JP2016101304A - ウイルス又は細菌の除去方法、及びウイルス又は細菌の除去装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】衣服、眼鏡、マスク、手袋、及び人体などの被処理体の表面に付着しているウイルスや細菌を簡易に除去できる方法、及び除去できる装置を提供する。【解決手段】本発明に係るウイルス又は細菌の除去方法は、閉鎖空間内にウイルス又は細菌が付着した被処理体を置く工程(a)と、前記閉鎖空間内で二酸化塩素が収容されている容器に紫外線を照射することにより二酸化塩素ガスを発生させる工程(b)と、を含むことを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、ウイルス又は細菌の除去方法、及びウイルス又は細菌の除去装置に関する。
近年、腸管出血性大腸菌、サルモネラ菌等の細菌や、インフルエンザウイルス、HIV、エボラウイルス等のウイルスがヒトに対して猛威を奮っている。特にエボラウイルスにヒトが感染すると、致死率が50〜80%にもなり、血液や体液との接触によりヒトからヒトへと感染が拡大し、多数の死者を出す流行を引き起こしている。そのため、エボラウイルスは、人類が発見したウイルスの中で最も危険なウイルスの1つであると言われている。
ヒトがエボラウイルスに感染するのを防ぐためには、傷口や粘膜にウイルスが入り込まないよう注意する必要がある。ヒトは、自分の目、口、鼻を触りがちであるが、それらに触らないように気をつける必要がある。また、ヒトの触るドアノブ、スイッチ、ハンドルなどはウイルスが付着しやすいため、消毒をする必要がある。消毒薬には、次亜塩素酸ナトリウム、ジクロルイソシアヌール酸ナトリウム、グルタラール、アルコールなどが有効である(例えば、非特許文献1参照)。また、γ線照射や紫外線照射でも消毒可能だが、紫外線照射の場合は有機物に取り込まれているエボラウイルスを不活性化することはできない(例えば、非特許文献2参照)
厚生労働省健康局結核感染症課長、"感染症法に基づく消毒・滅菌の手引き"、平成16年1月30日
キンバリークラーク社、エボラウイルス病(EVD)予防策の概要、2014年10月
このような背景のもと、エボラウイルス患者の治療に携わっている医療関係者の二次感染リスクが非常に高いことが大きな問題となっている。そのため、医者不足の中、医療関係者のストライキも相次ぐ事態となっている。医療関係者の二次感染の経路の一つとしては、衣服、眼鏡、マスク、手袋等にエボラウイルスが付着している場合があり、これらを脱ぐ時にエボラウイルスと接触してしまうことが挙げられる。このような場合、医療関係者がエボラウイルスの二次感染を防ぐためには、医療関係者が使用していた衣服、眼鏡、マスク、手袋等に付着しているエボラウイルスを除去すると共に、人体の表面に付着したエボラウイルスも除去し、その後衣服等を脱げば予防できると考えられる。なお、ここでは、エボラウイルスを例に挙げて本願発明の課題について説明したが、かかる課題はエボラウイルスに限った話ではなく、他のウイルスや細菌にも当て嵌まることである。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、前述の課題を解決することで、衣服、眼鏡、マスク、手袋、及び人体などの被処理体の表面に付着しているウイルスや細菌を簡易に除去できる方法、及び除去できる装置を提供するものである。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るウイルス又は細菌の除去方法の一態様は、
ウイルス又は細菌が付着した被処理体から前記ウイルス又は前記細菌を除去する方法であって、
閉鎖空間内に前記ウイルス又は前記細菌が付着した被処理体を置く工程(a)と、
前記閉鎖空間内で二酸化塩素が収容されている容器に紫外線を照射することにより二酸化塩素ガスを発生させる工程(b)と、
を含むことを特徴とする。
本発明に係るウイルス又は細菌の除去方法の一態様は、
ウイルス又は細菌が付着した被処理体から前記ウイルス又は前記細菌を除去する方法であって、
閉鎖空間内に前記ウイルス又は前記細菌が付着した被処理体を置く工程(a)と、
前記閉鎖空間内で二酸化塩素が収容されている容器に紫外線を照射することにより二酸化塩素ガスを発生させる工程(b)と、
