JP2016101692A - 三次元造形物の製造方法および三次元造形物の製造装置 - Google Patents

三次元造形物の製造方法および三次元造形物の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】層を積層することにより三次元造形物を製造する製造方法において、層の一部を硬化させるために付与する液体の量のばらつきを低減することによって、強度むらや外観むらが抑制された三次元造形物が製造できる製造方法を提供する。【解決手段】造形層5を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、粒子を含む造形用組成物を用いて造形層5を形成する層形成工程と、形成された造形層5にUVインク(造形部形成用インク8a、犠牲層形成用インク8b)を付与する液体付与工程と、付与されたUVインクの一部を除去する液体除去工程と、を含み液体除去工程は、付与されたUVインクと液体吸収部材71とを接触させる工程を含む。【選択図】図4

Description

本発明は、三次元造形物の製造方法および三次元造形物の製造装置に関する。
従来、粒子を含む組成物(造形材料)を用いて、ステージ上に材料層を形成し、これを積層することで3次元の積層造形物を造形する技術が知られている。例えば、特許文献1には、造形対象物の断面データに対応させて造形材料(粉末材料)に結合剤を付与して結合させることにより、造形材料の結合体による層を順次形成して造形対象物に応じた三次元造形物を生成する3次元造形装置が記載されている。
特開2001−150556号公報
しかしながら、特許文献1に記載の3次元造形装置では、造形材料に付与する結合剤の量(特に積層方向の厚み)にばらつきがある場合に、積層造形物(三次元造形物)の強度や外観にむらが発生してしまう場合があるという問題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例または形態として実現することが可能である。
[適用例1] 本適用例にかかる三次元造形物の製造方法は、層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、粒子を含む造形用組成物を用いて前記層を形成する層形成工程と、形成された前記層に液体を付与する液体付与工程と、付与された前記液体の一部を除去する液体除去工程と、を含み、前記液体除去工程は、付与された前記液体と液体吸収部材とを接触させる工程を含むことを特徴とする。
本適用例によれば、層に付与された液体の一部を除去する液体除去工程が含まれるため、層に付与した液体の量にばらつきが有る場合に、そのばらつきを低減させることができる。
[適用例2] 上記適用例にかかる三次元造形物の製造方法において、前記液体除去工程の後に、前記層に付与された前記液体を硬化する液体硬化工程を有することを特徴とする。
本適用例によれば、液体除去工程の後に、層に付与された液体を硬化する液体硬化工程を有するため、層に付与した液体の量にばらつきが有る場合に、そのばらつきを低減させた後に、付与した領域の層を選択的に硬化させることができる。その結果、硬化した層を積層させて製造する三次元造形物の強度むらや外観むらを抑制することができる。
[適用例3] 上記適用例にかかる三次元造形物の製造方法において、前記液体吸収部材が、多孔質体であることを特徴とする。
本適用例によれば、液体吸収部材が多孔質体であるため、液体除去工程では、液体に液体吸収部材を接触させることにより、毛管現象を利用して液体を吸引することができる。
[適用例4] 本適用例にかかる三次元造形物の製造装置は、層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造装置であって、粒子を含む造形用組成物を用いて前記層を形成する層形成部と、形成された前記層に液体を付与する液体付与部と、液体吸収部材を有し、付与された前記液体に前記液体吸収部材を接触させることによって、付与された前記液体の一部を除去する液体除去部と、を備えることを特徴とする。
本適用例によれば、層に付与された液体の一部を除去する液体除去部が備えられるため、層に付与した液体の量にばらつきが有る場合に、そのばらつきを低減させることができる。
[適用例5] 上記適用例にかかる三次元造形物の製造装置において、前記層に付与された前記液体を硬化する液体硬化部を備えることを特徴とする。
本適用例によれば、層に付与された液体を硬化する液体硬化部を備えるため、液体を付与した領域の層を選択的に硬化させることができる。
[適用例6] 上記適用例にかかる三次元造形物の製造装置において、前記液体除去部が除去した前記液体の少なくとも一部を前記液体除去部から除去する再生部を備えることを特徴とする。
本適用例によれば、液体除去部が除去した液体の少なくとも一部を液体除去部から除去する再生部を備えることにより、液体除去部は、付与された液体を繰り返し除去することができるようになる。
[適用例7] 上記適用例にかかる三次元造形物の製造装置において、前記液体吸収部材が、多孔質体であることを特徴とする。
本適用例によれば、液体吸収部材が多孔質体であるため、液体に液体吸収部材を接触させることにより、毛管現象を利用して液体を吸引することができる。
[適用例8] 上記適用例にかかる三次元造形物の製造装置において、前記液体吸収部材が、付与された前記液体に接触する平面を有する板状体であることを特徴とする。
本適用例によれば、液体吸収部材が、付与された液体に接触する平面を有する板状体であるため、液体吸収部材(板状体)の平面を液体が付与された層の面に近接させることで、液体吸収部材の平面に接触する領域の液体を選択的に除去することができる。
[適用例9] 上記適用例にかかる三次元造形物の製造装置において、前記液体吸収部材が、付与された前記液体に接触する円周側面を有する円柱状体であることを特徴とする。
本適用例によれば、液体吸収部材が、付与された液体に接触する円周側面を有する円柱状体であるため、液体吸収部材(円柱状体)の円周側面を液体が付与された層の面に近接させて回転させることで、液体吸収部材の円周側面に接触する領域の液体を選択的に除去することができる。
[適用例10] 上記適用例にかかる三次元造形物の製造装置において、前記液体付与部が、前記液体を吐出するノズルを有する吐出ヘッドを備えていることを特徴とする。
本適用例によれば、液体付与部が、液体を吐出するノズルを有する吐出ヘッドを備えているため、ノズルからの液体の吐出を制御することで、層の所望の領域に選択的に液体を付与することができる。
(a),(b)造形材料の概念図 実施形態1に係る三次元造形物の製造装置の模式図 (a),(b)従来技術による造形層の積層の状況を示す概念図 (a),(b)液体除去部の機能を模式的に示す概念図 液体除去部の構成を模式的に示す概念図 実施形態1に係る三次元造形物の製造方法を示すフローチャート 変形例1に係る造形装置および該造形装置が備える液体除去部の構成を模式的に示す概念図 変形例2に係る液体除去部の一部を示す概念図
以下に本発明を具体化した実施形態について、図面を参照して説明する。以下は、本発明の一実施形態であって、本発明を限定するものではない。なお、以下の各図においては、説明を分かりやすくするため、実際とは異なる尺度で記載している場合がある。また、図面に付記する座標においては、Z軸方向が上下方向、+Z方向が上方向、Y軸方向が前後方向、+Y方向が手前方向、X軸方向が左右方向、+X方向が左方向、X−Y平面が水平面としている。
(実施形態1)
実施形態1として、三次元造形物を造形する一つの手法としての積層造形における造形材料、三次元造形物の製造装置、およびそれらを用いた製造方法を説明する。積層造形の方法としては、造形物の断面形状を形成すべく造形材料で構成された層(以下造形層と言う)に選択的に液体(硬化性インク)を付与し、液体を付与した部分を硬化させながら次々と積層することにより三次元造形物を形成する方法を用いている。
以下、それぞれについて具体的に説明する。
<造形材料>
図1(a)は、「造形用組成物」としての造形材料1を示す概念図である。
造形材料1は、積層造形法により三次元造形物を造形する際に使用する材料(主材)であり、造形材料1によって造形物の基本となる各層、つまり造形物の各断面形状を形成するための層(造形層)を形成する。
造形材料1は、「粒子」としての粒体2および溶剤3などによって構成される。
