことができる。また、基材S1がロール紙であると、後述するような記録物製造装置を用いることにより、ページ数、ページ幅等の条件が異なる複数種の記録物S100を製造する場合であっても、半端な長さの記録物製造用用紙S10が無駄となることをより好適に防止しつつ、記録物S100の生産性を高いものとすることができる。すなわち、記録物を製造する際のオンデマンド性がより高いものとなる。
基材S1の厚さは、特に限定されないが、30μm以上であるのが好ましく、50μm以上200μm以下であるのがより好ましい。このように、基材S1の厚みが比較的大きいものであると、ホットメルト接着剤を用いた場合等には、厚さ方向の中心部付近にまで十分な熱を与えることが困難であり、接着性(接合力)を十分に高いものとすることが困難となり、また、記録物S100の生産性や省エネルギーの観点からも不利であったが、本発明では、前記のように基材S1の厚みが比較的大きい場合であっても、前記のような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、前記のように基材S1の厚みが比較的大きい場合に本発明の効果がより顕著に発揮される。また、基材S1の厚みが前記範囲内の値であると、記録物製造用用紙S10を用いて製造される記録物S100の高級感、耐久性を特に優れたものとすることができる。
接着剤層S2は、記録物S100の製造において、基材S1の画像が設けられた面とは反対側の面を貼り合わせる機能を有するものである。
そして、接着剤層S2は、感圧式接着剤を含む材料で構成されたものである。これにより、接着剤層S2のベタツキを抑えつつ、加圧により、十分な接着強度を得ることができる。また、記録物S100の厚さが比較的大きいもの(接着すべき層が多数層積み重ねられたもの)であっても、容易に、全体に加える圧力の均等性を高くすることができるため、各部位での接着強度のばらつきを抑制することができる。また、接着に際して加熱が不要であるため、省エネルギーの観点からも好ましい。また、感圧式接着剤は所定以上の圧力が加えられた際には十分な粘着性が発揮されるが、それより小さい圧力(保存時の圧力や印刷時に加わる圧力等)では、ほとんど粘着性がないため、記録物製造用用紙S10の接合位置の調整や折り曲げ操作を好適に行うことができる。そのため、位置合わせの困難性の問題の発生を効果的に防止することができる。また、感圧式接着剤を含む材料で構成された接着剤層S2が設けられていることにより、接着剤層S2は、適度なグリップ力を有することとなり、記録物製造用用紙S10の搬送性を良好なものとすることができ、記録物製造装置1の搬送ローラーの空回り等を確実に防止することができ、所望の画像を目的の部位に確実に形成することができる。また、記録物製造装置1内で、基材S1に由来する紙粉の発生をより確実に防止することができ、記録物製造装置1のメンテナンスが容易となり、紙粉によるトラブルの発生を効果的に防止することができ、記録物S100の生産性を優れたものとすることができる。
接着剤層S2は、基材S1上の特定の領域に選択的に設けられたものである(図2〜図4参照)。すなわち、記録物製造用用紙S10の接着剤層S2が設けられた面同士を向い合せて、記録物製造用用紙S10を貼り合せる状態において、記録物製造用用紙S10は、互いに向かい合う部位に、それぞれ、選択的に接着剤層S2が設けられている。
これにより、このように、互いに向かい合う部位に、それぞれ、選択的に接着剤層S2が設けられていることにより、十分な接着力が得られる。また、記録物製造用用紙S10の接着剤層S2が設けられた面同士を向い合せて、記録物製造用用紙S10を貼り合せる状態において、位置ずれが生じた場合には、向かい合う記録物製造用用紙S10のうち一方の側のみに接着剤層S2が存在することとなるため、接着強度が不十分となり、容易に剥離することができる。その結果、位置ずれを生じたもの(不良品)を、容易に識別、除外することができ、最終的な記録物の信頼性を高いものとすることができる。また、再度位置合わせをし直し、位置ずれを生じ十分な強度で接合しなかった部位についてのみ再度接着を試みればよいので、位置合わせ不良を生じた場合でも、記録物製造用用紙S10の廃棄量を抑制することができる。したがって、省資源、記録物S100の生産性の観点からも好ましい。
このような優れた効果は、例えば、基材の全面に接着剤層を設けた場合等には得られない。
図2〜図4に示す構成では、接着剤層S2が設けられた面同士を向い合せて、記録物製造用用紙S10を重ね合わせた状態で、接着剤層S2は、外周部S11に設けられたものである。このような構成であることにより、最終的に得られる記録物S100において、ページを繰る際に、接着部に剥離が生じることをより確実に防止することができ、最終的に得られる記録物S100の信頼性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
図2、図3に示す構成では、接着剤層S2が設けられた面同士を向い合せて、記録物製造用用紙S10を重ね合わせた状態での外周部S11を除く部位(中心部)S12において、接着剤層S2は、複数の平行な線状に設けられている。これにより、最終的に得られる記録物S100における接着強度、記録物S100の耐久性を十分に優れたものとしつつ、記録物S100の製造時における接着の位置ずれをより好適に識別することができるため、最終的に得られる記録物S100の信頼性を特に優れたものとすることができる。
図4に示す構成では、接着剤層S2が設けられた面同士を向い合せて、記録物製造用用紙S10を重ね合わせた状態での外周部S11を除く部位(中心部)S12において、接着剤層S2は、点状に設けられている。これにより、最終的に得られる記録物S100における接着強度、記録物S100の耐久性を十分に優れたものとしつつ、記録物S100の製造時における接着の位置ずれをより好適に識別することができるため、最終的に得られる記録物S100の信頼性を特に優れたものとすることができる。
接着剤層S2の幅Wは、3mm以上50mm以下であるのが好ましく、5mm以上30mm以下であるのがより好ましい。接着剤層S2の幅Wが前記範囲内の値であると、最終的に得られる記録物S100における接着強度、記録物S100の耐久性を十分に優れたものとしつつ、記録物S100の製造時における接着の位置ずれをより好適に識別することができるため、最終的に得られる記録物S100の信頼性を特に優れたものとすることができる。
記録物製造用用紙S10を平面視した際における、接着に寄与する接着剤層S2の被覆率は、40%以上90%以下であるのが好ましく、50%以上80%以下であるのがより好ましい。これにより、最終的に得られる記録物S100における接着強度、記録物S100の耐久性を十分に優れたものとしつつ、対向する記録物製造用用紙S10の接着剤層S2が設けられた部位同士を接着した場合の接着力と、対向する記録物製造用用紙S10のうち一方のみに接着剤層S2が設けられており他方には接着剤層S2が設けられていない場合の接着力(すなわち、位置ずれが生じた場合の接着力)との差をさらに大きくすることができるため、位置ずれを生じたもの(不良品)の識別がさらに容易なものとなり、最終的な記録物S100の信頼性をさらに高いものとすることができる。これに対し、接着剤層S2の被覆率が前記下限値未満であると、接着剤層S2の構成材料、厚さ等によっては、最終的に得られる記録物S100における接着強度、記録物S100の耐久性を十分に優れたものとするのが困難になる。また、接着剤層S2の被覆率が前記上限値を超えると、接着剤層S2の構成材料、厚さ等によっては、位置ずれが生じた場合でも記録物製造用用紙S10の接着力が大きくなるため、不良品の識別が困難となり、記録物S100の信頼性が低下する傾向が表れる。
接着剤層S2の厚さは、特に限定されないが、1μm以上10μm以下であるのが好ましい。これにより、最終的に得られる記録物S100における接着強度、記録物S100の耐久性を特に優れたものとすることができる。また、対向する記録物製造用用紙S10の接着剤層S2が設けられた部位同士を接着した場合の接着力と、対向する記録物製造用用紙S10のうち一方のみに接着剤層S2が設けられており他方には接着剤層S2が設けられていない場合の接着力(すなわち、位置ずれが生じた場合の接着力)との差をさらに大きくすることができるため、位置ずれを生じたもの(不良品)の識別がさらに容易なものとなり、最終的な記録物S100の信頼性をさらに高いものとすることができる。