を含むことを特徴とする。
[適用例2]
適用例1のウイルス又は細菌の除去方法において、
前記工程(b)において、前記閉鎖空間内でミストを発生させる手段をさらに含むことができる。
適用例1のウイルス又は細菌の除去方法において、
前記工程(b)において、前記閉鎖空間内でミストを発生させる手段をさらに含むことができる。
[適用例3]
適用例1又は適用例2のウイルス又は細菌の除去方法において、
さらに、前記二酸化塩素ガスに波長340±10nmの紫外線を照射することができる。
適用例1又は適用例2のウイルス又は細菌の除去方法において、
さらに、前記二酸化塩素ガスに波長340±10nmの紫外線を照射することができる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例のウイルス又は細菌の除去方法において、
前記ウイルスが、エボラウイルスであることができる。
適用例1ないし適用例3のいずれか一例のウイルス又は細菌の除去方法において、
前記ウイルスが、エボラウイルスであることができる。
[適用例5]
本発明に係るウイルス又は細菌の除去装置の一態様は、
閉鎖空間を構成する筐体と、
前記筐体の中に設置された二酸化塩素が収容されている容器と、
前記容器に紫外線を照射する装置と、
を含むことを特徴とする。
本発明に係るウイルス又は細菌の除去装置の一態様は、
閉鎖空間を構成する筐体と、
前記筐体の中に設置された二酸化塩素が収容されている容器と、
前記容器に紫外線を照射する装置と、
を含むことを特徴とする。
[適用例6]
適用例5のウイルス又は細菌の除去装置において、
さらに、ミストを発生させる装置を含むことができる。
適用例5のウイルス又は細菌の除去装置において、
さらに、ミストを発生させる装置を含むことができる。
本発明に係るウイルス又は細菌の除去方法によれば、閉鎖空間内において二酸化塩素ガスを充満させることにより、ウイルスや細菌が付着した被処理体(例えば、医療関係者が使用していた衣服、眼鏡、マスク、手袋等)から短時間で確実にウイルスや細菌を除去することができる。本発明では、特に閉鎖空間内で二酸化塩素「ガス」を充満させることで、ウイルスや細菌が付着した被処理体からその隅々まで確実にウイルスや細菌を除去することができる。また、二酸化塩素は人体に対する安全性も高いことから、医療関係者が衣服、眼鏡、マスク、手袋等を装着した状態のまま閉鎖空間内に入れば、衣服、眼鏡、マスク、手袋等の表面のみならず、該医療関係者の表面に付着したウイルスや細菌を除去することもできる。その後、ウイルスや細菌が除去された衣服等を脱げば、医療関係者のウイルスや細菌による二次感染を効果的に予防することが可能となる。
また、閉鎖空間内においてミストを発生させることにより、二酸化塩素ガスと湿度による除去効果が相俟って、ウイルスや細菌の除去効果がさらに向上する。さらに、該閉鎖空間内において、二酸化塩素ガスに特定波長の紫外線を照射することにより、塩素ラジカル
が発生し、この塩素ラジカルがウイルスや細菌のタンパク質を特異的に酸化修飾することができるため、ウイルスや細菌の除去効果がさらに向上する。
が発生し、この塩素ラジカルがウイルスや細菌のタンパク質を特異的に酸化修飾することができるため、ウイルスや細菌の除去効果がさらに向上する。
以下、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に記載された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含むものとして理解されるべきである。
1.ウイルス又は細菌の除去方法
本実施の形態に係るウイルス又は細菌の除去方法は、ウイルス又は細菌が付着した被処理体から前記ウイルス又は前記細菌を除去する方法であって、閉鎖空間内に前記ウイルス又は前記細菌が付着した被処理体を置く工程(a)と、前記閉鎖空間内で二酸化塩素が収容されている容器に紫外線を照射することにより二酸化塩素ガスを発生させる工程(b)と、を含むことを特徴とする。以下、各工程について詳細に説明する。