粒体2は、造形材料1を用いて形成される造形物の主要な構成材料である。粒体2には、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムから選ばれた1種類または2種類以上の粒体を用いることができる。
粒体2は、平均粒子径が0.1μm以上30μm以下の略球形であることが好ましく、1μm以上15μm以下であることが更に好ましい。また、真球形状に近いほどより好ましい。これにより、造形物の形状に係る制御性、特に造形物の外形を規定する辺や角部における形状の制御性が向上する。
また、粒体2の粒径は、造形材料1によって形成される造形層の平均厚さ以下であることが好ましく、造形層の平均厚さの2分の1以下であることがより好ましい。これにより、造形層における粒体2の体積充填率を向上させ、ひいては、造形物の機械的強度を向上させることができる。
粒体2に用いる材料の例を以下に示す。
シリコーン樹脂粒体として、例えば、トスパール(登録商標)1110(粒径11μm)、トスパール120(粒径2μm)、トスパール130(粒径3μm)、トスパール145(粒径4.5μm)、トスパール2000B(粒径6μm)、トスパール3120(粒径12μm)(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)(トスパール:登録商標)などが挙げられる。
アクリルシリコーン樹脂粒体として、例えば、シャリーヌ(登録商標)R−170S(粒径30μm)(日信化学工業(株)製)(シャリーヌ:登録商標)が挙げられる。
アクリル樹脂粒体としては、例えば、エポスター(登録商標)L15(粒径10〜15μm)、エポスターM05(粒径4〜6μm)、エポスターGPH40〜H110(粒径4〜11μm)((株)日本触媒製)(エポスター:登録商標)、テクポリマー(登録商標)MB−8C(粒径8μm)、テクポリマーMBX−8(粒径8μm)、テクポリマーMBP−8(粒径8μm)(積水化成品工業(株)製)(テクポリマー:登録商標)が挙げられる。
ポリエチレン樹脂粒体として、例えば、フロービーズ(登録商標)LE−1080(粒径6μm)、フロービーズLE−2080(粒径11μm)、フロービーズHE−3040(粒径11μm)、フロービーズCL−2080(粒径11μm)(住友精化(株)製)(フロービーズ:登録商標)が挙げられる。
ポリスチレン樹脂粒体として、例えば、テクポリマー(登録商標)SBX−12(粒径12μm)(積水化成品工業(株)製)が挙げられる。
ナイロン樹脂粒体として、例えば、SP−5(粒径5μm)、SP−10(粒径10μm)、TR−1(粒径13μm)、TR−2(粒径20μm)(東レ(株)製)が挙げられる。
ポリアクリロニトリル樹脂粒体として、例えば、A−20(粒径24μm)、ASFシリーズ(粒径7μm)(東洋紡(株)製)が挙げられる。
二酸化ケイ素粒体として、例えば、SO−E1(粒径0.25μm)、SO−E2(粒径0.5μm)((株)アドマテックス製)、サンスフェア(登録商標)H−31(粒径3μm)、サンスフェアH−51(粒径5μm)、サンスフェアH−121(粒径12μm)、サンスフェアH−201(粒径20μm)、サンスフェアL−31(粒径3μm)、サンスフェアL−51(粒径5μm)、サンスフェアNP−30(粒径4μm)、サンスフェアNP−100(粒径10μm)が挙げられる。
酸化アルミニウム粒体として、例えば、AO−502(粒径0.7μm)、AO−809(粒径10μm)、AO−820(粒径20μm)((株)アドマテックス製)が挙げられる。
溶剤3は、水系溶媒であることが好ましく、例えば、水、アルコール性溶剤(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、ケトン系溶剤(メチルエチルケトン、アセトンなど)、グリコールエーテル系溶剤(エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなど)、グリコールエーテルアセテート系溶剤(プロピレングリコール1− モノメチルエーテル2− アセタート、プロピレングリコール1− モノエチルエーテル2− アセタートなど)、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶剤3は、水系溶剤を含むものであることが好ましく、水を含むものであることがより好ましい。これにより、造形材料1の流動性、造形材料1を用いて形成される造形層の組成の均一性を特に優れたものとすることができる。また、水は造形層の形成後の除去が容易であるとともに、三次元造形物中に残存した場合においても悪影響を与えにくい。また、人体に対する安全性、環境問題の観点などからも有利である。
なお、造形材料1は、図1(b)に示すように、溶剤3に替わり(あるいは溶剤3に加え)、バインダー材料3aを含むものであっても良い。
バインダー材料3aは、常温(15〜25℃)において粒体2とバインダー材料3aとを混ぜ、略均一に分散させたときに粒体2同士を結着する機能を持つ所謂バインダーである。図1(b)に示すように、粒体2とバインダー材料3aとが略均一に分散するように混ぜ合わせたとき、バインダー材料3aは、フレーク状に粒体2を結着する。
バインダー材料3aには、30℃以上90℃以下の融点を有する熱可塑性の高分子化合物が用いられる。バインダー材料3aとしては、例えば、好適例として、水溶性のポリエチレングリコールを用いることができる。具体的には、例えば、平均分子量が1000〜8000のポリエチレングリコールとして、PEG1000(融点:37〜40℃)、PEG1500(融点:38〜41℃)、PEG2000(融点:50〜53℃)、PEG4000(融点:53〜58℃)などが挙げられる。それぞれ、常温では、ろう状、ワセリン状、フレーク状などの固体で、融点を超えると融解し液体となる。
<液体(硬化性インク)>
造形層に付与する液体(硬化性インク)には、造形部形成用インクと犠牲層形成用インクとがある。各造形層において、造形部形成用インクは、三次元造形物を構成する領域に選択的に付与され、犠牲層形成用インクは、三次元造形物の外周に接する三次元造形物の外部領域(犠牲層)に選択的に付与される。
犠牲層は、犠牲層形成用インクが付与された造形層の領域であり、三次元造形物を現出する際に取り除かれる領域として形成される。犠牲層を形成することにより、造形部形成用インクが三次元造形物を形成すべき領域から移動(不本意な流出)するのを防止し、寸法精度をさらに高いものとすることができる。また、犠牲層を形成することにより、三次元造形物を構成する造形層として、それよりも下層の外周部からはみ出す部分(オーバーハング、例えば、上部に行くほど三次元造形物の大きさが大きくなるような形状)を有するものであっても、下層の犠牲層が上層の三次元造形物を形成すべき領域を支持することができる。その結果、複雑な形状の三次元造形物であっても容易に製造することができる。
<造形部形成用インク>
造形部形成用インクは、造形材料1に付与した領域を硬化させるためのインクであり、好適例として、紫外線硬化性樹脂を含む紫外線硬化性インクを用いている。
紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)としては、紫外線照射により、光重合開始剤から生じるラジカル種またはカチオン種等により、付加重合または開環重合が開始され、重合体を生じるものが好ましく使用される。付加重合の重合様式として、ラジカル、カチオン、アニオン、メタセシス、配位重合が挙げられる。また、開環重合の重合様式として、カチオン、アニオン、ラジカル、メタセシス、配位重合が挙げられる。
付加重合性の化合物としては、例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物等が挙げられる。付加重合性の化合物として、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が好ましく使用できる。
エチレン性不飽和重合性化合物は、単官能の重合性化合物および多官能の重合性化合物、またはそれらの混合物の化学的形態をもつ。単官能の重合性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)や、そのエステル類、アミド類等が挙げられる。多官能の重合性化合物としては、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類とイソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、カルボン酸との脱水縮合反応物等も使用できる。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミン類およびチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミン類またはチオール類との置換反応物も使用できる。