接着剤層S2を構成する感圧式接着剤としては、ポリイソプレンが好ましい。これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。また、ポリイソプレンは、柔軟性の高い材料であるため、記録物製造用用紙S10の弾性が必要以上に大きくなることが防止され、取り扱いのし易さを保持することができるとともに、記録物製造用用紙S10の撓みによる接着剤層S2の割れ等を確実に防止することができ、記録物製造用用紙S10、および、これを用いて製造される本発明の記録物S100の信頼性、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、ポリイソプレンを含むことにより、記録物S100の製造時においては、加圧により十分な接着強度を容易に得ることができる一方で、記録物製造用用紙S10の保存時等に、記録物製造用用紙S10を重ねて保存した場合や、ロール状の記録物製造用用紙S10を巻き取った状態においては、不本意な接着(ブロッキング)が発生することがより確実に防止される。また、接着剤として一般的に用いられる酢酸ビニル系やアクリル系の樹脂のような特有の臭いを発することもない。
ポリイソプレンは、イソプレン(2−メチル−1,3ブタジエン)が重合した構造を有する化合物である。
接着剤層S2中に含まれるポリイソプレンの重量平均分子量は、10万以上50万以下であるのが好ましい。これにより、記録物においてより高い接着強度を得ることができ、また、記録物S100の製造において、より低い圧力で十分な接着強度を得ることができるため、記録物製造装置1の小型化、簡略化を図ることができる。また、加熱することなく40℃以下の室温下での加圧のみで、優れた接着性が得られる。また、対向する記録物製造用用紙S10の接着剤層S2が設けられた部位同士を接着した場合の接着力と、対向する記録物製造用用紙S10のうち一方のみに接着剤層S2が設けられており他方には接着剤層S2が設けられていない場合の接着力(すなわち、位置ずれが生じた場合の接着力)との差をさらに大きくすることができるため、位置ずれを生じたもの(不良品)の識別がさらに容易なものとなり、最終的な記録物S100の信頼性をさらに高いものとすることができる。これに対し、ポリイソプレンの重量平均分子量が前記下限値未満であると、接着剤層S2の柔軟性が不十分となり、加熱することなく40℃以下の室温下での加圧のみで、接着することが困難になる可能性がある。また、ポリイソプレンの重量平均分子量が前記上限値を超えると、記録物製造用用紙S10の弾性が大きくなり、記録物製造用用紙S10、記録物S100の取り扱い性が低下したり、記録物製造用用紙S10、記録物S100の信頼性、耐久性が低下する可能性がある。
なお、重量平均分子量は、例えば、東ソー株式会社製、HLC−8320GPCを用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定により求めることができる。なお、本明細書では、「重量平均分子量」としては、特に断りのない限り、前記のようにして求められた値のことを指すものとする。
接着剤層S2中におけるポリイソプレンの含有率は、75質量%以上95質量%以下であるのが好ましい。
また、接着剤層S2は、水溶性樹脂を含むものであってもよい。これにより、接着剤層S2による接着性を特に優れたものとすることができる。したがって、記録物S100においてより高い接着強度を得ることができ、また、記録物S100の製造において、より低い圧力で十分な接着強度を得ることができるため、記録物製造装置1の小型化、簡略化を図ることができる。
接着剤層S2中に含まれる水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコールを含むものであるのが好ましい。これにより、前述したような水溶性樹脂を含むことによる効果がより顕著に発揮される。
ポリビニルアルコールの平均分子量は、400以上2,000以下であるのが好ましい。ポリビニルアルコールの平均分子量が前記下限値未満であると、記録物製造用用紙S10を重ねて保存した場合や、ロール状の記録物製造用用紙S10を巻き取った状態において、接着剤層S2とそれに対向する基材S1との間で不本意な接着(ブロッキング)が発生し易い。また、ポリビニルアルコールの平均分子量が前記上限値を超えると、接着剤層S2による接着性が低下する傾向が表れる。
接着剤層S2中におけるポリビニルアルコールの含有率は、5質量%以上25質量%以下であるのが好ましい。これにより、接着剤層S2による接着性をさらに優れたものとすることができる。これに対し、ポリビニルアルコールの含有率が前記下限値未満であると、接着剤層S2による接着性が低下する傾向が表れる。また、ポリビニルアルコールの含有率が前記上限値を超えると、記録物製造用用紙S10を重ねて保存した場合や、ロール状の記録物製造用用紙S10を巻き取った状態において、接着剤層S2とそれに対向する基材S1との間で不本意な接着(ブロッキング)が発生し易い。
また、接着剤層S2中におけるポリイソプレンの含有率をX[重量%]、接着剤層S2中におけるポリビニルアルコールの含有率をX[重量%]とした場合、3≦X/X≦19の関係を満足するのが好ましい。このような関係を満足することにより、接着剤層S2による接着性をさらに優れたものとすることができる。また、対向する記録物製造用用紙S10の接着剤層S2が設けられた部位同士を接着した場合の接着力と、対向する記録物製造用用紙S10のうち一方のみに接着剤層S2が設けられており他方には接着剤層S2が設けられていない場合の接着力(すなわち、位置ずれが生じた場合の接着力)との差をさらに大きくすることができるため、位置ずれを生じたもの(不良品)の識別がさらに容易なものとなり、最終的な記録物S100の信頼性をさらに高いものとすることができる。これに対し、X/Xが前記下限値未満であると、記録物製造用用紙S10を重ねて保存した場合や、ロール状の記録物製造用用紙S10を巻き取った状態において、接着剤層S2とそれに対向する基材S1との間で不本意な接着(ブロッキング)が発生し易い。また、X/Xが前記上限値を超えると、接着剤層S2による接着性が低下する傾向が表れる。
接着剤層S2は、ポリイソプレン以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、界面活性剤、防腐剤・防かび剤、pH調整剤、酸化防止剤、金属トラップ剤、保湿剤、分散剤、分散助剤、充填剤、密着促進剤、凝集防止剤、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、重合開始剤、重合禁止剤、等が挙げられる。
≪接着剤含有組成物≫
次に、記録物製造用用紙S10の製造(接着剤層S2の形成)に好適に用いることのできる接着剤含有組成物について説明する。
接着剤含有組成物は、通常、液状をなすものである。
感圧式接着剤は、接着剤含有組成物中において、いかなる形態で含まれるものであってもよいが、分散媒中に分散する分散質として含まれているのが好ましい。これにより、乾燥効率が向上し、接着剤層パターンを精度良く形成できるという効果が得られる。
接着剤含有組成物中において感圧式接着剤が分散質として含まれるものである場合、感圧式接着剤の粒子の平均粒径は、10nm以上1μm以下であるのが好ましく、100nm以上1μm以下であるのがより好ましい。感圧式接着剤の粒子の平均粒子径が前記下限値未満であると、接着剤組成物により形成された接着剤層S2のベタつきが大きくなり、ロール状の記録物製造用用紙S10を巻き取った状態においては、不本意な接着(ブロッキング)が発生するという問題を生じる可能性がある。また、感圧式接着剤の粒子の平均粒子径が前記上限値を超えると、良好な接着性が得られない可能性がある。
なお、平均粒子径は、例えば、動的光散乱法を用いた粒度分析計により測定される。エマルションに純水を加えて100倍に希釈し、日機装社(Nikkiso Co., Ltd.)製、ナノトラックUPA−EX150を用いて測定される50質量%数平均粒子径で表すことができる。なお、本明細書では、「平均粒子径」としては、特に断りのない限り、前記のようにして求められた値のことを指すものとする。
接着剤含有組成物中における感圧式接着剤の含有率は、2.5質量%以上25質量%以下であるのが好ましい。感圧式接着剤の含有率が前記下限値未満であると、接着剤組成物により接着剤層S2を形成する場合において、接着剤層S2の厚さを確保するための生産効率が低下する可能性がある。また、感圧式接着剤の含有率が前記上限値を超えると、接着剤含有組成物の粘度が高くなり、例えば、記録物製造用用紙S10の製造を行う際の接着剤含有組成物の取り扱いのし易さ(例えば、インクジェット法による吐出安定性等)が低下する可能性がある。
接着剤含有組成物は、少なくとも感圧式接着剤を含むものであればよいが、さらに他の成分を含むものであってもよい。
例えば、感圧式接着剤を溶解する溶媒、感圧式接着剤を分散する分散媒を含むものであってもよい。溶媒、分散媒としては、水、および、1atm相当の沸点が70℃以上250℃以下である水溶性有機溶剤を含有するものが、接着剤組成物中で樹脂を安定に存在させることができ、また、接着剤含有組成物をインクジェット法で吐出する場合において、接着剤含有組成物の吐出安定性を優れたものとすることができ、さらに接着剤組成物の揮発性に優れ、接着剤層パターンを精度良く形成することが可能となり、好ましい。