本実施の形態に係るウイルス又は細菌の除去方法は、ウイルス又は細菌が付着した被処理体から前記ウイルス又は前記細菌を除去する方法であって、閉鎖空間内に前記ウイルス又は前記細菌が付着した被処理体を置く工程(a)と、前記閉鎖空間内で二酸化塩素が収容されている容器に紫外線を照射することにより二酸化塩素ガスを発生させる工程(b)と、を含むことを特徴とする。以下、各工程について詳細に説明する。
1.1.工程(a)
工程(a)は、閉鎖空間内にウイルス又は細菌が付着した被処理体を置く工程である。ここで「閉鎖空間」とは、完全に密閉された空間である必要はなく、二酸化塩素ガスが空間内において充満されるような空間であればよい。このような空間であれば、本発明の効果を十分に得ることができる。
工程(a)は、閉鎖空間内にウイルス又は細菌が付着した被処理体を置く工程である。ここで「閉鎖空間」とは、完全に密閉された空間である必要はなく、二酸化塩素ガスが空間内において充満されるような空間であればよい。このような空間であれば、本発明の効果を十分に得ることができる。
本実施の形態における「閉鎖空間」の具体例としては、特に制限されないが、例えば病院の個室、浴室、側壁の下部が開放されている公衆トイレ、乗用車・バス等の車内、塩化ビニル樹脂で作製された大きなビニル袋内など、様々な閉鎖空間が考えられる。なお、二酸化塩素ガスが空間内で拡散した結果、その濃度が非常に小さくなるような広い空間は、二酸化塩素ガスによるウイルス又は細菌の除去効果が小さくなることから望ましくない。
本実施の形態に係るウイルス又は細菌の除去方法は、エボラウイルスが蔓延するなどの緊急事態が発生した場合、どこにでもある公衆トイレや乗用車・バス等の車内で即時実施できる点で優れている。
被処理体としては、ウイルス又は細菌が付着したもの及び/又は付着した可能性があるものであれば特に制限されない。特に医療関係者の場合、患者の血液や体液と接触することによる二次感染の被害が後を絶たない。医療関係者の場合、被処理体の具体例としては、医療関係者の使用していた白衣、眼鏡、マスク、手袋、靴、医療用具、医療機器等及び医療関係者自身が考えられる。
「ウイルス」とは、中心の核酸(DNAもしくはRNAのいずれか)がカプシドと呼ばれる殻に包まれた単純な構造を有している構造体のことをいう。このような単純な構造では、自己で複製を作ることができず、エネルギー生産・代謝もできず、その他生体活動についても一切行われていない。そのため、ウイルスは、ヒトの細胞の中に侵入して増殖する。このように、ウイルスは、細胞膜がなくヒトの細胞に寄生しているため、治療薬は少ししかなく、開発段階のものが多いという特徴がある。
これに対して「細菌」とは、ウイルスよりも大きく、硬い細胞壁を持つ単細胞の微生物である。細胞の分裂により増殖し、その個体は、それぞれに成長・分裂の能力を持ってい
る。そのため、細菌は、ヒトの体内で定着して細胞分裂で自己増殖しながら、ヒトの細胞に侵入するか、毒素を放出して細胞を傷害する。このように、細菌には、細菌の細胞に作用あるいは増殖を抑制する抗菌薬が有効であり、細菌の特性に応じた様々なタイプの優れた抗生物質や合成抗菌薬がある。
る。そのため、細菌は、ヒトの体内で定着して細胞分裂で自己増殖しながら、ヒトの細胞に侵入するか、毒素を放出して細胞を傷害する。このように、細菌には、細菌の細胞に作用あるいは増殖を抑制する抗菌薬が有効であり、細菌の特性に応じた様々なタイプの優れた抗生物質や合成抗菌薬がある。
以上のように、微生物学的な見地から「ウイルス」と「細菌」は明確に区別されている。しかしながら、本実施の形態に係るウイルス又は細菌の除去方法によれば、二酸化塩素ガスを充満させて、ウイルスや細菌と二酸化塩素とを接触させることにより、ウイルスを不活化させ、また細菌を殺菌することができる。すなわち、本実施の形態に係るウイルス又は細菌の除去方法によれば、ウイルス及び細菌のいずれも除去することができる。
ウイルスとしては、例えば、エボラウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、HIVなどが挙げられる。これらの中でも、エボラウイルスは、エンベロープと呼ばれる膜を持つウイルスであるが、消毒薬抵抗性はそれほど高くない。そのため、本実施の形態に係るウイルス又は細菌の除去方法は、エボラウイルスに対して特に有効である。
細菌としては、例えば、ブドウ球菌、大腸菌、サルモネラ菌、緑膿菌、コレラ菌、炭疽菌、結核菌、ボツリヌス菌、破傷風菌、レンサ球菌などが挙げられる。