不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルであるラジカル重合性化合物の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルが代表的であり、単官能のもの、多官能のもののいずれも用いることができる。
単官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、4− ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
二官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3− ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4− シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸− 2− (2− ビニロキシエトキシ)エチル、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート等が挙げられる。
三官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
四官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
五官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
六官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリレート以外の重合性化合物としては、例えば、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、マレイン酸エステル等が挙げられる。
イタコン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3− ブタンジオールジイタコネート、1,4− ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が挙げられる。
クロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等が挙げられる。
イソクロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙げられる。
マレイン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。
その他のエステルの例としては、例えば、特公昭46− 27926号公報、特公昭51− 47334号公報、特開昭57− 196231号公報に記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59− 5240号公報、特開昭59− 5241号公報、特開平2− 226149号公報に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1− 165613号公報に記載のアミノ基を含有するもの等も用いることができる。
また、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドのモノマーの具体例としては、例えば、メチレンビス− アクリルアミド、メチレンビス− メタクリルアミド、1,6− ヘキサメチレンビス− アクリルアミド、1,6− ヘキサメチレンビス− メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
その他の好ましいアミド系モノマーとしては、例えば、特公昭54− 21726号公報に記載のシクロへキシレン構造を有するもの等が挙げられる。
また、イソシアネートと水酸基との付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48− 41708号公報に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(1)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R1)COOCH2CH(R2)OH (1)
(ただし、式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、HまたはCH3を示す。)
本実施形態において、エポキシ基、オキセタン基等の環状エーテル基を分子内に1つ以上有するカチオン開環重合性の化合物を、紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)として好適に用いることができる。
カチオン重合性化合物としては、例えば、開環重合性基を含む硬化性化合物等が挙げられ、中でも、ヘテロ環状基含有硬化性化合物が特に好ましい。このような硬化性化合物としては、例えば、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、環状ラクトン誘導体、環状カーボネート誘導体、オキサゾリン誘導体などの環状イミノエーテル類、ビニルエーテル類等が挙げられ、中でも、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、ビニルエーテル類が好ましい。
好ましいエポキシ誘導体の例としては、例えば、単官能グリシジルエーテル類、多官能グリシジルエーテル類、単官能脂環式エポキシ類、多官能脂環式エポキシ類等が挙げられる。
グリシジルエーテル類の具体的な化合物を例示すると、例えば、ジグリシジルエーテル類(例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等)、3官能以上のグリシジルエーテル類(例えば、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等)、4官能以上のグリシジルエーテル類(例えば、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル等)、脂環式エポキシ類(例えば、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT− 301、エポリードGT− 401(以上、ダイセル化学工業(株)製))、EHPE(ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテル等)、オキセタン類(例えば、OX− SQ、PNOX− 1009(以上、東亞合成(株)製)等)等が挙げられる。
重合性化合物としては、脂環式エポキシ誘導体を好ましく用いることができる。「脂環式エポキシ基」とは、シクロペンテン基、シクロヘキセン基等のシクロアルケン環の二重結合を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化した部分構造を言う。
脂環式エポキシ化合物としては、シクロヘキセンオキシド基またはシクロペンテンオキシド基を1分子内に2個以上有する多官能脂環式エポキシ類が好ましい。脂環式エポキシ化合物の具体例としては、例えば、4− ビニルシクロヘキセンジオキサイド、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル− 3,4− エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ジ(3,4− エポキシシクロヘキシル)アジペート、ジ(3,4− エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(2,3− エポキシシクロペンチル)エーテル、ジ(2,3− エポキシ− 6− メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジオキサイド等が挙げられる。
分子内に脂環式構造を有しない通常のエポキシ基を有するグリシジル化合物を、単独で使用したり、前記の脂環式エポキシ化合物と併用したりすることもできる。