上記の水溶性有機溶剤としては、ラクタム類、カルボン酸エステル類、アルキレングリコールエーテル類、およびアルコール類から選ばれる1種以上を含む水性液体であることが好ましい。これらの中でも、2−ピロリドン類(γ−ブチロラクタム類)、乳酸エステル類、アルキレングリコールエーテル類、アルコール類を含む水性液体であることがより好ましい。
上記の水溶性有機溶剤として、以下に限定されないが、例えば、エタノール(沸点78℃)、N−メチル−2−ピロリドン(沸点202℃)、N−エチル−2−ピロリドン(沸点212℃)、2−ピロリドン(沸点245℃)、ジメチルスルホキシド(沸点189℃)、乳酸メチル(沸点145℃)、乳酸エチル(沸点155℃)、乳酸イソプロピル(沸点168℃)、乳酸ブチル(沸点188℃)、エチレングリコールモノメチルエーテル(沸点124℃)、エチレングリコールジメチルエーテル(沸点85℃)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点145℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(沸点176℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点189℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点120℃)、プロピレングリコールジメチルエーテル(沸点97℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点188℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点171℃)、1,4−ジオキサン(沸点101℃)、エチレングリコール(沸点197℃)、ジエチレングリコール(沸点244℃)、プロピレングリコール(沸点188℃)、ジプロピレングリコール(沸点232℃)、1,3−プロパンジオール(沸点212℃)、1,4−ブタンジオール(沸点230℃)、ヘキシレングリコール(沸点198℃)、2,3−ブタンジオール(沸点77℃)、n−ブタノール(沸点118℃)、1,2−ヘキサンジオール(沸点224℃)、1,2−ペンタンジオール(沸点206℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点116℃)、およびジエチレングリコールモノプロピルエーテル(沸点153℃)が挙げられる。
1atm相当の沸点が70℃以上250℃以下である水溶性有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
特に、接着剤含有組成物は、感圧式接着剤の粒子を分散させる分散媒として、水を含むものであるのが好ましい。これにより、接着剤含有組成物中における感圧式接着剤の粒子の分散安定性を十分に優れたものとすることができ、記録物製造用用紙S10の製造をより好適に行うことができる。また、水は、適度な揮発性を有するものであるため、保存時における組成変化をより確実に防止しつつ、記録物製造用用紙S10の製造時においては容易に除去されるものであり、記録物製造用用紙S10の生産性を向上させる上でも有利である。また、水を用いることによる環境に対する負荷を軽減することができる。
また、接着剤含有組成物中において感圧式接着剤が分散質として含まれるものである場合において、接着剤含有組成物が、前述したような水溶性樹脂を含むものであると、前記分散質の分散安定性、接着剤含有組成物の保存安定性等を特に優れたものとすることができる。その結果、例えば、接着剤含有組成物をインクジェット法で吐出する場合において、接着剤含有組成物の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
接着剤含有組成物が水溶性樹脂を含むものである場合、接着剤含有組成物中において、水溶性樹脂は溶解した状態で含まれているのが好ましい。これにより、前述したような効果がより確実に発揮される。
また、接着剤含有組成物が、前述したような含有率の関係でポリイソプレンとともにポリビニルアルコールを含むことにより、記録物製造用用紙S10において前述したような効果が得られるとともに、接着剤含有組成物中においてポリイソプレンが分散質として含まれるものである場合において、前記分散質の分散安定性、接着剤含有組成物の保存安定性等をさらに優れたものとすることができ、例えば、接着剤含有組成物をインクジェット法で吐出する場合において、接着剤含有組成物の吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。
また、接着剤含有組成物は、界面活性剤を含むものであってもよい。これにより、接着剤含有組成物による接着性を特に優れたものとすることができる。また、接着剤含有組成物が水溶性樹脂を含むものであると、接着剤含有組成物中に感圧式接着剤が分散質として含まれるものである場合において、前記分散質の分散安定性、接着剤含有組成物の保存安定性等を特に優れたものとすることができる。その結果、例えば、接着剤含有組成物をインクジェット法で吐出する場合において、接着剤含有組成物の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、記録物製造用用紙S10の製造において、形成される接着剤層S2の膜厚について不本意なばらつきが発生することをより効果的に防止することができる。
界面活性剤としては、例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。好ましい界面活性剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤からなる群から選択される1種以上の界面活性剤が挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オールが挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤の市販品として、例えば、オルフィンE1010、STG、Y、サーフィノール104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、465、485、TG、SE、SE−F、61、82、DF−110D(以上全て商品名、日信化学工業社(Nissin Chemical Industry CO.,Ltd.)製)、アセチレノールE00、E00P(以上全て商品名、川研ファインケミカル社(Kawaken Fine Chemicals Co.Ltd.)製)が使用可能である。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物が好ましく用いられ、ポリシロキサン系化合物の具体例として、ポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。シリコーン系界面活性剤の市販品として、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(以上全て商品名、ビックケミー・ジャパン社製)が使用可能である。
特に好ましい界面活性剤は、シリコーン系界面活性剤と、HLB値が17以下のアセチレングリコール系界面活性剤と、を共に含む組み合わせである。
また、前述の水溶性有機溶剤と界面活性剤とを組み合わせて、上記接着剤組成物の表面張力を23.0mN/m以上40.0mN/m以下の範囲とすることが好ましく、より好ましくは25.0mN/m以上35.0mN/m以下の範囲である。接着剤組成物の表面張力が上記範囲内であると、インクジェットヘッドにおける吐出安定性に優れる。
接着剤含有組成物は、前述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、防腐剤・防かび剤、pH調整剤、酸化防止剤、金属トラップ剤、保湿剤、分散剤、分散助剤、充填剤、密着促進剤、凝集防止剤、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、重合開始剤、重合禁止剤、等が挙げられる。防腐剤・防かび剤として、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(Arch Chemicals社製のProxel−CRL、Proxel−BDN、Proxel−GXL、Proxel−XL2、Proxel−TN)が挙げられる。
pH調整剤として、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モルホリン、リン酸二水素カリウム、およびリン酸水素二ナトリウムが挙げられる。
金属トラップ剤として、例えば、エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム等が挙げられる。