1.2.工程(b)
工程(b)は、閉鎖空間内で二酸化塩素が収容されている容器に紫外線を照射することにより二酸化塩素ガスを発生させる工程である。閉鎖空間内に二酸化塩素を充満させて、被処理体に付着したウイルスや細菌と二酸化塩素とを接触させることにより、被処理体からウイルスや細菌を除去することができる。
工程(b)は、閉鎖空間内で二酸化塩素が収容されている容器に紫外線を照射することにより二酸化塩素ガスを発生させる工程である。閉鎖空間内に二酸化塩素を充満させて、被処理体に付着したウイルスや細菌と二酸化塩素とを接触させることにより、被処理体からウイルスや細菌を除去することができる。
二酸化塩素は、化学構造的に安定であり、アンモニア、フェノール類及びフミン酸と反応せず、クロラミン、クロロフェノール類及びトリハロメタンを生成しないため、人体に対する安全性が高い。また、二酸化塩素は塩素のようにpH値の上昇による殺菌力の低下が見られず、広範囲なpH領域での有効性が認められている。さらに、二酸化塩素はガス化しやすく、解放系では揮散しやすいという特徴を有している。
また、二酸化塩素は、殺菌力にも非常に優れており、殺菌消毒液として一般に使用されている無水エタノールの約50万倍、グルコン酸クロルヘキシジンの約100倍、塩化ベンザルコニウムの約100倍、次亜塩素酸ナトリウムの約10倍の殺菌力を有している。また、二酸化塩素は、抗菌スペクトルが幅広く、大腸菌やサルモネラ菌の他、レジオネラ菌、緑膿菌、腸炎ビブリオ、乳酸球菌、乳酸桿菌、セレウス、クロストリジウム、カンピロバクター、クラドスポリウム、フザリウム、くものすカビ、青カビ、白癬菌等に対する殺菌試験でその効果が確認されている。
二酸化塩素の殺菌メカニズムは、以下のように考えられている。大腸菌やサルモネラ菌等の細菌の細胞膜やウイルスのカプシドは、タンパク質が主成分である。このタンパク質のジサルファイド結合(−S−S−)に、二酸化塩素の酸素原子(O)が反応すると、(−S(=O)−S(=O)−)の構造へと変化する。このように構造が変化すると、細菌の細胞膜やウイルスのカプシドが破壊されるので細菌は死滅、ウイルスは不活化すると考えられている。
さらに、二酸化塩素は、インフルエンザウイルス、ノロウイルス、HIV、B型肝炎ウイルス、ロタウイルス、イヌパルボウイルス等のウイルスに対する不活化も確認されてい
る。
る。
以下、工程(b)の詳細について、ウイルス又は細菌の除去装置を用いた具体例を挙げて説明する。
本実施の形態に係るウイルス又は細菌の除去装置は、閉鎖空間を構成する筐体と、前記筐体の中に設置された二酸化塩素が収容されている容器と、前記容器に紫外線を照射する装置と、を含むことを特徴とする。本実施の形態に係るウイルス又は細菌の除去装置を用いることにより、上述のウイルス又は細菌の除去方法を容易に実施することができる。以下、かかる装置の具体例について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態に係るウイルス又は細菌の除去方法を実施するための装置の一例を模式的に示す概念図である。図1に示すように、装置100は、閉鎖空間を構成する筐体10と、二酸化塩素を収納するための容器20と、容器20から二酸化塩素ガスを発生させるための紫外線照射手段30と、を備えている。また、装置100は、必要に応じて、ミスト発生手段40を備えてもよい。
筐体10は、どのような形状であってもよく、発生する二酸化塩素ガスを内部に充満させておくことができるものであれば特に制限されない。たとえば筐体10の形状は、図1に示すように部屋のような開閉可能な扉を有する形状であってもよいし、完全に密閉された閉鎖空間を形成できる形状であってもよいし、一部が開放された閉鎖空間を形成できる形状であってもよい。筐体10の材質は、特に制限されないが、二酸化塩素ガスによって腐食や変質が起こらないものであることが好ましい。このような材質としては、例えば、銅、鉄、ブリキ、トタン、アルミ、ステンレス(SUS304、SUS316等)、プラスチック等が挙げられる。なお、筐体10には、外部の空気を吸い込むための吸気口(図示せず)や筐体10内部の圧力を一定に保つための排気口(図示せず)を別途設けてもよい。さらに、二酸化塩素ガスが人体に蓄積することをできる限り低減するため、排気口には二酸化塩素ガス吸着手段(図示せず)を設けることが望ましい。通常は、排気内の二酸化塩素濃度が5%以下となるように配慮することで、人体に対する安全性を確保することができる。吸着手段の中身は、例えば、活性炭、動物骨粉を主材としたセラミック成形体、該成形体を含有させた紙・不織布等、または有機酸類のような吸着中和剤等とすることができる。