このような通常のグリシジル化合物としては、例えば、グリシジルエーテル化合物やグリシジルエステル化合物等を挙げることができるが、グリシジルエーテル化合物を併用することが好ましい。
グリシジルエーテル化合物の具体例を挙げると、例えば、1,3− ビス(2,3− エポキシプロピロキシ)ベンゼン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポシキ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂等の芳香族グリシジルエーテル化合物、1,4− ブタンジオールグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の脂肪族グリシジルエーテル化合物等が挙げられる。グリシジルエステルとしては、例えば、リノレン酸ダイマーのグリシジルエステル等を挙げることができる。
重合性化合物としては、4員環の環状エーテルであるオキセタニル基を有する化合物(以下、単に「オキセタン化合物」ともいう。)を使用することができる。オキセタニル基含有化合物は、1分子中にオキセタニル基を1個以上有する化合物である。
硬化性インク中における紫外線硬化性樹脂の含有率は、80質量%以上97質量%以下であるのが好ましく、85質量%以上95質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、最終的に得られる三次元造形物の機械的強度を特に優れたものとすることができる。また、三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができる。
<その他の成分>
また、液体(硬化性インク)は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、顔料、染料等の各種着色剤、分散剤、界面活性剤、重合開始剤、重合促進剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、増粘剤、フィラー、凝集防止剤、消泡剤等が挙げられる。
また、硬化性インクは、溶剤を含むものであってもよい。これにより、硬化性インクの粘度調整を好適に行うことでき、硬化性インクが高粘度の成分を含むものであっても、硬化性インクのインクジェット方式による吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル等の酢酸エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、硬化性インクの粘度は、10mPa・s以上25mPa・s以下であるのが好ましく、15mPa・s以上20mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット法によるインクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。なお、本明細書中において、粘度とは、E型粘度計(東京計器社製 VISCONIC ELD)を用いて25℃において測定される値をいう。
また、三次元造形物の製造には、複数種の硬化性インクを用いてもよい。
例えば、着色剤を含む硬化性インク(カラーインク)と、着色剤を含まない硬化性インク(クリアインク)とを用いてもよい。これにより、例えば、三次元造形物の外観上、色調に影響を与える領域に付与する硬化性インクとして着色剤を含む硬化性インクを用い、三次元造形物の外観上、色調に影響を与えない領域に付与する硬化性インクとして着色剤を含まない硬化性インクを用いてもよい。また、最終的に得られる三次元造形物において、着色剤を含む硬化性インクを用いて形成された領域の外表面に、着色剤を含まない硬化性インクを用いて領域(コート層)を設けるように、複数種の硬化性インクを併用してもよい。
また、例えば、異なる組成の着色剤を含む複数種の硬化性インクを用いてもよい。これにより、これらの硬化性インクの組み合わせにより、表現できる色再現領域を広いものとすることができる。
複数種の硬化性インクを用いる場合、少なくとも、藍紫色(シアン)の硬化性インク、紅紫色(マゼンタ)の硬化性インクおよび黄色(イエロー)の硬化性インクを用いるのが好ましい。これにより、これらの硬化性インクの組み合わせにより、表現できる色再現領域をより広いものとすることができる。
また、白色(ホワイト)の硬化性インクを、他の有色の硬化性インクと併用することにより、例えば、以下のような効果が得られる。すなわち、最終的に得られる三次元造形物を、白色(ホワイト)の硬化性インクが付与された第1の領域と、第1の領域と重なり合い、かつ、第1の領域よりも外表面側に設けられた白色以外の有色の硬化性インクが付与された領域とを有するものとすることができる。これにより、白色(ホワイト)の硬化性インクが付与された第1の領域が隠蔽性を発揮することができ、三次元造形物の彩度をより高めることができる。
<犠牲層形成用インク>
犠牲層形成用インクは、造形材料1に付与した領域を硬化させるためのインクであり、また、付与した領域を、三次元造形物を現出する際に取り除かれる領域(犠牲層)として構成するためのインクである。例えば、三次元造形物を現出する工程(犠牲層除去工程)が、犠牲層を選択的に溶解する液体を用いて犠牲層を溶解除去する方法による場合、該液体に対し、造形部形成用インクが付与された領域は耐性を有するのに対し、犠牲層形成用インクが付与された領域は、該液体によって溶解する特性を有する領域として形成される必要がある。
犠牲層形成用インクは、好適例として、紫外線硬化性樹脂を含む紫外線硬化性インクを用いている。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、上述した硬化性インクの構成成分として例示した紫外線硬化性樹脂と同様のものが挙げられる。
特に、犠牲層形成用インクを構成する紫外線硬化性樹脂(硬化成分)と、前述した造形部形成用インクを構成する紫外線硬化性樹脂(硬化成分)とは、同種のエネルギー線で硬化するものであるのが好ましい。
これにより、三次元造形物の製造装置の構成が複雑化するのを効果的に防止することができ、三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができる。また、三次元造形物の表面形状をより確実に制御することができる。
また、犠牲層形成用インクの硬化物が、親水性を有するものを用いるのが好ましい。これにより、犠牲層を選択的に溶解する液体として、水などの水系液体を用いることが可能となる。
犠牲層形成用インクは、各種硬化成分の中でも、特に、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、および、(メタ)アクリロイルモルフォリン、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましい。
これにより、より適切な硬化速度で犠牲層形成用インクを硬化させることができ、三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができる。また、硬化物の親水性をより好適なものとすることができ、犠牲層を容易に除去することができる。
また、犠牲層形成用インクを硬化させて形成される犠牲層の機械的強度、形状の安定性を特に優れたものとすることができる。その結果、三次元造形物の製造時に、下層の犠牲層が上層を形成するための硬化性インクをより好適に支持することができる。そのため、造形層の不本意な変形(特に、ダレ等)をより好適に防止することができ(下層の犠牲層がサポート材として機能し)、最終的に得られる三次元造形物の寸法精度をさらに優れたものとすることができる。
特に、犠牲層形成用インクが(メタ)アクリロイルモルフォリンを含むものであると、以下のような効果が得られる。
(メタ)アクリロイルモルフォリンは、硬化反応が進行した場合であっても完全硬化ではない状態が得られる。この状態の(メタ)アクリロイルモルフォリンの重合体は、水などの各種溶媒に対する溶解性が高いため、犠牲層除去工程において、犠牲層を選択的かつ確実に、また、効率よく除去することができる。
また、犠牲層形成用インクがテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートを含むものであると、硬化後の柔軟性が保たれ、犠牲層を除去する液体による処理により容易にゲル状になることで除去性を高めるという効果が得られる。
また、犠牲層形成用インクがエトキシエトキシエチル(メタ)アクリレートを含むものであると、硬化後もタック性が残存し易く、犠牲層を除去する液体による除去性を高められるという効果が得られる。