接着剤含有組成物は、いかなる方法で、基材S1に付与されるものであってもよく、例えば、バーコート、スピンコート、ロールコート、スリットコート、刷毛塗り等の各種塗布法、オフセット印刷、グラビア印刷、インクジェット法等の各種印刷法を用いて行うことができるが、インクジェット法が好ましい。これにより、極めて簡便に接着剤層のパターン付与を実現することができ、少量多品種の記録物を効率良く、安価で短時間での製造が可能となる。
≪記録物の製造方法≫
次に、本発明の記録物の製造方法について説明する。
図5は、本発明の記録物の製造方法の好適な実施形態を示す工程図であり、図6は、本実施形態における記録物製造装置のブロック図であり、図7は、本実施形態における記録物製造装置の側面図であり、図8は、本実施形態におけるクリーサーの説明図(正面図および側面図)であり、図9は、本発明の記録物の一例を模式的に示す断面図である。
図5に示すように、本実施形態の記録物S100の製造方法は、基材S1上に、感圧式接着剤を含む材料で構成された接着剤層S2が所定のパターンで設けられた記録物製造用用紙S10を用意し(1a)、その接着剤層S2が設けられた面とは反対側の面に、インクジェット法により画像(印刷部)S3を形成する画像形成工程(1b)と、画像S3が形成された記録物製造用用紙S10に筋S4を入れる筋入れ工程(1c)と、記録物製造用用紙S10を所定の長さに断裁する断裁工程(1d)と、筋S4が設けられた部位で記録物製造用用紙S10を折りたたんだ状態で加圧し、画像S3が形成された面とは反対側の面(接着剤層S2が設けられた面)同士を接着する加圧工程(1e)とを有する。これにより、接着剤のベタツキによる作業性の低下、位置合わせの困難性等の問題の発生を効果的に防止しつつ、記録物製造用用紙S10の画像S3が設けられた面とは反対側の面を貼り合わせた記録物S100を生産性良く製造することができる。
ところで、製本には平綴じや無線綴じ等の種類がある。平綴じは、糸や針金等により複数枚の用紙を縫い合わせる製本方法である。無線綴じは、書籍となる背の部分を接着剤により固める製本方法である。
これらの製本方法では、背の部分が固められてしまう。よって、見開きページで1枚の写真が見えるような写真集を作成した場合、左右のページが開ききらないため、左右のページのつなぎ目が見にくいという問題がある。また、左右のページでずれが生ずる場合もあるため、このような製本方法は写真集等では採用しにくい。
これに対し、本発明では、製本後においても左右のページを開ききり、左右のページが連続して見やすい記録物を提供することができる。
特に、本実施形態では、貼り合わせ時の位置ずれや、印刷位置、筋入れの位置のずれを防止し、審美性に優れた記録物を提供することができる。
<記録物製造装置>
以下、本発明の記録物の製造方法に用いることのできる記録物製造装置について説明する。
図6に示すように、本実施形態で用いる記録物製造装置1は、給紙ユニット10と、送り出しユニット20と、搬送ユニット(搬送部)30と、挟持ユニット(挟持部)40と、排出ユニット50と、印刷ユニット60と、クリーサーユニット(筋入れ部)70と、断裁ユニット(断裁部)80と、コントローラー90と、検出器群95と、加圧手段97とを備える。
コントローラー90は、コンピューター2に接続するためのインターフェース91を備える。これにより、コンピューター2と双方向通信を行うことができる。そして、コンピューター2にインストールされたプリンタドライバを介して、記録物製造装置1に印刷指令が送信される。
コントローラー90は、さらに、演算装置であるCPU(Central Processing Unit)92と、記憶装置としてのメモリー93と、各ユニットを制御するユニット制御回路94を備える。これにより、記録物製造装置1から送られた印刷指令を解釈し、後述する各ユニットを制御する。
給紙ユニット10は、給紙ロール軸11と給紙ロールモーター12を備える。給紙ロール軸11には、ロール状の記録物製造用用紙S10がセットされる。また、給紙ロール軸11には、不図示の歯車等を介して給紙ロールモーター12の出力軸が動力伝達可能に接続されている。これにより、コントローラー90が給紙ロールモーター12を制御することにより、給紙ロール軸11の回転を制御することができる。給紙ロール軸11は、コントローラー90により、後述する送り出しローラー21aとの間で記録物製造用用紙S10が若干弛むように回転が制御される。そして、給紙ロール軸11と送り出しローラー21aとの間で張力が生じないようにされる。
送り出しユニット20は、送り出しローラー21aと従動ローラー21bと送り出しモーター22を備える。送り出しローラー21aと従動ローラー21bは、記録物製造用用紙S10を挟む。送り出しローラー21aの軸には、不図示の歯車等を介して送り出しモーター22の出力軸が動力伝達可能に接続されている。これにより、コントローラー90が送り出しモーター22を制御することにより、送り出しローラー21aの回転を制御することができる。従動ローラー21bは、送り出しローラー21aおよび記録物製造用用紙S10の摩擦力により従動回転する。
送り出しローラー21aは、コントローラー90により、給紙ロール軸11から引き出された記録物製造用用紙S10を後述する搬送ローラー31aに適宜送り出すように制御される。
搬送ユニット30は、搬送ローラー31aと従動ローラー31bと搬送モーター32を備える。搬送ローラー31aと従動ローラー31bは、記録物製造用用紙S10を挟む。搬送ローラー31aの軸には、不図示の歯車等を介して搬送モーター32の出力軸が動力伝達可能に接続されている。これにより、コントローラー90が搬送モーター32を制御することにより、搬送ローラー31aの回転を制御することができる。従動ローラー31bは、搬送ローラー31aおよび記録物製造用用紙S10の摩擦力により従動回転する。
搬送ローラー31aは、コントローラー90により、送り出しローラー21aから送り出された記録物製造用用紙S10を印刷ヘッド64の下方に搬送する。後述するように、印刷ヘッド64による印刷は、キャリッジ61の紙幅方向の移動と、記録物製造用用紙S10の搬送とが交互に行われることにより行われる。搬送ローラー31aは、記録物製造用用紙S10の搬送を担う。
挟持ユニット40は、下側挟持ローラー41aと上側挟持ローラー41bと下側挟持モーター42aと上側挟持モーター42bを備える。下側挟持ローラー41aの軸には、不図示の歯車等を介して下側挟持モーター42aの出力軸が動力伝達可能に接続されている。また、上側挟持ローラー41bの軸には、不図示の歯車等を介して上側挟持モーター42bの出力軸が動力伝達可能に接続されている。
これにより、コントローラー90が下側挟持モーター42aおよび上側挟持モーター42bを制御することにより、下側挟持ローラー41aおよび上側挟持ローラー41bによる記録物製造用用紙S10の搬送を制御することができる。すなわち、制御により、記録物製造用用紙S10の搬送および記録物製造用用紙S10の移動の制限を行うことができる。
ここでは、2つの挟持モーター42a、42bの動力により記録物製造用用紙S10の移動を制限することとしたが、挟持モーターを1つのみとし、他方の挟持ローラーを従動ローラーとすることとしてもよい。
排出ユニット50は、上流側排出ローラー51aと、従動ローラー51bと、上流側排出モーター52を備える。また、排出ユニット50は、さらに、下流側排出ローラー55aと、従動ローラー55bと、下流側排出モーター56を備える。
上流側排出ローラー51aの軸には、不図示の歯車等を介して上流側排出モーター52の出力軸が動力伝達可能に接続されている。また、下流側排出ローラー55aの軸には、不図示の歯車等を介して下流側排出モーター56の出力軸が動力伝達可能に接続されている。従動ローラー51bは、上流側排出ローラー51aおよび記録物製造用用紙S10の摩擦力により従動回転する。従動ローラー55bは、下流側排出ローラー55aおよび記録物製造用用紙S10の摩擦力により従動回転する。
これにより、画像形成および筋入れが完了した記録物製造用用紙S10を排紙側に搬送し、後述する断裁ユニット80により断裁された記録物製造用用紙S10を、折り畳まれた状態で排紙トレイ53に排紙する。
印刷ユニット60は、インクジェット法により画像を形成するものであり、画像形成工程は、このユニットで行われる。
インクジェット法を採用することにより、適用する記録物製造用用紙の大きさの範囲をより広いものとすることができ、例えば、長尺の記録物製造用用紙(ロール紙等)を好適に用いることができる、見開きページで継ぎ目のない画像を好適に形成することができ、最終的に得られる記録物において、画像のダイナミック感、高級感を特に優れたものとすることができる。また、画像形成のための装置として比較的小型のものを用いることができる。さらに、超光沢、セミグロス、マット調等、様々な種類の記録媒体(基材)に好適に適用することができるため、オフセット印刷やレーザープリンターでは不可能である、いわゆるファインアートと呼ばれる分野にも使用可能な多様な質感の記録物を製造することも可能である。