容器20に収容される二酸化塩素は、安定化二酸化塩素溶液であることが好ましい。安定化二酸化塩素溶液とは、二酸化塩素(ClO2)を純水に溶存させて、さらに炭酸ナトリウム(Na2CO3)を添加してアルカリ水溶液としたものである。安定化二酸化塩素溶液を気化させた二酸化塩素ガスは、強烈な刺激臭等がなく安全で、かつウイルスや細菌に接触させることによって高い除去効果を発揮することができる。また、安定化二酸化塩素溶液に寒天やゼラチン等のゲル化剤を添加して得られたゲル状安定化二酸化塩素は、保管、取扱い、補給等が容易となる点でより好ましい。
容器20は、上述の安定化二酸化塩素溶液またはゲル状安定化二酸化塩素を収容できるものであれば特に制限されない。また、筐体10の内部に収容することができれば、容器20の大きさや形状等も特に制限されない。
紫外線照射手段30は、容器20に収容されている安定化二酸化塩素溶液又はゲル状安定化二酸化塩素に紫外線を照射して二酸化塩素ガスを発生させるための手段である。紫外線照射手段30の照射源としては、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ等が挙げられる。また、紫外線発光ダイオード(紫外線LED)や紫外線発光半導体レーザー等の紫外線発光半導体素
子を用いることもできる。
子を用いることもできる。
また、紫外線照射手段30による紫外線照射量を適宜調整することにより、紫外線の化学反応促進効果を調節することができるので、二酸化塩素ガスの揮散量を制御することができる。紫外線照射量の調整は、紫外線照射ランプの放射自体を調節することにより達成できることはもとより、照射量をフィルタや部分的シャッターを照射経路に介在させることによって達成できる。
装置100には、ミスト発生手段40を設けてもよい。ミスト発生手段40は、筐体10内に置かれた被処理体にミストを噴射するための手段である。霧状になって噴射される水の粒子は、非常に細かいため、被処理体に付着してもすぐに気化することがない。ウイルスや細菌には、高湿度環境に弱いものも存在する。したがって、高湿度環境に弱いウイルスや細菌を除去する場合には、この筐体10の閉鎖空間内に充満した二酸化塩素とミストとが相俟って、特に優れたウイルス、細菌の除去効果が得られる。
ミスト発生手段40としては、加熱手段、超音波発生手段、コンプレッサーを用いた噴霧手段等の公知の手段、又はこれらの手段を組み合わせた手段を適宜使用することができる。
また、筐体10の閉鎖空間内において、紫外線照射手段30とは異なる紫外線照射手段(図示せず)により波長340±10nmの紫外線を二酸化塩素ガスに照射することにより、塩素分子が励起され、開裂して塩素ラジカルが生成される。この塩素ラジカルには、特異的な酸化作用があり、ウイルスや細菌などのタンパク質に特異的に酸化修飾する。これにより、さらに効果的に、ウイルスが不活化され、細菌を殺菌することができる。
以下に、装置100の使用方法について述べる。まず、安定化二酸化塩素溶液またはゲル化安定化二酸化塩素を容器20に補給する。使用中に安定化二酸化塩素溶液またはゲル化安定化二酸化塩素がなくなる場合には、その都度補給すればよい。
次いで、ウイルスや細菌が付着した被処理体を筐体10の内部に置いた後、筐体10の扉を閉めて閉鎖空間を形成する。この際、完全な密閉状態としなくてもよいが、完全な密閉状態とすることにより、被処理体の表面の隅々にまで容易に二酸化塩素ガスを行き渡らせることができる。
次いで、紫外線照射手段30により紫外線を安定化二酸化塩素溶液またはゲル化安定化二酸化塩素に照射して二酸化塩素ガスを発生させ、そのまま所定時間放置する。放置する時間が長いほど除菌効果に優れる傾向があるが、数十分〜1日でほぼウイルスや細菌を除去することができる。