また、犠牲層形成用インクがポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートを含むものであると、犠牲層を除去する液体が水を主成分とする場合に、液体への溶解性を高め、除去を容易にするという効果が得られる。
犠牲層形成用インクが前述した特定の硬化成分(テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、および、(メタ)アクリロイルモルフォリンよりなる群から選択される1種または2種以上)を含むものである場合、犠牲層形成用インクを構成する全硬化成分に対する当該特定の硬化成分の割合は、80質量%以上であるのが好ましく、90質量%以上であるのがより好ましく、100質量%であるのがさらに好ましい。これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
犠牲層形成用インク中における硬化成分の含有率は、83質量%以上98.5質量%以下であるのが好ましく、87質量%以上95.4質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、形成される犠牲層の形状の安定性を特に優れたものとすることができ、三次元造形物の製造時に造形層を付き重ねていった場合に、下側の造形層が不本意に変形することをより効果的に防止することができ、上側の造形層を好適に支持することができる。その結果、最終的に得られる三次元造形物の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができる。
(重合開始剤)
また、犠牲層形成用インクは、重合開始剤を含むものであるのが好ましい。
これにより、三次元造形物の製造時における犠牲層形成用インクの硬化速度を適度に速めることができ、三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができる。
また、形成される犠牲層の形状の安定性を特に優れたものとすることができ、三次元造形物の製造時に造形層を付き重ねていった場合に、下側の造形層が不本意に変形することをより効果的に防止することができ、上側の造形層を好適に支持することができる。
犠牲層形成用インクを構成する重合開始剤としては、例えば、造形部形成用インクの構成成分として例示した重合開始剤と同様のものが挙げられる。
中でも、犠牲層形成用インクは、重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドを含むものであるのが好ましい。
このような重合開始剤を含むことにより、より適切な硬化速度で犠牲層形成用インクを硬化させることができ、三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができる。
また、犠牲層形成用インクを硬化させて形成される犠牲層の機械的強度、形状の安定性を特に優れたものとすることができる。その結果、三次元造形物の製造時に、下層の犠牲層が上層を形成するための造形部形成用インクをより好適に支持することができる。そのため、造形層の不本意な変形(特に、ダレ等)をより好適に防止することができ(下層の犠牲層がサポート材として機能し)、最終的に得られる三次元造形物の寸法精度をさらに優れたものとすることができる。
犠牲層形成用インク中における重合開始剤の含有率の具体的な値としては、1.5質量%以上17質量%以下であるのが好ましく、4.6質量%以上13質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、より適切な硬化速度で犠牲層形成用インクを硬化させることができ、三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができる。
また、犠牲層形成用インクを硬化させて形成される犠牲層の機械的強度、形状の安定性を特に優れたものとすることができる。その結果、三次元造形物の製造時に、下層の犠牲層が上層を形成するための造形部形成用インクをより好適に支持することができる。そのため、造形層の不本意な変形(特に、ダレ等)をより好適に防止することができ(下層の犠牲層がサポート材として機能し)、最終的に得られる三次元造形物の寸法精度をさらに優れたものとすることができる。
(その他の成分)
また、犠牲層形成用インクは、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、顔料、染料等の各種着色剤;分散剤;界面活性剤;増感剤;重合促進剤;溶剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤;増粘剤;フィラー;凝集防止剤;消泡剤等が挙げられる。
特に、犠牲層形成用インクが着色剤を含むことにより、犠牲層の視認性が向上し、最終的に得られる三次元造形物において、犠牲層の少なくとも一部が不本意に残存することをより確実に防止することができる。
犠牲層形成用インクを構成する着色剤としては、例えば、造形部形成用インクの構成成分として例示した着色剤と同様のものが挙げられるが、三次元造形物の表面の法線方向から観察した際に当該犠牲層形成用インクにより形成される犠牲層と重なり合う造形層の色(三次元造形物の外観上視認されるべき色)とは異なる色となるような着色剤であるのが好ましい。これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
犠牲層形成用インクが顔料を含む場合に、分散剤をさらに含むものであると、顔料の分散性をより良好なものとすることができる。犠牲層形成用インクを構成する分散剤としては、例えば、造形部形成用インクの構成成分として例示した分散剤と同様のものが挙げられる。
また、犠牲層形成用インクの粘度は、10mPa・s以上30mPa・s以下であるのが好ましく、15mPa・s以上25mPa・s以下であるのがより好ましい。
これにより、インクジェット法による犠牲層形成用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
また、三次元造形物の製造には、複数種の犠牲層形成用インクを用いてもよい。
例えば、造形部形成用インクの硬化時における動粘弾性が互いに異なる2種以上の犠牲層形成用インクを備えるものであってもよい。
これにより、最終的に得られる三次元造形物を、微細な質感の程度が互いに異なる複数の領域を有するものとして得ることができる。その結果、より複雑な外観の表現が可能となり、三次元造形物の美的外観(審美性)、高級感等を特に優れたものとすることができる。
<三次元造形物の製造装置>
図2は、本実施形態に係る三次元造形物の製造装置としての造形装置100を説明する模式図である。
造形装置100は、造形材料1、および液体(硬化性インク)を用いて形成した造形層5を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造装置である。
造形装置100は、層形成部10、液体付与部50、液体硬化部60、液体除去部70(後述する図4参照)およびそれぞれを制御する制御部(図示省略)などを備えている。
<層形成部>
層形成部10は、造形材料1を用いて造形層5を形成する部分であり、材料供給部20、展延部30、造形部40などから構成されている。
材料供給部20は、造形材料1を供給する部分であり、造形層5の形成に必要な量の造形材料1を載置するプレート21を備えている。
プレート21は、バインダー材料3aを含んだ造形材料1を使用する場合に、バインダー材料3aを融点以上の温度に加熱し維持することが可能なヒーター(図示省略)を備えている。材料供給部20に供給された造形材料1は、プレート21上でバインダー材料3aが融解することで、流動性の有る造形材料1となる。
なお、材料供給部20には、造形層5の形成毎に必要量の造形材料1をプレート21に供給する自動供給手段を備えても良い。
展延部30は、スクイージ31を備えている。
スクイージ31は、X軸方向に移動可能に設けられたY軸方向に延在する細長い板状体であり、プレート21上に供給された流動性のある造形材料1を、X−Y平面上で−X方向にすり押すように移動させることで、造形材料1を薄く展延させることができる。
展延部30は、制御部の制御に従って、造形部40が備えるステージ41上に造形材料1を展延し、造形層5を形成する。