本工程で形成される画像は、例えば、利用者(顧客)が持ち込んだSDカード、USBメモリー、DVD等の記録媒体に記録されたデータによるものであってもよいし、インターネット回線等を通じて受信されたデータによるものであってもよい。
画像形成は、給紙ロール軸11から供給された記録物製造用用紙が搬送ローラー31aによって断続的に搬送され、かつ、印刷ヘッド64がインクを吐出することにより行われる。
記録物製造用用紙S10に画像S3を形成しているときにおいて、下側挟持ローラー41aおよび上側挟持ローラー41bは、搬送ローラー31aとの間で所定の張力が生じる程度に記録物製造用用紙S10を挟持し搬送する。
記録物製造用用紙S10の搬送量は、搬送ローラー31aの回転量により常にコントローラー90に把握される。また、コントローラー90は、記録物製造用用紙S10において筋入れを行うべき位置を把握している。そのため、コントローラー90は、搬送量が所定の搬送量になると、クリーサーユニット70に筋入れを行わせる。
印刷ユニット60は、キャリッジ61とガイド軸62と印刷ヘッド64を備える。ガイド軸62は、搬送方向に直交する方向に延びる。ガイド軸62は、記録物製造装置1の本体ケースに支持され、ガイド軸62の長手方向に沿って往復移動可能な状態でキャリッジ61が摺動連結されている。キャリッジ61には、不図示のキャリッジモーターおよびベルトが接続される。これにより、キャリッジ61は、前述のガイド軸62の長手方向に往復移動される。
また、キャリッジ61は、印刷ヘッド(ヘッド)64を搭載する。印刷ヘッド64は、インクを記録物製造用用紙S10の基材S1(接着剤層S2が設けられた面とは反対側の面)に吐出する印刷ヘッド64である。このようにすることで、印刷ヘッド64が搬送方向と交差する方向に往復移動可能であるので、記録物製造用用紙S10の搬送とキャリッジ61の往復移動を繰り返すことにより、記録物製造用用紙S10上全面に画像(印刷部)S3を形成することができる。
クリーサーユニット70は、筋入れ工程が行われるユニットである。
本実施形態では、クリーサーユニット70は、記録物製造用用紙S10を線状に押し込む凸形状部材としての回転ブレード71と、これを受ける受け部材としてのブレード受け部材72を備える。これにより、筋入れ工程において、所望の形状の筋を短時間で効率よく入れることができ、記録物S100の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、製造される記録物S100の信頼性、高級感を特に優れたものとすることができる。
回転ブレード71は、軸71aとその円周にわたって形成されたブレード71bを有する。そして、軸71aを中心として回転可能であるとともに、記録物製造用用紙S10の幅方向に移動可能である。ブレード受け部材72は、側面視において鋭角断面を有しており、ブレード71b先端もこれに合わせた鋭角断面を有する。ただし、ブレード71b先端は鋭角を有するものの、記録物製造用用紙S10を断裁するまでの応力は生じさせない。
よって、ブレード71bとブレード受け部材72とで記録物製造用用紙S10を挟み、回転ブレード71が記録物製造用用紙S10の幅方向に移動することにより、ブレード71b先端による応力が記録物製造用用紙S10に幅方向に延びる線状の筋(折り目)を形成する。
これら、回転ブレード71およびブレード受け部材72は、鉄、ニッケル、アルミ、および、アルマイトなどの金属材料を用いることができる。また、金属を用いず樹脂で形成したものを用いてもよい。
なお、ここでは、ブレード受け部材72の断面を鋭角断面として説明したが、横長の矩形断面であってもよいし、縦長の矩形断面としてもよい。また、回転ブレード71の代わりに回転しないブレードを設けて、単に、用紙幅方向にスライドすることによって筋を形成することとしてもよい。
また、クリーサーユニット70は、筋入れを行う際に、破線状に切り込みを入れるものであってもよい。
また、クリーサーユニット70は、交換可能とすることもできる。これによりクリーサーユニット70のメンテナンスを行いやすくするとともに、ブレード受け部材72の深さ、幅、または、形状の異なるものを取り付けることとして、記録物製造用用紙S10に最適なクリーサーユニット70を用いることができる。
クリーサーユニット70により筋入れを行わせるタイミングにおいて、コントローラー90は、下側挟持ローラー41aおよび上側挟持ローラー41bの回転を停止させ固定させる。すなわち、記録物製造用用紙S10を固定させる。
記録物製造用用紙S10を搬送方向に関して固定した後、コントローラー90はクリーサーユニット70に対して記録物製造用用紙S10に筋入れを行わせる指令を送出する。このとき、前述のように、記録物製造用用紙S10は、搬送方向に関して固定されているので、クリーサーユニット70によって筋入れがされたとしても、記録物製造用用紙S10はほとんど動かない。このようにすることによって、筋入れ動作時において記録物製造用用紙S10は搬送方向に関して移動しないので、後続する記録物製造用用紙S10に対する印刷において印刷ずれが生じない。
仮に、印刷ずれが生じたとすれば、印刷位置と筋入れ位置にずれが生じてしまう。その場合、記録物S100の折り目の位置がずれてしまい、審美性の高い記録物S100を製作することができないが、記録物製造装置1によれば、クリーサーユニット70における筋入れ動作において印刷位置ずれが生じないので、審美性の高い記録物S100を提供することができる。
図7に示す構成では、記録物製造装置1は、回転ブレード71が印刷面側(記録物製造用用紙S10の接着剤層S2が設けられた面とは反対の面側)に設けられたクリーサーユニット70を備えている。このような構成であることにより、筋入れ工程において、記録物製造用用紙S10の画像S3が形成された面側に、筋S4を好適に形成することができる(谷折りにすることができる)。これにより、見開き2ページにまたがる画像が不連続になることがより効果的に防止された記録物S100を得ることができる。
断裁ユニット80は、断裁工程が行われるユニットである。断裁工程を行うことにより、例えば、記録物の製造にロール状の記録物製造用用紙S10を好適に用いることができ、ページ数、ページ幅等の条件が異なる複数種の記録物S100を高い生産性で製造することができる。
断裁ユニット80は、カッター81とカッター受け部材82を備える。カッター81は、例えば前述の図8に示した回転ブレード71のブレード71b先端をより鋭利なものを採用することで実現することができる。また、カッター受け部材82は、ブレード受け部材72の材質をより硬質なものを採用することで実現することができる。
このような構成とすることで、カッター81とカッター受け部材82とで、記録物製造用用紙S10を挟み、カッター81を記録物製造用用紙S10の幅方向に移動させることにより、記録物製造用用紙S10を所定の位置で断裁することができる。
本実施形態では、断裁ユニット80は、クリーサーユニット(筋入れ部)70よりも下流側であって、かつ、加圧手段97よりも上流側に設けられている。すなわち、筋入れ工程と加圧工程との間に断裁工程を有しており、クリーサーユニット70により筋S4が設けられた記録物製造用用紙S10が加圧手段に搬送される前に、断裁ユニット80により断裁されるように構成されている。
また、断裁ユニット80の一部として、ドットインパクトヘッド84とプラテン85を備えることができる。ドットインパクトヘッド84は、記録物製造用用紙S10の裏面(画像S3が形成される面とは反対側の面)に、印刷情報および前述のカッター81によって断裁される位置を示すマーカーを印刷する。そして、このマーカーが後述する光学センサー95aにより読み取られることにより、正確な断裁位置を認識可能とする。
記録物製造装置1は、検出器群95の一つとして光学センサー95aを備える。光学センサー95aは、搬送方向に関して、上流側排出ローラー51aおよび下流側排出ローラー55aとの間に設けられる。また、光学センサー95aは、前述のように記録物製造用用紙S10に形成されたマーカーを読み取るべく、記録物製造用用紙S10の裏面側に設けられる。
このように、光学センサー95aを設けることにより、コントローラー90は、記録物製造用用紙S10の切断位置(断裁位置)を正確に認識することができる。そして、カッター81を適切に制御することにより、正確な位置で記録物製造用用紙S10を断裁することができる。
断裁が完了した記録物製造用用紙S10は、筋S4で折り曲げられた状態(記録物製造用用紙S10の印刷部S3が形成された面とは反対の面同士を対向させた状態)で、排紙トレイ53に排紙(スタック)され、加圧手段97による加圧に供される(加圧工程)。これにより、接着剤層S2が設けられた側の面同士が密着・接合し、記録物S100が得られる。