このような装置100によれば、極めて簡単な構成で、しかも二酸化塩素ガスを容易かつ確実に供給でき、二酸化塩素ガスを被処理体の表面の隅々にまで行き渡らせることができる。また、被処理体には二酸化塩素成分の残留がないため、安全性にも優れている。
なお、装置100の第1変形例として、紫外線照射手段30に代えて、容器20を加熱する加熱手段とした装置構成としてもよい。かかる加熱手段により容器20を加熱することによっても、筐体10内に二酸化塩素ガスを発生させて充満させることができる。
装置100の第2変形例として、紫外線照射手段30に代えて、容器20に酸水溶液を滴下してもよい。酸溶液としては、塩酸、硝酸、亜硝酸、硫酸、酢酸などが挙げられる。これにより、筐体10内に二酸化塩素ガスを発生させて充満させることができる。
2.実施例
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
2.1.実施例1
2.1.1.試験菌株と接種菌液の調製
試験菌として大腸菌(Escherichia coli NBRC3972)を使用した。凍結保存された前記の試験菌株を標準寒天培地にて35℃で16〜24時間培養し、発育した菌を釣菌して、普通寒天培地にて35℃で16〜20時間培養して新鮮菌とした。新鮮菌をリン酸緩衝生理食塩水に懸濁して、2.5×107cfu/mLに調製し接種菌液とした。
2.1.1.試験菌株と接種菌液の調製
試験菌として大腸菌(Escherichia coli NBRC3972)を使用した。凍結保存された前記の試験菌株を標準寒天培地にて35℃で16〜24時間培養し、発育した菌を釣菌して、普通寒天培地にて35℃で16〜20時間培養して新鮮菌とした。新鮮菌をリン酸緩衝生理食塩水に懸濁して、2.5×107cfu/mLに調製し接種菌液とした。
2.1.2.試験方法
赤身ブロック肉塊約2.5kgを試験用被処理体とした。二酸化塩素ガス発生装置(木村スチール工業株式会社製、製品名「My Breeze」)を5℃に保ったふ卵器(三洋電機株式会社製、機種名「MIR−153」)にセットし、試験開始と同時にガス発生運転を開始した。上記の試験用被処理体の表面に上記「2.1.1.試験菌株と接種菌液の調製」で調製した試験菌液を0.1mL滴下し、コンラージ棒で塗り広げた試料をプラスチックトレイに載せ、試験開始と同時にトレイをふ卵器内に入れた。30分間保持した後、試料をトレイごと取り出して生存菌数を測定し、これを試験群とした。試料はふ卵器から取り出した後ストマッカー袋に入れ、ただちにリン酸緩衝生理食塩水100mLを加え、ホモジナイザーにて60秒間ストマッキングして試験菌を洗い出し、適宜希釈したものをXM−G寒天培地で混釈して35±1℃で20±2時間培養後、生育した青色集落数を計測して大腸菌数とした。また、二酸化塩素ガス発生装置なしのふ卵器に同一条件で調製した食肉を入れ、30分間保持後、同一操作で試験菌を回収し対象群とした。
赤身ブロック肉塊約2.5kgを試験用被処理体とした。二酸化塩素ガス発生装置(木村スチール工業株式会社製、製品名「My Breeze」)を5℃に保ったふ卵器(三洋電機株式会社製、機種名「MIR−153」)にセットし、試験開始と同時にガス発生運転を開始した。上記の試験用被処理体の表面に上記「2.1.1.試験菌株と接種菌液の調製」で調製した試験菌液を0.1mL滴下し、コンラージ棒で塗り広げた試料をプラスチックトレイに載せ、試験開始と同時にトレイをふ卵器内に入れた。30分間保持した後、試料をトレイごと取り出して生存菌数を測定し、これを試験群とした。試料はふ卵器から取り出した後ストマッカー袋に入れ、ただちにリン酸緩衝生理食塩水100mLを加え、ホモジナイザーにて60秒間ストマッキングして試験菌を洗い出し、適宜希釈したものをXM−G寒天培地で混釈して35±1℃で20±2時間培養後、生育した青色集落数を計測して大腸菌数とした。また、二酸化塩素ガス発生装置なしのふ卵器に同一条件で調製した食肉を入れ、30分間保持後、同一操作で試験菌を回収し対象群とした。
その結果、対照群における試験菌の生存率は、保持時間を通じてほぼ約80%で推移した。一方、試験群の被処理体からの回収菌数は、接種直後の2.5×106cfu/片から30分後には1.9×104cfu/片となり、生存率が約0.76%となった。この結果より、試験群の被処理体に塗布された大腸菌がほぼ除菌されていることが確認できた。