造形部40は、ステージ41と、ステージ41をZ軸方向に昇降させるステージ昇降機構42などを備えている。ステージ41は、プレート21と同一の面内(同一の高さ)に位置する初期位置において、スクイージ31によって、造形材料1が展延されるX―Y平面を構成する。
ステージ41は、常温に維持されており、例えば、バインダー材料3aを含んだ造形材料1を使用する場合に、溶融して展延された造形材料1は、ステージ41上において融点未満になると流動性を失う。バインダー材料3aを含み溶融して展延された造形材料1は、融点未満になるまで放置しても良いし、冷却しても良い。ステージ41は、送風ファンや冷却プレートなどの冷却機構を備えていても良い。
ステージ昇降機構42は、制御部の制御に従って、ステージ41上に展延して形成された造形層5の層厚みに応じてステージ41を降下させる。ステージ41が降下することで、造形層5の表面がプレート21と同一の面内(同一の高さ)に位置するようになり、再び、スクイージ31によって造形材料1が展延され造形層5として積層されるX―Y平面が構成される。
<液体付与部>
液体付与部50は、吐出ヘッド51、カートリッジ装填部52、キャリッジ53、キャリッジ移動機構54(構成図省略)などを備えている。
吐出ヘッド51は、インクジェット法により「液体」としての紫外線硬化性インク(UVインク8)をステージ41上の最上層の造形層5に吐出するノズル(図示省略)を備えている。
カートリッジ装填部52は、UVインク8を収容したインクカートリッジを装填し、UVインク8を吐出ヘッド51に供給する。
キャリッジ53は、吐出ヘッド51、カートリッジ装填部52(つまりはインクカートリッジ)を搭載し、キャリッジ移動機構54によって、ステージ41の上面を移動する。
キャリッジ移動機構54は、X−Y軸直動搬送機構を有し、キャリッジ53をX−Y平面で移動(走査)させる。
液体付与部50は、制御部による制御によって、ステージ41上に展延された造形層5に、UVインク8による所望の画像(造形物の断面形状を反映した画像)を形成する。具体的には、制御部は、予め入力された造形物を構成する各断面層の画像情報を有し、この画像情報に応じて、吐出ヘッド51を移動する位置、UVインク8を吐出するタイミングを制御し、対応する各造形層5にUVインク8を付与する。
後述する図4(a)に示すように、造形層5に付与するUVインク8には、造形部形成用インク8aと犠牲層形成用インク8bとがある。各造形層5において、造形部形成用インク8aは、三次元造形物を構成する領域5aに選択的に付与され、犠牲層形成用インク8bは、三次元造形物の外周に接する三次元造形物の外部の領域5b(犠牲層)に選択的に付与される。犠牲層は、犠牲層形成用インク8bが付与された造形層5の領域であり、三次元造形物を現出する際に取り除かれる領域として形成される。
従って、カートリッジ装填部52には、少なくとも1種の造形部形成用インク8aを収容したインクカートリッジと、少なくとも1種の犠牲層形成用インク8bを収容したインクカートリッジとが装填される。
<液体硬化部>
液体硬化部60は、造形層5に付与されたUVインク8を硬化させる紫外線照射機(図示省略)を備えている。展延された造形層5に選択的に付与されたUVインク8(造形部形成用インク8aおよび犠牲層形成用インク8b)に紫外線を照射して硬化させ、さらにその上層に新たな造形層5を展延(積層)することを可能とする。
ステージ昇降機構42によるステージ41の下降動作と合わせて、造形層5の積層と、UVインク8の付与、硬化とを繰り返すことにより、三次元造形物を構成する領域5aとそれに接する犠牲層の領域5bを形成することができる。
<液体除去部>
液体除去部70は、本実施形態を特徴付ける部分であり、液体付与部50によって造形層5に付与され、液体硬化部60から紫外線を照射される前の(つまり、造形層5において硬化する前の)UVインク8の高さばらつきを低減する機能を有する。以下、液体除去部70について具体的に説明する。
図3(a),(b)は、従来技術による造形層5の積層の状況を示す概念図である。
例えば、図3(a)に示すように、造形層5の内、三次元造形物を構成する領域とすべき領域5aに造形部形成用インク8aを付与し、犠牲層とすべき領域5bに犠牲層形成用インク8bを付与した場合、付与の際に、吐出ヘッド51から吐出されるUVインク8(造形部形成用インク8aおよび/または犠牲層形成用インク8b)の量がばらつくと、造形層5の表面から+Z方向に突出する部分のあるUVインク8による凹凸が形成される場合がある。また、吐出されるUVインク8の量にばらつきが無くとも、造形層5に染み込むUVインク8の量にばらつきがある場合においても、同様に造形層5の表面から+Z方向に突出する部分のあるUVインク8による凹凸が形成される場合がある。
この凹凸が形成されたまま、液体硬化部60によって造形層5に付与されたUVインク8を硬化させ、その上層に新たに展延部30によって造形材料1を展延させた場合、下層の造形層5の表面から+Z方向に突出したUVインク8の部分には、既にUVインク8が硬化しているために造形材料1が充填されない。その結果、例えば、吐出ヘッド51が備えるノズルの吐出特性により、吐出するUVインク8の量が、X−Y平面上の同じ位置において+Z方向に突出するように(吐出量が多くなるように)ばらついた場合、図3(b)に示す破線で囲んだ領域Aの様に、Z軸方向に連続して造形材料1の充填率が低い領域が形成される。このような領域Aは、三次元造形物の強度むらや外観むらの原因となる。
また、造形層5の表面から+Z方向に突出する部分のあるUVインク8による凹凸は、その上層に新たに造形材料1を展延させた場合に、展延の均一性に影響を与える場合がある。具体的には、硬化し突出したUVインク8の領域が、その周囲の領域(例えば、粒体2の露出割合が比較的大きい領域)と比較して、造形材料1に含まれる溶剤3(例えば、水など)との親和性に有意差がある場合(例えば、水を弾きやすいなどの場合)に、造形材料1の展延むらが生じる。このような場合においても、同様に三次元造形物の強度むらや外観むらの原因となる。
このような課題に対し、液体除去部70は、造形層5において硬化する前のUVインク8の高さばらつきを低減する機能を有する。
図4(a),(b)は、液体除去部70の機能を模式的に示す概念図である。
液体除去部70は、液体吸収部材71を有し、造形層5に付与されたUVインク8(造形部形成用インク8a、および犠牲層形成用インク8b)に液体吸収部材71を接触させることによって、UVインク8の一部を除去することができる。
液体吸収部材71は、UVインク8に接触する平面72を有する多孔質体で形成された板状体である。ステージ41と平面72とが対向して平行になるように(つまり、造形層5の表面と平面72とが対向して平行になるように)配置された液体吸収部材71を、ステージ41上に展延された造形層5の表面上部から徐々に造形層5に近づけ、UVインク8に接触させることで、多孔質体の毛管現象を利用して、接触した部分のUVインク8を吸い取ることができる。
例えば、図4(a)に示すように(図3(a)と同様に)、造形層5の表面から+Z方向に突出する部分のあるUVインク8による凹凸が形成された場合、このような状態の造形層5の表面に液体吸収部材71(平面72)を近づけると、より多く付与された部分(より高く突出した部分)のUVインク8から先に平面72に接触し、接触した部分のUVインク8が液体吸収部材71に吸い取られていく。
造形層5の表面から所定の距離に平面72を維持し、必要以上の量のUVインク8が吸い取られない所定の時間経過後に液体吸収部材71を造形層5の表面から引き離すと、図4(b)に示すように、造形層5の表面から+Z方向に突出するUVインク8が平坦化された状態が得られる。
液体吸収部材71を構成する多孔質体は、例えば、ウレタンフォーム(ポリウレタンフォームを初めとする各種ポリオレフィン系樹脂の発泡体、ポリ塩化ビニル発泡体、PVA(polyvinyl alcohol)発泡体、SBR(styrene-butadiene rubber)発泡体など)、フェルト、不織布等の繊維材料からなる吸収材などを用いることができる。
図5は、液体除去部70の構成を模式的に示す概念図である。
液体除去部70は、液体吸収部材71、支持移動部73、再生部74などを備えている。
支持移動部73は、液体吸収部材71の底面(平面72)とステージ41とが平行になるように維持し、Z軸方向に昇降させる昇降機構73vと、液体吸収部材71を支持した昇降機構73vをX−Y平面内で移動させる水平移動機構73hとを備えている。