また、図示の構成では、排紙トレイ53の底面が水平方向から所定角度だけ傾斜するように構成されている。これにより、排紙トレイ53において、複数枚の記録物製造用用紙S10の縁部を好適に揃えることができる。その結果、記録物S100の歩留まりを向上させることができる。
特に、図示の構成では、ばね(付勢手段)54により、排紙トレイ53の底面が水平方向から所定角度だけ傾斜するように構成されている。これにより、排紙トレイ53に記録物製造用用紙S10が排紙される際には、排紙トレイ53の底面が水平方向から所定角度だけ傾斜しており前述した効果が得られるとともに、加圧手段97で加圧される際には、排紙トレイ53の底面を水平することができ、加圧手段による圧力を記録物製造用用紙S10に均一に加えることができる。その結果、製造される記録物S100の信頼性を特に優れたものとすることができる。
排紙トレイ53の傾斜方向は、特に限定されないが、排紙トレイ53に排紙された記録物製造用用紙S10の1つの角部が最も下側にくるようなものであるのが好ましい。これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
また、記録物製造装置1は、排紙トレイ53に排紙された記録物製造用用紙S10に振動を付与する振動付与手段(図示せず)が設けられていてもよい。これにより、複数枚の記録物製造用用紙S10の縁部をより好適に揃えることができる。その結果、記録物S100の歩留まりをさらに向上させることができる。
加圧手段97は、折り畳まれた状態の記録物製造用用紙S10の少なくも一部を押圧するものであればよいが、折り畳まれた状態の記録物製造用用紙S10の全面を押圧するものであるのが好ましい。これにより、各部位での接合強度の均一性をより高いものとすることができ、記録物S100の信頼性を特に優れたものとすることができる。
加圧手段97による加圧圧力は、3kgf/cm以上30kgf/cm以下であるのが好ましく、7kgf/cm以上13kgf/cm以下であるのがより好ましい。これにより、記録物製造装置1の大型化を防止しつつ、より優れた生産性で、接着強度の大きい記録物S100をより確実に製造することができる。これに対し、圧力が前記下限値未満であると、接着剤層S2のパターン、厚さ等によっては、十分な接着強度を得るのが困難になる可能性がある。また、圧力が前記上限値を超えると、画像形成に用いたインクの組成等によっては、他ページへの色移りの可能性がある。
加圧工程に供される記録物製造用用紙S10は、接着剤層S2が設けられた側の面において、互いに向かい合う部位に、それぞれ、選択的に接着剤層S2が存在するように設計されている。このため、仮に、位置ずれが生じた場合には、向かい合う記録物製造用用紙S10のうち一方の側のみに接着剤層S2が存在することとなるため、接着強度が不十分となり、容易に剥離することができる。その結果、位置ずれを生じたもの(不良品)を、容易に識別することができる。また、再度位置合わせをし直し、位置ずれを生じ十分な強度で接合しなかった部位についてのみ再度接着を試みればよいので、位置合わせ不良を生じた場合でも、記録物製造用用紙S10の廃棄量を抑制することができる。したがって、省資源、記録物S100の生産性の観点からも好ましい。
前記の説明では、各工程について、順に説明を行ったが、実際にはこれらは同時並行的に実行される。
≪記録物≫
次に、本発明の記録物について説明する。
本発明の記録物は、前述したような本発明の方法を用いて製造されたものである。これにより、位置合わせの困難性等の問題の発生が効果的に防止され、用紙の画像が設けられた面とは反対側の面を貼り合わせた信頼性の高い記録物(フォトブック等)を提供することができる。
なお、本発明において、記録物とは、インクジェット法により形成された画像を有する用紙の前記画像が設けられた面とは反対側の面を貼り合わせたものであればよく、具体的には、例えば、フォトブック、カレンダー、グリーティングカード、カタログ、単行本、文庫本、論文等が挙げられる。
中でも、記録物は、フォトブックであることが好ましい。
フォトブックは、鑑賞用のものであり、見開き一面のインパクトある表現などが求められるものであるが、従来においては、このような表現が困難であった。これに対し、本発明では、見開き一面のインパクトある表現などが可能である。すなわち、記録物としてのフォトブックに適用した場合に、本発明の効果がより顕著に発揮される。
図9に示すように、本実施形態の記録物S100では、印刷部S3が設けられた基材S1と、接着剤層S2とを有する記録物製造用用紙S10が、所定の幅で、山折り、谷折りで交互に折り曲げられ、当該記録物製造用用紙S10の接着剤層S2が形成された部位同士が接合された構造を有している。
図9に示す構成では、便宜上、記録物S100のページ数(表紙、裏表紙を含む)が6ページであるものとして示しているが、これに限定されない。記録物S100のページ数(表紙、裏表紙を含む)は、6ページ以上であるのが好ましく、8ページ以上80ページ以下であるのがより好ましい。このように、記録物のページ数が比較的大きいものであると、記録物の製造にホットメルト接着剤を用いた場合等には、厚さ方向の中心部付近にまで十分な熱を与えることが困難であり、接着性(接合力)を十分に高いものとすることが困難となり、また、記録物の生産性や省エネルギー、記録物の耐久性の観点からも不利であったが、本発明では、前記のように記録物のページ数が比較的大きい場合であっても、前記のような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、前記のように記録物のページ数が比較的大きい場合に本発明の効果がより顕著に発揮される。また、記録物のページ数が前記範囲内の値であると、記録物の高級感、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、一般に、印刷位置、筋入れの位置のずれを生じると、ページ数の増加に伴い、これらのずれが累積するという問題があり、従来では、ページ数の多い記録物を、前記のようなずれを防止しつつ製造することは極めて困難であったが、本発明では、ページ数の多い記録物であってもこのような問題の発生を確実に防止・抑制することができる。すなわち、記録物のページ数が前記のように多いものである場合に、本発明の効果はより顕著に発揮される。
記録物S100の厚さは、特に限定されないが、3mm以上であるのが好ましく、5mm以上50mm以下であるのがより好ましい。このように、記録物の厚みが比較的大きいものであると、記録物の製造にホットメルト接着剤を用いた場合等には、厚さ方向の中心部付近にまで十分な熱を与えることが困難であり、接着性(接合力)を十分に高いものとすることが困難となり、また、記録物の生産性や省エネルギー、記録物の耐久性の観点からも不利であったが、本発明では、前記のように記録物の厚みが比較的大きい場合であっても、前記のような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、前記のように記録物の厚みが比較的大きい場合に本発明の効果がより顕著に発揮される。また、記録物の厚みが前記範囲内の値であると、記録物の高級感、耐久性を特に優れたものとすることができる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態では、接着剤層の形成パターンとして、図2〜図4に示すものを挙げて説明したが、本発明では、記録用紙を重ね合わせた状態で加圧する際に、互いに向かい合う部位に、それぞれ、選択的に接着剤層が設けられたものであればよく、接着剤層の形成パターンは、図2〜図4に示すものに限定されない。例えば、接着剤層は、記録用紙を平面視した際に、円形状、渦巻き状、波線状に設けられたものであってもよい。また、接着剤層を点状に設ける場合においては、各点の形状は、円形に限らず、楕円形状、多角形状等、いかなる形状でもよい。
また、前述した実施形態では、画像形成工程、加圧工程に加え、筋入れ工程、断裁工程を有するものとして説明したが、筋入れ工程、断裁工程のうち少なくとも一方はなくてもよい。
また、本発明においては、前述した工程に加え、他の工程(前工程、中間工程、後工程)を有していてもよい。
また、各工程の順番は前述のものに限定されない。例えば、前述した実施形態では、断裁工程は、筋入れ工程と加圧工程との間に行うものとして説明したが、断裁工程は、例えば、画像形成工程と筋入れ工程との間に行うものであってもよい。
また、前述した実施形態では、記録物製造装置を構成する加圧手段により加圧工程を行い、これにより、記録物を得るものとして説明したが、記録物製造装置を構成する加圧手段は、位置ずれを防止する程度の接合力を得るための処理(仮接合)を行うものであり、その後、他の装置を用いて、最終的な接合処理(本接合)を行うものであってもよい。