なお、実施例1では、本発明の効果を証明するために試験用被処理体の表面に大腸菌をわざわざ付着させたが、実際の被処理体ではこれほどの大腸菌が付着していることはなく、より効果的に除菌できることは言うまでもない。
また、本実施例では、細菌である大腸菌を用いた例のみを示した。ところで、細菌の細胞膜やウイルスのカプシドは、タンパク質が主成分である。本発明のウイルス又は細菌の除去メカニズムは、上述のように二酸化塩素と反応することにより、細菌又はウイルスのタンパク質が構造変化するためであると考えられている。したがって、本発明に係るウイルス又は細菌の除去方法は、大腸菌のみならず、他の細菌やウイルスにも有用であると推測される。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を包含する。また本発明は、上記の実施形態で説明した構成の本質的でない部分を他の構成に置き換えた構成を包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成をも包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成をも包含する。
10…筐体
20…容器
30…紫外線照射手段
40…ミスト発生手段
100…装置
20…容器
30…紫外線照射手段
40…ミスト発生手段
100…装置
Claims (6)
- ウイルス又は細菌が付着した被処理体から前記ウイルス又は前記細菌を除去する方法であって、
閉鎖空間内に前記ウイルス又は前記細菌が付着した被処理体を置く工程(a)と、
前記閉鎖空間内で二酸化塩素が収容されている容器に紫外線を照射することにより二酸化塩素ガスを発生させる工程(b)と、
を含むことを特徴とする、ウイルス又は細菌の除去方法。 - 前記工程(b)において、前記閉鎖空間内でミストを発生させる手段をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のウイルス又は細菌の除去方法。
- 前記二酸化塩素ガスに波長340±10nmの紫外線を照射する手段をさらに含む、請求項1又は請求項2に記載のウイルス又は細菌の除去方法。
- 前記ウイルスがエボラウイルスである、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のウイルス又は細菌の除去方法。
- 閉鎖空間を構成する筐体と、
前記筐体の中に設置された二酸化塩素が収容されている容器と、
前記容器に紫外線を照射する装置と、
を含むことを特徴とする、ウイルス又は細菌の除去装置。 - さらに、ミストを発生させる装置を含む、請求項5に記載のウイルス又は細菌の除去装置。
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JP2014240907A JP2016101304A (ja) | 2014-11-28 | 2014-11-28 | ウイルス又は細菌の除去方法、及びウイルス又は細菌の除去装置 |
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JP2014240907A JP2016101304A (ja) | 2014-11-28 | 2014-11-28 | ウイルス又は細菌の除去方法、及びウイルス又は細菌の除去装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20170001771A (ko) * | 2015-06-25 | 2017-01-05 | (주)푸르고팜 | 방역 방법 |
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WO2022230341A1 (ja) * | 2021-04-30 | 2022-11-03 | ウシオ電機株式会社 | 不活化方法 |
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2014
- 2014-11-28 JP JP2014240907A patent/JP2016101304A/ja active Pending
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