再生部74は、液体除去部70が造形層5の表面から吸収し除去したUVインク8の少なくとも一部を液体除去部70から除去するクリーニング機能を有しており、ステージ41の背部(−Y側)に設けられている。再生部74は、支持移動部73によって搬送された液体吸収部材71の底面(平面72)に当接させてUVインク8を吸引する吸引プレート74pを備えている。平面72に当接する吸引プレート74pの上面には、UVインク8を吸引する複数の開口(図示省略)が形成されており、例えば、バキュームポンプ(図示省略)などによって開口を大気圧より負圧とすることにより当接した平面72からUVインク8を吸引する。
制御部は、支持移動部73を制御して、液体吸収部材71を造形層5の上面の所定の位置に所定の時間維持して必要なUVインク8を吸収した後に、再生部74の上部に移動させ、平面72を平面72に対向するように配置された吸引プレート74pに当接させてUVインク8を吸引(クリーニング)する。
なお、液体吸収部材71(平面72)、および再生部74(吸引プレート74p)は、ステージ41と同等の大きさを有することが稼動効率上好ましいが、より小さく構成して、1層の造形層5の形成(UVインク8の付与)に対して、UVインク8の除去による平坦化と除去したUVインク8のクリーニングとを複数回繰り返す構成であっても良い。
<三次元造形物の製造方法>
次に、上述した造形材料1、UVインク8および造形装置100を用いて三次元造形物を製造する方法について説明する。
本実施形態における三次元造形物の製造方法は、造形層5を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、造形材料1を用いて造形層5を形成する層形成工程と、形成された造形層5にUVインク8を付与する液体付与工程と、付与されたUVインク8の一部を除去する液体除去工程とを含み、液体除去工程は、付与されたUVインク8と液体除去部70が有する液体吸収部材71とを接触させる工程を含むことを特徴としている。また、液体除去工程の後には、造形層5に付与されたUVインク8を硬化する液体硬化工程を有している。
図6は、実施形態1に係る三次元造形物の製造方法を示すフローチャートである。以下、フローチャートに沿って、具体的に説明する。
<層形成工程>
層形成工程では、造形材料1を用いて造形層5を形成する。
まず、造形材料1を準備し、造形層5の形成に必要な量を材料供給部20に供給する(ステップS1)。造形材料1が常温で固体のバインダー材料3aを含む場合には、プレート21で加熱し、造形材料1を流動性のあるペースト状態とする。
次に、展延部30により造形材料1をステージ41上に展延し、造形層5を形成する(ステップS2)。具体的には、流動性を帯びた造形材料1の+X側(図2参照)に当接させたスクイージ31を−X方向に移動させることによってステージ41の表面に押し伸ばす。ステージ41は、常温に維持されており、バインダー材料3aを含む場合には、流動性を帯びてステージ41上に展延された造形材料1が常温に冷却される。
造形層5の層厚みは、スクイージ31による展延の仕様によって制御される。具体的には、造形層5の層厚みは、スクイージ31の下端とX−Y平面(例えば初期位置におけるステージ41の表面)との間隙の大きさ、スクイージ31の移動速度、造形材料1の粘度などによって変化するため、所望の厚みになるように適宜設定を行うことが望ましい。
<液体付与工程>
引き続く液体付与工程では、形成された造形層5にUVインク8を付与する(ステップS3)。
液体付与部50は、ステージ41上に形成された造形層5に、UVインク8による所望の画像を形成する。具体的には、予め制御部に入力された造形物を構成する各断面層の画像情報に応じて、吐出ヘッド51を移動させながらUVインク8を吐出して、造形物の断面形状に対応する位置にUVインク8を付与する。造形部形成用インク8aは、三次元造形物を構成する領域5aに選択的に付与され、犠牲層形成用インク8bは、三次元造形物の外周に接する三次元造形物の外部の領域5b(犠牲層)に選択的に付与される(図4(a)参照)。
<液体除去工程(平坦化工程)>
引き続く液体除去工程では、付与されたUVインク8の一部を除去し、UVインク8(造形層5の表面)を平坦化する(ステップS4)。
まず、付与されたUVインク8と液体除去部70が有する液体吸収部材71とを接触させる。具体的には、液体吸収部材71を、ステージ41上に展延された造形層5の表面上部から徐々に造形層5に近づけ、平面72をUVインク8に接触させる(図4(a)参照)。次に、造形層5の表面から所定の距離に平面72を維持し、必要以上の量のUVインク8が吸い取られない所定の時間経過後に液体吸収部材71を造形層5の表面から引き離し、造形層5の表面から+Z方向に突出するUVインク8を平坦化する(図4(b)参照)。
なお、平面72を造形層5の表面に近接させる位置(高さ)および時間は、使用する造形材料1やUVインク8を構成する材料の種類、その仕様、および期待する平坦度によって異なるため、充分な評価を行い決定することが好ましい。また、造形層5の表面から所定の距離に平面72を維持するとは、必ずしも一定の距離を離すことに限定しない。例えば、平面72を造形層5の表面に当接させても良いし、また押圧するように−Z方向に押し込む方法であっても良い。
<液体硬化工程>
引き続く液体硬化工程では、造形層5に付与され平坦化されたUVインク8を硬化する(ステップS5)。
液体硬化部60は、造形層5に付与されたUVインク8を硬化させる。具体的には、キャリッジ53をステージ41上から退避させた後に、紫外線照射機によって造形層5に紫外線を照射し、造形層5に付与されたUVインク8を硬化させることで、三次元造形物を構成する領域5aおよび犠牲層の領域5bを硬化させる。
なお、UVインク8の硬化は、次に積層される造形層5に付与されるUVインク8との界面の接合強度を保つために、光重合が完了しない程度に紫外線を照射し硬化させることが好ましい。
次に、造形物の造形に対応した所定の数の造形層5の積層が完了したか否か判断し(ステップS6)、積層を継続する場合には、新たな造形層5を積層する準備を行う(ステップS7)。具体的には、ステージ昇降機構42は、ステージ41上に展延され形成された造形層5の層厚みに応じてステージ41を降下させる。ステージ41が降下することで、造形層5の表面がプレート21と同一の面内に位置するようになり、再び、スクイージ31によって造形材料1が展延され造形層5として積層されるX−Y平面が構成される。
以降、造形材料1を供給する工程(ステップS1)から上記の工程を繰り返し、造形層5を積層する。
<造形物現出工程(犠牲層除去工程)>
造形物の造形に対応した所定の数の造形層5の積層が完了したら、これをステージ41から取り出し、造形物を現出させる(ステップS8)。具体的には、例えば、犠牲層形成用インク8bによる硬化物が親水性を有する場合、造形層5が積層された塊を水洗、あるいは水槽に浸漬し、犠牲層形成用インク8bが付与された犠牲層(領域5b)を溶解させるなどして分離し、三次元造形物を構成する領域5aを現出させる。領域5aに付着した水分を乾燥させ、三次元造形物の製造を完了する。
以上述べたように、本実施形態による三次元造形物の製造方法および三次元造形物の製造装置によれば、以下の効果を得ることができる。
三次元造形物の製造方法は、造形材料1を用いて造形層5を形成する層形成工程と、形成された造形層5にUVインク8を付与する液体付与工程と、付与されたUVインク8の一部を除去する液体除去工程とを含み液体除去工程は、付与されたUVインク8と液体吸収部材とを接触させる工程を含んでいる。
造形層5に付与されたUVインク8の一部を除去する液体除去工程が含まれるため、造形層5に付与したUVインク8の量にばらつきが有る場合に、そのばらつきを低減させ、UVインク8による凹凸を平坦化することができる。
また、液体除去工程の後に、造形層5に付与されたUVインク8を硬化する液体硬化工程を有するため、造形層5に付与したUVインク8の量にばらつきが有る場合に、そのばらつきを低減させた後に、付与した領域の造形層5を選択的に硬化させることができる。その結果、硬化した造形層5を積層させて製造する三次元造形物の強度むらや外観むらを抑制することができる。
また、液体吸収部材71が多孔質体であるため、液体除去工程では、UVインク8に液体吸収部材71を接触させることにより、毛管現象を利用してUVインク8を吸引することができる。
また、造形装置100は、液体吸収部材71を有し、付与されたUVインク8に液体吸収部材71を接触させることによって、付与されたUVインク8の一部を除去する液体除去部70を備えている。そのため、造形装置100によれば、造形層5に付与したUVインク8の量にばらつきが有る場合に、そのばらつきを低減させることができる。