また、加圧手段は、図示のような構成のものに限定されず、例えば、ロール状のもの(加圧ローラー)であってもよい。
また、前述した実施形態では、単一の装置内で各工程を行うものとして説明したが、前述した工程のうち少なくとも1つを、他の装置により行ってもよいし、装置を用いることなく手作業で行ってもよい。
また、前述した実施形態では、記録物が複数枚の記録用紙を用いて製造されたものである場合について説明したが、1枚の記録用紙を用いて記録物を製造してもよい。
また、前述した実施形態では、筋入れ部(クリーサーユニット)が、回転ブレードを備えるものについて代表的に説明したが、筋入れするための手段はこれに限らない。例えば、回転機構を有さないもの、より具体的には、記録用紙の略法線方向に相対的に移動可能な長尺状の板部材を備えるものや、記録用紙の幅方向に相対的に移動可能なドットインパクトヘッドを備えたもの等であってもよい。
また、上記のよう機械的に筋入れを行う動作以外にも、レーザーを照射して記録用紙に小さな孔を多数形成することによって記録用紙に筋入れを行うこととしてもよい。
また、前述した実施形態では、接着剤層のすべてが、対向する記録用紙の接着剤層とすべて重なり合うものとして説明したが、接着剤層は、対向する記録用紙の接着剤層の少なくとも一部と重なり合うものであればよく、接着剤層の一部は、対向する記録用紙の接着剤層と重なり合わないものであってもよい。
また、前述した実施形態では、予め接着剤層が設けられた記録用紙を用意し、これを用いて記録物を製造する場合について代表的に説明したが、例えば、接着剤層を有さない記録媒体(基材)を用意し、これに、記録物の製造時(インクジェット法による記録部の形成時)に接着剤含有組成物を付与して、接着剤層を有する記録用紙を製造してもよい。これにより、例えば、記録物製造装置内での接着剤層とそれに対向する基材との間で不本意な接着(ブロッキング)が発生をより確実に防止することができる。また、製造すべき記録物の形態(例えば、大きさ、ページ数等)に応じて、接着剤含有組成物の付与量や付与パターンを調整することができ、接着剤含有組成物の使用量の抑制につながり、省資源等の観点からも好ましい。
(実施例1)
[1]接着剤含有組成物の製造
以下のようにして、接着剤含有組成物を製造した。
平均粒子径:300nmの粒子状のポリイソプレン(重量平均分子量:200,000)と、平均分子量500のポリビニルアルコール(けん化度:96mol%以上)、1,2−ヘキサンジオール(以下、「1,2−HD」ともいう。)、2−ピロリドン(以下、「2−Py」ともいう。)、プロピレングリコール(以下、「PG」ともいう。)、界面活性剤としてのBYK−348、Proxel−XL2(防腐剤、Arch Chemicals社製商品名)、およびイオン交換水を添加し、40℃で20分間攪拌した。攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表1に示す分量(質量部)の接着剤含有組成物を調製した。
[2]記録用紙の製造
前記のようにして得られた接着剤含有組成物を用いて、以下のようにして記録用紙を製造した。
まず、記録媒体(基材)として、ロール紙(セイコーエプソン株式会社製、スーパーファイン紙ロールタイプ、210mm×20m)を用意した。
次に、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、記録媒体の一方の面に、インクジェット法により、図2に示すようなパターンで接着剤含有組成物を付与した。
その後、70℃の温風を1分間かけることにより、接着剤層が形成され、記録用紙(記録物製造用用紙)を得た。形成された接着剤層の厚さ(乾燥膜厚)は、3μmであった。また、製造された記録物製造用用紙を平面視した際における接着剤層の被覆率は60%であった。
[3]記録物の製造
前記のようにして得られた記録用紙および図6〜図8に示すような記録物製造装置を用いて前述したような作動を行い、画像形成工程と、筋入れ工程と、断裁工程と、加圧工程とを有する方法で記録物を製造した。
画像形成工程では、見開きページ2ページで一枚の写真(一枚の画像)が現れるように画像を形成した。
筋入れ工程では、画像が形成された面が谷折りとなるように筋を入れた。また、各ページの幅が257mmとなるように設定した。
断裁工程では、表紙、裏表紙となるべきページを除き、見開き2ページ分が1枚となり、最終的に得られる記録物のページ数(表紙、裏表紙を含む)が40ページとなるように、画像および筋が設けられた記録用紙を断裁した。なお、表紙および裏表紙については、その以外の記録用紙の半分の幅(1ページ分の幅)となるように断裁した。
加圧工程は、室温下で3分間所定の圧力でプレスすることにより、記録物を製造した。
また、加圧工程での圧力を5kg/cm〜100kg/cmの範囲で変更することにより、複数の記録物を製造した。加圧工程においては、排紙トレイの底面は水平となっていた。
(実施例2〜6)
接着剤含有組成物の製造に用いる成分、配合量を変更することにより、表1に示すような組成となるようにするとともに、記録媒体への付与量を調整することにより、記録用紙の構成が表1に示すものとなるようにした以外は、前記実施例1と同様にして、記録用紙、記録物を製造した。
(実施例7、8)
記録媒体(基材)への接着剤含有組成物の付与パターンを、それぞれ、図3、図4に示すようなパターンに変更した以外は、前記実施例1と同様にして、記録用紙、記録物を製造した。
(比較例1)
接着剤層を有さない記録媒体(基材)を記録物製造装置に適用した以外は、前記実施例と同様の処理を行った。
その後、記録媒体(基材)の画像が形成された面とは反対側の面に、図2に示すようなパターンで糊を塗布し、これを印刷部が形成された記録用紙とした。そして、当該印刷部が形成された記録用紙を筋に沿って折り曲げた状態で、重ね合わせて押圧することにより、接着し、記録物を得た。
(比較例2)
1,2−HD、2−Py、PG、接着剤成分としてホットメルト接着剤であるエマルション形態の樹脂、ポリゾールAM710(アクリル樹脂エマルション、ガラス転移温度(Tg):56℃、有効成分51質量%)、BYK−348、Proxel−XL2、およびイオン交換水を混合し、40℃で20分間攪拌後、5μm径のメンブランフィルターにて濾過し、表1に示す分量(質量部)の接着剤含有組成物を調製した。
その後、得られた接着剤含有組成物を用いて前記実施例1と同様にして記録用紙、記録物を製造した。
(比較例3)
接着剤含有組成物を記録媒体(基材)の一方の面全体に付与した以外は、前記実施例1と同様にして、記録用紙、記録物を製造した。
前記各実施例および各比較例の記録用紙、記録物の製造に用いた接着剤含有組成物の条件、前記各実施例および各比較例の記録用紙の接着剤層の構成等を表1にまとめて示した。なお、表中、ポリイソプレンを「PIP」、ポリビニルアルコールを「PVA」、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを「DEGmBE」、サーフィノール465(日信化学工業社製)を「S465」で示した。また、表中、「付与パターン」の欄には、図2に示すパターンを「P2」で示し、図3に示すパターンを「P3」で示し、図4に示すパターンを「P4」で示した。また、表中、「被覆率」の欄には、記録物製造用用紙を平面視した際における、接着に寄与する接着剤層の被覆率の値を示した。また、前記実施例および比較例では、いずれも、記録物製造用用紙を平面視した際の接着剤層の幅は、記録物製造用用紙を重ね合わせた状態での外周部と、当該外周部を除く部位(中心部)とで、同一であった。
Figure 2016101725
[4]評価
[4.1]生産性(接着可能圧力範囲の広さ)
前記各実施例および比較例について、記録物の生産性を以下の基準に従い評価した。
AA:7kg/cm未満の圧力で接着可能であり、記録物の生産性が極めて優れてい
る。
A:7kg/cm以上13kg/cm未満の圧力で接着可能であり、記録物の生
産性が優れている。
B:13kg/cm以上30kg/cm未満の圧力で接着可能であり、記録物の
生産性が良好である。
C:30kg/cm以上60kg/cm未満の圧力で接着可能であり、記録物の
生産性がやや劣る。
D:60kg/cm以上100kg/cm以下の圧力で接着可能であり、記録物
の生産性が劣る。
E:100kg/cmの圧力でも接着不可能であり、記録物の製造は不能、または
、生産時間が著しく長く、記録物の生産性に劣っている。
[4.2]接着性(外観)
前記[4.1]で製造した各フォトブックを目視により観察し、記録物の接着性を以下の基準に従い評価した。
A:記録用紙が確実に接着されており、不本意な浮き、剥がれ、厚みのばらつき、
接着剤のはみ出しが一切認められない。
B:記録用紙が確実に接着されており、不本意な浮き、剥がれ、厚みのばらつき、
接着剤のはみ出しがほとんど認められない。
C:記録用紙の接着部において、不本意な浮き、剥がれ、厚みのばらつき、接着剤
のはみ出しのうち少なくとも1つがわずかに認められる。
D:記録用紙の接着部において、不本意な浮き、剥がれ、厚みのばらつき、接着剤
のはみ出しのうち少なくとも1つがはっきりと認められる。
E:記録用紙の接着部において、不本意な浮き、剥がれ、厚みのばらつき、接着剤
のはみ出しのうち少なくとも1つが顕著に認められる。または、接着できなか
った。
[4.3]ブロッキング評価
前記各実施例および比較例の[2]で用いた各記録用紙について、φ2インチ紙管に巻き取り所定の環境下で1時間放置し、印刷用の面と接着剤層との不本意な接着(ブロッキング)が発生するかどうか試験を行い、以下の基準に従い評価した。
A:40℃の環境下でブロッキングが発生しない。
B:25℃以上40℃未満の環境下でブロッキングが発生しない。
C:5℃以上25℃未満の環境下でブロッキングが発生しない。
E:5℃未満の環境下でブロッキングが発生する。
[4.4]位置ずれが発生した場合の対応のし易さ
前記各実施例および比較例の[2]で用いた記録用紙を、それぞれ5枚重ね合わせた。このとき、隣り合う記録用紙において縁部でずれが生じているものと、ずれが生じていないものとが混在するようにした。
その後、室温下、150kg/cmの圧力で3分間プレスした。なお、比較例2については、プレスの際に加熱した。
その後、隣り合う記録用紙間での接着状態を確認し、以下の基準に従い評価した。
A:隣り合う記録用紙において縁部でずれが生じていない部位については、十分な
接着強度で接着していたのに対し、隣り合う記録用紙において縁部でずれが生
じている部位については、まったく接着しておらず、不良品としての識別(検
出)が容易であり、不良ページのみを取り換えることによる記録物の再生産が
容易であった。
B:隣り合う記録用紙において縁部でずれが生じていない部位については、十分な
接着強度で接着していたのに対し、隣り合う記録用紙において縁部でずれが生
じている部位については、接着してはいるもののその接着強度が弱く、不良ペ
ージのみを取り換えることによる記録物の再生産が容易であった。
C:隣り合う記録用紙において縁部でずれが生じていない部位、および、隣り合う
記録用紙において縁部でずれが生じている部位のいずれにおいても、接着強度
が大きく、不良品としての識別(検出)が困難であるとともに、不良ページの
みを選択的に取り換えることができず、記録物の再生産ができなかった。
これらの結果を表2に示す。
Figure 2016101725
表2から明らかなように、本発明では、満足のいく結果が得られたのに対し、比較例では、満足のいく結果が得られなかった。
具体的には、自然状態で粘着性の高い接着剤を用いた比較例1では、接着剤のベタツキのため、記録物の製造における作業性に劣り、記録物の生産性に劣るとともに、製造された記録物の外観、接着強度にも劣っていた。
また、ホットメルト接着剤を用いた比較例2では、比較例1に比べて記録用紙、記録物の製造における作業性はやや改善していたものの、記録物の厚さ方向の中心部付近における接着性が不十分であり、外観も劣っていた。
また、接着剤層を基材の一方の面全体に形成した比較例3では、接着可能圧力範囲、接着性、ブロッキング評価については、優れた結果が得られたものの、位置ずれが発生した場合に不良品の発見が困難であり、信頼性の高い記録物の製造が困難であった。また、比較例3では、一部のみに位置ずれが生じている場合であっても、位置ずれが生じていない部分の再利用ができず、省資源、記録物の生産性の観点からも好ましくないものであった。
なお、比較例1の接着剤含有組成物を予め記録媒体に付与し、その後、当該記録物に対し、インクジェット法により画像を形成することを試みたところ、インクジェットプリンター(液滴吐出装置)内で紙詰まりが発生し、目的の画像を形成することができなかった。
1…記録物製造装置 2…コンピューター 10…給紙ユニット 11…給紙ロール軸 12…給紙ロールモーター 20…送り出しユニット 21a…送り出しローラー 21b…従動ローラー 22…送り出しモーター 30…搬送ユニット(搬送部) 31a…搬送ローラー 31b…従動ローラー 32…搬送モーター 40…挟持ユニット(挟持部) 41a…下側挟持ローラー 41b…上側挟持ローラー 42a…下側挟持モーター 42b…上側挟持モーター 50…排出ユニット 51a…上流側排出ローラー 51b…従動ローラー 52…上流側排出モーター 53…排紙トレイ 54…ばね(付勢手段) 55a…下流側排出ローラー 55b…従動ローラー 56…下流側排出モーター 60…印刷ユニット 61…キャリッジ 62…ガイド軸 64…印刷ヘッド(ヘッド) 70…クリーサーユニット(筋入れ部) 71…回転ブレード 71a…軸 71b…ブレード 72…ブレード受け部材 80…断裁ユニット(断裁部) 81…カッター 82…カッター受け部材 84…ドットインパクトヘッド 85…プラテン 90…コントローラー 91…インターフェース 92…CPU 93…メモリー 94…ユニット制御回路 95…検出器群 95a…光学センサー 97…加圧手段 S100…記録物 S10…記録物製造用用紙(記録用紙) S1…基材 S11…外周部 S12…部位(中心部) S2…接着剤層 S3…印刷部(画像) S4…筋 W…幅

Claims (15)

  1. 基材と、感圧式接着剤を含む材料で構成された接着剤層とを有する記録用紙の前記接着剤層が設けられた面とは反対側の面に、インクジェット法により画像を形成する画像形成工程と、
    前記画像が形成された前記記録用紙の前記接着剤層が設けられた面同士を向い合せて、前記記録用紙を重ね合わせた状態で加圧し、前記画像が形成された面とは反対側の面同士を接着する加圧工程とを有し、
    前記記録用紙は、互いに向かい合う部位に、それぞれ、選択的に前記接着剤層が設けられたものであることを特徴とする記録物の製造方法。
  2. 前記接着剤層は、ポリイソプレンを含む材料で構成されたものである請求項1に記載の記録物の製造方法。
  3. 前記ポリイソプレンの重量平均分子量が10万以上50万以下である請求項2に記載の記録物の製造方法。
  4. 前記接着剤層は、前記ポリイソプレンに加え、水溶性樹脂を含む材料で構成されたものである請求項2または3に記載の記録物の製造方法。
  5. 前記接着剤層は、前記水溶性樹脂として、ポリビニルアルコールを含むものである請求項4に記載の記録物の製造方法。
  6. 前記接着剤層中における前記ポリイソプレンの含有率をX[重量%]、前記接着剤層中における前記ポリビニルアルコールの含有率をX[重量%]とした場合、3≦X/X≦19の関係を満足する請求項5に記載の記録物の製造方法。
  7. 前記接着剤層の厚さは、1μm以上10μm以下である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の記録物の製造方法。
  8. 前記記録物製造用用紙を平面視した際における、接着に寄与する前記接着剤層の被覆率が40%以上90%以下である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の記録物の製造方法。
  9. 前記接着剤層が設けられた面同士を向い合せて、前記記録用紙を重ね合わせた状態で、前記接着剤層は、外周部に設けられたものである請求項1ないし8のいずれか1項に記載の記録物の製造方法。
  10. 前記接着剤層が設けられた面同士を向い合せて、前記記録用紙を重ね合わせた状態での外周部を除く部位において、前記接着剤層は、複数の平行な線状に設けられたものである請求項1ないし9のいずれか1項に記載の記録物の製造方法。
  11. 前記接着剤層が設けられた面同士を向い合せて、前記記録用紙を重ね合わせた状態での外周部を除く部位において、前記接着剤層は、点状に設けられたものである請求項1ないし10のいずれか1項に記載の記録物の製造方法。
  12. 前記接着剤層の幅は、3mm以上50mm以下である請求項1ないし11のいずれか1項に記載の記録物の製造方法。
  13. 前記加圧工程での加圧圧力は、3kgf/cm以上30kgf/cm以下である請求項1ないし12のいずれか1項に記載の記録物の製造方法。
  14. 請求項1ないし13のいずれか1項に記載の方法を用いて製造されたことを特徴とする記録物。
  15. インクジェット法により形成された画像を有する用紙の前記画像が設けられた面とは反対側の面を貼り合わせた記録物の製造に用いられる記録物製造用用紙であって、
    基材と、
    感圧式接着剤を含む材料で構成された接着剤層とを有し、
    記録物製造用用紙の前記接着剤層が設けられた面同士を向い合せて、記録物製造用用紙を貼り合せる状態において、記録物製造用用紙は、互いに向かい合う部位に、それぞれ、選択的に前記接着剤層が設けられたものであることを特徴とする記録物製造用用紙。
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