また、造形装置100は、造形層5に付与されたUVインク8を硬化する液体硬化部60を備えるため、UVインク8を付与した領域の造形層5を選択的に硬化させることができる。
また、造形装置100が備える液体除去部70は、液体除去部70が除去したUVインク8の少なくとも一部を液体除去部70から除去する再生部74を有していることにより、液体除去部70は、付与されたUVインク8を繰り返し除去することができるようになる。
また、液体吸収部材71が、付与されたUVインク8に接触する平面72を有する板状体であるため、液体吸収部材71(板状体)の平面72をUVインク8が付与された造形層5の面に近接させることで、液体吸収部材71の平面72に接触する領域のUVインク8を選択的に除去することができる。
また、液体付与部50が、UVインク8を吐出するノズルを有する吐出ヘッド51を備えているため、ノズルからのUVインク8の吐出を制御することで、造形層5の所望の領域に選択的にUVインク8を付与することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。ここで、上述した実施形態と同一の構成部位については、同一の符号を使用し、重複する説明は省略している。
(変形例1)
図7は、変形例1に係る造形装置101、および造形装置101が備える液体除去部70aの構成を模式的に示す概念図である。
実施形態1では、図4(a)または図5に示すように、液体吸収部材71は、UVインク8に接触する平面72を有する多孔質体で形成された板状体であるとして説明したが、この構成に限定するものではない。例えば、図7に示す液体吸収部材71aのように円柱状体(ローラー)であっても良い。
造形装置101は、造形装置100が備える液体除去部70に替わり液体除去部70aを備えている。この点を除き、造形装置101は、造形装置100と同じである。
液体除去部70aは、液体吸収部材71a、支持移動部73a、再生部74などを備えている。
液体吸収部材71aは、造形層5に付与されたUVインク8に接触する円周側面72aを有する多孔質体で形成された円柱状体(ローラー)である。液体吸収部材71aは、X軸方向に延在する回転軸を中心として回転し、その円周側面72aが回転しながら造形層5に付与されたUVインク8に接触し、その一部を吸収する。
なお、液体吸収部材71aは、円柱状体の基体全体を多孔質体で構成する必要はなく、円周側面72aを構成する円筒部分が多孔質体で構成され、円筒内部が他の部材で構成された円柱状体(ローラー)であっても良い。
支持移動部73aは、液体吸収部材71aの回転軸がステージ41と平行になるように回転軸をX軸方向に維持してZ軸方向に昇降させる昇降機構73vaと、液体吸収部材71aを支持した昇降機構73vaをX−Y平面内で移動させる水平移動機構73hとを備えている。また、液体吸収部材71aは、水平移動機構73hによるY軸方向の移動に同期して液体吸収部材71aを回転させるモーター(図示省略)を備えている。
制御部は、支持移動部73aを制御して、液体吸収部材71aを造形層5の上面の所定の位置に(つまり、円周側面72aの下端が造形層5に付与されたUVインク8に接触する所定の高さ位置に)維持し、所定の移動速度で液体吸収部材71aを回転させながら造形層5の+Y側の端部から−Y側の端部まで移動させ、必要なUVインク8を吸収して、UVインク8による凹凸を平坦化する。その後、液体吸収部材71aを再生部74の上部に移動させ、円周側面72aを吸引プレート74pに当接させながら回転させてUVインク8を吸引(クリーニング)する。
なお、円周側面72aを造形層5の表面に近接させる位置(高さ)およびY軸方向の移動速度は、使用する造形材料1やUVインク8を構成する材料の種類、その仕様、および期待する平坦度によって異なるため、充分な評価を行い決定することが好ましい。
本変形例によれば、液体吸収部材71a(円柱状体)の円周側面72aをUVインク8が付与された造形層5の面に近接させて回転させることで、液体吸収部材71aの円周側面72aに接触する領域のUVインク8を選択的に除去することができる。その結果、造形層5に付与したUVインク8の量にばらつきが有る場合に、そのばらつきを低減させ、UVインク8による凹凸を平坦化することができる。
(変形例2)
図8は、変形例2に係る液体除去部70bの一部を示す概念図である。
実施形態1では、液体除去部70が造形層5の表面から吸収し除去したUVインク8の少なくとも一部を液体除去部70から除去するクリーニング機能としての再生部74を備えるとして説明したが、必ずしも再生部74を備える必要は無い。
例えば、図8に示すように、シート状の多孔質体で構成された液体吸収部材71bをロール状にして液体除去部70bにセットし、造形層5に付与されたUVインク8に接触する平面72bが常に新しい面となるように、UVインク8の吸収が完了した面を巻き取る構成としても良い。
1…造形材料、2…粒体、3…溶剤、3a…バインダー材料、5…造形層、5a,5b…領域、8…UVインク、8a…造形部形成用インク、8b…犠牲層形成用インク、10…層形成部、20…材料供給部、21…プレート、30…展延部、31…スクイージ、40…造形部、41…ステージ、42…ステージ昇降機構、50…液体付与部、51…吐出ヘッド、52…カートリッジ装填部、53…キャリッジ、60…液体硬化部、70,70a…液体除去部、71,71a…液体吸収部材、72…平面、72a…円周側面、73,73a…支持移動部、73h…水平移動機構、73v,73va…昇降機構、74…再生部、74p…吸引プレート、100,101…造形装置。

Claims (10)

  1. 層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、
    粒子を含む造形用組成物を用いて前記層を形成する層形成工程と、
    形成された前記層に液体を付与する液体付与工程と、
    付与された前記液体の一部を除去する液体除去工程と、を含み、
    前記液体除去工程は、付与された前記液体と液体吸収部材とを接触させる工程を含むことを特徴とする三次元造形物の製造方法。
  2. 前記液体除去工程の後に、前記層に付与された前記液体を硬化する液体硬化工程を有することを特徴とする請求項1に記載の三次元造形物の製造方法。
  3. 前記液体吸収部材が、多孔質体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の三次元造形物の製造方法。
  4. 層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造装置であって、
    粒子を含む造形用組成物を用いて前記層を形成する層形成部と、
    形成された前記層に液体を付与する液体付与部と、
    液体吸収部材を有し、付与された前記液体に前記液体吸収部材を接触させることによって、付与された前記液体の一部を除去する液体除去部と、を備えることを特徴とする三次元造形物の製造装置。
  5. 前記層に付与された前記液体を硬化する液体硬化部を備えることを特徴とする請求項4に記載の三次元造形物の製造装置。
  6. 前記液体除去部が除去した前記液体の少なくとも一部を前記液体除去部から除去する再生部を備えることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の三次元造形物の製造装置。
  7. 前記液体吸収部材が、多孔質体であることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の三次元造形物の製造装置。
  8. 前記液体吸収部材が、付与された前記液体に接触する平面を有する板状体であることを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の三次元造形物の製造装置。
  9. 前記液体吸収部材が、付与された前記液体に接触する円周側面を有する円柱状体であることを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の三次元造形物の製造装置。
  10. 前記液体付与部が、前記液体を吐出するノズルを有する吐出ヘッドを備えていることを特徴とする請求項4から請求項9のいずれか一項に記載の三次元造形物の製造装置。
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